高橋道雄 九段vs川上猛 六段 NHK杯 1回戦
解説 行方尚史 八段

さ~て、今週も楽しいNHK杯の時間がやってきた~ やうたんがいなくなったのは寂しいけど、清水さんでガマンだ(^^; 
今日はタカミチと川上か タカミチはともかく、川上っていうのが地味だな~
大丈夫か でも、川上って、1994年に銀河戦で、準優勝している棋士だ(当時まだ銀河戦は非公式戦)
2回戦で待ちうける、羽生への挑戦権をかけた一戦だ

タカミチは1980年四段、竜王戦2組、B2 前期までB1だったので、予選はシード 34回目の本戦出場
川上は1993年四段、竜王戦5組、フリークラス 加藤、真田、西川慶二に勝ち、6回目の本戦出場

解説に行方が来た! なめちゃん、何気にA級2位なんだよね 渡辺より上!
清水「行方八段は、最近自分探しの旅に出ているそうですが」
行方「私も40の大台を迎えたので、リセットして、また心機一転がんばらなきゃいけないなと(^^;」
へえー、結婚したと思ったら、次は自分探しの旅ですか 順序が逆のような気がしますが・・・

行方「高橋九段ですが、大ベテランと言っていい域に入っておられますけど、将棋は最新形に精通しておられて、若々しい印象です 川上さんは、筋のいい攻め将棋 早見えもしますので、NHK杯はうってつけなんじゃないかなと思っています 居飛車、振り飛車、何でもござれで指しこなす」

事前のインタビュー
タカミチ「今期NHK杯戦では、弟子の中村亮介君がトーナメントに入ってまして、これはぜひ上のほうで師弟戦をやりたいな、というのが一番の願いであり目標だったんですが、残念ながらそれがかなわなくなってしまいましたので、ここは師匠として、大暴れしていきたいと思います」
えー、タカミチ、羽生も森内も倒す宣言とも取れる内容!? まあ、目標は高く持つということかな(^^;

川上「高橋先生は、横歩取りが得意なので、それ以外の戦型で行きたいと思います 勝つと次が羽生先生なので、(羽生先生とは)まだ1回も対局したことがないので、できれば羽生先生と指したいです」

先手タカミチで対局開始 後手の川上の作戦が注目されたが、川上は相居飛車を選んだ
相矢倉模様に進む 川上は右銀を△5三銀右と上がる前に長考、ここ、ずいぶん時間があって、
TVは盤を映してシーンとしたまま 大盤のほうはまだ映してくれてない
銀河戦のほうでは、対局開始直後に、すぐ大盤のほうを映して、解説を始めてくれるよ 
NHKでも、すぐに解説を開始してほしいものだ

行方「川上が5筋から歩を交換し、急戦模様 それに対し、タカミチの1筋の歩を伸ばしていく対策は私は初めて見ました 川上の作戦は、永世竜王をかけた一戦で、渡辺が指してから、よく見かける」

行方「タカミチは、若手の頃は『矢倉の高橋』として、五段で王位を獲得したという、輝かしい実績がある 最近のタカミチは『横歩取り△8五飛の高橋』という印象です」
さらに、行方と清水で「タカミチには弟子がたくさんいて~ 将棋教室をいくつか~ テニスがうまくて~」
という話になったが、「けいおん!」などの萌え系アニメをこよなく愛す、という話は出なかった ・・・なぜだ(^^;

行方「川上さんは、三段リーグを1期抜けした」
へえー、そうだったのか 昔の栄光ではあるが、それはなかなかの記録だね

行方「お互いに満足のいく序盤と思います」
うむ、両者、堅く囲ってこれからだな タカミチの1筋のスズメ指し、どうなるか?
行方「タカミチのスズメ指しが早いか、川上の6筋からの攻めが早いか 攻め合い必至ですね」

うーん、どうしたものか 1筋、すぐに行っても香打ち返されて、飛車死ぬからなあ
かといって、何も攻めないと、後手はどんどん理想形になってくる 長考に沈んだタカミチ
清水「駒がまだぶつかっていないのに勝負所なんですね」
タカミチの答え、それは3筋からいきなり歩を伸ばして動いて行くことだった ほおおー
行方「ひねった手が出ましたね」

そして、川上も考えにくい手で返した この歩を取り込ませて、銀を逃げておく、というやり方を見せた
行方「人が浮かびにくい手を指すのが川上流 しかし、さすがに先手ペースではないか 3四の地点に拠点ができたのは大きいです」
んー そうなのか この行方の大局観をどこまで信用するかだが、A級2位の人の言葉と思えば、ずいぶん重いものがある 行方も偉くなったなあ(^^;

ここでタカミチが右銀を自玉にひきつける、という渋い手を指す おおー、一転して受けにまわったか
したらば、ここで川上、じっと9筋の端歩を突いたではないか ええー そんな手がある? 
ほぼ一手パスということか ここから自陣の整備に入る両者
行方「あんまり見たことない展開になってますね」

だが、そんな、自陣の整備合戦は、タカミチの思うところだったようだ 手裏剣の歩が飛んで来た
川上の銀のわき腹に、ビシッと命中! うわ、これで銀が動けない・・・
行方「先手は、いよいよ溜めに溜めた力を吐き出す時が来ました」
ここはこの一手、と呼べるタカミチの4筋の突き出しが、盤上を切り裂いた!! 
ゴゴゴゴ、ズバァーーン (脳内で再生された効果音)

一気にタカミチの駒が全軍躍動の状態に、遊んでいた2九の桂で両取りをかける気持ち良さ
行方「これは先手にとって、こたえられない展開です 形勢判断の3要素、駒の損得、手番、玉の堅さ、すべて先手が優っている」

これはタカミチの会心譜コースか このあと、グダグダな寄せにならなければ・・・ 最短で勝てるか?
行方「はああ! これが高橋流ですか なるほど これでじわじわと押し込んでいくのか」
こう言わせたのは、6段目に歩を打つ、一見重い歩 これが思った以上に好手だったようだ

徐々に迫っていくタカミチ、そして、飛車を見捨てた! 清水「ああー」 行方「おおお ギアを変えて」 
おおっ、見切ったか? いけ、タカミチ、このまま最短でいけーー

どんどん迫っていくタカミチ 金銀2枚の攻めだが、歩の応援が利くね
川上、飛車を打ち込んだが、どうも手つきが投げやりだ 
歩での攻めが厳しい、駒得しながらの攻めになっている
攻めが筋に入ってきた そして103手、川上、投了! やったああーー タカミチ、会心譜!
先手の矢倉は全く無傷だった

いやー、タカミチ、途中からは完璧だったんじゃないの? 
途中からは、矢倉崩しの手筋講座と化した今回の一局だった

行方「高橋九段の矢倉のうまさ、呼吸の取り方が非情に手馴れてるなと思いましたね 川上さんとしてもどこかで攻めかかるチャンスがあったのでしょうが、それを逃したのが悔やまれるところでしょうね」

タカミチ「3四を取り込めたんで、少し辛抱しても、という気になった」
そうだったよなー、タカミチの大局観の正確さが光った! 
3四取り込んだ後は、受けに回るのがいいのでは、というのが行方の言っていたことだ
行方、さすがA級2位、いい大局観だった

タカミチの好手オンパレードで、もう後は一方的な展開だった タカミチファン垂涎の棋譜だろう
川上にすれば、切られ役に終わってしまった・・・(^^; 
羽生への挑戦者決定戦、見事勝利したタカミチ ただの勝利じゃない、会心譜だったので、羽生戦でも期待できるね パチパチパチ  羽生vsタカミチが今から楽しみだ
快晴にめぐまれた本日、岡崎将棋まつりの日だ
だが、私は前述のとおり、抽選にハズレてしまい、席が取れなかったので、
午前中のフリートークだけ見てきました
岡崎城のそばにある、能楽堂(のうがくどう)で行われました

司会の石田和雄九段「それでは、トークショーを行います
森内俊之竜王名人、よろしく~(パチパチパチ) 久保利明九段です~(パチパチパチ)
今人気絶頂の香川愛生女流王将でございます(パチパチパチ)」

石田「森内竜王名人は、この岡崎将棋まつりに来て、名人戦、負けたことがないというジンクスを持っています 久保さんは、こんな強豪を見落としていたか、岡崎は初めてということでね 香川さんは、あの強い里見さんからタイトルを奪い、今20歳か21歳かな」
森内「今すごく忙しい時期なんで、一日一日、あっという間です」
久保「私は今対局がない(笑) 対局をしたいです イベントで色々呼んでもらえるのはいいことだなと」
香川「私は大学にも行っているので、昨日、おとといと、授業を受けてから岡崎に移動でした」


香川「昨年、甲斐女流二冠が、A級棋士(深浦)に勝ったのが、私はすごいなと思ったんですけど」
森内「私はその対局、近くで見てました 私も気をつけようと思いました(笑)」
久保「関西会館の講習会では、女流は対局で勝って、感想戦でも勝ってますから」

香川さんから森内、久保の両者に再び質問で「ご家族とどう過ごされてますか」という質問
森内「1年トータルすると、一般の方より家に居る時間は長いので」
久保「対局以外ではよく家に居るので」
石田「この2人は、家ではいいお父さんでしょう」
ここから石田九段「私はけっこう忙しくて~」と話が続いたが、省略させてもらいます(^^;

ファンのみなさんから質問受付のコーナー
Q初手の中で、価値が低い手はどれだと思いますか?
森内「やはり▲8六歩じゃないでしょうか これはここの4人、一致するんじゃないでしょうか」
久保「私はやられるかもしれませんね(笑)」

Q昨年度のプロの全体局の中で印象に残った一局は?
森内「A級順位戦の最終局の三浦vs久保 終わるかと思ったら、全然終わらないんです」
久保「王座戦第4局です 千日手も含めて 羽生vs中村太地の、終盤がすごかった一局」
香川「三浦vs久保です 私も見てました」

Q電王戦について
石田「私なんか10年後、ロボットに介護されてるかもしれない」
森内「これからどうなっていくのかわからない 谷川会長の意向に従いたいと思います」
久保「事前に何百局と練習しないと勝てないんだろうなと思います」
香川「コンピュータとこれからどう関わっていくのかを問う機会だった いい将棋が見れた これからも見ていきたい」
石田「なるようにしかならんですね、これは」

Q将棋以外の室内ゲームは?
森内「10年ほど前は麻雀をやっていましたが」
久保「以前、麻雀の大会に香川さんと出ました」
香川「初心者でもいい、健康麻雀ということでしたので」

Q戦国武将だったら、誰が好きか?
森内「家康と言わないといけないんですかね?(みんなの笑いを誘っていた 岡崎は家康生誕の地) 上杉謙信 以前のイベントで上杉謙信と言ったので」
久保「(こちらもなんか、イベントで仮装した関係上)黒田官兵衛で」
香川「私は日本史をよく知らないんで、逆におススメを教わりたいです」 
石田「私は西郷隆盛です」 ・・・それ、戦国の人じゃないですけど(^^;

Q一流の条件
森内「チャレンジ精神旺盛な方が多いと感じます 目先の勝利だけでなくです」
久保「前後際断、この言葉を意識しながらいつも生活しています」
香川「師匠の中村修が、『将棋を指しているときに関わらず、谷川先生の所作を見るのがいい勉強になった』とよく言うのを聞いている ・・・なんかそんな感じのことを言ってました(^^;

Qニックネームについて
森内「鉄板流と言われるんですけど、自分はそんなに手堅い棋風とは思っていないですけど、せっかくつけてもらったんで、まあ何でもいいかと思ってます」 会場、爆笑
石田「久保さんは、さばきのアーティストて呼ばれるんだよね 香川さんはこれからだなあ」

こんな感じの30分でした 誰か森内さんや香川さんにいいニックネームをつけてあげて~ 以上です!
ナインティナインの矢部さんと、マツコデラックスさんが司会の番組「アウトデラックス」に、
竹部女流が10分ほど出演していました
竹部女流は「言葉にトゲがありすぎる女流棋士」というタイトルがつけられていました(^^;

矢内さんのツイッターで、矢内さんが「眠いです」と書いたのに対し
竹部さんが「永眠してください」と返した、とのこと
その後、ツイッターが炎上するも、竹部「炎上とは言いません、ネットキャンプファイヤーと言います」
これは面白かった(笑)

異性に求めるものは?という質問に、竹部「ATMとしての機能」 これも良かったな~
サイン会で、竹俣紅さんと2人一緒で1枚の色紙を書く、というときに、
一文字目を「殺」と書いて竹俣さんに渡したというからすごい(笑) 実際の写真が出ていた
竹部「キラーパスです」 竹俣さんは「菌」と書いて返した、とのこと
竹部「次は『狂』とか『爆』と書いて渡しました」
マツコ「(竹俣さんが何と書いて返したか)全部見たい(笑)」

やっぱり竹部さんは面白いなー 
もし、私が誰か1人、好きなプロ棋士と対戦できるとしたら、竹部さんを選びますね
角落ちで真剣勝負してみたいものです
今年も、岡崎将棋祭りの季節がやってきました 今度の日曜です
ところが、私は抽選にハズレてしまい、定員300人の中に入れませんでした!!orz

岡崎城のそばの、能楽堂(のうがくどう)というところで公開対局のイベントが行われるのですが、
そこはキャパシティが限られていて、毎年、300人しか入れないんですよね

抽選は、事前に往復はがきを出して行われるのですが、私のところに返ってきたはがきには、
無情にも「落選」の2文字がorz あああああああああーーーー
(去年は有料の前夜祭があり、それに参加した人は優先して入場できたのです 今年は前夜祭なし)
まあ、よくハズレるんですけどね、この往復はがきによる抽選はね

私が観れるのは、午前中の30分間のフリートーク(当日先着300人が入場可)だけです 
午後のイベントには参加できません 
今年は、室谷由紀女流vs室田伊緒女流、勝又六段vs香川愛生女流王将
そしてメインイベントに久保九段vs森内竜王名人というものでした

ああああーーーー 観たいよーーー 私は、香川女流がかわいいなーと思ってるんです(^^;
でも観れないよーーー あーー、私なら棋譜を採って、どんな様子だかルポできるのに・・・

いわゆる「関係者」なら、コネで席が確保できるのかもしれません
ただの「一ファン」であることが悲しいorz
(でも、「関係者」になってしまったら、色々なしがらみや責任がついてまわって
とても大変そうなので、私は「一ファン」というスタンスでこれからもやっていきます) 

せめて、午前中の30分のフリートークの様子だけでもルポする予定ですので、
今度の日曜はNHK杯の更新が遅れます NHK杯の更新は月曜にするかもしれません
竹部さゆりさんが、フジテレビの『アウト×デラックス』に木曜の夜に出演するようです
23時~23時30分オンエア とのこと

おとといには、豊川さんが民放の有名番組に出演していて、ダジャレを飛ばしていたそうじゃないですか
私は見逃しましたorz だって、何も情報がなかったんだもん 妹からのメールで知りました
「同飛車大学」とか「両取りヘップバーン」とか言ってたとのこと(笑)
金井恒太 五段vs阿部光瑠 四段 NHK杯 1回戦
解説 村山慈明 七段

今日は若手どうしの一戦か 激しい攻め合いが観れるかな
金井27歳、光瑠19歳、そして解説の村山29歳とのこと

金井はサウスポー、オーストリアのウィーンの生まれとのこと ここは事情を聞いてみたいものだ
金井の顔立ちからは、何か平民とは思えない気品が漂っている(笑)
2007年四段、竜王戦5組、C1 予選で田丸、伊藤能、戸辺に勝ち 4回目の本戦出場

光瑠は2011年四段、竜王戦6組、C2 成績優秀のため予選免除 3回目の本戦出場
こちらは青森の生まれとのことで、顔立ちから朴訥(ぼくとつ)さが漂っている(笑)

解説の村山「金井は本格的な居飛車党 指し手も格調高い 攻守のバランスの取れた棋風
光瑠は実戦的な指し手が多い 相手のイヤなところを突いてくる 早見え早指しで、今勢いのある若手 居飛車も振り飛車も指すオールラウンダー、攻め将棋」

事前のインタビュー
金井「阿部さんは早見え早指しで勢いがあって、特にこうした短距離の戦いに力を発揮するな、という印象です 阿部さんが最近戦術の幅を広げてまして、私がそれに対応という形になるかなと思います
NHK杯で後輩と対戦するのは初めてなんですけど、彼の勢いに負けないように自分の良さを出したい」

光瑠「金井さんはとても誠実な居飛車党という印象です 自分が飛車を振れば対抗形、居飛車だったら相居飛車だと思います 一つでも多く勝てるようにがんばります」

この2人は2年前に一局だけ対戦があり、先手光瑠の先手一手損角換わりで金井が勝っているとのこと
さて、先手金井で、戦型は横歩取りになった
村山「光瑠が後手番で横歩取りを誘うのは、けっこうめずらしい」
光瑠と言えば、第2回電王戦のときには、「自分は横歩取りはできないんで」と言っていたが、もう克服したのだろう さすが若手、1年で進化するね

後手の光瑠は例によって△3三角型で、△5二玉の中住まいにしている
村山「この形は、後手の指し方の幅が増えたのが、プロ間で広まっている理由」

光瑠、再度8筋の歩を交換する手筋で、飛車を中段に振り回している
ちなみに私はこういった指し方が全くできない(^^; 飛車は玉より大切な駒だと思っているので、飛車が狙われがちになるこういう手は真似できないのだ

角交換になり、光瑠はさっそく飛車をぶっつけて、飛車も交換になった
村山「一番強い手で来ました ここからは激しくなりますね」

金井は自陣に歩を打ってキズを消しておき、両取りに中段に飛車を打った
光瑠はそれを防いでの角打ち、これはどうなってるんだ・・・ 形勢判断の難しい将棋だ

と、ここで光瑠に才能きらめく一手が出た 取られるであろう桂を、不成でタダ捨ての一手!
うおお、こんな手が? 取らせて形を乱し、飛車を打ち込むスペースを作り出そうということか!
村山「これは奇手(鬼手の字かも)です 金井も読んでなかったでしょうね 力の入った攻防ですね」

この一発がヒットしたようで、光瑠だけ飛車を敵陣に打ち込んで竜を作ることに成功した
村山「光瑠がうまく攻めている印象 桂不成の奇手が効いたか」

大駒だけで話が進んでいるわけではなく、お互いに歩を使った細かい手が随所に出ている
清水「横歩取りというと、駒台に歩がたくさんあるイメージなんですが、お互いに歩切れですね」
村山「それだけ歩の手筋が盤上に現れてますね」

双方、考慮時間の残りが2回ずつか これからいよいよ寄せ合いだろう 光瑠が押し切るか?
村山「まだ一山も二山もあるが、お互いに早指しでもミスが少ないですから」

光瑠、香を入手し、金井の歩切れを突いての香打ちで銀取り これは厳しそう これは金井、苦しいか
したらば、金井、なんと銀を端に逃げた! うええー 玉の一路横の筋に香が直射、こえーー
清水が思わず、「かわし!」とびっくり そうだよね
村山「んー これはけっこう怖いですね 竜も香も直通ですから
 しかし、金井の表情は変わらないですね 苦しいという感じは見受けられないですね」

ところが、光瑠、今打った香の前に桂を打って攻めたのだが、これがどうだったのか 
香が働かなくなってしまったではないか?
村山「金井からも攻める手があるので、光瑠もゆっくりしてられない 金井はうまく粘っている」

お互いに銀を取り寄せ合いに、そして光瑠はその銀を、またしてもさっきの香と桂と同じラインに
打ったではないか ええー、これ、大丈夫? 香、桂、銀が大渋滞しているように見えてしまうんだけど?
そしてその私の心配は当たり、光瑠、攻めが続かなくなってしまった
村山「形勢、逆転したと思いますね 光瑠は自陣の角が狙われる駒になってしまっている 金井玉に迫る手も見えない」

ここからの金井は、非情~に落ち着いていた 
竜、馬といった大駒を好位置に動かす手で、村山を「盤面広く見てますね」と感心させた
一方の光瑠も自陣に持ち駒を投入、バリケードを作って長引かせ、さらに入玉狙いで必死に粘って抵抗
双方、相手の狙いを消す手の応酬、どっちも決め手を与えない
村山「金井の手は、相手に何もさせないという手ですね」

金井はさらに、ポツンと隅に残っていた光瑠の銀を、2手かけて取りにいった、うわ、そこまでやる!
でも、流れがそういう風になっているよね もうどっちの玉も寄らないもん(^^;
村山「金井は激辛ですね こういう棋風だったかなあ」
清水「NHK杯は人を変えますか」
うむ、ある程度変えるだろうね 1回負けたらそれで1年終わりだもんねえ

長い展開だ 相入玉もあるかもしれない そうなったら大駒4枚全てを持っている金井の勝ちだ
村山「金井は何十手前から指し方が一貫している 光瑠に入玉させても、点数で圧倒的に勝ってしまおうという方針です」

金井は駒をたくわえながら、自玉の形を整えるという、絶対負けないぞ宣言だ
清水「石橋を叩いて渡らない、という慎重さ(笑)」
村山「私が光瑠ならとっくに投げてると思います(^^;」

もう大勢は決したと思われた しかし、光瑠が相手の大駒を攻めながら金井玉に迫るという、最後の抵抗を見せ、おっ、ちょっと怖い、と思えるシーンがあった
もう金井としては圧倒的に勝ちなので、何もさせないで勝ちたい心理になるところだ 
が、それが危ないのだよね 金井は冷静に光瑠の攻めを振りきり、今度は逆に光瑠玉を寄せに行くという選択支もあったのだが、結局、相入玉の道を選んだ 
村山「光瑠が投げきれないのは、自分のほうが良かったのに、という気持ちがあるんでしょうね」

金井の駒台には駒が満載、数えたら17枚も乗っていた(笑)
村山「昔、タイトル戦で駒台に駒があふれて、駒の上に積んだみたいです」

金井の玉が3段目に入玉した時点で、光瑠がついに投げた 223手で光瑠、投了 長かった(^^;
村山「24点に満たないほうが負けなので」
点数を数えてみたら、光瑠は15点しかなかった さらに、そのうち2枚は取られそうな駒だった

村山「光瑠が桂不成の奇手からペースを掴んだと思うが、金井がうまく粘って逆転に成功した
 良くなってからの金井の落ち着いた指しまわしが光った」

金井、強かったなあ 不利なときも、有利になってからも、表情が全然変わらないんだもん
終盤は、手が広くて何を指したものか、というシーンが多かったが、
非常に冷静に好手を連発していた印象だ
光瑠にしてみれば、あの香打ちまでは良かったはずだけど、香、桂、銀を同じ筋に打ってしまい、攻めが重くてそれが原因で悪くなったんじゃないだろうか 長く粘ったけど、金井が強かったね

金井は延々秒読みの中、よく集中力が続いたなあ 私がプロの対局を観ていて、毎回のように感心することのひとつだ  金井が先輩の貫禄を示した一局だった 観たみなさま、お疲れ様でした(^^;
今期の銀河戦、最近私は楽しく観戦しています
現在、7回戦まで放送が終わり(A~Hブロックで各11回戦まで)、そろそろ強豪が登場する頃です
誰が勝ち残っているか、書き出してみようと思います

<Aブロック> 田中悠一四段が怒涛の5人抜き中で、決勝トーナメント進出を決めている
 次の相手は窪田六段 窪田の変則将棋が観れると思うと楽しみだ
 その後は広瀬八段、行方八段、稲葉銀河という顔ぶれがひかえている

<Bブロック> 坂口五段が3人抜き中 中飛車の著書がある坂口、全て中飛車で勝っているのは立派
 (3局中、2局は相振り) 次の相手は森下九段 
 森下は電王戦では負けたが、いいところを見せられるか
 その後は畠山鎮七段、高橋九段、羽生三冠がひかえている

<Cブロック> 永瀬六段が3人抜き中 この若手も注目人物だ 次の対戦相手は、あの豊島七段
 8回戦では、全ブロック中、一番の見ものだ 今からワクワク、楽しみだ(^^)
 その後は鈴木大介八段、深浦九段、三浦九段がひかえている 

<Dブロック> 佐々木慎六段が福崎九段に勝って1人抜き中 
 その福崎は、3人抜きしていた村中六段との将棋では、 素晴らしい指しまわしの会心譜で、
 「妖刀」健在を見せ付けた一局で、特筆ものだった 
 佐々木慎はC1で昇級を果たしている その佐々木慎の次の相手は戸辺六段 これも好カードだ
 その後は丸山九段、谷川九段、郷田九段がひかえている

<Eブロック> 中村太地六段が2人抜き中 南九段に勝ったのだが、ギリギリの逆転勝ちだった
 高見四段は中村太地に負けたが、3人抜きしたので決勝トーナメントに行ける可能性はまだある
 中村太地の次の相手は佐藤天彦七段 これも好カード 好カード目白押し状態でうれしい(^^)
 その後は藤井九段、橋本八段、森内二冠がひかえている
 
<Fブロック> 田村七段が澤田五段に勝って1人抜き中 このブロックは澤田の2人抜きが最多で、
 誰が決勝トーナメントに出るかわからない 田村の次の相手は畠山成幸七段 
 その後にひかえているのも、飯塚七段、松尾七段、屋敷九段というちょっと地味なメンバー(^^;

<Gブロック> 阿部光瑠四段が4人抜き中で、決勝トーナメント進出を決定している
 門倉四段、横山六段、糸谷六段、阿部健治郎五段というメンツを破っての4人抜きは見事
 次の相手は野月七段 野月の将棋は攻め100パーセントなので、観ていて楽しい 
 その後は木村八段、山崎八段、渡辺二冠がひかえている

<Hブロック> 村田顕弘五段が3人抜き中 
 富岡八段戦ではほぼノータイム指しという芸当を見せ、投了まで追い込んでいた
 真田七段戦は今しがた放送があったのだが、横歩取りの超急戦でいきなり終盤、という激しい研究将棋
 真田のクソ粘りをものの見事に撃破したのは圧巻だった これで2013年度の勝率を7割に乗せた
 関西若手四天王と呼ばれたが今まで目立たなかった村田顕弘、覚醒か(他は豊島、糸谷、稲葉)
 次の相手は安用寺六段 その後には阿久津八段、久保九段、佐藤康光九段がひかえている


各ブロック、結果だけ見ると若手が順当にベテランに勝っているように見えるのですが、
対局の中身はスレスレで勝っている印象です (たまに例外もあるけど)
7回戦終了時点で、勝ち抜いているのは、田村を除けば、全て若手という、まさに実力の世界、
下克上のプロ将棋界! 色々な人が出てきて色々な戦法を見せてくれて、楽しいです
解説者にも、室岡七段なんかが出てきちゃったり(^^; 他の局では室岡さんは観れませんよ(笑)
今期は若手が特に元気で、ベテランもなかなか簡単には勝たせない、
という面白い対局が多い印象がします 銀河戦、これからも熱戦を期待してます! 
2014.04.14 情熱大陸
観たけど・・・ やっぱり、負けた棋士の姿を見るのは、つらい! 見てて、つらかったです
そんな中、豊島には、救われた 豊島が1勝しててホントに良かった
貸し出しされたYSSなどの画面が見れたのが、私には好ポイントでした
それにしても豊島が研究してた部屋は、きれいに片付いていたなあ 私の部屋とは真逆(笑)

こうなってくると、第4回はあるのか、が注目ですよね
私は、もうプロは撤退したほうがいいと思います 実際、もうコンピュータには勝てないと思いますし、
たとえ一時期だけ勝っても、勝てる人がいなくなるまでやり続けるハメになりますもん
結局、いつ撤退するか、なんですよね もう今が潮時ではないでしょうか?
田村康介 七段vs稲葉陽 七段 NHK杯 1回戦
解説 中田功 七段

昨日の電王戦の敗戦も癒えないままに、今日はNHK杯だ 田村と稲葉か 田村の早指しが観れるかな

田村は1995年四段、竜王戦3組、B2 予選で岡崎、藤倉に勝ち 10回目の本戦出場
稲葉は2008年四段、竜王戦2組、B2 昨年度の銀河戦優勝のため、予選シード 2回目の本戦出場

解説のコーヤン「この2人は年齢が一回りくらい違うんでしたっけね(ちなみに、田村38歳、稲葉25歳) 両者早指しが得意で、実績がある(田村は2003年度の新人王)  田村さんは、人柄はけっこう優しくて、きっぷのいいタイプ 将棋も思い切りがいいです
稲葉さんはスポーツが得意みたいで、落ち着いていて、実力がありそうな感じです」

事前のインタビュー
田村「稲葉さんはすごい早指しが得意で、攻めが鋭い印象です 先手番だったら中飛車で行こうと思っているんですけど、後手番だったら作戦を立てていないので、出たとこ勝負で(笑) 稲葉さんとは1回対戦して40手くらいで負けちゃったと思うんで、1回戦突破を目標にがんばります」

聞いていたコーヤン「田村さんは今日は100手指すって言ってたんで、がんばるんじゃないですかね」

稲葉「田村さんは早見え早指しの棋士、勢いにのると手がつけられない棋士だな、という印象です 僕は基本的に居飛車を指すつもりなんですけど、対抗形や相振りももしかしたらあるかもしれない 今日は積極的に指したいと思います」

先手田村で、宣言どおりの中飛車 対して稲葉は、三間に振った 相振りだ
ちなみに、相振りで中飛車は少し損というのが常識だ 中央を攻めても、相手の守りが手厚いのだ
清水「相振りは、公式戦では出現頻度は?」
コーヤン「最近、増えてきてるんじゃないですかね」

先に手を止めたのは田村 稲葉の1筋の端歩の打診に、受けるかどうか考えている
田村にしては、序盤からけっこう長考だな、と思いきや、田村は左香を上げた!
狙いは飛車も9筋に回し、端から攻めますよ、ということだ 美濃に囲って戦機をうががう両者
したらば稲葉が「俺が先に攻める」、とばかりに、角交換から、桂を2つ跳ねて、
もうさっそく攻めてキター 一気に緊迫する盤上 飛車、角、桂だけの攻めだ 成立しているのか?

稲葉が馬を作って攻めの継続をはかるが、田村も角を打って受けた・・・ 田村の桂得になるのか?
と思ったら、ここで稲葉に奇手が飛び出した
飛車を、相手の銀の利きに横に一マス移動! なんと、銀の利きに!
清水「わざわざ銀が利いているところに!」
コーヤン「一目、いい手ですね」
うおっ こ、これは盲点 稲葉の才能、炸裂!!
これで流れは稲葉のものだな 見えないな~、この手は・・・ 

コーヤン「稲葉としては、自玉が美濃で堅いので、攻めがつながればいい」
馬と飛車を両方、叩き切って、攻めかかる稲葉 持ち駒の角を上から打ったのがまた良い手だったようだ
田村玉、美濃囲いのコビン攻めをされ、厳しそう~ 大丈夫か、田村! また40手で投了じゃないよな?
コーヤン「形勢はまだ難しいんじゃないですか」
そうか、まだ難しいか たしかに、歩が攻めに参加してないので、攻めもギリギリか

田村、苦しいかと思われたが、自陣の金を力強く上がって、コビン攻めを受けた
清水「おお、盤上の駒を活用するんですね」 
コーヤン「強い受けですね」
だがしかし、すべてバラバラに精算され、田村の玉は丸裸状態 自陣に駒がほとんどない(^^;
田村の持ち駒は飛、角、角、金、銀、桂と、超豊富だが、歩がない
稲葉に飛車で王手されたとき、歩の合駒がないのだ うわー、つらそう・・・

コーヤン「稲葉玉は堅いですねえ」
清水「田村さんは、まだ考慮時間が半分あるんですけど」
コーヤン「田村さんはいつもフォームが変わらないので、負けるときはそういう負け方をすることがあるんです 『たまには時間を使えばいいのに』って田村さんに言ったことがあるんですけどね 田村さんは『考えるのが嫌、自分には、向いてない』って言ってました 『よくプロ棋士になれたね』と私が言ったら、『自分でもそう思う』ってそんなことを言ってました(笑)」

コーヤン「攻め将棋どうしだと、お互いに力を出し合って攻め合いになることは少ないんです 逆にね 相振りは特に、どちらかが一方的に押し切るパターンになりやすいですから」

飛車を召し取られた田村、どう見ても苦しそうだが、盤上中央まで玉を逃げ、囲いを再構築させるべく、駒を投入してがんばっている まだ粘れ、田村! 簡単に勝たせるな~
コーヤン「田村さん、苦しいです 手付かずの美濃囲いは堅いです」
稲葉の玉が、△7一玉型というのがいい形、とのことだ 
△8二玉型だと、角のライン+吊るし桂の攻めで狙われる、とのこと なるほどな~
コーヤン「美濃囲いで、一番大事な駒は6四の歩なんですよ その攻め筋を防いでいる」
さすがコーヤン、美濃囲いに関しては一家言あるね

田村のほうが先に考慮時間を使いきり、もうダメムードが漂った
コーヤン「角頭に歩を打たれて催促されたら、もう田村は指す手がなくて投了するかも」
と、そんなこと言っていたときだった なんと、稲葉が手順前後で、後から歩を打ったではないか
田村にうまい攻めの一手、勝負手の角打ちが出て、なんか怪しいムードに!?
コーヤン「まだまだわからないですよ」 ええ? 大丈夫か稲葉? 
おおおお、これがわからなくなるのか ど、どうする稲葉 秒読みだ 5、6、7、8、9・・・

9、まで読まれて稲葉が指した手は、自陣に角を壁駒として投入する、根性の一手! うわーー
すげーー こんな手、よく指せる!! 9まで読まれて、私なら切れ負けしてるわ(^^;
コーヤン「すごい手ですねえ この角は誰も読んでないでしょうね」
この手を見た田村、思わず「うわー」と声を発した
コーヤン「稲葉さんも、何やってんだ俺は、っていう表情ですね」
面白い、これぞ人間どうしの戦い、楽しい!

まさかの逆転があるかと思われたが、まだ稲葉に勝ち運があったようだ
というか、根性の自陣角で、稲葉が自力で残した、というほうが正しい
稲葉はその後、丁寧に攻め、着実に寄せていった 田村としては、もうこれといった手がなかった
ひたいに手を当て、目をつぶり、うつむく田村
コーヤン「美濃囲いの堅さが残っていましたね」
100手ちょうどで、田村の投了となった 田村、偶然だろうが、宣言どおり100手までがんばった(^^;

コーヤン「どちらが先攻するかというときに、稲葉さんが桂跳ねからうまく攻めて、攻めをつなげた一局と思います」

感想戦では、田村「桂跳ねくらいならなんとかなると思ったんですが、銀の利きへの飛車寄りをうっかりして、そこからダメにしました 飛車寄りは驚きました」
うむ、あの飛車寄り一発で、流れが稲葉に傾いたね あれはお見事としか言いようがない
でも、終盤、手順前後であわや、といったアクシデントが発生したのも面白かった
稲葉の自陣角、あれはよくぞ指したものだ 田村も負けたけど、よく100手まで粘ったよ
展開的に、40手で終わっていてもおかしくなかった(^^;

それにしても、先週に引き続きだけど、やっぱり人vs人はいいなあ 人が勝つから(笑)
ミスする楽しさ、逆転の楽しさも期待できるしね コンピュータのミスしなさ加減と言ったら・・・
コンピュータも、秒に追われて、電王手君が9で指すところも観たかった

田村は早指しだけど、けっこう10回の考慮時間は使い切って終わっている印象がある
大きく残して終わることがある糸谷とは、そこが違うところだね
稲葉が銀河戦優勝者の名に恥じない一局で、見事に2回戦進出を決めた一局だった
2014.04.13 Ponanzaの勝ち
屋敷、終盤までよく粘っていた しかし、勝負は非情 最後は力負け
この一局、何をどう見ていいのかが、めっちゃ難しかったです
横歩取りの乱戦で、私は大局観が全く働きませんでした
MVPが習甦になったのは、あの一局が菅井プロの中飛車で、アマチュア向けで
わかりやすかったことが影響していると思いましたね 私も習甦に投票しましたからね

第3回電王戦、プロの1勝4敗ですか 私の戦前の予想、プロの3勝2敗は大ハズレでした(^^;
もう第4回電王戦は、やらなくていいと思います
「コンピュータが結論を出すか」という、事前のうたい文句でしたが、その通り、結論を出したのです
将棋は、コンピュータ>人間 この構図は、もうひっくり返らないですね
今後は、ますますコンピュータが強くなってくるでしょうからね

Ponanzaの作者の山本さんがちょっと言ってましたが、
「昨年のPC10台をクラスタ並列させたものより、今年のPC1台のソフトのほうが強い」とのこと
そんな進歩を、たった1年で!!

渡辺や羽生が負けるところは見たくない! たとえ勝っても「また来年もう1回」となるだけですからね
まあ、そう言いつつも、第4回が開催されたら、絶対見てしまいますけど・・・(笑)
4/13(日) 23時からの『情熱大陸』にて「第3回 将棋電王戦」が放映されるそうです!
情熱大陸HP http://www.mbs.jp/jounetsu/

案外、気付いていない人が多いかも? 見逃さないようにしましょう!!
松尾歩 七段vs 中村亮介 五段 NHK杯 1回戦
解説 郷田真隆 NHK杯

新しいオープニング動画、大して変わりないが、郷田がビシッ!と指して、第64回NHK杯が始まった
清水市代「みなさま はじめまして 清水市代です 今期から司会を務めさせていただきます」
はじめまして、じゃないよ、よく存じてるよ(笑)

トーナメント表、新しくなったなあ おおっ、羽生と森内が3回戦でぶつかりそうだ
そしてなんといっても、大注目なのが、熊坂vs香川女流! これは・・・ なんというクジ運だ
熊坂と女流が対決するとは! 女流側としては、NHK杯での連敗を10連敗で止める絶好のチャンス!
2004年の中井女流以来の、10年ぶりの勝利なるか? 
熊坂にしてみれば、フリークラスに落ちてもうすぐ10年で引退間近、最後の勇姿かもしれない 
絶対注目の大一番だ(^^;

解説には郷田NHK杯か 開幕試合に豪華な人を持ってきたな
郷田「今期は予選で、中堅、ベテラン勢がかなり勝ちあがってきた 私は初出場どうしの、熊坂vs香川女流に注目している」
おおおーー 郷田もその一局に注目してるのか 面白い(笑) 
どうトーナメント表を見直しても、なんかそこだけ弱いものどうしに見えてしまう・・・(^^;

さて、今日は松尾と中村亮介か 角道を止めたノーマル振り飛車が見れるのかな
松尾はB1で毎年昇級候補にあがる実力者、中村亮介と言えば、ハッシーの弟分として有名だ

松尾は1999年四段、竜王戦1組、B1 B1在籍により予選シード 10回目の本戦出場
中村亮介は2004年四段、竜王戦5組、C2 予選で安西、片上、島に勝ち 2回目の本戦出場

郷田「松尾は将棋会館で、顔を見ない日はないというくらい、いつも会館に詰めて対局を検討している 居飛車の正統派、シャープな攻めが持ち味です 
中村は現代的とはちょっと違った、古風なタイプ 先輩思いで礼儀正しい青年 振り飛車の本格派、手厚い陣形を好む 棋風は対照的な2人」

事前のインタビュー
松尾「中村さんとは、お酒を飲みに行くことはけっこうあるんですけど、将棋を指すのはかなり久々です 中村さんは力強い振り飛車で実力のある棋士なので、気を引き締めてがんばりたいと思います 戦型は対抗形になるかなと思っています (NHK杯での目標は)なかなか最近振るわないんですけど、ちょっと思うところがありますが、一戦一戦がんばって指したいと思います」

中村「松尾さんは物静かな方なんですが、周りに流されない、強い意思、闘志を感じます 戦型は対抗形になると思います 観ている方もいらっしゃいますんで、恥ずかしくない将棋が指せればと思います」

今期から、読み上げ係は鈴木環那女流、時計係に甲斐日向三段だ
いよいよ対局開始 先手松尾で、居飛車 対して中村は角道オープン型の四間飛車だ
清水「最近中村五段がよく指されている形のようですね」
郷田「もともとは角道を止める振り飛車が多かったと思うんですけどね」
そうか、もう中村亮介も角道オープン党なのか ちょっと残念だ

雑談で、清水「郷田さんは、あまりパソコンを使われないという伝説を聞きますが、今はいかがでしょう」
おお、いい質問だ 郷田の答えは?
郷田「今は使っています 大変便利です(笑)」
そうか~ もう使ってるか~ ついでだから、携帯とかスマホとか、タブレットとか、何か他の電子機器を使ってるかを聞いて欲しかった 私は未だに昔ながらの携帯しか使ってないです(^^;

中村が四間飛車から向かい飛車に回す、振り飛車側の常套手段を見せた
その間に松尾は9筋の位を取っている 一歩交換があり、お互いに銀冠を目指し、のんびりムード
中村は美濃囲いの玉頭の歩を突いて、これは俗に「ちょんまげ美濃」と言われる、めずらしい形だ

と、その歩突きが甘いとばかりに、松尾が自陣角を放った ナナメのラインで相手の飛車を狙う筋だ
郷田「これは決断の一手ですね」
中村も自陣角で返し、相手の飛車を狙い、お互い様という状態
これは、まあ形勢互角だろう 問題は先手の陣形だけど、一見捕らえどころがないが、
いちおう金銀4枚での守りだ

中央から動きがあり、お互いに中飛車にして飛車が交換になった あ、もう中盤終わりか
中盤がほとんどなかったな(^^; 互いに飛車を敵陣に打ち込み、寄せ合いになった
郷田「形勢は難しく、微妙 プロにとっては、読みがいがある局面」
解説で郷田が、後手の「ちょんまげ美濃」の玉頭にいきなり先手が香を打ち込む筋をしゃべっている
そうか、ちょんまげ美濃、そんな欠点があったか 中村としてはどこかで絶対に底歩を打ちたいなあ

そんな折、松尾が自陣に居た角を中村の角に当てて活用する、機敏な手が出た
郷田「これは味がいいですね! 少し先手が有利に見えてきました ピッタリした感じの手です」
あら、郷田がこんな風に断言するのはめずらしい 中村、何か対応策があるのか?

そしたら、中村、今打ちこんだばかりの飛車を叩き切っていったー うおお、大丈夫か(笑)
で、なんと角までぶった切っていったではないか えええ もう一気のラッシュ!? いけるとは思えん!
郷田「ああ 行きましたね」
これは無理攻めな気がする 9筋の位が大きいもん
郷田「こうなってくると、序盤で突いておいた8筋と9筋の歩が利いてくる ちょっと後手は戦力不足な感じ」
ですよね~ 3枚の攻めだもんね

だが、中村もまだ終わっていなかった 5筋の歩の成り捨てを、ここぞとばかりに決行
清水「はー 歩の成り捨て」
お互いに30秒将棋に突入、ううーん、でも局面をどうするかの権利は全て松尾が握っているね
松尾、自陣の金をじっと寄った手が、冷静な好手 これで中村は困った
郷田「この手は味がいいですねえ」

もうダメか、投了かと思われたのだが、中村、ちょんまげ美濃の歩をもう一つ伸ばす、攻めに出た!
自らの玉頭も危なくなる攻めで、俗に「地獄突き」と呼ばれる勝負手だ
郷田「非常手段ですね 尋常(じんじょう)な手ではダメということで」
松尾、30秒でどう対応する・・・慌てるか?と思われたが、松尾はなんと、飛車打ちで王手して合駒を請求する、という、豪快な安全勝ち宣言! あわー、こりゃー、もう絶対負けない宣言だ(笑)
郷田「冷静な手順かもしれない」

そして松尾、いよいよ決め所と見て、寄せに出た 後はもう手続き、中村がいつ投げるか・・・
郷田が「後手玉は必至」と言ったが、まだ中村は粘った
玉の逃げ道を作った手が、郷田も気がつかなかった手で、お?と思わせる手
おお? これ、まだ捕まらない? 追って追って、あー、読みきれない
清水もまだ読みきれてないようだ 中村亮介、粘ってる もうアカンかもしれんけど、よく粘ってる

だが、郷田がついに「詰んでいる」と断言 えーっと、王手して王手して、えーっと、そうか、
玉が上に来たら、8九の桂が跳ぶ筋で詰みか! 長い詰みだなー!
中村「まいりました」 101手で、中村がついに投げた 数えたら実に(最長の逃げ方で)25手詰み!

郷田「飛車のぶつかりで、華々しい勝負になった 松尾が自陣の角をぶつける活用でペースを握った 最後は手堅くまとめた」

うん、松尾、完全に一枚上手だったね 力勝負で力勝ち、といったところだ
さすがに上位者だった 中村としては、飛車と角を両方ぶった切っていったのは、さすがに乱暴だったね
感想戦でも、中村「(攻めが)余されてしまいましたね」ということだった
飛車を切る前の、飛車打ちがそもそも問題だったということだ 
最後の即詰みは、追い詰めとはいえ、やはり見事 長手数の即詰みを観ると、気持ちがいい

司会の清水さん、普通に安定していて、落ち着いて観れる この調子でがんばってもらいたいです
郷田さんに「コンピュータは使ってますか?」というナイスな質問があった 
これからもそういう質問をしてもらいたい
読み上げのカンナちゃんも、天職と言えるね 声がすばらしいからね

私の友人Nは、松尾のことを「私(ギズモ)を1000倍強くした棋風」と言った
今回も参考になる手筋がけっこうあった 角のぶっつけ、ああ指すものなんだね

それにしても、NHK杯は、絶対に人が勝つから、いいわー
電王戦は、人が負けるんだもん(^^; 敗北感があるもん
今期もNHK杯の記事を書いて、プロ棋士の勝負を追いかけていきたい! 心機一転でGo! Go!
ニコニコ動画をずっと見てた 森下に主導権が回って来たときもあったのだが・・・
森下では荷が重かったかorz 残念
ただ、藤井の解説は面白かった 
「森下さんは、若い頃は、朝5時に起きて水垢離して、7時から棋譜並べ
 朝7時から寝る行方君とは、えらい違いだ」 これは笑えた
「もし自分を模して作ったソフトが相手なら、(逆転が期待できるので)私は終盤粘りまくります」とか(笑)

これで、プロ棋士から見て1勝3敗 豊島が勝っていて本当に良かったなあ
私の事前の予想「プロの3勝2敗」というのは、ハズレた
ハード1台、そして事前にソフトの貸与があっても勝てないのか う~ん つらい
屋敷~ 最後は頼むぞ~ でも相手のponanzaは強そう! 屋敷、がんばれ~
怒濤の関西将棋
谷川浩司著 角川書店発行 2014年3月初版発行 800円+税
評価 B コンセプト<連盟会長の谷川浩司が、関西将棋の歴史を振り返る>

棋書レビューです この本、符号はほとんど出てこない、図面は一切出てきません 完全な読み物です
対象は、プロ将棋界のファンですね 
関東の棋士はどうのこうの、それに対し関西は~といった話なので、プロ将棋界に興味がない人が読んでも、そんなに面白くないと思われます

阪田三吉、升田幸三、大山康晴といったところから話が始まっています 
よくまとまっていて、文章も読みやすくてスラスラ読めます

しかし、じゃあ、どこが特に面白かったか、と言われると困るんですよね
谷川会長にしか書けない文章、というのが、少なかったです
もっと、会長職の大変さとかを知ることができたら良かったんですけど、それだと題名と中身が違ってきますしね

P100より抜粋 「私の持論だが、将棋の棋士には『勝負師』『芸術家』『研究者』の三つの側面がある。 強い棋士は、その三つの素質を三分の一ずつバランスよく持っている。」
・・・んー、これも、私はすでにどこかで聞いたことがあったような気がします

最近の話、山崎隆之、豊島将之、糸谷哲郎、里見香奈といった名前も最後には出てくるのですけど、私はすでに知っている話がほとんどで、NHK杯の時に解説者が棋士紹介や雑談でしゃべるレベル以上の話は、書かれていませんでした 

そう、よくまとまっていて読みやすいんですけど、特に目新しいことは書かれていないんです(^^;
んー、私がもうマニアすぎるのかも? でも「関西将棋」っていう、マニア向けのタイトルだしなあ
プロ将棋界の歴史を調べて、こういう本を書けるっていうのは、会長としてはいいことなんですけどね

谷川会長には、B1からAへ復帰する、とか、まだまだプレーヤーとしてまた活躍してもらいたいものです
谷川会長51歳、ここからレジェンドになってください!
将棋指し57人の日常
著者の記述はなし 週刊将棋編 1540円+税 2014年3月初版発行
評価 B コンセプト<プロ棋士約50人に「自分の好きなもの」についてエッセイを書いてもらった>

棋書レビューです 2012年~2013年に週刊将棋に掲載された連載をまとめた本です
約50人もの棋士が、一人基本3ページ書いています 面白いものから、そうでないものまで色々です
図面なんかは、いっさい出てきません 表紙の盤駒の写真は、中身と合っていませんね(^^;

冒頭で、アニメ好きの高橋道雄九段が「『けいおん』にハマった。それも半端なく。」と書いておられます
私もじゃあ、ちょっとチェックしてみようと思ってYou Tubeで調べてみましたが、一瞬でアウトでした(笑)
この、モロに萌え系キャラ達の発するキャピキャピの声は、私の手には負えないです・・・(^^;

他で面白かったのは、佐藤天彦七段の宇宙戦艦ヤマトへの熱い思い、
杉本七段の、ウルトラマン人形を使ったほほえましい子育ての話、
そして西尾六段の、エレキギターの話です 8本ものギターを所有している理由を他人に熱く語ると、
完全に無視されるというくだりは笑えます

この本、とにかく色々な話が出てきていて、そしてすぐその話が終わり次の人の話、なので、
あー、もっと話の続きが読みたいのに、となってしまいます 一人当たり3ページは短い!

そして値段が問題です なぜ、税込みで1600円以上もしてしまうのでしょうね 高いです
それが評価Bにした大きな理由になっています 

読んだ後、強く思うのは「自分の趣味を他人に押し付けてはいけない、好きなものは人それぞれ」
ということです クラシック音楽、落語、ワイン、茶道、香水、城めぐり、もうホントバラバラですから(笑) 

期待しすぎず買うのがいいです そして、5分単位くらいの空き時間にちょっとずつ読むのが吉ですね