高橋和さんの「和(やまと)の将棋かるた」に対抗して、私も作ってみました

い 1局のつもりが10局  ・・・負けが込むとついつい

ろ 論より実戦     ・・・細かい定跡より実戦が楽しい

は 羽生ならどう指す  ・・・わからなくなったらこう考えよ

に 24に値段はつかず  ・・・米長会長の人望と、久米席主の人徳あって成立した交渉

ほ 棒銀は一二三に習え  ・・・もはや無形文化財

へ ヘタな王手 足りれば詰む  ・・・駒数に物を言わせる 

と 父さん いい加減にしなさい  ・・・家庭も大事に

ち チェスクロック盗むのは犯罪  ・・・大会などで時計を盗むのは大罪

り リレー将棋の緊張感     ・・・24のリレー、私も参加したことあり

ぬ 抜け目のない 先受け     ・・・意識してバランスのとれた棋風に

る ルール無用の早石田     ・・・開始早々から無茶苦茶に暴れてくる 

を ヲタクの自覚 全然なし      ・・・これだけハマっても、一般人だと思っています


わ 渡辺は将来の会長      ・・・もう決まってるような

か 加藤のペースでカトちゃんペー  ・・・振り飛車ペースなら振りペー、穴熊ペースなら穴ペー

よ 横歩も取れない男です     ・・・だって怖いですもん

た 誰と知られず 誰とでも  ・・・ネット将棋はすばらしい

れ レート増えずに 体重増える  ・・・もう年です

そ 総力戦に悔いなし       ・・・局後は疲れるはずが元気が出る

つ つり銭で ついつい指す俺 逝って良し  ・・・10年前に作った句

ね 寝ずに 熱中 ネット指し   ・・・体も大事に

な なぜか指せない よく見れば二歩  ・・・投了するわけにもいかず指し継ぐ

ら ライバルは 羽生善治     ・・・目標は高く

む 無理が通れば 定跡になる    ・・・定跡は創られていくもの


う 打ち歩回避に 成らずあり    ・・・打ち歩詰を回避する方法として、飛や角の成らずがよく出てくる

ゐ 居玉は下げようがない     ・・・一番下段なので、もう下がれない

の 能あるタカは 詰将棋     ・・・強い人はそれなりに努力している

お おおっ やったっ の5二銀  ・・・解説は米長さんでした

く 久米さんあっての24     ・・・久米さんいつもありがとう

や 矢内さんとの仲はどうなってますか  ・・・あのときはごめんなさい

ま 負けることは えらいことだ    ・・・勝って気分良くなれるのは、負けた人がいるおかげ

け 桂先の銀 動けない      ・・・桂も動けないが、銀も動けない

ふ 藤井の終盤 ファンタジスタ     ・・・序盤の革命家は終盤も魅せる 

こ 駒を並べたことがない     ・・・ネット世代 

え NHK杯 やうたん 最高   ・・・歴代聞き手のナンバーワン

て 手将棋に 定跡なし     ・・・同語反復


あ あと何分 あと何分 あと何分  ・・・棋界の人間国宝

さ 三桂あって 使い道なし     ・・・持ち駒に三桂あると負けパターン 

き 脇息代わりの アイロン台    ・・・脇息は値段が高いので

ゆ 緩めて勝たせる 芸のうち   ・・・将棋は上手側の緩め方が難しい

め 名人には谷川先生が似合う   ・・・大盤解説会で、ファンに声をかけられ照れていたタニー

み 右四間の暴力       ・・・受け切れたら有段者 

し 新手一生 珍手一笑     ・・・変な手は笑われて終わり

ゑ ヱサくれと 九段を慕う ネコの群れ   ・・・訴えられてもまだやる 

ひ 秒を読まれて 調子でる   ・・・ネットで早指しの体質に 

も 森内に友達なし     ・・・激辛  

せ セオリー無視は 康光のセオリー  ・・・常識破りの新手メーカー 

す 素抜かれたのは 玉    ・・・王手放置は反則です、と表示が出ました

京 香車 重ねて コロニーレーザー    ・・・不発の場合も

行方尚史 八段vs郷田真隆 棋王 NHK杯 3回戦
解説 橋本崇載 八段

「妻の小言。」に対抗して「ギズモの寝言。」を書こうかと思ったけど、
寝言は寝てから言うものだと思い、やめたギズモです どーもです

今日はB1で10戦全勝で早くも昇級を決めた行方と、棋王の郷田か なかなか注目のカードだ
解説にはハッシーがキター やはり太ってる(^^;
ハッシー、A級でもう落ちそうだけど、残り2戦がんばってほしい

行方は1993年四段、竜王戦2組 B1 南、久保に勝ち3回戦進出 16回目の本戦
郷田は1990年四段 竜王戦1組 A級 阿部光瑠に勝ち3回戦進出 21回目の本戦
2人の対戦成績は、行方7勝 郷田11勝

解説のハッシー「行方は居飛車党で攻めがシャープ 苦しくなっても粘り強く、詰みの見え方が早い
  対局中はファイタータイプ、動きが多い
  郷田はバランスのいい将棋 プロがお手本にするくらい、駒運びがいい」 

事前のインタビュー
行方「郷田は本格派の居飛車党で読みの深い将棋 数多く指してますが、
 いつも感心させられる点があります 私も、けれんみのない居飛車党なので、
 居飛車党どうしの真っ向からのぶつかり合いを楽しんでいただければと思います」
ちなみに「けれんみ」とは「外連味」と書き、「はったりを利かせたり、ごまかしたりすること」だそうだ

郷田「行方は実力者で中終盤の粘りが持ち味 いい対局ができるよう、全力で指したい」

ハッシー「駒たちが躍動する将棋が見たいです」
矢内「ふっふふ(笑)」 ・・・これは以前に佐藤紳哉とハッシーが言ったセリフだね(^^;

先手行方で、相矢倉になった 後手は専守防衛の型だ 
ハッシー「スタンダードな▲4六銀型 形によっては、終盤の詰む詰まないのあたりまで
 定跡になっている変化もある しかし郷田は人まねが嫌い 
 先手が少し分がいいのを、後手がどう工夫してくるか」

雑談で、「行方は昨年、ご結婚されてから、それからえらく勝っている
 私はよく行方に飲みにつれていってもらったが、最近はなくなったなぁ 
 遊ぶより将棋を指していたほうが、ということなんでしょう 
 私なんかは将棋も勝てない、結婚もできない」
矢内「私もすごいそれ、耳が痛いです・・・(笑)」
あの~、矢内は結婚しようと思えば、相手はよりどりみどりだと思うけど(^^;

矢内「郷田は剛直流と呼ばれます」
ハッシー「将棋に妥協がないですね (2月3日からの)棋王戦の防衛に調子を合わせているんだろう 
 あんまりそういう時に当たりたくないですね」

さてさて、行方が右辺から銀交換して攻め込んでいる 
右辺だけでは攻めに幅がないと見て、後手の角を攻めていった
ハッシー「けっこう長い戦いになりそう 何となく後手を持って指してみたい」

郷田、戦いの最中、3一の金をじっと△3二金とし、玉を固めた 
ハッシー「格調高い指し方ですね」
△3二金は見ていて私も考えたが、考えただけなのと実際に指したのとではすごい差があるものだよね

行方、手を渡されたが、後手はムチャムチャ固い 
郷田は飛車も冷静に逃げて、さあどうぞ、と攻めを待っている 香損が確定している行方、どう攻めるか
ハッシー「先手の攻めの続け方がわからない どうするんだろう」
考慮時間、行方は使い切ってしまい、▲0回vs△5回になってしまった
ハッシー「ここはがんばりどころ このまま悪くなって負けるわけにはいかないですからね
 まだ何もしていない」

行方は2筋に歩を叩き、アヤを求めていったが、別にあまり効いていないみたいだ
ただ、郷田に時間を使わせ、考慮時間を0回にさせることには成功した 

が、この時間で郷田は全てを見切ったようだ 郷田のパンチがどんどん入っていく
受けだけの歩を打たされ、ハッシー「これじゃあ(行方が)悪い」
△8六歩の突き捨てが絶好の味 ハッシー「きつい!」 矢内「急所に来てますね」
角での飛車金両取りが確定 ハッシー「郷田の理想的な展開」
こりゃ、素人目にも全然ダメだ 

行方の、まいったな、という表情がありありと映し出された
郷田に持ち駒の桂も手順、手順と使われ、ハッシー「郷田の勝勢」
ナメちゃん、もうやられたい放題・・・orz
画面に映ったナメちゃん、ガックリうなだれた 
郷田が寄せを誤るはずもなく、122手で、郷田の快勝となった 何の波乱もなく終了 ガクッ

ハッシー「攻めの段階で、行方が誤算があったぽい 行方は早い段階で形勢を損ねて、
 不本意な内容になってしまった 郷田は△3二金と整えて(自分からは)何もせずに優勢にしてしまう、
 というのは格調が高かった △3二金は超一流の手だった」

感想戦で、衝撃の事実判明
郷田「この将棋は橋本さんが指されてましたよね」
ハッシー「あ、私が指した将棋でしたか? どっかで見たと思ったら(笑)」
郷田「今年度のNHK杯の宮田戦で」
しょええーーー そう言えばそうだったね(調べたら、橋本vs宮田敦史は7月22日放映)
ハッシー、本人が忘れてちゃイカンだろう ちゅどーん

行方は中盤に入ったとたんに間違えたとのこと
行方「ここで間違えちゃ、この戦型、指す資格ないですね ひどかった 
 典型的な失敗例になってしまいました」

行方は中盤早々に間違える、ハッシーは自分が指した将棋をすっかり忘れて、
そこの勝負所の解説ができず マトモだったのは郷田だけorz 
あの~、もうベスト16だし、そういうレベルでは・・・ガクッ

来週に期待だ、羽生vs森内のゴールデンカード! これは本命中の本命、見逃せない一戦だ 
小林健二の軽快詰将棋
小林健二著 創元社 2012年12月初版 1000円+税
コンセプト<実戦形の3手詰24題、5手詰80題、7手詰76題、9手詰22題、計202題>
レイアウトは普通 ヒントは手数以外は一切なし
評価 C 難易度 ★☆~★★★★

難易度が、3手<5手<7手<9手で、差が露骨なんですよね
3手5手がちょうど良かった人には、9手は手に負えないだろうし、
7手9手がちょうど良かった人には3手5手は全く物足りないと思います
私は3手はあっという間、5手はまだ物足りない、
7手もそこそこ簡単で3分以上考える問題はほとんどなかった、
しかし9手は難しく、7~8問(3分の1くらい)は挫折しましたorz 

問題の質ですが、「これは解後感が良いな」、と思ったのが少なかったです
正解を発見したときに「あっ、そうか! そんな手があったか!」と思えることが少なかったですね
今までの問題集でもよくあった筋の問題が多いと感じました

私は「7手まではけっこうラクチンだった、せっかくだからあと9手詰の22題をがんばってみよう」と
思ったんですよ そこに立ちふさがったのは、9手詰での4問目の問題「第184問」でした
打ち歩詰の打開問題なのですが、どうしても解けない、40分ほど考えたのですが、どうしても解けない
解けそうで解けない ああーと思って解答を見たら、なんと合駒問題! 
合駒を複数の種類考えて、その合駒を取って打つ変化まで含んでいるという問題orz
手数が7手から9手になって、ただでさえ難易度がグッと上がったと思ったとたんに、こういう問題orz

評価が「C」になっている理由として、同じ創元社から、
「5手詰将棋」 「7手詰将棋」 「9手詰将棋」がすでに発刊されていることも大きいです 
このシリーズなら、一冊通して同じ難易度なので、買う人の需要にマッチしやすいと思います
それと比べてしまうところですね (私は「5手詰将棋」と「7手詰将棋」の2冊しかやっていませんが)
(ちなみに私のブログで評価「C」は「普通」「まあまあ」、の意味です 棋書ミシュランと同じ)

でも、詰将棋が苦手な私がとにかく最後まで解いたんで、ダメというわけではないんですよ 
ただコバケン先生は、「短編詰将棋作家」としては、内藤先生や浦野先生にはかなわないかなと・・・
そして「囲いが残った実戦形の詰将棋作家」という意味では、高橋先生にはかなわないかなと・・・
でも、コバケン先生、私は個人的に好きなんです(^^; 
またNHK杯に出て(解説でも出てほしいです)、中年の星となってください~ 

(第194問の詰め上がり図で誤植あり 玉は1二に居ますが、2二ですね)
先崎学のすぐわかる現代将棋
先崎学 北尾まどか著 NHK出版 2010年7月初版 1000円+税
評価 A 難易度 ★★☆~★★★☆
レイアウト良し フォントも柔らかい字体で個人的に好き 
コンセプト<ゴキゲン中飛車、石田流、角交換型振り飛車の技術をまとめた実用本>

「先崎ファンを自称してるくせに、発売から2年半経った今頃読むなんて遅いぞ」
というツッコミは甘んじて受けたいと思います 読まなかった理由を開き直って書くと、
読む気力が湧いてこなかった、ということです ・・・めんどうで(笑)
私の「角交換ありの振り飛車に定跡なんてない、どう指しても一局」という思いもありました

では、なぜ今読む気になったのか? 
それは上野先生の「将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編」を読んで、興味が湧いたおかげです!
上野本は、この先崎本を読むための基礎、土台の役目も果たしてくれたわけです
上野先生、本当にありがとう! (どっちの本のレビューをしてるのかわからんですね)

この先崎先生の本ですが、内容は「後手番ゴキゲン中飛車」、「石田流全般」、
「角交換振り飛車」を扱ってます(つまり、上野本とほとんど一致する)
この3つに絞って、序盤の知識と変化、その戦法の狙いを、先崎先生が語り口調で講義してくれてます
タイトルは「現代将棋」ということですが、他の戦法は扱ってません 反則ぎみです(笑)

振り飛車側の考え方と成功例を示し、それ対抗する居飛車側の手段、というように進んでいきます
公平な立場で書かれてはいるのですが、振り飛車の新しい作戦を紹介するという性質上、
振り飛車側が有利になる変化の解説ほうが断然多いです 
(私は居飛車党なので、何度も負けた気分にさせられました)

できるだけ語り口調の文章を加えて考え方重視で、という工夫はなされてはいますが、
それだけでは絶対に説明しきれないので、符号もふんだんに使われてます 
ですけど、私は盤に並べずに読むことができました 
24の上級レベルならほぼ盤に並べずに読めるでしょう 
(大乱戦の長い変化で符号がずっと続く話が、ごくたまーに出てきましたが、
「要するに大乱戦だ」と私は一瞬であきらめ、読み飛ばしました(笑))

居飛車側が飛車先を交換に行っていいのかどうか、と、振り飛車側が飛車を振った瞬間の
居飛車側の△4五角or▲6五角が成立するかどうか、がんばって説明してくれてます

上野本で紹介された手の詳しい説明が先崎本に載っていることはもちろん、
双方でうまい具合に補完し合ってるあっているところもありますね 
上野本は最新の作戦が(紹介程度ではあるが)載っていること、
上野本には「先手中飛車」があり、先崎本では「2手目△3二飛戦法、△3三角戦法」
があり、互いに補完し合ってます  

「上野本は楽しく読んだけど、先崎本では挫折した」となる怖れも充分にありますね
先崎本には「こんな序盤の細かい駆け引き、理解するのも覚えるのも大変」と思える所が、
私も多々ありましたからね 序盤早々に端歩を突くなんて、やはり難しいです

上野本と先崎本では、根本的にコンセプトが違うのですね
上野本は「プロの将棋を見て楽しめればいい向け、漠然と理解できればそれでいい」(ガイド本)、
先崎本は「実際に指してみたい人向けに、技術を教えるべく書いた」(実用本)、その違いは大きいです
(逆に、この先崎本をマスターできれば、この角交換系振り飛車3種類の序盤に関しては、
24の上級クラスには確実になれると思います)

さて、石田流の章では、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7八飛△8五歩の進行が、
解説のメインテーマになってます 先崎先生は「アマの方は、3手目▲7五歩に対しては、
 居飛車側の人が堂々と△8四歩~△8五歩と指して、楽しんでもらいたい」と、繰り返し書いてます 
しかし、本書を2回読んで私は思ったのですが、ここからあまりにも石田流側の攻撃力が強烈です
7手目以降、先手有利になる変化がとにかく多いです 居飛車側はほぼ受けてる一方です

△8四歩~△8五歩は「石田流本組みに組ませない」という主張なのでしょうが、
7手目に菅井流の▲7六飛という手があってみては、それすら危ういですよね 
△8五歩まで進んでしまっては、後は石田流側が自分の研究したことをやりたい放題です
指していて楽しいのは主に石田流側の人で、マゾッ気がないと居飛車側はやってらんないかと・・・
△8四歩~△8五歩は、むしろプロの人にやってもらって、私は観戦にまわりたいです
(私は4手目△6二銀にしようと再認識しました チキンですね)

レビューを要約すると、
上野本を読んで実際に指したくなった人の受け皿になる本、ただし詳細ゆえ難易度UP、
角交換系の振り飛車で24の有段者を目指すなら、この本くらいは読んでおいたほうがいい、と言えます

最後に私が書きたいことを一つだけ
「何でこの先崎本より先に、上野本を出版してくれなかったんだよ、手順前後じゃねーか
 上野本という土台を先に読みたいのに、土台を後から出版してどうするんだ」
と読む側の立場だとつい考えてしまいますよね でも違うのです 
この先崎本があったおかげで、きっと上野本が出たのです
上野先生は、この先崎本を参考資料にしたことは多分間違いないのです

難しい内容が万人に理解されるためには、まず専門家だけがわかる専門書が出て、
次にその内容を一般に理解させるための普及本が出て、
最後に初心者にでもなるべくわからせるような本が出る、この過程をたどるものと思ってます  
そういう意味で、本を書く側、作る側の立場から考えれば、逆に「上野本の土台はこの先崎本だった」 
こう言えるのではないでしょうか?
森内俊之 名人vs藤井猛 九段 NHK杯 3回戦
解説 深浦康市 九段

ここのところダイエットして成功したので、しっかり食べてまた体重を戻したギズモです どーもです
現名人の森内と、人気棋士の藤井の登場だ
この対局に勝って、羽生への挑戦権を獲得するのはどちらか? とても大きな一戦、楽しみだ

森内は1987年四段、竜王戦1組 18世永世名人 2回戦で阿久津に勝ち 本戦は24回目の出場
藤井は1991年四段、竜王戦1組、順位戦B2 2回戦で阿部健治郎に勝ち 本戦は19回目の出場

解説の深浦「森内は一局を通して、すべてにバランスが優れている 
 一歩一歩着実に駒を進めてくるので、相手としては脅威に映るだろう 
 名人戦では、羽生が挑戦者だったが、森内の着実さに完敗だったイメージがある
 
 藤井は振り飛車党で攻めに特徴がある 突破力はかなりの迫力 
 相手の駒を一つ一つ剥がしていくガジガジ流の攻め
 それにともなって、構想力が大変すぐれている 序盤から色んな工夫が見られる 
 現代の升田幸三と言える天才」

事前のインタビュー
森内「藤井は序盤巧者で、数々の新戦法を編み出している 構想が優れている棋士
 最後までどちらが勝つかわからないような、面白い終盤戦をお見せできればと思っています」

藤井「森内は、いつも私が攻めるんですけど、受けがすごくしぶといなという印象
 名人相手に強敵ですけど、とにかくがんばりたいと思います」

深浦「最初に駒がぶつかったときの局面が大事 藤井は後手でも振り飛車で果敢に攻めていくだろう」 

先手森内で、初手から▲2六歩△3四歩▲2五歩!
深浦「後手の棋士が振り飛車党限定での作戦」
おいおい名人、相手によって作戦を露骨に変えてくるか 容赦ないな 
注目の後手藤井の作戦は、四間飛車で角交換~向かい飛車+棒銀での2筋逆襲だった

矢内「対局前の控え室での雰囲気が、かなりピリピリしていました(^^;」
そうかあ これに勝てば羽生戦だしね 通算対戦成績は、っと・・・
矢内「森内18勝、藤井5勝」 うわ~ そんなに開いてたのか 
しかもここ5戦は藤井、5連敗中か 厳しい! 藤井、これはぜひ勝ちたいのがよくわかる

深浦「△4二飛と振ってから後手から角交換する藤井流は、3~4年前は藤井しかやっていなかった
 藤井システムのときもそうだったが、最初は評価が低い しかし藤井は根気良く連採して
 勝率を上げてきた それを若手プロ、奨励会員が真似てきた 今では藤井は振り飛車党の本家」 

藤井、△4二飛~△2二飛だから手損、△3三角と上がってから自分から角交換したからさらに手損、
それでも早くも△2四歩と開戦! もうキター 後手はまだ駒組みがほとんど進んでない、大丈夫か!?
深浦「まだ駒組みかと思いましたが、驚きました 『最初のチャンスは見送る』という大山15世名人の
 言葉がありますが、藤井は最初からガンガン行きますね」

森内、早くも考慮時間を残り5回まで減らして▲3七桂~▲4五桂で勝負か!
深浦「しかし妥協しませんね お互いね~」 ササッと先手の攻めの成功例を解説してくれ、
深浦「こういう風になれば後手の離れ駒が悪形になってますね」 うむ、さすがに深浦も強い
藤井、ピンチかと一瞬思ったが、△2五歩と受けて、局面を落ち着かせる狙いか 
局面収まったか? 形勢どっちがいいんだ・・・

なんだか、森内はずいぶん考慮時間を早々に減らしてるが、それでいいのか
中盤真っ只中というところで、考慮時間の残りが▲0回vs△5回に! こりゃ、藤井いけるか?
森内の左桂が▲6五桂と跳ね出したところで、後手は5三をどう受けるか、か 
したらば、藤井は5三放置! おおお~ 深浦「受けない! 受けない!」

深浦「色々ありましたけど、なるほどという戦いですね」
先手は馬ができ成桂を急所に作っている だが2筋が突破されるのは確定、飛車が押さえ込まれそう 
後手は桂得、しかし金と銀が玉と反対側に来てしまっていて、かなりひどい形
個人的には先手を持って指してみたいが、先手はもう考慮時間が0回 実戦的には互角か?

ところが! なんだか飛車を馬に当て、馬が逃げて飛車に当て返し、の連続が始まったではないか
ええ・・・ なんか・・・ ウソやろ・・・ ま、まさか・・・ これは・・・ 同一局面の連続・・・ 
もう2人とも打開する気が全然ないみたい・・・
67手で、なんと千日手成立~!! (番組開始から43分)
深浦「▲3一馬の局面が4回出ましたので、千日手成立 両者、形勢に自信がなかったのだろう」
矢内「(どちらも負けられないということで)非常に力が入ってますね」

非常に力が入ってたのは対局者だけではない、私も同じ~(^^; 現実は非情~
あっちゃーー とりあえずここで1回UPしておきます

指し直し局、先手藤井で考慮時間▲9回、森内△5回まで増えて対局開始
今度は相矢倉模様の序盤になった 藤井はもちろん、「藤井流早囲い」だ
深浦「生粋の振り飛車党だった藤井が、数年前にこの作戦を指し始めたときは、
 みんな『何が起きたんだ』とびっくりしましたが、今は藤井の得意戦法のひとつになった」
うむ、この藤井流早囲い、後手も「単純な手得は許さない」となって、何か動いてくるので、
力戦になりやすいんだよね だから普通の相矢倉と違った面白さがある

深浦「藤井流は玉は▲7八玉が定位置、▲4六角~棒銀で攻めるのが理想形、
 ▲6八金直(調べたら名称は片矢倉でした)で囲う」

森内が△4五歩と突き、それを逆襲する形で戦いが始まった ただ、森内は7筋の歩の交換を入れている
深浦「藤井としては申し分ない序盤になりました」
そうか、藤井いけそうか、いけっ 森内戦での連敗を止めろ藤井・・・!

4筋からガンガン攻める藤井 
深浦「すごいですね(^^; 藤井は形勢が良くなっても(守りに入らず)、
 それを拡大すべく攻めるタイプです」
しかし森内も△4七角と嫌味な角を打ち込んできている この角が働くかどうか、か

5筋の取り込みが入って藤井、有望か こりゃいけるか?
ん!? △8六歩、ここで来たか んんー △7五桂が発生するため▲同歩は指しにくいか ▲同銀か?
深浦「これまた微妙な手ですね そうか ▲同銀は△7二飛が王手になるのでやりづらい
 先手の囲いにはそういった欠点もあるんですね」 
順調に見えていた藤井だったが、ここからちょっとずつ流れが変わったように見えた

難解な中盤、藤井「んー いやー」 矢内「うなりますね(笑)」
飛車も△7二飛と回ってきたのに加え、深浦「後手の4五の銀の存在も脅威なんですね」
先手の片矢倉、上からも横からも攻められるかっこうに・・・ この辺が藤井の誤算ではなかったか? 

藤井、▲4九香に期待をかけ、とにかく後手の金、銀をはがしにいった
深浦「一番リスクのある手 どっちが読み勝ってますかね」
後手も薄くなったが、盤上見渡すと、先手にあんまり攻めの継続手がない 
それというのも後手の馬が絶好、絶大な力を発揮している 後手の馬、実に邪魔だな~
先手の馬は、逆に殺されそう 後手はいつのまにか持ち駒も溜め込んでいる

深浦「駒割りは後手の金得になりました」
あららら これは藤井、地味にピンチなのでは
深浦「もう先手には受けの形がないので攻めていくしかない」
だが、以前、後手の馬が攻防に強力!
矢内「△6九銀が入りまして」 ついに王手きたーー あああーーー 
藤井は金を自陣に投入して受けたが、これでは明らかに攻め駒が足りなくなった
深浦「ここで受けるのでは苦しくなりました」

あとはどう先手を料理するかだったが、森内、△5七金の張り付き、これは俗手の好手!
そして、最後の決め手、先手の飛車を攻める△3七金キターーー
これぞ激辛流の一手、友達をなくす一手! 今日の森内の性格そのもの!! 

この手で藤井の心が折れた 102手で藤井、無念の投了 森内の勝ち
投了直後、大きくため息をついた藤井「はぁ~」 ・・・藤井、負けた 完敗だったorz
深浦「指し直し局ということも含めて、時間がなかったところでの森内の戦術面の巧みさ、
 有利になってからの手厚さが勝因でした」
藤井、ヤラレタな~ 「片矢倉」の弱点をものの見事に突かれてしまった 

しかし、この一局、藤井は「将棋で負けた」というより、「勝負術で負けた」という感じだった
序盤で先手が4筋を攻める権利を得たときには、深浦は「先手、申し分ない序盤」と言っていた

だが後手は7筋の歩交換をして、さらに金銀4枚で自玉を固めていたのだ
森内は「藤井ならここから攻めてくる性格のはず それを△4七角と打って、持たれ指しして受ければ、
 短い持ち時間なら受けているほうが有利」という判断じゃなかったのだろうか? 
そして、そのとおりになってしまった本局
うううううーー、藤井としては、対局心理を見透かされたかっこう、これは残念orz

森内、先手だったのに千日手にし、指し直しにして考慮時間を回復させて、
指し直し局では藤井にわざと攻めさせたという戦術、こういう勝ち方、強いっちゃあ強い、
実に「周到」、「老獪」、「狡猾」だ 名人の指し方としては、ずるい(笑)
最後の一手の△3七金、あれが本局の森内の性格そのものを表していたと思う(^^;
 
・・・でも、私が後手を持っていて、投了図から先手が▲1八飛と逃げてたら、
△2八金打ちで飛車を殺したかもしれないし、△1一金で馬を殺して根絶やしに行ってたかも(笑)
私ならきっとそうやってた(笑) それが勝負の世界! 
藤井、今日は負けたが、いつの日かまた機会はある、そのときは森内にリベンジして欲しい! 
今回は、将棋の戦型の分類の、一番基礎について書きたいと思います
上野裕和先生の「将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編」の復習になると思います
(基本的なことですので、このブログを見てくれている人なら、当然知っているかもしれませんが、
上野本に触発され、急に書きたくなったのです(^^;)

将棋は、序盤での飛車の位置によって戦い方が決まります 
飛車を初期位置のままで使う「居飛車」、左に何マスか動かして使う「振り飛車」の2種類があります
先手と後手の2人で戦うわけですから、必然的に、お互いが居飛車で戦う①「相居飛車」
そして②「居飛車vs振り飛車」、お互いが振り飛車で戦う③「相振り飛車」 
この3つの戦型に大別されるわけです

ではまず①「相居飛車」の戦型については、その中にはどのような戦法があるのか?
それは以下の5つに分類されます
「相掛かり」 「横歩取り」 「角換わり」 「急戦矢倉」 「相矢倉」 この5つの戦法です 
(細かい話ですが、「急戦矢倉」と「相矢倉」は、同じ「矢倉」というカテゴリに分類する人もいると
思いますが、私は別に分類したほうがいいと思います)
 
次に②「居飛車vs振り飛車」の戦型ついては、どのような戦法があるのか?
振り飛車側を指す人の選択支は4つ、以下の戦法があります
「向かい飛車」 「三間飛車」 「四間飛車」 「中飛車」    この4つです
居飛車側はこの4つの戦法を、受けて立つわけです

一昔前は、振り飛車は「角道を止めるもの」、とされてきました 
しかし、最近ではもっぱら、角道を止めない、「角道オープン型」が大流行しているわけです
上野本は(第3部で)その「角道オープン型」の戦法について、特に詳しく解説されていたわけです
(以下、▲は先手の意味、△は後手の意味です)

つまり「居飛車vs振り飛車」は具体的に例を挙げると、
例えば「▲居飛車vs△角道を止めた三間飛車」、
あるいは「▲角道オープンの四間飛車vs△居飛車」、このような戦いになるわけです

では③「相振り飛車」の戦型については、どのような戦法があるのか?
先ほどの②で出てきた4つの飛車の振る位置を、お互いが選びます 
つまり例を挙げると「▲向かい飛車vs△三間飛車」 、
あるいは「▲四間飛車vs△中飛車」、このようになります 

そして、相振り飛車での玉の囲い方を見てみると、
「金無双」 「美濃」 「矢倉」 「穴熊」と主に4種類があります
これが先ほどの、お互いが飛車の振る位置と組み合わさるわけです
つまり「▲向かい飛車+金無双vs△三間飛車+美濃」、
あるいは「▲四間飛車+矢倉vs△中飛車+穴熊」などとなるわけです

相振り飛車の戦法の種類に関しては、もうすでにここが私の知識の限界です
これ以上細かく語ることができません(^^;
(「双方が角道オープン型の相三間飛車」なんていう戦型は、どんな戦いになってしまうのか?
TVのハチワンダイバーではやってましたけど、プロ将棋ではほとんど見る機会がなかったです)

最後に、例外として④「その他の戦型」というのもあります
「その他の戦型」には、「筋違い角戦法」 「角頭歩戦法」 「風車戦法」などの力戦、
そして「鬼殺し戦法」 「△4四歩パックマン戦法」 などの奇襲があります
ちなみに、力戦と奇襲はどう違うのか、ということですが、
「定跡がないだけで一局の将棋になるのが力戦」、
「正しく受けられたら失敗に終わるのが奇襲」と私は認識しています
例えば「筋違い角戦法はアマチュアどうしでは力戦になるが、プロ間では奇襲と見られている」
こういう言葉の使い方ができると思います

将棋の戦型は3つ(その他を入れれば4つ)に、そしてその中には、こういう風に各戦法があるわけです
全部知ってたって? まあ、このブログを見てくれてる人なら、多分知ってましたよね
でも今回は「基礎編」でした これを土台に、それぞれの分類をもっと細かく見ていく、
「相居飛車編編」、「居飛車vs振り飛車編」につながっていくわけです 
・・・しかしそれを私は書くのか? それはまだわかりません(^^;
番組時間50分は長いかと思いきや、すぐ過ぎてしまいました 面白い番組でした
インタビュー前、加藤浩次さんいわく「将棋はあんまり知らない分野なんですよ」
以下、私が特に印象に残ったやりとりを載せておきます 


加藤「28才に見えないですね? よく言われませんか?」
渡辺「実際の年よりは、上に見られることが多いですね」
加藤「そうですよね 落ち着いていらっしゃいますね」
渡辺「んー、やっぱり種目が将棋ですからね 小さい頃から大人の人とか相手にして将棋しますからね
 小学生の頃から」 
加藤「じゃあ、子役が大人に囲まれて、20代のときにすごい大人びてるのと同じ感覚?」
渡辺「そうです、そうです」


加藤「1手目って、プロでも飛車の上? 歩?を上げるんですか?」
渡辺「それか、角」
加藤「角の道を通す?」
渡辺「ほぼ2通りですね」
加藤「プロも!? そこは一緒なんだ!? じゃあ、まず渡辺さんは角を上げる? 道を開ける?」
渡辺「プロはそっちのほうが多いですね そこはもう家から決めてきてる事ですね
 今日はこれで、みたいなね」
加藤「あ、家で決めちゃうんだ そこは?」
渡辺「そこっていうか、もっと先まで、作戦は」
加藤「え? どこまで?」
渡辺「いや~ 長いときは、もうずーっと後まで」
加藤「でも相手がどう打ってくるか、わかんないわけですよね?」
渡辺「相手がその通り来なくては、予定は、もう」
加藤「おじゃんですよね?」
渡辺「はい」


加藤「最初に羽生さんに勝ったときは、(対局前は)どういうイメージで行ったんですか?
 羽生さんの棋譜はだいぶ見てると思うんですけど」
渡辺「もうこっちは、羽生さんの将棋っていうのは、子供の頃からお手本にしてますし、
 相当知ってるわけですよね その時に羽生さんがどういう指し方に凝ってるだとか、
 そういうのはある程度、予想して行くんですけど」
加藤「何ですか? 『その時に凝ってる』?」
渡辺「その時に、はやっている戦法ってあるんですよ」
加藤「はやってる形?」
渡辺「ええ、はやりの移り変わりがあるんで」
加藤「将棋に!? 将棋にブームがあるんですか!?」
渡辺「ええ」
加藤「将棋ブームじゃなくて?」
渡辺「『将棋ブーム』じゃなくて、『形』のブーム(笑)」
加藤「将棋の中の『形』のブームがある!?」
渡辺「んー、アマチュアの方は、あんまり関係なくて、プロの中ではあるんですね、やっぱ」
加藤「今は何ブームですか?」
渡辺「横歩取りとか、あと振り飛車」
加藤「あ 飛車振って行くんだ? わかんないけど(笑) 
 はやりで(はやりを採用して)やってる人が強いわけじゃないでしょ?」
渡辺「でも、率がいいから、はやってるんですよ やっぱ」
加藤「じゃあ トップの人たちは、はやりに敏感な人が多い?」
渡辺「んー 基本的にはそれが多数派で、少数派では、もうそんなの関係なく、
 自分は自分の形でやりたいっていう」
加藤「あ、そういう人もいるんですね?」
渡辺「はい」
加藤「あー、そんな色んなやり方の形があって、面白いですね そこがわかるようになるとね」
渡辺「それがわかるのは、けっこうコアなファンですね」


加藤「将棋が強い人っていうのは、何が優れてるんですかね?」
渡辺「正しく指せるパーセンテージが高い人ですよね」
加藤「ミスが少ないっていうことですね?」
渡辺「(一局の中で指し手は)ずっと続くんで、安定して(正しく指せる)率が高い人ですよね」

<私の感想>
やっぱり渡辺竜王って、28には見えないよね 
というか、小学生の頃から、もう人間として完成された雰囲気があった(笑)
加藤さんのド素人ぶりが面白かった (でも「棋譜」という言葉は知っていた)
プロ将棋指しの中で「将棋ブーム」が起きる、という発想は笑えた
渡辺が考える「将棋の強さの定義」として、「ミスが少ないこと」というのは納得できるものがありました
常に合理的な手を指す、それが渡辺将棋の特徴と私は感じているのでね
面白い番組でした(^^)
明日の木曜17日の夜10時から、BS日テレの「コージ魂」というTV番組で、
渡辺竜王を取り上げるそうです 気になる人は予約しておきましょう
1時間のインタビュー番組のようです  http://www.bs4.jp/koji/
ブログをけっこう長く書いていると、毎回悩まされる用語があります
特に将棋でよく使う言葉に絞って、それを集めてみました
とにかくややこしいので、以下には私が間違えてる部分もあるかもしれません
・・・読んでもあんまり面白くないかもしれません


「そのとおり」と「そのとうり」
これは調べると、どっちでもありとのことがわかりました でも正式には「そのとおり」だそうです
私はどっちも使ってしまっていて、統一性がないです

「固い」と「堅い」
これは、「囲いがカタイ」と使いたい場合、「堅い」のほうがどっちかというと正解のようですね
でも、「堅固」と言いますしね このブログでは「固い」をよく使ってます
他にも「硬い」という字もあり、悩ましいです 「難い」は使い方は間違えませんね
なるべく硬い文章にならないようにしたいですね まったく日本語は理解し難いです

「戦型」と「戦形」
「居飛車穴熊vs藤井システムというセンケイ」この場合はどっちでしょうか
これは「戦型」がはっきり正解、ということです 「戦形」という単語はないです
(後日、注・しかし、明確な区別があるわけではなく、どちらも使われていますね
 羽生の頭脳9巻の冒頭で「戦形」と書かれてました 
「戦型」という単語も、将棋か卓球でしか使われていないようです)

しかし、悩ましいのが「センゴドウケイ」のときに使う、「同型」「同形」はどっちが正しいのか?
これは両方あるようです しかし、私見では、厳密には使用の仕方が違うと思います
例えば角換わりで「腰掛け銀」という戦法を先手と後手の双方が採用していれば、
そのときは「先後同型」でしょう そして先手と後手と両方の形が全く同じになれば、
そのときのみ「先後同形」と言えるという解釈が正しいと思いますね 
まったく、同系の言葉は難しいです 

「利き」と「効き」
これは間違えないようにしないといけませんね 「角が遠くから利いている」
「さっき打った角が効いて有利になった」というように、使い分けなくてはだめですね

「聞く」と「訊く」
「聞く」は耳で聞く、「訊く」は尋ねる(たずねる)という意味で使いますね
「訊く」は常用外で、「聞く」でもOKなんですけどね これは私は区別するようにしてます

「早い」と「速い」
これは私も小学生の時分から、使い分けに手を焼いてます 将棋用語だと「早指し」と言いますね
例文として、「早指しなので、進むテンポが速い 今日は早起きしたので頭の回転が速い
 戦型は早石田になり、序盤早々から速攻したが、時期尚早だった 早まったことをした」
こんな風に使い分けないといけないのです もはや早口言葉です

「充分」と「十分」
これはやっかいです 非常によく使う言葉なのです (以下、説明が長文になってしまっています) 
どちらも同じ意味で正解なので、どちらを使うか、その人にゆだねられます
人によってバラバラですね ちなみに私は「充分」派です
Rocky-and-Hopperさんは、「十分」派だと私はひそかに思ってます

私が「充分」のほうにしている理由は、将棋には「持ち時間」がよく出てきますよね
例えば加藤一二三九段が「あと何分?」と訊いたときに、記録係が「加藤先生、残り十分です」
と答えるシーンを想像してみてください 
そこで加藤九段が「十分でも充分」と言ったとします 
加藤九段は一分将棋の神様ですからね
これを「充分」でなく「十分」で書いてしまうと、
加藤「あと何分?」 記録係「加藤先生、残り十分です」 加藤「十分でも十分」
となり、わかりにくいわけです 
もちろん加藤九段のことですから、何回も「あと何分?」と訊くでしょう
加藤「あと何分?」 記録係「残り九分です」 加藤「九分でも十分」
加藤「あと何分?」 記録係「残り八分です」 加藤「八分でも十分」
加藤「あと何分?」 記録係「残り七分です」 加藤「七分でも十分」 
・・・これは混乱すると思います

しかし、「充分」には、決定的な欠点があります それは、「十二分」と書けないことです
ヒカルの碁で藤原佐為のセリフで、塔矢行洋と打ち終わった後の名セリフがあります
佐為「塔矢行洋・・・ あなたは十分に応えてくれた
 あなたの研ぎ澄まされた一手一手に 私の身は戦慄を覚えるよりも歓喜に震えた 
 そんなあなたに十二分に応えることができた自分が誇らしい ありがとう 塔矢行洋」
このシーン、この場合は、「十分」の方でなければ次に出てくる「十二分」と整合しないため、ダメなのです 
「充分」と「十分」、どちらにもメリットとデメリットがあるわけです 十二分な充実した解説になりましたね

「一歩(いっぷ)」と「一歩(いっぽ)」
これも将棋では使います 困ります
「一歩(いっぷ)あれば勝ちだったのに、あと一歩(いっぽ)のところで負けてしまった」
これはどうすればいいのでしょうか? 仕方ないので、いっぽと書きたいときは平仮名にしてしまってます 

「変わる」と「代わる」と「替わる」と「換わる」
これは極めつけでしょう 何回書いても難しい、難解の極みです 例文を一つだけ
「持ち時間を費やした代わりに、飛車と角を換えることができて、さっきとは形勢が変わった」
こういう使い方が正解だと思ってます
「替わる」は、お金の「両替」くらいにしか使わないんじゃないでしょうかね
(後日、注・「入れ替わる」、「着替える」等、けっこう使われていますね)
「ごはんをおかわりする」を漢字で書く場合、もうどれを使っていいか、わけがわかりません 
そういえば「かくがわり」は最近は「角換わり」に統一されているようですね

「~という」と「言う」
これもやっかいです 「谷川や羽生という人達は、天才と言われている」
こういう風に使わないといけないと思います 

「よく」と「良く」
これもやっかいです 「形勢がかなり良いところからの大逆転負けは、よくあることだ」
まったく、よく考えないと、文章は良くなりませんね 

「みる」と「見る」
これもやっかいです 「定跡本で見た戦法を真似してみた」
こういう風に使わないといけないと思います 

こういった違いを理解してみると、文章を見る目が変わると思います(ならないか?)
他にも、私のちょっとした工夫として「と金」と書くときには、必ず「、」を直前に書くようにしています
読みやすさという点で「、」は効果があるでしょう

日本語にはこういった表現の違いがあるわけですね
これを読んだ人の文章を見る目に、変化が表れることを期待しています ん?「現れる」だったかな・・・ 
中村太地 六段vs渡辺明 竜王 NHK杯 3回戦
解説 村山慈明 六段

パソコン歴15年、やっとブラインドタッチができるようになったギズモです どーもです
今日の矢内は髪型がゲゲゲの鬼太郎みたいで、とてもいい感じだ 
さて、楽しみな好カードだ 王者渡辺に、若手の中でも期待大の中村太地が挑む一戦だ
太地、年末に逝った米長師匠のためにも、魅せる将棋を指してくれ!

太地は2006年四段、竜王戦4組、C1 小林裕士、松尾に勝ち3回戦進出 本戦出場は2回目 24才
渡辺は2000年四段、竜王9連覇中 A級 2回戦で深浦に勝ち 本戦出場は11回目 28才

解説の村山「太地はとても礼儀正しくて好青年、ここ1~2年の活躍がすばらしい
 勝率1位を取ったり、タイトル挑戦(棋聖戦)もあった 今一番勢いに乗っている若手の一人 攻め将棋
 (昨年度、40勝7敗で勝率1位 0.8511は歴代2位の記録 
 参考までに、歴代1位は中原誠 0.8545 47勝 8敗 1967年度 
 3位は羽生善治 0.8364 46勝 9敗 1995年度) 

 渡辺は竜王9連覇中で、永世竜王資格保持者 安定して活躍している印象 
 連敗しているのをあまり見たことがない 渡辺と言えば終盤の底力」

事前のインタビュー
太地「渡辺はどこをとっても一流と思いますが、特に判断力、終盤力に優れている棋士だと思います
 積極的な攻めの将棋を指したいと思いますので、そのあたりに注目していただければと思います」 

渡辺「太地は非常に伸び盛りの若手、これから対戦する機会が増えてくると思うので、
 ここはコツンと叩いておきたいと思います(笑) 
 (注目して欲しいのは)太地も攻め将棋なので、居飛車の激しい攻め合いになると思う、その辺りです」

村山「先手では角換わりが得意な太地、渡辺は相手の得意を受けるので、そうなるのでは」

先手太地で、角換わりを渡辺が受けてたった 相腰掛け銀だ 両者、指し手が早い
村山「渡辺の指し手は、竜王戦でも見せた専守防衛型」
この序盤、私事だが、ちょうど昨日、友人Nとこの戦型を指したのだった(持ち時間無制限)
明らかにそのおかげで一手一手の意味、以前よりかなりよくわかるようになった
攻めを開始したい先手の手に、後手が対応して受けていっているのだ

太地は▲5九金~▲6八飛~▲7七角の自陣角か この手順は知らないと指せないなあ
そこで出た、渡辺の穴熊を目指す△1二香! ここでクマるか!
村山「△1二香は『渡辺竜王』と書いてあるような手ですね(笑)
 渡辺は矢倉模様から穴熊に潜るのを得意としてます」

太地は潜られてはイカン、と仕掛け、さあ開戦だ 私は見ていてここまでもけっこう神経を使ったが、
2人にとってはこれまでは知っていて当然の知識、ここからが本当の戦いだろう

そしたらば、渡辺の△2七角キター なんだこれは・・・ 
村山「これは仕掛けられた瞬間だから成立する手、うまいタイミング、うまい手の気がします 
 流れるような手順」 即座に意味を解説してくれる村山、いいよいいよー
△2七角は、ほとんど時間を使わずに打っているため、渡辺の研究手だったと思われる
矢内「(ここまでのすべての渡辺の手は)計算し尽されたという感じが」

しかし、太地、取られる3筋の歩を突き出して勝負、村山「いい手に見える」 
太地、い~ぞ、い~ぞ 早くも一手指したほうが良く見える展開、これは見ものだ! 
渡辺、7七の角筋をどう受けるか、だったが、と金を作られながらの
開き王手をわざとかけさせた受け方! こんな受けはめったにないぞ 
(少なくとも私の実戦では出てこない)

渡辺の残り考慮時間が5回になり、
村山「渡辺は形勢がいいときには時間を使わないので、この局面がいいとは思っていない」
そこで出たのが△7四歩という竜王の攻め これは? 
そうか、玉飛接近している先手の陣形の欠点を突き、桂で両取りをかけようというのか
村山「△7四歩も急所の一手という感じ」
緊張の連続で、見ていて呼吸ができない、まさに一手一手に息がつまる

さて、これは単純な狙いだから、先手に何か受けはあるはず 何かあるはず あるはず・・・
って、ない? うまい受けが見当たらない? あわわ △7四歩と持ち駒の桂だけで先手陣崩壊か? 
そんなバカな! 太地、ピンチ これはかなりのピンチ 太地がんばれ~ なんとかしてくれ~
そのときだった 太地の指し手、それはなんと、すっと玉を一路かわした▲9八玉・・・! 
矢内「これは・・・!」 
村山「米長玉ですね! この手はすごい手ですね ここでこの手が出ましたか」
キターーー キタキタキターー 米長玉キターーー 
あの世から米長が降臨し、太地に指させた一手が出たー!! 
(収録当時はまだ存命だったかも、というツッコミは却下)

村山「渡辺も意表を突かれたんではないか」
画面に映った渡辺は、ただごとではないぞ、という目つき 対して、チラッと渡辺を見た太地!
くう~!! まるで超一級映画のワンシーン!! この米長玉は絶対に好手だ!! 太地がやった!!

村山「しかしこの場合は端攻めがありますね」 
いや、でも米長玉、好手だよね? そしたら、やっぱり竜王の端攻めキターーーー 
攻められてる先手玉が、米長会長の霊魂のように見える
渡辺、米長会長の霊魂に対し、容赦なし!! やめて~ 竜王、やめてくれ~

ぐうう、太地、苦しい、この端攻めは厳しすぎる そして、後手陣を見ればまだ鉄壁! うわあ~
村山「渡辺は細い攻めをつなげる技術が天下一品」
しかし、しかし時間の残りがお互い残り1回、早指しだから、まだわからんぞ
相手は前頭葉が人一倍大きいだけで、人間だ 化物ではないのだ まだわからんぞ!  
だが味よく飛車をグイーンと9筋に転回されて、大砲が玉に狙いをつけてキター 
もうダメか 顔が紅潮する太地・・・

もうお互い完全な30秒になり、手が進む
村山「渡辺は一気に決めるというよりは、だんだん相手の体力を吸い取っている指し方」
いや、しかしこれは? もっと早く寄せる順があったのでは?
渡辺は飛車打ちで確かに両取りをかけはしたが、もう全然ダメと思われた局面から比べれば、
先手もまだやれるのでは? なんだか、渡辺が寄せをしくじったのでは?
矢内指摘の△7二桂を指さなかったのは、おかしかったのでは? 
村山「太地もけっこう盛り返したんじゃないですかね」

おおお、竜王らしからぬ拙攻! 太地、まだチャンスが充分ある!
だが、画面に映っている竜王の表情が、全く変わらないのが気になる 失敗した、と思っていないのか?

太地、銀を見捨てて、香を補充する順を選んだか ちょっと考えにくい手だ
ん、それに対し、竜王の手は、盤上の歩を突き出す△6六歩・・・? ハア? なにコレ? うん? 
ちょっと見には意味がわかんない いや、じっと考えてみたけど、やはりわかんないな
村山「これは難しい手ですね これは・・・指せない手ですね なんとなく角打ちのラインを作った手かと」
絶対、私にゃ指せないわ というか、それから数手たっても、まだ意味がよくわかんない

後手の竜王の陣形、めちゃくちゃ固いが、太地も自陣に先受けの金底の歩打ちでがんばる
村山「いい手の気がします」 いいぞ、太地、これは充分にチャンスがある
後手の持ち駒は角角桂歩か 頭の丸い駒ばかりでは、先手陣にまだ寄りはない 太地、いけっ!

だが、竜王、△8六歩ってなんだ、さっきからわけのわからん手を続けるなあ
太地がミスなく受けてれば受かるはず、受かるはず、受かるはずと見ていたら、
なぜか竜王の攻めが手になってる!? まさかさっきの局面から手が作れてしまったのか? 
矢内「あの突き出した△6六歩が効いて来ましたね 指せない手でしたね」

あの手がまさか効いてくるって、マジで? △6六歩、意味が全くわかんなかったけど、
攻めに効果的な手だったということか ウソやろ??
しかし局面はウソをつかない、太地、粘るが、もう一手一手になってきているのが私の目にも明らか
えええええー なんでーーー 太地の根性の自陣角受けに、竜王の最後の決め手は、角合わせか
これはいかに太地といえどもダメだ、ううう、お、終わった・・・・・・

太地は投了を告げた 136手まで、渡辺竜王の勝ち 太地負けた・・・ 
村山「渡辺が△2七角からペースを掴んで、米長玉を攻めたあたりでは、かなり優勢になったと思うが、
 太地の粘りがすごかった ただやはり渡辺がしっかり寄せて決めた 
 終盤の△6六歩や△8六歩が参考になった 面白い一局だった」

△6六歩って、あれは単なる妙手ではないぞ
すでに30秒将棋が続き、太地がちょっと意表を突いた手を指した直後の一手だったのだ
そればかりではない、その前に明らかに竜王は寄せを失敗ていたはず、だから流れ的には逆転して
不思議ではない展開だったのだ そこで沈着冷静に△6六歩、そして△8六歩からの寄せ・・・

一局の流れの中で、渡辺竜王の立ち直り、これは見事としか言いようがない!!
竜王の精神力の強さは、あの2007年のボナンザ戦での、劣勢になった局面からの、
華麗な逆転劇を思い起こさせた

渡辺の今回の△6六歩を、羽生が以前にハッシー戦で指した△5六歩と重ね合わせた人も
多かったんではないだろうか? NHK杯で渡辺の見据える先、それはやはり羽生との決勝戦か

本局は、渡辺が終盤で1度寄せを誤ったということで、棋譜並べ向きではないかもしれない
しかしそこからの、早指しで30秒将棋の中での「竜王の立ち直る精神力の強さ」がモロに表れていた、
名局と言えると思う 太地もよくやった 米長玉も見れたし、充実度120パーセント、
今回は三局分くらい見た感じだった すごく、すごく面白かった!!

追記:今週木曜17日の、BS日テレの「コージ魂」というTV番組で、渡辺竜王を取り上げるそうです
気になる人は予約しておきましょう http://www.bs4.jp/koji/
矢倉崩し右四間の、典型的な勝ち棋譜なので、参考になるはず!(中級くらいの居飛車党向け)
コメントを書くにあたり、激指定跡道場3で調べながら、詳細に書いてみた!

開始日時:2012/12/31
棋戦:レーティング対局室(早指し2)
先手:1596点の人
後手:Gizumo

▲7六歩
*年末に指した一局(レーティング戦、早指し2)
*私は後手 「矢倉崩し右四間戦法」というのを見ていただきたい!
*中級くらいの居飛車党の方には、特に参考になるはずである! 
△8四歩
*私は後手番で2手目にこうやることはめったにないが、今回は△8四歩で行ってみた この手に代えて、△3四歩だと、先手はあまり矢倉にしてこない
▲6八銀
*2手目△8四歩は、この手を誘っている意味がある
△3四歩 ▲6六歩
*これで先手は、矢倉か振り飛車が濃厚 もう横歩取り、角換わりではない
△6二銀 ▲5六歩 △6四歩
*普通の相矢倉に組むつもりはありませんよ、という意味の手 本局では、私は右四間に行くつもり
*
*ここから先手が振り飛車にしても、右四間は使える
*(ただし、少し高度になるけど、先手が中飛車から▲4六銀~▲5五歩とすると後手の右四間を防ぐことが可能だ!)
▲7八金
*これは必要な手 いきなりの△6五歩の仕掛けを防いでいる
*先手は振り飛車にするつもりなら、▲5七銀か▲6七銀と指す手が有効
△6三銀
*以下は、先手は矢倉をめざし、後手は右四間をめざす駒組みがしばらく続く
▲4八銀 △3二銀
*この手が私のちょっとした工夫 意味は、△3三角~△5一角という含みをもたせている
▲5八金 △4二玉 ▲6九玉 △3一玉
*先に玉を移動しておいた
▲6七金右 △3三角 ▲2六歩 △5一角
*後手としては、2手で△5一角とできたので不満なし △3一角~△4二角~△5一角だと、3手かかってしまう
▲2五歩 △3三銀 ▲3六歩 △3二金
*この金はぜひ上がっておきたい これを上がる前の決戦は避けるべし
▲3七銀
*お、攻めてきたか
△7四歩 ▲2六銀
*棒銀か しかし、先手は角が攻めに参加しにくい形なので、後手としては怖くない
△7三角
*とりあえず、飛車のコビンを狙って、攻めをけん制しておいた
▲3七桂
*この桂をわざと跳ねさせた後手の高等戦術! 桂が負担で先手は攻めてきにくいだろうという私の判断
*しかし、ここでは形勢は全く互角との激指先生(激指定跡道場3)
△5四銀
*いよいよ後手、右四間を組みにいく
▲5七銀
*うむ、先手としてはこう受けるくらいか
△8五歩
*この手は、8筋の歩交換ができると思って突いているわけではなく、△8四角と出れるようにした意味
▲7七角 △5二金
*この金も、守りを固めるため、ぜひ上がっておきたい 
*この場合はいつかの▲4五桂~▲5三桂成に備える意味もある
▲4六歩
*7三の角筋を嫌った手と思われる
△6二飛
*待望の右四間
▲7九玉 △8四角 ▲8八玉 △7三桂
*双方、駒組みが終了 激指先生の形勢判断は、-1で全くの互角と出た
*しかし、ここでは私はすでに優勢を意識している 後手からバンバン攻めが続く形で手がわかりやすく、後手が非常に勝ちやすいのを経験上、知っている 
▲1五銀
*攻めてきたが、手筋を知っていれば簡単に受かる
△2二銀
*これが手筋の一着
▲2四歩 △同 歩 ▲同 銀 △2三歩
*これで、一歩交換だけに終わるので、後手としては全く怖くない攻めだ 棒銀は、手数がかかるわりに、すぐ受かってしまうケースがある
▲1五銀 △1四歩
*後手としては、いったん、銀を引かせてから攻めたい(かなり高度な話になるが、△1四歩は、指さなくても充分後手がいけるとの激指先生)
▲2六銀
*先手は、棒銀に手数をかけたわりに、一歩交換しかしていない
△6五歩
*先手の銀を引かせた今が、仕掛けのチャーンス!
*これが先手は取れない(▲同歩△同桂▲6六角△5七桂成で後手優勢) 以下、先手は難しい手が必要 激指先生の評価は-80でまだ互角だが、人間どうしの対局では、ここではすでに後手が勝ちやすいと思う
*
*次の手、激指先生のお勧めは、▲2五銀の攻め合いだった
▲7五歩
*しかし、受けに回りたくなるよね
*受けるとすれば、この一手との激指先生も同意見 
*だが形勢は-386となってしまった
*この手がすでにこの一局の敗因になったのだから、右四間は恐ろしい 
*この一局、以下、先手に勝ち筋はなかった!
△同 角 ▲7六金
*ここでも、▲2五銀がとにかく勝負手だったと激指先生
*(それなら-400程度で、まだ難しかった)
*
*次の後手の手、△6六歩は▲同銀で、まぎれる
△8四角
*じっと引いておき、次に△6六歩を狙う 先手から▲6五歩はもちろん△5七角成、先手苦しい
*激指先生は-837との形勢判断
▲5五歩
*先手、苦しいながらも、最善手との激指先生がほめてる手 △同銀なら、▲6五歩~▲5五角を見た手だ
△同 銀
*しかし、こんな手に下がるのでは、流れが変わってしまうので△同銀だ!
▲6五歩
*後手は、手がよりどりみどり
△6六歩
*素直に△5七角成が最善手だったようだ まあこれも次善手との激指先生のお言葉だ 形勢は-1000ほどの差がついている
▲5六歩
*先手にはもうすでに、いい受けもないし、攻め合いもまったくない
△6五桂
*この手では△7五歩も有力だが、その場合▲6六金がある、とのこと
▲同 金 △同 飛
*次の手は当然、▲6八歩と思いきや
*(▲6八歩なら、△4七金でも銀をバックして逃げておいても後手大優勢との激指先生)
▲5五歩
*もう相手の人、やる気なくなったみたい(^^;
△6七歩成
*まさに理想的な後手の攻めであった
▲5六銀 △7七と
*まで、66手で相手の人が投了 
*△8四角型で攻めの態勢をきずき、棒銀をバックさせた瞬間に△6五歩という、この呼吸をマスターして欲しい! 矢倉戦での強力な武器になるはずだ!
まで66手で後手の勝ち
将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編
上野裕和著  マイナビ将棋BOOKS 2012年10月初版 1400円+税
評価 S 難易度 ★★~★★☆  
コンセプト<プロの最新の居飛車対振り飛車の序盤を知ろう アマ級位者向けに書いたガイド本>

まず、この本は「定跡本」ではなく「ガイド本」です
普通の定跡本だと、いきなりその戦法の序盤の一手一手の意味を詳細に解説していますよね
定跡書ではその方法でいいでしょう でもこの本はガイド本なので、違います

その戦法(中飛車、石田流、角交換振り飛車)がなぜ出現してきたか、という歴史から振り返り、
一手一手よりも、序盤の急所の局面だけに絞って図を使って、
その局面の何をどう見たらいいかを、教えてくれます

振り飛車側の狙いに対し、それに対する居飛車側の対抗策というように、
順を追って非常に丁寧に解説してくれています 
そして最終的に、現在のプロの最新形にまで導いてくれます

指し手順ばかり解説すると、「木を見て森を見ず」になりがちです 上野先生は、そうならないように、
その戦法の全体像である「森」をしっかり見せてから、手順という「木」に移行しています

この本の特に優れたところは、著者の急所の局面を見抜く着眼点、
そして、とことんわかりやすさを追求した文章と構成にあると思います 
レイアウトも考えてあり、解説と図面が違うページに、なんてことがまずありません
図面でも重要な駒を太字にする、駒の動きを矢印で説明する、という工夫がなされています

個人的に一番Goodと思えた点は、定跡手順の「基本」だけに特化して教えてくれていることです
(それも基本中の基本) 難しい変化は、あえて載せていません それがいいのです 
将棋に関しては、今までそういう本が意外となかったのです 
大抵のアマの人には詳しくは必要ないし、難しい変化まで載せてしまうと、
読むときにそちらに時間と労力を奪われて、肝心の基本がおろそかになってしまいがちなんですよね

プロの中で誰がその新手、新戦法を指したのか、も調べてくれて書いてあるので楽しいです 
重要なことと、上野先生が特に言いたいことは、太字で書かれています 読みやすいです
雑談のコーナー「ブレイクタイム」も面白く、中でも
「勝った直後の棋士は、なぜ笑わないのか」には共感し、納得させられました 
個人的には、「勝った棋士よりも、負けた棋士のほうがなぜよくしゃべるのか」も
書いてほしいかったです(笑)

この本の完成に至るまでに、きっと実際に複数のアマ級位者の人に読んでもらい、
ダメだしを何度も食らって、書き直しに書き直しを重ねたんだと思います 
これはハンパなく推敲していますね 上野先生の努力に最大の敬意を表します 

ほぼパーフェクトと思えるこの本ですが、読み終えた人は、きっと全員、重大な問題を抱えてしまいます
それは『「居飛車対振り飛車」のプロの序盤は知ることができた、でも「相居飛車」と「相振り飛車」は
どうなっているの? 同じようにわかりやすく教えてくれないだろうか?』という大問題です

上野先生、どうにかなりませんかね?
これではまるで「抜群の腕前のマッサージ師に右半身だけマッサージしてもらい凝りを取ってもらった、
でも左半身には触ってもらってないので凝りが取れていない」というような状態です(^^;

ともあれ、すばらしい本です NHK杯を楽しみに見ている人なら間違いなく買いです
上野先生、ありがとうございます!! 
 
高橋道雄 九段vs鈴木大介 八段 NHK杯 3回戦
解説 藤井猛 九段

今日ユニクロで服を買ってきたけど、色が派手すぎたギズモです どーもです
さて、新年、NHK杯の再開だ 今年もよろしくお願いします 
今日はタカミチと大介の一戦か 藤井の解説が楽しみだ

タカミチは1980年四段、竜王戦2組、A級 2回戦で島に勝ち NHK杯本戦は32回目の出場
大介は1994年四段、竜王戦2組、B1 千葉、タニーに勝ち3回戦進出 NHK杯本戦は16回目の出場
2人の対戦成績は8-8のイーブン

解説の藤井「タカミチはA級の最年長(52才)、最近はますます新しい工夫をして、
 重厚な感じになっている 棋風と合わないようだが、横歩取りの名手でもある
 振り飛車に対しては、急戦をよく指している
 大介の振り飛車も年々変化して、最近は動き回る軽快な振り飛車で高勝率を上げている 早指し自慢」

事前のインタビュー
タカミチ「大介は振り飛車党でさばきが得意、大駒をうまく使っている印象がある
 大介とは棋風からキャラクターまで正反対ということで、面白い将棋にできたらなと思います」

大介「タカミチは非常に手厚い将棋で受け将棋、さばけるようにがんばりたい」

先手タカミチで、居飛車 後手大介は角道を開けたまま四間に振って、△9四歩で様子見した後、
それからおもむろに△4四歩と止めた これが新式の四間飛車か 実に簡単な居飛穴対策だ
居飛車党にとっては、これはイヤな作戦だな(^^;

タカミチが天守閣美濃(左美濃)に組み、大介はいつもの美濃囲いだ 天守閣美濃って、
藤井システムによって、ほろぼされたんじゃ?
藤井がまず天守閣美濃を倒し、その後に居飛穴も攻略したんじゃなかったっけ
タカミチはどういう作戦を用意しているんだろう
藤井「この戦型、私は専門家なんですよ」
そう言うとおり、藤井の序盤の解説、とてもわかりやすい  いいよいいよー

と思っていると、いきなりタカミチが▲6五歩とドンとさばき合いに出たではないか 
右銀を玉に寄せた都合上、この一手とはいえ、こんな乱暴な手で四間飛車の攻略がなるのか?
これが成立していたら、居飛車は楽でいいなあ

大介が飛車を成りこんだところでは、藤井「飛車がストレートに成れればだいたい四間飛車が勝てる」 
だが、タカミチの美濃囲いに対しての7筋攻めが始まると、藤井「先手が有望な感じすらある」
直後、大介が2九の桂馬を補充したところ、「こうなってみると、やはり振り飛車を持ちたくなった(笑)」
藤井の思考を超えてる2人、いいよいいよー 
というか、藤井はどっちが良しという形勢判断するのが早すぎる感があるな(^^;

左方面で、双方、縦から攻める戦いになった 
その最中、先手が▲7四歩と伸ばすことに成功したではないか
ええ? これは美濃囲いの急所、ここに歩が伸びれば居飛車良しとしたものではないか
私の経験では、ここに歩がきたら居飛車がだいたい勝てる、これはタカミチがかなり有利になったか?

大介は考慮時間を使って、9筋の端攻めにアヤを求めたが、
藤井「大介の手に端との関連性がない タカミチペースに見える 先手に勝ち筋があるだろう
 先手は色々攻め筋があって迷う 候補手は4つくらいある」
やはり先手優勢、そうだよなあ A級タカミチ、ここはキレイに決めてくれ・・・!

大介も勝負勝負と、△7七歩の焦点の叩きか やはりイヤなところを突いてくる 
でもタカミチ、間違えないよね しかし応手が4種類くらいあるぞ これは迷う(^^; 

いったん△6二金上と受けた大介 ・・・うん? これは予期していた手をはいえ、
どう寄せたらいいのかわからなくなったぞ そして△9六桂跳ねで王手きたか
これは▲同香と取っちゃう手もあるし、玉の逃げ場も3ヶ所くらいあるぞ 
実に先手ばっかりに選択肢が多い終盤だなあ あ、上に逃げたか 
タカミチが指した手なんだから、これが正解なんだよね?

先手は玉を上部に逃げ出したけど、拠点の攻防に居た金を取られてしまった 
でもタカミチが指しているんだから、これで先手がいいんだよね?
あらあら、タカミチ、桂を渡してから▲9七銀と受けたけど、藤井は「変調」と言っている
でもタカミチが指しているんだから、これで・・・ って、大介のノータイム指しが始まった!
あらららー、あっという間に先手玉、受けなしに追い込まれてしまった

先手の金銀3枚の守り駒、玉の下段に居て、全く働かず! 最後はけっこう差がついてしまった 
タカミチは最後まで指し、無念の投了を告げた 100手で大介の勝ち
藤井「ごちゃごちゃやって、ペースを掴んでいるのが大介の将棋 いつの間にか勝ちになっている
 相手に色々迷う手が多くあり、最善手がわからない将棋で、大介らしい内容の勝ち方だった」

ああー、これ、タカミチのほうに勝ちがあったと思うけどなあ タカミチは悔しそうで、顔が紅潮していた
大介の「迷わせ戦術」に、見事にしてやられたね 
大介の「実戦で鍛えた将棋です」という言葉が聞こえてきそうだった これが大介将棋かあ

感想戦を見ていると、タカミチの勝ち筋が容易には見つからない、ということだった
というか、聞いていれば聞いているほど、よけいにわからなくなった感想戦だった(笑)
大介と藤井では、感覚が食い違っているところもけっこうあり、そのやりとりは面白かった

藤井の解説だったが、序盤が短く、終盤が特にややこしい将棋ということで、
藤井にはやや不向きだったか・・・(^^; 
終盤、まだ放送時間が余っていて、まだまだ熱戦か、と思われたが早い終局で、そこが残念だった
さて、来週は渡辺竜王と中村太地だ これはワクワクのカード、今から楽しみだ
2ヶ月前に行われた倉敷藤花戦第1局、里見女流四冠vs矢内女流四段のタイトル戦です
スカパーの囲碁将棋チャンネルで、藤井九段の解説がありました

NHK杯で聞き手をしている矢内の力量はいかに? 
両者の定跡の知識、発想、里見の寄せの鋭さが出ています 
双方、力を出し合った好局だと思います こんな乱戦も将棋にはあるんですね
以下に、藤井九段の解説をまとめました

藤井「この一局は、最近棋風の幅を広げている矢内さんの、らしさが出た将棋だった
 持ち時間2時間の中では、2人とも相当読んでいると感心した」
(しかし、2局目の対抗形では矢内に緩手が続き、あまりいいところなく破れ、タイトル奪取はならず)

<参考>里見は現在、女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花の四冠王、
  16才のときにこの棋戦で初タイトル奪取、4連覇中で、今期永世称号がかかっている
  矢内は予選で、女流棋士46名のトーナメントを勝ち抜いて、挑戦者になった
  矢内は倉敷藤花戦は、挑戦5回目 過去4回、いずれも2連敗でまだ1勝していない
  この対局の前までの2人の対戦成績は、矢内5勝、里見10勝 里見の5連勝中
  (非公式戦も含む数 棋譜でーたべーす調べ)

前夜祭での2人のコメント
里見「ただ楽しみという気持ちが強くて、見ている方にも楽しんでいただければいいと思います 
 タイトルは獲られることも獲ることもどちらも受け止める準備はできています
 とにかく自分の将棋を一生懸命指したいです」

矢内「すごくワクワクしている 毎回挑戦させていただくたびに、今回こそはと思っています
 5回目の挑戦ということで、これだけ挑戦者になれるということは、きっと相性のいい棋戦だと
 思うので、なんとかがんばりたいです」

開始日時:2012/11/08 10:00
棋戦:第20期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負 第1局
持ち時間:各2時間
消費時間:111▲120△120
場所:東京・将棋会館
先手:里見香奈倉敷藤花
後手:矢内理絵子女流四段

*藤井「持ち時間は各2時間と、タイトル戦としては短い」
*以下、コメントはすべて藤井九段のもの
*ギズモの補足は(カッコ)の中に書いています
▲7六歩
*(先手は里見)
△3四歩
*(矢内は、白い和服で登場 下は紺のハカマ)
▲7五歩
*戦型は普通の考えれば、里見の振り飛車、矢内の居飛車 
*しかし里見は時々居飛車を指している
*矢内は挑戦者決定戦の中井戦で、振り飛車を指している 
*これは里見が振り飛車を明示した手
△8八角成
*矢内は持久戦志向の棋風なので、意表の一手だった
*この角交換は序盤から積極的な手 先手は▲同銀と▲同飛、両方ある 里見はどちらにするか少し考えていた
*▲同銀なら穏やかな進行になる
▲同 飛
*これはストレートに向かい飛車に回り、目いっぱい得しようと突っ張った手
△4五角
*ここから難解な定跡に飛び込む
▲7六角
*△2七角成と▲4三角成では、先手のほうが他にも駒を取れる分だけ得
△4二玉
*ここで先手、2七の守り方が難しい 先手は美濃囲いにしたい
▲3八銀
*里見は突っ張った
△5四角
*後手は△2八角と打ち込む狙い
▲7八飛 △7六角 ▲同 飛 △2八角
*先手はこのまま香を取られてはまずい
*ここから難解な定跡がある
▲5五角
*香の取り合いは、馬の働きの差で先手が得
△3三桂
*受けるにはこれしかない
▲7四歩 △同 歩 ▲8二角成 △同 銀
*次の手は、初心者の方はびっくりするかもしれない
▲1八飛
*これで先手良しに見えるが、さらに定跡がある
△3九角打
*この手の真の狙いは△1九角成~△2八角成
*(見たこともない右下の形、すごい(笑))
▲6八銀
*ここで後手が△1九角成▲同飛△2八角成を決行すると、▲4六角△7三銀▲3六歩で大丈夫 マジックのような手順
△7三銀
*これは矢内の新手で、本局での矢内の試みだった 従来の手は△7三桂
*△7三桂は、△4五桂と△6五桂の跳ね出しを狙っている 矢内は△6四銀~△7三桂として、銀も活用する狙い しかし、私の主観ではやはり△7三桂だったかもしれない
▲3六歩
*先ほど言った▲4六角が、すぐに1九に利くように用意した手
△4五桂
*△6五桂の応援がないので、あまり迫力がない
*ここで先手は▲5八玉としておくのが有力だった
*それで後手に攻めがあったかどうか
▲3九金
*里見は自陣を清算しにいった
△同角成 ▲4八角
*これが、この際の受けの形
△同 馬 ▲同 玉
*飛車と金の交換、4五の桂が取りきれるがどうかが勝負
*△6五桂の応援があれば全然違う局面、今のところ△7三銀の効果は見えない
△8八角
*先手は歩切れなので、香を取られるのは痛い
▲6六角 △同角成 ▲同 飛
*6三に飛成を見た手
△1五角
*これは鋭い手、厳しい 4五の桂はタダで取りたいので、▲3七桂とは受けたくない ▲2六角と受けると△3三角とかわして後手良し 
*(△3三角が飛車に当たるように、さきほど△8八角から飛車を6六に呼んでおいたのだ 矢内、すばらしい!)
▲2六歩
*2七の歩がいないほうが玉が広い、という意味の手
△同 角 ▲3九玉
*先手としては怖い順だが、よく踏み込んだ
△4八金 ▲2八玉
*△4四角と引いたときに、▲1五角の王手金取りが発生している
*▲2六歩は受けの妙手だった
△3八金
*だから後手は先に金を清算せざるを得ない
*味消しだが仕方がない
▲同 玉 △4四角 ▲7七角 △6六角 ▲同 角
*形勢はまだ、はっきりしない
△3五歩
*これは控え室で評判のいい手だった
*歩が攻めに加われば、後手の攻めが切れなくなる
▲3三角打
*一見、玉を逃がしてしまう手だが、次の▲5五角引成が手厚い
△5二玉 ▲5五角引成
*ここで次の手、△2五飛が控え室の予想だった 以下△2七銀を受けて▲2八金は△3六歩が桂を守った攻防手になる
*
*しかし局後、対局者いわく△2五飛には▲4五馬と取られ、以下△2七銀▲3九玉△1八銀成▲同香△2七飛打のとき、▲1九金で受かるのだった ▲1九金は両対局者だけが読めていた手 (▲1九金が読めている2人、強い!)
△4四銀
*銀を使ってしまってもったいないが、これは最善手だった
▲4六馬
*この次の矢内の手が失着だった
△3六歩
*これがあせった手、敗着 ここでは△6四銀と出たかった(いつか△5五銀右と出る狙い)
*以下、△7三桂の活用を見込めて、大変な形勢だった
*序盤で上がった△7三銀がようやく活きる展開だったのだが、矢内としては惜しかった
▲同 馬
*これで▲4六歩が発生してしまい、後手はゆっくりできなくなってしまった
△3七歩 ▲4九玉
*1八の飛車がよく利いていて、後手は攻めが続かない
△6四銀
*この手を早く指していれば、だった
*形勢は先手が良くなった
▲4六歩 △6五銀
*形勢が良くなると、あせることもあるのだが・・・
▲8八角
*里見は落ち着いている
△3八飛
*後手は何か攻めるしかない
▲4五歩 △1八飛成 ▲同 馬 △4五銀
*後手は手を戻さなければいけないのでツライ
▲8二飛
*4五の銀は取ると△4七飛の筋が発生する
*今すぐ取る必要はない
△6二金 ▲7二金
*里見は決めに行く 緩まないように心がけているのだろう
△5一金
*先手は金を渡すと、自玉に詰みがあるので怖いところ
▲3三角成 △3八歩成
*王手馬取りが発生し、うっかり、見落としかと思われるが・・・
▲同 玉 △3五飛 ▲3七歩 △3三飛
*これは里見の読み筋
▲4五馬
*後手に飛車を使わせることにより、先手は自玉が安全になった 
*(里見、角をわざと取らせるすごい発想 つええー)
△5四銀 ▲7一銀
*私なんかだと、馬を1回逃げそう(笑)
△8四角
*矢内としてはもうほとんど勝ち目はないが、2局目につなげるべく、がんばる
▲6二金 △同 角 ▲同銀成 △同 金
*あとは先手がどう寄せるか
▲7二金 △6一金打 ▲同 金 △同 玉
*玉は下段に落とせ
▲5四馬
*厳しく行った
△同 歩 ▲5三銀 △7二銀 ▲5二金
*送りの手筋
△同 金 ▲同銀成 △同 玉 ▲7二飛成 △6二銀
*ここでは即詰みはまだない
▲6一銀
*ここで△4一玉と逃げれば詰みはなかったが、▲6二竜で全く後手に勝ち目はないので、矢内は形作りで詰まされる順を選んだ
△5三玉 ▲6二龍 △同 玉 ▲7一角
*差が開いている局面でも、詰ませにいって詰まずに逆転というのはよくあるので怖い
*だんだんベテランになると詰まさなくなる(笑) 若いうちはどんどん詰ませましょう
△7三玉 ▲6五桂 △8四玉 ▲8五銀 △同 玉 ▲7七桂
△7五玉 ▲5三角成
*以下、△6四歩▲8五金△7六玉▲8六金までの詰み
*
*<藤井九段の総評>
*矢内としては、△6四銀と出るタイミングが遅れたのが悔やまれる それをとがめた里見の正確さが印象的だった
まで111手で先手の勝ち