序、中盤、平凡だなと思っていたんだけど、終盤、両者が魅せてくれたね。
ハッシーが相当追い込んで、攻めまくったんだけど、和俊が一瞬の詰み筋を見逃さず、長手数詰めに打ち取った。
あれだけ長い間、攻めまくられていたのだから、並の人間なら、もうどう受けるかしか考えないところだと思うのに、和俊は詰みを狙っていた。
和俊、実に素晴らしい。C2の棋士とは思えない。私は満足だった。

でも去年までのように、NHK杯の感想を書く気が起きない。
もうNHK杯の感想を書くのは、今後は無理かもしれない。
でもとりあえず、NHK杯を観たいという気になってきた。観ないことには話にならないから。
だいぶ回復してきてはいる。来週の女流枠決定戦も楽しみだ。
そして4月1日の電王戦を楽しみに待っている。
今日は名人vs竜王という豪華カードだったけど、観る気になれず。
だめだなー、こりゃ。
今日のNHK杯、私は観る気になれませんでした。
だってハッシーは、あれだけの暴言を吐いていましたから。
来週も事件の張本人、渡辺竜王の登場ですから、観ないでしょう。
しばらくNHK杯の記事は休止します。
羽生善治 三冠 vs 佐藤和俊 六段 NHK杯 3回戦
解説 戸辺誠 七段

さあ本命、羽生の登場だ。相手は格下の和俊、バーンとやっつけてくれ!

羽生は1985年四段、竜王戦1組、A級 王位王座棋聖を保持 31回目の本戦出場
和俊は2003年四段、竜王戦2組、C2 4回目の本戦出場

解説の戸辺「羽生は将棋界のスーパースター。どの棋戦も強いんですけども、NHK杯戦は特に強くてですね、通算優勝10回、24連勝というのもありましたね。オールラウンダーで何でも指す。追い込まれたときの絶妙手はいつもすごいなと見てます。
和俊は同じ加瀬門下の兄弟子。普段クールなんですけど、走るのが速かったり、指導将棋になると厳しいところがあったり。棋風は振り飛車党なんですけど、近年後手番ではいろいろな工夫を凝らす」

2人の対戦成績は、羽生の2-0とのこと。
先手羽生で、後手の和俊はノーマル三間飛車で、対抗形になった。▲ミレニアムvs△ダイヤモンド美濃だ。
藤田「じっくりした将棋になりましたね」

盤面右の駆け引きから、じわじわと戦いが始まった。
戸辺「和俊が積極的に動いて、うまくいっているんじゃないか。気持ちやや和俊がリードしてるかな」
羽生の囲いがなかなか安定しない。
戸辺「振り飛車のほうが少し指せるんじゃないかと見てます」
うーん、まあまだまだ先は長い、羽生にとっては許容範囲だろう。

お互いに考慮時間を使い切り、30秒将棋に突入。
戸辺「局面は非常に難しい」
おいおい、さっきよりなんかヤバくなってるような・・・。ここからじゃ、もう何が起こるかわからんぞ。

すると和俊、次々に大駒を見捨てた。強手だ。
戸辺「勝負手ですね」
大駒4枚が全部羽生のほうに来た。でも和俊は豊富な小駒を持っている。
戸辺「和俊は、力を発揮する展開ですね。形勢は難しいですね~。羽生が逃げ切れそうですけど、和俊も必死に攻めている」

羽生、玉の早逃げを何度もして粘る。もうこれ、王者の余裕など全然ない。なりふりかまわぬ羽生、ピンチだ。なんでこうなった??
戸辺「いやいや、激戦ですよ」
羽生は攻防の角を2枚打つ。戸辺「こういう角が見えるのは素晴らしいですね」

しかし~! 和俊のうまい攻め方で、どんどん追いつめられる羽生。
和俊は玉さばきでも強手を見せた。手順に飛車を補充して、ムードがもう和俊に・・・。
戸辺「私の感覚では和俊が抜け出した。飛車を取ったっていうのがデカいですね」

そしてその時はやってきた。和俊の技が決まり、羽生、「負けました」
136手で和俊の勝ち。ぐわああああーーー。なんで負けるねーーん!! 羽生の投了の瞬間、私は叫んでしまった・・・。

戸辺「素晴らしい将棋で、パッと見た感じでは何が悪かったかわからないですね。振り飛車らしい粘り強い指し回しが羽生を誤らせた、素晴らしい将棋だったと思います」

一局を通して見れば、序盤は退屈だったが、だんだん面白くなっていった。羽生はどこで悪くなったのか? 元はといえば、6筋の取り込みを許して囲いが乱れたのが、そもそもどうなのか。
終盤で和俊は、2枚の馬を引き付けて捨てたわけだけど、あれが英断だったなあ。あの2枚の馬はどっちも遊びそうだったから。
小駒だけで攻めが続くという大局観が賞賛されるべきだろう。妥協した手を指さなかった和俊、見事だった。

和俊は金星だなあ。羽生を相手に後手ノーマル三間飛車で勝つなんてね。
本局の和俊は強かった。強気強気で、最後までミスしなかった。

それにしても・・・ 羽生さん、C2の棋士に負けないでくれよーーー(^^;
もう・・・ せっかく今から3月まで羽生さんのNHK杯での活躍をガンガン観るぞ、と思ってたのに・・・orz

羽生が負けてしまい、私はかなりショックだ。ああーorz あと2局くらいは羽生の将棋を観たかった。残念至極だ。チーン。

来週はNHK杯がなく「将棋の日」の模様があり、再来週も元日という関係で、NHK杯はないとのこと。
村山慈明 NHK杯 vs 石井健太郎 四段 NHK杯 3回戦
解説 松尾歩 八段

また一週間ぶりの記事になってしまった。
村山と石井か。石井は2回戦でのタニーとの一局は鮮烈だった。相振りでタニーを、ド圧勝のボコボコにしていた・・・(笑)
松尾はベートーベンのような髪型をしている。なかなか良い。

村山は2003年四段、竜王戦3組、B2 7回目の本戦出場
石井は2013年四段、竜王戦6組、C2 本戦初出場

解説の松尾「村山さんは序盤の研究に定評がありまして、中終盤も地力があり強い。着実な手厚い将棋。石井はバランスのいい将棋、受けに定評があると個人的には思う。角道を止める振り飛車も指す」

例によって、もう3回戦ということで、インタビューはなくなった。
先手村山で、石井がノーマル四間に振り、▲居飛穴vs△高美濃の対抗形となった。
松尾「石井は指し慣れているし、研究もあるんだろう。村山は堅い玉形での指し方がうまいんですよね」

村山が角を切り飛ばし、中盤の折衝。ここで村山が優位に立つ。村山は大きな駒得に成功した。銀得だ。
松尾「村山はうまい飛車の取り方ですね、村山ペース」

石井はなんとかならんか、とばかりに端攻めに賭けるが、どうにも攻めが細そう。
石井の次々の勝負手を、村山が軽やかに受け流す。

そして、村山が5筋に突き出した歩、これが好手。村山は無条件で、と金作りに成功。
勝負あったと思われた。

しかし、ここから村山が迷走をしてしまった。
松尾「あれ?▲7一飛ですか。▲8二銀だと思いました」
激指14で調べてみると、▲8二銀と打っていれば+4000点もリードだったのに、▲7一飛で+2400まで下がっていた。
私はあんまりソフトを使いたくないが、ここは気になったので調べてしまった。感想戦もなかったし。

その後、長引いたのだが、元の作りが村山がそうとう良かったようだ。145手までで村山の勝ち。
最後のところも激指で調べたが、もうそうとう(+2000以上)村山が良かったとのことだった。

松尾「終盤に入ったあたりから、村山のペースが続いていたと思うんですけど、石井がうまく粘って村山としてもイヤな感じというかヒヤッとしたところもあったと思うんですけど、やっぱり村山らしく着実に、最後はしっかり勝ち切った。お互いのいいところが出たんじゃないでしょうかね」

うーむ、私としては、▲居飛穴vs△高美濃で、穴熊の暴力がまたしても炸裂した、ありがちな棋譜としか思えなかったorz
石井としては、中盤のワカレで穴熊を相手に、銀損してちゃ、アカンでしょう。
穴熊側が細い攻めをどうつなげるか、という将棋にしなくてはいけないのに、本局は振り飛車側が細い攻めになってしまった。
そして村山も、▲8二銀を逃してる。もうしょうがないのか。
勝つまでに145手もかかる将棋ではなかったと思う。勝ちきったのはさすがだけどね。

双方、好手と思えるところも数々あったのだけど、私にとって本局は疑問なところが目立ってしまった。

居飛穴側がノーマル振り飛車の美濃を相手に、その堅さを見せつけて勝つ・・・。そういうのはもう藤井システム以前に、散々見飽きてるんで、ノーマル振り飛車側を持つプロは、なんとかしてほしいと切に思う。
斎藤慎太郎 六段 vs 佐藤康光 九段 NHK杯 3回戦
解説 久保利明 九段

先週一週間は、私はNHK杯以外、何もブログを更新しなかった。
どうも、私はもう将棋について言いたいことがなくなりつつあるような感じがしている(^^;
とりあえずNHK杯の記事だけは書いていきたい。

今週から3回戦(ベスト16)に入った。けっこうワクワクするものだ。ソフトが強くなったからと言って、まだプロも捨てたものではないだろう。人間の早指し王を決定するのがNHK杯だ。

斎藤は2012年四段、竜王戦4組、B2 NHK杯本戦は初出場
康光は1987年四段、竜王戦2組、A級 本戦は28回目

3回戦に入ったためインタビューがなくなったが、私は全然気にならない。
どうせウケを狙って話してくれる棋士はほとんどいないのだから。

解説の久保「斎藤は居飛車党の本格派で勝率が高く、これから伸びてくる新人の1人だと思います。康光は独創的な将棋で人気の高い棋士だと思います」

斎藤は、見かけが「3月のライオン」の主人公に似ていると思う。黒いメガネが似ているんだ。

先手斎藤で、角換わりの出だしから、康光が向かい飛車に振るという趣向。これ、康光は前にもやってたね。「△8五歩型向かい飛車」とでもいうべき戦型だ。斎藤はそれを予期していたのだろう、ミレニアム囲いに囲って、△8五歩を取るべく駒組みを進める。

将棋の戦法の変遷について、久保が語った場面があった。
久保「将棋は戦法が移り変わっていくんですけど、振り飛車は残って欲しいですね」
おお、久保はいいねえ、振り飛車党の希望の星だ。久保はまたA級に上がれそうだし。

さて、対抗形で▲ミレニアムvs△銀冠となり、斎藤が▲8五桂と行った~。私はこれが観たかった。先手としては、穴熊に組んだら、△8五歩をとがめたことにはならないだろう。やはり▲8五桂と行けるんだから、行ってみてほしいのだ。

すると康光、面白い構想を見せた。△8四銀! さらに△8三玉!
久保「私には指せません、康光の世界ですね。他の棋士にはマネできないでしょうね」
ぐあー、面白いけど・・・ 先手が強ければ、この康光の構想は通らないのではないか。 
ムチャミツ流が通るのかどうか、斎藤にかかっている。

久保「康光は自分は本筋を指してるつもりだ、といつもおっしゃってる」
△8四銀~△8三玉が本筋なのか? 面白いね(笑)
久保「斎藤がうまく指している」
うーん、斎藤が3歩持って、飛車角も働いて、攻めているぞ。8五の桂もタダでは死なない。
これ、後手側を持ちたいという人なんていないだろう。
康光、こんな形にしたらアカンやろ!?

斎藤の攻めが続く。康光玉は裸で、後手側は陣形が崩壊し、2枚落ちの上手のようになっている。
久保「斎藤が香得のうえ、と金得」
いいぞいいぞ、斎藤。こりゃー、斎藤、もらっただろう! ちゃんと寄せろよ~。

・・・しかし?? 康光の放った△9七歩という手裏剣の歩の一手に、斎藤が自陣に手を戻すことになる。
康光は玉を逆側にスラコラサッサと大脱走。
そして自玉の周りに金を打ち、囲いを再構築してしまった。
久保「このあたりが、なかなか崩れないトップクラスという感じがしますね」

そして形勢は混沌!
久保「斎藤は、ちょっと、ここで受けるのは予定外でしょう」
藤田女流「斎藤の深いため息が聞こえてきましたね」
久保「ちょっと誤算があったんだと思います」

康光玉、なんと2二まで逃げてきた。 8三に居た玉が2二で安定してる・・・(^^;

康光が自信を持って放ったのだろう、△5五角という手に久保の解説が面白い。
久保「これは詰めろになっている可能性が高い、30手ぐらいかかると思いますけど」
へえ~、感覚でそこまで?? 斉藤も危険を察知して、受けていた。

藤田「康光のすごい追い上げですね」
久保「厳密にいうと康光が良さそう」
おーーい、なんでだーー。どう見たって、斎藤が主導権を握っていたのに、立場逆転~。

お互いに攻めきれず、双方、玉が安全になってしまった。
久保「これはなかなか終わらないですよ、どちらも当分詰まないですから」
ぐあー(^^; 延長戦になってまいりました(笑)

先に技をかけたのは康光だった。竜を捨てちゃう! そしたら斎藤は竜を取らない!
でも、これ、結果論としては斎藤は竜をふつうに取ってたほうが良かったな。
久保「2転3転してると思いますね」
康光の猛攻の前に、斎藤が屈した。斎藤玉、詰まされた。ああー、斎藤、ふつうに竜を取ってれば・・・。
158手の長手数で、康光の逆転勝利となった。

久保「序盤はかなり斎藤が優勢だったと思うんですけど、途中、△9七歩という手があってそこから流れが康光のほうに来たかな。本当に大熱戦で面白い将棋だったですね」

ううううううううーーーーん。これ、序、中盤、斎藤がそうとううまく指してた。あとは康光玉を寄せるだけというところまで行ってた。
なんで、これ、逆転負けしちゃうかなーーーー。康光流の△8四銀+△8三玉を完璧にとがめた一局となるはずだったのに~。
康光としては、今回の内容では、今後は△8五歩型の向かい飛車はもう採用を取りやめになるんではないか? そう思える一局だった。

将棋としては面白かったけど、ベスト16だから、高いレベルを求めてる。
かなり差があるところから逆転しちゃうのは、うーんという感じだ。
悪くなってからの康光の技の数々が観れたのは、それは良かったけども。

斎藤のために、踊りを踊りたい。「どうしてこうなった! どうしてこうなった!」
佐藤天彦 名人 vs 山崎隆之 八段 NHK杯 2回戦
解説 羽生善治 三冠

若き名人と、ちょいワル王子の山崎という好カード。そして解説が羽生。

天彦は2006年四段、竜王戦は1組。8回目の本戦出場。
山崎は1998年四段、竜王戦は2組。16回目の本戦出場。

解説の羽生「天彦は序盤は研究熱心、攻守のバランスのとれた棋風。
山崎は独創的というか、力戦乱戦を好むタイプ」

事前のインタビュー
天彦「山崎八段は独創的な棋風と言いますか、序盤から人にはなかなか思いつかないような構想を披露されることが多いのかなと感じています。今回の相手も強敵ですので、あまり先のことは考えず一局一局大切にいつもどおり戦っていければなと思っています」

山崎「天彦名人は気持ちのいい将棋を指すイメージで、この2年ですごく駆け上がって、充実している。おおっ、っていう感じで見てました。厳しい戦いが続くと思うんですけど弱気にならずにぶつかっていきたい。ギリギリの戦いができたらと思っています」

先手天彦で、横歩取りの最新形となった。まあ、私は正直、またこれかと思った(笑)
羽生「山崎は最近後手番だと横歩取りを多用している」
2人の対戦成績は2-2のイーブンとのこと。      

角交換から山崎が△4四角と手放し、それに対応して天彦が▲3八角という自陣角。
先手はこんなところに角を打つものなのか。

お互いにどこから攻めるのか、模様の取り合いで、難しい。それもかなり難解。
羽生「角の筋が違うので、一手一手難しい」

考慮時間に差がつき、残りが天彦▲8回vs山崎△0回になった。
盤上の中段で戦いが起こる。
羽生「天彦の桂得が確定したが、陣形が天彦側は乱れているので、いい勝負」

ここまで大技がなかったが、山崎が一気に勝負をつけにいった手を指し、局面が大きく動いた。
羽生「あー、えー! これ手抜くもんなんですかねー、いやすごい踏み込みですね」

激しい駒の取り合いになり、これはどうなったのか・・・
羽生「形勢を言えば、ちょっと山崎のほうがいいような気がします」
おー、そうか、山崎、行け~。 ここに来て私は山崎を応援している、判官びいきというやつだ。

天彦玉をぐいぐい追い込む山崎、しかし天彦も勝負手を連発!
さすが名人、一筋縄ではいかない! 天彦ももう時間がなくなってきたが、よくここまで指せるものだと、実に感心させられる。
羽生「形勢ははっきり山崎がいいですけど、30秒だとまだまだ」

山崎に勝つ権利がありそうなのだが、羽生ですらまだ答えを見つけれていない。
中段をさまよう天彦玉は寄るや寄らざるや。
羽生「はっきりしないですね」
天彦の玉、実にしぶとい~。 ぬるぬるしていて、山崎の角と銀の攻めでは捕まりづらい~。 

そしてついに、羽生「これは逆転したんじゃないかな」
画面に大きくのけぞって、両手で頭を抱え込んだ山崎の姿があった・・・。 だめだこりゃーー(笑)
羽生「山崎は、決めそこなってしまったな、ということですね」

天彦のほうが攻める番になり、まだ一波乱あるかと思ったが、的確に天彦は山崎玉を寄せた。
119手、天彦の逆転勝ち。危ない辛勝だった。

羽生「非常に激しい将棋で、終盤、山崎が勝ちだったんですけど、ちょっと決めそこなってしまったかなあ。でも決め手を与えないように指してた天彦の粘り強さも光ったなあという感じ」

感想戦、山崎が勝ててたはずだが、どうやったものかという場面で、天彦が「こうやって保険をかけとけば」という言葉に、山崎が同意するシーンが見られた。
あれだけ天彦玉の周りに山崎の駒がまとわりついていれば、何かあっただろうね。
あああーー、山崎、残念だった。

天彦はそうとう危なかったけど、底力を見せたね。やはり名人だ。
天彦の勝負手連発が本局一番の見どころだったと思う。

ただ、一局を通して、難しい将棋だねえ(^^; 
横歩取りの最新形というのが、プロの研究の最先端で、もう難しくなる宿命と言えると思う。
NHK杯はファンに見てもらうことに価値があるので、その難解なものをアマが見て何割を理解できるかっていうのは、もうプロ将棋の永遠の課題だ。プロががんばって研究すればするほど、どんどんアマが理解しづらくなっていく。
羽生を解説者に持ってきても、序盤から一局を通して、難しかった。 
<お知らせ>今まで当ブログでは文末に「。」をつけてきませんでしたが、今回からつけることを試してみます。

丸山忠久 九段 vs 村山慈明 NHK杯選手権者 NHK杯 2回戦
解説 深浦康市 九段

丸山と村山か。丸山について思うのは、もし丸山が竜王戦出場を断っていたらどうなっていたんだろうということだ。
丸山は連盟の決定を疑問視していたし・・・。

丸山は1990年四段、竜王戦1組、B1 26回目の本戦出場
村山は2003年四段、竜王戦3組、B2 7回目の本戦出場

解説の深浦「丸山は序盤から精通していまして、研究家ですよね。中終盤は粘り強いので負かしづらい相手。
村山は昨年は見事で棋譜の名前を隠したら村山の将棋かなとわからないくらい、積極的な手が多かった。序盤から精通していまして非常に重厚な将棋を好みます」

事前のインタビュー
丸山「村山さんは序盤をよく研究されていて、中終盤を非常にしっかりしている印象です。思い切りぶつかっていきたいと思います」

村山「丸山さんはトップ棋士で非常に今日強敵です。角換わりのスペシャリストでもありまして私も角換わりは好きな戦型ですので、本日は角換わりになるのではないかなと予想しています。NHK杯選手権者として恥ずかしい将棋を指さないように気を引き締めてのぞみたいと思います」

先手丸山で、やはり角換わりとなった。相腰掛け銀だ。
深浦「去年のNHK杯決勝の村山vs千田から、この戦型が流行っている」
2人の対戦成績は、丸山6勝、村山3勝とのこと。

深浦「村山は待機策を選んだ」
下段飛車にする作戦、ソフト発祥だったっけ? わからない。
この戦型特有の、「素人お断りの序盤」といった感じ・・・。

村山が6四に角を据え、全体をにらむ。
そして丸山の手に、深浦が「これは難しい、これはめずらしいですね、解説に困ります(笑) 」といわしめている(^^;
深浦「こういう戦い方は見たことがない。両者、探り合いながらということになるんでしょうね」

戦いが起こり、村山が少し駒得。それに村山は歩もたくさん持っている。
深浦「形勢は微差だけど、村山がうまくやっているかな」

これ、駒損している丸山のほうが攻めなくてはいけないと思うんだが、どうやって攻めをつなぐのか?
そう思っていると、丸山がなんと▲1六歩という手を指した! 
ぐああ、もう戦いがだいぶ起こっているのに、今頃こんな手! 
一歩欲しいということなんだが、いかにも証文の出し遅れ・・・。

村山は持ち駒の銀2枚を自陣に投入し、ガッチリと、とにかくすぐには負けない形を作った。
深浦の事前の説明では村山は重厚な形が好きということだったので、これは村山は気分が良いだろう。

村山は敵陣に拠点を作る歩の突き出しを見せ、深浦はそれを褒めている。
深浦「局面は村山良しでいいと思うんですね」

村山としてはあとは攻めがつながれば、というところだったが、ここから魅せた。
控えの桂打ちなどで巧妙に丸山玉にまとわりつき、寄せの足場を作る。
深浦が「ここで飛車を切れば」と言ったところ、飛車を切るより明らかに得な桂跳ね一閃!
深浦「あー、そうか、きれいな決め手になりそうですね、いや見事ですね」
鮮やかで完璧な寄せを決め、110手で村山の快勝となった。
終局図では村山陣はまだまだ安泰で、相当な差がついた。

深浦「序盤の研究から、まだ見たことのない戦いになった。先手の丸山が工夫を見せたんですけども、それに村山がうまく対応して厚みですね、負けない形を築いてそこから見事な攻撃態勢を作って、最後はきれいに決めた。お手本のような気持ちいい快勝でしたね」

感想戦は2人の言うことが難しく、序盤での2人のやりとりには深浦でさえ苦笑していた(笑)
村山が玉頭に銀を守りに打てたところで、丸山が「決定的に悪くしたか」と言っていた。
さんざん戦ってからの▲1六歩のような手では、つらかったなー(^^;

この一局は村山の良いところが出たね。丸山は完全に引き立て役だった。
村山が中盤のやりとりで優位を築いたとはいえ、攻め駒の数が少ないところからどうやって寄せるのかが見ものだったが、ソフトの指し回しを見るかのような、鮮やかな村山の攻め方だった。
いやはや、村山は実に強い、お見事だった。
村山はこんなに強いのになんで前期の順位戦でB1から落ちちゃったのか、謎だ。(B1で3勝9敗だった)
今期もB2で1勝4敗と苦戦している。プロの上位陣は差がないということか。
行方尚史 八段 vs 永瀬拓矢 六段 NHK杯 2回戦 
解説 広瀬章人 八段

行方は1993年四段、竜王戦2組、A 20回目の本戦進出
永瀬は2009年四段、竜王戦2組に昇級、C1 5回目の本戦進出

行方と永瀬か 
行方は「不屈の棋士」の本の中で、はっきりと「ソフトを将棋の勉強に使うことを拒否」しており、千田と正反対の立場を取って見せた
そのことで、私の中で行方に感情移入して応援する気持ちは強くなった

解説の広瀬「行方は居飛車の正統派、相手の得意戦法を受けて立つ
永瀬は関東の若手の中でも特に研究熱心な棋士で、序盤から積極的にリードしていく姿勢が目立つ」

事前のインタビュー
行方「永瀬は若手の中でも特に研究熱心な印象ですね
若い人との戦いが最近多くなってきて、なかなか厳しいものもあるんですけど、自分なりに意地を見せていきたいなと思っています」

永瀬「行方は居飛車の本格派、スキのない将棋というイメージがあります
行方八段とは今回で3局目になりますけど、どれも内容が悪かったので今回は内容を良くして、いい勝負ができればと思っております」

これまでの対戦成績、行方0勝、永瀬2勝とのこと 
おーい、永瀬は内容が悪くて2連勝してるんか(^^;

先手行方で、相掛かりとなった  
広瀬「▲3七銀~▲4六銀というのは、わりとまあ最近の指し方だと思うんです、なので手さぐりになる」
この先手の形、そうとう前に指されていそうだ、中原誠がよく指してたなあ、それが今頃また復活してるのか
先手が飛車先の歩を交換していないわけだが、まさかそれがスタンダードになる時代がくるとは・・・

行方が永瀬陣に襲い掛かる
広瀬「行方の駒が前に来ているので、受け間違えると潰されてしまう」
行方の、左桂2段跳ね+右桂2段跳ねという形ができそう
おおー、これは行方が行けるか? 

そこで出た、永瀬の守りの金を相手の攻めの銀と2手かけて交換しに行くという勝負手!
すごい発想! これは誰が思いつくだろうか? 永瀬、さすがタイトル戦で羽生を追いつめただけある!
広瀬「この永瀬の指し方は勇気が要りますね」

その後も、行方と永瀬、両者ともに「手筋」を連発して、観てる私を飽きさせない
永瀬の歩の垂らし、永瀬の桂捨て、行方の自陣に金投入という勝負手・・・

実に面白いねじり合いが展開された
だが、行方の▲3一馬というのが私には悪手に見えた
すかさず永瀬に金をボロッと竜で取られて、あれは粘りを欠いたように思う

永瀬、最後の即詰みの読み切りは鮮やかで、永瀬が106手で勝ち切った
投了図は大差だが、途中は全然、難解だったと思う
手数以上に、長い戦いに感じた・・・ 私は観ていて疲れた(笑)

広瀬「手将棋でお互いに構想力を問われていて、早い段階から戦いになったんですけどね
行方に右桂の活用が見込めたので、行方ペースかなと思ったんですけど、そこで永瀬がひねり出した△2三金~△3四金は、なるほどでしたね
永瀬が竜を作ってからは、行方の飛車を封じ込めて、永瀬らしい指し回しが観られたんじゃないかな」

私にとって、相掛かりは面白い
ほとんど面白い戦いになる感じがする
矢倉は難解、角換わりは研究、横歩取りは意味不明となりがち、その点、相掛かりは観ていて楽しいことが多い
今回も、プロの芸が連発だった

ただ、最善手の連続かというとそれはまた別だ
でもNHK杯でそれを求めるのは、違うんじゃないかと思う
最善手の連続は持ち時間の長い棋戦でやってくれればいい
NHK杯はスリルが楽しめればいいと思う
本局は満足度高し、面白かった
橋本崇載 八段 vs 三浦弘行 九段 NHK杯 2回戦
解説 飯島栄治 七段

悲しい意味での、世紀の一戦になってしまった
ソフト指しカンニング疑惑がかかっている三浦と、「1億%クロだと思う、奴とは二度と指したくない」とツイートしたハッシーの対戦

番組冒頭、「この対局は9月19日に行われたものです」とテロップが流された
私はNHK杯がいつ収録されているかは知りたくなかったよ
まあ、週刊新潮ですでに報じられていた日付ではあったが・・・
このテロップ、同じものが番組中、6度も流されることになった
注目度の高い証と受け取るべきか、やるせない注目だなあ

ハッシーは2001年四段、竜王戦1組、B1 12回目の本戦進出
三浦は1992年四段、竜王戦1組、A級 21回目の本戦進出

飯島「橋本八段はファンの方にも人気があって、棋士としては超一流なんですけどもね
力戦を非常に好みまして、独自に開発した作戦を構築して研究を進めて勝ちを積み上げてきた棋士です
指し盛りの歳ですしさらなる高みを期待してます
三浦九段は1日に10時間ですか、研究されるということで将棋界では1、2を争う研究量なんです
私も研究会をご一緒してまして、40歳を過ぎて研究にいそしむというのは本当に素晴らしいことで、さらなる戦歴を積み重ねてほしいと思います
攻め将棋という部分もありまして受けも強くて全体的にバランスがよくて隙がない棋士ですね」

事前のインタビュー、今回は特に詳細に再現してみよう
藤田「三浦九段の印象はいかがですか?」
ハッシー「そうですね、あのー最近ではタイトル戦の挑戦者にもなられてすごく充実している上に、まあまあ、強いと思います、大変な強敵だと思います」
藤田「本局はどのように戦いますか?」
ハッシー「そうですね、まあちょっとしょうがないと思ってるんですけど、朝起きたときから目の調子が悪くてあんまり目が見えてないんですけど、指し手もあんまりよく見えないんですけど、えー、で、なんでしたっけ、まあ、はい(笑) いい将棋を指せるようにがんばります」

藤田「橋本八段の印象はいかがですか?」
三浦「えー、橋本八段はもちろん実力者なんですけども、将棋以外の番組にもたくさん出演されていますので、将棋普及に多大な貢献をされている棋士の1人だと思います」
藤田「今期NHK杯の抱負をお願いします」
三浦「2年連続初戦負けでしたので、今年はがんばって初戦突破をしたいと思っています」

飯島「橋本八段が振って、対抗形になるのでは」

先手ハッシーで、相居飛車の横歩取りとなった
三浦の△8五飛+中原囲いvsハッシーの▲6九玉型だ ハッシーも中原囲いに近い形
飯島「橋本は最近居飛車を指しているみたい、かなり以前に流行した形
この▲6九玉型がいい形で、△8五飛は減った」

序盤、かなりさくさくと手が進んだ
飯島「有利なほうが一方的に勝ってしまう将棋」
飯島「橋本が横歩取りの最先端を指しているというのは、棋風チェンジを感じますね」

2人のこれまでの対戦成績が出て、ハッシー3勝、三浦4勝とのこと
飯島「実力が拮抗してますから、半手差の終盤になると思いますね」
うーん、今書き起こしてみると、飯島の解説が矛盾している(笑)
ハッシーの作戦選択、そして「かなり以前流行した形」のはずが「最先端」 そして、「一方的に勝ってしまう」と言いつつ「半手差になると思う」
まあ聞いているときにはそんな矛盾は感じなかった

三浦から仕掛け、△2八歩という先手の桂に当たりをかけた手を指した
飯島「これはもう三浦が踏み込んだ」
ハッシー、この歩を取れず、早くも桂が死んだ
おー、これは早くもハッシーが困ったのでは、と思って私は観ていた

雑談で藤田「三浦は研究会のときはどのような感じなんでしょうか」
飯島「本当に優しい先生ですね、後輩の方にも慕われているので」
人付き合いがあまりなさそうと思われている三浦、実態はどうなのだろうか

局面、三浦が強引に飛車をぶっつけ、強気で押している
飛車角の総交換になった
飯島「これはけっこう三浦がやれる変化になってくるかもしれませんね」
うむ、三浦は攻めがわかりやすいが、ハッシーには手があるのか?

また雑談で、飯島「橋本八段はハッシーと呼ばれ人気ですね、非常に偉い先生になったので、私はハッシーと呼びにくいんですけど(笑) 」
まあ、ハッシーはファンが使う通称だよね(笑)

さて局面、飯島が「三浦からの攻めのほうがわかりやすい」という中、ハッシーに「これは」という手が飛び出した
じっ、と7筋の歩を突いて、相手に手を渡す▲7五歩・・・! これ自体はまだ何の効果もない
私がこの一局で「おお」と声を上げたところだった
この歩が間に合うんか! これしかなかったかもしれないけど、7筋の歩を地道に伸ばすのが最善と判断する大局観はすごい!
飯島「この橋本の手はツライところもあるんですけど、攻めが軌道に乗ればいい」

三浦はさきほど打った△2八歩で桂が取れたのだが、まだ取らずに、△8八歩という手を指した
盤上で桂3枚が取りになって交錯しているという珍局面が発生
これは面白くなってきた・・・ 三浦はナナメ上45度を向いて考える、おなじみのポーズを取っている
飯島「スタイルなんでしょうね、棋士個人個人でいろんなスタイルがありますから」

形勢、私では本当にわからないなー 
まだ三浦がいいのだろうが、なんか、△2八歩がこのまま空振りに終わると怖い
ハッシーからの攻めはどれほど厳しい手があるものなのか?
ハッシーが飛車を引き成ったところ
飯島「どっちがいいかまだわかりません、ねじり合いが続くと思います」

しかしハッシーが決断の一手を指す それはハッシーの指した駒音で聞き取れた
竜を切り飛ばしてしまう手、ハッシーは「パーン!」と音を立てて指していた

ここあたりを境に、ムードがハッシーに傾いていった
飯島「これは橋本がちょっといい局面になってくるのか、という気がしますね、三浦は踏みとどまれるか」

うーん、三浦も強さを見せろ、と私は思っていたが・・・
飯島「若干橋本が残してるのかな、三浦にとって厳しくなってきました」

ぐわー、三浦ピンチ、持ち駒の飛車2枚が使う場所がない
ハッシーの持ち駒はバラエティに富んでおり、使い勝手が非常に良い

ハッシーは抜かりなく、冷静に手を戻す手も指した
飯島「なるほど、これは橋本が勝ちに近づきましたね」

対局者の2人とも、かなりハイペースで飛ばして指してきたが、今は残りが双方1分ぐらいずつで、特にハッシーはちょうどいいペースで時間を使ってきたんだな

飯島「橋本は自信に満ち溢れてる顔に私は見えますね」
そして局面は、もうハッシーの押せ押せ、寄り切りを観るばかりとなった
飯島「これは橋本の会心の寄せが決まったと思いますね」

87手、ハッシーの快勝譜となった 投了図はけっこうな差が開いていた
終局直後のハッシー、かなりの笑顔になっていたね(^^;

飯島「戦型予想から全くちがっていたんですけど、本当に激しい序盤戦になって、新しい橋本八段の指し方というか、棋風が全く新しくなっている
そこが三浦九段もとまどったというかね、いいところが出し切れなかったというところが大きいと思いますね
三浦の陣形を乱してからの▲7五歩で橋本八段が攻めたのが印象的
そして橋本八段の受けがうまくいった
最後は差がついてしまったんですけど、素晴らしい名局だったと思います」

感想戦が17分ほどあり、ハッシーが「どこで良くなったのか、自分でもよく分かっていなんだけど」
ハッシーですらそう言うんだね、私にとっては特に難しかったわ
この△8五飛戦法というのは私の苦手のナンバー1戦法と言っていいからなあ

感想戦も観て、結局、三浦の△2八歩と△8八歩の相性が良くなかったんだと私は解釈した
モロに桂取りがダブっているからね どっちつかずになっちゃった

感想戦、2人は普通にやりとりしていて、別段、不自然なところはなかった
内容が高度すぎて私なんかは、ほとんどついていけなかった(笑)

ハッシーは快勝で、この内容なら相手が三浦ならずとも気分がいいところだろう
ましてや、もしハッシーは三浦に負けていたらまたあれこれ騒がれるわけで、勝ってよかったねえ
私はハッシーのファンでもあるんで、本来ならハッシーが勝ってうれしいはずなんだけど、今回は三浦にも勝ってほしかった
三浦が負けて3回戦進出がなくなり、関係者はほっとしているんじゃないだろうか(^^;
三浦が勝って3回戦で三浦の代わりにクマのぬいぐるみを置いて1時間半、雑談を放映っていうのが観てみたかった(笑)

感想戦が始まる前にも、最後の結果を言うときにも「この対局は9月19日に行われたものです」とテロップが出されていた
はあ~、こんなんでプロ将棋界が注目を浴びても悲しいだけだ・・・
三浦vs連盟、もう軟着陸は無理と思える現状、この騒動がどうなっていくのか注視していきたい
増田康宏 四段 vs 佐藤康光 九段 NHK杯 2回戦
解説 森下卓 九段

三浦九段のソフト指し疑惑で揺れる将棋界、どうなってしまうのだろうか

今日は増田と康光か、増田の1回戦は何も覚えてない(笑)  康光の将棋が観れるのは楽しみだ 
解説の森下のしゃべりも期待できる
藤田さんは少しイメチェンした感じ 化粧濃いめで、服が黒かった

増田は2014年四段、竜王戦5組、C2 本戦初出場
康光は1987年四段、竜王戦1組、A級 28回目の本戦進出

森下「増田は弟子なので、ちょっと解説しづらい、昔から明るい少年だった
居飛車党の本格派で、矢倉や角換わりはみっちり勉強していると思う
康光は来年で棋士生活30年の大剛、トップ中のトップ
増田も一時期、康光の研究会で教わっていたことがある」

事前のインタビュー
増田「佐藤先生は非常に独創的な将棋で定跡ではない将棋を指される印象があります、今日は解説が森下師匠ということで、いい将棋が見せられるようにがんばりたいと思います」

康光「増田四段は非常に作戦家で師匠ゆずりの手厚い将棋ではないかなと思います、なるべくミスの少ないように全力で戦えればいいかなと思います」

先手増田で、初手から▲2六歩△3四歩▲9六歩の出だしだった
しかし、特段に目立つ変わったこともなく、相矢倉調に進んでいった
森下「序盤の数手は緊張感がありましたね、あの端歩は増田流で、力に自信があるということ」

お互いに軽い囲い方の矢倉だ
森下「佐藤さんにはまことに失礼なんですけど、増田のほうは『勝って当然だ』というような気持ちで戦ってると思います、またそうでなければ困りますからね」

双方が、相手の陣形を乱す、けん制がはじまった 
盤面右で、お互いに、位をどう確保するかのポジション争いだ
森下の解説がなかなかいい、矢倉を語らせたなら森下という感じがする  
森下「佐藤流ですね~、相手がガードしたところを叩きつける」
森下「(事前に森下が言っていた)想定どおりの力戦ですね」
森下「リスクの高い手を指す、それを短時間で決断できるのが佐藤さん」

名調子の森下節が続くなか、増田に疑問手が出たのではとの解説
森下「はあ~、増田は我慢ですか~、ちょっとどうかなと思われるんですけどね~」
そして、康光の2枚横に並ぶ銀が、絶好という森下
森下「この銀が抜群に味がいい手」

うーむ、康光がもようが良くなったようだな  
森下が再三、銀2枚を横に並べさせてはいけないと言っていたが、実現してしまった
増田ピンチだな、増田は時間もなくなり、残り時間が増田▲0回vs康光△4回と差をつけられた

そして康光の手がグイグイ伸びてきた  
先手の増田の7八の金を壁にさせる△8八歩という、よくある手筋がさく裂した
森下「この歩はきつい手ですね~、ちょっと増田が苦しい形勢ですね」
森下「増田としては飛車を逃げる手はありえない・・・っと思ったら逃げました(笑) 」

うーん、増田、中盤以降、森下に褒めてもらってない、ここからなんとかして森下に褒めてもらえ!
増田、どうにか「間違えたら許さん」という手を指し、がんばった
森下「やっぱり際どいものですね」

が、増田の踏ん張りもここまでだった 
康光が着実にリードを保つ、安定したスキのない指し回しを見せ、どうにもならなかった
82手で康光の快勝となった

森下「さすが佐藤さんという将棋ですね、増田くんが攻め合いに行ったんですけど、やっぱり佐藤さんのふところが深かったなと思いますね」

康光ほどの相手に、いったん有利になられてしまうと、もう取返しがつかないな、と思ってしまう一局だった
森下の解説も的確で、森下も強かったねえ
感想戦では、森下の指摘で、中盤で増田にもチャンスがあったんでは、ということに対局者2人が同意していた

個人的に、康光のこの言葉が聞けたのが良かった
康光「なるほど・・・ むつかしいなあ、将棋は・・・ 簡単じゃないですねえ」
これは「不屈の棋士」という本の中で、康光の口癖とされている言葉だ
「将棋はそれほど簡単じゃありませんから」というフレーズが本書には使われている
それが映像で聞けたのが、私のようなマニアにはうれしかった(笑)

康光が最近活躍している印象が私には薄く、NHK杯でまだまだ強いところを見せてくれたのは良かったね
まあ、今週は上位者の順当勝ち、内容も順当というところだった

さて、来週だが、次週の予告を見て、「あ、普通に放送するんだ」と思った
渦中の三浦vs「奴は1億パーセント黒」と言い切ったハッシーの対決なのだ
これはどうなってしまうんだ・・・ 
まあきっと淡々と指して終わるだけなんだろうけど・・・
三浦の将棋を観れる最後になる可能性もあるのか? 
私は三浦もハッシーも好きだ、2人ともを信じたい、どうすればいいんだ?  
屋敷伸之 九段 vs 佐藤和俊 六段 NHK杯 2回戦
解説 藤井猛 九段

昨日の日曜は、私はしんどくて寝ていて、NHK杯を観ることができなかった
この記事を書くのが一日遅れてしまった

屋敷と和俊ということで、屋敷の速攻vs和俊の振り飛車に期待していたのだが・・・

屋敷は竜王戦1組、A級 20回目の本戦出場
和俊は竜王戦2組、C2 4回目の本戦出場

解説の藤井「屋敷は一流棋士の地位で安定している、色々な手を指すので見ていて楽しみ
和俊は相当な実力者、振り飛車が多くて同じ振り飛車党としていつも注目している、クラス以上の実力者」

事前のインタビュー
屋敷「最近はあまりNHK杯で勝っていませんので、今日しっかりといい将棋を指していい終盤を迎えていい将棋にしたいと思っております、ご声援よろしくお願いします」

和俊「屋敷さんは最近は非常に独創的で攻撃的な作戦を練られることが多い印象ですね
前回NHK杯で対戦したときは、けっこう早い段階で悪くしてつらい時間を過ごしたので、今日は終盤勝負できるようにがんばりたいと思います」

先手屋敷で、▲居飛車vs△ノーマル三間飛車の対抗形になったと思っていたら、力戦模様になり、相中飛車になった
和俊は玉を(和俊から見て)左に囲い、▲ミレニアムvs△変形の雁木といった様相
藤井「私はこの玉を左に行く展開はあんまり好きじゃないんですよ」

(屋敷から見て)盤面左で戦いが起こった
藤井「屋敷は力戦相居飛車は俺のもんだ、と思ってるんじゃないですか」

藤井「屋敷陣にまとまりが出てきた、屋敷は達人ですね、少し屋敷が指せそう」
しかし、和俊も攻める  和俊は大駒が参加していない攻めなのだが、屋敷玉を上部から圧迫している
藤井「私が屋敷側を持っていたら大変です、和俊は攻めの棋風なのかな~」

そして、つながりだした和俊の攻め
藤井「屋敷は、おかしいな~、あれ?優勢だったのにな~、みたいに思ってるんじゃないか
こんなはずじゃなかったのに、と」

和俊は、飛車を取られることに構わずに攻撃を続けた  
と金を作り、さらに屋敷玉を上部から攻め立てる
和俊は駒得に目をくれず、上部からの攻めの種駒を増やしたのも印象的だった
屋敷、受けがきかず、粘れずにけっこうあっさりと潰されてしまった
104手で和俊の勝ち

藤井「途中までは自由自在な指し回しの屋敷がうまくやっているのかなと思ったんですが、和俊の攻めがなかなか振りほどけなかったですね、巧みな攻めをつなげて、屋敷の敗因がまだわかんないですけどね、和俊がうまく攻めた印象」

和俊の飛車を見捨てたのが好判断だったなあ
小駒だけで攻めがつながると見た和俊の大局観が良かったねえ
でもこういう相居飛車みたいな将棋になるとは・・・ 
屋敷の速攻銀も見れなかったし、藤井の解説も、笑いを期待したのだが、いまひとつだった(^^;
また来週に期待したい
佐々木勇気 五段 vs 木村一基 八段 NHK杯 2回戦
解説 村山慈明 NHK杯

佐々木勇気、和服を着て気合が入っているね
木村は9月まで羽生王位に挑戦していたが、7番勝負をフルセットでまたも奪取はならずだった

佐々木は2010年四段、竜王戦4組、C1 4回目の本戦出場
木村は1997年四段、竜王戦1組、B1 18回目の本戦出場

解説の村山「佐々木は居飛車党で攻め将棋、人の気づかない手に気付く
木村は千駄ヶ谷の受け師、相手の攻め駒を攻める積極的な受け」

事前のインタビュー
佐々木「木村は矢倉を得意とされており、あこがれの先生です
立ちはだかる手厚い壁という印象です、気持ちを込めて指したい」

木村「佐々木は切れ味が鋭く研究熱心で将来有望な手ごわい相手
特に今日は服装に気合が入っているようで、どうしようという感じです
後輩と当たることが多くなりました、いつもどおり悔いのないように指したい」

先手佐々木で、相矢倉となった  佐々木は早囲い
村山「お二人が一番得意としている形になりましたね」
ガッチリと組み合って、似た前例が相当多そうなところ

佐々木は考慮時間を使って考えている ▲5回vs△10回まで差が開いた
しかし佐々木は角をふわっと使い、次に攻めを見せる手で木村を焦らせている
村山「佐々木の角の使い方はうまい手だなと思いました」
対して木村は、ノーマルに進めた
村山「木村はやってこいと言っている」

どっちが読み勝っているか、面白いところ
村山「佐々木が調子良く攻めているようだが、忙しい」
上部脱出を視野に入れている木村
んー、もう難しくて私の手には負えないようになってきた・・・

佐々木、一見遅そうな垂れ歩を指し、木村も「ならば」と攻め合いに出たところ
村山「速度争いになりましたね、感触としては少し佐々木に分がありそう」
佐々木は自陣がまだまだ堅いので、攻めの手がつながるかという局面が続いている

村山「木村が少し負けてそうなので、工夫した受けをしないといけない」
木村もがんばっているのは伝わってくるが、木村の受けの一手に対して佐々木の攻めの一手がちょうどピッタリした感じ、という展開が続く
村山「佐々木はここは馬を逃げない気がしますね、気づきにくい手を指すんですよ」
その予想が当たり、木村玉をどんどん追いつめていく佐々木
そしてこういう展開に最後に待っているのは、「木村玉、必至」であった チーン
115手、佐々木の快勝だった

村山「矢倉の最新形になったんですけども、佐々木の駒組みが秀逸で作戦勝ちされたんじゃないかなと思う
佐々木の攻めが少し細くなったかなと思う局面もあったんですけど、やはり攻め将棋の佐々木らしく、終盤も淀みなく寄せたなという感じの快勝譜」

感想戦で少し問題になっていたが、木村の敗因、それは△9三桂と跳ねて待った、あそこがもう敗因ではないだろうか?
全く私の感覚だけど・・・
佐々木が早囲いという工夫した序盤を見せたのに対し、木村が平凡に行き過ぎた感があった
佐々木は和服を着ただけあって、一手一手気持ちが込められていたのが感じられた、それが木村との差を生んだのかもしれない
佐々木はもうこのNHK杯、ずっと和服を着てくるのがいいと思う

若手がベテラン強豪に力勝ちした内容だけど、将棋界では別に当たり前のことで、そこは特に驚きはない・・・(^^;
郷田真隆 王将 vs 高見泰地 五段 NHK杯 2回戦
解説 鈴木大介 八段

タイトルホルダーの登場 
しかし郷田は今一つ、羽生三冠、渡辺二冠、天彦名人と比べて目立たないが・・・
高見は1回戦で稲葉に勝ったとのことだが、私は何にも覚えていないのであった(笑)
私の過去ログを見ると、「大熱戦」、「強い勝ち方」と書いてある

郷田は1990年四段、竜王戦2組で優勝、B1 25回目の本戦出場
高見は2011年四段、竜王戦4組、C2 2回目の本戦出場

解説の大介「郷田は居飛車の本格派、プロでも見習うべき点が多い超一流の棋士
高見は屈指の攻め将棋、詰むか詰まないかに強い」

事前のインタビュー
郷田「決断よく持ち味を出せればと思っております
張り切っていい対局にしたいと思います」

高見「郷田王将は居飛車党で言わずと知れたトップ棋士
指したい手を指されて勝たれている印象があってとても尊敬する将棋です
タイトルホルダーに教われる機会は初めてなので自分の力が精一杯出せるように挑戦する気持ちでがんばりたいと思います」

先手郷田で、横歩取りに進んだと思いきや、郷田が横歩を取らず▲5八玉と変化した
これは第1期電王戦第1局の▲PONANZAvs△山崎で出た形だ

相掛かりの変形のような、力勝負に進んだ
大介「郷田が注文をつけて力戦形に」
局面、落ち着くのかと思いきや、郷田が意表の一手を指した
郷田が3筋から、一歩損をする果敢な攻めを敢行!
大介「これは見たことがない手ですねー、いやいやいや」

考え込む高見  高見は自然に対応したように見えたが、進んでみると
大介「郷田がちょっとうまくやった、3手くらい郷田が手数でリードしている」

考慮時間の残り、郷田▲10回vs高見△3回となって、差がついている
大介「それだけ苦心してるんだと思いますね」
郷田は、とにかく決断がいい 自玉に相手の駒が迫っているのに、おかまいなく攻め合い
郷田、超強気だ
大介「相手の攻めは残しているとの郷田の読み、たぶん読みというか感覚の部類じゃないですかね」

局面、郷田優勢が確定したようだ
大介「プロはみなこぞって研究しますね、特に3筋を攻めたあたりは・・・
郷田は一人で剣を研いでいる」

大介「画面で見ると、ちょっと高見、がっかりしている様子が」
高見もなんとかしようと迫りたい気持ちは伝わってきたのだが、郷田の的確な寄せの前に、なすすべなしといったところだ

郷田は最後の手もきれいで、狙われてる自陣の銀をスッとかわして、それが相手玉を寄せる拠点になっているという鮮やかな一手を指した 攻防一体の、華麗な手だね

69手で郷田、完勝! 郷田は5回考慮時間を余していた

大介「久しぶりに上位者、タイトルホルダーの貫禄を見せてもらった気がする
将棋の作りがすごいうまかった
高見としては激しい将棋で力を出し切れなかった
私も実は、対A級は四段になってから十何連敗した
高見にはこれを糧に強くなってもらいたい」

時間があまって、27分も感想戦があった・・・(^^;

郷田「横歩を取って、負けちゃっているんで」
高見「3手差くらいになっちゃった気がしました、体感的に」

郷田の3筋からの攻め、あれが研究範囲だったかについて知りたかった
研究範囲と思うべきだろうけどね
高見は今回は完全な斬られ役だったね  ▲5八玉型がそもそも高見はノーマークだったようだ

郷田は全く緩まず、会心譜だったと思う  素晴らしい出来栄えだった
さすがはタイトルホルダーだ  やはりそれなりの地位にある人は強くあってほしい お見事だった
豊島将之 七段 vs 久保利明 九段 NHK杯 2回戦
解説 千田翔太 五段

豊島と久保、好カードだ 久保の振り飛車が観れる
そして解説の千田、どんなしゃべりをするのか
この3人は叡王戦ベスト16にも残っている

豊島は2007年四段、竜王戦1組、B1 8回目の本戦出場
久保は1993年四段、竜王戦1組、B1 21回目の本戦出場

解説の千田「豊島は普段から冷静沈着、軽快ながらも手堅い、負けにくい棋風
久保は振り飛車党、華麗なさばきが見もの」

事前のインタビュー
豊島「久保九段とはこれまでたくさん対局したことがある
読みよりも感覚を大事にされている先生
お互いに攻め将棋だと思うので、積極的に行って主導権を握れるようにしたい」

久保「過去にNHK杯は調子のいいときは勢いよく指せているので、今回も勢いよく指せればいいと思う
振り飛車を観ていただきたい」

これまでの2人の対戦成績が、久保9勝、豊島7勝とのこと

先手豊島で居飛車の超速▲3七銀、後手久保のゴキゲン中飛車となった
久保が揺さぶりをかけ、豊島はさばかれないように耐えている

久保が△1五角という、振り飛車がときどきやる手段、いわゆる「幽霊角」で、角の成りこみに成功
ここまで久保は類似局面をたくさん経験済みの、慣れた手順なのだろう
千田「現局面では振り飛車がまずまずうまくさばけていると思う」

そこで豊島が勝負手を放つ、9筋の端攻めに活路を求めた
千田「こういう端攻めが豊島の技ですね」
豊島、なんとか食い下がるか、というところ
豊島は取れる銀を後回しにして、桂の活用で勝負と迫る
なるほどな~、飛車を相手の馬の利きに逃げたのも、指されてみればなるほどな~と思っていた・・・

しかし、そこで久保の渾身一滴の強手が! 取られる銀を相手の歩頭に捨てる「移動捨て」の妙手一発!
千田「はっはあ、いや、これは気づかなかったです」
ぐはっ! うまい! これは・・・ 成立している・・・ こういう手が出ると、まず指した側が負けないとしたものだ

さらに久保は、玉を狭いほうに、一見危ないほうに逃げた
千田「並の人にはできない」
それが久保の読み切りで、豊島は挽回するところがもうなく、投了に追い込まれた 
92手で久保の快勝だった
最後はかなり差がついた投了図となった

千田「久保が非常にうまく豊島をじらして、巧みに攻めをつなぎましたね
端角に飛び出したさばき方も絶品でしたね」

豊島としては、これは完敗の部類に入るんではないか
久保に終始ほんろうされていた印象だった
久保は振り飛車の職人芸を見せつけ、強かったな・・・ 
千田が「絶品」というだけある、さすがだと思った

千田の解説、符号を言うのが中心で意味を追いにくいところがあったが、しょうがないか
久保も豊島も指し手が早く、大盤で解説しているヒマがなかったか?
中盤の大局観が難しかったね

豊島が強くないんでは、と思えてしまうくらい、序盤から終盤まで久保の会心の指し回しだった
久保には「熟練」という言葉がピッタリくると思えた
銀捨ての妙手も観れて良かった、あれはプロの技だった  久保のナイスゲームだった