村山慈明 六段vs阿部光瑠 四段 NHK杯 1回戦
解説 中村太地 六段

今日は若手どうしの対決か 電王戦で貴重な1勝を上げた光瑠がどんなものか、楽しみだ

村山は2003年四段、竜王戦4組、B2 総合成績優秀により予選免除 本戦は5回目の出場
光瑠は2011年四段、竜王戦6組、C2 予選で土佐、窪田、石川に勝ち 本戦は2回目の出場

解説の太地「村山は居飛車の本格派で手厚い棋風 序盤の研究家
 光瑠は新進気鋭の若手で早見え早指し、伸び盛り 戦型は何でも指す」

事前のインタビュー
村山「光瑠は現役最年少棋士(19歳) 早指しでとても早見えなので、
 そのペースに飲まれないように指したい NHK杯ではまだ1回しか勝ったことがないので、
 とりあえず2回勝つことを目標にしたい」

光瑠「村山は序盤の研究が行き届いている 去年は2回戦で負けたので、今年は3回戦まで行きたい
 いつもどおり指せればいいなと思います」

先手村山で居飛車、後手の光瑠の作戦はなんとノーマル四間飛車だった
▲居飛穴vs△高美濃に進んだ

太地「光瑠は電王戦では、練習で200~300局指した 
 本番どおりの持ち時間4時間の対局も20~30局指した 陰で努力している」
そんなに指していたのか 光瑠の1勝は貴重な1勝だった 勝てて良かったな(^^; 

なんと光瑠のほうから仕掛け、戦い開始 
太地「光瑠は一番強気な手で行っている」
光瑠は自ら飛車もぶつけ、さばきに行った
矢内「光瑠は強気で一貫していますね」

だが村山の角を引いて合わせた手が好感触、これでは居飛穴のペースでは・・・
太地「少し光瑠が苦しくなってる感じ」
光瑠は一枚駒損しているから、振り飛車が苦しいなあ

お互いに角を打ち合い丁々発止のやりとり、村山は自陣に金を埋めて負けない手を選んでいる
しかし、村山の手がちょっとずつであるがおかしい? 自陣に打った香が働かない展開
矢内「どうなってるんでしょう」
太地「千日手もありうる」

長い終盤、大駒を切って攻める光瑠、村山はたまらず自陣飛車を打って受けたが、
これではおかしいのでは? もう難しいか? 光瑠が逆転してるか?
そして出た、光瑠の指がしなって、妙手と思われる一手、攻防の△6七角!
太地「あ! これは良さそうな手が出ましたね」
おお、これは絶品! 光瑠が勝ったな! 居飛穴相手に堂々の逆転勝ち・・・

あとは光瑠が決め手を放てばいいだけ、後手陣に詰めろはかかっていないから、
なにか先手玉を縛る手を指せばいい 太地の推奨の金をからめておく手がいいか
あれ、光瑠は違う手をやったか これでもいいのか?

いよいよオーラス、光瑠が詰ますかどうか、追う光瑠、逃げる村山
太地「すごい終盤になりました」
光瑠が王手の連続で追って行く・・・ が? 村山玉、上部が開けていて詰まないではないか?
ええー 逃したのか ええー 完全に光瑠の勝ちのはずだったのに、
詰めろのかけかたを間違えていたのか ああー これは村山玉詰まない! 
村山、からくも逃げ切り、143手、村山の勝ちとなった

太地「光瑠が最後の最後で間違ってしまった 弘法にも筆のあやまり
 最後まで面白い大熱戦でした」

光瑠、△6七角がカッコ良かっただけに、惜しかったなー これは悔しい負け方だろう
詰めろのかけ方を間違えてしまった、プロ的にはそんなに難しくなかったはずなのにね 

光瑠、ノーマル四間飛車で居飛穴に勝っていれば、ちょっとしたヒーローだったのに、
勝ち寸前まで行ったのに、あー惜しかった 
若手らしく荒削りなところもあったように思うが、両者力を見せた好局だった  
金井恒太 五段vs井上慶太 九段 NHK杯 1回戦
解説 北島忠雄 六段

今日は若手とベテランという図式か 井上さんに頑張って欲しいがどうかな

金井は2007年四段、竜王戦5組、C1 予選で岡崎、神谷、佐藤秀司に勝ち 3回目の本戦
井上は1983年四段、竜王戦2組、B2 予選はシード 22回目の本戦

解説の北島「金井は研究熱心で筋の良い将棋、基本的に居飛車党、攻守のバランスのとれた将棋
 井上はA級で長く活躍した実力者、攻めっけのほうが強い、最新形から逃げない
 2人とも将棋がきれいなタイプなので、かみあうと思います
 若さを武器に金井が井上の巧みな芸を崩せるか」

事前のインタビュー
金井「井上は穏やかで優しい先生ですが、将棋はとても負けにくく手厚い印象
 NHK杯の本戦であまり白星がないので一つ一つ丁寧に指していきたい
 格上の相手ですが、初手合いですので思い切ってぶつかりたい」

井上「金井とは初手合い、棋譜を並べてきましたが、ほとんど金井の勝局ばっかりなんで、
 強敵と当たったと思っています 最近1回戦で負けることが多いので、なんとか1回戦を突破したい」

先手金井で、相矢倉に進んだ 猛烈なスピード(^^;
▲4六銀+▲3七桂型vs△金銀4枚の専守防衛型だ

がっぷり4つに組みあがったところから金井が仕掛け、いきなり銀損する攻めだ
「銀損定跡」と呼ばれている定跡だそうだ 
北島「激しいことになってきましたね」

雑談で、北島「井上はトーナメントでも活躍、弟子(稲葉、船江、菅井)の育成、アマへの普及、
 棋士の理想の形ですね 棋士会の副会長もやっている」
井上さんは普通の社会人という感じがするなあ 将棋以外でも何をさせてもつつがなくこなしそうだ

金井の話題になり、
北島「若い棋士は1カ月に15日前後、研究会をやっているという話がある
 金井はいい棋書も出している 私も本を書いたことがあるのですが、
 『金井の矢倉の本を参考に書いてくれ』と編集者の人に言われた実話がある」
矢内「金井はピアノもうまい、どう探してもスキがない」
北島「矢内さんもスキがない、学級委員タイプで」
ここ、なんとなく笑えた 北島は「矢内さんもスキがない」とサラッと言ってた(笑)

さて、金井の飛車と角を井上が押さえ込めるかどうかの勝負となっている
長考し時間をつぎ込み慎重に指した井上、しかし、金井にうまく対応され、飛車に成りこまれてしまった
ギリギリで押さえ込みから逃れてる先手、さすがにプロの定跡だ 
銀損でも、なんだかんだで手がつながるものだなあ

北島「一手違いの終盤ですが、やや先手の金井持ちでしょうか 井上は次の手が難しい」
駒の働きが悪い井上さん、このままでは苦しい どうする~
そこで出た、渾身の勝負手、桂のタダ捨て打ち、△7五桂!
北島「これは想像を絶する手ですね 思い切った手ですね」

おおお、これで金井の思考回路を破壊できるか?
しかし金井、実に落ち着いて▲8五香で後手の飛車を止めた うわ、手が見えてる 
だが井上も、また勝負手で成銀のタダ捨て、△6八成銀!
北島「うわー すごい手がどんどん出ますねー」
本局一番の盛り上がりだ でも・・・ やっぱり井上さんの攻めが足りないか・・・ 
北島「正しく指せば金井が勝ちそう」

追い込む井上、逃げ切るか金井 
北島「いい応酬ですね 迫力ありますね」
詰めろをかけて下駄を預けた井上、これで金井が詰ませるかどうかだが?
あーでもいっぱい駒持ってるなー(^^;

詰ませ方は色々あったのだろうが、金井は尻金のベタ打ちからという、けっこう見えにくい手で
井上玉を即摘みに討ち取った 119手で金井の勝ち 金井の快勝だった

北島「終盤の井上の追い込み、迫力がありましたけれどね
 金井は強敵相手に落ち着いて見事な勝利でした」

終局直後、井上「ちょっと足らんかったですかねえ」とつぶやいていた
△7五桂の勝負手については、井上「すごいだけで、やった自分もよくわかっていない(笑)」
13分間の感想戦では、何が井上の敗因だったかは見つけられずだった
矢倉の後手番が苦しいということなのだろうか

金井、最新形から優位に立ち、終盤の井上の勝負手にも冷静な対応、しっかり勝ちきった
若手のレベルの高さを示した一局となった
井上さん、がんばったけど、若手の壁は厚かった 惜敗だけど、内容的にはノーチャンスだったっぽい
北島さんの声が実に穏やかで、日曜日のひと時、という感じを、かもし出していた

それにしても相矢倉はやっぱり難しいね 早々に銀損しても攻撃している側が有利というこの定跡、
私は一生指すことはないだろう(^^;
中田功 七段vs阿久津主税 七段 NHK杯 1回戦
解説 浦野真彦 八段

コーヤン(なかたいさお)と阿久津(あくつちから)か コーヤンの三間飛車が見られるか

コーヤンは1986年四段、竜王戦6組、C2 予選で山本、杉本、安用寺に勝ち 8回目の本戦出場
阿久津は1999年四段、竜王戦1組、B1 予選シード 9回目の本戦出場

解説の浦野「私の中では1回戦屈指の好カード 
 コーヤンは三間飛車の職人 予選の3局すべて三間だった
 阿久津は明るい透明感のある将棋、指したい手を指して勝つ、センスがいい」

事前のインタビュー
コーヤン「阿久津は、序、中盤、ソツがない 先後関係なく三間をやるしかない 阿久津は居飛穴だろう
 ワンチャンスあればなんとか それじゃあ危ないかな(笑)ま、そんな感じです
 一局でも多く指したい 振り飛車がキレイにさばける気持ちのいい将棋を見せられたらうれしいです」

阿久津「コーヤンは棋界でも数少ないノーマル三間の使い手で、軽いさばきが得意
 大技をキレイにかけて勝っているイメージがあるので、今日はそれを食わないように警戒したい
 居飛車で行こうか、たまには相振りでもやろうか迷っている 結果を重視しながら見ているファンにも
 楽しんでもらえるような将棋を指したいです 応援よろしくお願いします」

阿久津のインタビューを聞いていた浦野「君は居飛車で行きなさい、と言いに行ってもいいですか?」
矢内「フフフ(笑)」

先手コーヤンで、阿久津は振り飛車を選択!
なんと▲居飛車vs△三間飛車という図式になってしまった 全くの逆(笑)
浦野「私が事前に阿久津に(居飛車にしろと)言いに行くべきでしたね」

浦野「コーヤンは角道を止めてからの居飛車もよく指している 阿久津は振り飛車でも何でも指す」
対戦成績はコーヤン1勝、阿久津2勝ということで、最後の対戦の平成19年のNHK杯では、
コーヤンが三間で阿久津の居飛穴に勝っていたということだ

阿久津は振り穴を選択 コーヤンは左美濃で、▲6六角+▲7七桂で端攻めを狙っている
持久戦で、両者がっぷりの駒組みだ 
浦野「形勢は互角でしょうけど、私は振り飛車を持ちたい 仕掛ける権利があるので」
そう言っていたら、阿久津が仕掛けた おお、行ったか 
浦野「飛車交換はやはり穴熊が固い」という解説だったのに、コーヤンは強く飛車交換!
そして角も交換、一気に終盤に突入した 中盤戦が全くなかったな(^^;
矢内「小技がなく」

双方飛車を一段目に下ろし、どっちがいいのか? 
ここで、コーヤンに抜群の味のいい角打ち、▲6六角が出た
浦野「コーヤンは角が好きですから」
▲8五桂と跳び出し、いよいよ端攻め開始だ 
浦野「さあさあ さあさあ」 これは厳しそう! 阿久津、受けられるか?

しかし、阿久津、考慮時間を早くも全て使い切ってしまった
浦野「秒読みになると、色んなことが起きますからね 
 私もひさしぶりにNHK杯に出たら、2歩を打ちかけちゃって 
 あれ打ってたら、色んなところで紹介されちゃってたでしょうね」
矢内「それはそれで普及になったと思います」
浦野「そんな普及がありましたか(笑)」

阿久津は大丈夫なのか 歩がないぞ 振り穴、崩壊か? 私の目にはもう投了級に見える
矢内「どう受けたらいいんでしょうか」
浦野「困ってる気がしますがどうでしょうか」
だが、ここから阿久津が剛腕の真価を発揮した
歩を打ち捨て、桂をタダ捨て、角もタダ捨ての強襲! 何もないと思われたところからの一気の猛攻!
す、すごい大技キター 何が起こっているのか? 
浦野「決まるか 決まらなかったらひどいですよ」

△9七桂と噛みついて、阿久津の攻めが続いた
浦野「あれ 痛いんじゃないですか?」
コーヤンは「いや~」と、明らかに何か失敗したという声を出した 
ええー コーヤン、勝勢のはずだったのに、難しくなったのか ひえー
しかし、コーヤンも▲9三角成とする大技のお返し! 
6六の地点を空けて、そこに玉を逃げだそうというのだ
うおー 詰めろ逃れの角切り 見ごたえある攻防! 

そこから、もうどうなっているのかわからない手順が延々続いた
ど、どっちが勝っているんだ・・・
浦野の解説、「詰めろか? 詰めろじゃないか?」というような
セリフが多く、ほとんど当てにならない・・・
両者の顔が映し出され、非常に厳しい表情だ

浦野「すごいですね これ 玉と玉がにらめっこ」
矢内「全然、日曜日のひと時という感じじゃないですね」
阿久津の攻めが厳しい コーヤンの攻めはどうしても足りない感じ、
コーヤン、負けるのか 一時は勝勢だったはず、これを負けてしまうのか・・・

難解な終盤になると、やはり地力で阿久津が一枚上回っていたようだ
最後は3三の桂まで利いてきて、120手で阿久津の勝ち うわー、これは見ごたえがあった
浦野「長い終盤が迫力満点で、大激闘でした」

阿久津、よくこの将棋を逆転したものだ 穴熊が端攻めされたときは、もう必敗形と思われたのだが・・・
感想戦が5分もなかったが、やはりコーヤンが勝ちがあったということだった
でも、全く何も手付かずの高美濃を、歩、桂、角の3連発のタダ捨てで一気に攻略されたら、
やられた方はびっくりするよなあ 「苦しくても逆転を狙う」というのがいかに大切か、だね
阿久津の底力、爆発力が炸裂した一局だった 
終盤、浦野さんの解説がもっと正確だったら、何がどうなっていたのか、
もう少し理解できたのだが(^^;

矢内の「全然、日曜日のひと時という感じじゃないですね」という言葉が印象的な大熱戦で、面白かった
終盤の大技、小技が多く出て、最後まで迫力ある内容、将棋を観たな~っていう感じの一局だった
カウンターの数値が、延べ50万を記録しました
見に来てくれているみなさん、どうもです(^^) 

実は、このサイト、ちょっとした閉鎖の危機があったのですよ
それは他ならぬ、電王戦の影響、昨今のコンピュータの台頭です

コンピュータがプロより強くなったことにより、
プロ将棋の魅力が薄れてしまうのではないか?という大問題です

このサイトは私が主にNHK杯などを見た感想を書いていくのですが、その原動力は、
「NHK杯という、こんな面白いものがある、それを観た感動をみんなと分け合いたい」
ということに他なりません

ですから、私がNHK杯を見ても何も感動しなくなってしまったら、もう伝えたいことがなくなって、
このサイトは終わりなわけです

電王戦を見終わって、その後、自分でもどうなるかわからず、しばらく様子を見ていましたが・・・
どうやら大丈夫のようです! 電王戦が終わってNHK杯は5~6局ありましたが、
NHK杯に関しては私は楽しく観れています 多分、これからも大丈夫でしょう
いや~、良かった(^^) 一時はどうなるかと思いましたよ

NHK杯からは、世間の将棋ファンの注目が集まる大舞台ということが、指す棋士から伝わってきて、
人間どうしの戦いを興味深々で観ている私がいます 
そしてルールが早指し(ほぼ30秒将棋)なので、必ずしも最善手を求めて観ているわけではなく、
コンピュータが強くなったことの影響があまりないようです(あくまで私の場合です)

でも、銀河戦のほうには影響はあるんです パラマストーナメントの下のほうのカードには、
興味がガタ落ちで、観ないことが多くなりました
銀河戦は、これからは注目のカードしか観ないでしょうね

コンピュータがプロより強くなっても、きっとNHK杯は大丈夫!
このブログ、まだしばらく続きますよー 私がNHK杯に飽きるまで(^^;
これからもよろしくね~
北浜健介 八段vs木村一基 八段
解説 屋敷伸之 九段

今日は北浜と木村か 攻めvs受けの図式になりそうだが、どうかな

北浜は1994年四段 竜王戦3組、B2 予選で土佐、伊藤真吾に勝ち 13回目の本戦
木村は1997年四段 竜王戦2組、B1 予選シード 15回目の本戦

解説の屋敷「北浜は居飛車が得意で攻め味がすごく鋭い 中終盤に力を発揮する
 今日もどんどん攻めていくと思う
 木村も居飛車党、受けに特徴がある 中終盤のねじり合いに力を発揮する 
 相手の駒を根こそぎ取りに行く、攻撃的ディフェンスをする」

事前のインタビュー
北浜「木村は受けが強くて、ちょっとでも無理攻めをすると受けきられる印象がある
 NHK杯は前期は初戦敗退したので、今期はなんとか初戦を突破したい
 いい将棋が指せるようにがんばります」

木村「北浜は昔から軽快な棋風 翻弄(ほんろう)されちゃうというか
 ガシッと受け止めないと、つらい展開になります NHK杯はいつも下のほうでふがいない負け方を
 しているので、一番でも多く指したい」

2人の対戦成績は、北浜1勝、木村11勝ということだ 北浜は木村が苦手のようだ
    
先手北浜で、横歩を取らずに▲2六飛と引き、相掛かりになった
そこから相腰掛け銀に進んだ 
屋敷「なかなか最近見られないので、逆に新鮮な感じですね」

銀交換から、さっそく北浜が攻めていった 
屋敷「しばらくは息もつかせぬような、激しい展開が予想される 
 さてこれで北浜の攻めがつながるかどうか お2人の将棋ではよくある展開」

木村がふわっと飛車を浮いて受けた手(△8四飛)、木村の手がしなっていた
屋敷「これは味がいい感じの手」
北浜はどうするんだ、もう攻めが止まって終わりか、と思っていると、
なんと手がかりが何もないところに▲2二金という実に考えにくい張り付き!
屋敷「すごい手が出ました」 矢内「露骨に」
こりゃー思いつかないわ そして、北浜の攻めがつながっていったではないか 実にうまい

屋敷「北浜はギリギリで細かい攻めをつなげるのがうまい」
北浜、とりあえず攻めがつながったのはいいが、木村の反撃がどれほどのものなのか
駒損覚悟の犠打で受ける木村、北浜はどう攻めるか
屋敷「北浜がいけそうかなという感じ ただ、うまく手をつなげないと
 相手が相手(木村)なんで、なかなかこっからが大変なんで」

北浜は時間を使って慎重に進めていく しかし、やや早めに使いすぎたようだ
北浜に何か決め手があるか? って、受けに回っちゃった!
屋敷「あれ 受けちゃった まだ少し北浜が残している気がしますが」

このまま攻め合いでどっちかが勝つのだろう、と思っていたら、それは違った
木村、玉をなんと上部に脱出させにいったではないか
屋敷「すごい手がまた出ましたね 逃げ出しを図ろうという手ですね」

木村玉を追う北浜、逃げる木村 どうなってるんだー
屋敷「何かが起きそうな予感はありますね」
そして、北浜が寄せ筋に入ったか、と思われたときだった
木村、なんと王手飛車をかけさせる順をわざと選び、無理やり玉を入玉! 
ええー 飛車を取られるから、それじゃあダメだろう?

しかし、ここから延長戦、第2ラウンドが始まった!
1九まで逃げ込んだ木村玉、北浜はどうにか寄せようとするのだが、なかなか寄らない
延々続く攻防 す、すげえー 秒読みで入玉形なのに、2人はなるほどという手を続けていく
特に木村の手が好手連発しているように見える 木村、つえー

木村がちょっとやばくなったか、と思われたそのとき、銀を中空に放つものすごい手が飛び出した
屋敷「銀のタダ捨て、すごい勝負手ですね すさまじい」
す、すごい なんでこんな手を思いつくのか?

矢内「入玉形は考えるだけで難しいですね」
もう私はずっと、手がさっぱり見えない(^^;
木村は粘りに粘り、屋敷に「根性ですね」と何度も言わせた

そして、なんと木村に攻める番が回ってきた!
屋敷「木村の執念の粘りですね」 矢内「恐ろしい」
木村、すごいわ 千駄ヶ谷の受け師の異名は、伊達じゃない!

北浜に攻める手がもうない、もう投了か、と思われたとき、まだ遠見の角打ちでの勝負手を出してきた!
北浜もやるぅ~ しかし木村も魅せた 銀を犠打で合駒! 対して北浜もまた勝負手!
す、すげぇ攻防 もう秒読みがずっと続いていて、入玉形の難解な局面を経てきているというのに、
この2人は体力を消耗していないのか!?
矢内「さすがプロの将棋ですね!」 

最後は木村がズバッと竜を切って寄せた 結果、150手で木村の逆転勝ち
矢内「いやー なんかすごかったとしか感想が出てこないんですが」
矢内も興奮していた
屋敷「将棋は根性が大事ですね 木村は王手飛車をかけさせながら脱出、すさまじい執念を感じました
 大激戦でした」
将棋というゲームは、「根競べ」の一面もあるということをまざまざと見せ付けた一局となった

千駄ヶ谷の受け師の木村の、まさに本領発揮だった
玉一枚の裸になりながら、まだあきらめなかった木村の執念、恐るべし・・・
北浜の攻め、入玉形での攻防、木村の銀のタダ捨てもすごかったし、
最後に角と馬で攻めた北浜の手に冷静に対処したところ・・・

最後の最後まで何が起こるかわからない これは将棋の醍醐味だね
熱戦を見せてくれた対戦者の2人に拍手 パチパチパチ

コンピュータも強いけど、プロもやはり強い! これだけのものを毎週見せてくれたら大満足だ
この対局に勝った木村は、2回戦で羽生と対戦する権利を得た 
羽生との将棋でも今回のような力を見せてもらいたい
将棋ウォーズ用の用語集、今回は戦法の版、2回目の記事です
左の数字は通し番号です(あまり気にしないで下さい)
重要度で4段階に分けました 重要なものから順に、◎、○、●、×の順です

【戦法一覧】 

2607  真部流 × 
ノーマル三間飛車で、居飛穴に組ませて戦う作戦なんですね 知りませんでした 4枚美濃に組んでも、居飛穴に組ませてしまうとやはりつらい戦いになると思います 長期戦覚悟の力自慢でないと指しこなせませんね

2700  ダイレクト向かい飛車 ○ 
これは近年現れた有力な作戦です 力戦派の人にうってつけです 角交換されて△4五角(▲6五角)と筋違い角を打たれても受かっているかどうか注意が必要です    

2701  向飛車  ◎
角道を止めるタイプと止めないタイプに分類されます 相振り飛車で、飛車が向かい合っていなくても8筋に振れば向かい飛車と言います

2702  メリケン向かい飛車 ● 
知らなかったので今調べたのですが、▲7五歩と突いてから向かい飛車に振るという作戦なんですね  狙いが単純なので、アマでは有力ですね

2703  阪田流向飛車 ● 
角交換して▲7七金型にする向かい飛車です  一気に勝ちになることもありますが、飛車先を破っても、相手が5筋に飛車を振って争点を変えてきたりして、あまり成功しないんですよね
                   
2800  陽動振り飛車 ● 
居飛車と見せかけて、振る戦法  なかなかどこに振るか態度を決めないときにも、陽動作戦と言ったりします 相手もどう組むか難しいですけど、でも、陽動振り飛車をやっているほうもどう組むか難しいんです(笑)

2802  つくつくぼうし戦法 × 
全然知りませんので調べました  「▲2五歩と▲7五歩を突いておき、浮き飛車で相手の飛車先を受けつつ角頭攻めを見せ、そこから飛車を大きく転回し石田流に組み替える、陽動振り飛車戦法の一種。」 へえーこんな戦法があるんですね 狙いはよくわかりませんが、すぐに負けることもないようですね 楽しくていいですね(^^; 私もギズモスペシャルとかと発案したいです

2804  相振り飛車 ◎ 
プロは先手を持ったら居飛車の人が多いので、あまり指されない  ゆえに定跡が整備されていない 私は相振りは苦手です 序盤の駒組みでいつの間にか勝負がついていた、ということがあります 

2900  ポンポン桂  × 
ノーマル四間相手に、いきなり桂損の仕掛けを敢行するというやつです 条件がそろわないとできない仕掛け 私は実戦で見たことは1度あるかないかくらいです 中盤がすぐ終わっちゃってつまらないんではないでしょうか(^^;   

2901  5筋位取り  ● 
振り飛車の中飛車で5筋の位取りをする戦法と、対ノーマル振り飛車用の居飛車の作戦の2つに分かれる  中飛車での5筋位取りは作戦勝ちしやすく、有力です  後者は、羽生が指さないことで有名 羽生いわく、「明確な狙いがない」とのこと
          
2902  玉頭位取り ● 
これも現在ではプロでは見ない 居飛穴が優秀だから、わざわざこれにする人が少ないです  これをやると、終局まで長手数かかります(^^;
 
2903  地下鉄飛車 ● 
飛車を下段に持ってきて(とくに端、香の下)端攻めを狙う  条件が揃わないとなかなか出現しない

2904  飯島流引き角戦法 ● 
指す前から相手が振り飛車党とわかっているときに有効  ただ、引き角にして美濃に囲ったあとは、居飛車、振り飛車、同じような陣形になっているのでこう着状態になりやすいです 角が▲5七角となりがちなため、5筋が弱点になることが多い

2905  丸山ワクチン ● 
ゴキゲン中飛車に対する居飛車の作戦  早々に角交換するというもので、有力な対策です 丸山プロが使っていたことからこの名前がつきました 医学用語にこの名前があるそうです

2906  4六銀左急戦  ○ 
対ノーマル四間飛車の居飛車側の急戦策  変化に富んでいて、「急戦の花形」と呼ばれる

2907  4五歩早仕掛け ○ 
対ノーマル四間飛車の居飛車側の急戦策 わりと単純な定跡   ただし相手が△4三銀型でないとダメ

2908  鷺宮定跡 × 
対ノーマル四間飛車の居飛車側の急戦策 めちゃくちゃ細かい、難しい定跡  アマ高段かプロしか知らないでいいですよ

2910  4六銀右急戦 ○ 
対ノーマル四間飛車の居飛車側の急戦策 シンプルな作戦  だが一気にさばきあいにはならないことが多い 舟囲いが薄すぎて指す人があまりいない

2911  左美濃急戦 × 
左美濃は持久戦の作戦、それなのに急戦とは変  たぶん右銀を右方面に使っていく作戦を言うのでしょうが、あまり見ない 攻めた銀がどうしても遊びやすい

2912  右四間飛車急戦  ○ 
対矢倉、対ノーマル振り飛車、どちらにも使える作戦 その破壊力は抜群 対矢倉は相手が強くなってもまだ使えますが、対ノーマル振り飛車は強い相手には通用しにくいです

2913  鳥刺し ● 
角道を開けないで、ナナメ棒銀で右側を制圧しようという戦法  相手が振り飛車党とわかっているときには有力です 振り飛車側はどうさばくか、腕の見せ所       

2914  棒金 × 
主に対石田流での居飛車の作戦 しかし、石田流側の対策が進みました  棒金はもうおススメできないです

2915  超速  ○ 
対ゴキゲン中飛車での超速▲3七銀のことでしょうか  今、プロで流行の最先端です  アマはアマらしく自分用の作戦で行くのが私の好みです(^^;

2002  矢倉棒銀 × 
矢倉囲い+棒銀ということでしょうか  矢倉は持久戦の作戦、棒銀は速攻の作戦 この2つを組み合わせるのはうまくいかないことが多い、個人的におススメできないです      

2102  棒銀  ○ 
数の攻めを教える意味で、初級者に最初に教える人が多い  しかし実際は、実は初心者におススメできる戦法ではないです 相居飛車では銀交換になったところで別にすぐ勝ちではないですからね 対振り飛車では細かい銀の動きが求められます 銀が遊び駒にもなりやすいです  初心者に教えるなら、早石田とか右四間にすべきというのが私の持論です  ただし、棒銀の受け方は知っておきたいところですね

【資料】 天下一将棋会2 上のにないもの

ヒネリ飛車 ○
相掛かりで、主に先手が使う戦法 後手が無策だと大作戦勝ちになります 近年プロ間では後手の対策が充実し、千日手模様になるということで指されなくなりました 

ナナメ棒銀 ○ 
対振り飛車での居飛車の急戦策  有力であるが、変化が多く私はとても覚えきれないです(笑)

石田流本組み ○ 
浮き飛車、桂跳ね、端角という振り飛車の攻めの理想形 相手が居飛穴でも、これに組めればなんとかなりそうです          

早石田流三間飛車 ◎ 
3手目に▲7五歩と突く作戦  昔は奇襲扱いでしたが、升田幸三、鈴木大介、久保利明らによって現在では研究が進み、超有力な作戦に昇華しました

ダイレクト四間飛車 ○ 
私は知らなかったですが、角道を止めず四間に振るのを、こういう言い方をするのですね これから指されることでしょう

ツノ銀中飛車 × 
左右にバランスが良い中飛車 でももう指す人はいないでしょうね  居飛穴が天敵で、滅んだ戦法です

銀冠(居飛車) ○
居飛車でも銀冠はもちろん固い囲いなのですが、相手が振り穴のときは個人的には分が悪いと思います

端美濃囲い × 
串カツ囲い/端美濃囲い 香車と玉が逆の穴熊のできそこないですね(笑) こうなっちゃったら作戦負けでしょう

中原囲い ○ 
横歩取り△8五飛と組み合わさって大流行しましたね  あくまでも高段者やプロ間での話しですが(^^;

セメント囲い × 
こんなの初めて聞きました こうなる場合はほとんどないので覚える必要もないです

あひる ● 
奇襲の中でもわりと有名です でも指す人はほぼいません 平気で大駒を切ってくるので大局観がおかしくなります(笑)

空中楼閣 × 
調べてもヒットしませんでした 覚える必要はないでしょう

早囲い ○ 
金矢倉に1手早く組もうとする作戦 現在藤井が得意としています  しかし玉が2段目に行くと、相手からの急戦策に弱いので、これをやるには細かい注意が必要とされます

平目 ● 
名前は聞くけど、これをやる人はめったにいないです 飛車交換を狙うだけの作戦で、単調すぎるんですよね

以上、終わりです
将棋ウォーズ用の用語集、今回は戦法版です 量が多いので2回に分けて書きます
左の数字は通し番号です(あまり気にしないで下さい)
重要度で4段階に分けました 重要なものから順に、◎、○、●、×の順です

【戦法一覧】

2000  3七銀戦法 ○ 
相矢倉での戦法の一種 ▲4六銀▲3七桂戦法に移行し、現在のプロの主流

2001  脇システム ○ 
相矢倉での戦法の一種 先後同形の戦法 お互いの同意がないと、こうならない 
三浦が得意としていたが、GPS将棋に新手を出されて完敗しました  

2003  森下システム ○ 
相矢倉の先手の戦法で、手広く待って、後手の手によって作戦を決めるという「ジャンケン後出し戦法」 

2004  雀刺し ○ 
端を集中攻撃して猛攻をかける戦法  

2005  米長流急戦矢倉 ● 
相手が矢倉に囲ってきたところを、守りの銀を使って中央から潰す、攻めの作戦 しかし、玉形が薄すぎ、反動がきつく、あまり見かけない ただ相手が早囲いにしてきたときには、相当有力な作戦です

2006  カニカニ銀 ● 
居玉で中飛車にし、端角で、銀2枚をカニのハサミのように上がって攻めていくロマンあふれる作戦 主に相手が矢倉にしたきたときに使えます 升田幸三賞を受賞したが、私は実戦を見たことがあるのは銀河戦での1回だけ(笑) でも、その一局は、児玉が佐藤康光をギリギリまで追い込んでいました

2007  中原流急戦矢倉 × 
玉があまりにも薄くなるので指されているのは見たことがない 明確な攻め筋もないので、わざわざ指す人もめったにいないと思われます

2008  阿久津流急戦矢倉 ○ 
相矢倉を避ける後手の変化球  5筋を交換し、角を△7三角と持ってきて模様勝ちを狙う  すぐ矢倉を潰す狙いではないが、変化が多い  渡辺vs羽生の、勝ったほうが永世竜王という大一番で渡辺が採用しました 

2009  矢倉中飛車 ● 
先手が矢倉を目指すときに、▲7七銀と早く上がったときに後手の有効な作戦  △8五桂が銀に当たってきます それがイヤで、先手は▲7七銀を保留して▲6六歩と止めるようになった  玉が薄く、明確な攻め筋もないので、矢倉中飛車は現在ではほとんど
指されない作戦になりました  

2010  右四間飛車 ◎ 
攻撃の破壊力は全戦法でもナンバーワン  この受け方を知らずして矢倉囲いにするのは自殺行為  相手が振り飛車のときも有力な作戦ですが、ワンパターンで攻めが切れたらそれで終わり、上級者ほど受けがうまいので、右四間を採用する率は下がります  プロで有名なところでは、竜王戦で谷川が藤井に対し右四間を採用したが、うまく対応されボッコボコに負けました

2011  原始棒銀 ○ 
2筋を突破しても勝ちではないので、実は初心者にはあまりおススメできない作戦  銀交換になっても全然まだそこから難しい しかし受け方はぜひ知っておきたい  

2012  右玉 ○ 
自分からなかなか攻めることができない受身な作戦だが、有力  独特の大局観が求められます 不思議な戦法で、右玉だけは「勝ちに不思議の勝ちあり」ということがあります  いったん手がつくとモロい

2013  かまいたち戦法 × 
四間飛車に対する居飛車の変則作戦  位取りをして美濃囲いの発展を防ぎ、振り飛車を手詰まりに追い込む  しかし、いかんとも2筋ががら空きになるので奇襲の域を出ないです

2114  パックマン戦法 × 
▲7六歩に△4四歩とする挑発作戦  しかし、これは、はっきり先手が有利になる結論が出ています

2115  新米長玉 × 
2手目△6二玉のこと 対ボンクラーズ用の手  対人用の挑発にはいいかも(笑)

2100  角換わり ◎ 
難解な将棋になることが多い 攻め合いになったときにスリルがあります

2101  腰掛け銀 ○ 
▲5六銀と5筋の歩の上に出た形 角換わり、右四間飛車でよく見ます 

2103  早繰り銀 ○ 
▲3七銀~▲4六銀と出る形 角換わりでよく見ます

2104  筋違い角 ○ 
初手からの作戦としての筋違い角は、藤井が対策の決定版を出してプロでは指されていないと私は考えています(イメージと読みの将棋観1という本に出ている) 5手目に打たなくても、中盤などで打っても筋違いに打てば筋違い角 

2105  木村定跡 ● 
角換わり相腰掛け銀同形での、先手が勝ちになる定跡  有名なのですが、これを理解できれば24の四段はあります  そのくらい難しい定跡なのです 本では「よくわかる角換わり」に詳しく出ています 

2200  相掛かり ◎ 
相居飛車の戦法のひとつ 私はこれを先手を持って指すのが好き  でも、初手▲2六歩に後手はあんまり△8四歩と受けてくれない

2201  相掛かり棒銀 ○ 
相掛かりでの棒銀 でも初心者以外では、攻めがあんまり決まらない  今は▲2八飛+▲3六銀でよく指される

2202  塚田スペシャル ● 
相掛かりで先手が1筋を攻める戦法  プロでは谷川が対策を出して絶滅しました 受け方を知っておきたいのですが、書いてある定跡書がなく受け方がわからない(笑)

2203  中原流相掛かり ● 
相掛かりで、先に3筋の歩を突き捨ててから、あとで右銀が出て歩を取り戻そうとする先手の戦法  ▲2六飛型で使用される 今のプロの主流は▲2八飛型なので、見なくなりました 

2204  中原飛車 × 
知らないなあ 検索してもヒットせず 

2207  8五飛車 ○ 
横歩取り△3三角戦法での後手番の作戦 中原囲いと組み合わせてプロで大流行 アマにとっては難しい戦法と思います

2300  横歩取り ◎ 
将棋の中で最も激しい変化を含んだ戦法  先手が横歩を取ると、△2三歩戦法、△4五角戦法、△相横歩取り、△3三桂戦法、△3三角戦法、を後手が選べる 先手が横歩を取るなら、これら5つの全ての変化を受けきる自信がないといけない △8五飛戦法は△3三角戦法の中の変化の一つで、横歩取りの中では持久戦に分類されます

2301  3三角型空中戦法 ○
内藤が考案した戦法 今は△8五飛と組み合わせて使われる

2302  3三桂戦法 ●
定跡がなく、漠然とした戦いになる 後手は跳ねた桂頭が狙われるのと、角が使いにくいようです △3三角戦法があるので、わざわざこれにする人がいない 人気がない戦法

2304  4五角戦法 ○ 
嵌め手のオンパレード 後手が猛攻を仕掛け、見ている分には超面白い戦い  正確にやれば先手が受けきれるとされていて、プロでは指されない  新手が出てプロで復活しないかなあ、と常々思っています

2305  相横歩取り ○ 
飛車を交換する急戦と、交換しない持久戦に分かれます  交換するやつは将棋の全ての定跡の中で最も激しく、見ている分には超面白い これも正確に指せば先手が受けきれるとされていて、詰みまで定跡がある変化もあります 横歩取りと言えばプロは今は△3三角戦法ばかり、たまには誰かこれをやってくれないか、と私は常々思っています

2400  ゴキゲン中飛車 ◎ 
考案者の近藤正和プロが、いつもニコニコしていることからこの名前がつきました ▲7六歩△3四歩▲2六歩△5四歩、これでゴキゲン中飛車にできる  定跡が簡単でお手軽なことから、コンビニ中飛車と揶揄(やゆ)されることもあります あまり定跡にとらわれず指せる、大人気の戦法

2401  ツノ銀中飛車 × 
プロでは今は絶滅しました 金銀左右分裂型の振り飛車は、居飛穴に勝ちにくい 

2403  風車 ● 
金銀分裂型の中住まいで、主に後手番で千日手を狙う戦法  これも居飛穴に勝ちにくい 伊藤果(はたす)プロが得意としている
 千日手になったらどうするんですか?と訊かれた伊藤が、「もちろんまた風車です もう一局風車が指せるじゃないですか」と答えたエピソードは有名

2404  英ちゃん流中飛車 × 
5筋の歩を突かない中飛車ということですが、今はプロでは指す人はいません メリットがわからないです

2405  原始中飛車 ● 
中飛車+棒銀で攻める それプラス▲9七角プラス桂を6五に跳んで、一気に攻め潰す作戦 やられると非常に怖い(笑) でも、居飛車側が金銀を中央に集めれば受けきれるとされている  桂を6五に跳ばれてはヤバイ、潰されると思います

2406  加藤流袖飛車  × 
全く知りませんでした ツノ銀中飛車に対する居飛車側の作戦ですってね  ツノ銀中飛車が絶滅した今となってはどうにも(笑) 
居飛穴にしたほうが勝率もいいでしょうしね

2407  5七金戦法 × 
これもノーマル中飛車に対する戦法です もう見ないですね  それに金は攻めには向いてません  取られたときが金ですからね 
2500  四間飛車 ◎ 
プロでは激減しましたが、アマでは今でも人気がある  序盤の駒組みが簡単なのが特徴  居飛穴にされたときの自分なりの対策が必要です 角道を止めると自分からなかなか攻めていけないので、攻め好きな人には向いていないと思われます

2501  藤井システム ○ 
居飛穴を居玉でやっつける、というまさに革命戦法 藤井は天才  プロでは研究があまりにむちゃくちゃ進み、苦戦に陥っています  研究が進みすぎてみんな嫌気がさしたのも減少した理由でしょう 

2502  立石流 ○ 
いったん止めた角道を空けて、角交換し、▲7六飛型の理想形に組む作戦  とってもお手軽でアマでは有効  羽生がこの戦法にボロ勝ちしていたので、プロでは誰もやらなくなったのかも知れない

2503  レグスペ ● 
知らなかったので、調べてみたら、こんな風でした ↓ 
後手番での角交換四間穴熊戦法。「角交換振り穴スペシャル」というタイトルで東大将棋部が棋書を出しているのでこちらの名前で記憶してる人も多いかも。発動方法は角交換から▲7七銀と構えて▲6八飛と飛車を振るだけ。穴熊に囲う必要はない。また、6筋の歩の位置はどこでもいい。
・・・らしいですね 力戦の一種、マイナー戦法ながら、得意とするにはいいでしょうね 角交換で穴熊にすると、打ち込みのスキが多くなるので注意ですね 早指しではかなり有力な作戦に思えます

2600  三間飛車 ◎ 
角道を止めるノーマル三間と、止めない形に分かれます

2601  石田流 ◎ 
▲7五歩と突く形を言います

2602  早石田 ◎ 
▲7五歩と突いて、角交換をする急戦を言います 近年、がぜん研究が進みました 居飛車に対しては超有力な作戦です    

2603  升田式石田流 ○ 
石田流の中で、升田幸三が研究したものを言います

2604  鬼殺し ○ 
奇襲の中でも特に有名なもの 正確に受けられたらダメです 新鬼殺しというのもあります こっちは有力な作戦です

2605  3ニ飛戦法 ○ 
▲7六歩に2手目△3二飛、これを言います 有力です 後手でも石田流を狙います

2606  中田功XP ● 
島プロいわく、「三間飛車で居飛車穴熊を粉砕する画期的な新戦法」 端攻めで桂を捨てて攻めます NHK杯で中田が千葉涼子をボッコボコにしてました でも、飛車が攻撃に参加しづらいので、なかなか居飛穴攻略は難しいようです

(その2に続く)
行方尚史 八段vs先崎学 八段 NHK杯 1回戦
解説 羽生善治 三冠

矢内、いいわー 毎週矢内を見れるのは幸せだ 
今日はA級復帰とタイトル戦初挑戦を決めた行方と、先ちゃん登場 期待のカードだ
そして解説になんと羽生 楽しみだ

行方は1993年四段、竜王戦2組、A級 予選シード 17回目の本戦進出
先崎は1987年四段、竜王戦3組、B2 予選で植山、吉田に勝ち 18回目の本戦進出

解説の羽生「行方は居飛車の本格派 鋭い手を指す 秒読みを苦にしない、長考派
  先崎は色々な形を指す 人が思いつかないような、トリッキーというか独創的な手を指す」

事前のインタビュー
行方「先崎は将棋以外にもマルチな才能を持っておられる、めずらしい棋士
 先崎の気迫に押されないように自分のペースで戦いたい
 前期の3回戦よりも上を目指す せっかくの羽生の解説なので、いい将棋を指したい」

先崎「行方は日頃はかわいい後輩 将棋は大変粘り強くて厳しい 
 もちろん出るからには最終目標は優勝 一局一局大事に指す 今日はがんばりたい」

2人の対戦成績が出た 行方の10勝、先崎の2勝ということだ けっこう差がついてしまっているね

先手行方で、ノーマル角換わりの相腰掛け銀になった 
お互いにじりじりとした駒組み合戦が続く 非常~に長い序盤(^^; 
行方は早くも考慮時間を残り1回にしてしまい、
羽生「どんどん時間がなくなってますね まだ駒がぶつかっていないんですけどね(笑)」   

本格的な戦いが始まったのは番組開始から48分経ったときだった
羽生いわく、「一直線の変化」
ようやく面白くなった 行方は端で一歩補充したが、今後、何か意味が出てくるのだろうか?

攻め込む行方、受ける先崎
羽生「この瞬間に行方に攻めの手がなければ、はっきり先崎有利」
行方、何か手があるか? 私にはさっぱりわからない
ここで行方、本領を発揮した 渾身の角打ち!(▲7一角)
羽生「またすごい手が来ましたね いや~すごい手が来ましたね すごい手が来ました」
あの羽生が「すごい」を3連発! 行方やったぁ 決まったか?

飛車を切って、先崎玉を包囲した行方
羽生「すぐ終わりそうですけど、ここからなかなか終わらないのがプロの将棋なんですよ」
先ちゃん、がんばれ~ ここから底力を発揮して見せてくれ!

行方の攻めが続き、羽生「ちょっと受けの形が見えません 困ったかも」
先崎も30秒将棋に追い込まれた だが、まだ決め手を与えてない、耐えてる がんばってる!

行方は的確に攻めてきている もうずっと秒読みが続いているのに、強い
羽生「(行方は)あわてたそぶりだけど、指し手は冷静なんですよ」
行方のほうは玉が固いので、先崎としては受けの好手を指すしかない 何かあるか?
そのとき、羽生を驚かせる奇手が先崎に出た 銀をスッと引く、非常に考えにくい手!(△5一銀)
羽生「あー、また意表を これいい手だー いい手の気がしますね 
 いっぱい当たりになっていて、何やっていいかわかんないですね(笑)」
行方、先崎、ともに力を出し合ってる これは熱戦だ 見ていて楽しい、面白い

寄るや寄らざるやの攻防が続いていたが、ついに行方の攻めが筋に入ってしまったようだ
羽生「これ痛い」
決まったか? ここまでも先崎は「いや~」というボヤキを連発していたが、
先崎「いや~ 驚きました」 対局中に言うか(笑)
だが、まだ粘る先崎 自陣の歩を突いて逃げ場所を作り、中段玉をもう1回自陣に引き上げようというのだ
そんな発想があったか! 行方どうする、秒を読まれて対応できるか?
そこで行方に、端攻めで入手していた最後の一歩を使って、玉を縛る手が出た!
うお~、攻め駒、ギリギリ足りたのか? しかしまだ寄るかどうか

そう思って見ていたら、行方、桂のダブルの跳ね捨ての妙手順を披露! うおー、なんだこれは!
先崎玉を即詰みに討ち取った 持ち駒が全く余らない華麗な詰みだった お、お見事!!
矢内「詰将棋のような」
羽生「うまい手でした 非常にきれいな寄せでしたね」
119手で行方の勝ち 難局を制し、行方の快勝だった 

羽生「行方が思い切って攻めて、ギリギリのところでうまく手をつなげた
 攻めながらも自玉を固め、秒読みでも落ち着いた指し回しだった 先崎も最善を尽くして粘った」

行方、好調を存分にアピールした一局となった さすがにタイトル戦初挑戦を決めただけある強さ!
この難しい終盤を30秒でミスなしと思われる指し回し、全くもって強い A級復帰もうなずける
行方、今までそれほど目立たなかったが、化けたかもしれないね いいねいいね
終盤はずっと好手の連発で、見ていてこっちまで気持ちが良くなったよ

羽生の解説も良かった 羽生が「次はこの手が厳しい」と言ったところで、そのとおり指して
間違えなかった行方、先崎の両者はよくやった 
そして、ときに羽生の予想を上回る手を指していた両対局者、先ちゃんも、力を出していたよ
私は先崎ファンで先ちゃんを応援して見ていたけど、負けて納得の内容だった
これは好局だった 前半が眠かったが、後半、俄然盛り上がった一局、面白かった、とても良かった!
昨日、テレビのCS「ニュースの深層」で、テーマが「谷川浩司新会長が語る"将棋の未来"」ということで
電王戦の話題が取り上げられていました (3日に再放送あり 詳しくは連盟のページにて)

有料チャンネルのCSということで観た人も少なかったと思うので、面白かったところをまとめておきます
ちょっとですが(^^;

アナ「1996年の日本将棋連盟が発行している将棋年鑑で、
 『コンピュータがプロ棋士を負かす日は?』という質問に、
 トップ棋士の方々はこのように答えておられました」

羽生善治名人・竜王 「2015年」
米長邦雄九段 「永遠になし」
加藤一二三九段 「来ないでしょう」
谷川浩司九段 「私が引退してからの話でしょう」
南芳一九段 「40年くらい先」
石田和雄九段 「30~50年先」
森内俊之八段 「2010年」

アナ「今年は2013年ということで、羽生さん、森内さんが当たったということですが」
谷川「羽生さん、森内さんはチェスでも国内トップクラスということもあって、
 お二人だけがよくわかっていたのかな、というふうに思いますが(笑)」
アナ「1996年というのは、ディープブルーがチェスチャンピオンに勝った年ですね」


アナ「第2回電王戦を主催したドワンゴはぜひ第3回を、ということですが、谷川さんのお考えは?」
谷川「もちろんファンの方の声もありますし、コンピュータ協会の方もやっぱり、コンピュータが強く
 なっていけば、当然強い相手と指したいというのは自然なことですので、
 ただ、もちろんそのことだけではなくて、将棋の公式戦を主催しておられる方のご意見も
 お聞きしなければいけないということで、頭の痛いところではあるんですが(苦笑)」
アナ「立場上、色々な意見を聞かなければいけないということですね」
谷川「はい」


コンピュータがプロに勝つ年をほぼズバリ言い当てた羽生と森内、すごいですね
第3回電王戦はどうなるのか、見守りたいです
(ひとつ下の記事に、明日テレビ放送の情熱大陸の予告があります)
テレビの「情熱大陸」に、里見女流が登場します
TBS系 6月2日(日) 23時~23時30分  http://www.mbs.jp/jounetsu/