第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
挑戦者決定戦
里見香奈女流四冠 vs 室谷由紀女流三段
2020/8/20
解説:野月浩貴八段
聞き手:加藤桃子女流三段

囲碁将棋チャンネルで放送されている女流王将戦。いよいよ決勝、挑決まで来た。
この2人の対戦成績は、里見12勝1敗ということで、里見が圧倒しているとこのと。
むろやん、これまでのリベンジなるか?いけえええー。

里見は女流通算277勝95敗。0.745 ここまで香川、中村マリカ、頼本に勝ち。
解説の野月「里見はずっと女流棋界のトップ。どこをとっても強さが際立っている」

室谷は女流通算172勝112敗。0.606 ここまで藤井奈々、山根、伊藤沙恵に勝ち。
野月「室谷は生粋の振り飛車党でさばきのリズムに乗るとすごい力を発揮する」

事前のインタビュー
里見「精一杯がんばりたい。室谷さんは振り飛車党でじっくりした展開を好む」
室谷「少し緊張はありますけど楽しみのほうが大きい。里見さんはどこをとっても安定して隙がない」

対局の開始時に、「対局時間が大幅に伸びたため、一部編集してお送りします。ご了承下さい」というテロップが流れた。
この時点で長手数になったことがバレてる(^^;

先手里見で、相振りの相向かい飛車の相金無双に落ち着いた。じっくりした長い序盤だ。
角を持ち合っていて、野月「神経を使う戦い」

野月「形勢はほぼ互角だけど、主導権は里見が取っている」
室谷、もう駒組みで指す手がない、ということで室谷は仕掛けていったのだが、自陣がバラバラ。
ここの仕掛け、かなり危なかったと思う。もう一気に負けになっていても不思議ではなかった。

野月「里見の作戦勝ち」 聞き手のカトモモ「里見がじわじわと差をつけている指し回しですね」
ああー、もう勝負どころなく終わりか?と思われた、その時だった。
室谷が自陣角を打つ。△1三角という、攻めの手だが、かなり考えにくい手だ。
野月「はっとさせられる角」
ここで里見がきちんと対応していれば、受かっていたと思うのだが、里見はミスしてしまう。
野月「室谷にも楽しみが出てきた」

手が進み、一進一退の攻防。
野月「激戦。室谷もだいぶ盛り返した」 室谷の△1三角が抜群の利き。
そして、野月「室谷が優勢になった」
室谷の攻め駒がさばけ、双方の角に働きに差がある。里見に、いつものキレがないように感じる。

だが、まだまだ終わらない。里見も第一人者の意地を見せる。
野月「里見の勝負手ですね、迫力があります。少し勝負手が成功して里見が盛り返した」
おいおい、どっちが勝つねーん。むろやん、かなりいい感じだが、まだ勝者はわからんぞ。

ねじり合いの長い中終盤。そしてついに里見が自陣を放置で、攻めかかっていったー。おお、決着を着けに来た!
むろやんが踏み込めば、勝てるんじゃないか?パッと見、まだ室谷の玉は詰みはない。
ここは気合で攻めるときだ、踏み込め、むろやん!したらば、むろやん、踏み込んだ~!よっしゃー!
これ、むろやんの玉に詰みはない、よね?
野月は「室谷の玉は打ち歩詰めの筋で助かっているんじゃないか」と言う解説で、符号を10手くらい先まで言っているが、私の棋力ではそんな長い符号についていけない・・・。

里見の王手ラッシュ来たー。むろやん、正しい応手をを読み切れ!助かっているはず。
野月「室谷の玉の正しい逃げ場は1か所」という解説が続く。室谷は読み切っているか?
そしてついに、里見の王手が続かなくなった。里見、投了!! 154手で室谷の勝ち。やったあああー。

野月「序~中盤は里見がリードしたが、室谷が△1三角の勝負手を放ってうまく盛り返して優勢になった。色々あって楽しい一局だった」

局後のインタビュー
室谷「相振り飛車で少し消極的になってしまったかなと思った。我慢強く指せたのが良かった。丁寧に指しすぎてまた逆転されてしまったかなと思ったんですけど、最後はギリギリ詰みがなくて勝ち切れた。西山さんは強敵だがいつかタイトル戦で戦ってみたいかった相手。うれしく思う。結果にこだわって準備したい」

挑決ということだったが、それほどレベルが高いという感じではなかった。相振り特有の手の広い局面が続き、何を指すか、相当難しかった。攻めるべきか守るべきか、まずそこから考えないといけない場面が多かった。
ただ、里見が本調子ではなかったと感じた。いつもの稲妻流が不発だった。室谷は普段の力を発揮していたと思った。

いやいや、むろやん、やったね。大きな金星だ。私はモロにむろやんを応援して観ていたから、盛り上がったよ。
手数が長くて疲れたけども(^^; 相振りは難しい戦型だなあと、再認識させられた。

タイトル戦だが、時間が各3時間ということで、私はもう観ることはない。
これで私の今期の女流王将戦の記事は終わる。私にとってはワクワクの楽しい時間を過ごすことができた。

私が一番印象に残った一局では、室谷vs山根で、むろやんが受けの素晴らしい好手を連発していた一局を挙げたい。あれはむろやんの偉才ぶりを示した内容だった。

今期の特徴として、誰が挑戦者になるか、そのネタバレが事前に発生することがなくて、ドキドキで観ることができた。これはありがたかった。
むろやんのタイトル戦での活躍を願って、終わりとする。
霧島酒造杯 女流王将戦の関係者のみなさん、ありがとうございました。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 準決勝 第2局
室谷由紀女流三段 vs 伊藤沙恵女流三段
2020/8/11
解説:近藤誠也七段
聞き手:野田澤彩乃女流初段

囲碁将棋チャンネルで、土曜に2局、放送されている。(コロナ禍だから?)まず1局目は準決勝第2局。
第1局のほうは例によって里見が強すぎ、差がついてしまったが、本局は接戦が期待される。

室谷は女流通算171勝111敗 0.606 1回戦で藤井奈々に大苦戦の末に辛勝。2回戦で山根に受け切り勝ち。山根戦は受けの名局だった。
解説の近藤「室谷は振り飛車党でセンスがいい。受けがしっかりしていてバランスがいい」

伊藤は女流通算141勝55敗 0.719 1回戦で本田に受けて快勝。2回戦で室田伊緒に大接戦の末、粘り勝ち。
近藤「伊藤は女流のトップ。居飛車党で力強い受け将棋。腰の入った将棋を指す」

事前のインタビュー
室谷「伊藤さんはオールラウンダー。攻めと受けのバランスがいい。早見え早指しなのでこの棋戦は強い印象。準決勝という舞台を楽しんで伸び伸び指したい」
伊藤「室谷さんはどこの筋にも振る振り飛車党。普段は色々こなす、頼りにしている先輩。目の前の局面に全力を尽くしたい」

先手室谷で、3手目に石田流を明示。伊藤の対策は、1筋位取りだった。室谷は1筋の位を許した。
駆け引きの結果、▲石田流vs△居飛車の対抗形になった。

まだこれから駒組みが続くだろう、と思われたが、この一局は全く違った。
室谷から早々に動き、揺さぶって行った。それも中途半端な仕掛けじゃない。一気に良くしてやろうという手順だ。研究範囲なのか?
近藤「いやー、積極的ですね」
聞き手の野田澤「今日は攻めますっていう、気合が室谷から感じられます」
近藤「早指しだと、後手は、まとめきれずに負けてしまうかも」

室谷の手に感心している近藤と野田澤。こんな早い仕掛け、コンピュータがやりそうだなあ。
近藤「先手の飛車と後手の角の交換になったが、後手陣はバランスが悪い。気持ち的には先手の室谷のペース」
いけいけ、むろやん!・・・でも、私ならどっちを持っても自信がない。ホントにこれ、室谷側を持って、手が作れるのか?
近藤「室谷側はゆっくりした戦いには向いていない」

野田澤「2人は同年齢。(26歳) ここまで2人の対戦成績は、伊藤の9勝1敗。差がついてますね」
うお、対戦成績、一方的やん。これはむろやんを応援しないと!
が、しかし、近藤「けっこう後手陣も引き締まってきました。伊藤も楽しみ充分」
十字飛車の筋で、技を繰り出してくる伊藤。野田澤「飛車がクルッと」
うお、耐えろ、むろやん~。もうこれ、私ならこの十字飛車でノックアウトされてるわ。
室谷、けっこうなピンチになってる~。がんばれ~。
近藤「まだ室谷の攻めの糸口が見えない」

うーん、緊張感がある手が続いている。近藤「いい勝負、どっちが勝つか全くわからない」
手が難しい局面が続いているが、次に狙いがある手を指し続ける両者。どちらも折れる気配がない。どっちも強い!
終局までこの調子でいけば、これは名局だ、と思われた、その時だった。
秒読みに追われた伊藤が敵陣に飛車を打ち込んだ。
近藤「打っておいて損なしの飛車です」
が、次の室谷の一手で視聴者全員、声を出したと思う。
なんと伊藤が今打った飛車と盤上の飛車。その位置関係で、室谷の次の手、角打ち一発で飛車の両取りがかかった!!

な、なんだ??? この角での両取りは??? 伊藤は、こんな飛車の両取りがかかるところに飛車を打ち込んでしまったのか!!
伊藤としては自陣はスカスカだが、相手に攻め駒がないのが主張だったのに、飛車を取られたら、大ピンチではないか。
そしてもう飛車が取られるのは決定事項・・・。こりゃ、飛車打ちは大ポカだ!!
近藤「うっかりの可能性が・・・。室谷が良くなった」
おーい、近藤先生、あんたも両取りが見えてなかったじゃん(笑)

室谷、飛車を手に持ち、これで、攻める展望が開けた。大きな大きな飛車の持ち駒だ。大チャンス到来だ。
近藤「伊藤がめずらしく焦っている感じ」

伊藤、大ピンチ。まだ粘るか?? 
この日の室谷、寄せはどうか?すると室谷は、またも近藤の解説していなかった手を出した。鮮やかな金捨て一発!
近藤「もう室谷も引き返せません」 野田澤「勝ちました、という宣言ですね」
キッチリ、シッカリと寄せを決めた室谷。91手で室谷の勝ち。やったあ、伊藤から貴重な貴重な2勝目!

近藤「序盤から室谷が積極的に動いていって、面白い展開になった。伊藤が持ち前の受けを発揮して中盤以降はペースを握っていた。室谷も辛抱強く手を戻して、激戦になった。伊藤の飛車の打ち込みが敗着。うっかりだろう。伊藤としては残念な内容となった。室谷には勢いがある」

局後のインタビュー
室谷「対抗形になってある程度、想定していたとうりに進んだ。こちらから動いていく展開になったんですが、思ったより自分の攻めが軽かったのか、中盤のあたりで少し悪くしてしまった。そこからは自分から崩れないようにと意識して、マイナスにならないような手を指して辛抱したのが逆転につながったかな。挑戦者決定戦の里見さんは強敵ではあるけど、自分もここまで戦ってきて自信もついたので、伸び伸びと指したい」

むろやん、やった!中盤以降の、辛抱の仕方が実に見事だった。リードされても自分から崩れない、そんな指し方、なかなかできるもんじゃない。そして40秒の秒読みの中、あの角打ちを発見したのはさすが!両取りが発生したのは唐突な出来事で、見逃していてもおかしくなかった。その後の寄せも最速だった。いやー、強かった!
伊藤さんとしては残念だけどもうしょうがないだろう。今回はむろやんが強かったよ。
両者の好プレーが長く続いたあとの、飛車打ちのポカ。実に見ごたえがある面白い内容だった。エンタメとして、すっごく楽しめた。
これぞ女流将棋、最高だ(^^)/

これで挑戦者決定戦は里見vs室谷となった。里見も楽には勝てないだろう。私は、むろやんにぜひ勝ってほしいが・・・(^^;
なお、このブログで挑戦者決定戦の内容は、明日の午後にUPの予定。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 準決勝 第1局
里見香奈女流四冠 vs 頼本奈菜女流初段
2020年7月23日
解説:佐藤秀司七段
聞き手:中村真梨花女流三段

本命の里見に、頼本がどこまで食いつけるか。
解説の秀司「里見は説明不要の第一人者。西山に女流王将を奪われたので、リターンマッチに燃えているだろう。頼本は売り出し中の若手。いずれはタイトル戦に出てきて欲しい逸材」

里見は1回戦で香川、2回戦で中村マリカに勝っている。1回戦の香川戦、中盤でのワカレでは危なかったということだ。香川が金香交換の駒得だったので、もし香川が例えば受けに回っていたら、香川が有利を保てたのだろう。しかし終わってみれば里見の圧勝だった。2回戦はマリカ攻めを見事に受けきって快勝。

頼本は1回戦の山口えりりん戦は圧勝だった。2回戦の塚田戦はレベルが高いのか低いのかよくわからない内容だった(^^;

事前のインタビュー
里見「頼本さんは振り飛車全般を指す。今持っている力を出せるように集中して指す」
頼本「里見さんは多くの実績を残されている。実力を出せるようにがんばりたい」

先手里見で、3手目に▲9六歩の様子見。その一手が波紋を呼ぶ。頼本はこの手を見て、居飛車を選択。
戦型は里見の▲5筋位取り中飛車vs頼本の△居飛車の超速△7三銀とでも呼ぶべき形になった。

まだ始まったばかり、というところで、解説の秀司が▲9七角が気になる、と言っている。
里見が指したのも▲9七角だった。序盤の▲9六歩が意味があったのだ。
この角のラインのせいで、頼本が玉の囲い方に苦しむことになる。
△4三玉と、変な形でこらえた頼本。耐えろ、頼本~、まだやれるぞ~。

進んでみると、なんとか頼本の玉は左美濃に入城できた。
秀司「どうなるかと思ったけど、頼本がうまく収めた」
しかし直後、頼本は弱気な受けをして、秀司をびっくりさせてしまう。
秀司「え!?んー、どうですかねー、これはどうかなー、先手も安心しますからねー」

まだここまでは良かった。頼本は作戦的には失敗だが、まだまだやれた。
問題はこの後だった。里見が覗いた角を、頼本は追い払うのが一手遅れ、手順前後をしてしまう。
秀司「あ、これは・・・ 里見は見逃さないですね」
里見は、教科書に載ってるような歩を捨てる手筋を見せた。
秀司「魔法のように(邪魔な)歩が消えました」
頼本の桂が、あえなく死亡。里見、無条件での桂得!
まだ序盤と言える段階なのに~。うわ~、やめてくれ~、頼本がリードしたならともかく、里見がリードしたらもうこれは・・・。

頼本、なんとかならんか、と思って私は観ていたが、里見は全く隙を見せない。
あろうことか、受けにまわり始めた里見。なんということをするんだ。何もさせないという里見の意図。

手が進むが、差が開くばかりなので、解説の秀司も、聞き手のマリカも、もうしゃべることがなくなってきてしまった(^^;
マリカ「頼本も粘っているんですけどね」
秀司「里見は、つけいる隙を与えない指し方。今、里見は、金銀6枚持っているから優勢。これが金銀7枚になったら勝勢」

結局、頼本は端攻めで、思い出王手をするのが精一杯。里見に完封されてしまった。
133手で里見の完勝。手数はかかったが、差がかなりついた一局だった。

秀司「序盤、里見が機敏に動いて、頼本が苦心の駒組みを強いられた。しかしそこから組みあがってみると、頼本もやれるんじゃないかという局面まで行った。でもそこから里見の指し方が巧みで、そこからは頼本は力を出せなかった。挑戦者決定戦には、来るべき人が来た」

局後のインタビュー
里見「対抗形は意外だったが、一局を通して集中して指せたかなと思います。挑戦者決定戦には体調に気を付けて、しっかり勉強して当日を迎えたい」

はああああああー、頼本、やはり負けたか。角を追うのが一手遅いのが致命傷だった。里見相手に無条件の桂損ではもう勝機はなかった・・・。んー、もう少し追い詰めて欲しかったが、里見相手にはこうなっちゃうか。
序盤、5筋を受けるために玉を△4三玉と上がらざるを得なかったところから、互角まで盛り返したのだが、見せ場はそこまでだったorz うーん、接戦が観たかったが、もうしょうがない。

来週の土曜には、準決勝の第2局と、挑戦者決定戦が放送される。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 2回戦 第4局
頼本奈菜女流初段 vs 塚田恵梨花女流初段
2020年7月23日
解説:佐藤秀司七段
聞き手:中村真梨花女流三段

頼本と塚田か。あんまり興味をそそられないが、好局を期待。
聞き手のマリカちゃん、顔が丸い。

頼本は女流通算33勝27敗。1回戦の山口えりりん戦では、角交換四間飛車から筋違い角をうまく使い圧勝していた。
解説の秀司「頼本は若い世代で、活躍している一人。これからが期待されている人」

塚田は女流通算37勝43敗。1回戦の石本戦では完勝だったものの、石本の出来が悪かった。
秀司「ご両親も棋士。近年は非公式戦で優勝し、力をつけてきている」

事前のインタビュー
頼本「塚田さんは多方面で活躍されている印象。緊張してきたんですけど、実力を出せるようにがんばりたい」
塚田「頼本さんは振り飛車党で若手の中でも勝率が高い印象。女流王将戦は本戦初出場だが一回戦で慣れてきたのでがんばりたい」

先手頼本で、▲5筋位取り中飛車vs△居飛車持久戦の対抗形になった。
じっくりした駒組みが続いた。が、頼本がせっかく取った5筋の位を自ら放棄してしまう。
秀司「頼本は手損したが、将棋は手損で勝敗が決まるわけじゃないですから。でも私が修行時代はこういう手を指したら怒られましたけど」
・・・頼本、4手くらい損をした計算になる。この指し方は誰も真似しないだろう(^^;

双方、高美濃に囲った。長い序盤だったが、塚田から仕掛けていった。
塚田が好調に攻めていける順を秀司は解説していたが、塚田はそう指さず、ミスしたらしい。
これで互角か。

そしてこの後、秀司が解説に困る手を、双方が連発することになる。
頼本から端攻めして行ったが、秀司「そうですかー」
塚田が角打ちの強引な受けに、秀司「えー、これはどうですかねー」
頼本の超強気な金打ちの攻め(▲4三金)に、秀司「ん?ん?ん?はー、これは・・・ずいぶんゴツイ手ですけど・・・」

もうね、何が起こってるか、佐藤秀司ですらわかってない。観てるこっちはもっとわからない。
とにかく最善ではない手がいっぱい混じってるんだろうな、ということだけは私にも伝わってくる。
でも、頼本の金打ち(▲4三金)の攻めが、結果的に大成功だった。そこからの寄せは鮮やかで、95手で頼本の勝ち。

秀司「若い二人らしくきびきびした攻め合いだった。頼本は端を攻めたが、うまい収め方をした。塚田は端で一手パスの手があった。準決勝では頼本が里見に対しどれだけ戦えるかは楽しみ」

局後のインタビュー
頼本「途中、もつれたので、少し苦しくしてしまいましたが、粘れたのでうまくできました」

んー、これ、双方、疑問手がいっぱいあったんだろうなあ。でも頼本の▲4三金という手は恐るべき鬼手だったのかもしれない。
後手の駒が3枚利いているところに強引な金打ち。そんな手がいい手だったのか?
しかし事実として、何しろ、そこから後手玉は、一気に寄ってしまったのだから。
頼本、準決勝では里見に楽をさせないでほしい。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 2回戦 第3局
里見香奈女流四冠 vs 中村真梨花女流三段
2020年7月9日
解説:田村康介七段
聞き手:本田小百合女流三段

大本命の里見の登場。私はもう開始前から、里見が勝つんじゃないかと思ってしまっているが・・・。

里見は女流通算272勝93敗。0.745 1回戦で香川に完勝している。
解説の田村「里見は昔は中終盤で勝負する攻め将棋だと思っていたんですけど、最近はわりと序盤もしっかりして受けの力も上がってきたなという印象」

マリカは249勝168敗。0.597 1回戦で竹部に211手という勝負をからくも勝ち。何回も逆転した一局だった。
田村「中村はものすごい攻めが強くて、しがみつくような攻めが得意」

事前のインタビュー
里見「中村さんは攻めに重点を置いた振り飛車党。目の前の対局に集中して自分の力を出せるようにがんばりたい」

マリカ「里見さんと当たれることを幸せに思います。全力を尽くしたい。勢いよく駒が前に出せるようにしたい」

先手里見で、相振りになった。里見から角道を止めた。▲向かい飛車+金無双vs△三間飛車+美濃。
序盤、じっくりした駒組みが続く。マリカが攻勢、里見が守勢という図式がはっきりしてきた。
田村「里見は最近は受けて、しっかり余して勝つことも多い」
うーん、しかし里見はこれでいいのか?先手なのに自分から仕掛ける事をあきらめた駒組みか・・・。

番組開始から33分、マリカが桂を5段目に跳ね出し、ようやく局面に動きが出た。
3筋に両者の駒が集中している。マリカが飛角銀桂歩で攻め、里見が玉飛角金銀桂歩で受けている。もうここが関ヶ原だ。
田村「中村の作戦勝ちに見えるが、里見も全部の駒で受けている」

さあ、マリカ、攻めていったー。どうなる?? マリカの桂捨ての攻めに、田村「うわー、これは見えないな、さすが中村」
しかし、問題は攻めが続くかだ。
田村「何か中村に技があるのかな?桂損しているので足を止めるわけにはいかない」

完全に▲里見の受けvs△マリカの攻め、という展開になった。マリカは駒損を気にするそぶりもなく、ガンガンと食らいついていく。
これぞマリカ攻めだ。里見は徹底的に受けている。
・・・そして、だんだん手が進むにつれ、マリカの攻めが薄くなっていっているのがはっきりしてきた。
これ、正確に指せば、里見が受けきれそう。里見の金無双は崩壊したが、妙に隙がない。

マリカ、手駒が足りない。あと一歩あれば、という局面が何度か出てきた。ああー。
田村「中村は、こんなことなら、攻める前に、1筋の端を突き捨てて、一歩を手に入れられるようにしておくんだったが、結果論」
マリカ、駒損が、ついに角桂の丸損まで拡大! 
今頃になって1筋を攻めるマリカ。どう見ても証文の出し遅れ。もうだめだー。

最後の勝負手、とばかりに飛車を使ったマリカ。おお、これは嫌味か?と思われたが、里見は的確に落ち着いて対処。
マリカの攻めは完全に切れた。
里見は受け潰して友達をなくす、という手段もあったが、二枚飛車で一気にマリカの美濃を攻略して、即詰みに打ち取った。
寄せも鮮やか。121手で里見の勝ち。完勝だった。

田村「中村がうまく攻めてるのかなと思ったんですけど、里見の受けが素晴らしかったですね。ちょっとどこかで中村は攻め間違えちゃったと思う。(次は準決勝だが)この将棋を見ると里見さんを倒すのは、けっこうしんどそう」

局後のインタビュー
里見「長手数だったが、一局を通して落ち着いて指せた」

はあー、もうわかってることだけど、里見は強いなー。本局は受けまくっての勝ちということで、攻めても良し、受けても良しということで、鬼に金棒だね。マリカも猛攻したのだが、里見は「猛守」というべき受けっぷりを見せつけた。安定感抜群で、見事だった。
マリカとしては、端を早くに突いて、攻め駒に香を加えていれば・・・と、思わずにはいられなかった。

この対局、1時間25分で終わり、10分ほど枠が余ったので、感想戦が見れるかなと思ったが、全くなし。あー、女流王将戦、感想戦を放送しなくなってしまったなあ。残念だ。

来週もまた二局、放送がある。そして、もう再来週で女流王将戦、挑戦者が決まるところまで放送されてしまうということだ。
そしたら楽しみがなくなる・・・ しょうがないか。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 2回戦 第2局
室田伊緒女流二段 vs 伊藤沙恵女流三段
2020年7月8日
解説:所司和晴七段
聞き手:北尾まどか女流二段

今週の土曜も、二局放送された。その一局目。
室田は女流通算130勝139敗。0.483
1回戦で長手数の接戦を制して上田に勝ち。
解説の所司「室田の師匠は杉本。師匠に似て軽快なさばきが特徴」

伊藤は女流通算138勝54敗。0.719 伊藤の勝率がすごい。
1回戦で受けの力を発揮し本田に勝ち。
所司「居飛車党で手厚い将棋が得意。相手が振り飛車だと相振りも多用する」

事前のインタビュー
室田「伊藤さんはただただ強いという印象。戦型も幅広い。精一杯、力を出せれば」
伊藤「室田さんは三間飛車を得意とする振り飛車党。普段どおり集中して指せれば」

先手室田で、相振りになった。▲三間+矢倉vs△四間+金無双。
過去の対戦成績は、伊藤の3戦全勝だそうだ。
所司と北尾が、伊藤が高勝率なのに、まだ女流でタイトルを獲っていないのを不思議がっていた。

さて、まだ序盤、駒組みが続きそう、というところで、早くも伊藤が仕掛けていった。
強引な端攻め。こんな早く攻める手が成立してるのか?
所司「伊藤は積極性が以前より増している。室田は意表を突かれただろう」

伊藤の早々の攻撃。応手は広い。ここで室田がどうするか見ものだったが、室田は最善と思える対応をした。
1~3筋の折衝なのに、室田は6六に居た銀をスッと5五に出た。これには所司は称賛を惜しまない。
所司「▲5五銀、さすがですねー。伊藤の読みになかっただろう、素晴らしい手」
ここ、本局の見せ場だった。▲5五銀で、明らかに室田が良くなったか、と思われたのだが、伊藤が食らいつく。

局面を複雑にして、勝負勝負と迫る伊藤。伊藤は攻め駒を責められる苦しい展開と思われたが、飛車を見捨てる強手。
うお、これはもうどっちが勝つかわからなくなってる。伊藤はよくこんな手順を思いつくものだ。

局面、激しい展開がずっと続いてる。全く気を緩められない。
所司「ここまで来ると室田に早い手がないので、伊藤有利」
・・・と言ったが、次の室田の手を見て、所司「一手指したほうがよく見える、見事な攻防ですね」

形勢不明が延々続く名局だ。互いに全く引かず、技の出し合い。
そしてやっと終わる時が来た。所司「これはうまい手が出ましたね」という好手が伊藤に出て、ようやく、ホントにようやく勝負あり。
122手、伊藤に軍配が上がった。大熱戦だった。

所司「伊藤の積極的な仕掛けにはビックリした。難しいながら室田がいいかなという雰囲気だったが、終盤は見事だった。一手指したほうがよく見えた。お互いが最善を尽くしていたと思う」

局後のインタビュー
伊藤「一手一手、難しい将棋が続いていた。悪くしてしまったと思うが、最後まで粘り強く指せたと思います」

・・・正直、すごい攻防だった。女流がここまで強いのか!?と思えた一局だった。
室田さんが強敵相手に大善戦。あとちょっとで勝ちまで行ったと思うが、最後の寄せが甘かったのだろう。寄せの場面は手が広くなりすぎ、難しかったのがアンラッキーだった。しかし強かった。勝率5割足らずの女流とはとても思えなかった。実に惜しい敗戦だった。

そして勝った伊藤さん。あの苦しそうな局面からの、根性の一手一手。なんという粘りだ。伊藤さんに勝つには相当の棋力と気力が必要だろう。

早くに戦いが起こり、もっと早く差がついて一方的になるのが普通だった。それをよくこんな長い手数、互角に戦ったものだ。
女流のレベル、高い!私は女流には男子プロほどには期待してないから、余計にレベルが高く感じるのかもしれないが、それでもこの一局は文句なく好局。解説の所司が見えてない手も連発していた。中盤の難所での折衝は男子プロに劣るものではない。この2人はよくもここまで力をつけたものだと思う。素晴らしかった。面白かった。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 2回戦 第1局
室谷由紀女流三段 vs 山根ことみ女流二段
対局日:2020/7/3
解説:上村 亘五段
聞き手:貞升 南女流初段

おととい土曜に放送された二局目。コロナ禍の影響だろう、放送枠が変則になっているのだ。
記事のタイトルで1回戦第8局勝者としたが、タイトルだけはネタバレを一応回避している。

解説と聞き手、またこの2人(^^; そして山根さん、来たー(笑) もう2本撮りがバレバレ。

室谷は1回戦で藤井奈々に勝ち。終盤での逆転勝ちで危なかったが、1回戦は室谷は受けの強さを見せていた。
解説の上村「室谷は振り飛車党で安定感のあるバランス型。攻め味が鋭い印象」

山根は1回戦は記憶に新しい。カトモモを相手に全くひるまず、右玉を指しこなし、会心の15手詰で見事な勝利だった。
上村「山根は振り飛車党だけど最近は居飛車も指す。戦型の幅が広がっている。詰将棋が強く実戦でも生かしている」

事前のインタビュー
室谷「山根さんとは普段から交流がある。山根さんは実力者で序盤の作戦の幅が広いので読みにくい相手。自分の力を出し切るのみ」
山根「室谷さんはプライベートでお世話になっている。室谷さんはタイトル戦にも加わっていてバランス型。自分の持ち味を生かしたい」

先手室谷で、相振りになった。▲石田流+金無双vs△向かい飛車+美濃。
上村「お二人でよく指している形なのでは、と思います」
対戦成績は、室谷の6勝2敗だそうだ。

室谷から積極的に仕掛けていった。上村「先に主導権を握ろうという室谷の意思を感じます」
室谷の仕掛けにも驚いたのだが、山根がさらに大技をかけに行った。先に銀を捨てる攻撃的な一手だ。
上村「元気のいい将棋ですねー。お互いに一歩(いっぽ)も引かない。解説では駒を引く手を言ってましたが」
解説の上村が驚くのも無理はなかった。どうも、室谷の攻めも無理攻め、山根の銀捨ても無理攻めだったようなのだ。

山根、銀を捨ててから、大長考に沈んだ。銀を捨てる手はノータイムだったのに、その後に考えてるとは、変調だ。
室谷の応手を山根は完全に詠み抜けていた。時間の使い方でそれがバレバレ(^^; まずは室谷が一本取った。山根の苦労がここから始まった。

どうにか手を作りたい山根だったが、上村「山根の積極策に、室谷が自然に対応している」
山根、駒割りが銀一枚、丸損。そしてまたも室谷に好手が出る。わざと飛車を取らせて、自陣をスッキリさせる、意表の一手!これがまた好手!
上村「飛車を渡しても、室谷陣はまだまだ耐久力がある。山根は駒が少ない」

そしてさらに室谷に妙手が出る。歩を使った受けなのだが、これが地味だが実に手堅い、なんともいい手だった。
上村「非常にいい手に見えますねー。自分の飛車と馬の利きを止める手なんで、見えづらいんですけどね」
・・・なんという室谷の強さか!▲6六角、▲5七同飛、▲5六歩、と、受けの好手3連発!

これにはさすがの山根も参った。駒割りが、なんと飛車の丸損にまで拡大。
明らかに室谷の勝勢。しかし上村は慎重で、「形勢はやや室谷が押しているか」
・・・いや、もう大優勢、まず勝ちやろ。

山根、まだ投げない。なんとかならんか、と手を作りに行ったのだが、一手一手というやつで、山根の攻めに対して室谷が丁寧に受けていく。室谷のその様は、ハチワンダイバーで言うところの「受け師」のようだった。
山根が息切れして手を渡すと、室谷は豊富な持ち駒で、一気に後手玉を寄せてしまった。
117手で室谷の完勝。つ、強い・・・。
山根は終局直後、目を見開いてパチパチさせていたが、なんか意味があったのだろうか?

上村「相振りの攻め合いから、中盤、室谷が優勢になって、受けが非常に安定していて、そのまま勝ち切った」
貞升「室谷さんの指し手が落ち着いてましたね」 聞き手の貞升も室谷を称賛していた。

局後のインタビュー
室谷「戦型は予想どおり、序盤は時間を使わず飛ばしてたら、作戦負け模様になった。銀得になってからは落ち着いて指せた。全体的にはまずまずの内容だった。またもう一局指せるのがうれしい」

室谷が大優勢で、もう99%勝ち、という局面が長く続いたから、そのうち緊張して手が伸びなくなるかも?と私は思っちゃったのだが、全く要らぬ心配だった。なんという室谷の強さ!!なんという受けの安定感!!素晴らしい!!パチパチパチパチ。
AIで解析させたら、「一方的だっただけの将棋」と分析するだろう。しかし室谷の、放った好手3手、特に▲5六歩の焦点の歩打の受けは、シビレタ~。山根もシビレタだろうが、観てる私は感動した。これがほんとに女流の手か?って。
室谷も良かったのだが、山根がよくあきらめないで、逆転の可能性に賭けてがんばった。それが本局が面白かった要因だ。

余談だが、貞升さんも聞き手として抜群に安定していた。上村の見落としを指摘するフォローもあった。この人は聞き手名人と言ってもいいんじゃないだろうか。(聞き手名人候補は10人ぐらいいそうだが)

女流王将戦、面白いな~。おととい放送の二局は、私には相当ポイントが高い。山根さん、お疲れ様。山根さんの将棋は楽しかった。そして室谷さんの受け!ホント、特筆もの。素晴らしかった。良かった!
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第8局
山根ことみ女流二段 vs 加藤桃子女流三段
対局日:2020/7/3
解説:上村 亘五段
聞き手:貞升 南女流初段

昨日の土曜も二局、放送された。まずは一局目。
強豪の加藤桃子、通称カトモモの登場。山根っていう人はあまり目立たないがどうなるか。

山根は女流通算81勝63敗 0.563
解説の上村(かみむら)「山根は振り飛車党で終盤に定評がある。詰将棋が得意」

加藤は女流通算93勝40敗 0.694
上村「加藤は居飛車党で攻めに重きを置いていて、鋭い。終盤も強い」

事前のインタビュー
山根「女流王将戦は本戦出場が久々なので緊張していますが楽しく指せたらと思っています。加藤さんはパワーのある攻め将棋」

加藤「久しぶりの早指し棋戦なので緊張しているが自分らしさを表現できたらいいなと思っています。山根さんはフワフワしていてかわいらしいが芯を持っている」

先手山根で、相居飛車となった。▲雁木vs△矢倉模様。
上村「山根は最近は雁木を指している」
貞升「山根はYAMADA女流チャレンジ杯で昨年、優勝した」

山根が右玉に組んだ。ほおー、先手で右玉か。振り飛車党の裏芸というわけか。
加藤が棒銀模様でどんどん攻めてくる。これは楽しみな戦型となった。
加藤の棒銀が相手の金と交換になり、とりあえず戦果を上げた。加藤は飛車先を破り竜も作る。
だが、加藤の玉の薄さが気になる。形勢はどうなのか・・・?
上村「やや加藤が指せそうかな。しかし山根は終盤力に定評がある。少し苦しいぐらいが力が出るんじゃないか」

盤面、攻め合いになった。互いに歩を使い、相手陣を崩しにかかる。ごちゃごちゃした複雑な戦いになっており、レベルがかなり高いことが見て取れる。これは面白い戦いだ!
上村「山根が追い上げている」
山根、右玉を使いこなし、なかなか寄せの形を作らせない。これは観ていて楽しい。

40秒将棋に突入。全く目を離せない、激しい戦いが続く。
山根が受けに一枚、持ち駒の銀を投入。(▲4七銀)
上村「いやー、今のは(攻めるか受けるか)難しかったですね。時間があれば考えたいところでした」
すかさず加藤、山根の飛車の頭に銀のタダ捨てを放つ!
うおー、ここでか!右玉を縁の下で支えていた飛車が一段目からいなくなり、山根の玉はそうとう危ない格好だ。
しかし加藤の玉ももう受けがなさそう。どっちが勝つか?一手違いのギリギリだ。

解説の上村は、形勢を迷っている。
詰めろ詰めろで迫る加藤。まだどっちが勝ちかわからない、と解説の上村。
そこで出た、山根の終盤力の本領!一気に王手ラッシュで迫り、加藤玉を詰まし上げた!なんと15手詰み。
上村でさえ読み切ってなかったのに、詰将棋が得意、という評判は伊達じゃない!いやー、やったなあ。
貞升「いやー、鋭い。強かったですね」
上村「▲4六銀が受けただけの手に見えて、実は詰めろだったんですね。すごかったですね」
97手で山根が熱戦を制した。山根の会心譜だね。

▲4六銀が足場になっての詰めろだと、山根はどの段階から分かっていたのだろう。カトモモは銀を捨てたのが裏目に出たが、もうしょうがないだろう。

上村「加藤から積極的に攻め込んで、竜を作ってややリードを奪ったかに見えた。しかしそこからの山根の追い込みが素晴らしかったですね。右玉のふところの深さを活かして寄せづらい形を作って、攻め合いに持ち込み最後は▲4六銀が詰めろ逃れの詰めろで詰みを読み切っていた。激戦でどちらにも勝つチャンスがあった面白い将棋だった」

局後のインタビュー
山根「序盤は難解、中終盤は少し私が悪かったように思っていたんですけど、最後は逆転勝ちだった気がします。次も本局のように自分らしい将棋を指したい」

いやはや、これは素晴らしい一局だった。あの強豪のカトモモに対して山根が全く引かずに応戦し、最後の詰みときたら見事の一語に尽きる!これぞカネが取れる将棋だ。観ていて楽しかったー。
右玉という作戦、ここまでうまく行けば、指していて痛快だろう。この一局は実に面白かった。将棋らしい将棋。私は気分爽快だ。いやっほう!山根さん、次もぜひこの調子で!
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第7局
塚田恵梨花女流初段 vs 石本さくら女流初段
対局日:2020/6/25
解説:北島忠雄七段
聞き手:K.ステチェンスカ女流1級

15日に二局放送があった分の二局目。塚田と石本・・・正直、私はほとんど知らないがどうなるか。

塚田は女流通算36勝43敗。0.456
解説の北島「塚田は若手の伸び盛りでこれから活躍が期待される」

石本は女流通算53勝35敗。0.602
北島「石本は筋のいいしっかりした将棋を指される」

事前のインタビュー
塚田「(本戦初出場で)予選を勝ち上がれてうれしい。石本は同世代で活躍している。自分らしく指したい」
石本「女流王将戦は前回2回戦で敗退だったので上を目指したい。塚田は居飛車党の中では幅広い作戦を指す」

先手塚田で、▲居飛車持久戦vs△ノーマル三間飛車+本美濃という、きわめてオーソドックスな戦いとなった。
序盤、なかなか両者、手が進まない。
北島とカロリーナは雑談しているが、特に笑えるような話は出てこない(^^;
カロ「石本さんは私に勝って、女流名人戦リーグに入った」
北島「あ~それは残念でしたね~」

塚田の囲いは左美濃の高美濃。そのうえで、右銀も前に出そうとしている作戦。これはハッキリ言って、両立しないとされるであろう作戦だ。囲いと攻め、両方に手をかけているからだ。
北島「塚田が飛車側で戦果を上げられていないのは、囲いに手を費やしているから。手が遅れている。ただ、囲いの堅さは終盤に活きる」

塚田、右銀の進退を問われて、出るか引くかというところ。カロリーナは出ると予想。そして予想は的中。
カロ「塚田さんだもん、絶対、出ますよ」
塚田が3五に出た銀を支えて▲3六歩と突いたところ。
ここで、本局最大の勝負どころを迎えていたと思う。石本、ここは角を△6四角と出るべきではなかったか。
その角が先手の2八の飛車をにらんで、絶好の位置だったはずだ。
が、石本は塚田の銀と自陣の銀をぶつけて、交換を選んでしまった。これ、石本が大きなチャンスを逃していたと思う。

本譜、単純な銀交換になり、そして石本の角をはさんで、両者の飛車が向かい合う、という形になった。
石本は角も飛車も動けない。悪形の見本だ。
北島「塚田がペースを掴んだ」
塚田は一方的に、と金を作り、そのと金で桂香を取ることに成功。なんと無条件で駒2枚も丸得。
・・・あの、言いづらいけど、なんかその、内容のレベルが高くないというか、いや、なんとも(^^;

ここから逆転ってあるのか? 塚田は横からの攻めにこだわり、得した桂香で攻める。
なるほど、もうそれで勝てるってことか。
北島「もう塚田は手がわかりやすい。石本はなんとか手を作りたい」
どうにか意地を見せたい石本、9筋の端を攻めた。しかしこれは足りないだろう。
やはり塚田に確実な受けで受けられてしまった。

このままでは何もできず負ける石本、持ち駒の飛車を自陣の玉頭に打って、勝負手。
この一瞬だけ、塚田は間違えたらヤバかったが、塚田は正解を指した。
あとはもう塚田だけが攻め続け、石本の美濃はボコボコになった。塚田の高美濃はまったく安泰のまま。
リードしてからの塚田の攻めっぷりは父親ゆずりだと思わせた。

119手、塚田の圧勝となった。
北島「序盤は石本がリードしたと思うが、3筋の折衝で塚田がうまく対応した。石本は角が負担になってあのへんは石本に誤算があったのかな。塚田はリードを奪ってからはすごく強かった。塚田の快勝」

局後のインタビュー
塚田「途中までは自信のない局面が多かった。なんとか自分らしい将棋を指せたかな」

うーーん、両者、この内容では・・・ 序盤がレベルが低いし、中盤もいまいち。終盤は塚田の的確な手を見れたが。
とくに序盤~中盤、こんなんでいいのか? 両者、24の初~二段程度しかなさそうに見えてしまった。序盤からじっくり考えて指してるんだけど、そのわりに手がすごい単純。

なにか奇抜な作戦でも見れたんなら棋譜の内容がどうであれ面白いが、全く平凡な展開になって、一方的になってるわけで、これじゃまだまだ両者、力が足りないと思えてしまった。特に石本さんは力を出せずに負けていて、残念だろう。
前局もだったが、感想戦がなかった。感想戦が5分でもあれば番組として充実度が違うのだが。

カロリーナさんが聞き手として二局分、見れたのはとても良かった。もう日本語もバッチリだね。
囲碁将棋チャンネルでカロリーナさんの特集番組を組んでほしいものだ。

来週も二局、放送がある女流王将戦。私はNHK杯よりも女流王将戦を楽しみにしている。好ゲームを期待してる。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第6局
香川愛生女流三段 vs 里見香奈女流四冠
対局日:2020/6/25
解説:北島忠雄七段
聞き手:K.ステチェンスカ女流1級

休みだった女流王将戦が再開された。15日は二局、放送された。
まず一局目、香川vs里見。1回戦一番の好カード。
コロナ禍ということで解説と聞き手の間にボードがある。対局者、記録と読み上げはマスクしている。

香川は女流通算147勝94敗。0.610 里見は女流通算270勝93敗。0.744
解説の北島「香川はすごく積極的で、はつらつとしていて見ていて楽しい将棋。里見は女流の第一人者、今充実している。序盤もうまく、終盤もキレがある」

事前のインタビュー
香川「タイトルを獲ったことがある棋戦で、色々思い出す。またここで対局できてうれしい。ここのところ結果を出せていないので、今日は胸を借りたい」
里見「香川さんは何でも指す。今持っている自分の力を出し切りたい」

先手香川で、▲居飛車急戦調vs△ノーマル三間飛車の対抗形になった。
北島「最近は四間飛車より三間飛車のほうが多い。トマホーク戦法が復権の原動力だと思う」

香川がどうするかだったが、なんと5筋位取り。里見は普通に美濃。
北島「昭和初期の将棋みたいです。香川は色々とオールマイティで活躍してる。サービス精神が旺盛」
なお、対戦成績は香川2勝、里見9勝とのこと。

大盤、仕切りのボードがあって、カロリーナのほうからは駒が持てない状況となっている。
カロ「残念ながら自分で駒を動かすことができないので、すいません」

まだ序盤、香川が力を溜め、里見は態勢を整えて待っている。じりじりとして、緊張が続く。
北島「我慢比べになりましたね」

番組開始から48分、ようやく戦いに突入。香川が2筋を突破、飛車をさばいた。
北島「香川がうまく指している」
うむ、だが居飛車としては、これくらいのリードを飛車側で奪わないと、囲いは美濃のほうが堅いんだから、まだ互角じゃないかな?と私は思った。

香川が右桂も戦いに参加させる。カロ「居飛車の右桂が跳ねてきたら、私はパニックになる」
ははは、カロリーナは振り党だからね。北島「居飛車から見ると振り飛車の美濃が堅いんですけどね」

双方、竜を作り、終盤だが、まだまだ先が長そう。
北島「こうして見ると、差がついてないですね」 ・・・おーい、もともと差はなかったんじゃ?

お互い、一気に攻める隙が相手に見当たらないので、じっくりした、地味なやりとりが続くことになった。
特に、里見側の美濃を崩す手がない。有効な手段が香川にない。まだ大駒を切るわけにもいかない。
北島「じわじわ里見が盛り返している感じがしますねー」

そして、気が付けば里見のペースになっていた。
北島「香川に悪い手があったように見えないんですけど、いつの間にか香川は受け身になっている。どこで形勢が入れ替わったか」

無残にも、香川の舟囲いはボロボロになってしまった。里見の巧みな歩使いもあり、一方的に崩された。
終盤でのリードを奪ってからの里見の攻めと言ったら、もう水を得た魚。切れ味抜群だ。
112手、里見、完勝。里見の美濃は金銀3枚、手つかずで残ったまま!

北島「香川がとてもうまく指していたと思います。中盤、香川に良いワカレで終盤に突入した。香川に悪い手があったように思えないが、差を詰められて、鮮やかに抜き去られた。香川としては残念だった」

これ、ホントに香川がリードしてたのか?それにしても終盤力の差がすごい。投了図は圧倒的な大差。
これは香川、「里見にはかなわない」というトラウマを植え付けられたような、そんなショックな負け方だったと思う。

香川、今回は薄い玉でダメだったから、次に当たったら、もう持久戦で堅くするしかないか?
私はそんな根本的な対策を考えてしまった。もう少し接戦になるか思ったけど、ここまで差があるとは・・・。
こりゃ、もう西山女流王将への挑戦者は里見だろう、と私には感じてしまった。

局後のインタビュー
里見「早い段階で構想が良くなくて、ずっと苦しい将棋だったかなと思います。今日は反省の残る将棋だったので次局はコンディションを整えてがんばりたい」

カロリーナの聞き手で、カロさんが見れて私はとてもうれしかった。ただもうちょっと大きな声でしゃべってほしかった。日本語じゃなくて声の大きさの問題。でももう一局、カロさんが聞き手として出る。ラッキー。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第5局
室田伊緒女流二段 vs 上田初美女流四段
2020年4月10日
解説:黒沢怜生五段
聞き手:貞升 南女流初段

室田が登場。室田と言えばどうしても井山と離婚したということが頭に浮かんでしまう(^^;
対するは育児中の上田ママ。こちらはたびたびSNSで子育ての話を書いてくれている。

室田は女流通算128勝138敗。
解説の黒沢「室田は普段は優しいお姉さん。振り飛車党でバランスが取れている」

上田は女流通算283勝163敗。
黒沢「元タイトル保持の実力者。オールラウンダーで玉を固めて攻める」

事前のインタビュー
室田「上田はお母さんになってからさらにパワーアップされた」
上田「室田は序盤がうまい。積極的。私も前に出る将棋を指したい」

2人の対戦成績は上田の4-1ということだ。

先手室田で、対抗形の持久戦になった。室田▲三間飛車+ダイヤモンド美濃vs上田△居飛車+ミレニアム。

序盤、上田が桂を先に跳ねて捨てる手筋を見せ、これが成功。ほぼ無条件に一歩得する。
黒沢「上田が狙ってましたね。上田がはっきり作戦勝ち」
さらにそこから4枚ミレに囲い、ガッチガチにする上田。
黒沢「(固めるのを見て)これが上田将棋」

だが室田、崩れずに粘った。上田がミスをし、桂を1枚、タダで取り返し、局面は混沌。

上田は堅い玉にモノを言わせ、上田の攻めが続くかどうかという展開になった。
黒沢「どっちも持ちたくない、上田としても攻めを続けなきゃならないというのもプレッシャー」

室田は駒台に桂が3枚あるという、不吉な持ち駒だったが、的確に使っていった。
室田の玉も、いつの間にか2九でミレニアムみたいな恰好になっている。相ミレだ。
上田にミスが出たようで、どうするかの決定権を室田が握る。

黒沢「まだまだ先が見えない」と言っていたが、室田の持ち駒の投入の場所とタイミングが見事だった。
▲3八金打、▲2五銀、▲2六銀打。この3枚の打ち付けが絶好で、抜群の働きをした。
室田が局面を支配することに成功。
手数はかかったが、安全第一で室田は的確に終局まで持って行った。

157手で室田が難敵・上田を仕留めた。
黒沢「お互いの粘り強さ、勝負術が出た大熱戦」
細かい手もたくさん出てきて、双方が力を尽くした一戦だった。

局後のインタビュー
室田「序盤でちょっと悪くして、一歩取られてしまって、そこから簡単には崩れない指し回しができたかなと思います」

上田と室田、両者の実力が発揮され、特に室田としては納得の内容だろう。解説の黒沢を上回る手も指していた。
室田は師匠の杉本に棋風が似てると感じた。とにかく長引かせてじっくり勝つという(^^;
上田としてはミスが3回はあった。んー、上田としては「私はこんな強さではない、もっと強い」、と言いたいところか。
私としては観ていて特にダレることもなく、まずまず面白かった。室田としては金星だろう。それを見れてよかった。
解説の黒沢は形勢判断をたびたび口にしてくれて、助かる。

さて、来週の土曜は藤井聡太の特番で女流王将戦がなくなってる。
8月のスケジュールは以下のようになってる。

8月1日 放送がない
8月8日 放送がない
8月15日 里見vs香川
8月15日 石本vs塚田
8月22日 加藤vs山根
8月22日 室谷vs1回戦第8局勝者
8月29日 まだ不明だが放送がない?

来月の15日まで放送がない!しかもその後は2本連続放送の変則スケジュール。ブログを書きにくい~。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第4局
室谷由紀女流三段 vs 藤井奈々女流初段
2020年4月8日
解説:塚田泰明九段
聞き手:香川愛生女流三段

毎週土曜に囲碁将棋チャンネルで放送されている女流王将戦。
16人の本戦トーナメントで1回戦が進行中である。

今週は「むろやん」こと室谷さんの登場。大人気の女流だ。そして聞き手に香川さんというこちらも人気女流。
目立たないが藤井奈々さんというのも、観る機会があるのはうれしい。
なお、誰もマスクをしておらず、全くコロナ禍以前の風景だ。

室谷は女流通算166勝107敗。解説の塚田「室谷は昭和の振り飛車という感じ。受け主体」
藤井は女流通算20勝25敗。塚田「振り飛車党で攻めが強い」 香川「藤井は大学の後輩」

事前のインタビュー
室谷「本戦は初めて出る。本戦の初勝利をお見せできれば」
藤井「女流初段に上がった一局目がこの対局。楽しみ」

先手室谷で、相振りになった。▲向かい飛車vs△三間飛車で、相金無双。しかし双方、左の金は初期位置のまま待機。

序盤はすぐに終わり、戦いになった。角銀の総交換で、双方、手が広い。
室谷は桂損したが、強襲を仕掛ける。藤井がどう受けるか見ものだったが、藤井は超強気の受けを見せた。
私はTVの前で「うおっ、危ない!」と叫んでしまった。
塚田「これすごいですね、最強の受けですね」
香川「度胸がありますね」
やはり危険すぎた。室谷に普通に攻められ、攻めが続く恰好になった。
塚田「決まったふうですね、厳しい」
藤井の陣形はバラバラ、室谷に竜で攻められ、これは藤井はいいところがないか?

・・・室谷の攻めが決まったかと思われた。だが、ここから状況が一変する。
藤井は銀とスッと立って、見えにくい受けをしたあと、一転して攻め合いに出た。
手筋中の手筋、室谷の金無双に対してのコビン攻め。これがド急所。たった3手のうちに攻守が完全に入れ替わった。
藤井奈々、なんという状況判断のすごさ!盤面全体が見えてる。
塚田「これはいい判断」

互いに25分を使い切り40秒将棋。形勢は藤井がいいかも、と塚田。
香川「ここからが勝負ですね」

藤井の攻めが続きそう、塚田も攻めが決まっているのではないか、と言っている。
藤井が持ち駒の桂を△5五桂と打てば寄りでは、と塚田。
藤井が桂を持つ。どこに打つか、当然5五・・・と思いきや、打ったのは△3五桂!

これが痛恨のミスだった。すかさず室谷は玉を左に逃がす。ああああー、藤井、桂を5五に打ってれば・・・。

その後、手数は長くかかったのだが、藤井の攻めは切らされてしまった。室谷が受けの本領を発揮し、寄せ付けなかった。
室谷の受けは堅実で見事なものだった。131手で室谷が熱戦を制した。

塚田「戦いが早く起こって室谷がポイントを上げたかに見えたが、その後、藤井ががんばって多分逆転した。しかし桂の打場所を間違えた。双方が持ち味を出した将棋」

局後のインタビュー
室谷「うまくいったかなと思ったが、一筋縄ではいかなくて、押したり引いたりの駆け引きで二転三転したと思う。集中力を切らさずに落ち着いて指せたと思う。2回戦も自分らしい将棋を指したい」

この一局は好局だった。互いに力を発揮し、見せ場を作っていて面白かった。藤井奈々は負けたが、力量では室谷と全く互角に渡りあっており、強いところを示した。この負けはしょうがないだろう。22歳ということでまだ強くなるだろう。
女流将棋の面白さが詰まっていた一局で満足だ。

なぜか感想戦がなく、「番組が早く終了したので解けたら初段・七手詰を放送します」となってしまっていた。
な、なぜだ。5分でいいから感想戦をやってほしかった。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第3局
中村真梨花女流三段 vs 竹部さゆり女流四段
2020年4月7日
解説:石田直裕五段
聞き手:真田彩子女流二段

マリカちゃんと竹部さんが登場。2人とも私が好きな女流だ。
解説の石田「中村は生粋の四間飛車党。マリカ攻めと呼ばれる攻めが魅力。竹部は早見え早指し」

事前のインタビュー
マリカ「竹部さんは才能のひらめきがある。視聴者の方に自分の将棋を覚えてもらいたい」
竹部「中村さん相手にはスコアが悪い。恥ずかしくない将棋を指したい」
これまでの対戦成績はマリカの4-2だそうだ。

先手マリカで、いつものごとくノーマル四間飛車。竹部は居飛穴に組もうとして、それを阻止すべくマリカから動き、戦いになった。

開始早々、テロップで「対局が長引いたので編集しています」と流れたので、どんなことになったかと思いきや・・・。

まずリードを奪ったのは竹部。54手目に先手の急所の1九の香を食いちぎり、ほぼ無条件と言える駒得を果たす。
これが大きく、ずーっと竹部がリードしていたと思う。
しかしマリカも決め手を与えず、粘る。
竹部がおかしくしたのは160手目。マリカの攻めを手抜いて、攻め合いに行ったのだが、これが完全に判断ミス。
竹部の攻めは効果なく、それどころかマリカに駒を渡すだけとなってしまった。
形勢は逆転。

しかし、193手目あたりで、マリカも間違える。マリカの玉は中段玉で寄らないかと思っていたが、一気に危なくなった。
ここでは竹部が勝ちになったはず。

だがしかし、竹部が勝利目前の3択の場面でミス。なんと最後は17手詰めのトン死を食らってしまった。マリカ、難局を制した。
211手でマリカの勝ち。
何回逆転したの(^^; 解説の石田「いろいろあった大熱戦」

局後のインタビュー
マリカ「みなさんにスリルを味わってもらえたかと思います」

私は途中で疲れて眠くなって中断した(笑) でも手数は長かったけど、ダレたところはなかったので、え、終わって200手以上もやってたのか、という印象だった。 
竹部さんにしてみれば、悔しい負け方だった。中盤の早い段階でモロに駒得してずっとリードしていたのに逆転され、チャンスが来た最後も自分のミスでトン死を食らって負け。ああああー、というところだ。

それで今回、私が思ったのは、長引いた場合の編集の技術の高さ。どこで編集でカットしたかわからない。おそらくカットしたのは序盤の思考時間だと思うけど、全くストレスや違和感なく観れた。スタッフさん、いい仕事をありがとう。パチパチパチ。

マリカは「次は強敵」と言っていた。次の相手は里見vs香川の勝者。たぶん里見だろう。
マリカの粘りは良かった。でもリードしたところからそのまま勝ち切る力がないと次は厳しいと思う。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第2局
山口恵梨子女流二段 vs 頼本奈菜女流初段
2020年4月3日
解説:田中悠一五段
聞き手:伊藤沙恵女流三段

囲碁将棋チャンネルで毎週土曜に放送されている、女流王将戦。
注目の山口えりりん登場。「攻める大和撫子」(やまとなでしこ)の異名を持つということだ。
山口は通算で108勝104敗ということで、強さは標準的な女流棋士と言える。
頼本は通算32勝26敗。私はこの人を知らない(^^;

解説の田中「山口は明るい性格でいろんな方面で活躍している。頼本は予選で清水と鈴木カンナに勝った」
山口えりりんは最近ではYouTuberとしても人気がある。

事前のインタビュー
山口「(前期ベスト4で)予選をシードしていただいたからには、勝ちたい。己の実力を自覚して戦いたい」
頼本「緊張してきたが実力を出したい」

先手山口で、頼本の角交換四間飛車で対抗形。
頼本が早くに△6五角と筋違い角を放ち、どうなるかというところ。私は居飛車党なので、山口側を持って観ていたが、この筋違い角はありがたいと思った。これは角の打ち損になるのでは・・・。
解説の田中「完全に力将棋になりましたね」

山口は自陣の整備もせずに、果敢に仕掛けていった。▲7七桂~▲6五桂で、攻めつぶすという意思が伝わってくる。
対抗形の居飛車側から左桂を跳ねていくのはめずらしい。

ねじり合いの中盤が続く。駒が複数、当たりになり、難しいかと思われたが、頼本がうまくさばいた。
田中「頼本が良くなった」
頼本の筋違い角が△6五角~△7六角~△3二角~△1四角と活用され、絶好の位置にポジショニング。
そしてなんと言っても、玉形が違いすぎる。頼本の美濃が堅い。すごい遠い。
一方の山口は玉を囲ってるとは言えない形で、薄すぎる。
最後は頼本が受けきり、大差がついた。84手で頼本の勝ち。快勝だった。

田中「頼本の筋違い角が絶大な働きをした。頼本は勢いのある手と負けにくい手を織り交ぜた。山口もカを見せた場面はあった」

感想戦では、山口「仕掛けに無理があった」と終始反省だった。
玉の堅さが違いすぎるので、盤面の右側(飛車側)で8対2ぐらいの差をつけたかったのだが、五分五分ぐらいのワカレになっちゃって、あとはもう美濃囲いの堅さにどうしようもなかった、という感じの一局だった。居飛車の急戦党から見たら、美濃は堅すぎ、反則だと言いたくなる、そんな典型の内容だった。

敗着は▲6五桂。左桂を攻めに参加させてはいけなかったとのこと。攻める大和撫子だからしょうがないが、今回は山口の自爆というケースだった(^^;

変化を検討している途中で、山口が局面を元に戻せなくなり、山口「わかんなくなってきた、頼本さん、手伝って」というシーンがあったのが、面白かった(笑)

局後のインタビュー
頼本「角を△1四角と出れたあたりで少し良くなった、実力が出せてほっとした」
頼本は安定していた。△6五角と打った時点で△1四角の活用を見通していたとしたら、かなり強いね。
第42期 霧島酒造杯 女流王将戦
本戦トーナメント 1回戦 第1局
本田小百合女流三段 vs 伊藤沙恵女流三段
2020年4月1日
解説:阿久津主税八段
聞き手:中村真梨花女流三段

毎週土曜に囲碁将棋チャンネルで放送される女流王将戦。昨日から放送が始まった。
その模様の、感想を書いていきたい。
持ち時間は各25分、切れたら1手40秒未満。棋譜は囲碁将棋チャンネルのホームページに出ている。
(ホームページの上の「将棋」→右側の「番組紹介」→やや下にスクロールで「霧島酒造杯 女流王将戦」)
16名の本戦出場者が挑戦権を競う。現在の女流王将は西山朋佳。

私の個人的に注目は、里見vs香川。山口えりりん。そして室谷。さらに子育て中の上田。

解説の阿久津「16名の中でベテランは本田と竹部くらいで、あとは若手」

阿久津「本田は居飛車党でバランスが取れている。じっくりした玉の堅いのが好み。伊藤は受けの力がすごい、相手の駒を根絶やしにしてしまう」

事前のインタビュー 
本田「伊藤さんは厳しい相手。自分を試したい」
伊藤「本田さんは普段は優しい先輩。面白い将棋を見せたい」

先手本田で、相居飛車の矢倉模様の持久戦になった。駒組みも飽和かというところで、本田が何気なく歩交換に行ったのだが、これが大問題だった。伊藤に幽霊角(端角)の筋で、なんと早くも本田が困っている。ぐああー、女流クオリティ爆発(^^;
阿久津「いきなりすごい伊藤がリードするかも」

気が早い人ならもうやる気をなくすところだったのだが、伊藤にも疑問の構想が出て、局面が混沌とする。

その後、両者が立ち直り、双方なかなか崩れない、面白い展開に。やはり女流三段どうし、力はあるところを見せる。
本田の攻め、伊藤の受けという棋風どおりの熱戦となった。
阿久津の解説が的確で、阿久津の言う通り指せば本田が行けそうだったのだが、難しい手順で、それを本田に要求するのは酷だったようだ。
伊藤が手堅く受けに回り、受けきりになったところで本田が投げた。98手で伊藤の勝ち。

阿久津「伊藤の持ち味が出た。本田は攻めがつなげられるかもしれなかったので、そこは悔やまれる」

本田さんは負けたが、感想戦で明るくて、こっちまで気分が明るくなる。女の人でこういう性格の人、いいね。

局後のインタビュー
伊藤「早々にチャンスが来たが、間違えた。あきらめずに粘って指せたのが良かった」

乱戦になり、対局者2人の力は充分出ていて、面白かった。特に、伊藤の受け。入玉を早々に視野に入れた指し回しなんて、非常にめずらしい。それが見れて楽しかった。
そして本局は、阿久津が強かった(^^; 細い攻めをつなげる手順を阿久津が解説でも感想戦でも披露していて、やっぱ男子プロは強い。

これから毎週1回、9月まで、なるべく簡単に女流王将戦の感想を書いていきたい。コロナ禍だが放送してくれるのは実にありがたい。感謝感謝。