詰将棋道場

勝浦修著 2006年 マイコミ将棋文庫SP
評価 たぶんA 
難易度 たぶん★★★★★ 有段~高段向け

7手~13手中心の詰将棋集、全200問です 
ラスト4問が15手詰め、ラスト1問が19手詰めになっています
盤面右上に玉と駒を配置した実戦型と言えると思います
全問見渡したところ、すべて持駒が3枚まででした

この本、実は私はまだ一問も解いていません
この本を解き終えることが、私の人生の詰将棋における最終目標です
13手詰めまでの実戦型の詰将棋が解ければ、それでもう充分満足です
持っていて眺めて、いい感じです


詰将棋道場 7手~11手

勝浦修著 2007年 マイコミ将棋文庫SP
評価 A 
難易度★★★★ 上級~高段向け

7手詰め80問、9手詰め80問、11手詰め40問の、全200問です 
盤面右上に玉と駒を配置した実戦型と言えると思います

一ページ一問で、問題の下にヒントがあります
ヒントは、手などで隠せます 
裏透けがありますが、解答が見えるわけではないので、
私には気にならない程度です(ヒント、裏透けに関しては上記の詰将棋道場も同じ)

まえがきに、「今回は前作よりも易しく、ということを心がけてみました」とあります
私は現在、この本の89問目まで解いたところで、突然、頭のバッテリーが切れしてしまい、
頓挫中です 中断して、もう一ヶ月になります 残念です
89問目までの感想ですが、解き甲斐があって、やっていて楽しかったです
やはりまえがきに、「解答意欲の沸くものを選題の基準とした」というだけあって、
チャレンジしてみたくなる問題が載っているなあ、と感じました

この2冊の最大の問題点は、発行元がマイコミだということです
マイコミの本は、3年たったら絶版、と言われています
事実、名著「消えた戦法の謎」は、95年に単行本が発売され、それが絶版になり、
文庫で2003年に再発行されたにもかかわらず、
またその文庫が今絶版になってしまっています
上記の2冊も、いずれ絶版の道をたどることは容易に想像がつきます
お買い求めは、お早めに、ですね
5級からの詰将棋81

佐藤康光著 2007年 日本将棋連盟
評価 C 
難易度★★★☆ 中級~有段向け

5手詰め35問、7手詰め36問、 9手詰め10問 合計81問
全問、盤上右上を使った実戦型です
レイアウトは、特に問題ないです
裏透けは少しありますが、裏の答えが見えることはないし、
私は気になりませんでした
問題の下に、ヒントが一言あります 隠そうと思えば、隠して解くことができます
解答の解説も普通ですね
難易度は、それぞれの手数に対して、普通だなと思いました

問題数が81問というのは、他の詰将棋集に比べて少ないですが、
そのぶん、早く一冊解き終わることができ、私は取り組むのに気が楽でした
タイトルに81問ですよ、と書いているわけで、
最初から承知で買ったので問題ないです

佐藤康光本人の書いたエッセイが、途中の箸休めにちょうどいい感じです
こういう本は、私はアリだと思います
ちょうど、5~9手くらいの実戦型の詰将棋集を探していた頃、
この本の存在を知り、ちゃんと中身を確認して買ったのでニーズに合い、私は満足しています

ところが、この本の最大の問題点は、タイトルの「5級からの」の言葉にあります
この「5」、という数字が、特にでっかい字で表紙に書かれているので、
かなりやさしい詰将棋集なのか?初心者向け?と勘違いを生むことは
間違いありません なぜ、「5手からの詰将棋」にしなかったのでしょうか
普通、5級と言えば、初級者くらいのイメージを与えます
初級者がこの本に手をだし、最初の5手詰めはがんばって解いたが、
7手詰めくらいからはさっぱり解けず、詰将棋がきらいにならないか、私は心配です
私は自分が詰将棋がとりわけ苦手だったため、どうしても心配してしまうのです
そういえば、ネットの24が、連盟公認サイトになりました
5級、と言えば、これからは24の5級、と認識してくれ、という連盟の意図でしょうかね

この本は、私はまだ一周しかしていません 最低、もう一周はするつもりです
超実戦 駒を取る詰将棋 入段編
飯野健二著 2007年 池田書店
評価  A
難易度 ★★★★ 11手詰めを初めて解く人向け

姉妹本、3・5・7手 実戦型詰将棋で、7手詰めができ、
さらに 超実戦駒を取る詰将棋で、9手詰めができたら、
次はこの本がおすすめです 5手~11手、全135問です
上記の姉妹作と同様、レイアウト、裏透け対策、完璧です
玉は全て右上スミ問題の実戦型です
この本の最大の特徴は、普通の詰将棋本とは違っていて、
何手目かには、必ず相手の駒を取る手が正解、になっているところです
もちろん詰将棋のルールは守っており、最後は持ち駒はあまりません

最大のレビューポイント、難易度は、解き始める前は、
「入段編」の文字に私は恐怖しており、買ってから2ヶ月ほど取り掛かれずにいました
なにしろ、まえがきに、「前作に比べて、格段に上がっている」とあるのです

しかし、いざ覚悟を決めて取り組み始めると、
「あら?それほど上がってもないかも」と感じました
たしかに難しいですが、そんなに全然無理なほど上がってはいないように感じました
もちろん、上がっていることははっきり確かなんですけどね
野球で言うと、高校野球とプロ野球の差ではなく、
高校野球と社会人野球くらいの差だったのです
私はほっとしました

11手詰みが7問しかなく、やはり姉妹作と同様、この問題数の少なさがポイントです
私は、「ラスト7問、せっかくここまできたんだ、あとたった7問じゃないか、
初めて11手詰めにチャレンジするが、がんばってみよう」という気になりました
11手はやはり長いと感じたし、あきらめて答えを見るハメにもなりましたけどね

11手先まで、しっかり頭の中で読みきる、という訓練には最適だと感じました
さすがに、解けない問題も、けっこうありました
この本は1周しかしてません あと2周はする予定です 
このシリーズ3冊は、私のお気に入りです
飯野先生、ありがとうございます
超実戦 駒を取る詰将棋
飯野健二著 2007年 池田書店
評価  A
難易度 ★★★ 9手詰めを初めて解く人向け

姉妹本、3・5・7手 実戦型詰将棋で、7手詰めができたら、
次はこの本がおすすめです 3手~9手、全135問です
上記の姉妹作と同様、レイアウト、裏透け対策、完璧です
玉は全て右上スミ問題の実戦型です
この本の最大の特徴は、普通の詰将棋本とは違っていて、
一手目は、必ず相手の駒を取る手が正解、になっているところです
だから、あまり難易度は上がっていません
もちろん詰将棋のルールは守っており、最後は持ち駒はあまりません

9手詰みが15問しかなく、やはり姉妹作と同様、この問題数の少なさがポイントです
私は、「ラスト15問、せっかくここまできたんだ、あとたった15問じゃないか、
初めて9手詰めにチャレンジするが、がんばってみよう」という気になりました

たったひとつ残念だったのが、9手詰みの最初の問題、121問目が、
私にとって一番、難しい問題と感じられたことです
この問題は、ラストのトリにもってきてほしかったです
9手詰みの一問目で答えを見るハメになり、
「やっぱり、俺には9手詰みは無理なのか?」と不安になってしまいました
でもこの問題が最大の難問だったと思います

9手先まで、しっかり頭の中で読みきる、という訓練には最適だと感じました
この本は2周しました あと1周はする予定です
3・5・7手 実戦型詰将棋
飯野健二著 2007年 池田書店
評価  A
難易度 ★★★ 7手詰めを初めて解く人向け

「5手詰めハンドブックを解いた、けど、次はどの本をやればいい?」
と聞かれたら、私は迷わずこの本をおすすめします
私は5手詰めハンドブックを解いたのに、次の詰将棋本のピンとくる本に
3年も出会えずに居ました 
しかたないので、その間、5手詰めハンド1を3周、繰り返しやったりしました
そして、やっと波長がピッタリあったのがこの本です

3手詰め60問、5手詰め60問、7手詰め40問の全160問の構成です
問題は、すべて玉が右上スミに居る、実戦型です

このシリーズ3部作すべてに共通することですが、
一ページ一問で、レイアウト、裏透け対策、完璧です
左下スミにはヒントが一行あり、問題が解けないときの手助けをしてくれます
ヒントを最初は隠してやってみて、わからなければヒントを見る、
という2段構えのやり方が、できるのです
解説も図面4つ使っているので、良いです

私は、「初めて解く7手詰めは、やっぱりしんどい、5手詰みより長いだけある」
と思いましたが、この本をがんばって解きました
途中で投げ出さず、最後まで解けた理由は、7手詰めが40問しかない、という
問題数の少なさが、要因になっているのです
せっかくこの本の120問まできたんだ、あとたった40問じゃないか、という事実が
私に自信を与えてくれました 問題数の少なさが、最後まで解き終え、
ゴールできた重要なポイントでした 
初めて7手詰みをまともに解いた、というのは私にとって感動であり、
自信になりました これで自分の詰め将棋の世界が広がるな、と思いました

ちなみに、何分で何級、というのが5段階で書かれていますが、
私はそれは全く気に止めませんでした レイアウト都合上の空白をうめるスペース、
くらいにしか捕らえていません このシリーズ、共通して、すべてそう思って解きました

この本は、2周しました あと1周はやりたいところです
もし、今後、何かの都合で長期間将棋から離れた場合、せめてこの本を解いて、
カンを取り戻してから、実戦に移りたいところです
2007.10.31 朝の連ドラ
NHK連続朝ドラマ タイトルわすれた、が、非常に面白い
はじめは見ていなかったが、母が見ていたので、
私は画面を見ずに音声だけを一緒に聞いていたのだが、
一週間くらいたった今は、もう絶対見逃せないと思えるほど面白くなってきた
スゴ録で撮っているので好きな時間に見れて便利
最初は、つまらん、と思って見ていなかったのに、わからないものだ
ドラマを見るのは、チャングム以来だ
3手詰めハンドブック1、2
浦野真彦著 200?年 日本将棋連盟
評価  S
難易度 ★ 初心~低級向け

この2冊は、私はほとんど読んでいないです 
今、私の手元にも本はありません
私の身近な人の実体験です
私の父と、近所の退職してヒマそうなおっちゃん、この2人です

父はほとんど将棋を指しませんが、「詰め将棋なら、やってみたい」と言っていました
電話で、この本をすすめたところ、買って、やっているようでした
お盆に田舎へ帰ったとき、父と会いました
父は3手ハンド1を持ってきていて、
「これ、なかなか解けなかったぞ、おまえ、解いてみろ」と
3手ハンドの中の一問を見せてきました
私が5秒で解くと、父は「え?そんな、もう解けた?」と言っていましたね(^^;
そのとき、父に「他に詰め将棋本はないのか?」と言われて困りました
まだ3手ハンド1しかないころです 適当な本がないのです
仕方がないので、私は「もう一周、最初からその本をやれ」と言っておきました
そんなわけで、2も出て良かったです
ちなみにボナンザが出て、離れて暮らしている父に、電話で
「こんなフリーソフトがあるよ」とすすめると、父はけっこうやったようで、
「6枚落ちでやっとるんやが、これが、勝てんのや」とぼやいていました(^^;

次は近所の退職したおっちゃんです
この人とは、朝散歩しているときによく会います
2回くらいおっちゃんの家で、計10局くらい将棋を指しました
10局といっても、おっちゃんは、ものすごく速く指してくるのです
そして、持駒を手に持ったまま、駒台に置かず、ときどき「手に?」と
こっちの持駒を聞いてきます もちろん、私は持駒は駒台に置いています
私が勝ちつづけるとくやしがり、家から帰してくれません
しかたなく、緩めて負けてあげました
要するに、そういう強さの人です 
その人に、図書館から3手ハンド2を借りてきて、おっちゃんに貸してあげると、
翌日合ったときに、「あれ、ええわあ、なかなか見えんのや、詰みが」
と面白そうに話してくれました
3手ハンド1は図書館にも近所の書店にも無かったので、
私がアマゾンで注文して、私が代理人になって、かわりに買いました
後に、おっちゃんは、「3手ハンド1も、解いたでえ」と言っていました

この、私の父と、近所のおっちゃんには、多分他のどの将棋本をすすめるより、
この3手ハンドをおすすめして正解だったと思っています
3手詰めハンドブックは、確実に普及に貢献しています
そういうわけで、評価Sです
5手詰めハンドブック2
浦野真彦著 2006年 日本将棋連盟
評価 B
難易度 ★★☆ 低級~上級向け

5手詰めハンドブックがとても面白かった私は、迷わず買いました
もっと多くの問題に触れられて、うれしかったですね

もう詰将棋は私は一冊目ではないので、
1のときのような感動が味わえないのは、最初から分かっていました
ただ、何か、こう、歯ごたえがない、というか、充実感はいまひとつです
単純にパート2であること、2年の間に、私が他の詰将棋本も解き、
詰将棋に慣れたというのも、確かにあるでしょう
しかし、この本の問題自体が、全体を通してストレートで一本調子だな、と感じました

5手ハンド1では、ストレートな問題もたしかにありました、
が、時々、これは変化球だな、と思える問題が、そこそこにまぶしてあったのです
それが、良くも悪くも、なくなった感がいなめません
浦野先生も、ハンドブックは3作目ということで、
1作目より肩の力が抜けたのだと思います
それが、問題から伝わってきましたね

この本は、2周しました あと1周したら、最後でいいかな、と思っています
5手詰めハンドブック1
浦野真彦著 2004年 日本将棋連盟
評価 S
難易度 ★★★ 低級~有段向け

文句無くS評価です 私にとっては、詰将棋の世界にいざなってくれた神本でした

約3年前、この本に出会う以前には、私は詰将棋というものに全く興味がありませんでした
一冊として詰将棋の本を解いたことはありませんでした
指し将棋と詰将棋とは、全然別の世界で、違うジャンルだと思っていたのです

実戦形の詰将棋で、3手詰みならさすがに自信がある、わざわざやる気はない、
しかし、7手詰みとなると、もう考える気がしない、
当時の私の詰将棋に対するスタイルははこんなふうでした 

この本を書店で見つけた私は、「5手詰めばかりの本か、
それなら自分にも合うかもしれな」と思い、買いました
まさに、ズバリ、私にピッタリの本でした
帯の、「詰将棋アレルギーの特効薬」は、そのとおりでした
難易度は、見開き4問で、すぐ解けるのが1~2問、ちょっと考えるのが1~2問、
考えても、あれ?なかなか解けないな、と思うのが1問、大体このくらいでした
簡単すぎず、難しすぎず、ちょうど私に合った難易度でした

当時の私は一日20問解いたら、限界でした、が、楽しかったのでがんばって解き、
8日くらいで全問解き終わりました 
はじめて詰将棋の本を一冊とき終えたので、うれしかったですね

それから、今まで合計、4回にわたり解きました 4周したとの意味です
また、年月を置いて5周目をやる予定です 
次の5周目が最後でいいかな、と思っています

この本で、はじめて詰将棋の楽しさを知りました
浦野先生には、本当に感謝の一語に尽きます
浦野先生、ありがとうございます
はじめに、自分のことを書いておきます
この2冊の本のおかげで、最初は右も左も全くわからなかった横歩取りが、
少しはわかるようになりました
しかし、横歩取りは、私は実戦ではもう一切指す気はありません

羽生は、この2冊で横歩取りを5種類に大別しています
このうち、最初の△2三歩型だけは、意味合いが違っていますが、
本格的に指そうと思えば、これももちろん覚えなければなりません
むしろ最初に覚えなければならないようです
今ではそれに△8五飛戦法が加わりますので、6種類ということになります
つまり、先手は横歩を取るなら、6種類の変化すべてを
後手に指される可能性があり、ひととおり網羅しておかなければならないということです

横歩取りにも急戦調と持久戦調がありますが、
急戦調は将棋のすべての戦法の中でも最大級に激しい戦いになりがちで、
一手ミス、即終了になるのは日常茶飯事です
持久戦調は、たいがい空中戦になり、飛車が中段でウロウロし、歩の頭にくる、
そして中盤は桂の高飛びで手をつくる、
なんていうのが、横歩取りの将棋の持久戦調の特徴です

実戦で試した結果、どれも、私の棋風には合わなかったのです
覚えておくべきことが多すぎるのと、中盤から手将棋になったときも
ほとんど手がみえません 私は空中戦にもめっぽう弱いです
ですから、私は今では、もう横歩取りは指さないことに決めたのです

自分が指さないからといって、この9、10巻の価値が低いか、というと
全然そんなことはありません
むしろ、羽生の頭脳シリーズ全巻の中で、一番面白かったのが、
9巻のP99からの相横歩取りの激戦の変化です
これは、あらゆる将棋の序盤からの変化の中で、ナンバー1に激しい変化だと思います
居飛車vs振り飛車でも、序盤すぐに飛車や角が部分的に
交換される定跡はありますが、それとは違います
序盤から終盤まで、戦いが局面全体に及び、互いに絶対にもう引き返せない、
受ける手はほぼなく、攻められたとき、仕方なく取る一手だけ等の必要最小限、
詰みまで一直線に互いに攻めあうのみ、というものだからです
細かい歩の手筋や、繊細な大駒の打ち合い、というが
手筋として出てくるのも見ていてすごいと思います

それと10巻の△4五角戦法も、かなり面白いです
この戦法は、ハメ手のデパートです 自分が指すのは無理ですが、
他の人が指しているのは見ていてすごく楽しいです

この羽生の頭脳9、10巻は、古典としてこれからも残ると名著と思います
いつでも本棚に置いておきたい本です
以上が、私の感想です

ちなみに、上記の2つの戦法、どちらも後手側が不利とされていて、
プロの将棋では滅多にお目にかかれません
もしTV対局で私が見かけたら、「相横歩の一番激しい順キタああー」
「△4五角、キタああー」と大喜びすること間違いなしです 

以下、互いに一局ずつ、私の印象に残っている将棋を紹介しておきます
相横歩取りでは、96年の鹿島杯 ▲矢内vs△林です
後手の林が、自分の研究手、△9五角の妙手を出し、それが勝着となり矢内に完勝します
解説の男子プロが、とても感心していたのを覚えています
この年、林は鹿島杯で優勝しています
この△9五角は、私もまねてみようと思い、一回だけ24の実戦で実現し、
やはりその手のおかげで勝てたことがあります

△4五角戦法では、どの棋戦かは全然わかりませんが、
スカパーでの女流の棋譜解説です
▲清水vs△竹部です 後手の竹部が△4五角と打ち、定跡そっくりそのままに進み、
定跡のとおり後手の攻めが切れて敗勢になり、清水にいいところなく完敗した、というものです
解説の男子プロが、「いったい、竹部は、何をやりたかったんだ?」と
不思議そうだったのが面白かったです
私の推測ですが、竹部は、「清水がもしかしたら△4五角戦法の定跡を知らなくて、
一発入るんじゃないか」と思って指して見た、
というのが竹部の本音だと思います ところが清水は定跡をマスターしており、
それで一方的に完敗した竹部、なんとも笑わせてくれます
私はこういう竹部将棋が好きなんですよね(^^;
ヒネリ飛車、相掛かりに関して、私の知っている知識を2つ書いておきます

まず、なぜ、今はプロはヒネリ飛車をあまり指さないのか、
私の知っている範囲で書きます
参考になったのは、数年前のNHK杯、▲内藤vs△丸山です 解説は谷川でした
内藤のヒネリ飛車に対し、丸山は金銀を玉側に集め、
そして玉頭で位を取り、盛り上がります
中盤、両者手詰まりになり、谷川が「これはもう先手から仕掛ける順はない、
千日手にするしかない」と断言しました
ところが、おそらく千日手が嫌いなのでしょう、内藤は打開し攻めていきましたが、
谷川の予言どおり、丸山に完封されました
印象に残っているのは、丸山がさほど時間を使わずに、
淡々と駒組みを進めていったことです
ああ、もうトッププロでは、ヒネリ飛車は後手に仕掛けを封じられ、
千日手にされちゃうのが常識なんだな、と思ったことが記憶に残っています

それから、スカパーで豊川が解説していましたが、
後手から△9二飛~△9五歩と仕掛け、
飛車交換を強要する筋が有力な対策とのことでした
他にも後手の対策はある、と豊川は言っていました
ここは、記憶が完全でないので、間違っていたらすいません
とにかく、色々な対策がある、と、豊川が言っていたことだけは、はっきり覚えています

次に、相掛かり引き飛車棒銀について書きます
飛車の引き場所を▲2六飛でなく、▲2八飛、と深く引いて、
▲2七銀~▲3六銀と出る戦法の説明です
この意味は、まず飛車を深く引いて△4四角などで当たるのを避けておき、
銀を3六に素早く出て▲2五銀と急戦棒銀を見せ、後手に棒銀を受けることを
強要させ、例えば△3三桂と受ければ、そこで先手は方針を持久戦に切り替えて、
▲4七銀と立て直し、後手の駒組みが制約されているので、
そこから先手だけ駒組みを続けて作戦勝ちをねらえる、という
緩急自在の高度な作戦、という意味だと私は認識しています
第8巻 最新のヒネリ飛車

この8巻も、現役度がかなり高い本です
と、いうのも、私の知る限り、この本以降、約13年間、
まともなヒネリ飛車と相掛かりの定跡本は出ていません

私が一番最近見たヒネリ飛車のプロの実戦は、
今年のNHK杯の6月24日 ▲豊川孝弘vs△中川大輔 1回戦 解説 羽生善治です
本書の、はしがき、の「先手には楽しみが多く、後手には苦労が多い」
と書いてある通りの展開で、
先手の豊川がヒネリ飛車にして、序盤から主導権を握り、
後手の中川は不利にならないように細心の注意を払って指していました
しかし、持久戦にはなったもの、結局は先手の攻めがまともに決まってしまいました
(結果は終盤、豊川が寄せをあせり、自玉の端を受けなかったため、逆転で中川が勝ちました
余談ですが、このとき、中川が勝ったおかげで、
次の羽生vs中川の世紀の大逆転の一戦が生まれたのですね ひゃー)

アマチュアでは、後手にとってはヒネリ飛車もそうですが、
相掛かりでの塚田スペシャルも脅威です
「消えた戦法の謎」には塚田スペシャル対策が詳しく書いてありますが、
難しすぎて私には理解できません
序盤早々、端を詰められた屈辱感は、なんとも言えないものがあります
他の相掛かりの戦法にしても、先手が得することはあっても、
後手が得することは何もない、というのが私の認識です
結局、「相掛かりの後手番をもって指すほど、俺は自信家じゃない」というのが
私の結論です だから私は後手番なら、先手に▲2六歩と指されたら、
△3四歩にして、相掛かりを避けています

自分がヒネリ飛車をやったらどうなのか、と言われるかもしれませんが、
私は、飛車を中段で使うのが苦手なのです
それに飛車は右、玉は左、というのがもう頭の中で固定されてしまっています
ただ、角換わりの右玉なら、飛車が下段なので指せるんですけどね
ですので、ヒネリ飛車の章は、あまり詳しくは読んでいません

私が読んで参考にして実戦で使ったのは、相掛かり3七銀の章だけです
この戦法は、空中戦の苦手な私でも、わりと指せていると思います
右銀を前に出していけばいいので、方針がわかりやすいです

相掛かり腰掛け銀は、この本を見ても、何を目的として指していいか
中盤の方針が良く分からないので、実戦で使ったことはありません

相掛かりなら自分がどの戦法を使うか、という取捨選択ができた、
と言う意味で参考になった本と感じています
ヒネリ飛車、相掛かりに関しては、この本以外に頼る本を私は持っていませんね
もし、「ヒネリ飛車、相掛かりを指しこなす本」が出たら、
私は即買うのですけど、出してくれないかなあ
第7巻 角換わり最前線

最近、プロ間では角換わりが多いです
一手損角換わりにの流行に影響されてか、
一手損をしないふつうの角換わりも以前より多く見るようになったと思います
ところが、アマチュアのための角換わりの良本がないのです
良本も何も、角換わり本自体がめっぽう少ないです
その中で、この羽生の頭脳はまだましな部類と思います
ましな定跡本で手に入る本といえば、この本から入るくらいしかないのが現状です
ですが、この本は角換わり入門者向けでは、全然ないのです

以下、私がわかっている範囲で、角換わりのことを説明します
まず、角換わりでの大前提は、角換わりの主な戦型は、
棒銀、早繰り銀、腰掛け銀の3つであるということです
(右玉は特殊なので、ここでは触れません)
そして、この3つは3すくみになっており、ジャンケンでいうところの
棒銀がグー、早繰り銀がパー、腰掛け銀がチョキ、なのです
つまり、角換わりでは、
棒銀は腰掛け銀に勝つ グーvsチョキ
腰掛け銀は早繰り銀に勝つ チョキvsパー
早繰り銀は棒銀に勝つ パーvsグー 
これを知っておかなければなりません
ここは「最新戦法の話」に同じ記述があるので、ぜひそれも読んでください
覚え方は簡単です
早繰り銀は、「は」だから「パー」、
棒銀は、なんとなく固いイメージがあるから「グー」
残った腰掛け銀は、「チョキ」
これでいいんです
この間のNHK杯、先手野月の早繰り銀に対して、
後手増田は腰掛け銀で対応していました
つまり、先手がパーできたから、後手はチョキで返したわけです

ところが、なんとこの羽生の頭脳には、早繰り銀のはの字すら出てきません
羽生さんは、3すくみのことは、知っていて当然だから省いたのかもしれんせんが、
早繰り銀の名前すら全くでてこないのは、あんまりな扱いです
相腰掛け銀の難しい攻防なんて、最後の最後にやればいいと思います

でも、この本を悪くいうわけにはいきませんよね 
そもそもタイトルが「角換わり最前線」だし・・・
この当時廃れていたかも?の早繰り銀は意図的に省いたのかもしれません
なんとかして「角換わりを指しこなす本」を早く出版してほしいところです

次に、それぞれの戦いのイメージです 私のレクチャーになります、参考にしてください
角換わり棒銀は、1筋の歩を突き合っていないときは、
△5四角と打つ筋が有力で、そこから手将棋です
1筋の歩が付き合っていて、銀香交換で先手が攻めていった場合は、
右側の攻防からダーッと盤面の左側、玉方面に戦いが移動していきます

角換わり相腰掛け銀は、要するに全面戦争です 
端で取った一歩が、離れたところの急所に打たれ、勝負が決まった、
なんていうことがよくあります

角換わり相早繰り銀は、互いに居玉で一歩も引かないノーガードの殴り合いです
しかし、私はプロの実戦でほとんど見た記憶がない、レアな戦法です

角換わり右玉は、不思議な戦法だと思います
読みよりも、感覚、手の見え方が重要で、
「勝ちに不思議の勝ち有り」、という言葉が当てはまる場合が多いです

以上、私なりにわかっていることを解説してみました
本書、羽生の頭脳は、やはり難しいですね 棒銀の章は参考になるのですが、
相腰掛け銀の章は理解できるまでいきません
駒組みを見て、こんな戦いがあるのか、という感想をもつ程度です

最後に、8巻の冒頭の「はしがき」から、羽生さんの言葉をそのまま引用させてもらいます
(前略) 変化の煩雑なことでは、はるかに矢倉のほうが上である。
単純で激しいということは、記憶した変化を有効に使いやすいということでもある。 
終盤に自信がなくとも、ある程度実戦をこなせば、
それなりの勘がつかめてくる。そういう意味では、この戦法はむしろアマチュア向き
なのではないかという気もする。(後略)
2007.10.30 ああー疲れた
このペースで棋書レビューを書きつづけたら、俺、過労死するかもな
「ニートが過労死」、ヤフートピックスで紹介されるかもしれん
第5巻 最強矢倉・後手急戦と▲3七銀戦法

まず、タイトルに注目です 「最強」の文字があります
最強、ということは、それだけ内容が高度だ、という事です
定跡の中でも、最も高度な部類に入るのは間違いありません
「まえがき」にも、「山が高ければ高いほど、その山を登る喜びは大きい」とあります
羽生をして、高い山、と言わせているのです
私は、約10年間くらい、NHK杯、銀河戦、タイトル戦などを見てきましたが、
相矢倉はいつまでたっても、めっぽう手が見えません 
解説者が解説してくれても、ふーん、そうなのか、くらいの感想しかもてません
相矢倉は、相居飛車の中でも最も持久戦調の展開で、
いざ戦いが始まると、全駒が戦いに直接参加する様相を呈します
これでは難しいのも無理はありません
私は、相矢倉、という山に登るのはもうあきらめました
24の高段や、プロの人にまかせておけばいいのです

そこで、「後手急戦」の部分について書きます
この部分に期待して、5巻を買ったのです
相矢倉と違い、急戦矢倉は、私は大好きなのです
矢倉囲い側が守り、急戦矢倉側は攻める、
攻防がはっきりしていて、展開がわかりやすいのが特徴です
急戦矢倉は、たまにプロでも見かけます
ところが、これが本書は、全くといっていいほど役にもたたないし、
興味ももてない内容なのです 

本書にあるのは、ごく単純な速攻棒銀、△5三銀型の解説がほんの少しだけ、と、
矢倉崩し右四間の腰掛け銀でない、ゆったりした形バージョン、が解説にあるのみです  
これらは、この本を読まず、知っていなくても別にさほど困らないはずです
うーん、なんとも残念の一言です これが5巻の感想すべてです

対矢倉囲いの後手急戦と言えば、
急戦速攻棒銀、矢倉崩し右四間、矢倉中飛車、米長流急戦、カニカニ銀
の五大戦法があるのです 最近では△5三銀型阿久津流もありますね
(後手番でなく、先後が入れ替わっている場合もあります)
これらを羽生の頭脳では、ほぼ全く解説してくれていません
これらの急戦矢倉崩しの類が、矢倉囲いに対して勝率がどうしても上がらないため、
プロは主に相矢倉を指すことになるわけです
急戦矢倉崩しは、攻めるほうが主導権を握りますが、玉の囲いが薄く、
途中までいい感じで攻めていても、最終的にはどうしても負けやすいのです
しかし、清水市代、加藤一二三などは右四間を得意にしていますし、
レベルが低いアマどうしでは、むしろ攻めている急戦矢倉側が勝ちやすいと思います

上記の急戦の五大戦法に関して解説した本は、「康光流現代矢倉3」、くらいです
しかし、この本は実戦譜中心で難しいのです
右四間は、幸いにも、去年「右四間で攻めつぶす本」が出ました
しかし、棋書全体を見ても、急戦矢倉崩しを解説した本自体、
まだ少ないです そこがまた残念です 

後に、羽生は将棋世界に「変わりゆく現代将棋」というタイトルで
連載を持ち、本格的な矢倉崩し右四間も登場しますが、それは本にはなっていません
(「変わりゆく~」、も、内容は別として、やろうとしたことの網が広がりすぎて、
散漫な感があり途中で尻切れになって終わった連載でした)


第6巻 最強矢倉・森下システム

これは今年に入って、やっと買いました
今まで、羽生の頭脳はこの6巻だけ持っていなかったのです
それで、あと一冊だし、揃えるか、と思い買ったのです
相矢倉のみの内容です もちろん、それは知っていて買いました
足掛け10年ががりで、羽生の頭脳シリーズを全巻揃えたことになります
やっぱり難しすぎて、全然わかりません 完全に本棚の飾りです チーン 
第4巻 居飛車穴熊と左美濃

藤井システム出現以前の、居飛車持久戦vs振り飛車の戦いを知ることができます
ただし、5筋位取りと玉頭位取りは、「はしがき」の中で
「ともすれば、振り飛車ペースの序盤戦になりやすい」と一蹴されています

この本は、実は私はほとんど読んでいません サラ―っと駒組みを流し読みしただけです
私は持久戦があまり好きでないため、これらの戦型になりにくいのです
もともと定跡というのは、持久戦になればなるほど、
同一局面になる可能性が低くなります
だから、あまり真剣に読む気にならなかったのです
が、今この場で目を通してみると、やはりけっこうまとまっていますね
居飛穴vs急戦向かい飛車についても書かれていますね、
今まで私は知りませんでした(^^;

ただ、この本を全体を通して見て、持久戦は、
主導権を握って攻めたい羽生の棋風には合わないのかもなあ、
という雰囲気が、なんとなくします
(羽生の棋風は、「静」でなく「動」の将棋だと私は思っています) 
それと、どうしても、前巻までの1、2、3巻と比べてしまうからかもしれません

居飛車党の人より、むしろ振り飛車党の人が読んでみるといい本かもしれません
コーヤン流との違いを見つけて楽しんだり、藤井システム全盛の今こそ、
自分独自の駒組みを探すのにこの本は役に立つかもしれないと私は思います

つい先日の銀河戦、▲菊池vs△清水市代では、清水の4枚銀冠に対し、
菊池が▲3九玉でなく▲2八玉と入るレトロな形で戦い、
無理攻めしてきた清水の攻めをうまくかわし、菊地が完勝しました
藤井システム以外もまだまだ現役、やはり将棋は奥が深いですね
3巻 急戦中飛車・三間飛車破り

これは、羽生の頭脳の中でも、今でも現役度が高い巻です
現在、プロ将棋では、角道を止めるタイプの中飛車、三間飛車に対して、
居飛車急戦はほとんど指されません
その理由が、この本を読めばわかるわけです
三間、中飛車、どちら戦法に対しても、なかなか居飛車急戦側が思うように良くなりません
居飛車側は、一手一手が難しく、ちょっとでも間違えたらたちまち不利になります
そのちょっとの間違いをしないための、高度な内容だと思います

その点、居飛車穴熊は居飛車側が良くなりやすく、有力とされているのです
ただし、三間には居飛穴でどうにかなるだろう、くらいに思っていると、
去年のNHK杯の▲中田功vs△千葉涼子戦のように、
コーヤン流居飛穴破りで攻めてこられて、居飛穴がボッコボコにされることもあります

ちなみに将棋世界に<トップ6棋士、夢の競演 イメージと読みの将棋感>
という連載が現在載っていますが、2007年5月号P124の図面のテーマ図は、
この3巻のP18からの解説が全く同一局面です
定跡通になりたいなら、必携の一冊と言えると思います
ただし、自分の実戦で役に立つかは、全く別問題です

私の場合だと、相手がそもそも角道を止める型の三間飛車でくる可能性が低すぎます
なので、結局、私はこの3巻はまじめに読んだ覚えはありません
もし相手が後手三間なら、無理やり棒銀戦法で▲6八金上や▲1六歩を省略して
対四間飛車と同一局面にしてごまかしたりしています その場しのぎなわけですね
相手が先手三間だと、なまじ定跡を知っているがため、もういきなり困ります
後手居飛車棒銀にとっての天敵であることを知っているためです
中飛車も同様です 急戦をあきらめ、
しかたなく好みでない居飛車穴熊にする場合があります

なお、三間早石田、ゴキゲン中飛車に関して全く触れられていません 
他の著者の本で補う必要があります
ゴキゲンに関しては、当時プロ間では指されていなかったのでしかたありません
(ゴキゲン中飛車は、この本に出てくる中飛車と全然違う作戦です)
しかし、早石田の解説が無いのは私にはかなり残念でした
早石田についての羽生の見解を読みたかったです
ここからは、各巻に分けて、コメントをしていきます
1、2巻 急戦四間飛車破りPART1、PART2

羽生の頭脳シリーズの中で特に名作と言われています 私もそう思います
なぜなら、3巻以降にくらべ、この局面そのままが実戦に現れることが多いからです
少なくとも、私が4~5年前まで24で指していたときはそうでした
が、最近は力戦振り飛車が流行していて、数年前と比べ確実に減っているでしょうね

今の男子プロの居飛車急戦vs四間飛車だと、この本発売当時と全然事情が違っています
 まず、四間飛車を見た居飛車側が、居飛穴に組もうとする
→振り飛車側は、藤井システムで居飛穴を阻止しようとする
→それを見た居飛車側が、藤井システムの欠陥を突こうとして急戦をしかける
と言う、なんとも難しい3段構えの形になってしまっています
今でも女流プロなら、この本の通りのクラッシックな戦型も
けっこう指されていると思うのですが、
鹿島杯が終了し、TV放映されなくなったのが私はかなり残念です

2巻の棒銀戦法は、私は一番読みました
と言うか、わずかでも理解しているのは棒銀の章だけかもしれません
でも、本当は棒銀ひとつ取って見ても、この本だけでは
棒銀定跡をマスターするのには全然足りません
2007年の今は藤井本、渡辺本が出版されているので、
そちらをまず読むほうがといいと思います 
そんなことをしているうちに、どんどん定跡本が増えていくわけですが(^^; 

ちなみに、プロ将棋で四間飛車vs棒銀急戦を私が最後にTVで見たのは
去年の銀河戦、▲遠山vs△橋本戦です 遠山の藤井システム模様に対し、
ハッシ―がそれを逆手にとり、棒銀で攻め、優位に立ちました
が、中盤の終わりに間違え、最後は逆転負けをくらってしまいました
中盤、居飛車側が有利でも、玉の固さでまさる振り飛車側の
典型的な逆転勝ちの棋譜と思いました
加藤一二三先生の、「私の将棋は、勝ちは完勝、負けは逆転負けが多い」
という台詞も、一二三先生は、対振り飛車に急戦を指すため、納得の台詞と私は思います
羽生の頭脳1~10 

羽生善治著 1992~1994年 日本将棋連盟
評価 A~C 
難易度★★★★~★★★★★ 中級~高段向け
コンセプト<現代将棋の定跡はここから始まった>

やはり、定跡本を語るからには、
羽生の頭脳シリーズをレビューしなければなりません
このシリーズ全10巻は、居飛車vs振り飛車、相居飛車、
の序盤、中盤を羽生視点で解説した本です
羽生視点と言っても、羽生の考えたこと、この本の内容が当時の定跡そのままに
なったと考えて、まず間違いありません

序盤で少しでもリードしようと作戦を考える、中盤を体系化して理解する、
終盤は正解手があるはずなので探す、と言う現代将棋の出発点になっています 
今現在でも、全巻を通してまだ通用する部分が大いにあります

章ごとに4つのテーマ図をもうけ、「羽生の結論」として、ポイントの局面をはっきりさせ、
居飛車有利か、互角か、振り飛車有利か、理路整然と客観的に述べてあります
当時としては、まさに画期的だったことでしょう
当時はプロもこの本を読んで、勉強したそうです

実は、私はこのシリーズは全巻持っているものの、あまり深く理解はしていません
というか、難しくて、全部理解するなど、絶対に無理です(^^;
羽生の頭脳シリーズは、何かの場面で、引用されることが多いので、
手元に持っておきたいのです
「羽生の頭脳ではこう書いてあったが、現在ではこうなっている」
という言葉の使われ方がされます
そんなわけで、私は一生かかってこの本を辞書がわりに使おうと思っています

評価や難易度がばらついていますが、めんどうなので一括にしました
コメント部分を読むことで、だいたいわかってもらえると思います
昨日は、いっぱいブログを書いて充実していたなあ
がんばって、50冊レビューしたい 
そしてできあがったら、2chの棋書スレでここのブログのアドレスを紹介するのだ
2chでは、もはや将棋板の棋書スレしかほとんど見ていない
将棋板以外を見ることはめったにない
現実もそうだが、2chの中でもひきこもっている俺

去年までは、働いていないとはいえ、俺にも家の事情等があり、何かと忙しかったのだ
今年から完全フリーになったので気が楽になった
完全NEETとも言うのかなw

将棋戦法小事典、もうアマゾンで注文してしまった
代引きで約3500円 来るのは一ヶ月後だそうだ
またお金を使ってしまったが、もういいや、
「本には金を惜しむな」が父の教えだ
将棋基本戦法 居飛車編

森下卓著 1997年 日本将棋連盟
評価 C 
難易度★★★★ 中級~上級向け
コンセプト<相居飛車の戦いを、一冊でまとめてガイドブック的に紹介した本>

振り飛車編の姉妹本ですが、わかりやすく書こうとした著者の意に反して、
これは内容が高度になってしまっています
一手一手が難しく変化が多岐にわたるのに、
指し手を解説をしようと試みているのが裏目に出て、
内容がすべて中途半端になってしまっています
カタログとして戦法を紹介することに成功はしていません

・矢倉の章では、急戦矢倉を中心に紹介したのは良かったと思います
 (ただし、矢倉崩し右四間が全く載っていない) 
 やはり矢倉戦法そのものが変化が多すぎ消化不良をおこしています
・角換わりの章では、基本の3すくみ、
 ジャンケンでいうところの棒銀がグー、腰掛け銀がチョキ、早繰り銀がパー
 という一番重要なポイントにほとんど触れられていない
 相腰掛け銀の木村定跡は、この本を読んだくらいでは、理解できません
・ひねり飛車も、符号のわりに解説文が少なく、怖くて飛車をひねれない
 相掛かりは、結局、力戦ですね あまり読むべきところが見当たりません
・横歩取りは、最も恐怖 
 この本を読んだくらいで、重要な対局、将棋の大会などでは、
 絶対横歩取りは指さないようにしましょう
 あっというまにハメ手をくらい、本来の力をだせずに負けます

全体を通して見て、「思い切って細かい符号での変化はわざともっとはぶいて、
森下の言葉で、戦法の特徴、流れを多く語ってくれれば良かったのに」と私は思います
一手一手を解説した定跡本なのか、全体を見渡すカタログ本なのか、はっきりしません
もっとカタログに徹するべきだったと思います
ただでさえ、ページ数が少ないところへ、実戦譜を入れたのも疑問です
振り飛車編、では私は実戦譜を並べて、理解でき、面白かったのですが、
居飛車編の棋譜3局は、どれも難しすぎます

この本の最大の読みどころは、「もくじ」です
相居飛車の戦型を一冊にまとめて分類した本を、私は他に知りません
「もくじ」を読んで、ああ、相居飛車は、こういう戦型に分類されるんだ、
と大雑把に理解できた、それだけのことにしか私には役に立ちませんでした
しかし、このことは相居飛車を指す上で、かなり重要なポイントだと思うのです

(将棋戦法小事典、というのがあるようですが、
私は今までなぜかその本には関心をもってませんでした 今から買おうかな)

あと、もうひとつ推す理由は、4つの「ミニコラム」が面白いことです
思わず、毎朝3時に起きて、水垢離をしているであろう森下卓を、
応援したくなるようなエピソードが紹介されているのです
私が一番面白いと思った個所をひとつだけ書きます

(前略) あるとき、師匠の花村先生に、「今、横歩取りを研究しています」と
話したところ、「研究するのは大変いい。ただ、楽をして勝とうと思ってはだめだよ」
と言われた。子供の私は自分の気持ちを見透かされたようになって、
恥ずかしくてうつむいてしまった。
研究が大事なことは万人が認めるところだ。
しかし、相手をはめてやろうという気持ちでは、上達はおぼつかない。
目先の将棋に勝っても、次の将棋に結びつかなければ、何にもならないのだ。
花村先生からは、いろいろなことを教わり感謝しているが、
今でもこの教えを忘れたことはない。

・・・ううう、森下先生、一日一森下age
将棋基本戦法 振り飛車編

森下卓著 1997年 日本将棋連盟
評価 A 
難易度★★★ 低級~中級向け
コンセプト<居飛車vs振り飛車を、一冊でまとめてガイドブック的に紹介した本>

私が最初に買った、定跡本です
今、あらてめて見るとなつかしいですね
特に思い入れがある本です
「将棋の戦法の定跡本を何か一冊、教えてくれ」
と初心者に言われたら、今でもこの本になるかなあ
逆に、「ガイドブックでなく、詳細にひとつの戦法での勝ち方を書いた本を教えてくれ」
と言われたら、絶対この本はおすすめしません

序盤と言えば森下、森下と言えば序盤の解説のうまさで有名です
森下が独自の口調で自分の言葉で書いてくれているので、
読みやすくなっています 符号があり、棋譜がけっこう一気に進みますが、
細かい変化のところは気にしなくていいのです

「へえー、こんな戦い方があるんだ」くらいに思えば、それでいいと思います
これは、定跡への入り口の紹介の本であり、詳細は他の本にまかせる、
そうすることに成功している本だと感じます
なので、これを読んだからと言って、急に強くはなりません
一手一手の意味をもっと知りたければ、他の定跡本を読む必要があります

振り飛車党の人は、どの筋に飛車を振りたいか、この本を見て決めるのも一策でしょう
逆に、自分でもう振る個所を決めている人が読んだら、
解説が浅すぎて参考にならないと思います 
ゴキゲン中飛車や、角交換四間は全くでてきませんが、10年前の本なので、
それは仕方ありませんね 当時は、そんな戦法、少なくとも私は、
プロ間では見たことがないです アマチュアではあったのかもしれませんが

私は居飛車党なので、早石田の章には、特にお世話になったと思います
・・・って、今でも早石田をやられると困ります(^^;
藤井システムと、右四間にも各一ページずつ触れてくれているのは、ポイントアップです

10年前の本ですが、それがゆえ逆に最近の本との差を感じることができるし、
またこの古い駒組みが何かのきっかけで復活するかもしれません
旧型中飛車vs居飛車急戦なんて、今誰がやるんだ、と思うかもしれませんが、
去年のJT杯で、佐藤康光vs森内で、実際にあったんですよ
私は、会場に行ってこの眼で見てきました
仕掛けに失敗し、大敗した森内が局後いわく、
「この戦法は、どんな定跡だったか、忘れてしまいました」でした マジの話です
本の評価は、S、A、B、Cの4段階です
S 最高 神本です
A 役に立った または面白かった良本です
B 持っておいて損はなし 参考になる本です 
C 一応目は通しておきたい本です

本の難易度は星で表し、10段階です(ミシュランと同様)
★は2、☆は1の値です 例えば、★★☆なら、難易度5です
なお、低級、中級、上級、有段、高段向けは、私の分類では、
すべて24での段級のことです
ただし、私個人が3級~二段をウロウロしている人間のため、
上級と低段者以外のことは、実際はよくわかりません
私の24履歴は、ハンドルネーム Gizumo 1398点 ID7766
615戦 373勝242敗 最高R1734点 2007年10月29日現在 です
棋風は、純粋居飛車党 玉を固めるよりも攻めを重視するタイプです
24では、「早指し」がほぼ95パーセント以上です

別ハンドルネームもあり、そちらは対局数約3000局、
最高Rは1900を少し超えています こっちがメインで指していましたが、
それも4~5年も前の話なので、今は通用しないと思います
以前の名人戦三段リーグに参戦したものの、成績不振のため
本戦では二段リーグに落とされました(^^;

これは言い訳ですが、私は個人的に体調の良し悪しが日によってかなりあり、
対局する前から、ある程度勝敗がわかってしまいます
それに、銀河戦などのTV鑑賞で、将棋に関わることにほぼ満足していること、
詰将棋をやらないと、これ以上は強くなれないのを自覚していること
そういうわけで、最近は24で実戦を指す機会がすごく減っています
本当はもう少し実戦を指して最近のRを調べる必要があると思います
まず、そもそも本を読んだところで、将棋を強くなるか、と聞かれたら、
私は、それは「人それぞれ」と答えるしかないです
将棋の本なんか、一冊も読まなくても強くなる人もいるでしょうし、
逆に、数冊を熟読して、強くなる人も、いると思います
いっぱい持っていても、全然強くならない人も、もちろんいると思います
私がどのタイプに当てはまるかは、後述します

次に、棋書には、大きく分けて2種類あります 定跡書と、詰将棋本です
定跡本はたくさん買いましたが、結局、いわゆる定跡本、の中で、
一冊として読みこなせるほど、私の頭は良くありませんでした
ただし、定跡本には、強くなるかどうかは別として、
それをパラパラと読んで、駒組み見ているだけで楽しい、という違う意味があります
あるいは、プロの将棋観戦の中で、なぜ序盤はこの手なのか、という疑問に答えてくれます
この局面では、こんな手が最善とされているのか、という興味を持たせてくれます
その本を持っているだけでうれしい、という
棋書オタクの自己満足を満たしてくれる意味もあります

詰将棋本は、自分のレベルに合った本を解いたら、
自分の頭で考えているので、確実にトレーニングになります
「頭の中で、駒をどれほど速く、確実に動かせるか」
が将棋の強さの根本だと私は思うからです
効率よく強くなるには、定跡本は要らず、詰将棋本のみでいい、とすら最近は思います
レビューする詰将棋本は、すべて実用性が高いものばかりです
私は個人的に、難解なパズル性が強い詰将棋本には、全く興味がないです
だから、パズル性を追求した詰将棋本は、そもそもレビューしません

「実用性」と、「興味、関心性」という2つの違う価値観のポイントがあるのです
これがレビューの評価の大きな要素になっているので、そこを注意してほしいです
以上を踏まえたうえで、レビューを読んで下さい

最初に述べたタイプの中で、私は、
「定跡書ばかり揃えていて、持っていることに満足し、
本をたくさん持っているわりには強くなっていないタイプ」、です
詰将棋のトレーニングが全然足らないのが自分でよくわかっています

特に、最近は力戦振り飛車が全盛なので、
そもそも序盤から本のとおり全然進まないことが多いですね
私のような純粋居飛車党は、定跡本を読むのが、一昔前とくらべ、
効率が悪くなっていると感じます
まず、レビューする本だですが、今持っている約100冊の中から、
自分のオススメ本だけを選んでレビューする予定です
最終的には、約50冊ほどレビューできればいいかな、と思っています

ランクわけですが、私個人の好みにより、S、A、B、Cにわけます
ミシュランではこの下にD、Eがありますが、
このブログではそれらに該当すると思われる本は、意図的にレビューしません
わざわざレビューするのがめんどうだからです
それにここはブログ形態なので、数が多すぎてもややこしくなりますし、
自分がレビューを途中で挫折する可能性が高いからです

ミシュランの評価が、やや客観性を重視しているようなので、
私のレビューでは、わざと私的価値観を全面に出すようにします
一人一人の価値観は、みんな違っていてあたりまえなので、
そこは配慮していただきたいです

私個人が、自分の役に立ったかどうか、面白かったかどうかで、その本の評価を決める、
それがこのブログでの棋書レビューの主旨です
自分は約8年前に将棋倶楽部24に出会ってから、それから本を買い集めました
棋書ミシュラン、というホームページがあります 
ロッキーさんが書いている、もう何百冊もレビューしている、すごいHPです
もう今現在出ている本で、欲しい本は全て手にいれました
本を買うにあたり、このミシュランHPが、ものすごく役に立ちました

持っている本のうち、まだ積読で読んでいない本もありますが、
それは詰将棋本や寄せの本ばかりで、
すべて読まずとも、本の内容がどんなものかはほぼ理解できます
もうこれ以上、本が増えることはあまりないです
今後、毎年新しく出版される本の中から、3~4冊のペースで増えていくだけでしょう
ここで、自分も現在100冊ほど将棋本を持っているので、レビューしてみようと思いました
野月浩貴七段vs増田祐司五段
解説 阿久津主税

先手野月で、後手増田の一手損角換わりに
野月の早繰り銀に対し、増田は腰掛け銀で受けにまわる
早くも銀交換で、野月は敵の打ちたいところへ打て、の格言どうりに▲6四銀と打つ
攻めの棋風が出た、野月らしい一手だ
対してして増田も△4二角の自陣角を打って受ける
序盤から、数手ですでに中盤へ 見ごたえがある攻防だ

野月はさらに▲4六角と打ち、さらに攻める
先手玉は居玉のままだ まさに攻め将棋
野月の発想は攻め大好きなアマチュアっぽく、見ていて楽しい

ここで増田は大長考、なんと考慮時間をすべて使い果たす
しかし、この長考が結果的に良かったようだ
ここで自分が納得の手を指せたのが後の流れを呼んだ感がある
△5二金と上がった手が受けの好手で、先手は▲7三銀不成から攻めるが、
いまひとつ攻めた成果が上がらない
後手は飛車、馬どっちを取るかの選択権利を得た
本譜は馬を取ったが、飛車を取るのが本筋だったみたいだ

その直後、▲2二歩がこの一手の好手で、先手の攻めが決まったかに思えた
実際、決まっていた
この▲2二歩で勝ったと思った、というのが野月の感想戦での一言
ところが、ここで野月に一瞬の心のスキ、油断が生まれた
先に▲2一歩成としたのが痛恨の手順前後だった
歩は、あとから成るべきだったのだ
増田は間一髪、事なきを得た

その後一転、増田が逆襲、野月の▲3七歩と飛車の頭に歩を打ったのが悪手で
はっきり優劣がついた ここではまだ桂を▲3七桂と跳ねるべきだった
本譜は後手の△5七馬と入った馬の使い方が絶品で、緩みなく増田が寄せ切った

最後は、先手玉を19手詰みの即詰みに討ち取った
しかも、合い駒が関係する詰みだ お見事の一言だ
一局を通して見ると、増田の名局だったと思う

阿久津の解説は、まずまずだった 声が聞き取りやすいのは良い
最後の詰み手順は、解説してもらわなければ全然わからないところだった
先手が桂合ではなく、角合でも、後手がそれを取って、ピッタリ詰んでいる

局後、野月、増田と阿久津が良くしゃべるおかげで、
約10分余りの感想戦が充実していて、
ここに書いたようなことが自分にもわかった次第
TV的に実に良い完璧な感想戦だったと思う
本譜では現れなかった変化がいっぱいあり、ため息が出た

あらためて将棋の奥深さを見せられた
早指しらしい、見ごたえのある面白い一局だった
ガルナの塔でのレベルアップを終え、ランシールの神殿へ
うるちよ、たとえひとりでも戦う勇気がおまえにはあるか?
→はい
では、私についてまいれ!

まあ、ここは一回も死んだことはないし、今回も問題なかろう、
と思って進む よけいな宝箱は無視する
ミミックにはかかわらないのがポイント

大地の鎧をゲットし、さあ、あとはブルーオーブを取って帰るか、というとき、
じごくのよろい4体がきた 当然、逃げる しかしまわりこまれる
逃げる まわりこまれる 痛恨の一撃!70食らう げえ、や、やばい
画面が緑色に染まる そして、またも、痛恨の一撃! 
死亡
ぐうううあああああああ

今回は、本当にショックを受けた
これでドラクエ3は、ひとまず終わりにするかもしれない
また、日を置いていつかやるかも・・・orz
今日はとてもいい天気だったので、ハチと朝の2回目の散歩に行く
散歩の行程の半分を過ぎたとこらへんで、
向こうのほうから、なにやら白いデカイのら犬がトコトコ小走りで向かってくる

けっこうデカイ、ここは距離をとってやり過ごすべし、と思って
こっちも小走りで歩く そしたら、なんか白い犬はこっちをロックオンしたようで、
どんどん近づいてくる これはピンチかも 逃げよう ダッシュで逃げる

そしたら、なんと向こうもダッシュしてきたア 確実に狙われてる
もう距離は2メートル以内に入ってキター で、デカイ
体高は、俺の腰の高さまである
フランダースの犬のパトラッシュくらいデカイ

ぐああピンチ ハチが吠えるが、ハチのかなう相手ではない
とりあえず、走って逃げていれば、向こうも追ってこないかもしれない
って、ずーっと追いかけてくるううう
俺は足の速さでは、横綱の曙以上、サッカーをしている朝青竜と互角の速さと
自認しているが、大型犬にはさすがに勝てねえ

ここはひとまず、ハチを小屋にもどすのだ そしたらデカ犬は去っていくかもしれない
家に帰り着き、ハチを小屋にもどすことに成功
ところが、まだデカ犬は俺に寄ってくるうう
デカ犬がいったいどういう意図なのか、全くわからない 本格的に恐怖

デカ犬はかなり汚れていて、ここのところずーっと野良犬だったぽい
しかし、デカ犬には首輪と長いリード(手綱)がついている
誰かに飼われていたことは必定だ
もしかしたら俺が捕まえれるかもしれない
結局誰かが捕まえなきゃならん 心を決めて、いちかばちか勝負だ
こっちの武器は、極真空手仕込み(3ヶ月行っただけ)の下段蹴りだ

距離を置きながらリードを踏もうとする俺、ぐるぐる歩き回るデカ犬、
恐怖との戦いだ いざとなれば、下段蹴りをブチかませば逃げてくれるだろう
しかし、俺の蹴りなど通用するだろうか
白熱、俺VSのらデカ犬 激戦の行方いかに
犬と俺は、互いにぐるぐる回る、
俺は、スキを見て、なんとか足でリードを踏んだア 
さらに、リードの先にあった金具を、急いで家の門につないだア
これで、犬は家の門から離れられない
俺の勝利!!!

以下、速攻で警察に電話 こっちに来るまでに時間がかかるとの警察の返事
あらためて見ると、やはり、デカイ そして、かなり汚れている 白いから目立つ
とりあえず、ためしにエサをやってみるか
食パンを3枚、ぺロッと食べた 牛乳もごくごく飲んだ
近所のおばちゃんが来て、アップルパイを3つあげたら、
それもぺロッと食べた 腹が減っていたんだな
尻尾も振っているし、なんか賢そうだ

母に知らせると、起きてきて、おすわり!と犬に命令する そしたら、なんと座ったアア
犬もすごいが、いきなり初対面で命令する母もすごい
絶対これは大事に飼われていたに違いない
俺も調子にのり、犬といっしょに写メールをとり、兄妹にメールをおくった

約40分後、警察官が2人くる 
デカイ動物の捕獲の専用の車を用意したため、時間がかかったそうだ
若い人とベテランの人だ
これはデカイですねえ、と若い人 
ドーベルマンを捕まえるときは、怖かったわあ、とベテランの人
気さくでおもしろい人たちだった
写真集で調べたら、グレートピレニーズという種類らしい 血統書つきだ
俺への事情聴取のあと、犬は引き取られていった
犬は最後は、すごく素直に警察官について歩いていった
たぶん、捜索願いが出ているだろう 一件落着
はあー、疲れた、そして面白かった

と、思ったら今まさに、警察から電話、もう飼い主が見つかったとのこと、
これで本当に一件落着だ 飼い主は、どうもー、の一言だったとのことだ