豊島将之 七段vs佐藤康光 九段 NHK杯2回戦
解説 谷川浩司 九段

2回戦屈指の好カード、才能あふれる両者がどんな将棋を見せてくれるか、非常に楽しみだ

豊島は2007年四段 竜王戦1組に昇級 B1 1回戦で村田智弘に勝ち NHK杯本戦は5回目の出場
康光は1987年四段 竜王戦1組、A級 1回戦シード NHK杯本戦は25回目の出場

解説のタニー「豊島はアマの頃から将来を嘱望されていた 研究熱心で、どのような戦法も指しこなす
 序、中、終盤、どこをとってもスキがない
 康光は初タイトルを獲ってから約20年活躍を続けている 康光ならではの独特の世界、序盤作戦を
 作り上げて、棋士の間でも注目されている 棋士会の会長もしている」

事前のインタビュー
豊島「康光は序盤の工夫が多く、中終盤に力強い将棋 今日も序盤から力戦形になるのではと思います
 自分らしく思い切りよく指したいと思います」

康光「豊島は非常に研究熱心な若手で、質も高く、指し手が他のプロに与える影響力も非常に大きい
 先手でも後手でも、向かい飛車か居飛車と想定しています
 ハラハラドキドキするような、迷路をさまようような内容が指せればと思っています」

2人の対戦成績は、豊島2勝、康光3勝とのこと

先手豊島で対局開始 康光のダイレクト向かい飛車に、
豊島が▲6五角とノータイムで打って、力戦になった
雑談で、タニー「豊島は順調にクラスを上げているが、棋戦優勝がまだないのは不思議
 康光は後手番だけでなく、先手番のときにも独自の工夫を見せているめずらしい棋士」

豊島は角歩、康光は角金を手持ちにして、互いに一段飛車に引いて、スキをなくしている
どこから戦いが起こるのやら、こう着状態ぎみになった

豊島が▲8九飛と地下鉄飛車で転回を見せたところ、康光は△9四角という端角を放つすごい一手!
この角打ちは康光意外は誰も思いつかないだろう 
タニー「△9四角というのは、良くしようということですかねえ うーん」
この奇抜な手をどう解釈したらいいものかタニーも困っていたが、
この角が危なそうでなかなか取られない展開になった 

タニー「形勢はわかりませんけど、(細い攻めをつなぐのが得意な)康光の得意な展開」
康光の攻めが続く 先手の玉頭を直接攻めていて、相当厳しい これは康光が押しているようだ 
豊島は玉の逃げ出しができず、受けの桂を打たされ、苦しそう
タニー「桂を打つのでは豊島はつらい これは康光が剛腕で、攻めをつなげましたね」
こうタニーも断言、康光の攻めがつながり、後はどう寄せきるかというところだった

しかし、ここから康光の手が乱れたではないか??? そうとしか思えない
本譜、康光は△5五歩~△5一飛だったが、△5五歩は▲同銀で豊島の銀を呼び込んでしまい、
△5一飛に至っては、玉飛接近の悪形になり、飛車が狙われるだけの駒になってしまったではないか
どう考えても流れがおかしい
矢内「こうなってしまっては、豊島がやれそう さきほどの局面で何かなかったですかね
 先手ばかり指した感じがします」

逆転に成功した豊島、今度は逆に豊島がどう勝つかだったが、さすがにうまかった
歩の叩き、角2枚を巧打、銀も攻めに参加させ、緩みがない 
そして、後手玉を追いつめてから、自玉を早逃げ! これが勝ち方のお手本のような筋だった
タニー「決めるだけ決めて、後手玉を受けのない形にしてから、玉をサッと引くということですね」

最後は「端玉には端歩」の格言で、受けなしに追い込んで勝ちを決めた 103手で豊島の勝ち   

矢内「康光らしい攻めが決まったかなと思ったんですけど」
タニー「(康光が調子が良く見えたが)小駒だけで、適当な攻めがなかったというのが
 康光の誤算だったかもしれません」

これは康光としては残念な負け方だろう 康光が△5五歩としたところ、
後手から他に何か有効な攻めがなかったのか きっと何か攻めがあったはずだ
感想戦がなかったので、わからないままだった そこで、激指定跡道場3の検討モードで、調べてみた
(下図は▲7八玉までの局面 後手番)

後手の持駒:金二 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
| ・ ・v玉 ・ ・v金 ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v銀v桂v歩v歩|三
| ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四
|v歩v桂 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・v歩v歩 銀 歩 銀 ・ ・|六
| 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ ・ 玉 ・ ・ 金 ・ ・|八
| 香 飛 ・ 桂 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角二 歩四 

激指の検討モード六段+++の結論は、最善手は△7七金 形勢は-154でほぼ全く互角だった
なんと、形勢互角で難しかったのか・・・ 
本譜の△5五歩も候補手の4番目に出てきていて、それでも互角ということだった
私見では後手の攻めが続いて、康光快勝になるというイメージで見ていたのだが、ハズレたなあ
とすると、△5五歩▲同銀の後の△5一飛が真の敗着なんだろう 
実際、激指に△5一飛と入力した瞬間、一気に約+700で先手有利になった やはりそうか

△9四角は康光しか思いつかないであろう攻め方で面白かったが、
終盤、康光が失速して残念だった △5一飛が決定的な敗着で、もったいなかった
私の大好きな棋士どうしの対戦で、期待が大きかっただけに・・・ 
もっと終盤のねじり合いが続いて欲しかった  勝った豊島には大活躍を期待したいところだ
第21期銀河戦 決勝戦 
稲葉陽六段vs橋本崇載八段
解説 谷川浩司九段
聞き手 上田初美女流
対局日 8月16日

今期の銀河戦もいよいよ決勝だ 稲葉とハッシー、どちらが勝っても棋戦初優勝となる大一番だ
稲葉はBブロックで金井、窪田、飯島、畠山鎮に勝ち、決勝トーナメントで屋敷、糸谷、行方に勝ってきた
今期ここまで6勝4敗 
ハッシーはGブロックで大平、渡辺に勝ち、決勝トーナメントで、高崎、木村、郷田に勝ってきた
今期ここまで8勝4敗

解説のタニー「稲葉は居飛車党で攻めが鋭い、早指しが得意
 ハッシーは居、振り、両方指す 最近は振りが多い 無理攻めはしない本筋の将棋」

準決勝終了後のインタビュー
稲葉「相手が強いので、自分の将棋をしっかり指したい」
ハッシー「稲葉は勢いがある ただ、後輩に踏みつけられて負けるのも悔しいので(笑)
 初めての対戦なので楽しみにしてます 自分の力を出し切りたい」

先手稲葉で、いよいよ対局開始 ハッシーは4手目に角交換、向かい飛車にした
雑談で、タニー「ハッシーは後手のときは角交換振り飛車を多用している 
 2月の私とのA級順位戦でも、この4手目角交換をやってきた
 ハッシーも30歳だから、そろそろ勲章が欲しいだろう」
上田「あの早指しの強い糸谷さんが、『稲葉は僕より早指しが得意なんですよ』とおっしゃってました」

お互いに銀冠に組んで、しっかりした駒組みだ さあ、どういう将棋になるか 
私はハッシーを応援しているがどうか 振り飛車にしたのが吉とでるか凶と出るか

タニーが「この駒組みでは地味な戦いになることが多い」と言ったその瞬間、
稲葉が元気よく攻めていった ▲6六角と打ち、積極的に打開だ 
しかしタニーはこの角打ちに否定的な見解、
タニー「▲6六角はどうだったか この角は死ぬので、パッと見、稲葉が困ってそう」
ここから稲葉は強気で攻め合いで勝負に行った
タニー「ハッシーとしては、何かうまくやれば有利になれそう」

だけど、ハッシーにも案外うまい手が見つからないようだ
タニー「良くなりそうだけど、意外に難しいというのは、あせる」
ここから細かい折衝が数手続いた ハッシーは取られる桂を歩頭にタダ跳ねしたのだが、
稲葉はそれを取らない、という虚虚実実のプロならではの高度な攻防だ

さらに、稲葉は自玉側の相手の歩をわざと伸ばさせ、それを狙うという構想を見せた
通常では考えられないこの発想、タニーもすぐには理解できないでいた
そして局面が進んで見ると、タニー「今度は稲葉のほうを持ってみたい感じになりました
 どこがどうだったかわからないんですけど」 

駒割りは、稲葉が銀銀桂を、ハッシーは角角を駒台に持つことになった
勝負は盤面左の玉頭戦に持ち込まれた ハッシーを応援している私としては、
かなり嫌な予感がする展開だ 玉頭戦では、角は使いにくいので、これはハッシーやばいのでは・・・

稲葉のちょとした手順前後をとがめるべく、ハッシーも勝負をかけるが、あまり効かなかった
稲葉が駒得、そして玉頭方面でも手厚く、制圧している ハッシーは主張点がない
うわ、これは大差なのでは 考慮時間の残りも、稲葉▲6回vsハッシー△1回になってしまった
タニー「稲葉がはっきり有利になった」

だ、だめだー もう素人目にも、後は押せ押せで上から単純に攻めていけば自動的に稲葉勝ちという
局面ではないか ハッシーのほうは、飛車と金がモロに遊び駒で全く働いていない 
上田「わかりやすい局面ですね」
タニー「稲葉としては、とにかく上から押さえていけばいいですからね
 ハッシーの表情は、現局面を考えてるというよりも、どこが悪かったのかという顔ですね」

稲葉は守りに回らず、強気で決めにきた タニー「稲葉は全く震えてませんね」
決勝戦ということで、ハッシー、すぐには投了せず、捨て駒を連発し、王手を連続して手数を
伸ばしてみたものの、稲葉に見切られ、届かなかった ハッシー、無念の投了!
101手で稲葉の勝ち、優勝が決まった  ああー、ハッシー・・・orz

タニー「最初はハッシーが良かったと思うが、稲葉が勝負手を連続して放って逆転し、
 それからは稲葉は全く震えなかった」

感想戦では、稲葉は▲6六角を打った後の分かれについて、「悪くはなっていないと思った」
ハッシーは稲葉の中盤の構想に脱帽していた 
ハッシー「(一見、攻めの拠点になると思えるのに)こちらの歩をわざと伸ばさせて、
 それを逆に狙うという発想に参った 玉頭戦に持ち込まれ、角が使えないので、それで困ってしまった」
この一局は稲葉が完全にハッシーの上を行った 一局を通して、ハッシーに勝ちはなかったね

優勝者インタビューで、稲葉「僕は小学生の頃から早指しで、プロになったら銀河戦で
 優勝するだろうなと思っていたが、実際はずっと勝てなかった
 今はプロ6年目で、持ち時間の長い将棋のほうが得意になってきたかなと思ってきたところで
 優勝したのも不思議だと思った 今期は勢いよく指すことを心がけた
 それでいい結果が出たので、来期からも続けていきたい
 これで満足せずに、2回3回と優勝したい ありがとうございました」 

ああー、ハッシー、負けたか・・・ まあ完敗だったので仕方ない内容だった
本局は大技はなかったが、稲葉の中盤での構想が見事、それに尽きた

あの糸谷をして、「僕より稲葉のほうが早指しが得意」と言わせるのだから、
優勝も意外な結果ではないね 稲葉はこれで七段に昇段ということだ

第21期銀河戦はこれで幕を閉じた タイトルホルダーが次々に破れ、なかなか面白い年だった
来期も注目局があれば、簡単にこのブログで振り返りたいと思っている
準決勝第1局、▲行方vs△稲葉は、横歩取り△8四飛になり、112手で稲葉の勝ち
稲葉は筋違い角を打って、桂頭を攻め、飛車を捕獲して、敵陣に下ろして・・・といった、
ありがちな攻めが成功し、最後は大差がついた
この一局、盛り上がらなかった 最近の行方らしからぬ、粘りを欠いた残念な内容だった

準決勝第2局、▲ハッシーvs△郷田 ハッシーの中飛車、郷田の居飛車の力戦
ハッシーが金銀分裂気味の序盤にしてしまい、郷田にうまくさばかれて主導権を握られ、苦しい展開
もう本当にずーーーっと苦しくて、こりゃ、ハッシー負けたな、と思っていた
だがハッシー、終盤で執念の受けで粘る粘る、郷田は決め方の選択支が多く、どう勝つかというところ
郷田が追いつめ、ハッシーはとうとう受けがなくなり、もうダメだ、と思われたところで、
王手ラッシュをかけて郷田の攻め駒を無理やりはずす、という手を披露
解説の丸山が「よく秒読みでこんな順でこんな手が見えますね」と感心しきり
それでもまだ郷田が残していたはずなのだが、入玉せずに強気で指した郷田の手がアダとなり、
最後に詰将棋のようなうまい順があり、見落とした郷田がトン死! 159手でハッシーの逆転勝ち!
局後のインタビューで、ハッシー「もうずっと負けと思っていた これを勝てたのは運が良過ぎます(笑)」
いや~、これは大熱戦、面白かった 30秒将棋での延々続いた応酬は見ごたえ充分だった!
流れ的に郷田勝ちの将棋だった まさかこれが逆転するとは・・・  
私は対局中、なんでハッシー、先手なのに振り飛車にしたんだー、とずっと思いながら観ていたから(^^;

私が予想した優勝候補の、郷田、豊島、糸谷、行方は全滅した(笑)
決勝は稲葉とハッシー、どちらが勝つか? ここまで来たら、私はハッシーに優勝して欲しい  
鈴木大介 八段vs髙﨑一生 六段 NHK杯 2回戦
解説 先崎学 八段

今日は講座で講師をやっている鈴木大介の登場か 去年はベスト4の活躍だったけど、今年はどうか
高崎ってのはほとんど知らない 解説には先ちゃんか またちょっと太ったような(^^; 

大介は1994年四段、竜王戦2組、B1 1回戦シード NHK杯は17回目の本戦
高崎は2005年四段、竜王戦3組、C1 1回戦で飯塚に勝ち NHK杯は3回目の本戦

解説の先崎「大介は曲線的な将棋 盤面全体をトータルで考える 独特の棋風
 高崎は攻めっけが強く、粘り強い 純粋な振り飛車党 今年に入って好調
 両者ともに終盤がねちっこいので、コクのある戦いが見れるでしょう」

事前のインタビュー
大介「高崎は振り飛車党で、攻め将棋なので相振りになると思います
 先手番なら揺さぶりをかけて、後手番ならついていく方針で行こうと思います
 相振りは乱戦になりやすいので、なるべく序盤に大きなミスをしなうようにがんばりたい」

高崎「大介は言わずと知れた振り飛車の強豪、私が修行時代から目標にしてきた人
 戦型は相振りになると思う 自分らしい勢いのある将棋を指したい」

先手大介で、初手▲9六歩という趣向 5手目くらいで、即、画面が移動して大盤で解説が始まった
これは非常にいい、大賛成だ 毎回、これくらい早く大盤で解説を始めて欲しい

10時から始まる講座だが、私は観てない(^^; (特集だけ観る)
私の父は大介の講座を、毎回欠かさず観ている 父は実戦は全く指さないけどね
先崎「講座は大好評だ、と大介本人が言ってました(笑)」

戦型はオーソドックスな相振りに、▲向かい飛車+金無双vs△三間+美濃になった

高崎から角交換し、先崎「大介としては全く不満ない駒組み」
▲4六角と打ち、後手玉のコビン攻めを狙う大介 高崎はしかたなく△7三角と合わせたが、
先崎「▲5七角とかわして引いておいて、次の8筋の合わせの歩の攻めが厳しいんではないか」
しかし、大介は▲7三同角成と交換してしまった! な、なぜだ 
先崎の言うようしていれば、教科書に載っているような、手筋の攻めが決まったところではないのか?

高崎は金銀を盛り上げて、形は乱れたがどうにか大介の攻めを防ぎにかかる
大介、再び急所の▲4六角をビシッ!と打った 
先崎「この場でカタをつけてやる、という手です 業界用語で言う、『許さん』という手です
 これは高崎、受けるの大変ですね これは大介の快勝かな とりあえず高崎はマイッタですね」

美濃囲いの玉の対する、角でのコビン攻めがモロに炸裂、大介はほぼ無条件の金桂交換の駒得だ
これはもう、大介の楽勝と思われた というか、プロの将棋でこんな差がついていいのか?

先崎「しかしまあ、将棋に判定はないですからね 
 大介がものすごくうまくやっているんですけど、高崎がよく粘っている」 
あ、あれ・・・ 大介、なんか攻めあぐねてる? なぜだ? 
高崎に角2枚並べて打たれて、混戦になってきてるではないか 
大介、王手も食らって一気にピンチに・・・
矢内「ついに大介陣に火がつきましたね」
先崎「高崎が勝ったかもしれませんね」

大介、歩があと一歩あれば間に合うところを、金を投入するという苦しい手を指すハメに
先崎「めったにお目にかかれない、一万局に一局の手筋」
ええー 大介としては、こんな将棋ではなかったはず・・・ 

そして、わけのわからない混戦が続くことになった 
一手一手、とても手が広いせいもあり、両者、最善を指しているとは思えない 
30秒ではもう仕方ないだろう そんな中、高崎が受けの強い手を見せた 
自玉のそばにズドンと馬を作らせるが、受けきる自信があるという考えにくい手順だ  
先崎「ほお~ これはやってくれますね~ 綱渡り、サーカスですね 妙技です すばらしい」

大介、攻め駒がどうしても足りず切れ模様で苦しい、しかし玉を早逃げし、相手のミス待ちでがんばる
先崎「高崎としては、とてもじゃないけど、怖くて決めにはいけないですね、人間ですから」
だが、高崎、危険を覚悟で、決めに行った~ ここは見ごたえがあった

高崎の見切りは的確で、自玉に寄りはなかった 大介玉を詰ますことに成功した
212手、高崎の勝ち 
矢内「大変な勝負でしたね」
先崎「毎年、投票で名局賞を選出しますが、それに選ばれてもおかしくない名局でした、大熱戦でした」

んー、この一局、私としては、荒れた一局だと思えてならなかった
収録時間オーバーで編集されて、指し手の間隔が短くなっていたのも、
荒れた一局と思えてしまったことに影響していた
まあ、私が相振りに関してはめっぽう手が見えなく弱く、相振りならレーティングで500点くらい
落ちるということもあると思う 

もっと好手の連発っていうのでないと、名局とは呼べないんじゃないだろうか
ただ手数が長かっただけではね 対局中の大介の表情を見ても、「失敗したなー」とずっと思いながら
指していた、そんな顔だったと感じた 講師をやっている大介としては、残念な内容だったと思う

そして思ったのは、この一局のような、相振りでの手の広い将棋になったとき、
コンピュータはめっちゃくちゃ強いんではないか、ということだ 
相振りで乱戦になったときのコンピュータ、どれほど強いんだろうか それを思った一局だった 

来週は康光vs豊島、楽しみなカードだ 横歩取り△8五飛の研究将棋だけは勘弁して欲しい(^^;
ベスト8最後の対戦、▲郷田vs△豊島の一局
横歩取りの研究将棋となり、103手で郷田の完勝だった

この将棋、50手くらいまであっという間に進む 前例のある手順だそうだ
その後、郷田が小駒で盤上を押さえ込むことに成功し、大差がついた

解説していた広瀬「郷田の完勝 豊島としては不出来だった」
楽しみにしていた一局だったのだが、実に残念な内容orz  

これでベスト4が出揃った 郷田vsハッシー、稲葉vs行方  過去に2回優勝している郷田が本命か? 
金井恒太 五段vs久保利明 九段 NHK杯 2回戦
解説 藤井猛 九段

おお、今日は久保の登場か そして解説に人気者の藤井、楽しみだ

金井は2007年四段、竜王戦6組で優勝し5組へ昇級、C1 1回戦で井上に勝ち 3回目の本戦
久保は1993年四段、竜王戦1組、A級 1回戦シード NHK杯は18回目の本戦

解説の藤井「金井は居飛車一本の本格派、けっこう攻め将棋 堅実に見えて、爆発力のある連勝タイプ
 久保は振り飛車一筋のさばきの名手、裏の特徴として粘りもある」

事前のインタビュー
金井「久保は華やかな将棋、持ち味である芸術的なさばきは、プロアマ問わずあこがれる
 今日は私がもしがんばることができれば激戦の終盤になるものと思っています
 厳しい将棋になると思いますが、私に期待してくれる方々もいるので、それに応えたいと思っています」

久保「金井とは初対戦だが、序、中盤からしっかりした将棋を指すという印象
 私の振り飛車を観ていただきたい、序盤から面白い将棋が指していければいいと思います」

先手金井で、居飛車 対して久保は角道を開けたまま四間に振った そして3五の位を取った
藤井「久保の作戦は、升田式石田流の親戚筋で『4・3戦法』と呼ばれる」

金井は玉頭位取りへ、レトロムードが漂う、じっくりした序盤となった
藤井「もう普通の▲玉頭位取りvs△四間飛車と全く同じになりましたね
 中原vs大山の昭和の将棋が基礎となっております」

ここで藤井から面白い情報が入った
藤井「昔の若手vsトップの香落ちの将棋で、金井は久保に香落ちで負けている
 金井は絶対覚えているが、久保はもう忘れているかも(笑)」
金井は、そのときのリベンジの絶好の機会だなー

さらに情報、藤井「久保はこの将棋、NHKのテキストに自戦記を書くことになっている
 勝って、この手はどうだ、と自慢したいところだろう」
そうか、NHKのテキストに自戦記か あのテキストは全国販売だが、どれほど売れているのかなあ
私はテキストは全然買っていないが・・・ だって、発売されるのが遅いんだもん・・・(^^;

藤井の振り飛車のレクチャーがいくつか続く
 「あまり指されていなかったやり方というのを本格的に取り組んでみるのは大事です」
 「(居飛車側が)上ずりますね 現時点で不安定です こういう駒組みを見るとピクピクッとくる」
駒組みが一段落し、
 「振り飛車側としては設定としては不満無し、この勝負の勝敗はわからないが、
  ここからなら、もう一局やってもいいですよと思う」
そして、藤井のとっておきの手が出た 居飛車側の玉頭位取り作戦に対しての手だ
 「ここで私が指すなら、(8二の玉を)△7一玉です 玉は8二よりも7一のほうがいいんですよ」
いったん8二に入った玉を、また7一に戻す! さすが藤井、考えることが違うわー 
これ、24の早指しではいいかもしれないなあ 相手の意表を突くこと、間違いなしだろう

さて、金井が左銀を8五に出て「銀冠にしてこい」と挑発、久保がその挑発に乗った
そのとたん、金井は歩を次々に突き捨てて猛攻開始 
藤井の解説どおり、角をぶった切り、久保陣を薄くして攻め立てる
久保の陣形がバラバラになった瞬間の攻め、これは金井がうまいこといってるのでは?
藤井「私の解説が当たってくるようでは、久保も危ないですよ
 金井としては自分の力が出せると思って指しているでしょう 手がわかりやすいです
 久保は、これなら戦えるという形を探しださなきゃいけない 最悪のケースがいっぱい見える」
おいおい、久保、大丈夫か 大ピンチ、大差がつくのか

ここで、藤井先生から、振り飛車に対しての、今回最も重要な発言が聞けた 
全ての振り飛車党は必聴の金言だった
藤井「(振り飛車苦しいが)しかし振り飛車の真髄は粘り、きれいにさばけて勝った、
 なんていうのは年に数回しかないんです 粘って決め手を与えなければそれでいいんです

思わず、背筋が伸びるお言葉だった 藤井先生に敬礼!

さて、盤面、どう見ても金井が主導権を持って指している 何をやるか、いっぱい選べるなあ
藤井「金井としてはやりたい手がありすぎて困る(笑) 30分くらいは考えたいけど」
金井の残り考慮時間ももうわずか、秒を読まれ、決断して攻め立てる 
金星を掴むチャンス、金井、プレッシャーとの戦いだ 果たして選んだ手が最善か・・・?

久保も玉頭から逆襲、藤井も「金井としても怖い」と発言 
30秒将棋になった金井、秒を9まで読まれて角切った~!
藤井「角は一番渡したくない駒、金井は決められるか」
おおー 久保玉は寄ってるのか ハラハラの終盤だ、面白い!

藤井の解説では、金井が勝ってるはずということだが、はっきりした順はまだ見つからない
久保は中盤から、仕方ないという手の連続を強いられているが、決め手を与えてない
かなり苦しそうだったのに、ここまで持ってくる、さすがだ!

双方、詰めろの前段階まで追いつめられている 難しい終盤だ 
金井、桂を補充、ここでついに手を渡したか
藤井「金井の攻めは、肉を斬らせて骨を断つ、というやつですね
 不安な攻め方ですけどね」

久保も守ったが、藤井「これではあまり受けたことになっていない 金井の勝ちになった」
と言った直後だった、久保の方に香を金井の玉頭に直接貼り付けて打つ、という手があった!
藤井「そっか 素朴な手がありましたね まだまだ難しいですか」
ええ? 久保玉に詰み無しとすれば、もう金井玉に受けは無い これは久保の逆転勝ちなのか?

詰むや、詰まざるやだ なにか、うまいことやったら詰みがありそう 金井、真骨頂を見せるか!?
そして、金井が見せた、桂成り捨てで竜を一段目に利かせたままにし、
頭金を保留して、もう一枚の竜を引いて使う、実にうまい一連の着想! 
おお~、2枚の竜できれいに詰んだ~!

藤井「ピッタリな詰みがありましたね」 117手、金井の勝ち やったぁ~、金星だ!

藤井「金井の積極的策が実って、見事、久保陣を攻略しましたね」
矢内「終盤、激戦でしたね」
藤井「そうですね、寄せは見事でした」

いや~、本局は私の満足度、非常に高し! NHK杯、ひさびさの一手違い、詰むや詰まざるや、
やはりこれぞ将棋の醍醐味! そして私は居飛車党なんで、居飛車が勝ってうれしかった(^^;
それと、このアマになじみある戦型、金井の指し方が私の棋風とシンクロしたということがあった 
金井、終盤、秒に追いつめられたのに▲8七金と冷静に受けたところなんか、カッコ良かったよ~ 

人間同士の秒読みでの終盤のこのスリル感は、NHK杯の本領発揮だ
そして一般のファン受けするのは、やはり一般のファンが指す戦法、久保の存在は貴重だと再確認だ
藤井先生の金言も聞けたし、あー、今週は面白かった 
感想戦がなかったのが残念だったが、好局に満足、満足だ(^^)
ベスト8の第2試合 ▲木村vs△ハッシー
▲木村の居飛車vs△ハッシーの角交換向かい飛車
木村が金得して有利になったかと思われた瞬間、ハッシーの猛攻が決まり、88手でハッシーの勝ち
ハッシーは居飛車党と思うのだが、力戦振り飛車も実にうまく指すと思わせた一局

ベスト8の第3試合 ▲行方vs△松尾
横歩取りの最新形 松尾が手を作りにいくも、行方が終始落ち着いて対応、きっちり一手勝ちを決めた
95手で行方の勝ち 解説の高橋「行方には余裕が感じられた」
今の行方の充実ぶりを示した一局となった

これで、稲葉、ハッシー、行方が準決勝進出 ベスト8の残る一局は郷田vs豊島だ
佐藤天彦 七段vs村山慈明 六段 NHK杯 2回戦
解説 木村一基 八段

矢内さん、ご結婚おめでとうございます 今年4月の岡崎将棋祭りのとき、
谷川会長が「毎日忙しい」という話をしたとき、矢内さんが「一日24時間で足りますか?」という
質問をしていたのが印象的でした 矢内さんも女流棋士会長になって、忙しいんだろうなーと
思っていました そんなだから、もう結婚は当分先かと私は思っていました
だから今回の報道は意外でした 良かったですね(^^)

さて、今日は天彦vs村山、若手強豪どうしの一戦だ 激しいやりとりを観れるといいな

天彦は2006年に四段、竜王戦1組、B2 1回戦で山崎に勝ち 5回目の本戦
村山は2003年に四段、竜王戦4組、B2 1回戦で阿部光瑠に勝ち 5回目の本戦

解説の木村「関東指折りの有望株どうしの戦い 
 天彦は終盤の切れ味が抜群、詰む詰まないというときの勝負手の出し方がうまい
 村山は『序盤は村山に訊け』と言われている、将棋界1と言ってもいい研究家、安定した棋風」

事前のインタビュー
天彦「村山は序盤の研究家で、深いところまで研究が行き届いている ですので、研究将棋になるのか、
 どちらかが力戦志向をするのか、やってみないとわからない 村山は普段お世話になっている友人、
 今日は大きな勝負なので、必ず勝って帰りたい」

村山「天彦は中盤終盤、独特の力を発揮されて、センスのいい将棋
 先後に関わらず横歩取りになると思う 華々しい面白い将棋がお見せできればと思います
 3回戦進出が目標なので、良い結果が出せるようにがんばりたい」

2人の対戦成績は天彦3勝、村山1勝

先手天彦で、やはり横歩取りになった よくある△3三角型から、天彦が定型をはずし、
飛車を▲2六飛~▲2八飛~▲5八飛と手数をかけて中飛車に持ってきた
木村「全くの力将棋、腕力の強いほうが勝つ将棋になりました」

天彦、伸びた5五の歩をかすめ取られそうだったが、うまく対応、さすがだ
村山が△2六歩と垂らした手に、天彦は▲2八歩と辛抱 2筋はあやまって、5筋で勝負か!

村山玉の玉頭に歩が垂れている ここで木村がうまい表現で解説した
木村「この垂れた歩は怖いですね 頭の上にくだものナイフが糸でぶらさがっている状態」
村山は歩を合わせて、消す手を選んだ なるほどな~ そうやるのか 

天彦が居玉のまま右桂を2段跳ね、攻めかかった  
木村「あー 行きましたね 止まりませんね」
天彦のほう、自陣で動かす駒も難しかったもんな この速攻が決まるかどうか、勝負どころだ 

天彦の狙いは▲2二角だが、木村が「村山のほうから△2二角と自陣角を打ったら、
 天彦はどうするのか困るんじゃないか」と発言
村山はそのとおり、△2二角 実に手堅い・・・ これは桂損になりそう、天彦困ったか 

そして村山は△8八歩と一本、壁金にする手筋を放った これが後に効いた
木村が「村山としては金を引いて、先手の桂を取りに行きたいが、うまくいくか」と言っていたが、
村山はなんとその金を△5五金と力強く出てきた!! うお~!! 
木村「これは好手だと思いますね」
これが事実上の勝因と言ってもいい手だった 結果、桂がタダで取れてしまった
代償はほぼなしに等しい 天彦の陣形も玉飛接近で薄い

木村「後手の村山ペースと思います」
天彦も壁金を直したり、玉の早逃げをしたりして、なんとか村山の悪手待ちで勝負に持ち込もうとするが、
この日の村山は落ち着いていた △5三歩という、自陣に歩を埋めて「絶対負けません」という、
超手堅い手を放つ! か、かたいーー こんな手を指されたら、常人なら戦意を失わされそうだ

村山は自陣の桂を2段跳ねでいよいよトドメを指しに来た
木村「この2段跳ねは気持ちいいですね でもいっぽ間違えたら逆転します」
たしかに気は抜けないのだが、村山からは間違える気配がほとんど感じられない

天彦は馬で村山の飛車を追い、千日手狙いという「最後のお願い」に出た
村山はここでも容赦せず、何回か同手順を繰り返して、しっかり考える時間を稼いでから決めに来る、
という激辛ぶりを発揮(^^; キッチリ詰め上げ、120手で村山の勝ちとなった

木村「緊張感の漂ってくる、きびきびしたいい内容でした」
矢内「村山が△8八歩から△5五金でペースを握った感じでしたね」

この日の村山、完璧だったのではないだろうか 
有利になるまでは受けに方針を徹したのが良かったのだろう
右銀を受けに使い、△2二角の自陣角、△8八歩の利かし、会心の発想△5五金、鉄壁の△5三歩・・・
村山にばかりいい手が目立った 森内ばりの鉄板流の村山の見事な指し回しだった

天彦は完敗、もう序盤の中飛車にした作戦にまで敗因がさかのぼりそうだ
やっぱり作戦的に、飛車に手数がかかりすぎているんだろうなあ 
投了図、馬を作っただけで後手玉には全く迫れずだった 残念だろう

投了図だけ見れば大差だが、一手一手は緊張感が伝わってきた一局だった
村山の受けの力が存分に発揮された内容だった 競った終盤も観たかったが、まあ仕方ないか(^^;

木村の解説だが、事前に指摘した手がズバズバ当たり、
木村自身も「今日はよく当たります(笑)」と言っていた お見事だった
ただ、終盤の難しいところになると、やや頼りなくなる、というところはあったが(笑)
銀河戦、ベスト8の最初の一戦は、▲稲葉vs△糸谷

▲稲葉の居飛車vs△糸谷の角交換向かい飛車
盤面右の戦いからじわじわとした戦いになり、駒得と9筋の端を詰めた稲葉が優勢から勝ちきった
173手で稲葉の勝ち 解説の三浦は、稲葉の指し手に「からい」を連発していた

この一局、どう考えても糸谷の作戦の選択が、負けに直結したとしか思えなかった
なぜ、得意の一手損角換わりを採用しなかったのか
なぜ、めったにやらない向かい飛車を採用してしまったのか ああああー 糸谷、悔やまれる・・・
この一局では糸谷のいいところが発揮されなかった印象で、残念だった  
糸谷は今期銀河戦では8勝しながらベスト8で敗退となった
連盟のHPの情報によると、矢内女流が来月に入籍の予定とのこと
相手は一般人のため名前は公表を控えるとのこと

矢内さん、ご結婚おめでとうございます!!
第21期銀河戦、いよいよベスト8が出揃った

先週土曜に放送された、決勝トーナメント1回戦の最終戦、▲長岡vs△豊島は106手で豊島の勝ち
ノーマル角換わりで、▲長岡の腰掛け銀vs△豊島の早繰り銀の力戦
終盤まで形勢がわからない、かなりの熱戦になったこの一局、
豊島の才能を見せつける圧巻の寄せ手順が決まり、豊島の会心の一局となった 
解説の佐藤康光も、「(この寄せは)見えない手ですね~」と感心していた
私は豊島の才能をものすごく高く買っているのだが、その期待を裏切らない内容だった
カネの取れる将棋、それが豊島将棋! 小学校3年で関西会館の六段は伊達じゃない!
長岡も秒読みの中、良く指していた これといった悪手があったわけではなかった

これでベスト8の組み合わせは、郷田vs豊島、ハッシーvs木村、稲葉vs糸谷、松尾vs行方
という顔合わせになった

郷田vs豊島は事実上の決勝と言っても過言ではないと思われる
郷田は前局の深浦戦で、ものすごい剛腕を発揮して勝利していた
猛烈な攻め合いで、解説の山崎が「この2人の将棋は若手より若いですね(笑)」と言っていた
そして感想戦で郷田が示した手順が、私が今まで見たこともない手筋だった
飛車の移動合いで角の利きの王手を未然に防ぐ、という絶妙手を読んでいたのだ
(それも自分の手ではない、深浦側の手) これには呆然とした
郷田、さすが今、竜王戦で挑戦者決定戦まで行っているだけある!

佳境を迎えた銀河戦、すでにタイトルホルダーが敗退したため、
逆に優勝争いが面白くなっていると感じている  
飯島栄治 七段vs丸山忠久 九段 NHK杯 2回戦
解説 渡辺明 三冠

昨日は、番組録画中に「TVのコンセントが抜けている」という事件が発生してしまい、
録画を失敗してしまった 幸い、ネットの「NHKオンデマンド」で有料(210円)で観ることができた

さあ、楽しみなNHK杯の時間だ 昨日は早く観たくてしょうがなかった
おお、解説に渡辺がキター 的確な解説が期待できるぞ

飯島は2000年四段、竜王戦1組、B2 1回戦で高見に勝ち 4回目の本戦
丸山は1990年四段、竜王戦1組、B1 1回戦シード 23回目の本戦

渡辺「飯島は居飛車党で、ほとんど振らない 腰の重い、堅実な将棋を指すタイプ
 丸山はキャリアがあり、居飛車党で振らない 先手でも後手でも角換わりを指す」

事前のインタビュー
飯島「丸山は超一流の方、弱点の少ない強敵 ただ、公式戦と研究会で数多く対戦があるので、
 手の内は分かっている 私が先手なら丸山の一手損角換わりだろう
 私の将棋は金銀で少しずつ手厚く押していくので、暑い夏にご覧になっているみなさんには
 申し訳ないところもあるが、手厚さが出ればいいところまでいけると思うので、
 一局を集中してがんばりたい」

丸山「飯島は普段は温厚な好青年、将棋は人が変わったようにハードパンチャーなので、
 勢いに押されないようにしたいと思います
 自分のペースを早くつかんでいい流れにしたい」

先手飯島で対局開始 予想どおり、丸山の一手損角換わりだ
丸山の腰掛け銀に対し、飯島は5筋の歩を突いて右銀を出て行く 両者ノータイム指しだ
「角交換に5筋の歩を突くな」という格言があるが、この形はどっかで見たような?
渡辺「早い進行ですが、定跡形なんですよ 丸山はよく指している 私との竜王戦でも指した」
そうか、渡辺vs丸山は全局角換わりシリーズだった、その中であった形か

さて、そろそろ駒組みが飽和状態、というところ
突然丸山に強手が出た、歩頭に銀を打ちこむ△8六銀! うおお これは面白い!
渡辺「すごい手が、でも部分的にはある手」
さてさて、飯島はどう対応するか 早くも見ものだ

渡辺「これ、イヤですね 早指しでこういう手を指されると」
飯島の手が止まっている もう考慮時間を5回も使ったではないか 想定外ということがバレバレだ
そして、結局飯島の取った対応は、8筋を全部精算する妥協策だった 
うわ、これは早くも「もう8筋は損します、ゴメンなさい」という手だ 
渡辺「これは丸山の言い分を通した手 部分的にはすごく損した」

両者の対戦成績は1-1のイーブンということだ 
丸山の△8六銀が早々の開戦で、対戦成績を表示する暇がここまでなかったな(^^;

早くも技ありを取られた感のある飯島、1筋から端攻めで勝負に行ったか!
渡辺「でも、攻め合うには先手は条件は良くない 飛車を捨てる攻めなどはできない」

丸山は1筋を放置、9筋から自分からも端攻めで、攻め合いに出た 丸山、強気だ
さらに△8八歩と打って、先手玉を危険地帯におびき寄せようとする手、なんかうまいな~

飯島はかなりそっぽに銀を打って後手の飛車に無理やりアタックをかけにいって、
なんとか勝負に持ち込もうとしているが、どうにも本筋とは思えない もうそれだけ苦しいということか
渡辺「勝負手ですね でもこの銀がカラぶっちゃうと、すぐダメになります」

さて、丸山に何か決め手があるか?
渡辺「何か攻めをつなぐ手があると思うんですけどね」
丸山は歩の合わせ、玉頭に歩の叩き、銀をからめ、角を両取りに打ち、連続技をつないでいく
飯島はもうなされるがままだが、がんばれ、ここをガマンすれば、まだチャンスが来るかもしれんぞ

飯島、このまま負けでは悲しい、何か力を出せ、と思って見ていると、
飛車の成り捨ての特攻、いった~! これはなんだ、神風か!? それとも起死回生?
渡辺「それはどういうことでしょうか」
渡辺、あっさり飛車の成り捨てにダメ出し! 後手玉に寄りなしと結論、うわ~ ダメだ~

渡辺「ちょっと飯島としては、持ち味の出ない将棋になってしまった」
後手玉、全く詰みなしで、飯島「負けました」 
88手、丸山の圧勝!! 飯島が投了した瞬間、思わず私は「お~い!」と声を上げてしまった
飯島、全くいいところなしや~ん! 全然、何もできずボロ負け・・・orz

渡辺「飯島は△8六銀を想定していなくて、ペースを乱されてしまった」
あああー、飯島、研究不足を露呈する内容となってしまった
事前に飯島は「丸山の手の内は分かっている」と言っていたのになあ
すごい大差になってしまった本局、丸山が強いのか、飯島が弱いのか・・・

感想戦が20分弱もあって、充実していた
プロレベルでは8筋の折衝、飯島が「ゴメンなさい」という妥協をしたことで、
すでに挽回しにくい形勢になっていたということだった それと、本譜、飯島の手がすべて空回り、
丸山に完全に上を行かれていたということだ 
感想戦では渡辺が「今はこういう変化の検討をしているんですね」と言って、
フォローをしてくれたのでとても良かった

あああー、今回は録画失敗で、210円払って観たのにな~
飯島、210円、返(以下略)
でも本局、丸山の強さは存分に出ていたね さすが名人経験者だ 格が違うわ

今回は私的に録画失敗という事件があったわけだけど、無事観れて良かった
日曜になると体がうずうず、NHK杯が観れない人生は考えられないよ~
ちなみにさきほど、家のブレーカーが落ちて全電源がいきなり喪失する、という事態も発生したが、
まだこの記事を書き始めたばかりだったので、無事乗り切れた 色々あるものですね(^^;
今回のNHK杯の放送時間帯に、TVのコンセントが抜けている、という事態が発生、
NHK杯の録画が出来ていなかった!
幸い、NHKオンデマンドでPCで視聴可能なので、それを観てから記事をUPします
よって今回は記事のUPが数日遅れます ご容赦ください!