2021.06.09
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~相掛かり・原始棒銀~
第12回。今回は、相掛かりの原始棒銀を取り上げてみる。ソフトの水匠3改を使って解説。
受け方の講座と言っていい内容となっている。
まず、初手から以下のように進む。
KI2形式で貼るとこうなる。後手は飛車を△8四飛と引くのがポイント。
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8四飛 (図1)
図1 △8四飛まで

5手目▲2四歩の、通称「5手爆弾」はあるが、また別の問題なので、今は考えないことにする。
図1から、▲3八銀△6二銀▲2七銀△3四歩▲2六銀△3三角と進む。それが図2。先手が棒銀で行くことを意思表示した▲2七銀を見て、後手は△3四歩と突く。▲2六銀を見て、△3三角と上がっておく。
図2 △3三角まで

この図2が岐路。ここから、▲2五銀or▲3六歩~▲3五歩or▲7六歩が考えられるが、▲3六歩~▲3五歩と▲7六歩は、一局としか言いようがない。
ソフトの水匠も、図2から▲3六歩~▲3五歩と▲7六歩の場合は、全く互角と出ている。自力で勝つしかない。
なので、図2から▲2五銀を解説する。
▲2五銀には、△3五歩と突く。これが習いある手筋。後手の飛車の横利きで2筋は受かっているので、先手としては応援部隊を送るしかない。
必然的に▲7六歩と角道を開ける手になる。そこで後手も△2二銀と備えておく。それが図3。
図3 △2二銀まで

図3から、先手は強引に攻めて行ったら、どうなるのか。
図3以下、▲3三角成△同桂で、図4へ。
図4 △3三同銀まで

もう、これで受かっている。話が早い。もし先手が角交換して来ない場合は互角の一局だが、いつでも後手から△8八角成~△3三桂はある。
図4からは蛇足だが、先手は銀を▲1六銀と撤退するか、▲6六角とさらに強引に攻めていくくらいだろう。
▲1六銀では棒銀側の作戦負けは明らかなので(△3六歩が厳しい)、▲6六角の変化のほうを進めてみる。
図5 ▲6六角△5四飛▲2四歩まで

▲6六角以下、△5四飛▲2四歩と攻めて来る。(図5)
図5以下、△2五桂▲2三歩成に、△同銀が水匠のおススメ。△同銀で-500ほどになり後手有利。
△同金は意外に難しくなると水匠先生。
図5以下、△2五桂▲2三歩成△同銀に▲2五飛は△2二歩で受け切っている。
△2三同銀に▲1一角成には△2四歩で後手が良い。後手には△5七飛成と、△3七桂成~△3六歩の楽しみが残っている。
先手は▲6八玉と受けるくらいだが、△6四角と打って先手の飛車のコビンを攻めるのがわかりやすい。それが図6。(水匠で-743)
図6 △6四角まで

初手からKI2形式でまとめると、こうなる。
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8四飛 ▲3八銀 △6二銀
▲2七銀 △3四歩 ▲2六銀 △3三角 ▲2五銀 △3五歩
▲7六歩 △2二銀 ▲3三角成 △同 桂 ▲6六角 △5四飛
▲2四歩 △2五桂 ▲2三歩成 △同 銀 ▲1一角成 △2四歩
▲6八玉 △6四角
まで38手で中断
なお、1つ補足しておきたい。
▲2五銀と出たときに、△3五歩と突かれるから、棒銀が成功しないんだ。なら、△3五歩の前に▲3六歩と突いておけばいいんじゃないか?それから▲2五銀と出ればいい、と思う人もいるだろう。その場合の後手の対処法を書いておく。簡単だ。
図2からの変化図 ▲3六歩と突いてから▲2五銀

このように、△5五角と飛び出ることにより、あっさり棒銀を撃退できる。△5五角以下は▲1八飛△3三桂とすれば後手が良い。(△3三桂以下▲5六歩には、△6四角▲3四銀のときに△7五角が好手で、銀取りと△5七角成の両狙いで後手良し)
~今回のまとめ~
原始棒銀に対しては、たしかに受け方はある。しかし受け側は序盤から一手も油断は許されない。ミスできない。一手一手、慎重に指そう。
棒銀側が▲2五銀と出ずに、▲3六歩~▲3五歩や▲7六歩としてきた場合は、もう奇襲ではない。互角の勝負になる。
YouTubeの「女流棋士 山口恵梨子ちゃんねる」も参考になる。そこでは出だしで双方が飛車先の歩を交換しない形の解説をしている。
受け方の講座と言っていい内容となっている。
まず、初手から以下のように進む。
KI2形式で貼るとこうなる。後手は飛車を△8四飛と引くのがポイント。
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8四飛 (図1)
図1 △8四飛まで

5手目▲2四歩の、通称「5手爆弾」はあるが、また別の問題なので、今は考えないことにする。
図1から、▲3八銀△6二銀▲2七銀△3四歩▲2六銀△3三角と進む。それが図2。先手が棒銀で行くことを意思表示した▲2七銀を見て、後手は△3四歩と突く。▲2六銀を見て、△3三角と上がっておく。
図2 △3三角まで

この図2が岐路。ここから、▲2五銀or▲3六歩~▲3五歩or▲7六歩が考えられるが、▲3六歩~▲3五歩と▲7六歩は、一局としか言いようがない。
ソフトの水匠も、図2から▲3六歩~▲3五歩と▲7六歩の場合は、全く互角と出ている。自力で勝つしかない。
なので、図2から▲2五銀を解説する。
▲2五銀には、△3五歩と突く。これが習いある手筋。後手の飛車の横利きで2筋は受かっているので、先手としては応援部隊を送るしかない。
必然的に▲7六歩と角道を開ける手になる。そこで後手も△2二銀と備えておく。それが図3。
図3 △2二銀まで

図3から、先手は強引に攻めて行ったら、どうなるのか。
図3以下、▲3三角成△同桂で、図4へ。
図4 △3三同銀まで

もう、これで受かっている。話が早い。もし先手が角交換して来ない場合は互角の一局だが、いつでも後手から△8八角成~△3三桂はある。
図4からは蛇足だが、先手は銀を▲1六銀と撤退するか、▲6六角とさらに強引に攻めていくくらいだろう。
▲1六銀では棒銀側の作戦負けは明らかなので(△3六歩が厳しい)、▲6六角の変化のほうを進めてみる。
図5 ▲6六角△5四飛▲2四歩まで

▲6六角以下、△5四飛▲2四歩と攻めて来る。(図5)
図5以下、△2五桂▲2三歩成に、△同銀が水匠のおススメ。△同銀で-500ほどになり後手有利。
△同金は意外に難しくなると水匠先生。
図5以下、△2五桂▲2三歩成△同銀に▲2五飛は△2二歩で受け切っている。
△2三同銀に▲1一角成には△2四歩で後手が良い。後手には△5七飛成と、△3七桂成~△3六歩の楽しみが残っている。
先手は▲6八玉と受けるくらいだが、△6四角と打って先手の飛車のコビンを攻めるのがわかりやすい。それが図6。(水匠で-743)
図6 △6四角まで

初手からKI2形式でまとめると、こうなる。
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8四飛 ▲3八銀 △6二銀
▲2七銀 △3四歩 ▲2六銀 △3三角 ▲2五銀 △3五歩
▲7六歩 △2二銀 ▲3三角成 △同 桂 ▲6六角 △5四飛
▲2四歩 △2五桂 ▲2三歩成 △同 銀 ▲1一角成 △2四歩
▲6八玉 △6四角
まで38手で中断
なお、1つ補足しておきたい。
▲2五銀と出たときに、△3五歩と突かれるから、棒銀が成功しないんだ。なら、△3五歩の前に▲3六歩と突いておけばいいんじゃないか?それから▲2五銀と出ればいい、と思う人もいるだろう。その場合の後手の対処法を書いておく。簡単だ。
図2からの変化図 ▲3六歩と突いてから▲2五銀

このように、△5五角と飛び出ることにより、あっさり棒銀を撃退できる。△5五角以下は▲1八飛△3三桂とすれば後手が良い。(△3三桂以下▲5六歩には、△6四角▲3四銀のときに△7五角が好手で、銀取りと△5七角成の両狙いで後手良し)
~今回のまとめ~
原始棒銀に対しては、たしかに受け方はある。しかし受け側は序盤から一手も油断は許されない。ミスできない。一手一手、慎重に指そう。
棒銀側が▲2五銀と出ずに、▲3六歩~▲3五歩や▲7六歩としてきた場合は、もう奇襲ではない。互角の勝負になる。
YouTubeの「女流棋士 山口恵梨子ちゃんねる」も参考になる。そこでは出だしで双方が飛車先の歩を交換しない形の解説をしている。
2021.06.08
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~角換わり・升田定跡と一手損△8四歩型~
さて、第11回目を迎えた。最初は「全10回くらいの予定」、と言っていたこの企画だけど、まだネタがあり、もっと続けられそうだ。
今回は、前回の続きで、角換わり相腰掛銀の升田定跡と、一手損角換わり相腰掛銀の△8四歩型を調べてみることにした。
何か新しい発見はないかな?ということで、試してみたのだ。
でも、結論から言って、何も目新しいことはなかった。予想どおりの数値が出た。
では見て行ってみよう。
図1 升田定跡 △3三銀まで

図1のように、▲7九玉vs△3一玉の先後同型の形を、升田定跡と呼ぶ。升田幸三プロがここから▲4五歩と仕掛ける筋を研究したとのこと。この図1は、ちょっと前までプロでさかんに指されていて、互角とされている。この図1を、例によって3つのソフトに考えさせた。思考時間は各10分ずつ。候補手は3つにしたが、ここで取り上げるのは2つまでとした。
<激指15> (定跡の利用有り)
±0 定跡手 ▲4五歩 (図1からの先手の最善手)
±0 定跡手 ▲8八玉 (図1からの先手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<激指15> (定跡の利用なし)
+68 ▲4五歩
-36 ▲4七金
<やねうら王>
+121 ▲4五歩
-82 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用にチェックを入れた)
+205 ▲4五歩
-1 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用なし)
+161 ▲4五歩
-1 ▲4七金
図2 一手損角換わり△8四歩型

図2は、後手が△7三桂と跳んだところまで。一手損角換わりなので、後手の飛車先の歩が△8四歩までしか伸びていない。
これが局面にどれほど影響を与えるのか。それを知りたかったので、ソフトに考えさせた。
<激指15>
+62 ▲8八玉
+64 ▲4七金 (次善手のほうが数値が高いが、ソフトではよくある現象)
<やねうら王>
+130 ▲8八玉
+16 ▲4七金
<水匠3改>
+78 ▲8八玉
-1 ▲4七金
~今回のまとめ~
升田定跡のほうの3つのソフトの最善手の平均値は、+116。一手損△8四歩型の平均値は、+90。なお、木村定跡の平均値は、+195。(いずれも定跡の利用なしの数値で計算)
升田定跡(図1)は、激指15によると、プロ間で329局前例があり、最近10年で151局指されていると出る。
それだけまだまだ難解で結論は出てないということだ。平均で+116で、そんなものだろう。
升田定跡を解説してくれよと言われても、超難解で私には絶対ムリ。プロが本を何冊も書けるだろう。
島プロの「角換わり腰掛銀研究」を御一読あれ。たぶん、将棋が嫌いになるから(笑)
一手損△8四歩型のほうも、平均で+90と、事前の予想の範囲内の点数だった。
どのソフトも▲8八玉と入城するのが先手の最善と出している。歩の位置が1つ違うだけで、全く別の世界が広がるのだ。
今回は、特に目新しい発見はなかった。正直、ハズレの回であった(笑)
こういうときもあるさ!そうそう面白い数値なんて出ない!次、行ってみよう!
次回は相掛かりの原始棒銀を取り上げてみる予定。ニーズがありそうなんで。
追記・図1と図2は、「イメージと読みの将棋観2」(2010年初版)にテーマとして載っている。
そこで書かれている勝率は、図1が平成(1989年)以降、先手の160勝110敗(0.592)。図2が平成15年(2003年)に初めて指され、それ以降で先手の28勝15敗(0.651)。しかし平成20年(2008年)以降では後手が6勝4敗と勝ち越しとのこと。もちろん数字は2010年までの話。
今回は、前回の続きで、角換わり相腰掛銀の升田定跡と、一手損角換わり相腰掛銀の△8四歩型を調べてみることにした。
何か新しい発見はないかな?ということで、試してみたのだ。
でも、結論から言って、何も目新しいことはなかった。予想どおりの数値が出た。
では見て行ってみよう。
図1 升田定跡 △3三銀まで

図1のように、▲7九玉vs△3一玉の先後同型の形を、升田定跡と呼ぶ。升田幸三プロがここから▲4五歩と仕掛ける筋を研究したとのこと。この図1は、ちょっと前までプロでさかんに指されていて、互角とされている。この図1を、例によって3つのソフトに考えさせた。思考時間は各10分ずつ。候補手は3つにしたが、ここで取り上げるのは2つまでとした。
<激指15> (定跡の利用有り)
±0 定跡手 ▲4五歩 (図1からの先手の最善手)
±0 定跡手 ▲8八玉 (図1からの先手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<激指15> (定跡の利用なし)
+68 ▲4五歩
-36 ▲4七金
<やねうら王>
+121 ▲4五歩
-82 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用にチェックを入れた)
+205 ▲4五歩
-1 ▲4七金
<水匠3改> (定跡の利用なし)
+161 ▲4五歩
-1 ▲4七金
図2 一手損角換わり△8四歩型

図2は、後手が△7三桂と跳んだところまで。一手損角換わりなので、後手の飛車先の歩が△8四歩までしか伸びていない。
これが局面にどれほど影響を与えるのか。それを知りたかったので、ソフトに考えさせた。
<激指15>
+62 ▲8八玉
+64 ▲4七金 (次善手のほうが数値が高いが、ソフトではよくある現象)
<やねうら王>
+130 ▲8八玉
+16 ▲4七金
<水匠3改>
+78 ▲8八玉
-1 ▲4七金
~今回のまとめ~
升田定跡のほうの3つのソフトの最善手の平均値は、+116。一手損△8四歩型の平均値は、+90。なお、木村定跡の平均値は、+195。(いずれも定跡の利用なしの数値で計算)
升田定跡(図1)は、激指15によると、プロ間で329局前例があり、最近10年で151局指されていると出る。
それだけまだまだ難解で結論は出てないということだ。平均で+116で、そんなものだろう。
升田定跡を解説してくれよと言われても、超難解で私には絶対ムリ。プロが本を何冊も書けるだろう。
島プロの「角換わり腰掛銀研究」を御一読あれ。たぶん、将棋が嫌いになるから(笑)
一手損△8四歩型のほうも、平均で+90と、事前の予想の範囲内の点数だった。
どのソフトも▲8八玉と入城するのが先手の最善と出している。歩の位置が1つ違うだけで、全く別の世界が広がるのだ。
今回は、特に目新しい発見はなかった。正直、ハズレの回であった(笑)
こういうときもあるさ!そうそう面白い数値なんて出ない!次、行ってみよう!
次回は相掛かりの原始棒銀を取り上げてみる予定。ニーズがありそうなんで。
追記・図1と図2は、「イメージと読みの将棋観2」(2010年初版)にテーマとして載っている。
そこで書かれている勝率は、図1が平成(1989年)以降、先手の160勝110敗(0.592)。図2が平成15年(2003年)に初めて指され、それ以降で先手の28勝15敗(0.651)。しかし平成20年(2008年)以降では後手が6勝4敗と勝ち越しとのこと。もちろん数字は2010年までの話。
2021.06.07
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~角換わり・木村定跡~
第10回の今回は、角換わりの木村定跡という定跡を調べてみた。結論として、とても興味深い結果が得られた。
木村定跡は名前を聞いたことがある人も多いと思う。相腰掛銀の先後同型から、先手が仕掛けて、勝勢になるというもの。
この定跡は、先手良しの結論がはっきりしていると言われている。
今回、参考にした棋書は、西尾明プロ著の「よくわかる角換わり」。(2011年初版)
「羽生の頭脳7巻・角換わり最前線」(1993年初版)には木村定跡は全く載ってない。
塚田泰明プロ著の「角換わり初段の常識」(2018年初版)にも、木村定跡は全く載っていない。
木村定跡の図は、以下。
図1 木村定跡 △2二玉まで

西尾本の解説を、一番長い変化手順を初手からKI2形式で張ると、こうなる。
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △3二金 ▲7八金 △7七角成 ▲同 銀 △4二銀
▲3八銀 △7二銀 ▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三銀
▲6八玉 △4一玉 ▲5六銀 △5二金 ▲5八金 △3一玉
▲3六歩 △5四銀 ▲1六歩 △1四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲7九玉 △7四歩 ▲6六歩 △4四歩 ▲3七桂 △7三桂
▲2五歩 △3三銀 ▲8八玉 △2二玉 ▲4五歩 △同 歩
▲3五歩 △4四銀 ▲7五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △6三角 ▲1五歩 △同 歩
▲1三歩 △同 香 ▲2五桂 △1四香 ▲3四歩 △2四歩
▲3三桂成 △同 桂 ▲2四飛 △2三金 ▲1一角 △3二玉
▲3三歩成 △同 銀 ▲4四桂 △同 銀 ▲2三飛成 △同 玉
▲4四角成 △4三金 ▲4五銀 △4四金 ▲同 銀 △3九飛
▲3五銀打 △3二玉 ▲4三歩
まで81手で中断
さて、西尾本には、こう書いてある。
「木村定跡とは故木村十四世名人が定跡化された手順で、図1の局面はまだ駒がぶつかっておらず戦いが始まる前ですが、すでに先手必勝と言われています。」
ウィキペディアには次のように書いてある。「先手勝利まで研究が終わっていることから、完成された定跡とも言われている。」
本当に、木村定跡の図1は、先手必勝なのだろうか。どれだけ差があるのだろうか。ソフトの出番だ。
いつものように、各ソフトに10分間ずつ、考えさせた。
<激指15> 定跡の利用有り
最善手 +81 ▲2四歩
定跡手 ±0 ▲4五歩 定跡に登録されているのに、先手良しになっていない。不思議だ。
<激指15> 定跡の利用なし
最善手 +81 ▲4五歩
次善手 +45 ▲2四歩 読みの深さはプロ+7。
<やねうら王>
+220 ▲4五歩 (やねうら王が示した最善手)
+130 ▲2四歩 (やねうら王が示した次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<水匠3改> 定跡の利用にチェックを入れた
+304 ▲4五歩
-1 ▲2四歩
<水匠3改> 定跡の利用はなし
+281 ▲4五歩
-91 ▲6八金
先手必勝の局面のわりには、やねうら王は、たった220点しか差をつけていない。どういうことなのか。
そこで、次に、一手進めた▲4五歩と仕掛けた局面を調べてみた。いちおう、図を貼っておく。
図2 ▲4五歩と仕掛けた局面

たった一手進めただけだが、この局面が問題だということが判明した。
3つのソフトに調べさせてみる。
<激指15>
+192 △8六歩 (▲4五歩に対する後手の最善手)
+230 △同歩 (▲4五歩に対する後手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+224 △6五歩
+475 △4五同歩
<水匠3改>
+285 △6五歩
+495 △8一飛
やねうら王と水匠が、△4五同歩でなく△6五歩の攻め合いを後手の最善と読んでいる。激指も△8六歩と突き捨てたあと△6五歩を読んでいる。3つのソフトがそろって攻め合いが後手の最善と読んでいるのだ。
そして、点差を大きくつけたがる、やねうら王が、たった224点しか先手にプラスになっていない。こんなんで、本当に先手必勝と言えるのだろうか。
西尾本には、▲4五歩に△6五歩の攻め合いは、全く解説されていない。
さらに、別の問題がある。西尾本の変化手順で、▲4五歩の仕掛けを△同歩以下、次のものがある。
冒頭の棋譜では後手の桂頭を攻める▲7四歩の狙いを後手が△6三角で受けた(52手目)が、△6三金で受けた場合の変化。
初手からKI2形式で張ると、以下のようになる。
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △3二金 ▲7八金 △7七角成 ▲同 銀 △4二銀
▲3八銀 △7二銀 ▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三銀
▲6八玉 △4一玉 ▲5六銀 △5二金 ▲5八金 △3一玉
▲3六歩 △5四銀 ▲1六歩 △1四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲7九玉 △7四歩 ▲6六歩 △4四歩 ▲3七桂 △7三桂
▲2五歩 △3三銀 ▲8八玉 △2二玉 ▲4五歩 △同 歩
▲3五歩 △4四銀 ▲7五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △6三金 ▲1五歩 △同 歩
▲7四歩 △同 金 ▲4一角 △8四金 ▲4五銀 △同銀右
▲同 桂 △同 銀 ▲4三銀 △3一銀 ▲3二銀成 △同 銀
▲6三角成
まで67手で中断
最終図は、こうなっている。
図3 ▲6三角成まで

西尾本では、「最終手▲6三角成が銀桂の両取りとなっており、この変化も先手良しとなっております」
これで西尾の解説は終わっている。
でもソフト的にはどうなのか?この図3の局面を、ソフトに考えさせてみた。
<激指15>
+108 △7六歩
+135 △3七角
<やねうら王>
+197 △3七角
+571 △7六歩
<水匠3改>
+317 △3七角
+440 △7六歩
なんと、驚くべきことに、まだまだ難しいというソフトの判断。
あの辛口で差をつけたがる、やねうら王が、たったの197点差。こんなんで本当に、先手が勝ち切れるのか。
~今回のまとめ~
ソフトで検討させた今回の結果は、すごく興味深いものだった。
「木村定跡は、先手の必勝」という認識は、本当に正しいのか。かなり疑問があるということが分かった。
図1から、▲4五歩には△6五歩の反撃がある。それも難解。
▲4五歩に△同歩と取ってくれたとしても、図3に進み微差しか良くならない。
やねうら王や水匠3改と戦って、図1から確実に勝てるプロが何人いるのだろう。
ぜひ、木村定跡で先手プロvs後手ソフトで、戦ってみてもらいたいものだ。私は後手のソフトが勝つと思ってしまう(^^;
木村定跡は名前を聞いたことがある人も多いと思う。相腰掛銀の先後同型から、先手が仕掛けて、勝勢になるというもの。
この定跡は、先手良しの結論がはっきりしていると言われている。
今回、参考にした棋書は、西尾明プロ著の「よくわかる角換わり」。(2011年初版)
「羽生の頭脳7巻・角換わり最前線」(1993年初版)には木村定跡は全く載ってない。
塚田泰明プロ著の「角換わり初段の常識」(2018年初版)にも、木村定跡は全く載っていない。
木村定跡の図は、以下。
図1 木村定跡 △2二玉まで

西尾本の解説を、一番長い変化手順を初手からKI2形式で張ると、こうなる。
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △3二金 ▲7八金 △7七角成 ▲同 銀 △4二銀
▲3八銀 △7二銀 ▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三銀
▲6八玉 △4一玉 ▲5六銀 △5二金 ▲5八金 △3一玉
▲3六歩 △5四銀 ▲1六歩 △1四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲7九玉 △7四歩 ▲6六歩 △4四歩 ▲3七桂 △7三桂
▲2五歩 △3三銀 ▲8八玉 △2二玉 ▲4五歩 △同 歩
▲3五歩 △4四銀 ▲7五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △6三角 ▲1五歩 △同 歩
▲1三歩 △同 香 ▲2五桂 △1四香 ▲3四歩 △2四歩
▲3三桂成 △同 桂 ▲2四飛 △2三金 ▲1一角 △3二玉
▲3三歩成 △同 銀 ▲4四桂 △同 銀 ▲2三飛成 △同 玉
▲4四角成 △4三金 ▲4五銀 △4四金 ▲同 銀 △3九飛
▲3五銀打 △3二玉 ▲4三歩
まで81手で中断
さて、西尾本には、こう書いてある。
「木村定跡とは故木村十四世名人が定跡化された手順で、図1の局面はまだ駒がぶつかっておらず戦いが始まる前ですが、すでに先手必勝と言われています。」
ウィキペディアには次のように書いてある。「先手勝利まで研究が終わっていることから、完成された定跡とも言われている。」
本当に、木村定跡の図1は、先手必勝なのだろうか。どれだけ差があるのだろうか。ソフトの出番だ。
いつものように、各ソフトに10分間ずつ、考えさせた。
<激指15> 定跡の利用有り
最善手 +81 ▲2四歩
定跡手 ±0 ▲4五歩 定跡に登録されているのに、先手良しになっていない。不思議だ。
<激指15> 定跡の利用なし
最善手 +81 ▲4五歩
次善手 +45 ▲2四歩 読みの深さはプロ+7。
<やねうら王>
+220 ▲4五歩 (やねうら王が示した最善手)
+130 ▲2四歩 (やねうら王が示した次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<水匠3改> 定跡の利用にチェックを入れた
+304 ▲4五歩
-1 ▲2四歩
<水匠3改> 定跡の利用はなし
+281 ▲4五歩
-91 ▲6八金
先手必勝の局面のわりには、やねうら王は、たった220点しか差をつけていない。どういうことなのか。
そこで、次に、一手進めた▲4五歩と仕掛けた局面を調べてみた。いちおう、図を貼っておく。
図2 ▲4五歩と仕掛けた局面

たった一手進めただけだが、この局面が問題だということが判明した。
3つのソフトに調べさせてみる。
<激指15>
+192 △8六歩 (▲4五歩に対する後手の最善手)
+230 △同歩 (▲4五歩に対する後手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+224 △6五歩
+475 △4五同歩
<水匠3改>
+285 △6五歩
+495 △8一飛
やねうら王と水匠が、△4五同歩でなく△6五歩の攻め合いを後手の最善と読んでいる。激指も△8六歩と突き捨てたあと△6五歩を読んでいる。3つのソフトがそろって攻め合いが後手の最善と読んでいるのだ。
そして、点差を大きくつけたがる、やねうら王が、たった224点しか先手にプラスになっていない。こんなんで、本当に先手必勝と言えるのだろうか。
西尾本には、▲4五歩に△6五歩の攻め合いは、全く解説されていない。
さらに、別の問題がある。西尾本の変化手順で、▲4五歩の仕掛けを△同歩以下、次のものがある。
冒頭の棋譜では後手の桂頭を攻める▲7四歩の狙いを後手が△6三角で受けた(52手目)が、△6三金で受けた場合の変化。
初手からKI2形式で張ると、以下のようになる。
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △3二金 ▲7八金 △7七角成 ▲同 銀 △4二銀
▲3八銀 △7二銀 ▲4六歩 △6四歩 ▲4七銀 △6三銀
▲6八玉 △4一玉 ▲5六銀 △5二金 ▲5八金 △3一玉
▲3六歩 △5四銀 ▲1六歩 △1四歩 ▲9六歩 △9四歩
▲7九玉 △7四歩 ▲6六歩 △4四歩 ▲3七桂 △7三桂
▲2五歩 △3三銀 ▲8八玉 △2二玉 ▲4五歩 △同 歩
▲3五歩 △4四銀 ▲7五歩 △同 歩 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △6三金 ▲1五歩 △同 歩
▲7四歩 △同 金 ▲4一角 △8四金 ▲4五銀 △同銀右
▲同 桂 △同 銀 ▲4三銀 △3一銀 ▲3二銀成 △同 銀
▲6三角成
まで67手で中断
最終図は、こうなっている。
図3 ▲6三角成まで

西尾本では、「最終手▲6三角成が銀桂の両取りとなっており、この変化も先手良しとなっております」
これで西尾の解説は終わっている。
でもソフト的にはどうなのか?この図3の局面を、ソフトに考えさせてみた。
<激指15>
+108 △7六歩
+135 △3七角
<やねうら王>
+197 △3七角
+571 △7六歩
<水匠3改>
+317 △3七角
+440 △7六歩
なんと、驚くべきことに、まだまだ難しいというソフトの判断。
あの辛口で差をつけたがる、やねうら王が、たったの197点差。こんなんで本当に、先手が勝ち切れるのか。
~今回のまとめ~
ソフトで検討させた今回の結果は、すごく興味深いものだった。
「木村定跡は、先手の必勝」という認識は、本当に正しいのか。かなり疑問があるということが分かった。
図1から、▲4五歩には△6五歩の反撃がある。それも難解。
▲4五歩に△同歩と取ってくれたとしても、図3に進み微差しか良くならない。
やねうら王や水匠3改と戦って、図1から確実に勝てるプロが何人いるのだろう。
ぜひ、木村定跡で先手プロvs後手ソフトで、戦ってみてもらいたいものだ。私は後手のソフトが勝つと思ってしまう(^^;
2021.06.06
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~筋違い角・V作戦~
第9回。今回は、特別編として、私と友人の実戦から生み出した、新戦法を御覧いただきたい。
名付けて「筋違い角・V作戦」。使える戦法と、ソフトのお墨付き!
まず初手から▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀と、角換わり模様に進む。(図1)
ここまでは、後手が角換わりを目指すなら、充分ありうる定跡手順。
図1

ここで△7七角成としてくれば、先手はV作戦の発動だ。なお、V作戦とは、アニメのガンダムに出てくる作戦名だ。
△7七角成でなく△3二金の場合は、後手が一手得になり、V作戦がやりにくい。
図1から△7七角成▲同銀△2二銀▲4五角と打って、V作戦の開始。(図2)
図2

図2以下、△6二銀▲3四角△3二金▲5六角と進み、図3へ。この▲5六角が、右斜めと左斜めの前方に利いていることから、V作戦という名前をつけた。
図3

図3以下、後手は壁銀を直す△3三銀。そこで▲8八飛と振る。それが図4。
図4

図4以下、スキありとみて後手が△2七角としたが、これは悪手。▲8六歩△同歩▲8三歩と進めて、V作戦の成功。図5へ。
図5

図5以下、△9二飛▲8六飛△7二金▲8八歩成△同飛▲8四歩として、図6へ。
図6

図6は先手有利。(やねうら王で+650ほど) V作戦、大成功だ。図6以下も、△7四歩からまだ手は長いのだが、省略させてもらう。
~V作戦マニュアル~
角換わりの出だしから、▲4五角と筋違い角を打ち、▲5六角~▲8八飛で8筋逆襲から▲8三歩を狙う。単純な作戦だ。
しかし、後手としては序盤早々、まだ思考が始まっていないうちに戦いを起こされ、「いったいいつの間に悪くなったんだ」という現象が起きる。途中、後手の△2七角がはっきり悪手。
このV作戦への対策は、△7七角成の前に△3二金と上がること。(先手から角交換させれば、後手の一手得)
そして△6二銀ではなく△7二銀と上がる。(8三の地点に利かせておく) △2七角と打ち込むときはよく考える。この3点セットだ。
最後にシャアから一言。「勝利の栄光を、君に!」
KI2形式でもまとめておく。
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀 ▲4五角 △6二銀
▲3四角 △3二金 ▲5六角 △3三銀 ▲8八飛 △2七角
▲8六歩 △同 歩 ▲8三歩 △9二飛 ▲8六飛 △7二金
▲8二歩成 △同 飛 ▲8四歩
まで27手で中断
名付けて「筋違い角・V作戦」。使える戦法と、ソフトのお墨付き!
まず初手から▲7六歩△8四歩▲2六歩△8五歩▲7七角△3四歩▲8八銀と、角換わり模様に進む。(図1)
ここまでは、後手が角換わりを目指すなら、充分ありうる定跡手順。
図1

ここで△7七角成としてくれば、先手はV作戦の発動だ。なお、V作戦とは、アニメのガンダムに出てくる作戦名だ。
△7七角成でなく△3二金の場合は、後手が一手得になり、V作戦がやりにくい。
図1から△7七角成▲同銀△2二銀▲4五角と打って、V作戦の開始。(図2)
図2

図2以下、△6二銀▲3四角△3二金▲5六角と進み、図3へ。この▲5六角が、右斜めと左斜めの前方に利いていることから、V作戦という名前をつけた。
図3

図3以下、後手は壁銀を直す△3三銀。そこで▲8八飛と振る。それが図4。
図4

図4以下、スキありとみて後手が△2七角としたが、これは悪手。▲8六歩△同歩▲8三歩と進めて、V作戦の成功。図5へ。
図5

図5以下、△9二飛▲8六飛△7二金▲8八歩成△同飛▲8四歩として、図6へ。
図6

図6は先手有利。(やねうら王で+650ほど) V作戦、大成功だ。図6以下も、△7四歩からまだ手は長いのだが、省略させてもらう。
~V作戦マニュアル~
角換わりの出だしから、▲4五角と筋違い角を打ち、▲5六角~▲8八飛で8筋逆襲から▲8三歩を狙う。単純な作戦だ。
しかし、後手としては序盤早々、まだ思考が始まっていないうちに戦いを起こされ、「いったいいつの間に悪くなったんだ」という現象が起きる。途中、後手の△2七角がはっきり悪手。
このV作戦への対策は、△7七角成の前に△3二金と上がること。(先手から角交換させれば、後手の一手得)
そして△6二銀ではなく△7二銀と上がる。(8三の地点に利かせておく) △2七角と打ち込むときはよく考える。この3点セットだ。
最後にシャアから一言。「勝利の栄光を、君に!」
KI2形式でもまとめておく。
▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩 ▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀 ▲4五角 △6二銀
▲3四角 △3二金 ▲5六角 △3三銀 ▲8八飛 △2七角
▲8六歩 △同 歩 ▲8三歩 △9二飛 ▲8六飛 △7二金
▲8二歩成 △同 飛 ▲8四歩
まで27手で中断
2021.06.05
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~筋違い角の対策~
第8回は、筋違い角の対策について。
「イメージと読みの将棋観1」(2008年初版)に、テーマとして筋違い角がモロに載っている。そこから紹介したい。
質問・先手の筋違い角(5手目▲4五角まで)の勝率は?
羽生・森内「50%弱」
谷川「45%。やってこられたら、かなりありがたい」
渡辺明「30%」
佐藤康光「20~25%」
藤井猛「1割。後手の楽勝」
その藤井猛が推薦する後手の駒組みが、下図。(△4五歩まで)
藤井「図から自在に指す。後手は振り飛車にする可能性もある」

この図をソフトはどう評価するか。各10分ずつ考えさせた。
<激指15>
-207 ▲1六歩 (図からの先手の最善手)
-207 ▲4八玉 (図からの先手の次善手) 以下、他のソフトも同様。
<やねうら王>
-387 ▲4八玉
-420 ▲7五歩
<水匠3改>
-256 ▲4八玉
-275 ▲2八銀
~今回のまとめ~
3ソフトの最善手の平均値は、-283だった。前回、▲4五角と打った局面での平均値は-249だったので、後手としては順調に差を広げているということになる。この藤井猛が薦める駒組みは、非常に参考になる。
・・・のだが、問題点もある。筋違い角側が、振り飛車にしたら、受けて立つ後手はこの駒組みでいいだろう。
しかし、筋違い角側が居飛車で来たら、後手はどうするのか。全く不明だ。私の考えでは、筋違い角側は3四の歩を取っていて、角は2~3筋方面に利いているのだから、先手は居飛車にして右側を攻撃するのが理にかなっていると思う。正直、筋違い角側が振り飛車にする意味が分からない。
そして、筋違い角の後手バージョン(△6五角)の場合は、受けて立つ側はどうすればいいのか。
受けて立つ先手としては▲2六歩が突いてあるが、この藤井猛流の駒組みでいいのか。▲2六歩を突いているのに、そこから先手が振り飛車にしたら、▲2六歩の意味は全くなくなる。というわけで、後手の筋違い角も、有力ではないのか。
私は先手でも後手でも筋違い角は有力な戦法だと思っている。
「イメージと読みの将棋観1」でのデータによると、昭和57年~平成20年までプロで94局指され、先手の36勝57敗だそうだ。
そのうち、圧倒的に武市三郎が多く採用していて、武市は32勝42敗という成績を残している。(勝率0.432)
プロでは、持ち時間が長い。なおかつ事前に相手が誰だか分かっている。武市と戦ったプロたちは、事前に筋違い角の研究をしたはずだ。それでも4割以上、武市は勝てた。武市は、プロでは下位の人だ。もし上位プロが筋違い角を採用していたら、5割勝てたんじゃないかと思ってしまう(^^;
ぜひ、羽生vs藤井猛の「指定局面・筋違い角で7番勝負」を見てみたい。
次回は、私の実戦から、友人と共に考えた、筋違い角の新構想を取り上げてみたい。
「イメージと読みの将棋観1」(2008年初版)に、テーマとして筋違い角がモロに載っている。そこから紹介したい。
質問・先手の筋違い角(5手目▲4五角まで)の勝率は?
羽生・森内「50%弱」
谷川「45%。やってこられたら、かなりありがたい」
渡辺明「30%」
佐藤康光「20~25%」
藤井猛「1割。後手の楽勝」
その藤井猛が推薦する後手の駒組みが、下図。(△4五歩まで)
藤井「図から自在に指す。後手は振り飛車にする可能性もある」

この図をソフトはどう評価するか。各10分ずつ考えさせた。
<激指15>
-207 ▲1六歩 (図からの先手の最善手)
-207 ▲4八玉 (図からの先手の次善手) 以下、他のソフトも同様。
<やねうら王>
-387 ▲4八玉
-420 ▲7五歩
<水匠3改>
-256 ▲4八玉
-275 ▲2八銀
~今回のまとめ~
3ソフトの最善手の平均値は、-283だった。前回、▲4五角と打った局面での平均値は-249だったので、後手としては順調に差を広げているということになる。この藤井猛が薦める駒組みは、非常に参考になる。
・・・のだが、問題点もある。筋違い角側が、振り飛車にしたら、受けて立つ後手はこの駒組みでいいだろう。
しかし、筋違い角側が居飛車で来たら、後手はどうするのか。全く不明だ。私の考えでは、筋違い角側は3四の歩を取っていて、角は2~3筋方面に利いているのだから、先手は居飛車にして右側を攻撃するのが理にかなっていると思う。正直、筋違い角側が振り飛車にする意味が分からない。
そして、筋違い角の後手バージョン(△6五角)の場合は、受けて立つ側はどうすればいいのか。
受けて立つ先手としては▲2六歩が突いてあるが、この藤井猛流の駒組みでいいのか。▲2六歩を突いているのに、そこから先手が振り飛車にしたら、▲2六歩の意味は全くなくなる。というわけで、後手の筋違い角も、有力ではないのか。
私は先手でも後手でも筋違い角は有力な戦法だと思っている。
「イメージと読みの将棋観1」でのデータによると、昭和57年~平成20年までプロで94局指され、先手の36勝57敗だそうだ。
そのうち、圧倒的に武市三郎が多く採用していて、武市は32勝42敗という成績を残している。(勝率0.432)
プロでは、持ち時間が長い。なおかつ事前に相手が誰だか分かっている。武市と戦ったプロたちは、事前に筋違い角の研究をしたはずだ。それでも4割以上、武市は勝てた。武市は、プロでは下位の人だ。もし上位プロが筋違い角を採用していたら、5割勝てたんじゃないかと思ってしまう(^^;
ぜひ、羽生vs藤井猛の「指定局面・筋違い角で7番勝負」を見てみたい。
次回は、私の実戦から、友人と共に考えた、筋違い角の新構想を取り上げてみたい。
2021.06.04
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~筋違い角の先手バージョンと後手バージョン~
第7回となった。今回から、ようやく本格的に奇襲戦法を取り上げる。
今日から3回連続で、筋違い角を調べる。まずは、筋違い角の先手バージョンと後手バージョン。
先手バージョンは、初手から▲7六歩△3四歩▲2二角成△同銀▲4五角。(図1)
後手バージョンは、初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△8八角成▲同銀△6五角。(図2)
筋違い角という戦法に対して、ソフトはどのような数値を示すのか。個人的にとても興味があった。
いつものように、3つのソフトで各10分ずつ、計測した。候補手は3つで調べたが、ここに載せたのは2つ。
図1 先手の筋違い角 5手目▲4五角まで

<激指15>
-168 △5二金右 (ソフトが示した6手目の最善手)
-166 △7二銀 (ソフトが示した6手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
-335 △7二銀
-331 △6二銀
<水匠3改>
-245 △6二銀
-222 △5二金右
図2 後手の筋違い角 6手目△6五角まで

<激指15>
+226 ▲3八銀 (ソフトが示した7手目の最善手)
+221 ▲4八銀 (ソフトが示した7手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+437 ▲3八銀
+406 ▲4八銀
<水匠3改>
+311 ▲3八銀
+306 ▲4八銀
~今回のまとめ~
先手の筋違い角が、最善手の平均が-249。(受けて立つ後手が有利)
後手の筋違い角が、最善手の平均+325。(受けて立つ先手が有利)
いずれも筋違い角側にとって、厳しい評価値となった。でも、約300点差くらい、アマの早指しだとワンチャンスで逆転できるぜ!と思えば、充分に使えるのだが。
それに何より、筋違い角は、やる側に圧倒的な経験値が溜まりやすい。やられる側はめったに体験する機会がないのだ。ノーマル振り飛車党に対して使うのも面白い。
さて、今回、なぜ後手の筋違い角も調べたのか。それは、筋違い角対策に関係しているのだ。受けて立つ側が振り飛車にすることがあるのだ。そうすると、受けて立つ側が飛車先を突いた手(▲2六歩)が、何の意味もなくなる。だから、後手で筋違い角も、充分ありうる作戦と私は思う。
その辺りは、明日の対策編に続く。参考棋書として、「イメージと読みの将棋観1」がある。それを取り上げたい。
今日から3回連続で、筋違い角を調べる。まずは、筋違い角の先手バージョンと後手バージョン。
先手バージョンは、初手から▲7六歩△3四歩▲2二角成△同銀▲4五角。(図1)
後手バージョンは、初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△8八角成▲同銀△6五角。(図2)
筋違い角という戦法に対して、ソフトはどのような数値を示すのか。個人的にとても興味があった。
いつものように、3つのソフトで各10分ずつ、計測した。候補手は3つで調べたが、ここに載せたのは2つ。
図1 先手の筋違い角 5手目▲4五角まで

<激指15>
-168 △5二金右 (ソフトが示した6手目の最善手)
-166 △7二銀 (ソフトが示した6手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
-335 △7二銀
-331 △6二銀
<水匠3改>
-245 △6二銀
-222 △5二金右
図2 後手の筋違い角 6手目△6五角まで

<激指15>
+226 ▲3八銀 (ソフトが示した7手目の最善手)
+221 ▲4八銀 (ソフトが示した7手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+437 ▲3八銀
+406 ▲4八銀
<水匠3改>
+311 ▲3八銀
+306 ▲4八銀
~今回のまとめ~
先手の筋違い角が、最善手の平均が-249。(受けて立つ後手が有利)
後手の筋違い角が、最善手の平均+325。(受けて立つ先手が有利)
いずれも筋違い角側にとって、厳しい評価値となった。でも、約300点差くらい、アマの早指しだとワンチャンスで逆転できるぜ!と思えば、充分に使えるのだが。
それに何より、筋違い角は、やる側に圧倒的な経験値が溜まりやすい。やられる側はめったに体験する機会がないのだ。ノーマル振り飛車党に対して使うのも面白い。
さて、今回、なぜ後手の筋違い角も調べたのか。それは、筋違い角対策に関係しているのだ。受けて立つ側が振り飛車にすることがあるのだ。そうすると、受けて立つ側が飛車先を突いた手(▲2六歩)が、何の意味もなくなる。だから、後手で筋違い角も、充分ありうる作戦と私は思う。
その辺りは、明日の対策編に続く。参考棋書として、「イメージと読みの将棋観1」がある。それを取り上げたい。
2021.06.03
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~ノーマル振り飛車~
第6回の今回は、ノーマル振り飛車の数値を調べる。先手が振り飛車。初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△8四歩と進んで、図の局面になる。ここで5手目▲7八飛or▲6八飛or▲5八飛とした場合に、ソフトはどんな数値を出すか。
ノーマル振り飛車は奇襲じゃないだろ、という声もあるが、奇襲と比べてどれほど違うのか、が知りたいのだ。
今回も10分間ずつ、考えさせた。なお、今回は6手目は手が広くあまり重要ではないので、候補手は1つだけ載せることにした(調べ方は候補手は3つ)

① 図から▲7八飛の三間飛車
<激指15>
-76 △8五歩 (ソフトが示した6手目の最善手) 以下、他の場合も同様。
<やねうら王>
-176 △8五歩
<水匠3改>
-108 △1四歩
② 図から▲6八飛の四間飛車
<激指15>
-56 △4二玉
<やねうら王>
-161 △1四歩
<水匠3改>
-126 △6二銀
③ 図から▲5八飛の中飛車
<激指15>
-77 △5二金右
<やねうら王>
-213 △4二玉
<水匠3改>
-140 △4二玉
~今回のまとめ~
やはり、ノーマル振り飛車にすると数値がマイナスになっている。これは予想どおりだった。特に中飛車が数値が低い。それも予想どおり。
平均値は、三間飛車が-120。四間飛車が-114。中飛車が-143。
あまり面白味のない数値が結果として出た(^^;
さて、3つのソフトの特徴だが、もう分かってきた。激指がマイルド、やねうら王が辛口、水匠が中間だ。
水匠の数値だけでいいか?とも思うのだが、まあせっかくなので3つで調べていきたい。
次回は筋違い角をテーマにする予定。でも明日は用事があるので、更新はあさって以降になりそう。
ノーマル振り飛車は奇襲じゃないだろ、という声もあるが、奇襲と比べてどれほど違うのか、が知りたいのだ。
今回も10分間ずつ、考えさせた。なお、今回は6手目は手が広くあまり重要ではないので、候補手は1つだけ載せることにした(調べ方は候補手は3つ)

① 図から▲7八飛の三間飛車
<激指15>
-76 △8五歩 (ソフトが示した6手目の最善手) 以下、他の場合も同様。
<やねうら王>
-176 △8五歩
<水匠3改>
-108 △1四歩
② 図から▲6八飛の四間飛車
<激指15>
-56 △4二玉
<やねうら王>
-161 △1四歩
<水匠3改>
-126 △6二銀
③ 図から▲5八飛の中飛車
<激指15>
-77 △5二金右
<やねうら王>
-213 △4二玉
<水匠3改>
-140 △4二玉
~今回のまとめ~
やはり、ノーマル振り飛車にすると数値がマイナスになっている。これは予想どおりだった。特に中飛車が数値が低い。それも予想どおり。
平均値は、三間飛車が-120。四間飛車が-114。中飛車が-143。
あまり面白味のない数値が結果として出た(^^;
さて、3つのソフトの特徴だが、もう分かってきた。激指がマイルド、やねうら王が辛口、水匠が中間だ。
水匠の数値だけでいいか?とも思うのだが、まあせっかくなので3つで調べていきたい。
次回は筋違い角をテーマにする予定。でも明日は用事があるので、更新はあさって以降になりそう。
2021.06.02
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~後手の2手目△6二銀と△6二玉~
第5回の今日も初手▲7六歩に対する、後手の2手目を調べていく。
今回のテーマは▲7六歩△6二銀、そして▲7六歩△6二玉。
この2つの手も、奇襲の範囲と言えると思うので、調べた。
△6二銀は、先手が振り飛車をしたら、後手は飛車先突かず+角道開けずのままの作戦を選ぶことができる。
半面、先手が居飛車で来ると、ちょっと後手が不利になる作戦だ。
△6二玉は、いわずもがなの、2012年第1回電王戦で、▲ボンクラーズvs△米長会長で指された手。
各ソフトに10分、考えさせた。候補手は3つで調べたが、ここに載せたのは2つにとどめた。
①初手から▲7六歩△6二銀
<激指15>
+54 ▲2六歩 (ソフトが示した、3手目の最善手)
+54 ▲7八金 (ソフトが示した、3手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+120 ▲2六歩
+82 ▲4八銀
<水匠3改>
+101 ▲3八銀
+88 ▲2六歩
②初手から▲7六歩△6二玉
<激指15>
+136 ▲2六歩
+131 ▲7八金
<やねうら王>
+265 ▲2六歩
+191 ▲3八銀
<水匠3改>
+163 ▲7八金
+151 ▲2六歩
~今回のまとめ~
▲7六歩△6二銀は、私の予想ではもっと先手が有利になるかと思ったが、そうでもなかった。+100ほどで治まっている。
相手が振り飛車党なら、実戦で使っていけばいいだろう。「イメージと読みの将棋感1」でも取り上げられており、そこではプロ間では先手の11勝10敗(平成元年~平成20年まで)という記録が残っている。藤井猛がB1の順位戦で三浦に△6二銀を指され、「アツイ!」と叫んで3手目▲2六歩から居飛車にしたら負けた、と語っている。
▲7六歩△6二玉は、2012年当時のボンクラーズでは、△6二玉を、とがめることが出来なかった。(結果はボンクラーズが勝ったが、作戦的には米長の思惑どうりに進んだ)
今のソフトなら、△6二玉を、とがめることができそうだ。やねうら王が+265を示しているのだから。
次回は、ノーマル振り飛車について調べる予定。
今回のテーマは▲7六歩△6二銀、そして▲7六歩△6二玉。
この2つの手も、奇襲の範囲と言えると思うので、調べた。
△6二銀は、先手が振り飛車をしたら、後手は飛車先突かず+角道開けずのままの作戦を選ぶことができる。
半面、先手が居飛車で来ると、ちょっと後手が不利になる作戦だ。
△6二玉は、いわずもがなの、2012年第1回電王戦で、▲ボンクラーズvs△米長会長で指された手。
各ソフトに10分、考えさせた。候補手は3つで調べたが、ここに載せたのは2つにとどめた。
①初手から▲7六歩△6二銀
<激指15>
+54 ▲2六歩 (ソフトが示した、3手目の最善手)
+54 ▲7八金 (ソフトが示した、3手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+120 ▲2六歩
+82 ▲4八銀
<水匠3改>
+101 ▲3八銀
+88 ▲2六歩
②初手から▲7六歩△6二玉
<激指15>
+136 ▲2六歩
+131 ▲7八金
<やねうら王>
+265 ▲2六歩
+191 ▲3八銀
<水匠3改>
+163 ▲7八金
+151 ▲2六歩
~今回のまとめ~
▲7六歩△6二銀は、私の予想ではもっと先手が有利になるかと思ったが、そうでもなかった。+100ほどで治まっている。
相手が振り飛車党なら、実戦で使っていけばいいだろう。「イメージと読みの将棋感1」でも取り上げられており、そこではプロ間では先手の11勝10敗(平成元年~平成20年まで)という記録が残っている。藤井猛がB1の順位戦で三浦に△6二銀を指され、「アツイ!」と叫んで3手目▲2六歩から居飛車にしたら負けた、と語っている。
▲7六歩△6二玉は、2012年当時のボンクラーズでは、△6二玉を、とがめることが出来なかった。(結果はボンクラーズが勝ったが、作戦的には米長の思惑どうりに進んだ)
今のソフトなら、△6二玉を、とがめることができそうだ。やねうら王が+265を示しているのだから。
次回は、ノーマル振り飛車について調べる予定。
2021.06.01
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~後手の2手目△3二金と△3二飛~
第4回の今回も、初手▲7六歩に対する後手の2手目について調べていく。
2手目△3二金と、2手目△3二飛だ。
△3二金というのは、後手が先手に対し振り飛車を誘っている手だ。どのくらい先手有利になるのか、それともならないのか。
△3二飛というのは、今泉三段が升田幸三賞(2007年)を獲った手。どのくらい有効な手なのか。
各ソフトに考慮させた時間は10分。3手目の候補手は3つで考えさせたが、ここで紹介するのは2つにとどめた。
①初手▲7六歩に△3二金
<激指15>
+21 ▲7八銀 (3手目の最善手) 意味が分からない手だが、こう出てしまったのだ。
+20 ▲7八金 (3手目の次善手) 以下、他のソフトも同様。
<やねうら王>
+41 ▲7八金
+27 ▲2六歩
<水匠3改>
+42 ▲2六歩
+40 ▲7八金
②初手▲7六歩に△3二飛
<激指15>
+90 ▲2六歩
+105 ▲6八玉 (次善手のほうが点が高いが、よくある現象)
<やねうら王>
+272 ▲6八玉
+248 ▲2六歩
<水匠3改>
+178 ▲2六歩
+185 ▲4八銀 (次善手のほうが点が高いが、よくある現象)
~今回のまとめ~
ソフト的には、2手目△3二金は先手の数値が上がらない。△3二金は良い手で、これを先手が振り飛車でとがめに行くのは、ソフトは考えないようだ。やねうら王で候補手を15手にして10分間計測したが、飛車を振る手は一手も候補に現れなかった。
2手目△3二飛は先手の数値が上がる。それもかなり。やねうら王は+272点を叩きだした。研究すれば、明解な欠点があるのかもしれない。
ソフトが振り飛車は不利だと考えているのがよくわかる結果となった。
次回も初手▲7六歩に対する後手の2手目について書く予定。
2手目△3二金と、2手目△3二飛だ。
△3二金というのは、後手が先手に対し振り飛車を誘っている手だ。どのくらい先手有利になるのか、それともならないのか。
△3二飛というのは、今泉三段が升田幸三賞(2007年)を獲った手。どのくらい有効な手なのか。
各ソフトに考慮させた時間は10分。3手目の候補手は3つで考えさせたが、ここで紹介するのは2つにとどめた。
①初手▲7六歩に△3二金
<激指15>
+21 ▲7八銀 (3手目の最善手) 意味が分からない手だが、こう出てしまったのだ。
+20 ▲7八金 (3手目の次善手) 以下、他のソフトも同様。
<やねうら王>
+41 ▲7八金
+27 ▲2六歩
<水匠3改>
+42 ▲2六歩
+40 ▲7八金
②初手▲7六歩に△3二飛
<激指15>
+90 ▲2六歩
+105 ▲6八玉 (次善手のほうが点が高いが、よくある現象)
<やねうら王>
+272 ▲6八玉
+248 ▲2六歩
<水匠3改>
+178 ▲2六歩
+185 ▲4八銀 (次善手のほうが点が高いが、よくある現象)
~今回のまとめ~
ソフト的には、2手目△3二金は先手の数値が上がらない。△3二金は良い手で、これを先手が振り飛車でとがめに行くのは、ソフトは考えないようだ。やねうら王で候補手を15手にして10分間計測したが、飛車を振る手は一手も候補に現れなかった。
2手目△3二飛は先手の数値が上がる。それもかなり。やねうら王は+272点を叩きだした。研究すれば、明解な欠点があるのかもしれない。
ソフトが振り飛車は不利だと考えているのがよくわかる結果となった。
次回も初手▲7六歩に対する後手の2手目について書く予定。
2021.05.31
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~後手の2手目端歩突き~
今回は第3回となる。
初手▲7六歩に対して、後手が2手目△9四歩と突いた場合。そして2手目△1四歩と突いた場合を調べてみた。
奇襲と言えば奇襲だ。阪田三吉が後手で▲7六歩△9四歩も▲7六歩△1四歩も指していることで有名。
なお、今回から、考慮時間を10分にした。待つのがつらいが、せっかくなので長く考えさせた。
3手目の先手の候補手の数は3つで調べたが、この記事では2つだけ取り上げることにした。
候補手の数が多いとごちゃごちゃしてしまうので。
①初手から▲7六歩△9四歩 (後手が飛車側の端歩を突く)
<激指15>
+78 ▲2六歩 (ソフトが示した、3手目の最善手)
+62 ▲3八銀 (ソフトが示した、3手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+124 ▲2六歩
+106 ▲6八玉
<水匠3改>
+98 ▲5八玉
+45 ▲2六歩
②初手から▲7六歩△1四歩 (後手が角側の端歩を突く)
<激指15>
+56 ▲7八金
+56 ▲2六歩
<やねうら王>
+82 ▲2六歩
+86 ▲7八金 (最善手より高い数字だが、こういうことはよくある現象)
<水匠3改>
+61 ▲2六歩
+54 ▲7八金
~今回のまとめ~
△9四歩の局面の平均数値は、+100。△1四歩の局面の平均数値は、+66。(評価値の一番手の数字を合計して3で割った)
この△9四歩と△1四歩という手は、「イメージと読みの将棋観1」に詳しい。その本での結論は、△9四歩より△1四歩のほうが、とがめにくい、というものだった。今回のソフトの検討でも、それが見て取れる。
前も書いたが、ソフトは振り飛車を不利と見ているので、あまり振ることをしない。だから△9四歩を活かしにくいのだと思う。
これは余談だが、マンガ「月下の棋士」で、主人公の氷室が端歩突きを得意にしている。1巻でのライバルの滝川との対戦で、滝川が先手で▲7六歩、氷室が2手目△9四歩と突く。そして滝川が▲5六歩と突き、そこで氷室の封じ手となる。
「イメージと読みの将棋観1」では、森内、谷川、渡辺の三者が3手目は▲5六歩と突きたい、と語っている。
「月下の棋士」の初版が1996年。「イメージと読みの将棋観1」の初版が2008年だ。
なんと12年前に「月下の棋士」で▲7六歩△9四歩▲5六歩という手順が考えられていたのだった。
今回の調査では、候補手3手の中で▲5六歩は残念ながら、3つのソフトの中では見られなかった。
次回も初手▲7六歩に対する後手の2手目について書く予定。
初手▲7六歩に対して、後手が2手目△9四歩と突いた場合。そして2手目△1四歩と突いた場合を調べてみた。
奇襲と言えば奇襲だ。阪田三吉が後手で▲7六歩△9四歩も▲7六歩△1四歩も指していることで有名。
なお、今回から、考慮時間を10分にした。待つのがつらいが、せっかくなので長く考えさせた。
3手目の先手の候補手の数は3つで調べたが、この記事では2つだけ取り上げることにした。
候補手の数が多いとごちゃごちゃしてしまうので。
①初手から▲7六歩△9四歩 (後手が飛車側の端歩を突く)
<激指15>
+78 ▲2六歩 (ソフトが示した、3手目の最善手)
+62 ▲3八銀 (ソフトが示した、3手目の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
+124 ▲2六歩
+106 ▲6八玉
<水匠3改>
+98 ▲5八玉
+45 ▲2六歩
②初手から▲7六歩△1四歩 (後手が角側の端歩を突く)
<激指15>
+56 ▲7八金
+56 ▲2六歩
<やねうら王>
+82 ▲2六歩
+86 ▲7八金 (最善手より高い数字だが、こういうことはよくある現象)
<水匠3改>
+61 ▲2六歩
+54 ▲7八金
~今回のまとめ~
△9四歩の局面の平均数値は、+100。△1四歩の局面の平均数値は、+66。(評価値の一番手の数字を合計して3で割った)
この△9四歩と△1四歩という手は、「イメージと読みの将棋観1」に詳しい。その本での結論は、△9四歩より△1四歩のほうが、とがめにくい、というものだった。今回のソフトの検討でも、それが見て取れる。
前も書いたが、ソフトは振り飛車を不利と見ているので、あまり振ることをしない。だから△9四歩を活かしにくいのだと思う。
これは余談だが、マンガ「月下の棋士」で、主人公の氷室が端歩突きを得意にしている。1巻でのライバルの滝川との対戦で、滝川が先手で▲7六歩、氷室が2手目△9四歩と突く。そして滝川が▲5六歩と突き、そこで氷室の封じ手となる。
「イメージと読みの将棋観1」では、森内、谷川、渡辺の三者が3手目は▲5六歩と突きたい、と語っている。
「月下の棋士」の初版が1996年。「イメージと読みの将棋観1」の初版が2008年だ。
なんと12年前に「月下の棋士」で▲7六歩△9四歩▲5六歩という手順が考えられていたのだった。
今回の調査では、候補手3手の中で▲5六歩は残念ながら、3つのソフトの中では見られなかった。
次回も初手▲7六歩に対する後手の2手目について書く予定。
2021.05.30
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~初手の最悪手~
第2回の今回は、まだ奇襲戦法には行かない(^^;
初手の最悪手は何か、調べてみた。
初手▲7八銀や▲8六歩は、ある意味、奇襲であると思う(笑)
どの手が最悪手になるか、みなさんも予想して欲しい。
エントリーしたのは、次の6種類の手。
初手▲7八銀
初手▲3八金
初手▲5八金左
初手▲8六歩
初手▲9八香
初手▲1八香
では、激指15と、やねうら王と、水匠3改で調べてみよう。考慮させた時間は5分。その手に対する後手の候補手の数は3つで調べたが、この記事で紹介するのは2つにとどめた。ごちゃごちゃしてしまうから。評価値のマイナスが大きいほど、後手が有利ということを示している。
①初手▲7八銀 (先手が角道を開けにくくなる手)
<激指15>
-34 △3四歩 (初手▲7八銀に対する後手の最善手)
+11 △6二銀 (初手▲7八銀に対する後手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
-50 △3四歩
+25 △6二銀
<水匠3改>
-35 △3四歩
+1 △7四歩
結果、初手▲7八銀は、それほど大きなマイナスにはならないようだ。そして、この初手をとがめるなら、後手は△3四歩。これは当然でしょう。
②初手▲3八金 (2017年の電王戦で、佐藤天彦名人にPonanzaが指した手)
<激指15>
-50 △8四歩
-50 △3四歩
<やねうら王>
-50 △8四歩
-40 △4四歩
<水匠3改>
-84 △3四歩
-50 △8四歩
初手▲3八金も、そこまで悪いというわけではなさそうだ。まあ、Ponanzaが選んだくらいだからね。やねうら王の2番手候補手の△4四歩って何だ。▲3八金△4四歩って、もう意味わからんね(笑) 水匠が厳しめの評価をつけている。
③初手▲5八金左 (先手は角頭を守りにくくなる手)
<激指15>
-130 △8四歩
-130 △3四歩
<やねうら王>
-185 △8四歩
-152 △3四歩
<水匠3改>
-116 △8四歩
-134 △3四歩
初手▲5八金左は、かなり悪い数値が出た。(水匠の評価値が、次善手のほうがマイナスが大きく、後手にとって△3四歩のほうが良い手だが、最善手の順番が数値どおりにならないこともあるようだ)
④初手▲8六歩 (角頭の歩を突いてしまう、明らかに損な手)
<激指15>
-112 △8四歩
-112 △3四歩
<やねうら王>
-216 △7二銀
-226 △8四歩
<水匠3改>
-185 △8四歩
-164 △3四歩
初手▲8六歩には、絶対△8四歩だろ!と思っていたが、ソフトはそうは思っていないようだ。驚き。
▲8六歩△3四歩でも充分、後手満足なの?(やねうら王の数値、最善手と次善手が数値順に並んでいなくて、おかしいが、さっきの水匠と同じでこういう現象があるようだ)
⑤初手▲9八香 (左側の角側の香を上がる手)
<激指15>
-141 △8四歩
-140 △3四歩
<やねうら王>
-233 △8四歩
-184 △3四歩
<水匠3改>
-153 △3四歩
-135 △8四歩
初手▲9八香は、取り返しがつかない。それにしても、ここまでマイナスが大きいとは。居飛穴になれば、損にならないのだが・・・。
⑥初手▲1八香 (右側の飛車側の香を上がる手)
<激指15>
-112 △1四歩
-109 △8四歩
<やねうら王>
-245 △8四歩
-211 △7二銀
<水匠3改>
-177 △8四歩
-153 △3四歩
初手▲1八香も、取り返しがつかない。振り穴にしたら、損にはならないが・・・。激指の△1四歩は、▲1八香をとがめようということか?面白い。やねうら王が厳しい評価をつけた。
~今回のまとめ~
初手の最悪手、平均値を出して、まとめてみた。3つのソフトの一番手の評価値を足して3で割った。小数を四捨五入した。
初手▲7八銀・・・-40
初手▲3八金・・・-61
初手▲5八金左・・・-144
初手▲8六歩・・・-171
初手▲9八香・・・-176
初手▲1八香・・・-178
めでたく、ワーストワンは▲1八香ということになった。うーん、振り穴にすれば、問題ない手と思うんだが、今回の調査では最悪手となった。ソフトが振り飛車を低く評価してるから、きっと振り穴が低い評価なんだろう。
個人的に、自分が後手を持ったとき、指されて一番ありがたいのは▲5八金左だ。▲8六歩は、明らかな挑発で、とがめきる自信がない(笑) ただの後手の手得に終わるだろう。
▲9八香と▲1八香も、これで形勢どうこうというのは、私のレベルではありえないだろう。
以上、初手の最悪手の検討結果でした。
後日に追記・初手▲1八飛という手も、かなりな悪手のようです。激指15で-104。やねうら王で-198。水匠3改で-111という数値を出してました。(各5分間計測)
平均で-138です。
初手の最悪手は何か、調べてみた。
初手▲7八銀や▲8六歩は、ある意味、奇襲であると思う(笑)
どの手が最悪手になるか、みなさんも予想して欲しい。
エントリーしたのは、次の6種類の手。
初手▲7八銀
初手▲3八金
初手▲5八金左
初手▲8六歩
初手▲9八香
初手▲1八香
では、激指15と、やねうら王と、水匠3改で調べてみよう。考慮させた時間は5分。その手に対する後手の候補手の数は3つで調べたが、この記事で紹介するのは2つにとどめた。ごちゃごちゃしてしまうから。評価値のマイナスが大きいほど、後手が有利ということを示している。
①初手▲7八銀 (先手が角道を開けにくくなる手)
<激指15>
-34 △3四歩 (初手▲7八銀に対する後手の最善手)
+11 △6二銀 (初手▲7八銀に対する後手の次善手) 以下、他のソフトの場合も同様。
<やねうら王>
-50 △3四歩
+25 △6二銀
<水匠3改>
-35 △3四歩
+1 △7四歩
結果、初手▲7八銀は、それほど大きなマイナスにはならないようだ。そして、この初手をとがめるなら、後手は△3四歩。これは当然でしょう。
②初手▲3八金 (2017年の電王戦で、佐藤天彦名人にPonanzaが指した手)
<激指15>
-50 △8四歩
-50 △3四歩
<やねうら王>
-50 △8四歩
-40 △4四歩
<水匠3改>
-84 △3四歩
-50 △8四歩
初手▲3八金も、そこまで悪いというわけではなさそうだ。まあ、Ponanzaが選んだくらいだからね。やねうら王の2番手候補手の△4四歩って何だ。▲3八金△4四歩って、もう意味わからんね(笑) 水匠が厳しめの評価をつけている。
③初手▲5八金左 (先手は角頭を守りにくくなる手)
<激指15>
-130 △8四歩
-130 △3四歩
<やねうら王>
-185 △8四歩
-152 △3四歩
<水匠3改>
-116 △8四歩
-134 △3四歩
初手▲5八金左は、かなり悪い数値が出た。(水匠の評価値が、次善手のほうがマイナスが大きく、後手にとって△3四歩のほうが良い手だが、最善手の順番が数値どおりにならないこともあるようだ)
④初手▲8六歩 (角頭の歩を突いてしまう、明らかに損な手)
<激指15>
-112 △8四歩
-112 △3四歩
<やねうら王>
-216 △7二銀
-226 △8四歩
<水匠3改>
-185 △8四歩
-164 △3四歩
初手▲8六歩には、絶対△8四歩だろ!と思っていたが、ソフトはそうは思っていないようだ。驚き。
▲8六歩△3四歩でも充分、後手満足なの?(やねうら王の数値、最善手と次善手が数値順に並んでいなくて、おかしいが、さっきの水匠と同じでこういう現象があるようだ)
⑤初手▲9八香 (左側の角側の香を上がる手)
<激指15>
-141 △8四歩
-140 △3四歩
<やねうら王>
-233 △8四歩
-184 △3四歩
<水匠3改>
-153 △3四歩
-135 △8四歩
初手▲9八香は、取り返しがつかない。それにしても、ここまでマイナスが大きいとは。居飛穴になれば、損にならないのだが・・・。
⑥初手▲1八香 (右側の飛車側の香を上がる手)
<激指15>
-112 △1四歩
-109 △8四歩
<やねうら王>
-245 △8四歩
-211 △7二銀
<水匠3改>
-177 △8四歩
-153 △3四歩
初手▲1八香も、取り返しがつかない。振り穴にしたら、損にはならないが・・・。激指の△1四歩は、▲1八香をとがめようということか?面白い。やねうら王が厳しい評価をつけた。
~今回のまとめ~
初手の最悪手、平均値を出して、まとめてみた。3つのソフトの一番手の評価値を足して3で割った。小数を四捨五入した。
初手▲7八銀・・・-40
初手▲3八金・・・-61
初手▲5八金左・・・-144
初手▲8六歩・・・-171
初手▲9八香・・・-176
初手▲1八香・・・-178
めでたく、ワーストワンは▲1八香ということになった。うーん、振り穴にすれば、問題ない手と思うんだが、今回の調査では最悪手となった。ソフトが振り飛車を低く評価してるから、きっと振り穴が低い評価なんだろう。
個人的に、自分が後手を持ったとき、指されて一番ありがたいのは▲5八金左だ。▲8六歩は、明らかな挑発で、とがめきる自信がない(笑) ただの後手の手得に終わるだろう。
▲9八香と▲1八香も、これで形勢どうこうというのは、私のレベルではありえないだろう。
以上、初手の最悪手の検討結果でした。
後日に追記・初手▲1八飛という手も、かなりな悪手のようです。激指15で-104。やねうら王で-198。水匠3改で-111という数値を出してました。(各5分間計測)
平均で-138です。
2021.05.29
奇襲戦法の評価値をソフトで調べてみる ~準備編~
今、ブログが更新ができてない。なんか、書くことないかなー、でも、あんまりディープな内容も書けないし・・・。
ということで、今回から、ソフトを使って、奇襲戦法の評価値を調べてみることにする。
個人的に興味あるので。もちろん、奇襲だから、受ける側に良い数値が出るのだけれど、それはどのくらいの程度なのか、が知りたいのだ。
1日1個ずつ更新の予定で、全10回くらいの予定。(あくまで予定)
まず今回は、使うソフトの紹介と調べ方。そして初手をソフトにかけてみる。
使うソフトは3つ。激指15。やねうら王。水匠3改。この3つ。
激指15は2019年7月に発売されたソフト。約1万円。激指シリーズは、市販のものとしては、おなじみ。使い勝手が良く、私はよく使っている。ただし、他の強豪ソフトと比べると弱い。評価値はマイルドで、そんなに差をつけないのが特徴。人間の大局観の感覚に近い。
やねうら王は2018年8月に発売された。約1万円。5つのソフトを内蔵しているが、その中でも最強のtanuki-2018というものを使うことにする。激指15よりだいぶ強い感じ。評価値は辛口。人間的には「ちょっとの差じゃないか?」という局面でも、かなり点差をつけるので、参考になる。
水匠3改はフリーソフト。水匠2が2020年のコンピュータ将棋選手権で優勝。2020年12月に水匠3が公開された。そこから一か月後に、評価関数を変えた水匠3改が公開。
現在、入手できるフリーソフトでは最強のはず。もちろん、やねうら王より強い。どんな評価値をつけるのか、私は知らない。
そして、私のパソコンのスペック。CPUは、Core i7-8700だ。メモリは16GB。2019年にドスパラで13万5千円ほどで購入した。
そんなにボロPCというわけでもないし、ハイスペックというわけでもない。
というか、こういう将棋の検討さえしなければ、私なんて5万円以下くらいのPCでも全然かまわないのだ。
将棋のためだけに、ミドルスペックPCを購入してるのだ。こういう企画でPCを使わないと損(笑)
さて、今回は奇襲戦法の局面に行く前に、何も指していない初手の検討をさせてみた。時間は5分。
短い、という意見があるのは分かってる。でも、5分で我慢してほしい。3つのソフトを動かすので、5分ずつでもう私の待ち時間がイライラして限界なのだ(笑)
候補手は5つ。定跡は利用しない。わかりやすいように、数値の先手側に+の表記をつけている。
まずは激指15から。1回目の計測。一番上が最善手。(定跡の利用なし)
+32 ▲7六歩
+28 ▲2六歩
+23 ▲7八金
+1 ▲1六歩
深さはpro+11まで読んでいた。これはおそらく最深の読み。これ以上の深さは存在しないと思われる。
候補手が4つしか出てないが、こういう現象は激指ではよくあること。
で、激指15で念のためもう1回、計測。2回目の計測は・・・。
+18 ▲2六歩
+15 ▲7八金
+8 ▲7六歩
+8 ▲9六歩
2回目の計測では、深さpro+9までしか読んでなかった。1回目とかなり違う結果だ。
そこで、もう1分、待ってみると・・・。読みがpro+11まで行った。数値も変わった。
+27 ▲2六歩
+27 ▲7六歩
+8 ▲9六歩
+1 ▲1六歩
以上のような結果となった。1回目が5分計って+32の▲7六歩。2回目が1分オーバーの6分計って+27の▲2六歩or▲7六歩だった。候補手を見ると、初手だから、色んな可能性があり、ソフトも迷っていることがうかがえる。
次に、やねうら王。以下、私の関連記事で「やねうら王」とあるのは、すべてtanuki-2018のことを指す。
なお、私は、やねうら王の初期設定をいじっていない。1回目の計測。
+90 ▲2六歩
+45 ▲7六歩
+32 ▲7八金
+15 ▲3八銀
+34 ▲4八銀
候補手の4番目より5番目のほうが数値が高いが、これは、やねうら王ではしばしばあることのようだ。
読みの深さは44分の34(分数での表示)という数値が出ていた。
やねうら王での2回目の計測。
+42 ▲7六歩
+42 ▲7八金
+41 ▲2六歩
+27 ▲3八銀
+16 ▲4八銀
1回目とだいぶ違う数値となった。1回目では▲2六歩がダントツで+90になっていたのに、2回目では▲2六歩は+41までしか上がらなかった。深さは33分の33ということだった。正直、やねうら王の深さというのは、どう理解していいか、わかりにくい。
最後に、水匠3改で計測。ShogiGUIを使用。設定は初期設定のままで、いじってない。1回目。(定跡の利用なし)
+66 ▲2六歩
+42 ▲7六歩
+33 ▲7八金
+26 ▲9六歩
+4 ▲3八銀
1回目では深さはプロ10.88段だった。
次に、2回目の計測。
+55 ▲7八金
+42 ▲9六歩
+30 ▲2六歩
+24 ▲7六歩
+2 ▲3八銀
深さは1回目と同じ、プロ10.88段。初手▲7八金が最善と出た~。振り飛車党への挑戦状だろう。初手▲7八金で後手に振られても、先手が有利ですよ、と言っているのだ。ははは。
~今回のまとめ~
初手の最善は、同じソフトでも、計測する度に違う。オーソドックスな▲2六歩、▲7六歩の他に初手▲7八金も好む傾向にある。
ソフトの数値は毎回、変わる(今回は特にだろうけど)ので、参考程度にしてほしい。
さて、次回からいよいよ奇襲戦法を調べていくよ。
次からは各1回しか計測しないと思う(^^;
ということで、今回から、ソフトを使って、奇襲戦法の評価値を調べてみることにする。
個人的に興味あるので。もちろん、奇襲だから、受ける側に良い数値が出るのだけれど、それはどのくらいの程度なのか、が知りたいのだ。
1日1個ずつ更新の予定で、全10回くらいの予定。(あくまで予定)
まず今回は、使うソフトの紹介と調べ方。そして初手をソフトにかけてみる。
使うソフトは3つ。激指15。やねうら王。水匠3改。この3つ。
激指15は2019年7月に発売されたソフト。約1万円。激指シリーズは、市販のものとしては、おなじみ。使い勝手が良く、私はよく使っている。ただし、他の強豪ソフトと比べると弱い。評価値はマイルドで、そんなに差をつけないのが特徴。人間の大局観の感覚に近い。
やねうら王は2018年8月に発売された。約1万円。5つのソフトを内蔵しているが、その中でも最強のtanuki-2018というものを使うことにする。激指15よりだいぶ強い感じ。評価値は辛口。人間的には「ちょっとの差じゃないか?」という局面でも、かなり点差をつけるので、参考になる。
水匠3改はフリーソフト。水匠2が2020年のコンピュータ将棋選手権で優勝。2020年12月に水匠3が公開された。そこから一か月後に、評価関数を変えた水匠3改が公開。
現在、入手できるフリーソフトでは最強のはず。もちろん、やねうら王より強い。どんな評価値をつけるのか、私は知らない。
そして、私のパソコンのスペック。CPUは、Core i7-8700だ。メモリは16GB。2019年にドスパラで13万5千円ほどで購入した。
そんなにボロPCというわけでもないし、ハイスペックというわけでもない。
というか、こういう将棋の検討さえしなければ、私なんて5万円以下くらいのPCでも全然かまわないのだ。
将棋のためだけに、ミドルスペックPCを購入してるのだ。こういう企画でPCを使わないと損(笑)
さて、今回は奇襲戦法の局面に行く前に、何も指していない初手の検討をさせてみた。時間は5分。
短い、という意見があるのは分かってる。でも、5分で我慢してほしい。3つのソフトを動かすので、5分ずつでもう私の待ち時間がイライラして限界なのだ(笑)
候補手は5つ。定跡は利用しない。わかりやすいように、数値の先手側に+の表記をつけている。
まずは激指15から。1回目の計測。一番上が最善手。(定跡の利用なし)
+32 ▲7六歩
+28 ▲2六歩
+23 ▲7八金
+1 ▲1六歩
深さはpro+11まで読んでいた。これはおそらく最深の読み。これ以上の深さは存在しないと思われる。
候補手が4つしか出てないが、こういう現象は激指ではよくあること。
で、激指15で念のためもう1回、計測。2回目の計測は・・・。
+18 ▲2六歩
+15 ▲7八金
+8 ▲7六歩
+8 ▲9六歩
2回目の計測では、深さpro+9までしか読んでなかった。1回目とかなり違う結果だ。
そこで、もう1分、待ってみると・・・。読みがpro+11まで行った。数値も変わった。
+27 ▲2六歩
+27 ▲7六歩
+8 ▲9六歩
+1 ▲1六歩
以上のような結果となった。1回目が5分計って+32の▲7六歩。2回目が1分オーバーの6分計って+27の▲2六歩or▲7六歩だった。候補手を見ると、初手だから、色んな可能性があり、ソフトも迷っていることがうかがえる。
次に、やねうら王。以下、私の関連記事で「やねうら王」とあるのは、すべてtanuki-2018のことを指す。
なお、私は、やねうら王の初期設定をいじっていない。1回目の計測。
+90 ▲2六歩
+45 ▲7六歩
+32 ▲7八金
+15 ▲3八銀
+34 ▲4八銀
候補手の4番目より5番目のほうが数値が高いが、これは、やねうら王ではしばしばあることのようだ。
読みの深さは44分の34(分数での表示)という数値が出ていた。
やねうら王での2回目の計測。
+42 ▲7六歩
+42 ▲7八金
+41 ▲2六歩
+27 ▲3八銀
+16 ▲4八銀
1回目とだいぶ違う数値となった。1回目では▲2六歩がダントツで+90になっていたのに、2回目では▲2六歩は+41までしか上がらなかった。深さは33分の33ということだった。正直、やねうら王の深さというのは、どう理解していいか、わかりにくい。
最後に、水匠3改で計測。ShogiGUIを使用。設定は初期設定のままで、いじってない。1回目。(定跡の利用なし)
+66 ▲2六歩
+42 ▲7六歩
+33 ▲7八金
+26 ▲9六歩
+4 ▲3八銀
1回目では深さはプロ10.88段だった。
次に、2回目の計測。
+55 ▲7八金
+42 ▲9六歩
+30 ▲2六歩
+24 ▲7六歩
+2 ▲3八銀
深さは1回目と同じ、プロ10.88段。初手▲7八金が最善と出た~。振り飛車党への挑戦状だろう。初手▲7八金で後手に振られても、先手が有利ですよ、と言っているのだ。ははは。
~今回のまとめ~
初手の最善は、同じソフトでも、計測する度に違う。オーソドックスな▲2六歩、▲7六歩の他に初手▲7八金も好む傾向にある。
ソフトの数値は毎回、変わる(今回は特にだろうけど)ので、参考程度にしてほしい。
さて、次回からいよいよ奇襲戦法を調べていくよ。
次からは各1回しか計測しないと思う(^^;