モリノブ「羽生は△6二金で自陣の整備、手渡しですね
山崎をミスのしやすい局面に誘導しました 真綿で首をしめる路線です」

角が全く働いていない山崎、どうみても苦しそうだ
しかし、ここで山崎に勝負手が出た 守りの銀を上がって、後手の角を攻める▲5六銀だ
おお、これはいい手かも!
モリノブ「▲5六銀は羽生の意表を突いたですね」
さっそくモリノブ先生の検討が始まり、これは難しいか?と思われた
羽生のほうに決め手が見つからない

しかし! いざ棋譜が入ってきてみると、2筋の歩成を利かせてから山崎の飛車取りを狙う銀上がり、
これで羽生は狙われた角をいつでも切れる状態になり、山崎はしびれた
モリノブ「この歩成は絶妙のタイミング」
あっさり決め手を見つけた羽生、モリノブ先生がさんざん検討したのは何だったんだ(^^;

この将棋、ここまでずっと「読み」ではなく、「構想力」で勝負がつく将棋だ、と思って見ていた
そして、羽生の構想力が、山崎を見事に上回ったと思う
モリノブ先生、羽生陣の7、8筋の金銀の動かし方に感心しきりだった

山崎は角が全く使えず、
モリノブ「負けたときに『角落ちで負けた』と、言い訳はできますね(笑)」
これにはお客も笑っていた

だが、まだまだ投げずに粘る山崎、
私「まだ山崎さんに勝つチャンスはありますか?」
モリノブ「まだあると思います! 羽生さんが寄せそこなってくれたら」
お客「(笑)」
それって、ほぼ絶望ってことですよね(笑)

羽生が▲1九飛と考えにくいところに打った手にもみんな感心し、
モリノブ「羽生が盤面全体を見て戦っているのがすごく印象的です」

モリノブ「負け将棋の終盤は、受けは致命傷の順だけ読んで、あとは受けは考えないのがいいです
一番自分につごうのええ順だけ考えといたら、10局に1局は勝てます」

山崎、はっきり負けになったが、最後まで粘った 
見苦しい粘り方ではなく、見ていて、山崎の気迫が伝わってきた粘り方だった

モリノブ「80手くらいで終わってるような将棋だったんですけどね、今116手ですか、130手まで伸ばせば、勝ったも同然です」
先生、さすがにそれはどうかと(笑) でも、山崎、本当に粘りましたよね
結局、最後は羽生は一気に寄せる順は逃したが、いったん受けに回って羽生の勝ちになった

モリノブ「こんなにがんばったら、次、期待できると思います (相撲で言うと)まわしに手はかかりましたかね」で、解説会終了となった

山崎の粘りも目立ったけど、王座戦の羽生の強さはもうどうしようもないわこりゃ、
と言える内容だったと思う (終わり)
モリノブ「山崎の口癖は、『僕はダメだ、僕は弱い』なんですけど、あれはウソです(笑) 自分では強いと思ってます」

モリノブ「△9五歩を見た瞬間はもう帰ろうかと思いましたけど、いい勝負です 挑決の中川戦でも、すごい逆転勝ちでした 山崎は序盤は下手くそなんですが、粘り強いです」
お客「渡辺さんとよく比べられますね」
モリノブ「実績で差をつけられてますね 渡辺さんのほうが人間的にできているのでは(笑)」

ここで、山崎の小さい頃の貴重な話が出た
モリノブ「山崎の子供の頃は、態度が悪いので正直僕は嫌いでした(^^; 今の雰囲気とからすると、想像のつかないキツさ、ソフトさは全然なかった」とのこと
へえ~、今の山崎さんは、ソフトで面白い人柄だけど、そんな子供だったのか 意外だ

モリノブ「内弟子のとき、山崎とは将棋を指したことはありません 公式戦で初めて当たって、その将棋を僕が勝ってしまったんです、その一局以来、もう勝たせてもらえませんけど(笑)」
 
モリノブ「内弟子は村山聖と山崎だけです 村山の将棋はいつも主張があった、だから見ていて面白かった
山崎の将棋は序、中盤、苦しい将棋が多い だから終盤しか見ないです(笑)」

さて、局面が進んで、棋譜を受け取ったモリノブ先生、声を上げた
モリノブ「え?うわ~、ちょっと心配になってきた ▲9八歩!こういうところに歩を打って幸せにはなれないですね あ~、これならどこかで角道を開けて勝負に行きたかった まあ、これでも本人は指せるとみてると信じましょう 先手は後手の角をいじめられるかどうかですね」

モリノブ「羽生は2筋をじわじわ突いてきましたね 憂鬱ですね えーと、誰か、何かふんばる手はないですか」

そう言いながら、モリノブ先生、どんどん変化順をうごかしていく
局面の変化を考えるのが好きっぽい

さらに、山崎が▲1八銀と銀を1筋に引いて受けた手を見て、
モリノブ「いつものしんどい山崎ペースです ボクシングで言うと、ロープ際でもちこたえてる」
その4に続く
PM6時、森信雄七段(以下、モリノブ)登場、拍手が起きる
お客は40人~50人くらいだった
ちなみにモリノブ先生は山崎の師匠だ
なので、今回の将棋はずっと山崎の応援の雰囲気で解説がされた

モリノブ先生、普通のスーツ姿に、黒のメガネだ
あいさつもそこそこに、間髪入れず、さっそく棋譜を並べ始めたモリノブ先生、
ふつうは何か雑談が少しあるんですけどね(^^;

モリノブ「一局目なので、山崎君、はりきっていると思います、山崎は▲2六歩が多いですね 相掛かりは山崎が自信がある戦型、羽生は受けてたつタイプです 子供将棋教室で、覚えたての子に一番初めに教えるのがこの戦型」とのこと

モリノブ「9筋の端の突き合い、これは正直、わかりません!」
お客「はは(笑)」

モリノブ「相掛かりでの△8五飛は、▲羽生vs△郷田の名人戦第4局に出てきました 実戦例は少ない、後手が積極的な意味がある」

モリノブ「58分で羽生は△9五歩、これは山崎君、負けたな、と思いました(笑) 先手としてはイヤな手、僕が対局者だったら逃げて帰ろうかなと思います(笑)」

モリノブ「山崎も長考で▲3八銀、構想の練り直しですね ▲2六飛と浮いてなんとか持ちこたえている、山崎君は、今年は崩れにくい将棋を指している △9五歩とされたときは、もう今日の解説会は仮病で休もうかなと思ってました(笑)」

モリノブ「先手がちょっと悪いと思う、山崎がなんとか、くっついていっている この▲8四飛とフラフラと飛が散歩に出たような手は、とても山崎君らしい手です」
たしかにこの飛車浮きは、自分なんかには全く思いつかない 
うんうん、山崎らしいフワリとした手だね

さて、解説会開始から15分で、もう現局面まで進めてしまったモリノブ先生、まだまだ解説会は時間がたっぷりあるというのに、どうするんだろう、と思っていたら、
モリノブ「今はここまで進んでます、さっと進めましたが、もう一回最初から並べます」と言った
へえ~、そんなやり方もあるのか、たしかに、一理ある合理的なやり方と思った
まだこの時点での現局面が、序盤だしね

ここで自分は質問してみた
私「先手は何か悪い手をやったんでしょうか?」
モリノブ「問題があったとは思えない」とのこと
でも、なぜか羽生がすでにわずかにペースをにぎっているんですよね どういうことでしょうか(^^;

モリノブ「朝日オープンで0-3で負けてから5年、山崎君にも力がついて勝ち目が出てきたかな~、と思います」
お客「山崎には才能がありますよね」 
モリノブ「さあそれはわからないです(笑) 才能がある、とか言われているうちはダメですね、結果を出さないと」   
その3に続く
あ~、もう、羽生、どんだけ強いんだ
結局、序盤早々に9筋を攻めた手が勝因とのこと
山崎も粘りに粘ったが、羽生の的確極まる手の連続に、どうにも勝ち目がなかった
結果的に、あんな序盤でもう勝敗が決まっていたということか 

王座戦の解説会を3年連続で見に行っているが、
王座戦の羽生は、将棋の神様と対戦してもいい勝負になるかも、と思わせる強さだ
もう、この強さ、どうにかなりませんか、これ(^^;

とりあえずこれでアップしておきます
第17期 銀河戦
決勝トーナメント 2回戦 第2局
佐藤康光銀河 vs 深浦康市王位
対局日:2009年7月8日
解説:屋敷伸之九段
聞き手:斎田晴子女流四段
記録:伊藤明日香女流初段

20年度の成績は、康光32勝21敗 深浦16勝14敗 2人の対戦成績は康光の16-14
康光は野月を破っての、深浦は西尾を破ってのベスト8進出

解説の屋敷「お互いに色々戦法を指すので戦型の予想ができない」
聞き手の斎田「過去の将棋年鑑のアンケートによると、『自分の将棋を言葉で表すと』の質問に、
 深浦は『ねばりの将棋』、康光は『どうも変らしい』と答えたそうです(笑)」とのこと

先手康光で、一手損角換わりの出だしから、なんと深浦が四間に振った
康光が▲7八金としたので、四間飛車にしたとのことだ
これで戦型は、▲居飛車vs△立石流もようの力戦四間飛車になった

康光が7筋と8筋の位を取り、深浦は5筋の位を取った
玉の囲いをお互い金銀4枚に固めた持久戦だ
屋敷「どうやって戦いが始まるかですね」と言っていたら、
なんと康光が▲8七玉と3段目に玉を上がった
屋敷「ほ~!力強いですね」と言っていたら、後からまた▲8八玉と引いた ドタッ

屋敷「深浦としては完封で勝ちたいですね、康光としてはもう角道を開けて荒っぽく
 行くしかないんじゃ?他に手がなさそう」と言っていたら、
なんと康光、いきなり飛車を切って角と交換してしまった!
ここは自分は「お~っ!」と叫んだ 
屋敷も「もっと荒っぽく行きましたね あ~、いや、これはすごい手ですね(^^;
 後は、康光の攻めが続くか、深浦が切らせるか、ですね」

このあたり、屋敷は「形勢はいい勝負」と言っていた
もう飛車角交換になったのだが、康光はじっと金を寄り自陣にひきしめる手を指す、
深浦も自陣の2段目に歩を打ち、康光の馬引きを消す手を指す、
終盤での自陣の整備、こういうのは参考になる

7、8筋で玉頭戦になったが、形勢を分けたのは、康光が王手に歩を▲8三歩と叩いた手に対し、
深浦が取らずに玉を逃げた手だった 感想戦でもここが問題になっていた
屋敷もこの玉を逃げる手に気づいていなくて、
屋敷「そうか、先手は8筋に歩が立たなくなって、△8五香があるのか!
  さすがに今打った歩を成り捨てるわけにはいかないし(^^;」
ここは聞いていて笑った もう康光のほうは、最後の一歩だったもんね

その後、△8五香と進んでみると、これがめちゃ厳しかった
逆に深浦の玉頭攻めが決まり、あっという間に深浦の勝ちになった
康光の攻めをうまくかわした、深浦の快勝となった

局後のインタビューで深浦「ひさしぶりに力戦四間飛車を指した、作戦勝ちが大きかった」とのこと
康光が駒組みで、玉の上下運動をしてたのは作戦負けだったわけか

後手一手損角換わりの出だしから、立石流もようの力戦四間飛車にするという作戦が
あることを知った一局だった また後手に新しい戦法の登場か 
今回の戦法はオールラウンダー用なので、オールラウンダーがますます有利になるね
ともあれ、新しい戦法が出てくるのは面白い

深浦はインタビュー時にも、落ち着き払っていて、タイトルホルダーの貫禄だ
康光にも、これで15勝16敗、互角だもんね
深浦の将棋はどこが強い、と言われると困るけど、序、中、終盤と、
全部がバランスよくまとまっている印象を受ける 本局もそのとおりの内容だった      
明日は羽生王座vs山崎七段の関西会館の大盤解説会に行く予定です
解説は山崎の師匠の森信雄七段です

今日のブログ更新は、夜に、銀河戦の康光vs深浦の感想を書こうと思います
兄が小学校以来、20年ぶりぐらいに、将棋に興味をもってやり始めたことは
以前からちょっとずつ書きました

実家の愛知で、兄は父とも指したが、私とも指しました
結果はもちろん私のボロ勝ちです(^^;
私との対局では、兄の先手で、▲7六歩△3四歩▲7八金、と、いきなり金を上がってきてました
まだ、対居飛車と対振り飛車で囲い方を変えたほうがいいことを区別できていないのですね

兄はヤフー将棋でのレートで、1200ちょうどくらいでした
兄のヤフーでの棋譜を見せてもらいましたが、ほとんど何も考えず矢倉に囲って、
端歩を突いたために相手に棒銀でつぶされる、というものでした(^^;

そこで兄に定跡をひとつ教えました
早石田で、王手飛車をかける有名な定跡です
これです↓

ファイル名:早石田の定跡.kif
▲7六歩
*まず、こちらは角道を開ける
△3四歩
*相手も角道を開けてくる
▲7五歩
*これで早石田の意思表示する
△8四歩
*相手は飛車先を突いてくる
▲7八飛
*歩を伸ばした筋に飛車を振る
*角道を開けたまま戦う三間飛車を、早石田と言う
△8五歩
*相手はもうひとつ飛車先を突いてくる
*ここで、次の先手の手がポイント
▲4八玉
*いったん、玉を逃げておく(後手番での早石田は、この玉を逃げる一手がない)
*8筋はオトリなのだ
*ここで先手は「△8六歩と突いてこい~!」と念じる
△8六歩
*よっしゃ~!こうなったらもうハマリ形
▲同 歩 △同 飛
*ここで先に角交換しては紛れる
▲7四歩
*歩を先に突いておく 今のタイミングなら取るはず
△同 歩
*これで、もうこの勝負もらったも同然
▲2二角成
*角をドカンと交換
△同 銀
*さあ、次の一手をお見舞いしましょう!
▲9五角
*王手飛車!!やったね

手数は15手と短いですが、兄は6~7回、盤で駒を動かして、繰り返し並べて
ようやく手順をつかんでいました
初めて定跡というものに接するだけに、手順を完璧に覚えるのは大変なようでした

私が思うに、初心者の人に一番最初に教える定跡は、これが最も適しているんじゃないでしょうか
王手飛車のインパクトが強烈で、楽しいと思います
後手番でも同じように使えますしね↓

ファイル名:早石田の定跡 後手番.kif
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3五歩 ▲2五歩 △3二飛
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △3六歩 ▲同 歩 △8八角成
▲同 銀 △1五角

「囲いはいつでも美濃囲いでOK、この順に相手がハマッてこなかった場合には、
▲7六飛の浮き飛車、さらには石田流本組みを目指して戦うといい」、
と教えましたが、それはどうしても難しくなるので、兄がどこまで理解できたか不明です(^^;
でも、兄は「ちょっと強くなったわ」と言って、神奈川に帰っていきました よかったです(^^)
先日、平成21年版将棋年鑑を買いました
棋士アンケートの項目に、「今自分がプロを目指している子供なら何をする」
というのがあり、興味深かったのでそれをまとめてみました
現役男子プロと、LPSAを除く女子プロの回答です
(複数の回答をしている棋士がたくさんいます、アンケートに答えていない棋士も多数います)

・実戦 85人(「ネット」の15人、「道場に行く」の11人、「大会に出場」の8人、を含む)
 85人のうち、「自分より強い人と」と書いている人が16人いました
・詰将棋 72人
・棋譜並べ 32人
・定跡、本 14人
 
・印象に残った意見、少数意見など
楽しく続くようにする(渡辺)
インターネットで目が悪くならない程度に山ほど指す(久保)
プロの棋譜を並べるのが一番だが、ネット対局にはまっているかもー。(谷川)
運動で体を鍛える(森内、森下、野月、行方、伊藤真吾)
とにかく詰将棋、定跡派の私が言うから間違いなし(青野)
他に興味を持たない(小林健二)
NHK杯を見る(福崎)
もちろん、伊藤果の詰将棋を解きます(笑)(伊藤果)
自分が本当に勝負の世界に向いているかどうかじっくり考える(神谷)
今の自分に教わりたい(飯塚)
詰将棋、詰将棋、詰将棋(高野)
詰将棋は詰ますだけ、作ろうとしてはいけない(内藤)
PSPで詰将棋を作る(神吉)
学業など他の道を捨てる(古河女流)
ひたすら遊びます(甲斐女流)
詰むや詰まざるやを解く(安食女流)
etc

実戦と詰将棋、そして棋譜並べがやはり3大メインですね
個人的に、詰将棋の割合がかなり高い、と思いました(実戦は当然と思うので)
青野九段、そしてわざわざ三連呼した高野五段の意見は心に響きました
定跡、本と答えた人が少なかったですね まあ、「子供なら」ですからね
ネットで実戦もそこそこの人気がありました
テレビ将棋観戦と答えたのは、福崎さん一人だけでした(^^;
神吉六段は、モロに師匠に逆らってますね(笑)