解説の中村修が冒頭で「今日は女流棋界の歴史を変える日になってほしい」と言った一戦。
私も加藤に勝ってほしい(^^;

先手加藤で相居飛車の完全な力戦となった。
加藤の銀が五段目まで出たが、「銀ばさみ」の形にされタダ取られのピンチに。
あ~、こりゃひどいことになる可能性が・・・ と思われたのだが、加藤はなんとか凌ぐことに成功。
加藤は桂一枚の駒損だが、竜が作れて、恰好がついている。
形勢判断が難しい。互角なのか。

局面が落ち着き、中村修が「これはむしろ先手の加藤のほうが楽しみが多い気がしますけど」と言った。
おお!もうけっこう手数を指したが、そんなことがあるのか!
「後手の森内としては、(陣形を)まとめきれませんね」と中村修。がぜん、盛り上がる私(笑)

しかし中村修は「でも、受けているのがあの森内さんですから」と何度も発言。
加藤が果敢に決めに行く。加藤の攻めが決まるか?、森内が受けて凌ぐか?
そうとう複雑な局面になった。もう加藤は考慮時間がない。どうなる!まさかの結末が?

・・・が、やはり加藤の攻めは決まらなかった。森内が受けきってしまった。
最後はあっというまに加藤玉を仕留めた。 96手で森内が制した。
中村修「加藤はもう少しじっくり指せば勝機があったと思う」
でも難解なところがあった一局で、加藤としては力を見せた。

この一局は良かったよ。加藤は私の予想以上に強かった。うんうん、これなら納得。
昨日、私は8月14日に行われた女流王将戦の挑戦者決定戦という番組を囲碁将棋チャンネルで再放送を観た。
加藤桃子vs伊藤沙恵の一局だった。この対局で加藤が勝ったわけだけど、勝ち方がダメだった。
大優勢になってから、ものすごい遠回りしてしまっていた。これじゃ森内に勝てるわけない、と私に印象づけた。

でもNHK杯の本局ではあと一押しのところまで森内を追いつめていた。
森内の本領である受けの力を十全に引き出していた。だから良かったよ。加藤の強いところが観れて。

加藤は1回戦は勝ったとはいえ、及川のトン死による逆転という内容だったので、好評価を抱かなかった。
むしろ森内を追いつめた本局のほうが好印象だ。観ていて楽しい時間だった。
稲葉陽 八段 vs 藤井聡太 四段 NHK杯 3回戦
解説 谷川浩司 九段

注目の藤井四段の登場。TV棋戦では、銀河戦は負けたので、残るはNHK杯。
解説のタニー「稲葉は居飛車党の攻め将棋。踏み込みがいい。
藤井も居飛車党だが受けも苦にしないバランスのいい将棋」

先手稲葉で、相掛かりになった。ただし、藤井が△7四歩と突いた手があり、その歩が十字飛車で取られてしまう展開。
稲葉だけ持ち歩が2歩になった。
タニー「最新流行の形」
稲葉は▲6八玉と上がっていたのだが、そこからなんと ▲5八玉~▲4八玉~▲3九玉と、美濃に囲ってしまう。
稲葉は飛車の動きでも手損しているのに、玉も手損。しかし、この駒組みで、稲葉が作戦勝ちになったのではないか。
後手の藤井のほうから、その間に大した手がなかった。

タニー「後手に苦労が多い」という話がずっと続く。
なんか編集されてるから、長手数になったんだろうなー、だから逆転もありうると思いながら観ていたわけだが(笑)
稲葉に選択肢があるという展開がずっと続く。自陣に金銀角を打ちまくって、どうにか受けてる藤井。

そろそろ終盤も煮詰まってきた。タニー「これは稲葉は、『逃さない』と思っているはず」
藤井のほうも懸命にがんばっているのが伝わってくるのだが、いかんせん、形勢の差が縮まらない。
次第に追いつめられる藤井。あー、やめてー、藤井に勝たせて~(^^;

タニー「これは時間があれば簡単に勝てる」と言うまでに差が開いた。
藤井、最後のお願いとばかりに王手で迫ったが、そこまでで力尽きた。169手、稲葉の勝ち。

タニー「全般的に稲葉がずっと押していて、稲葉が苦しくなった局面はなかったんですけども、それでも藤井が怪しげな手を連発して、負けたんですけども藤井のすごさを改めて感じた気がします」

藤井四段、取られる桂のタダ捨てジャンプとか、魅せた手はあったんだけど、やっぱり負けるとガクッとなる。
序盤の相掛かりで▲2四歩を後回しにする作戦、優秀だなあ。
これ、敗因は十字飛車で横歩を取られたところまでさかのぼるんじゃないか。
なんだか、先手だけ2歩を持つって、差がついてるように思えてしまう。

ああー、藤井四段が負けた。ガックリ。
山崎隆之 八段vs羽生善治 棋聖 NHK杯 2回戦
解説 稲葉陽 八段

久しぶりのブログ更新になる。注目の一局なので、書き留めることにした次第。
楽しみにしていた羽生の登場だ。羽生は一冠になったとはいえ、竜王戦では挑戦者になって戦っている。
2人のこれまでの対戦成績が、山崎3勝、羽生18勝で羽生が圧倒的にリードとのこと。

先手山崎で、相掛かりの力戦。山崎が考慮を積み重ね、中盤の真っ最中で、もう残りが▲0回vs△7回となった。
だから山崎が苦戦かな?と思って観ていた。

そんな中、山崎流の妙手が出た。戦いの最中、▲1六歩とじっと端歩を突いて、次の▲1七桂を見せた手。
2手一組の手なのだが、そのヒマがあるとの山崎の判断。これが素晴らしかった。これで流れがガラッと変わった。
(端に桂が跳ねる手というのが山崎将棋にはよく出てくる印象がある。)
しかしそれぐらいは、羽生ならば乗り越えると思って私は観ていたのだが。

羽生は淡々と指し進めていき、終盤。山崎の隅の馬が働いてきて、羽生は忙しい。
羽生が飛車を成り込んでも、合駒があるので大した威力は見込めない、と解説の稲葉。
羽生の手は、なんだか、やりたいことが明確にならず中途半端。 結果、羽生が87手で投了! ぐあああー。

この一局、山崎の▲1六歩~▲1七桂はすごく良かった。
かたや、羽生の手に感動した手がなかった。凡手を積み重ねて負けてしまった羽生、なんでだー。
「さすが、羽生!羽生だから指せる一手!」とか「やはり、羽生は流れを読み切っている!」という風に私は楽しみたかったのに・・・orz

感想戦で稲葉に「羽生側に、この手はなかったか」と指摘されて、「あ、そんないい手が」と羽生も山崎も、うなずいていた。
うーーーん、稲葉に手の見え方で負けてる羽生を私は観たくない(^^;

羽生が衰えだしているのか。それも素人目にも分かる度合いで。そう思わざるをえない内容だった。ちょっとショックだ・・・。
森内俊之 九段 vs 藤井聡太 四段 NHK杯 2回戦
解説 佐藤康光NHK杯 中村太地六段

藤井聡太くんの登場で、異例の生放送になったNHK杯。
こりゃ、聡太くんにはプレッシャーもかかるなあー、と思っていた。

先手森内で、矢倉。後手の聡太は急戦矢倉で、右四間。
後手の囲いはアマチュアがよくやる、低い囲いだ。(△3一玉△3二金△4二銀△5一金型)

聡太が速攻で襲い掛かり、ペースをつかむ。しかしまだまだ難しいぞと思っていたところを、聡太は実にうまくまとめあげた。
聡太に△8八歩という手が2回出てきた。2度目の△8八歩は、こりゃ甘いんじゃないか、という話を康光がしていた。
私も聡太が負けたら敗着だろうと思って観ていた。そしたら最後の詰ます段階になって、△8八歩が見事に効いてきた。
強い人が指すとこううまく行くものか。94手で聡太の快勝。危なげなかった。

終局後のまとめ
康光「見事な一局でしたね。改めて強いなと感心しました」
太地「堂々たる指し回しでしたね」

聡太「積極的に攻めていくという方針で行ったのが良かったかなと思います」
森内「やっぱりちょっと玉形の悪さが最後までたたってしまった感じで、うまく手を渡されて困りました」

この一局、聡太の安定した強さが出た。
そしてもう一つ、「矢倉っていったい何がやりたいの?」という疑問を、私はまた感じた。
森内はせっかく8手もかけて矢倉城を築いておきながら、結局、居玉で戦うことになり、潰されてしまったのだから。
矢倉って、相手に主導権を与えるばかりではないか。そんな風に思えてしまった。
増田の「矢倉は終わった」宣言が、聞こえてくる内容だった。
森内さえ指しこなせないのが矢倉。だってこの一局はそうだったんだから(^^;

感想戦も観たが、聡太は全体的に手が見えていて、ちゃんと把握しているという印象で、やはり強い。
個人的には、中盤で取られる歩を伸ばした△3六歩が印象に残った。そして成り捨てる△3七歩成。こういうのがアマではまず指せないんだよね。
次は聡太は稲葉と当たるそうだ。これも楽しみだ。
千田翔太 六段 vs 藤井聡太 四段  NHK杯 1回戦
解説 杉本昌隆 七段

将棋界のスーパーホープ、藤井聡太の登場ということで、今回は従来どおり、内容の模様と感想を書くことにした。

千田は2013年四段、竜王戦5組、C1 総合成績優秀により本戦にシード
藤井は2016年四段、竜王戦6組、C2 予選で浦野、北浜、竹内に勝ち 本戦初出場

解説の杉本「千田といえばコンピュータを活用した独自の研究、序盤戦術が印象的。
藤井はまだ14才なんですけど、大変落ち着いている。終盤が特徴で切れ味が鋭い」

事前のインタビュー
千田「藤井四段は各棋戦で勝ち上がっていて大局観が非常によく、なおかつ読みもものすごく深いと思います。前回はベスト8で敗れてしまいましたのでそれを超えられるようがんばりたいと思います」

藤井「千田六段はコンピュータ将棋に精通しており、既存の定跡や形にとらわれない力強い将棋という印象です。大変緊張しているんですけども、なんとか食いついて上を目指せるようにがんばっていきたいと思います」

先手千田で、初手▲7八金。これを見ても私はあまり驚かなくなった。そこから手が早く、角換わりの相腰掛け銀に進む。
先手は▲4八金+▲2九飛型。後手も△6二金+△8一飛型だ。
杉本「現在の主流はこうですね」

千田から仕掛け、▲5六角と筋違い角を打ち、局面が動いていった。藤井も受けに、自陣角の△4一角という手堅い受け。
ここらへんまでは前例があるようなことを、感想戦で千田が言っていた。

杉本「藤井は小1の頃から知っているんですけど、そのころから目を見張るような手を連発していました。棋力はアマ初段くらいだったんですけど。小4のときに奨励会入りしたときに、平手で指して、いきなり私は負かされてしまった」
小4でプロに平手で勝つ藤井聡太・・・ どうなってるんだ・・・

杉本「彼は詰将棋をびっくりするぐらい早く解きます。ちょっと難しい詰将棋を彼に見せたことがあって、時間がかかると思ってストップウォッチを私が取りに行ったら、私が戻って来る前に『解けました』と言われたことがありました(笑) 」

千田は1筋と9筋、両方の端を攻め、中盤に突入していった。
杉本「形勢判断の難しい将棋ですね、どちらが攻めているのか」

手が進むが、双方、まだまだ技がかからない。
杉本「急所が見えにくいですね、お互いの飛車があまり働いていない」
藤井の飛車は端に追いやられているものの、4段目に利く受け駒になっている。
そのせいで、千田は攻めあぐんでいる。

まだ中盤と言えるのに、考慮時間、両者残りが1回ずつになっていた。
千田は9筋の攻めにこだわっているが、こういうもんなのか? 藤井玉からはるか遠い9筋なんか手数をつかって攻めて、大丈夫なのか。
そして藤井に、うまそうな自陣桂が出る。なるほどな~と思わせる、力を見せた一手だった。

しかし杉本がまだ形勢判断がわからなそうなことを言っていた、その時だった。
千田が自陣の銀当たりを放置して、一気に局面を決めに行った! ▲8三とという攻めの手だが、成立しているか?
大量の駒がいっせいに当たり、いきなりものすごく激しくなった~!

が・・・! 駒の取り合いが進んでみると、千田の大損が確定している。これは・・・もう挽回不能では・・・。
で、千田、あきらめて投了! 90手で藤井の快勝となった。 急転直下、終盤がなかったといってもいい内容だった。
まだまだ続くと思っていたのに、あまりの急展開に、私は呆然となってしまった。おーい、藤井の終盤を楽しみにしていたのに(^^;

杉本「中盤が長い、難しい将棋だったと思います。千田の意欲的な指し回しだったが、藤井はそれに負けず落ち着いていた」

終局直後、千田「どこ間違えましたかね~、ひどかったですね~」

感想戦、千田は「藤井の端の4段目の飛車の形が、難敵、やっかいでした、それで齟齬(そご)が生じましたね」
さらに、千田「たぶん私が▲8三と、と指したときに『こいつは何やってるんだ』と(藤井が思ったはず)」
この一言は笑えた。
▲8三とが自爆手と言える手で、本局はあっという間に終わってしまった。
千田のレベルにしてみれば大悪手で、千田は後悔しただろう。観ていて私も残念だった。

感想戦によると、作戦的には、千田が押していたらしい。
ただ、千田に候補手が多すぎて、間違ってしまったという一局だったとのこと。
藤井のほうには、全体的に、これという疑問手はなかったようだった。端飛車と自陣桂という、いい手があった。
ただ、藤井の強さはまだまだこんなもんじゃない、終盤でのノータイム指しで一気に詰ませあげる技術、あれが観たい(^^;

2回戦も楽しみにしている。次は森内とやるのか。そのときは事前の勝敗ネタバレなしでやってほしいが。
NHK杯の加藤さん、よく戦ったと思う。新鋭、近藤の強さを引き出していた。
近藤の桂成り捨ての好手を食らったが、あれはもう仕方がない感じだった。

来週は藤井聡太の登場だが、結果のネタバレがなければねえ。

コンピュータ将棋選手権、elmoは18core、Ponanzaは1092core
これでelmoが勝っちゃうのか。
elmoは公開されたが、私には導入方法がわからない(笑)

技巧2というのも公開され、こっちは導入した。
タダですごいオモチャを手に入れた感じ。しかしレベルを落とすと、すぐ強制終了してしまうバグがある。
前年と比べて8割の勝率・・・。それを当たり前のようにタダで公開するなんて、すごい文化だなあ。

公開するのが当然みたいに思う人もいるようだが、それは違うだろう。
公開しないのが普通と思う。山本一成さんがヒールになってしまった(笑)
一成さんはメディアによく登場して、プログラマという職業を宣伝していると思うが。

私は激指が好きなんで、選手権に参加してほしいのだが、もう無理か。

eimoが公開で、これからはそこがスタート地点ということで、コンピュータ将棋業界は恐ろしい。

どこまでゆくの コンピュータは このままずっと 進歩するのかい
はちきれそうだ 飛び出しそうだ 将棋ソフトが 素晴らしすぎる
2017.04.30 今週のNHK杯
宮本広志五段vs藤井猛九段、解説は畠山鎮

相振りの相三間。藤井が作戦負けからの完敗だった。

10数分の感想戦が貴重で、藤井が何が悪かったか、自分で解説してくれた。
ハタチンの解説では全然不十分だったことが判明。
相振りが得意なプロが解説しないとだめだなー。

藤井をしてこの戦型での経験不足が敗因ということで、将棋は難しい。
藤井の緻密な序盤を期待していたのだが、今回は不出来だった・・・。
藤井は残念だったが、宮本が的確だったのが救い。宮本を初めて観たが、強かった。

追記・「将棋フォーカス」の詰将棋解答選手権の特集、藤井聡太くんがどんな問題を解いたかわかって、すごく面白かった。
NHK杯、中村修のインタビューが面白く、実際に快勝してしまい、私は痛快だった。
おっさんパワーをなめんじゃねえ!という修の指し回し、堪能した。
米長玉で意表を突き、飛車を見捨てる発想の柔軟さでも魅せ場を作った。
佐々木勇気の自陣飛車、感想戦のとおりに打ってたらなあ。これは悔しい。無念さが伝わってきたのが良かった。
AIにできない事って、悔しがることだね。ロボットは悔しい表情は作るだろうが、本当に悔しがることはできない。

そして藤井聡太君が大変なことになってるらしい。
深浦戦、私は終盤だけ観た。実に強い勝ち方。私は投了図以下がわからなかった。
Yahooトピックスの一番目立つところでもニュースになっている。
正直、渡辺明以来、ビッグスターが生まれていなかったので、藤井君のような人材をみんな望んでいたところだろう。
すでに「楽しみだ」という域を超えている。

ただ、しかし・・・ もう羽生との対局が決まっているというのはどうなのか。
もし羽生に勝っちゃったらどうすんの。逆に、ファンも藤井君も、夢がなくなってしまうんじゃないか。
そして、今もうここで七番も有力棋士と戦ってしまうというのは、対決に至る過程を味わう楽しみがなくなっている。
「藤井聡太が、ついに羽生と対決するところまで上がって来た!」という面白さを、なくしている。
まあ仕方ないが。
ともあれ再来週の羽生戦はNHK杯を無視してでも七番勝負のほうを優先させないと、いけない。  
NHK杯の決勝、佐藤さん2人、両者ともに力を出していて、良かったと思った。
序盤から、ああいう大立ち回りで、勝負がまだ難しいというのは将棋の奥深いところだと感じる。

女流の2局。これが面白かった。1局目は大差だったわけだけど、決め手が鮮やか。
こういう内容でも私は面白いと思える。それが女流のいいところ。
男子プロがこのレベルだと「何やってるんだ」と言われそうだが、女流なら私は許容できる。

女流の2局目、今、流行の矢倉での「居角左美濃」。これ、前から観たいと思っていたのだ。
後手の加藤さんの左金の使い方が圧巻だった。誰があの金が相手玉を詰ますことに役立つと、予想できただろうか。
観ていて、矢倉という囲いは手数をかけて作って、それで相手に主導権を渡す作戦で、その存在意義が問われていると思う。
そう感じる一局だった。だって9手もかけて矢倉を作って、結局居玉のまま戦うっていうのは、どうなのか?
(最近では5手目▲6六歩は悪い手というプロもいる、と将棋世界4月号に出てたし)

来季のNHK杯は、来週の日曜からということだけど、私は去年までのように、詳細な感想を書く予定はもうないですね。
さあ、土曜は電王戦だ。
序、中盤、平凡だなと思っていたんだけど、終盤、両者が魅せてくれたね。
ハッシーが相当追い込んで、攻めまくったんだけど、和俊が一瞬の詰み筋を見逃さず、長手数詰めに打ち取った。
あれだけ長い間、攻めまくられていたのだから、並の人間なら、もうどう受けるかしか考えないところだと思うのに、和俊は詰みを狙っていた。
和俊、実に素晴らしい。C2の棋士とは思えない。私は満足だった。

でも去年までのように、NHK杯の感想を書く気が起きない。
もうNHK杯の感想を書くのは、今後は無理かもしれない。
でもとりあえず、NHK杯を観たいという気になってきた。観ないことには話にならないから。
だいぶ回復してきてはいる。来週の女流枠決定戦も楽しみだ。
そして4月1日の電王戦を楽しみに待っている。
今日は名人vs竜王という豪華カードだったけど、観る気になれず。
だめだなー、こりゃ。
今日のNHK杯、私は観る気になれませんでした。
だってハッシーは、あれだけの暴言を吐いていましたから。
来週も事件の張本人、渡辺竜王の登場ですから、観ないでしょう。
しばらくNHK杯の記事は休止します。
羽生善治 三冠 vs 佐藤和俊 六段 NHK杯 3回戦
解説 戸辺誠 七段

さあ本命、羽生の登場だ。相手は格下の和俊、バーンとやっつけてくれ!

羽生は1985年四段、竜王戦1組、A級 王位王座棋聖を保持 31回目の本戦出場
和俊は2003年四段、竜王戦2組、C2 4回目の本戦出場

解説の戸辺「羽生は将棋界のスーパースター。どの棋戦も強いんですけども、NHK杯戦は特に強くてですね、通算優勝10回、24連勝というのもありましたね。オールラウンダーで何でも指す。追い込まれたときの絶妙手はいつもすごいなと見てます。
和俊は同じ加瀬門下の兄弟子。普段クールなんですけど、走るのが速かったり、指導将棋になると厳しいところがあったり。棋風は振り飛車党なんですけど、近年後手番ではいろいろな工夫を凝らす」

2人の対戦成績は、羽生の2-0とのこと。
先手羽生で、後手の和俊はノーマル三間飛車で、対抗形になった。▲ミレニアムvs△ダイヤモンド美濃だ。
藤田「じっくりした将棋になりましたね」

盤面右の駆け引きから、じわじわと戦いが始まった。
戸辺「和俊が積極的に動いて、うまくいっているんじゃないか。気持ちやや和俊がリードしてるかな」
羽生の囲いがなかなか安定しない。
戸辺「振り飛車のほうが少し指せるんじゃないかと見てます」
うーん、まあまだまだ先は長い、羽生にとっては許容範囲だろう。

お互いに考慮時間を使い切り、30秒将棋に突入。
戸辺「局面は非常に難しい」
おいおい、さっきよりなんかヤバくなってるような・・・。ここからじゃ、もう何が起こるかわからんぞ。

すると和俊、次々に大駒を見捨てた。強手だ。
戸辺「勝負手ですね」
大駒4枚が全部羽生のほうに来た。でも和俊は豊富な小駒を持っている。
戸辺「和俊は、力を発揮する展開ですね。形勢は難しいですね~。羽生が逃げ切れそうですけど、和俊も必死に攻めている」

羽生、玉の早逃げを何度もして粘る。もうこれ、王者の余裕など全然ない。なりふりかまわぬ羽生、ピンチだ。なんでこうなった??
戸辺「いやいや、激戦ですよ」
羽生は攻防の角を2枚打つ。戸辺「こういう角が見えるのは素晴らしいですね」

しかし~! 和俊のうまい攻め方で、どんどん追いつめられる羽生。
和俊は玉さばきでも強手を見せた。手順に飛車を補充して、ムードがもう和俊に・・・。
戸辺「私の感覚では和俊が抜け出した。飛車を取ったっていうのがデカいですね」

そしてその時はやってきた。和俊の技が決まり、羽生、「負けました」
136手で和俊の勝ち。ぐわああああーーー。なんで負けるねーーん!! 羽生の投了の瞬間、私は叫んでしまった・・・。

戸辺「素晴らしい将棋で、パッと見た感じでは何が悪かったかわからないですね。振り飛車らしい粘り強い指し回しが羽生を誤らせた、素晴らしい将棋だったと思います」

一局を通して見れば、序盤は退屈だったが、だんだん面白くなっていった。羽生はどこで悪くなったのか? 元はといえば、6筋の取り込みを許して囲いが乱れたのが、そもそもどうなのか。
終盤で和俊は、2枚の馬を引き付けて捨てたわけだけど、あれが英断だったなあ。あの2枚の馬はどっちも遊びそうだったから。
小駒だけで攻めが続くという大局観が賞賛されるべきだろう。妥協した手を指さなかった和俊、見事だった。

和俊は金星だなあ。羽生を相手に後手ノーマル三間飛車で勝つなんてね。
本局の和俊は強かった。強気強気で、最後までミスしなかった。

それにしても・・・ 羽生さん、C2の棋士に負けないでくれよーーー(^^;
もう・・・ せっかく今から3月まで羽生さんのNHK杯での活躍をガンガン観るぞ、と思ってたのに・・・orz

羽生が負けてしまい、私はかなりショックだ。ああーorz あと2局くらいは羽生の将棋を観たかった。残念至極だ。チーン。

来週はNHK杯がなく「将棋の日」の模様があり、再来週も元日という関係で、NHK杯はないとのこと。
村山慈明 NHK杯 vs 石井健太郎 四段 NHK杯 3回戦
解説 松尾歩 八段

また一週間ぶりの記事になってしまった。
村山と石井か。石井は2回戦でのタニーとの一局は鮮烈だった。相振りでタニーを、ド圧勝のボコボコにしていた・・・(笑)
松尾はベートーベンのような髪型をしている。なかなか良い。

村山は2003年四段、竜王戦3組、B2 7回目の本戦出場
石井は2013年四段、竜王戦6組、C2 本戦初出場

解説の松尾「村山さんは序盤の研究に定評がありまして、中終盤も地力があり強い。着実な手厚い将棋。石井はバランスのいい将棋、受けに定評があると個人的には思う。角道を止める振り飛車も指す」

例によって、もう3回戦ということで、インタビューはなくなった。
先手村山で、石井がノーマル四間に振り、▲居飛穴vs△高美濃の対抗形となった。
松尾「石井は指し慣れているし、研究もあるんだろう。村山は堅い玉形での指し方がうまいんですよね」

村山が角を切り飛ばし、中盤の折衝。ここで村山が優位に立つ。村山は大きな駒得に成功した。銀得だ。
松尾「村山はうまい飛車の取り方ですね、村山ペース」

石井はなんとかならんか、とばかりに端攻めに賭けるが、どうにも攻めが細そう。
石井の次々の勝負手を、村山が軽やかに受け流す。

そして、村山が5筋に突き出した歩、これが好手。村山は無条件で、と金作りに成功。
勝負あったと思われた。

しかし、ここから村山が迷走をしてしまった。
松尾「あれ?▲7一飛ですか。▲8二銀だと思いました」
激指14で調べてみると、▲8二銀と打っていれば+4000点もリードだったのに、▲7一飛で+2400まで下がっていた。
私はあんまりソフトを使いたくないが、ここは気になったので調べてしまった。感想戦もなかったし。

その後、長引いたのだが、元の作りが村山がそうとう良かったようだ。145手までで村山の勝ち。
最後のところも激指で調べたが、もうそうとう(+2000以上)村山が良かったとのことだった。

松尾「終盤に入ったあたりから、村山のペースが続いていたと思うんですけど、石井がうまく粘って村山としてもイヤな感じというかヒヤッとしたところもあったと思うんですけど、やっぱり村山らしく着実に、最後はしっかり勝ち切った。お互いのいいところが出たんじゃないでしょうかね」

うーむ、私としては、▲居飛穴vs△高美濃で、穴熊の暴力がまたしても炸裂した、ありがちな棋譜としか思えなかったorz
石井としては、中盤のワカレで穴熊を相手に、銀損してちゃ、アカンでしょう。
穴熊側が細い攻めをどうつなげるか、という将棋にしなくてはいけないのに、本局は振り飛車側が細い攻めになってしまった。
そして村山も、▲8二銀を逃してる。もうしょうがないのか。
勝つまでに145手もかかる将棋ではなかったと思う。勝ちきったのはさすがだけどね。

双方、好手と思えるところも数々あったのだけど、私にとって本局は疑問なところが目立ってしまった。

居飛穴側がノーマル振り飛車の美濃を相手に、その堅さを見せつけて勝つ・・・。そういうのはもう藤井システム以前に、散々見飽きてるんで、ノーマル振り飛車側を持つプロは、なんとかしてほしいと切に思う。
斎藤慎太郎 六段 vs 佐藤康光 九段 NHK杯 3回戦
解説 久保利明 九段

先週一週間は、私はNHK杯以外、何もブログを更新しなかった。
どうも、私はもう将棋について言いたいことがなくなりつつあるような感じがしている(^^;
とりあえずNHK杯の記事だけは書いていきたい。

今週から3回戦(ベスト16)に入った。けっこうワクワクするものだ。ソフトが強くなったからと言って、まだプロも捨てたものではないだろう。人間の早指し王を決定するのがNHK杯だ。

斎藤は2012年四段、竜王戦4組、B2 NHK杯本戦は初出場
康光は1987年四段、竜王戦2組、A級 本戦は28回目

3回戦に入ったためインタビューがなくなったが、私は全然気にならない。
どうせウケを狙って話してくれる棋士はほとんどいないのだから。

解説の久保「斎藤は居飛車党の本格派で勝率が高く、これから伸びてくる新人の1人だと思います。康光は独創的な将棋で人気の高い棋士だと思います」

斎藤は、見かけが「3月のライオン」の主人公に似ていると思う。黒いメガネが似ているんだ。

先手斎藤で、角換わりの出だしから、康光が向かい飛車に振るという趣向。これ、康光は前にもやってたね。「△8五歩型向かい飛車」とでもいうべき戦型だ。斎藤はそれを予期していたのだろう、ミレニアム囲いに囲って、△8五歩を取るべく駒組みを進める。

将棋の戦法の変遷について、久保が語った場面があった。
久保「将棋は戦法が移り変わっていくんですけど、振り飛車は残って欲しいですね」
おお、久保はいいねえ、振り飛車党の希望の星だ。久保はまたA級に上がれそうだし。

さて、対抗形で▲ミレニアムvs△銀冠となり、斎藤が▲8五桂と行った~。私はこれが観たかった。先手としては、穴熊に組んだら、△8五歩をとがめたことにはならないだろう。やはり▲8五桂と行けるんだから、行ってみてほしいのだ。

すると康光、面白い構想を見せた。△8四銀! さらに△8三玉!
久保「私には指せません、康光の世界ですね。他の棋士にはマネできないでしょうね」
ぐあー、面白いけど・・・ 先手が強ければ、この康光の構想は通らないのではないか。 
ムチャミツ流が通るのかどうか、斎藤にかかっている。

久保「康光は自分は本筋を指してるつもりだ、といつもおっしゃってる」
△8四銀~△8三玉が本筋なのか? 面白いね(笑)
久保「斎藤がうまく指している」
うーん、斎藤が3歩持って、飛車角も働いて、攻めているぞ。8五の桂もタダでは死なない。
これ、後手側を持ちたいという人なんていないだろう。
康光、こんな形にしたらアカンやろ!?

斎藤の攻めが続く。康光玉は裸で、後手側は陣形が崩壊し、2枚落ちの上手のようになっている。
久保「斎藤が香得のうえ、と金得」
いいぞいいぞ、斎藤。こりゃー、斎藤、もらっただろう! ちゃんと寄せろよ~。

・・・しかし?? 康光の放った△9七歩という手裏剣の歩の一手に、斎藤が自陣に手を戻すことになる。
康光は玉を逆側にスラコラサッサと大脱走。
そして自玉の周りに金を打ち、囲いを再構築してしまった。
久保「このあたりが、なかなか崩れないトップクラスという感じがしますね」

そして形勢は混沌!
久保「斎藤は、ちょっと、ここで受けるのは予定外でしょう」
藤田女流「斎藤の深いため息が聞こえてきましたね」
久保「ちょっと誤算があったんだと思います」

康光玉、なんと2二まで逃げてきた。 8三に居た玉が2二で安定してる・・・(^^;

康光が自信を持って放ったのだろう、△5五角という手に久保の解説が面白い。
久保「これは詰めろになっている可能性が高い、30手ぐらいかかると思いますけど」
へえ~、感覚でそこまで?? 斉藤も危険を察知して、受けていた。

藤田「康光のすごい追い上げですね」
久保「厳密にいうと康光が良さそう」
おーーい、なんでだーー。どう見たって、斎藤が主導権を握っていたのに、立場逆転~。

お互いに攻めきれず、双方、玉が安全になってしまった。
久保「これはなかなか終わらないですよ、どちらも当分詰まないですから」
ぐあー(^^; 延長戦になってまいりました(笑)

先に技をかけたのは康光だった。竜を捨てちゃう! そしたら斎藤は竜を取らない!
でも、これ、結果論としては斎藤は竜をふつうに取ってたほうが良かったな。
久保「2転3転してると思いますね」
康光の猛攻の前に、斎藤が屈した。斎藤玉、詰まされた。ああー、斎藤、ふつうに竜を取ってれば・・・。
158手の長手数で、康光の逆転勝利となった。

久保「序盤はかなり斎藤が優勢だったと思うんですけど、途中、△9七歩という手があってそこから流れが康光のほうに来たかな。本当に大熱戦で面白い将棋だったですね」

ううううううううーーーーん。これ、序、中盤、斎藤がそうとううまく指してた。あとは康光玉を寄せるだけというところまで行ってた。
なんで、これ、逆転負けしちゃうかなーーーー。康光流の△8四銀+△8三玉を完璧にとがめた一局となるはずだったのに~。
康光としては、今回の内容では、今後は△8五歩型の向かい飛車はもう採用を取りやめになるんではないか? そう思える一局だった。

将棋としては面白かったけど、ベスト16だから、高いレベルを求めてる。
かなり差があるところから逆転しちゃうのは、うーんという感じだ。
悪くなってからの康光の技の数々が観れたのは、それは良かったけども。

斎藤のために、踊りを踊りたい。「どうしてこうなった! どうしてこうなった!」