銀河戦 決勝トーナメント
1回戦 第6局 藤井聡太七段 vs 久保利明九段
対局日:2019年7月9日
解説:三浦弘行九段
聞き手:中村真梨花女流三段

銀河戦に藤井聡太が登場。対するは難敵の久保。楽しみな一戦。

解説の三浦「藤井七段は将棋界を背負って立つ逸材。銀河戦でも、いつ優勝するかというファンも多いでしょう。
久保九段は振り飛車党の大家としてA級で活躍している」

先手藤井で、誰もが予想したとおりの対抗形。久保の角交換四間飛車となった。
三浦「角交換四間飛車は、千日手ならOKな後手番で特に有効」
▲矢倉の途中vs△銀冠(金が一枚の形)。

久保から角を打ち打開、角を見捨てる強襲に出る。
戦い合った結果、まったく駒の損得がなく、双方持ち駒を増やしての終盤へ。

藤井の手番でどう相手玉に迫るかという場面、藤井は攻めに金を直接打ち込み、角も打って使ってみたのだが、どうも響きが薄い。
久保が反撃してきて、藤井の角が狙われるというハメに陥った。
私は、でもまだまだ、藤井だから大丈夫・・・と思っていたのだが・・・。

久保の攻めvs藤井の受けという長いやりとりが続いたが、久保が馬切りの強襲をしてきて、一気に緊張感が高まった。
三浦「藤井の陣形が弱すぎる。久保陣に詰めろがかからない。藤井の終盤力が活きない展開」

一方的に追い詰められる藤井玉。
もうだめだ、こりゃ終わった・・・と思われた。しかし、藤井は見せ場を作る。
玉を入玉模様で粘る藤井。まさかの逆転か!
聞き手のマリカ「最後の最後まで目が離せないですね、もう寄ってしまうかなと思ってました」

藤井、ここから逆転しろ~、耐えて入玉を果たせ~、と祈る私。
しかし現実は非情だった。久保の落ち着いた寄せ。桂を3枚、一段目に並べる、うまい構想。
久保の終盤力の前に、藤井は屈した。146手で久保の快勝に終わった。

三浦「藤井七段が少し指せる局面もあったと思うんですけど、もしかしたら緩手があったのかも。逆転してからは久保が見事に勝ち切った」
・・・三浦をしてもどれが悪かったか、わからないという将棋だった。もちろん私にはどれが疑問手だったか、わかるべくもない。
三浦の解説、歯切れが悪かった。残念だ。正直、どうにも眠くなった(^^;

中盤、藤井が先に金得したので、それで藤井が形勢が悪いということはないはず。
藤井としては、めずらしく、中盤以降に、攻めの構想が描けなかったようだった。

藤井は最後に粘りは見せたものの、全体的に、力勝負で力負けという内容だった。ガクッ。
ただし、115手目、藤井の▲7四桂の歩頭桂は印象に残った。すぐタダで取られる桂だが、入玉への望みをつないだ根性の一手だった。
ああーー銀河戦で藤井が消えた。アッチョンブリケ。
私はスカパーで(アンテナを業者に取り付けてもらい)、普段から囲碁将棋チャンネルを見させてもらっています。
基本料が1か月421円、囲碁将棋チャンネルが1か月1512円、合計1933円です。
私は銀河戦をかなり観てるので、この値段なら納得して払っています。
囲碁将棋チャンネル様、ありがとうございます!

視聴者の立場から、ここは良い、もっとこうして欲しい、というのをいくつか言わせてもらいます。

良いところ(#^.^#)
・銀河戦のパラマス式トーナメント方式が良い!
根本的な話だけど、誰が考えたのかわからないがこのパラマス式というは、とても面白い。独自の味のある棋戦になっている。
下のほうの棋士がガンガン勝ち進むチャンスがあるのは愉快、痛快。

・銀河戦と女流王将戦で、聞き手の女流が毎回変わるのが、とてもいい!
色々な女流棋士が話すところが観れて楽しい。今回は誰かな~とワクワク。2本撮りだけどそれはOK。

・3月に放送された、「ありがとう八王子将棋クラブ」の特集番組が素晴らしかった! 
愛情たっぷりに丁寧に作られた番組で、おお、こんな取材力がどこにあったんだ、とびっくり、うれしい誤算(笑)

・今期の銀河戦の決勝トーナメント、折田さんの紹介VTRが気が利いてた!
対局前に2分くらいのVTRで、折田さんの実像に迫っていた。これもうれしい誤算。

・藤井聡太七段に配慮した特別番組編成がタイムリー!
たしか竜王戦とか、大きな対局があると囲碁将棋チャンネルで生放送してくれてるのが最高。
明らかに番組編成の「藤井システム」(笑) これからも発動されますように。


もっとこうして欲しいところ(;´・ω・)
・銀河戦と女流王将戦について、対局日と放送日が、かけ離れないようにして欲しい。
対局日が放送日の3か月前とかって、さすがに離れすぎていて厳しい。せめて1か月前まで近づけて欲しい。

・銀河戦にアマと女流を4人ずつ出場させて欲しい。
現状はアマ4人に女流2人。アマ枠の4人には感謝。
折田さんの7人抜きがあったのも、そもそも4人という枠があったからだろう。ここはドーンと女流を倍増させて欲しい。
男vs男はいっぱい観れるんだから。

・将棋講座が、ほぼランダム放送の状態で、観づらい。
興味ある講座はホームページを見なければなかなか見つけられない具合になっている。
いつの間にか興味ある講座が始まっているという状態。もうどうしようもないのかな?
いったん見つければ、録画は、専用機器による追跡機能があるで楽なのだが。

・将棋講座で、「世界の将棋」というのをやって欲しい。講師は所司さんがピッタリ。
チェス、マックルック、シャンチー、チャンギなどを取り上げて欲しい。
なんならチェスだけを本格的に13回の講座でやってくれないだろうか。どんな風になるかとても興味ある。
NHK将棋講座でもいいので、いつかやってくれないだろうか。

・銀河戦で使われている駒が、黒っぽくて見づらいと感じる。
前期までは普通の薄い色だったのに、なんで黒っぽい駒にしてしまったのだろうか。替えて欲しい。
(大盤解説の駒はとても見やすい)

・コンピュータ将棋選手権の特集番組がなくなってしまった。
これは残念の一言。それまでが気合の入った1時間30分番組だっただけに、なくなって悲しい。

・月1で棋界の動きの番組がある(たしか15分くらい)が、旬を過ぎたニュースになってしまっている。
せめて月2にして欲しい。

・電王戦に関して、ほとんど何も連動がなかったのは残念。
もう終わったことだと言わずに、棋譜解説の番組があればとてもいいのだけどね。
講座でやってくれないかなあ、「プロ棋士とAI かく戦えり」っていうの。

・土曜夜にやっている指導将棋の番組で、芸能人を出して欲しい。
一般人が出ても、盛り上がりに欠ける。将棋好きな芸能人(有名人)もたくさんいるのだから、積極的に出して欲しい。

・テレビ東京であった「早指し将棋選手権」の形式を復活させて欲しい。
これはかなわぬ夢なのか。40手まで事前に指した状態からスタートし、40分くらいの番組枠に収めるシステム。
これ早く進むんで、観てて楽しかった。女流でももちろんいいからやってくれないだろうか。

なんだかんだ言って、銀河戦と女流王将戦を中心に私は楽しませてもらっています。
今期は銀河戦での折田アマ(7人抜き)と藤井聡太七段(6人抜き)の活躍で、ここまで大満足です。
囲碁将棋チャンネル様、ありがとうございます( ^^) _旦~~
NHK杯 2回戦 稲葉陽 八段 vs 里見香奈 女流五冠
解説 千田翔太 七段 聞き手 藤田綾 女流二段

里見の登場ということで、またNHK杯の感想を書く。1回戦の高崎戦では、高崎の猛攻を見事にしのいで快勝した里見。
今回はどうなるか。相手はバリバリ強豪の稲葉。

稲葉は竜王戦1組、A級、7回目の本戦出場。里見は2回目の本戦出場。

解説の千田「稲葉は軽快な棋風なんですけど終盤粘り強く逆転勝ちも多い。里見は軽快な棋風でなおかつ鋭い攻め味で終盤も緩みなく指す」

事前のインタビュー
稲葉「里見には10年前に一度、公式戦で負かされている。大変な強敵」
里見「稲葉はトップ棋士でA級の大変強い棋士。自分の力を精一杯出し切りたい」

先手稲葉で、対抗形になった。持久戦となり、▲銀冠穴熊vs△中飛車+高美濃。
8筋で歩の交換があったのだが、稲葉は▲8七歩と打ち、穴熊を強化する順を選んだ。
手堅い・・・。稲葉の守りの銀は▲9七銀という変わった形になっている。
この▲9七銀の形をとがめられるかというのを、千田がずいぶん言っている。

里見の飛車は向かい飛車から中飛車に落ち着いたのだが、△2二飛~△3二飛~△3一飛~△5一飛と、だいぶ手数がかかっている。そして1筋も突いてパス1回。個人的には里見側も銀冠まで囲いたかったけど・・・。

戦いが起こり、里見が桂損したが、里見の駒は中央に使えている。
千田「後手に不満があるようにも見えない、微妙な局面」
里見、がんばって~。しかし、手数が進み、千田「ちょっとこのあたり後手が損している」

長い中盤、稲葉が飛車を成り込んでどうなるかと思われたところ、稲葉に妙手が出た。
成り込める飛車を引いて守りに使う、柔軟な発想の一手。
千田「あ、なるほど。こういうのが冷静なんですね」
ぐあ~、これで里見からの早い攻めがなくなってしまった。稲葉、いじわるしないで攻め合ってくれよ~。

その後、稲葉が駒得できるようになり、差が開いてしまった。里見は最後は詰めろをかけるのが精一杯。
▲9七銀型の稲葉の穴熊、充分に堅さを発揮した。123手で稲葉の快勝となった。あ~あ。

千田「序盤で里見が若干先手の陣形を崩してポイントを得たと思ったんですけど、▲9七銀と悪形にしたけどその形をうまく崩せなかった。稲葉の指し方が巧みだった」

・・・里見はボロ負けではないけれど、特にこれといったチャンスもなく順当負けという表現が合っていると思う。
んー、A級棋士の壁は高かったか。稲葉の飛車を受けに使った手で、あれでしびれてしまったなあ。
やはり後手も序盤で銀冠まで囲いたかった。▲9七銀型をとがめるのは、コンピュータならできるんだろうけどね。

里見といえば、今、男子プロに「いいところ取りで10戦以上で6割5分」に近くなっているが、今回の負けでちょっと遠のいてしまった。これからも里見の対男子プロの勝敗には注目していきたい。
霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
2回戦 第4局 伊藤沙恵女流三段 vs 井道千尋女流二段
対局日:2019年6月26日
解説:井出隼平四段
聞き手:塚田恵梨花女流初段

2回戦(ベスト8)の最後の一戦。実力者の伊藤沙恵に、井道が挑む。

伊藤は通算104勝44敗。
解説の井出「伊藤は居飛車党の受け将棋。最近はバランスのいい棋風に進化している」

井道は通算97勝103敗。
井出「井道はクラシックな振り飛車党。三間飛車が得意。棋風は受け」

事前のインタビュー
伊藤「井道さんは昔から普及などのお仕事を熱心にされていて、最近はお子様も生まれて、子育てをがんばられている印象。
将棋のほうは振り飛車党で丁寧な指し回しが特徴。目の前の対局に集中していつもどおり指せたらいいと思う」

井道「伊藤さんは普段は優しい方なんですけど、将棋のほうは力強い印象。私が力を出しても届かないかもしれませんが、一生懸命指してがんばりたい」

先手伊藤で、なんと相居飛車。▲矢倉模様vs△右四間飛車という戦型になった。
井出「井道が居飛車とは。この戦型はまさか」

井道、居玉のままで超急戦のチャンスがあったのだが、それを見送り、持久戦となった。
井出「これは一つの定跡形で、テーマ図」
伊藤の構えは矢倉側の典型的な右四間対策だ。羽生の著書の「変わりゆく現代将棋」に出ている。

井出「右四間をする人は、慎重さからは、程遠い印象がある」
井道の丁寧な棋風と右四間の相性がどう出るかというところだ。

双方、万全に近い状態から、井道から仕掛けた。盤面左側で戦いが起こった。
井出「右四間側としては、足が止まったら終わりですから。ガチャガチャやっていくしかないんですよ」

すると伊藤が変わった受けを見せた。自ら5筋で銀交換を挑み、持った銀を▲7四銀と打ち、7三の桂馬を取っていった。こんな受けかたがあるのか・・・。
井出「私は先手の矢倉側を持って自信がない。でも伊藤はこういうのをいつも受けているから・・・」

消費時間にすごく差がつき、残りが▲19分vs△0分。井道だけ40秒の秒読み。
手が進み、井道も必死の食らいつきを見せる。堂々と受けてる伊藤。
井出「伊藤は(スケールの)大きい将棋ですね。相手の攻めを全否定するような」

井出「なんとも言えない形勢」
聞き手の塚田「伊藤は玉を上へ上へあがるイメージがある」
ここへ来て、伊藤の早指しにさらにターボがかかった。ガンガンノータイム指しで受ける伊藤。
井出「伊藤の受けの時間攻めですね。伊藤の中で勝ちパターンができているのだろう、体でわかっている。
しかしすごい早さですねー。もうちょっと考えてもいいと思うんですけど」

伊藤は反撃に出て、優勢を確信しているのが伝わってくる。
井出「井道がどこで悪くなったか、わからない」
伊藤は最後の寄せのところだけ、慎重に考えて時間を使った。無難に寄せて、伊藤が勝ち切った。95手で伊藤の勝ち。圧勝と言っていい内容。
伊藤は持ち時間の25分を使い切らず、4分も余していた。

井出「井道の意表の戦型選択で、井道が攻める展開になったんですけど、それに対して伊藤が相手の攻め駒を責める▲7四銀の受けで、強気の指し回しでリードを奪った。そのあとは的確に反撃して、うまくまとめた」

感想戦で、井道「仕掛けを待ちすぎちゃいましたね」
井出「▲7四銀で攻め駒の桂を取ったのは価値の高い手だったんですね」

局後のインタビュー
伊藤「井道さんは振り飛車党だと思ってましたので、今回右四間を採用されまして、序盤は意表の出だしでした。こちらが受け身になる戦法ですけど、受けきるか攻めきるか難しい中盤が続いた。終盤はこちらが寄せづらい形になり、良くなってからは押しきれました。次の準決勝の山口さんは子供のころから知っている。対戦できてうれしい」

一言で言って、伊藤沙恵の圧勝。最後は一手違いにもならず。伊藤の巧みな受けと反撃の前に、井道な勝負どころなく負けた印象だった。さすが伊藤、奨励会の1級まで行った腕は伊達ではない。
井道としては、序盤の早い段階で居玉のまま仕掛けていたらどうなってたか、ということだが、それはそれでまたまったく別の将棋なんで・・・。でも、本譜は持久戦にして定跡形にしたら、伊藤の圧倒的経験値の前に、ボコボコにされた一局だった。
伊藤は時間も使わなかったし、解説の井出が見えてなかった手をたくさん指し、その強さをいかんなく発揮していた。
伊藤なら山口えりりんにも勝つと思う。女子は里見香奈、西山、カトモモ、伊藤沙恵、この4強だね。あ、渡部もいるけど。

準決勝のカードは、西山vsカトモモ、山口えりりんvs伊藤沙恵。西山が本命だが、波乱はあるか?
詰飛車 問題集
石田直裕・タカ大丸著 主婦の友社 1200円+税 2018年4月20日 第1刷発行
難度 ★ 評価 C コンセプト<とにかく飛車を取ることが目的の易しい問題集>

この本は図書館で借りました。

タイトルの正式名は、「ヘボ将棋は飛車を取るだけで勝てる!史上初の詰飛車問題集」となっています。
普通の詰将棋では、当然、相手玉を詰ますことが目的なのですが、本書では相手の飛車を詰ますことが目的。
80問あるが、ヒントありで1手詰~3手詰。ひとつだけ5手で詰むものがありました。
難度は低く、3手詰ハンドブックよりも、ぐんと易しいくらい。1手詰ハンドブックレベルです。
実戦形がラスト5問でありますが、これもごく単純な筋。

私としては、もう2度と出版されないような珍しいコンセプトの本なので、上級者向けの問題も入れてほしかった。
本書は私には簡単すぎました。
相入玉時の、大駒の点数である5点を取りに行く際の、芸術的な飛車の詰まし方というのも存在するのだから、紹介でもいいので取り上げて欲しかった。

で、この本、問題を解けば解くほど、筋が悪くならないか心配なんですけど(^^;
だって、相手玉を大海に逃がしてでも、飛車を取りにいってしまうのだから・・・。
でも面白いコンセプトで、徹底的に易しい問題にこだわったのが伝わってきます。
評価Cとしましたが、将棋を始めたばかりの人にとっては、楽しい本になるんじゃないでしょうか。
将棋界の不思議な仕組み プロ棋士という仕事
青野照市著 創元社  2016年10月20日第1版第1刷発行 1400円+税
評価 A コンセプト<プロ将棋界周辺の知識をたっぷり紹介>

よくここまで情報を詰め込んで書いてくれたという感想です。充実した内容。
ひとつの質問につき見開き2ページで、答えてくれています。95個もの質問の数です。
どれも納得のいく回答がほとんどで、青野さんは常識のある人だと思いました。

(でも、本書が発行された2016年10月といえば、あの忌まわしき事件が起こりました。その後、青野さんは理事を解任されました。「疑わしきは罰せず」という常識は、青野さんには無かったようです。残念でなりません)

印象に残ったところをいくつか。
P61 Q プロになれなかった奨励会員の第2の人生は?
A 私の弟子のS君は、勝っても負けても退会という三段リーグの対局で、初手を1時間考え、なにも指さずに投了して去っていった。誰にも挨拶なしにである。マナーとしてはよくないが、私はそういうことより、ただひたすら<自殺などするなよ>の思いだった。
・・・ここは重くて、読んでいて気が落ち込みます。

P78 Q 棋士のふだんの勉強法は?
A プロ同士の練習将棋では、賭けるということではなく、負けたほうが勝ったほうに授業料を払うというやりとりがあった。
・・・ここはかなり笑わしてもらいました。言葉使いを変えただけで賭けてる(笑)

P196 Q 本で勉強するのと実際に指すのでは、どちらが強くなる?
A これはズバリ、両方同じくらい時間をかけてやらないと、バランスの悪い将棋になるおそれがある、と回答したい。
・・・これは当たっているでしょうね。

誤字などの箇所
P15 × 取った石の数で勝敗を争う囲碁   〇 囲った地の数で勝敗を争う囲碁
P77の(カッコ)の中でパーセンテージを表したところ、羽生と森内の勝率の差が0.08パーセントという書き方だが、これはおかしい。そんなに少ないはずがない。
P155 × 渡辺竜王とポナンザ戦  〇 ボナンザ戦
頂(いただき)へ 藤井聡太を生んだもの
中日新聞文化部 岡村淳司 編著  中日新聞社 発行  2018年3月17日初版発行 1200円+税
評価 A  コンセプト<藤井聡太に関わった周辺の人物を取材>

この本は図書館で借りました。また藤井聡太本か、どうせ同じようなことが書いてあるんだろう、と思っていましたが、この本は藤井本人よりも周りの人物、それもアマチュアを主に取材してあります。ですので他の本と内容がかぶっていません。
よくここまで調べたなー、と思える取材範囲の広さです。取材対象になった人がとても多い。
個人的には、ネットの24のことが書いてあり、席主の久米さんの写真が見れたのが高ポイント(笑)

藤井聡太はたしかにラッキーな環境に生きています。まず始めに祖母に将棋を教わった。祖母は初心者なので聡太が勝てる。
次にそこそこ指せる祖父に教わった。
自宅から車で5分のところに「ふみもと将棋教室」があった。そして東海研修会もあった。杉本という良い師匠がいた。
ただし、ライバルと呼べる相手はいなかった。強くなってからの練習相手も限られているように見受けられた。

本書のあとがきに「藤井五段がプロになったのは間違いなく天賦の才によるものだろう。ただし、中学生でプロになれたのは、早くから才能を発掘して育てる土壌をつくりあげた東海棋界の熱意があってこそだと日々の取材で確信した。」とあります。
本書を読んでいて、私も「そうだなー、これ、プロだけじゃなくてアマチュア(元奨を含む)たちもそうとう頑張って普及・指導をやってるな」と思わされました。

新聞記者の取材力を見せられ、プロの棋士というのもすごいが、プロの記者というのもすごいものだと、つくづく私は感心させられました。

誤字が一か所 P122 × 二つ目の黒星を献上  〇 二つ目の黒星を喫する
NHK杯 1回戦 阪口悟 六段 vs 藤井聡太 七段
解説 井上慶太 九段 聞き手 中村桃子女流

藤井聡太がNHK杯に登場! これが1回戦の最後の対局ということだ。

坂口は竜王戦4組、C1 予選で藤原、小林裕士、中村亮介に勝ち本戦初出場
藤井聡太は竜王戦4組、C1 成績優秀によりシード 3回目の本戦出場

井上「坂口は生粋の大阪生まれ大阪育ち。中飛車を得意とする豪快なさばきが特徴。
藤井は受けて良し、攻めて良し、柔軟性が持ち味」

事前のインタビュー
坂口「念願の本戦に出れましたので、一局でも多く見てもらいたい。中飛車をやりたいので、できたら先手番が欲しい」

藤井「早指しなので持ち時間を有効に使って決断良く指したい、過去2回出場の経験を活かしたい」

藤井聡太は過去2回の成績は、初出場では千田と森内に勝ったが3回戦で稲葉に敗退、2回目では初戦の今泉に敗退だった。
今期はぜひガンガン勝ち上がってほしいところだ。

坂口は藤井の倍くらい体重がありそうに見える(^^;
井上「坂口は年齢制限のギリギリで四段に上がった。教室を開いているので、生徒が応援しているだろう」

井上「藤井聡太は29連勝したが、22連勝目の相手が坂口で、そこで藤井は終盤にミスして、パーンとふとももを叩いたのが印象的だった」
あのシーンはワイドショーで放送されたねえ。面白い場面だったよ。

さて、先手坂口で▲中飛車+木村美濃vs△袖飛車+4筋に金銀3枚の囲いという図。
藤井から積極的に仕掛けていった。
これ、藤井の角が、2二に居たままの壁駒で、まったく使えそうにないが、大丈夫なのだろうか。
私としては、すごく嫌な予感がするのだが。

中盤戦、藤井が、香を取って駒得したが、坂口も馬を作って、形勢は難しそう。
一進一退の難解なやりとりが続く。井上さんの予想が、よくはずれる。

藤井が4一の金を△3一金と寄って、手を渡す。藤井陣はエルモ囲いに近い形になった。
井上「これは流行りの手、プロの手やなあ」
中村桃子「お互いに絶妙に手を渡し合って」

藤井は竜、坂口は馬という強力な駒を中心に戦いが続く。
藤井が竜を見捨てる大胆な発想を見せた。しかし坂口は竜を取らない。際どい攻防。ぐうー、藤井は勝てるのか?ドキドキだ。

もう時間もない終盤、藤井が坂口陣に迫るべく△2四桂と打ったが、それが狙われた。
井上「△2四桂は、良い手がどうかわかりませんね。藤井は戦力不足。急ぎすぎたんじゃないか。坂口が優勢じゃないか」
うわー、藤井、ピンチ! だれか助けてー。 1回戦で消えないでー。

が、藤井も負けてはいない。井上の形勢判断がガクガク揺れ動く(笑)
藤井は流れの中で、なんとずっと壁だった角を、世に出すことに成功!!
△5一香と打ったときは、なんのための香打ちなんだろうと思っていたが、角を使うための△5一香だったのか!
やったーー ニート角が働いたー。これで一気に展望が開けた。
さらにその角を成り込まず、相手玉をにらむ位置に逃げ、井上を感心させた。
これは指されてみれば当然の手だが、意外と盲点だ。

そしてついに出た、藤井の鬼手というべき一手!
竜を相手の馬の利きに逃げるという、とてもきれいな「一本」と言いたくなる一着!(△6四竜)
これに井上が絶賛。井上「ああっ、かっこいい手が出ましたね。これはええ手やわ。そんなことやったらアカンわ~」
いやいや、アカンって(笑) こんな手をどんどん見たいんです(笑) 

そのあとも丁寧に指し回した藤井、見事、難局を制し、120手で勝利! ふいいいーー、苦労したなー。

井上「投了図は駒損がひどいので、投げたのは仕方ない。中盤戦のねじりあい、お互いによく辛抱した。
坂口が良くなりそうな場面もあったんじゃないかと思うが、藤井がうまくまとめて駒得を活かした。さすが。△6四竜が決め手」

本局、藤井は攻めていった銀もずっと負担だったし、壁角だったしで、そうとう危ない橋を渡っているように私なんかには見えたのだが、まさにうまくまとめたなあ。感心しきりだ。コンピュータの指し手を見てるかのように駒が終盤で働いてくる、魔法のような手の組み合わせ。うーん、藤井聡太、かっこいい!

坂口もよく善戦し、楽しませてくれた。実は坂口相手なら藤井は簡単に勝っちゃうかも、なんて私は思っていたが、プロをなめるもんじゃないね。

本局、藤井の強いところが見れて、大満足! 見ごたえたっぷりでとっても面白かった。
来週は里見女流vs稲葉ということで、これも感想を書かないと・・・。ちょっと最近、好カードが多く、更新がハードでお疲れぎみだ(^^; しかも本日はこれからJT杯で藤井聡太vs三浦の中継があるんだよね。それもぜひ見たい。
霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
2回戦 第3局 渡部 愛女流三段 vs 山口恵梨子女流二段
対局日:2019年6月20日
解説:中村 修九段
聞き手:高浜愛子女流2級

囲碁将棋チャンネルで、毎週土曜に放送されている番組。
2回戦(ベスト8)の第3局。この前まで女流王位だった渡部愛(わたなべまな)に、山口えりりんがどこまで迫るかというのが見もの。

解説の中村修「渡部は今一番充実している、人気も高い。山口は攻めが鋭い印象、普及面でとても活躍している」

事前のインタビュー
渡部「山口女流は居飛車と振り飛車、両方指して、攻めが鋭い」
山口「渡部女流は格上、とても強い。準備してきたことをぶつけたい。序盤で崩れないようにしたい」

開始時に、テロップで「対局時間が大幅に伸びたため一部編集してお送りします、ご了承下さい」と出た。
長期戦を覚悟して私は観ることになった(^^;

先手渡部で居飛車、後手山口は角道オープン四間飛車にしてから5筋を突いて中飛車に戻すという、謎の作戦。
こんな作戦があるのか? 解説の中村修も驚いていた。
持久戦になり、駒組みが飽和。▲居飛車の4枚穴熊vs△中飛車の銀冠。中村「振り飛車のほうが作戦勝ちの雰囲気」

どうも、渡部は堅めすぎたようだ。穴熊に潜って金銀4枚を守りに使ったのだが、攻める手がわからなくなった様子。
山口から開戦。渡部としては、細心の注意が必要な中盤。ここで攻めが切れたら穴熊は姿焼きの危険がある。
そんなところで、渡部は6筋の拠点を突き捨てて、2筋に手を回すという、まったく謎の行動に出てしまった。
拠点を一方的に放棄した渡部、ここで大損した。中村「形勢はかなり山口に針が触れますね」
駒損が拡大していく渡部。大ピンチに陥った。

手が進む。中村「このくらいの差では勝ち切るのはまだまだ」
そうは言っても、山口の駒得だし、かつ大駒の働きが大差。後手の山口の圧倒的な形勢。

中村「山口の完封勝ちになる可能性も」
渡部は竜を自陣に引っ張ってきて、粘ろうとしたのだが、その竜が狙われ、ついには詰まされてしまった。
もうこの時点で、気の早い男子プロなら、投げていたと思う。

しかし渡部は粘った。渡部は持ち駒に桂3枚という、最低な組み合わせだったが、どうにか3枚を盤上に使い切り、角で攻めていく。もう不利は決定的なのだが、「間違えたら許さん」という勝負手を繰り出していく。その様はかなり見ごたえがあった。

が、いかんせん、大差すぎた。そして、山口が手数を長引かせても優位を保つという方針のもと、逆転を許さなかった。
長くかかったが、182手で山口えりりんの勝ち。ふうーーーー(^^;

中村「山口がうまく押さえこむ形で攻めた。と金を作って優勢になった。しかし渡部が途中から力を出した。逆転ムードかなと思ったが、大熱戦になった」

局後のインタビュー
山口「自分より棋力が高い相手だったので、王様の堅さを重視して指そうと思っていました。
女流棋士になって10年以上経つんですけど、ベスト4になれたことが今まで1回もなくて初めてなのでとてもうれしい。次はしっかり準備して前を見てのぞみたい」

この一局は、ぶっちゃけ、えりりんがうまく指したという以前に、渡部の中盤がまずかった。
4枚穴熊に囲って攻めに失敗したので、攻めが切れ模様でずっと戦うハメになってしまい、粘るばかりの展開になってしまった。
穴熊の堅さのせいで終局までが長引き、182手になった、という一局だった印象。
もちろん、えりりんの急所をはずさない強さも、堪能できた。ただ、相手が西山やカトモモだと今回のようにはいかないだろうと思う。
渡部さんとしては残念な内容となってしまった。長い終盤で棋力の高さは伝わってきたのだが、さすがに差がつきすぎていた。

来週は、ベスト8の最後の一局。伊藤沙恵女流三段 vs 井道千尋女流二段。勝ったほうがえりりんと対戦する。
銀河戦 決勝トーナメント
1回戦 第2局 折田翔吾アマ vs 佐藤天彦銀河
対局日:2019年6月14日
解説:橋本崇載八段
聞き手:上田初美女流四段

人気ユーチューバー、アゲアゲこと折田さんの登場!本戦でプロを7人抜きした。
注目の一戦ということで、感想を書くことにした。

なんと番組冒頭で、折田さんを紹介する数分のVTRが流された。これは異例のことだ。
囲碁将棋チャンネルは、まだこんなことをやる気があるんだと思わせた、うれしいVTRだった(^^;
折田「年齢制限で三段から退会したときは、死んだみたいな感覚があった」
折田さんは現在29歳、対プロ7勝2敗。10勝以上、勝率6割5分以上でプロ編入試験が受けられる。
折田さんが自宅でYou Tubeに動画を上げている姿が見れた。3万人以上のチャンネル登録者がいるそうだ。

解説のハッシー「折田さんはプロとそん色ない実力の持ち主。
天彦は正攻法で、素早くポイントを稼いで、手堅く守り切って勝つ、王道の将棋」

さて、先手折田で、相掛かりになった。相腰掛銀。
聞き手の上田「最近、相掛かりが増えましたね」
ハッシー「角換わりに飽きたんでしょうね」
私は相掛かりを観るのは好きだ。定跡の知識があまり必要ないし、切り合いになりがちで楽しい。

序盤、銀交換から折田がちょっとした手筋を出し、天彦が愚形の受けを強要された。
ハッシー「折田がうまくいってると思いますよ」
♪いいぞ、いいぞ、折田!
ハッシー「折田さんというのは、アマチュアではないんですよ。将棋がべらぼうに強いユーチューバー」

局面、▲棒銀vs△金銀4枚の雁木に組み変わった。持久戦模様でこう着状態だ。
ここも折田から打開、ハッシー「折田がやれる、やや有利に見えます」
♪いけ、いけ、折田!

・・・ところが! 折田さん、疑問の構想を指してしまう。
▲7二銀と打ち込んだのが、そうとうな疑問手。桂が欲しくて後手の8一の桂を取りにいったのだが、持ち駒の銀と交換してまで、働いてない後手の8一の桂を取るなんて、なんと損なことを・・・!
ただでさえ、戦場は2~3筋だったのだ。8一の桂なんて、居るか居ないかわからんような駒だったのに。
ハッシー「どういうことなんだ、これは。(先手を持って)自信なくなったな。天彦としてはありがたかったんじゃないか」

一気に息を吹き返した天彦。豊富な持ち駒を惜しみなくどんどん自陣に投入。できあがった後手陣は、めっちゃ手厚い。
それも、縦に手厚いのはよくあるが、横にずーっと手厚いのだ。後手陣ほぼすべてを金銀桂で埋め尽くす囲い。
後手陣はまるで巨大戦艦。これはまさに、宇宙戦艦ヤマト囲いだ(天彦はこのアニメが好き)
ハッシー「すごい厚みだな、これは」
折田もどうにかしようと、懸命のがんばり。
♪粘れ、粘れ、折田!

しかし、ヤマト囲いがあまりに巨大で、押されていく折田。
♪耐えろ、耐えろ、折田! やばい、やばい、折田!

折田陣は、と金を被弾し崩壊。天彦の自陣の飛車が波動砲のように見えた。
波動砲が放たれて竜となり、折田陣は大破した。
いったん天彦が優勢になったら、もう間違える雰囲気はなし。
折田はノーチャンスで、天彦に打ち取られた。 126手で天彦の快勝に終わった。 ああああああー。

ハッシー「折田さんが積極的に出て、最初はうまくいっていたと思う。しかし天彦の鬼のような受け潰しが出た」

あああああああーーー。ううーん。▲7二銀が悔やまれる。折田さん、残念。
でもまだこれからもチャンスはあるはず、次、がんばってください! 
折田さんはギャグセンスもあるんで、プロになられて楽しいトークをされる日を期待してます。
対プロ7人抜き、(再放送もあったので)私は楽しく観させてもらいました。

天彦は容赦なかった(^^; 宇宙戦艦ヤマト、強かった。藤井聡太が勝ち上がり2回戦で天彦と当たる対局を楽しみに待ってる。
四間飛車がわかる本
高野秀行著 浅川書房 最強将棋レクチャーブックス
1400円+税 2008年6月30日初版 2016年1月10日第3刷発行
難度 ★★★★ 評価 B
コンセプト<四間飛車vs居飛車急戦の定跡本。高野プロがわかりやすく説明することに挑戦した>

もう11年前の発売された本のレビューを今頃することになりました。
Amazonで評価がとてもいいので最近、買ってみたのです。

この本、いいところと悪いところの両面がありました。
まず良い点から。
・親しみやすい言葉で著者の考えが述べられており、読みやすい。
・各章の冒頭にテーマ図と、進行の結論が書いてあるので、分かりやすい。
・各図面の下にも、解説が書かれてあり、分かりやすい。
・次の一手問題がときおり、はさんであり、読者に考えさせる手法が良い。
・各章の終わりにまとめが書かれてあり、分かりやすい。

悪いところ
・とにかく、教えようとしている定跡手順が深すぎて、難しい。
・対象棋力を初心者~四段としてある(本のカバー)が、初心者にこの本は難しすぎて地雷。
・玉頭銀の成功例の図に疑惑あり。

良いところもたくさんあるのですが、とにかく有段者向けの内容。
「まえがき」に「弱い人向けにできるだけ易しく書いた」ということが強調されているのですが、内容はバリバリの、一手の妥協も違いも許さぬ、修羅のごとき硬派な手順のオンパレード。
はっきり言って、私は打ちのめされました。私は初心者向けの定跡本にすら大苦戦するのか・・・。という挫折感を味わいました。

でも、最後までなんとか読めたので、良い本なのですが。面白かったんですけどね。いかんせん難しかった。
私にはこの本は手順を暗記するのではなく、出てきた手筋を参考にするという使い方がいいようです。

この本を読んでもらいたいのは、これから定跡本を書く人です。
本の構成や、なるべく言葉で説明する手法が参考になると思いました。

疑惑のP133の玉頭銀の成功例の図を張っておきます。9ページかけてこの図にたどりついてるので、重要な図となっています。
今、先手が▲2六飛と手持ちの飛車を打った局面。解説には「玉頭銀成功の図。図で△8九飛成には▲3四銀で十分」と書かれてあります。
しかし、激指15はPro+5の探索深さで-384で後手有利の判断。
将棋神やねうら王のtanuki-2018も、3分考えて711点ぶん、後手有利の判断。

半年前に私が書いた記事で、「4年前にドスパラで買ったパソコンには紙の説明書がついておらず、CD形式の説明書しか付属してこなかった」というのがありました。
先週、本棚を整理していたところ、紙の説明書が出てきました・・・。4年間、紙の説明書の存在を私が放置して忘れていました。
完全に私の勘違いでした。
ドスパラ様、どうも申し訳ありませんでした。
該当記事は削除しました。今後、気を付けます。本当にごめんなさい。m(__)m
霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
2回戦 第2局 加藤桃子女流三段 vs 甲斐智美女流五段
対局日:2019年6月11日
解説:近藤誠也六段
聞き手:中村真梨花女流三段

さあ、2回戦(ベスト8)の好カードが続く。実力者どうしの対戦。
▲タイトル8期のカトモモ24歳vs△タイトル7期の甲斐36歳。
解説の近藤「加藤は力強い攻めの鋭い居飛車党。甲斐は振り飛車党で丁寧で重厚」

事前のインタビュー
カトモモ「甲斐は腰が重い、落ち着いた将棋を指される。甲斐は何でも指されるので戦型が絞れないのが悩み。一局を楽しみたい。全力でぶつかりたい」
甲斐「加藤はきびきびした将棋を指される。序盤も研究熱心で中終盤も強い。加藤のような強い方と指せるのでいい将棋を指したい」

過去の対戦成績はカトモモの2-0ということだ。
先手カトモモで、相居飛車の力戦になった。▲矢倉早囲いvs△雁木での右玉という戦型。

近藤「雁木は3年くらい前から大流行している。コンピュータの影響で、悪くない戦法だと見直された。バランスがいいということ」
局面が煮詰まり、飽和状態に。後手の甲斐は手待ちを繰り返す。
番組開始から44分が経過している。歩の交換しかないこう着状態。
近藤「スローペースですね」 ・・・正直、早回ししてここから観てもいいと思う(^^; 私はこのブログのために全部観てるけど。

私には全然仕掛け方がわからなかった。だが、カトモモから強く開戦していった。7筋から仕掛けて、7七の銀を攻めに使うのか。なるほどな~。ここはすごく参考になった。
小競り合いが続き、カトモモは9筋の端攻めもして、ペースをつかんでいるようだ。
近藤「これは面白くなりましたね」 ・・・え~?もうカトモモがリードしてるように私には見える。

甲斐も反撃に転じる。甲斐の力の見せ所だ。
近藤「甲斐は耐えて長期戦に期待している」
んー、甲斐の玉形、3段目の玉のすぐ下に飛車が居て、ものすごく悪い形だ。
カトモモの角のにらみが強烈で、ビシビシ攻められている。甲斐ピンチ。耐えろ、甲斐!

手筋を駆使し、どうにか形勢を保つ甲斐。近藤「バランスが取れている。後手の辛抱が実ってきている」
熱戦だ。粘れ、甲斐! しかし、いかんせん、甲斐は玉形が悪すぎるのと、飛車角が使えてない。
手数が長くなってきたが、相手のカトモモが、鋭い手を連発し、逆転する気配が全く無い。ぐうう~。
カトモモ、なんという落ち着きっぷり。まったく乱れない。

カトモモが自陣の飛車を使ってきた。懸命に受ける甲斐。そこでカトモモが飛車を見捨てて、一気の寄せに出る。
近藤「ここは加藤は決め時です、ただし私にはどうすればいいか分かってません」
ここでカトモモ、近藤を上回る手の見え方で、キッチリと仕留めた。131手でカトモモの快勝となった。

近藤「これは大熱戦でした。加藤が先攻してペースをつかんだように見えたが、終盤は甲斐が良くなっていてもおかしくなかった。
最後は加藤の鋭い寄せだった。飛車を逃げなかった手が印象に残った」

局後のインタビュー
カトモモ「お互いに渋い指し手が続いたと思います。お互いに粘っていた。なんとか最後、勝ち切れた。次戦の西山との対戦は楽しみ」

不動駒が先手の1九香と、後手の2三の歩の2枚だけ。あとの駒はすべて動いた好局だった。甲斐はさすがの粘りで熱戦の棋譜を作った。
しかし、だ。私の判断だと、甲斐にチャンスは回ってきてなかったのでは。ずっとカトモモがリードしていたんじゃないかな。
カトモモの安定感たるや、すごいものがあった。40秒の秒読みなのだが、ミスする気配がなかった。甲斐も最善の粘りをしていたと思うのだが、長手数を見事にカトモモが乗り切っていた。実に強い・・・。奨励会での鍛えを存分に見せていた。私の事前の期待どおりのレベルの高い内容で満足だった。

甲斐の右玉だが、戦法自体の苦しさがよく出ていた。右玉側が手待ちしている間に、相手に万全の体制を敷かれてしまうのは作戦として苦しい。
そして、戦いが始まると右玉側はずっと受け身で、何が悪かったかよくわからないまま、特に疑問手を指した覚えもないのに、攻め続けられて負け。うーん。まあ、マイナー戦法というのは、こういう宿命なのかもしれない。

カトモモなら西山に対して、いい勝負ができそうだ。準決勝のカトモモvs西山が今から楽しみだ。
来週は渡部 愛女流三段 vs 山口恵梨子女流二段。えりりんがどこまで食らいつくか?
霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
2回戦 第1局 西山朋佳女王 vs 石本さくら女流初段
対局日:2019年3月20日
解説:宮本広志五段
聞き手:村田智穂女流二段

本局から2回戦(ベスト8)の戦いに入る。対局日が3月ってマジ?TVの画面にも3月20日と出てた。もう4か月前・・・orz

注目の西山奨励会三段が登場。1回戦の竹部戦では圧勝していた。今回はどうか。
解説の宮本「西山はすごく明るい。小さいころから終盤がすごかった。石本は20歳にしては落ち着いている、しっかり者。立命館大学の3回生」

事前のインタビュー
西山「石本は高校の後輩。ずっと前から公式戦で指してみたかった。石本はいろんな戦型を指されて、充実している」
石本「西山は豪快は振り飛車党。あこがれの人。対局できるだけでもうれしい。悔いのない将棋を指したい」

先手西山で、相振り。それも相三間飛車となった。しばしば相振りが見れるのは女流の醍醐味だね。
互いに角道を止めない強気な作戦。囲いは▲2枚金ならぬ1枚金vs△矢倉を作る途中、といった図。
西山は左金を7八に上がり、スキをなくす工夫を見せた。この構想には宮本が何度か感心していた。

西山の左銀が5段目まで出ていくことに成功、中段を制圧していった。
宮本「西山のほうが主導権を握っている」

そろそろ駒組みが飽和な場面、西山が相手の手に乗って、なんなく馬を作ることに成功した。
馬は盤上中央に引き成って、すごーく手厚い。
局後に振り返って、ここがもう最大のポイントだったようだ。
石本は感想戦で、馬を作られたところを振り返り「(手づまりになり)手がわからなかったので、消去法で馬を作らせる順を指した」ということだった。

優位をもらった西山の手が伸びまくる。ガンガン差を広げる西山。もはや石本に勝負どころがない展開となってしまった。
西山はすごい早指しで、急所を押さえて、引き離していった。
109手で西山の圧勝に終わった。西山は持ち時間を2分、残していた。(持ち時間25分、切れ40秒)

宮本「西山の序盤の構想がうまくヒットした。そこからリードを奪ってどんどん差を広げた。タイトルホルダーの力を見せつけた」

感想戦で石本「本譜、馬が手厚かったですね」
西山は感想戦でも、いろいろな手を指摘して、手の見え方を披露していた。

局後のインタビュー
西山「今日の作戦は積極策。やってみたかったことがうまくいって、内容は快勝になった。良かった」

西山、なんという強さだ。勝負になっていたのは序盤の駒組みまでで、中盤以降はもう圧倒的。
正直、並の女流とは手合いが違う。
西山は差を広げるために、落ち着いて受けるべきところは受け、ときには手を渡して、決して攻め急がなかった。それが投了図の圧倒的差を生んでいた。
そして早指しっぷりも圧巻だ。石本が早々に25分を使い切ったのに対し、西山は終局時にまだ2分も余して勝っているのだから。

いやはや、里見香奈さんもすごいが、西山朋佳さんも歴史上に名を残す女性プレイヤーだね。パチパチパチ。
来週はベスト8の第2局、甲斐智美女流五段 vs 加藤桃子女流三段。これはハイレベルの拮抗した戦いが見れるんじゃないだろうか。
激指15を、他のソフトと対戦させてみた。
私が仲介して指す役を務めた。 私のPCは、CPUはcore i7 8700 メモリは16GB。
双方一手10秒の早指し。もっと長い持ち時間のデータが取れたらいいのだが、自分でやるのはめんどうだから、やらない。

やねうらおさんのブログで対戦のやり方が書いてあったので、それに従った。
まず激指15の「ファイル」→「各種設定」で「人間の手番の時間を利用する」のチェックをはずした。
そして、私のCPUは6コア12スレッドなので、探索並列度を6にしておいた。
激指14との対戦では定跡使用の打ち切り手数を0にしておいた。

全て先手は激指15。全戦型で棋力は設定は一番上のPro+2。
勝敗の〇と●は激指15からみたもの。将棋神やねうら王シリーズの棋力設定は一番上の将棋神。

第1戦 ● フリーソフトのGikou2。64手でGikou2の勝ち。
第2戦 ● フリーソフトのApery_WCSC28。100手でApery_WCSCの勝ち。
第3戦 〇 フリーソフトのGPS研究用。153手で激指15の勝ち。
第4戦 〇 激指14。125手で激指15の勝ち。
第5戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、やねうら王。100手でやねうら王の勝ち。
第6戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、tanuki-SDT5。120手でtanuki-SDT5の勝ち。
第7戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、tanuki-2018。158手でtanuki-2018の勝ち。
第8戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、Qhapaq2018。170手でQhapaq2018の勝ち。
第9戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、読み太2018。146手で読み太2018の勝ち。
第10戦 ● フリーソフトのGikou2との再戦を試みた。110手でGikou2の勝ち。

おおーい、勝ったのは対GPSと対激指14の2戦だけ! 
内容も、中盤で悪くなってそのまま圧倒されて負けというのがパターンだった。
激指15はすべて居飛車で相掛かり系が多かった。
Gikou2は2017年5月に出たフリーソフトだぞ。それより弱いんだなあ。まあ10秒将棋だけど。
ただ、私が激指15に求めるのは検討モードの正確さだから、まだ激指15は使うけども。

棋譜を一つだけ張っておく。2戦目のApery_WCSC28。  
先手の激指15から一手損角換わりにして、中盤、引き返せない一直線の攻め合いで悪くなり、Apreyに完全に上を行かれた・・・orz

先手: 激指15
後手:Apery_WCSC28

▲7六歩 △3四歩 ▲1六歩 △3二金 ▲2六歩 △8四歩
▲2二角成 △同 銀 ▲8八銀 △7四歩 ▲7七銀 △7二銀
▲7八金 △8五歩 ▲3八銀 △7三銀 ▲3六歩 △6四銀
▲3七銀 △3三銀 ▲4六銀 △4四歩 ▲2五歩 △5四角
▲3五歩 △4五歩 ▲3四歩 △4六歩 ▲3三歩成 △4七歩成
▲3二と △4八歩 ▲同 金 △3二飛 ▲3三歩 △4二飛
▲4七金 △同飛成 ▲3七金 △4二龍 ▲3二歩成 △同 龍
▲3六歩 △4五銀 ▲2四歩 △3六銀 ▲2三歩成 △3七銀不成
▲3二と △2八銀不成▲4二飛 △3九飛 ▲4九歩 △3二飛成
▲同飛成 △同 角 ▲6九玉 △4二歩 ▲3六角 △3九飛
▲6三角成 △4九飛成 ▲5九銀 △5八金 ▲7九玉 △5九龍
▲8八玉 △6八金打 ▲同 銀 △同 金 ▲7七金打 △7九銀
▲9八玉 △7八金 ▲3一飛 △4一金 ▲同 馬 △同 角
▲7八金 △5八龍 ▲8八金打 △同銀成 ▲同 金 △8六歩
▲7八金打 △8七歩成 ▲同金右 △8六歩 ▲同 金 △7九銀
▲7七銀 △8八銀成 ▲同 銀 △7八金 ▲4一飛成 △同 玉
▲2二角 △4八飛 ▲7九銀打 △同 金
まで100手で後手の勝ち