上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ドキュメント電王戦のレビューの後編です

P224~ 電王戦プロモーション映像製作者の佐藤大輔さんのお話 
佐藤「最先端技術の象徴は宇宙開発だし、宇宙空間に放り出される宇宙飛行士=プロ棋士、みたいにすればイメージもダブるかなと。」

電王戦と言えば派手なプロモーションビデオ、もう定着してますよね 私も毎回楽しみです!

佐藤「電王戦って、言ってしまえば『エキシビジョン』ですよ。」

an exhibition game [match] 模範試合,非公式試合 という意味で辞書では出てきます 言わば「公式戦ではない、お好み対局」という意味ですね でも、そこにプロ棋士のプライドがかかっているんですよね

佐藤「それからやっぱり、『おい、みんな頑張れよ』ですね。」

米長会長の最期の言葉となりましたね・・・ 第3回こそはプロ棋士側が勝たなくては!

佐藤「観ている人もほぼ全員が棋士を応援しているわけで、その思いも背負い、将棋連盟全体の尊厳も背負い───ひいては人間の尊厳を背負っている。」

何で将棋って、ここまでなるんでしょうかね 負けるとこんなに悔しいゲーム、他にないですよね(^^;

P233~ 株式会社ドワンゴ会長の川上さんへのインタビュー
───たとえば、チェスの業界だったら、九十年代にすでにコンピュータが勝っちゃっていて、それ以降プロのチェスプレイヤーは賞金がガンッと下がっちゃったりっていう現象が起きたわけですよね。
川上「いまであればまだ人間が勝てるかもしれない。ならば『人間が勝てる可能性があるときに戦うべきじゃないか』と。」

このチェス業界のことを調べたいのですが、ネットのどこに載っているのか、私にはわかりませんでした

川上「『資本主義によって従来の牧歌的世界が破壊される光景』だったり、もしくは『社会の歯車のなかで押しつぶされる個人』、そういうのが十九世紀、二十世紀の文学の凄く大きなテーマだったと思うんですけど。で、僕は二十一世紀のテーマは何かと言ったら、 『機械、アルゴリズムのロジックに追いやられる人間』っていうのがテーマじゃないかなって。」

アルゴリズムは直訳すると算法(さんぽう)、ロジックは直訳すると論理
電王戦で、プロ棋士側をどうしても応援してしまうのは、「機械、アルゴリズムのロジックに、人間の魂が追いやられたと認めたくない」 これがプロ棋士vsコンピュータの背景にあるのでしょうね

川上「(生きていくうえで、色んなことを機械にまかせたほうが)楽なんだけど、それに対する反発だとかストレスっていうのがじつは溜まっていて。そこで『理屈じゃねえんだよ!』ってどっかで誰かに言ってもらいたいっていうのが、今の気分じゃないかと思っているんですよね。」

三浦八段がGPSの679台に勝っていれば、応援していたみんなが、「理屈じゃねえんだよ!」と叫ぶことができただろう ああ、それができていれば、どんなに痛快な気分だっただろうか・・・


P246~ 三浦八段へのインタビュー
───コンピュータを六百台以上つなげるのは、ずるいという発想はなかったですか。
三浦「GPS将棋は2012年のコンピュータ選手権で約八百台をつなげて優勝しています。それが認められている以上、われわれ棋士には『ずるい』という感覚はありません。将棋の伝統に、棋士は言い訳をしてはいけないというのがあります。」

言い訳をしない三浦、カッコイイです 勝っていればもっとカッコ良かったのだけど・・・orz

三浦「私の印象なので間違っているかもしれませんが、一台のコンピュータに入れたGPSは、『読み』の深さはそれほどでもなかったです。『形勢判断』に重きを置いているような気がしていました。正しい形勢判断をするGPSが六百台も連結すると、弱点だった読みが克服されて、恐ろしいことになるかもと考えていました。」

本当に、GPSの圧勝という、恐ろしい棋譜が出来上がりましたね・・・orz

三浦「率直に言うと、私はそれほど悪い手を指していないような気がしています。指し手に後悔があるかと言われると、あまりないんです。相手の強さに飲まれたのではなく、純粋に相手の強さに負けたと考えています。」

コンピュータは、A級の三浦にここまで言わせることができるようになったのですね

三浦「(今後のプロ界は)上手くコンピュータを利用しないと、プロ同士の対局においても取り残されてしまう時代になるのではないでしょうか。先日の第71期名人戦の最終局で、森内名人がコンピュータの発掘した手で羽生三冠を破っています。」

プロがコンピュータに学ぶ、もう、それが当然の時代がくるんでしょうか・・・

三浦「人間以上の存在が出てくると、将棋を支えていた根本の一つが崩されたという感じもあるんです。100メートル走なら、人間が車に負けても『当たり前じゃないか』と思えるのに、なぜ将棋では同じ気持ちになれないのか、自分でも不思議です。」

それは先ほど上に書いた「機械、アルゴリズムのロジックに、人間の魂が追いやられた」と感じるからでしょう それだけに将棋って、一手一手に魂がこもってるゲームと言えると思います

三浦「棋士は強くなければならないのと、でも勝てないものは勝てないので現実を受け入れなければならない、との矛盾に直面しています。」

今までは、プロ>アマという図式がありました 今後はコンピュータ>プロ>アマという図式に慣れていかなくてはいけないんでしょうね 私のような将棋ファンも、その現実を受け入れなければならないですね・・・ 

P268~ GPSの開発者、金子さんへのお話
金子「(GPSの)一秒間の探索局面数は、平均で約二.七億局面に達しました。」

うっへへええー(^^;

解説をした屋敷九段へのインタビュー
屋敷「三浦さんとは月一回くらいのペースで、一対一の研究会をやっています。 僕は、昔はまったく研究をしていませんでしたが、最近は少しずつやっています(笑)」

おーい、屋敷~ 今度の電王戦、ちゃんと研究してきてくれよ~(^^;

屋敷「コンピュータを使って研究した強いプロ棋士が今後はどんどん出てくると思います。 コンピュータがどんな新手をやったのか、あるいはコンピュータ同士の対局でどういう将棋が出たとか、そういったのもどんどん調べられていくと思います。」

屋敷も、三浦と同じことを言っていますね プロがコンピュータに学ぶ時代が来る、と・・・

P282~ 大崎善生さんの総括
大崎「(コンピュータが演算する様子は)これまで独り占めしてきた棋士たちの名誉や立場をことごとく簒奪(さんだつ)するためのように思えて、私は背筋を寒くした。」

やはりそうですよね 古くからの将棋ファンこそ、そう思いますよね

大崎「私の目にはコンピュータの指す手の方が斬新で力強いものに思えることが多かった。戦いの主導権はいつもコンピュータ側が握っているように見えた。」

でも、これは喜ばしいことかもしれません 今のコンピュータは攻めていきますよね(Bonanzaの影響でしょうが) もし逆で、どのソフトも受けてばっかりだったら、つまらないでしょう 将棋は攻めていけるゲームと認識できるのはいいことと感じます、私は攻めが好きなので(^^;

<私のこの本の総評>
第1回電王戦の米長会長の「われ敗れたり」のレビューで、私は「第2回電王戦の後もぜひこういう本を出版してください!」と書きました それを実現させてくれたのがこの本です 貴重な言葉が満載で、文句なく面白かったです 「符号や図面をできるだけ使わずに将棋の面白さを伝える」 これは当ブログのテーマでもあります この本に関わった著者の方、編集者の方、お疲れ様でした どうもありがとう! 第3回電王戦の後も、またこういう本を出してください!  
スポンサーサイト
船江恒平 五段vs深浦康市 九段 NHK杯 2回戦
解説 畠山鎮 七段

記事のUPが昨日中にはできず、申し訳ない
2回戦も最終局だ 電王戦に出た船江とA級の深浦、楽しみだ 解説はハタチンか

船江は2010年四段、竜王戦5組、C1 1回戦で糸谷に勝ち 2回目の本戦出場
深浦は1991年四段、竜王戦1組、A級 1回戦シード 21回目の本戦

解説のハタチン「船江はバランスがいい 終盤が強くて詰将棋を解くのが速い
 詰将棋を作るほうでも、看寿賞を取っている 終盤の直線勝負に力を発揮する

 深浦は終盤が強いが、中盤で優位を築いて逃げ切るのが得意 
 押したり引いたりの曲線的な終盤が得意」

事前のインタビュー
船江「深浦はとても粘り強くて負けにくい将棋、お互い居飛車党どうしなので相居飛車になると
 予想しています 格上の先生との対局なので、自分の力を全て出し切れるようにがんばりたい」

深浦「船江はバランスが良くて終盤が強い印象 居飛車の将棋になると思う
 1回戦の船江と糸谷の将棋は秀逸で入玉をめぐるいい将棋でしたので(ちなみに176手)、
 それに負けないような将棋を指したい」

ハタチン「船江は格上相手でも、物怖じ(ものおじ)しないで力を出す
 深浦の中盤は一気に差をつけようとする指し方もあるので、目が離せない」

先手船江で、相矢倉になった 深浦が早々に△6四角と出る、めずらしい手を指した
ハタチン「かなりめずらしい形ですね 20年くらい前にこういう形がちょっと流行った」
即座に思い出してこう解説するハタチン、20年前のことを覚えているのか、すごいな(^^;

船江がその△6四角に反応、強気で5筋から仕掛け、もう力戦になった
お互い矢倉囲いは完成しているが、玉は一つ寄ってあるだけ、完全に手将棋だ

船江が5筋に飛車を回してきたが、玉飛が超接近している悪形だ 
深浦は銀交換を挑み、船江の飛車に銀を打ってからんできた もう飛車取りキター これ、大丈夫?
ハタチン「今のところ深浦のペース 船江は仕掛けたわりには、反発されている」

船江、なんとかしのぐ順を考えている 考慮時間をどんどん使っていまい、
▲1回vs△9回まで差が開いてしまった おーい、船江、大丈夫か
船江は8筋を守るべく▲9八銀と持ち駒の銀を投入、すかさず深浦は角を逆モーションで
2筋に飛び出して活用してきた うわ、これは深浦が調子いいなあ 
▲9八銀、こんな銀を打たされては苦戦は必至、船江、なんとかしようにも、もう時間もないし、
このまま負けるのか・・・

ハタチン「船江のほうが自玉が詰む順をたくさん読んでいる、だから疲れる」
ついに船江、最後の考慮時間を使いきってしまった 残りは▲0回vs△7回だ
ハタチン「ああ~ ちょっとキツイですね」
思わずこう声がでるハタチン 

しかし? ここから深浦が小考を重ねる たっぷり残っていた深浦の考慮時間がどんどんなくなっていく
なかなか決め手を見つけられてないでいるようだ 色々な順を組み合わせれば何かありそうなのだが、
深浦のほうが手が広くて迷う局面が続いている

深浦、自陣に一段金を投入した ゆっくり攻めようということだね
ハタチン「あ、そういう手をやってきますか 落ち着いてますね」
ここで矢内がいいタイミングで質問、矢内「形勢判断はどうですか?」
ハタチン「深浦の桂得ですね、ちょっと深浦が優勢かなと」

だが、直後に秒を読まれて指した深浦の手つきは、明らかに慌てていた
船江は落ちいて単純な迫り方で深浦玉にプレッシャーをかけていく
ど、どうなってんの? 本当に深浦が有利なの?
今度は秒を9まで読まれ、深浦は王手をかけたが、これは何かもうおかしいのでは・・・
矢内「さすがの深浦もちょっと今、慌てましたね」
ハタチン「船江玉に詰みはない、深浦のほうには今さら受けもない 逆転したように思いますね」
ど、どこで逆転したんやー??? 私は思わず大阪弁になっていた

深浦は裸玉に近かったため、全く粘ることはできず、投了するほかなかった 85手で船江の勝利

ハタチン「深浦が優勢から勝勢になって、何か決めに行く順があったと思うんですけど、
 30秒将棋だからある逆転劇だと思いますね 色んな決め方があった感じですけど、
 驚きましたね これは」

う~ん、ハタチン、深浦には信用度が高いから、深浦の勝ちを信じてしまうのは分かるけど、
解説者としてもっと盤面を純粋に見て解説して欲しかった 
見ている視聴者はハタチンの解説に全員だまされたと思う(^^;
深浦は決め手を出せず、勝勢まではいっていなかったと思う

矢内が形勢判断を訊いた局面、あそこではすでにもうおかしいと私は思う
深浦の主張は桂得だけ、深浦の玉は裸で、肝心の手番は船江だったのだからね

感想戦が16分あったのだが、これがまた分かりにくい感想戦だった
視聴者のために、本譜の終盤を中心にやって欲しかった 
16分の中で私が一番重要だと思ったのは、深浦が指摘していたが、終盤で▲7一角と打たれた局面で、
飛車を逃げずに△5六歩の突き出し、これで攻めが続いて深浦のほうが良かったのでは、
ということだった 飛車は取らせたほうが良かったね 飛車を取った後の馬が遊ぶもんね 

深浦としてはずっと有利だったはずの将棋で、持ち味を出せずに残念だっただろう
事前の紹介ではハタチンに「中盤で優位を築いて逃げ切るのが得意、そして粘り強い」と
言われていたのだからね この将棋は85手で早めの終局となってしまった
一方の船江、早くに30秒将棋になったのに、よく耐え続けた 
▲9八銀なんていう銀を打たされては、もうダメとしたものなんだけどね

本局は終盤のハタチンの解説が精度を欠き、いつ逆転したのかわからなかった
解説者の人は最後まで気を抜かず、考え続けてほしい(^^;
そして、感想戦は視聴者を意識して、逆転したあたりを中心にやって欲しい
来週から3回戦が始まる 男子プロには、レベルの高い対局を期待しています
ただいまPM5時、今からNHK杯を観るので、記事のUPは今日の夜になってしまいます
ご了承ください とりあえず大相撲を観よっと(^^;
ドキュメント電王戦 その時、人は何を考えたのか レビュー <中編>
後編のつもりが、まとめきれずに中編になってしまいました 長文失礼!

P125 コンピュータ将棋協会会長の瀧澤さんのお話
瀧澤「GPSの(679台をつなげた)ようなクラスター並列は、大掛かりな方法で速度を早めていてズルいという否定的な見方をされることがあるんですが、いずれ一台でも、あのGPSの速度も超えるんです。つまりクラスター並列というのは、ほんの少しだけハードの能力を先取りしているだけなんだと考えていただきたいですね。」

これは実際、そうなんでしょう 感想の前編でも書きましたが、チェスではディープブルー並みの能力を市販のもので6年後にすでに実現したとのことですからね (ソフトの進化も合わせての実現ですが) コンピュータは日進月歩、いや秒進分歩、怖いー(^^;

P135 山崎バニラさんのレポート
バニラ「第2回電王戦ではニコニコ動画にボンクラーズの評価値が表示されていました。検討室のプロ棋士の先生がこの数値に振り回される様子はかわいらしく思えるときもあり、片上大輔六段がついに、『プロなんだから盤面を見ようよ』と言うと、この発言がすかさず中継に掲載されていたのが、おかしくて仕方ありませんでした。」

この一言は、片上の名言として将棋史に残るね(笑) まだ完全にコンピュータに追い抜かれたわけではない、勝負してる最中だもんね

P140~ 船江五段へのインタビュー
───今回は事前にツツカナを提供されましたが、最初はなかなか勝てなかったようですね。
船江「ほとんど勝てなかったです。自分の想像していたとおりの強さでしたね。少しは勝てると思っていましたので、全く勝てなかったのには驚きでした。わりと手も足も出なくて負けていましたから。」

船江にこう言わせるツツカナ、1台のPCで動くとは思えない、強いんだなあ

───衝撃的だったのは、中盤はソフトが少し上ということでした。
船江「中盤の漠然として何を指したらいいか分からないような局面では、はっきりソフトが上でした。本当に分厚い壁を感じるのは中盤なんです。中盤にソフトが優勢なら手堅く慎重に指してきますし、ソフトが不利であれば人間の後をずっと追走して、一つでもミスをしたら追い抜いてやろうという感じになるので、得体の知れない不安を感じていました。」

序盤は村山に訊け、中盤はソフトに訊け、でしょうか 
この第3局は終局が184手、長い長い戦いがずっーと続きましたよね 

船江「(ツツカナの△6六銀は)ソフトではかなり珍しい終盤でのはっきりとした悪手でした。ただ、無理やり銀を捨てられて、無理やり中盤戦に戻された感じはありました。」

まさにドラマですね ソフトは勝負手を放たない、という話が直前に書かれていますが、△6六銀の捨て駒が、結果的に勝負手となってしまったのですね

船江「今回の最終盤のツツカナのような指し方は、自分には一生できないですね。」

う~ん、ツツカナ、すげ~な でも船江五段、「いつかは自分もできるようになる」と言って欲しい(^^; 

インタビュアーの貴志祐介さん「私みたいなアマチュアからすると、コンピュータと指しても楽しくないんです。もちろん、ソフトが強くなって勝てないのもありますが、指していると苦行みたいなんです。この間、久々に編集者と指したら、『将棋ってこんなに
面白かったんだ』と思えたのですが、その違いはどこにあるんでしょうか。」
船江「『棋は対話なり』と言いますが、やはり人間と対局すると動揺とか心の揺れとかも何となく分かるので、それを見ながら指すのが楽しいのだと思います。」
 
ソフトと対戦したくない気持ち、分かるわ~(笑) 私の棋力では激指に当然、もう全然勝てなくて、もっぱら検討モードで局面を調べるのに使ってるもん
 
船江「米長先生のように、現役を引退されていればソフト用の対策を考えるのもありかと思いますが、現役棋士は自分を生かしたほうが勝ちやすいはずです。」

次の第3回電王戦、プロ棋士がどんな作戦でくるのか、興味深々です

───将棋の本質を追及するのに、ソフトは必須になりますか。
船江「それは間違いないと思います。既に僕はお世話になっていますし、いずれは将棋界全体がソフトを使いながら研究する時代になると思います。」

これはどうなんでしょうかねえ、ソフトを使えば誰でも最善手を発見できる、そうなると、プロ棋士の存在意義そのものが問われてしまいませんか? 問題はそこですよね

P162~ ツツカナの開発者、一丸さんへのインタビュー
───ツツカナはコンピュータ一台、それも、そこらの電気屋さんでも買えるようなごく普通のマシンですよね。
一丸「現在、コンピュータ将棋ではクラスター並列が流行していますが、自分はそれについて行くのもしんどいと思っています。
 (中略)そのうち、軍縮会議が開かれて、制限が設けられるかもしれませんね(笑)」

一丸さん、ビンゴ! 次の電王戦では、ハードは一台のマシンに限定されましたね(笑) 電王トーナメントでも見事準優勝で、第3回に出場決定ですね

───コンピュータ将棋は、今後どういう方向に向かっていくんでしょうか。
一丸「最近、注目しているのは、棋譜を使わない学習方法です。コンピュータ同士で対戦させ続けて、その勝敗の結果だけで評価値を作るんです。そうやって育てたら、どんな指し方をするのか、興味があります。」

これは私も興味がありますね 必勝戦法のような指し方を会得するかもしれませんもんね

第3局の解説を務めた鈴木大介八段へのインタビュー
───棋士の方には、勝負にこだわる方とゲームの真理を求めたい方がいるようですが、鈴木先生は真理探究を重視しているのですか。
鈴木「それはありますね。研究は勝つためにやっている面もありますが、基本は真理探究です。人間より強くなる可能性があるコンピュータは、真理探究には絶対必要なんです。」

このままコンピュータが強くなっていって、プロ棋士を完全に凌駕したときには、プロ棋士は真理探究をコンピュータにまかせる、ということになるのでしょうか きっとそうなるのでしょうね 寂しい気がしますが、仕方ないのでしょうね

P182~ 塚田九段へのインタビュー 大崎善生さんがインタビュアー
大崎「出場までの経緯ですが」
塚田「第1回電王戦で、米長先生が負けたのが本当に悔しくて、なんとなく応募してしまいました。(中略) (その後で)コンピュータのハードが良くなるだけで強くなるという話を聞いて、びっくりしました。」

塚田九段、コンピュータ将棋についてあまりにも知らなさすぎ・・・orz

大崎「入玉してから、控え室のプロ棋士がカンカンになっていて、何人も『投了させに行く』と言っていましたよ(笑)。」
塚田「それは聞きましたし、そう言われる覚悟でやっていました。人間相手なら、絶対今回のような戦い方はしませんからね。」

でも、投了するかどうかは対局者が決めることです これは将棋の鉄則ですよね 結果が大きく報じられる電王戦、指すは一時の恥、結果は一生言われますからね 塚田九段、相手に大駒4枚持たれて、よく指し続けたものだと思います でも「勝つつもりで入玉した」とも発言していますが(^^;

塚田「指し続けるしかないですよ、団体戦ですから。」

塚田九段の名言、これも将棋史に残りますね

大崎「僕が逆に疑問に思ったのは、ソフトを借りて練習するのは有りなんですか。」
塚田「知識がないままソフトと対局すると、ボロボロになるレベルになってますよ。」

これが電王戦に参加した棋士の本音、コンピュータ恐るべしです

P205~ Puella α の開発者、伊藤さんへのインタビュー
───「負けても大丈夫ですよ」という発言が話題になりましたが。
伊藤「別段挑発する意図なんかはまったくなくて、もうコンピュータが強いのは当たり前で、人間が負けても何も不思議はないという気持ちだっただけです。」

「負けても大丈夫ですよ」 これも将棋史に残る名言ですね(^^;

伊藤「人間は人間に感情移入するようにできていますから、いくらプロ棋士に勝ったからといって、コンピュータでは感動は与えられないですよ。」

これはそうでしょうか? それにしては、24で指していたbonkrasやponanzaの対局には、いつも満員になるくらいの大勢の観戦者が張り付いていましたけどね

伊藤「個人的にはミッションコンプリートかなと。」

伊藤さんはもう現状でコンピュータは名人も超えているとの考えで、開発終了も考えているようです

伊藤「テクノロジーが、予想もしなかったようなほかのことに使われるのは普通によくあることでしょう。コンピュータ将棋の技術も、必ずどこか思いがけないところで使われるはずです。」

一例として、エジソンが電球の研究で、京都の竹を使ったのは有名なエピソードですよね コンピュータ将棋の技術が、何かに応用されて使われるといいですね

P215~ 第4局の解説を務めた木村八段へのインタビュー
木村「私は考えが保守的なので、プロ棋士が負け越した結果を見ると、(第2回電王戦を)やって良かったかどうかは微妙なところです。(中略) (今後は)トッププロが、番勝負をしても、どれだけ人間に有利な条件下でも、コンピュータに負ける日はそう遠くないと思います。その意味では、暗くならざるをえない。」

木村八段は自分のことを「保守的」と言っています 私も保守的なファンなのかもしれません いつかはプロ棋士がコンピュータに勝てなくなる日がくる、でもそれが今ではあってほしくない・・・ これが私の本音なんです

この本のレビュー、前編の次は後編のつもりでしたが、中編になってしまいました(^^; まだ続きます 後編に続く!
ドキュメント電王戦 その時、人は何を考えたのか
著者 羽生善治、川上量生ら 計27人 徳間書店 1600円+税 
2013年8月31日第1刷 評価 S 
コンセプト<符号や図面を極力なくした文章のみで、第2回電王戦を関係者が振り返る>

この本、とにかく面白いです もっと早くレビューを書きたかったですが、今頃になってしまいました 面白いと思ったところを書き出して、そのつど、私の感想を書くという形式にしました 感想、いっぱいあって長くなるので、今回は前編です

P24 夢枕獏さんの文から、以前に羽生さんにインタビューしたときのこと
夢枕「羽生さんに『将棋が解明されてしまって、たとえば先手番がこうすれば必ず勝つ、と分かってしまったら、どうしますか?』と聞いたんです。その瞬間、将棋が終わっちゃいませんか?と』 そうしたら羽生さんは、『大丈夫です、ルールを一個変えればいいんです』と平然と答えたんです。 たしかに、成った歩を一回をもう一回成らして別の動きを加えるとか、たったひとつルールを加えるだけで、いきなり可能性が広がります。 一度解明された『答え』が遠のいて、新たな『問い』が浮かび上がってくる。」

しかし、この羽生の答えは、残念ながら答えになっていないと思います
新ルールには、人間よりもコンピュータのほうがすぐに対応してしまうんじゃないでしょうか 今までの定跡、常識が通用しなくなったとき、困るのは人間のほうだと思います それに絶妙のバランスで成り立っている今の将棋のルールを変えるのは、ものすごく難しいと思います そして、将棋を完全解明できるようなすごいコンピュータなら、そのうち新ルールをも完全解明してしまうでしょう それでまた新ルールを加える、そんなことを繰り返していると将棋が全く別のゲームになっていってしまいかねません

P28 勝又の文で、羽生世代の六人(羽生、森内、佐藤康光、郷田、丸山、藤井)が紹介されています
勝又「六人を羽生世代と呼ぶことがあります。」
羽生世代に先崎が入ってない! あっちゃー、先ちゃん、完全に無視された 個人的にツボでした(笑)

P35 勝又「初期のコンピュータは、低スペックのパソコンとの戦いでした。 数手も読むと、すぐメモリがパンクしてしまいます。」
次回の電王戦では、メモリ64ギガバイト、市販価格が約31万円のPCとのこと↓ 
http://www.dospara.co.jp/5info/share_g.php?contents=denou&waad=hX0TUucV
(ちなみに私が4年前に約10万円で買って今使っているPCはメモリが4ギガバイト 今年、私の父が買った約10万円のPCはメモリが8ギガバイト)

1997年にIBM社がディープブルーというチェス専用のスーパーコンピュータを作って、当時のチェスチャンピオン、カスパロフを倒したことは有名です 「コンピュータチェス」でウィキぺティアにはこんなことが書かれていました↓
「2003年には汎用PCと一般人が購入できるソフトが、ディープ・ブルーの様な専用機に匹敵する性能を持った事が窺える。」
三浦に勝ったGPSはPC679台をクラスタ並列させていましたが、今から何年か後には、もうそれが一台のPCの中に収まっちゃうんでしょうか? 恐怖です

P55 阿部光瑠の文 2012年12月15日、出場者が決定して、記者発表会インタビューに答えて
───コンピュータ対策の手を選びますか。
阿部「いいえ、コンピュータということは意識せずに、自然に指すつもりです。定跡とか手順で普通に戦いたいと思っています。まっとうに戦ったほうが悔いも残らないと思うので。」

しかし、阿部光瑠は「電王戦のすべて」で以下のように告白しています
このインタビューの後、習甦を貸与してもらった阿部は「最初8連敗を喫した。強い。」 「こちらが振り飛車にすると、習甦は居飛車穴熊にしてくるのだが、これが異常なほどに強い。」 「習甦にはクセがある。」「これなら勝てる。試行錯誤の末にたどりついた、太い蜘蛛の糸だった。」 「散々やって分かったことは、力将棋では勝ちにくく、むしろプロが何十手にも及ぶ定跡を整備してきた角換わりや矢倉といった戦型にこそ、勝機がある、ということだった。」
阿部光瑠は300局以上の練習の中で、自然に指すのはあきらめ、コンピュータ対策をした、というのが明らかに正しい言い方でしょう  しかし、光瑠はよく勝った もし、光瑠が猛特訓をしなくて負けてて、プロ側の4敗1分けだったら、と思うと、目も当てられない  若干18歳、大仕事をやってのけた 光瑠は本当にえらい!
今度の第3回電王戦は、事前のソフトの貸与がある、どれだけ練習してくるかという勝負になるでしょう 出場者5人には阿部光瑠を見習って欲しいと切に思います そして、プロ棋士よ、勝ってくれ!

P63 事前のソフトの貸与について、習甦の開発者の竹内さんが答えて
竹内「第1回でボンクラーズを伊藤さんが貸していたので、貸して当然と思っていたんですよ。ところが、わたしの後でPonanzaの山本さんが『貸しません』ってストレートに言って、え、そんな選択支もあったのかと驚きました(笑)」

これは、マジで危ないところでしたね 貸し出しがあって本当に良かった この「貸与があるかどうか」という質問を会場でしたのは山崎バニラさんでした、バニラさんの貢献は大きい(笑)

P65~ 竹内さんがインタビューに答えて
「二十歳くらいの頃かな、『羽生の頭脳』全十巻を読み込んで、影響を受けたと思います。」 「たぶん究極のコンピュータ将棋のソフトはシンプルだと思うんです。」 「僕も、自分以外の対局では全力で人間のほうを応援していました(笑)」 

竹内さん、本当に将棋が好きなようでプロ棋士への尊敬も感じられ、いい人で、私も好きになりました 先日の電王トーナメントでも5位に食い込み、第3回も出場決定、良かったです(^^) 

P78~ 柴田ヨクサルさんのインタビューに佐藤慎一四段が答えて
柴田「電王戦に出場することになったのは、米長会長から声をかけられたのが切っ掛けですが、なぜ自分が指名されたと思っていますか。」
佐藤「実は、よく分からないんです。まさか自分が選ばれるとは思っていませんでした。連盟から『出たい人は返信するように』という手紙が来ました。僕は返信しなかったので選ばれないと思っていましたが、出場する棋士を発表する当日に電話がかかってきました。 『君に決まった』と言われてびっくりしました。『なんで僕なんですか。いいんですか。誰も手を上げる人がいなかったんですか』と聞いても、『いや、まあいいから君なんだ』としか答えてくれない(笑)」
柴田「特に理由の説明はなかったんですか。」
佐藤「理由を聞いていないので、今からでも知りたいです。」

う~ん、ここは重要な点と思います 自薦なのか他薦なのか、なぜ佐藤慎一四段が出場することになったのか、どう考えても、もっとはっきりさせるべきでしたね

柴田「僕は、ネットの将棋倶楽部24では2000点くらいです」

柴田ヨクサルさんの棋力が見えましたね 他の有名人も24で指して何点いけるか、知りたいところです つるの剛士さんは、24での早指し制だと、現状では何点くらいかなあ

佐藤「練習に使ってたツツカナは、振り飛車が多かったように思っていましたが、本番のPonanzaは全然棋風が違いました。一発勝負なので仕方ないですが、どのように戦うべきか、序盤からよくわからなかったですね。」

ソフトの貸与がないと、どうしてもこうなってしまいますよね 実戦の内容も、1筋を受けなかったことが大きく響いたりしましたからね 逆に阿部光瑠が9筋の端の位を取ってリードしたのとは大違いです

佐藤「(疲れで)対局後に何をしゃべったかも覚えていないので、感想戦ができたかどうかは微妙です。 本当に、足が立たなかったんです。それに汗がひどくて、まっすぐ歩けませんでした。」

佐藤慎一四段、お疲れさまでした、としか言いようがないですね どれほどのプレッシャーだったのか、本人しか知りようがないですからね

柴田「将棋が学校教育に入ったら、将来、ものすごい棋士が生まれますよ。」
佐藤「そうなると、子供がみんなルールを覚えてくれますからね。」

私はこれには反対なんです 将棋人口は増えるでしょうが、将棋嫌いな人も増やしてしまうでしょう テストで次の一手とか詰将棋とかをやらされて、将棋=勉強 こうなってしまっては、元も子もないです 私はもし将棋を教育に入れるとするなら、囲碁と麻雀も入れないと、と思いますね これは電王戦とは直接関係ないので、機会があればまた別のときに述べますね

柴田「将棋の真理を追究する求道者としてはコンピュータも人間も同じ土俵に立っています。すべてを引っくるめて、将棋は面白くなるでしょう!!」

柴田先生、アツイです(^^; ちなみに私はハチワンダイバー、読んでないんです 巨乳とメイドっていうところが、私のツボと違ってまして・・・ これは電王戦とは直接関係ないので、機会があればまた別のときに述べま、せん(笑)

P100~ Ponanzaの開発者、山本さんへのインタビュー (山本さんは東大将棋部出身)
───(自分が作ったソフトに)負けたときはどう思いましたか。
山本「腹が立ちました(笑) 当時、自分が一番努力していたのが将棋だったので。」

ここは笑えました 面白いです

山本「なによりも勝つことを目標に挑みました。勝負なら全力で勝ちにいくのが礼儀ですから。」

これぞ、山本哲学! 名言ですね

山本「僕は、汚くみっともなくても、あがけばいいかなと思っていました。コンピュータらしい『気持ちの悪い序盤、粘り強い中盤、恐ろしい終盤』が出ればいいと思っていました。」

さすがに東大将棋部で強く、コンピュータ将棋の第一人者ですね 今のコンピュータの特徴をすごくよくわかっている表現です
そして、佐藤四段との一戦はまさにそのようにPonanzaが指したのではないでしょうか 
習甦の竹内さんが「投了するタイミングのなどの美学を深めて、ソフトに芸術性を持たせたい」と言っているのとは山本さんは正反対、個性があって面白いです

山本「いや、だって、あいつら(コンピュータ)はバカなんですよ。計算を覚えることだけはすごくできるので、それをいかに知能っぽく、将棋っぽくさせられるかというのが開発者の苦労ですね。」

コンピュータはバカ、コンピュータに精通している人だから言えるこのセリフ、一度は私も使ってみたい! けど、ワードもエクセルも使えない私には無理です(笑)

山本「あ、そうです、スポンサー絶賛募集中です(笑)」

私が金持ちとか企業の社長とかなら、絶対スポンサーになるけどなあ(^^; もう電王戦トーナメントで優勝したから、この発言の頃よりスポンサー料金が上がっちゃったか(笑)?

P110~ 第2局の解説を務めた野月七段へのインタビュー
野月「『人間がコンピュータに負けたら将棋の魅力がなくなる』と言う人はいますが、そうではありません。やはりトッププロがしのぎを削る姿は美しいです。」

アマチュアはコンピュータが強くなっても、特に困ることはないと思います 今でももうすでにそうなっていますしね 別に困りません 24でソフト指しが横行という悪影響はありましたが、まあそれくらいでしょう 問題は「プロ棋士よりコンピュータが強くなったら」なんですよね それはしっかり区別しないとダメですね たしかにトッププロへの興味はあまり薄れないかもしれません
でも、二流、三流のプロはどうでしょう? 私は明らかに興味、関心が薄れてしまいました・・・

野月「(プロ棋士は)ステージをより上げないといけないと考えています。(中略) 実際に、現代でも棋士の寿命は、平均寿命と比べると、圧倒的に短いんですよ。そう考えれば、もっと自分を律し、負けたらすべてを失う覚悟で対局しないと。」

ここの部分は野月七段はちゃんとわかっておられるようですね 私もNHK杯で、近年、常に高いレベルの内容を期待するようになりましたからね
とりあえずここまででいったんUPしておきます 後編へ続きます
大石直嗣 六段vs行方尚史 八段 NHK杯 2回戦
解説 北浜健介 八段

この対局に勝ったほうが次の3回戦で羽生と対戦できる、という一番
先週があっけなく終わったから、今週は熱戦を期待したい

大石は2009年四段、竜王戦4組、C2 1回戦で浦野に勝ち 3回目の本戦出場
行方は1993年四段、竜王戦2組、A級 1回戦で先崎に勝ち 17回目の本戦出場

解説の北浜「大石は層の厚い関西の若手の中でも特に活躍が目立つ これからどんどん伸びていく、
 伸び盛りの棋士 居飛車、振り飛車、両方指す
 行方は昨年度から今年度の前半にかけて最も活躍した棋士の一人 順位戦の昇級、王位戦の挑戦、
 勝ちまくった印象 正統派の居飛車党で、受けて立つ棋風」

事前のインタビュー
大石「行方は本格的は居飛車党、鋭い攻めと粘り強さが持ち味の魅力的な先生
 戦型はダイレクト向かい飛車で指したい 視聴者のみなさまに楽しんでいただけるような、
 自分自身も楽しんで指したい」

行方「大石は関西特有のおおらかさと、現代的なシャープなところを兼ね備えた将棋を指す
 大石は得意なスタイルを持っているので、僕がどう対応していくかがカギと思っています
 NHK杯もかなりの回数出させてもらってますけど、未だに時間の使い方が上手じゃないので
 そこを気をつけて、白熱した終盤になればと思っています」

2人の対戦成績が出て、大石0勝、行方1勝とのこと この前の王位リーグで対戦していた
(行方は紅組でリーグ5戦全勝で、佐藤康光との挑戦者決定戦に勝って、羽生に挑戦して1-4で敗退
大石は紅組リーグで1勝4敗)

先手大石で、宣言どうりダイレクト向かい飛車だ 
大石は、今年の6月に「ダイレクト向かい飛車徹底ガイド」という本を出しているんだね
この作戦で有利に持っていければ、本の売り上げもあがるだろう(笑)
行方は△4五角は打たず、穏便に駒組みを進めた まあ無難に、ということか
しかし、持久戦になれば大石の1筋の端の位が大きそうだが、どうか

大石は片美濃に囲った後、もうすぐに棒銀で攻めてきた 
向かい飛車で8筋を逆襲する、いわゆる逆棒銀というやつだ
矢内「さっそく」 北浜「行きましたね」
大石は左金を7八に持ってくる構え 
北浜「かなり深い研究があるんでしょうね この形は初めて見ました」

雑談で、大石は五段に昇段した3週間後に、もう六段に昇段した話が出た
この、竜王戦で2年連続昇級したら一段上がる、という方式はどうなのか 
疑問に思っているのは私だけではないだろう(^^;
矢内「大石五段と書いてある色紙があったら、レアですね(笑)」
北浜「行方は今も難解な詰将棋を解いている それが終盤力の裏づけとなっているのだろう」

さて、行方が長考に沈んでいる 北浜「逆棒銀にどう対応するか、難しい」
どんどん消費していく行方 もう考慮時間の残りが▲9回vs△2回になっちゃった
大石のほうが何か良くする順を選べそうだが、どうか・・・

大石の選択は、飛車、銀の一気の総交換だった 行方に手番が渡るが大丈夫かな
すると、行方、飛車を下ろしてから、美濃崩しの△4八銀を打ってきた! ええー それはタダでは?
北浜「あ ここでも△4八銀あるんですか これはびっくりしますね」
矢内「大石としても意表を突かれましたね」
なんと、行方の狙いは飛車を切って桂を取る順! おおーこうなれば決まっていそう
さっすが行方! すごい、さっきの長考でこの辺りまで読み筋か? これは技ありだろう 
北浜「こんな筋があるんですね 驚きました」

考慮時間の残りが一気に逆転、▲1回vs△2回になった 
大石はすぐに負けない順を選んで我慢したが、行方は悠々(ゆうゆう)と自陣に金を投入!
大石の飛車を追い返した これは手堅い指しまわしだ 
これは行方ペースだなあ △4八銀、実にいい手だった
北浜「大石は攻める手がなくなった 困った」

ところが!? 大石が▲8八歩とフタ歩を打ったのが好手、行方の飛車と馬が一時的に働かなくなった
あ、少し差が詰まったなあ でも、まあ馬をずらして活用して、地道に指していけばまだ行方有利、と
思っていると、なんと行方、△同馬と取ってしまったではないか!? あれ?? 何それ??
馬、捨てちゃった・・・って、何これ? こんな手、見たことない ええ?? もしかして大ポカ??
北浜「馬が取れたのは大きいですよ」

行方の攻め駒、成香と竜の2枚だけになっちゃったではないか これ、一気に完全に切れ筋じゃん
明らかに変調だ 行方、泣く泣く3手もかけて、と金を作って攻めたが、どう見ても変調
うわあ、ええーー・・・ 行方、痛恨の大ミス・・・

息を吹き返した大石は確実に行方を追いつめていく これはけっこう差がついている
けどまだ終わるまでは手数がかかる まだ行方がんばるか? と思っていたら、投了してしまった
77手で大石の勝ち  行方、さすがに嫌気がさしたか 
まあ、プロどうしでこれ以上やっても、結果は見えてるか 行方、残念無念orz

北浜「△4八銀の好手があって行方ペースかと思ったが、△8八同馬がおそらく錯覚だったかな
 行方のこういう錯覚は、私は見たことがないんで、本人が一番びっくりしてるんじゃないか
 大石の勝ちになってからの指しまわしは、つけいるスキを与えなかった」

感想戦が13分ほどあったが、行方はさすがに落ち込んでいた 
行方「はぁ~ この後はちょっと並べたくない はぁ~ 見たことないこんなの(△8八同馬の悪手)
 こんなことやったのは初めてですね こういうポカやる歳になっちゃったんだ
 あきれたね いや~ 優勢を台無しにしましたね」 
何度もため息をついていた行方、あ~あ(^^; 

A級棋士の行方にしてこういうミスが出る、まあ人間だから仕方ないんだけどね
△4八銀を打たれてもあきらめなかった大石、不利になっても有利になっても表情が
全く変わらなかったのが印象的だった

これで3回戦で羽生と対戦するのは大石になった 
本局では、行方のうまい対応で、ダイレクト向かい飛車で有利に持ち込むことはできていなかった
羽生戦でも、またこの戦法を使ってみせてほしい  

NHK杯、来週こそは、詰むや詰まざるやの熱戦を期待したい
ひさしぶりに将棋以外の話題です
ここのところ、映画をTUTAYAでレンタルするなどして、大量に観ていた
レンタルの価格が安く、なんと旧作は一本100円という、驚きの値段で借りられてしまう
借りる映画の大半は、ホラーかアクションだ 
なぜこのジャンルが好きかというと、どっちも、頭を使わずに観れるからだ
登場人物が少なく、話がわかりやすいのがいい(笑)

洋画のホラー映画の中から、私のおススメのベスト10を挙げたいと思う
シリーズ物は1つにまとめた どれが1位とかは決めていない
(内容は紹介程度にとどめ、ネタバレはしないように注意しています)

「ジョーズ」
1はスピルバーグが撮った出世作として、あまりにも有名 ジョーズが迫ってくるときの音楽が最高 
1~4まで出ているが、1だけ観れば充分と思う
2はあんまり、3はそこそこ面白い 4(復讐編)は全く平凡な映画だった
どうしても1と比べてしまうからツライところだ

「バタリアン」 
ゾンビ物だ 1~5まで出ている 私は全部観たけど、一般の人は1だけ観れば充分と思う
1は何回も観ている DVDも持っているほど(^^; ゾンビ物にはロックンロールが良く似合う! 
2~4はそこそこ良くできているが、5はかなり出来が悪かった記憶がある

「エイリアン」 
これは超有名なシリーズ どれもシガニーウィーバーが主演
1~4まで出ていて、各作品ごとに監督が違うのが特徴 
1は恐怖感、2では戦いを追求している 3は賛否両論あるが、私はあれはあれでいいと思う 
4も造形物をがんばって作ってある このエイリアン、姿が本当に良くできていて、観ててあきない

「ファイナルデスティネーション」
1~5まで出ている 大事故を予知夢でまぬがれた7~8人の若者たちが、次々に死んでいく
次は誰がどんな死に方をするのか、ドキドキしてしまう
絶対死ぬってわかっていても、ハラハラするところが本当に良くできている
この面白さ、まるでドリフのように思う 志村の頭の上にタライがガーンと落ちてくる、
それが事前にわかっていても面白いのだ(笑)
このシリーズ、1から5まで、クオリティが落ちていないから、安心して観れる

「オープンウォーター」
1と2が出ている これは個人的にかなり好き
1は、スキューバダイビングに行ったカップルが、海に置き去りにされるというストーリー
2も似た感じのストーリーなので、1が面白かった人には2もおススメだ
現実に起こりうるシュチュエーション、制作費をあまりかけずに、アイデアで勝負、素晴らしい
これが面白かった人は、「フローズン」もぜひ、おススメだ 
こちらはスキー場でリフトに乗ったまま降りられなくなる、というストーリー これは冬に観たい作品だ

「ミザリー」
大ベストセラー作家が、自動車事故を起こし、熱烈なファンに助けられるが・・・というストーリー
スティーブンキングの作品の中では、これが一番怖いと思う

「ペットセメタリー」
これもスティーブンキングが原作の作品 セメタリーとは墓の意味 
埋葬すると死者がよみがえる墓地があるが、その墓地は呪われていて・・・というストーリー
今見返しても、全然古くなっていない 出てくる登場人物や猫とかが全てうまく使われている
観たあとは、あー、ホラー映画を観たな~っていう気分になれる
2も出ているが、格段に格調が落ちてしまっていると思う

「スペル」
怖がらせる、というのではなく、びっくりさせる、というのがテーマの新感覚のホラー映画
登場人物が少なく、ストーリーはシンプルだし、文句ない作品 
映画館で見たら、うわっと思わず声を上げてしまっていたかもしれない(笑)
同じような、呪いをテーマとした作品では「やせゆく男」もなかなか面白いので要チェック

「イベントホライゾン」
1997年に作られた宇宙SF物 西暦2047年、7年前に消息を絶った深遠宇宙船が突如、海王星の
付近に現れ、それを調査しに行く話 宇宙の果てに居る恐怖感がよく伝わってくる
無重力で浮かんでいる水の描写が素晴らしい あまり有名でないが、おススメだ

「地球爆破作戦」
これはホラーというより、SF映画に分類されるようだけど、先月観て、とても面白かった
1970年の作品とは思えないほど古さを感じさせない
アメリカが全自動のコンピュータ制御の軍事システムを完成させ、その電源をONにしたとたん、
コンピュータが人間に命令を出してきた・・・というストーリー
Bonanzaに使われた機械学習という概念、この頃からもうあったんだ、と思わせられた

以上、私のおススメの洋画ホラー、ベスト10でした
先月の10月から、新たに第22期銀河戦が始まっている
銀河戦の前半は、上位のプロが出てこない
その代わり、女流2人とアマチュアの戦いぶりが注目だ
現在の結果は以下のとおり 
印象に残ったものは、コメントをつけました

Aブロック 早川晃司アマは堀口弘治六段に勝ち 2回戦の長岡六段に負け

Bブロック 沖幹生アマは伊藤博文六段に負け この一局、沖アマは二歩を打って反則負けしてしまった
 しかし、もうそこでは敗勢で、投了してもおかしくない場面だった 

Cブロック 中川慧梧アマは伊藤能六段に勝ち 152手の長手数だったが、中川アマ緩みなかった
  続く石田直裕四段にも相矢倉で完勝 これは正直、どっちがプロかわからない一局だった

Eブロック 今泉健司アマは竹内四段に勝ち

Fブロック 甲斐女流王位は高田六段に負け この一局、甲斐女流のド完敗だった
 相振りだったのだが、序盤のまだまだ駒組みの段階で、甲斐女流、3手も手損するという、
 全く謎の指しまわし 解説の富岡もこれには「もう作戦負けの可能性が」と言葉を濁していた 
 案の定、甲斐さん、ボロ負け 相手の高田六段が、左玉というめずらしい構えだったが、
 それ以前の問題だ 相振りは駒組みが大事なことは、常識だ 
 なんで女流王位ともあろう人が、相振りで序盤で3手も無条件に手損するのか 観ていて悲しかった

Hブロック 上田女流三段は千田四段に負け 上田女流が振り飛車穴熊にしようとしたことろを、
 千田四段が居玉のまま端攻めで一気に潰そうと駒組みを進めた 
 いわば、振り飛車穴熊に対する藤井システムだ 
 そこから力戦になり、結局、端攻めはしなかったが、観ていて面白かった 
 内容的には千田四段の力勝ちといったところ 
 男子プロ相手でも、この千田流の作戦は通用するだろうか?

中川慧梧アマの2局の見事な戦いぶり、甲斐女流王位の不可解な序盤、
そして新鋭の千田四段のユニークな作戦が印象深い こんなところです 
(棋譜は囲碁将棋チャンネルのホームページにいけば、動く盤面で掲載されてます)    
三浦弘行 九段vs阿久津主税 七段 NHK杯 2回戦
解説 行方尚史 八段

矢内、白の服でビシッと決めてきたか いいねえ
今日は三浦と阿久津か 実力者どうしの一戦、楽しみだ ワクワク
A級に上がった行方の解説もどんなものかな

三浦は1992年四段、竜王戦1組、A級 1回戦シード 18回目の本戦出場
阿久津は1999年四段、竜王戦1組、B1 1回戦で中田功に勝ち 9回目の本戦出場

解説の行方「三浦は非常に深い研究と終盤の正確さで定評がある どこまで研究しているか、
 わからないというくらいに研究してきて、飛ばせるところまで飛ばす 早指しに向いている
 阿久津の将棋はとにかく華(はな)がある 乗ったときの駒さばきは棋界随一
 力戦形を得意としている 好対照なところがある2人」

事前のインタビュー
三浦「阿久津はオールラウンダーなので展開は読めない 阿久津は切れ味鋭い攻め将棋、
 一度不利になると手がつけられないところがあるので、しっかりと序盤から指していきたい」

阿久津「今回は対策はそんなに考えてきたわけではないのですけど、先後もわかっていないのでね
 三浦はすごい研究家で踏み込みもいいので、私が避けなければ激しい展開になるんじゃないか
 力が入っていても空回りすることが多いので、自分らしい将棋を指したい
 勝てれば一番いいんですけどね」

先手三浦で対局開始 序盤の十手くらい、猛スピードで進んだ 行方いわく「一秒指し」
これは笑った ネットの24の早指しでも、ここまで早いのはめずらしいくらいだ
ホント、最近は序盤の決まったところまでは早く進むようになったねえ

戦型は横歩取りになった 
行方「横歩取らせは三浦が一番深く研究している戦型と思われる、そこにあえて阿久津が飛び込んだ」
「横歩取り」のことを、「横歩取らせ」というのか 後手から見ればそういうことになるね

阿久津は飛車を深く引き、角交換から2筋にギューンと大転回してきた 
後手は阪田流向かい飛車のような形だ 
行方「大乱戦になりそうです 研究は関係ない将棋になりました」
いいねいいね 私は横歩取り△8五飛の、研究で勝負が決まる将棋はどうにも苦手だ
とにかく意味がわからないから(^^; 

対戦成績が出て、三浦3勝、阿久津2勝とのこと 案外対戦が少ないね
三浦が常に上のクラスで、まだ対戦が少ないということか

玉の囲いは、▲中住まいvs△金銀が壁の変な玉形になっている 
すかさず三浦が飛車をぶつけ、積極的だ 阿久津、穏やかに歩で飛車交換を防ぐかと思ったら、
3三の左金を2四にぐいっと出て防いだ おー、阿久津も果敢に押さえ込みを図ったか 
行方「もう穏やかじゃないですね タダじゃすまない 激しくなりました こういう力将棋はいいですね
 阿久津の2四の金がどうなるかですね 構想力が問われる局面です、類型がない」
うんうん、どうなるか これから一手一手楽しみだ  

すると、阿久津は右金も3段目の8三に出た! 盤面の右も左も押さえ込みにいったか
うわー、これはすごい 三浦の端攻めを緩和した意味もあるのか?
行方「阿久津は八方破れ、金銀がバラバラですね」
矢内「真似したら空中分解しそうですね」
行方「阿久津の才能が発揮されるような局面になっていると思うのですが」 
阿久津、才能があるとはいえ、2四の金と8三の金、こんな形で大丈夫か
後手は一手のミスも許されないぞ 一方の三浦は自然な駒組みだ

さてどうなるか ・・・ってあれ? 阿久津、玉を寄った? それは指しにくい手だと思ったけどな
何か危険か匂いがする 角を持ち合っているので、5二に利きがなくなったのはなんだか危なくない?
え~っと、三浦は飛車で金が取れるから、もういきなり飛車切っちゃうのはどう?
三浦も考慮時間を使って考えてる・・・ これは飛車切り、成立してない?
▲2四飛!△同飛に▲4一角で、馬作りが受からない 先手陣は中住まいで、飛車にはめっぽう強い
攻めが成立してるだろう 三浦、飛車切れ! 次の一手は飛車切る一手だ! ドカーンと行ったれ!

行方「三浦は九段になったんですよ 八段昇段からコツコツ250勝を挙げて」
あれ、行方は雑談してるなあ ここ、すごい重要な局面じゃないの?
って、三浦が▲2四飛いったーーーーーー 飛車切りキターーーーーーー
行方「おおおおお! やりましたねーー!」 矢内「お~!」
行方「これが三浦流ですね」 矢内「いきなり」 

そして三浦の次の手は▲5二金だった そうか、▲4一角よりこっちのほうが全然いいね
私は角が持ち駒だったから、飛車切りの後、角を打つことしか考えてなかった
飛車を切って金が手に入るんだから、▲5二金のほうが全然いいね 
金が持ち駒に入ることが頭にない、私も正解とは言えないね(^^;

さて、形勢はどうか? 攻めがつながってるか? 私見では、充分三浦がいけそうだ
行方「これはどうなんだ 一見、けっこううるさそうに見える」
えええ、まだ番組開始から37分、どうなっちゃうんだ? めっちゃ早い終局もありうるか
阿久津の「ん~」という唸り声が聞こえてくる 
行方「いや~ これは、阿久津のため息が」
ど、どうなっちゃうんだ 三浦陣は鉄壁、もうダメでは?

行方「この三浦の攻めを受けきらないと、阿久津にチャンスはない 攻めあう将棋ではない
 ちょっと痛いように見えます 阿久津玉、いきなりピンチになってます」
おいおいおい! とても受けきれるとは思えない お~い、阿久津、どうなってんねーん

そして、追いつめられていく阿久津玉
行方「阿久津はまだ全然、持ち味を出してないですからね」
うわー、こりゃ、飛車切り一発でノックアウト、という一局となるぞ あっちゃー

三浦の攻勢が続くが、阿久津も玉を上部に脱出してまだがんばってる
行方「少し三浦ペースだけど、攻めが続くかどうかギリギリの勝負です」
と言ったその刹那だった 桂で、飛車銀両取りがあった! ピッタリの手だ
行方「これは、いわゆる筋に入った気がします」

阿久津はまだがんばり、最後、三浦の中住まいの玉頭に手がつき、ちょっとヒヤリとはした
しかし、三浦が勝ちきった 99手で三浦の勝ち 投了は番組開始から1時間12分のときだった 
あー、一時はどうなることかと思った 37分の時点でもう投了もあるかという局面だったから(^^;
 
行方「いやー、三浦の飛車切りから一気の寄り身 三浦の力強さがいかんなく発揮された
 阿久津は本来の力を出せずに終わった」

感想戦で、阿久津「(5二の地点に利きを無くした)玉寄り、もう敗着ですね」
行方「まさかすぐに飛車切りがあるとは思いませんもんね」
三浦「まあ(飛車切りは)たまたま成立しただけですけど」

私は、いや、飛車切りはたまたまではない、と思った 
自陣は鉄壁、相手は金銀バラバラ、角を手持ちにしている
これだけ条件が揃えば、飛車金交換くらいはありうると思っていなければいけないだろう

それに、昨今のコンピュータの将棋を見ていると、そういう手を平気でやっているのだ
今までは中盤以降で飛車や角を切るというのが常識だった
しかしコンピュータは、まだ戦いが本格的に始まってないときにいきなり大駒を捨てる手をよくやっている
習甦と300局、練習将棋をした阿部光瑠は「コンピュータはなんでもやってくる、と思うのが普通」
という発言をしている
ボンクラーズと練習対局した塚田も「電王戦のすべて」という本で、相矢倉の序盤で角をいきなり捨てて、
代償に銀を棒銀のように前進させる手を指されて驚いた、とわざわざ図面を出して説明してくれている

今回、残念だったのは、阿久津が感想戦で、「まあしょうがないか」という雰囲気で笑っていたことだ
阿久津はあまりショックを受けていないように見受けられた
第2回電王戦での終局後の、佐藤慎一や船江の落ち込み、そして涙目だった塚田、
三浦の憔悴しきった表情、あれらとはかけ離れていた
プロ棋士が負けたときというのは、本来ああいう姿であってほしいと思う

もし阿久津が電王戦に出て、本局のようなふがいない負け方をしたら、
局後に同じように笑っていられるだろうか? 
ファンは勝ち負けだけ見ているのではない、プロは全力を尽くしてもらいたいと思う

期待が大きかった分、一方的な内容で、残念な将棋になってしまった
私が飛車切りを事前に予想できていた、というのも大きいだろう
全く予期していなければ、おお~!となっただろうけどね

ちょっと余談になるけど、私がもしプロのA級棋士並みに将棋が強かったとしたら、NHK杯も観ないし、
こんなにもプロ将棋のファンにはなっていないだろう 
自分が出来ることを他人がやって見せてくれても「ふーん、そんなの私も出来るわ」の一言で
終わってしまう だから、つくづく将棋が弱くて良かったな、プロの将棋がこれだけ楽しめるんだからな、
と普段から思うのだった これは本音です(^^; 
郷田真隆 九段vs永瀬拓矢 六段 NHK杯 2回戦
解説 森下卓 九段

矢内、黒でビシッと決まっている 今日は郷田と永瀬か 
郷田は昨年のNHK杯、準決勝の羽生戦で大逆転負け、あれは悔しかっただろう
永瀬と言えば千日手、今日はそうならなければいいが(^^;

郷田は1990年四段、竜王戦1組、A級 1回戦シード 22回目の本戦
永瀬は2009年四段、竜王戦4組で優勝 C2 1回戦で堀口弘治に勝ち 3回目の本戦

解説の森下「郷田はずっとトップで第一線を張っている、剛直というか正々堂々、直球一本という感じ
 永瀬は大変熱心な研究家 つい最近まで振り飛車主体だったが、ここ1年居飛車を指していて、
 この3~4ヶ月は居飛車しかやっていないんじゃないか 棋風を転換している」

事前のインタビュー
郷田「永瀬は振り飛車党だったが、最近は居飛車もやっているのでどうなるかわからない
 張り切って、いい対局をしたいと思います」

永瀬「私が先攻する展開になればいいなと思っています
 新人王戦の記念対局で郷田九段に破れているので、今回はリベンジしたいと思っています」

先手郷田で対局開始 ▲2六歩△3四歩▲2五歩の出だしだった
森下は戦型は横歩取りを予想していたが、これは郷田が横歩取りを避けた指し方だった
森下「予想外の展開 そうとう郷田がガマンした この出だしは、研究しないベテランの指し方
 先手としてはやや作戦的に損だろう しかし横歩取りはもう今、研究で9割勝負が決するので、
 郷田は力で来いということだろう」

森下「▲2六歩△3四歩▲2五歩は森内が羽生に対して名人戦で指して、勝ったから、
 みなさんアレルギーがなくなってますけど、負けたら『何をやってるんだ』となる(笑)」

2人の対戦成績が出て、永瀬の1-0ということだった
矢内「リベンジしたいのは郷田のほうですね(笑)」

戦型は、永瀬が振り、角交換で▲美濃vs△穴熊になった
永瀬が穴熊が未完成のまま、3筋から果敢に仕掛けた
郷田が▲7七角と自陣角を打ち、3筋に歩も謝った 永瀬だけ、角と歩を手持ちにしている分かれだ
森下「正直言って、永瀬がポイントを挙げていると思う」

永瀬、次の一手は2筋を受ける手だが、どう考えても△3四飛と浮き飛車にして形良く受けるだろう、
と思っていると、なんと△3三銀と引いたではないか あれ? 何かイヤな手でもあったのか? 
ここは大きな分岐点だった 激指定跡道場3に訊いてみたところ、
△3四飛の場合、形勢0点で全くの互角、△3四飛に▲2四歩とされて、これを△同歩は▲3五歩!で、
さばきあいになるとのこと △2四同飛は飛車交換になって形勢互角とのことだった 
そうかあ △3四飛には▲2四歩△同歩▲3五歩という攻め筋があったのか、
永瀬はそれを気にして△3三銀だったのか

森下が「永瀬流は(4一の金を)△3一金と寄ります」と解説していたところ、これがビンゴ!
永瀬の手は△3一金、当たりだった 
しかし、ここから永瀬の手が、なんだか変なふうになっていく
再度、銀が△4四銀と出たからには、▲2四飛は当たり前の手だ
永瀬は考慮時間を使わずに△2二歩、それに対して▲2三歩も当然の一手
そこで永瀬はなんと4回も考慮時間を投入したではないか あらあら、どうなってんの?

永瀬は大長考の末△7一金と穴熊を固め、森下「はぁ~ この忙しいときに」
郷田はそれならこっちも力を溜めて、といわんばかりに右桂を▲4五桂と躍動
あらー、ここに桂が跳ばれて活躍されては、永瀬苦しいか

永瀬は挽回すべく△6四角と手放したが、この角が▲6六歩~▲6五歩で、狙われてしまった
ここ、永瀬は△4二角と引き上げることになったが、まだしも△7四歩~△7三角とガマンしたほうが
良かったのではないだろうか 本局、もうここで差がかなりついてしまった印象だ
本局、4二の角が全くと言っていいほど働かない、遊び駒になってしまった
(訂正:後日確認したところ、△7四歩~△7三角は▲5三桂成があるのでダメだったんですね)

まだ中盤でお互い考慮時間を使いきり、30秒将棋になった  
森下「ちょっと永瀬が苦しくなった感はいなめない」
そうだよねえ 永瀬のほうには主張がない 穴熊も金銀2枚だから、あんまり堅くない 
森下「いつの間にか、郷田が指せる局面を迎えている」
ん~、永瀬、考慮時間の使い所を間違えたのでは? △2二歩▲2三歩のときに大長考だったからなあ

永瀬は駒の働きも悪い、駒損もしている 玉も堅くない 
あとは手続きか、と思われたが、永瀬は勝負手を放った
郷田が▲2八歩と受けた手に対して、無理やり△2七香の打ち込み! うわ~ こりゃ~すごい(^^;
超、強引だ これには森下もびっくり
森下「ええ~ 初めて見ました、この手は これは初めて見た手ですね~」

だが、郷田はさすが一流棋士、こういう勝負手にも動じなかった 的確に対処した
矢内「永瀬としては、ちょっとずつ体力を奪われている感じですね」
穴熊が受けなしに追い込まれる、典型のような終盤で、郷田の快勝となった
105手で郷田の勝ち

森下「永瀬がポイントを挙げたと思うが、△6四角に対して▲6六歩~▲6五歩が厳しかった
 郷田が力を存分に発揮した」

あー、これは永瀬がちょっと出来が悪かったなあ 森下は序盤は永瀬がうまいことやっていた、
と言っていたけど、本当のところはどうだったのだろうか 
激指定跡道場3では、△3四飛と浮いても互角(0点で全く差なし)、
本譜の△3三銀では+32点と言う事だった 
激指を信じるなら、別に永瀬がうまくやっていたとも言えない 

対抗形では、振り飛車側は中盤で、何か工夫した手が必要になることが多いのだが、
永瀬がそれを見せることができずに、郷田に自然にやられてしまった印象の一局、これは残念だった
永瀬、今後一流棋士の仲間入りをするには、振り飛車では一流のさばき方を見せれるようになって欲しい

これは結果論だけど、本局は穴熊が未完成なまま仕掛けたのは、その後の指し方が
永瀬のほうにとって難しかったということだったのだろう
郷田は、無理ない手を積み重ねて無難に勝った、というように見えた 

ところで、森下は本局を通じて、予想外の手が出ると、すごく驚いていたけど、
来年の電王戦、大丈夫だろうか? 私は永瀬の△2七香なんかは、善悪はともかく、
コンピュータがやりそうな手だと思った
コンピュータなら露骨な手を当たり前にやってくる 今から森下の電王戦が心配だ(^^;
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。