大石直嗣 六段vs稲葉陽 七段 NHK杯 2回戦
解説 糸谷哲郎 六段

清水「日曜のひととき、究極の好手、妙手の数々をお楽しみください」
例によって、清水さんのハードルを上げてしまう発言から、今週もNHK杯が始まった
今日は若手どうし、大石と稲葉か 大石は前期NHK杯で羽生を破ってベスト4、稲葉は前期銀河戦で優勝
という、輝かしい実績を引っさげての2人の登場だ 視聴者の期待に応えてくれるか?

大石は2009年四段、竜王戦4組、C1 前期ベスト4により予選シード 24歳
稲葉は2008年四段、竜王戦2組、B2 1回戦で田村に相振りで勝ち 26歳

解説に糸谷が映った うわあー、なんか顔がぷっくりしてる 明らかに太ったな!
まだ25歳というのに、もう中年太りか(^^; 糸谷は現在、竜王戦の挑戦者決定戦を羽生と争っている
あと1勝で挑戦者になれるところまで来ている がんばって、「糸谷竜王」になって欲しいものだ

清水「糸谷さんは大学院生という顔も持っているということですが」
糸谷「哲学、思想関係を研究しております」
大阪大学大学院文学研究科在学ということだ 哲学者と言えばソクラテス、
私は大河内 一男という東大の総長が言った「太ったブタよりもやせたソクラテスになれ」という
言葉を思い出した 糸谷、太っていて哲学研究者が務まるのか(^^;

糸谷「大石は森信雄門下の弟弟子、非常に実戦的な棋風 玉を固めて、力強く攻める まさに現代将棋の考え方を踏襲している 稲葉は冒険家タイプ 見たこともない将棋を作り出していく 新工夫が色々なところで見られる棋士です
お互いに関西棋士でライバル関係の2人 稲葉の新工夫を大石がどう受けて立つかが見所になりそう」

事前のインタビュー
大石「稲葉七段とは練習将棋を含めてたくさん指してきましたが、鋭い攻めに加えて最近では粘り強く戦っている印象を受けます 初戦から強敵ですが、自分の将棋が指せるようにのびのびと指したいと思います」

稲葉「大石君は居飛車、振り飛車、何でも指しこなすんですけど、勢いのある将棋ですね ここ2~3年、よく勝っている印象ですね 大石君が前期ベスト4に勝ち進んだというのは自分にとっても刺激になったんで、本局はぜひとも勝ちたいという気持ちでがんばりたいと思います」

両者の対戦成績は、大石3勝、稲葉5勝ということだ ここ2年で少なくとも5局も指しており、まさにライバル関係だ

先手大石で、相掛かりになった 
糸谷「ウチの森門下には、山崎、澤田、千田と、相掛かりを得意にしている棋士が多い 山崎は、『相掛かりは道なき道を行っているようなものだ』と言っていた」

開始早々、稲葉が、さっそく工夫を見せた △7四銀型、いわゆる鎖鎌銀(くさりがまぎん)で早々に大石の角頭に襲い掛かったのだ 大石はたまらず自ら角交換 これで一手損だ
そして、大石は7六の歩を稲葉に△7六銀とタダで取られてしまったではないか 
ええ~、何これ、プロがこんなあっさり歩をタダで取られていいのか? 
もうこれ、序盤重視の人なら、やる気をなくしそうな展開ではないのか 大石、どうなってる?

糸谷「大石、一手損と一歩損をひっくり返そうというのは難しい」
さらに私が重視したのは、稲葉の銀が△7六銀と、もうこんなところまで進出している、ということだ
これは相当大きいのでは?

符号が続いて申し訳ないが、かなり気になった変化があったので調べてみた
大石が敵陣に▲6三角と打ち込んだところ、稲葉は△7二角と合わせて消しに行き、無難に局面を収めた
しかし、糸谷がちょっとだけ言っていたが、△7二角でなく、ここで△6五角という手はなかったのか?
狙いは超単純、先ほどの△7六銀と連携しての8七の地点を突破の1点狙いだ

この一局の最大の疑問として私の頭に残った もし△6五角なら大石はどう対応したのだろう?
激指定跡道場3に訊いてみた すると、なんと▲6三角と打ち込んだところの局面、形勢はなんと±0!
完全に互角、±0点で六段+++の思考完了! な、何~ 後手の稲葉有利じゃないのか?
△6五角には、以下▲4八玉と右玉で備えておき、△8七銀成▲同金!△同角成▲8三歩!△同飛▲7二銀で、以下全く互角の難解で激しい戦いが予想されるということだ 激指先生、さすがだな
それにしても、この序盤で全くの互角だったって、そんなことが有り得るのか・・・

本譜も、大石は右玉にした 私はそうかー、右玉という手があったか!と納得した
しかし、苦しくなったので流れで右玉にしたのであって、初めから右玉の作戦ではないと思って観ていた
糸谷「右玉は私はけっこう好きなんです 全体のバランスがいいので、相手の攻めをうまくかわせることも多いですね スキができるとすぐ負けになるんですけど」

雑談で、糸谷「大石は一門の中では私の後輩の中ではリーダーシップを取っている まじめで後輩たちの信頼が厚い、面倒見がいい 前期のC2の順位戦では全勝昇級した」
清水「大石は研修会の幹事も、されているんですよね」
糸谷「森門下は、みんな勝手にバラバラにやれという方針(笑) 森先生は、温かく見守ってくださるタイプで、あまり口出しはされない」
あの~、稲葉が前期の銀河戦で優勝したことにも触れてあげて~(^^;

大石が右玉にしたことが好判断だったようで、駒組みが延々続くことになった
私が驚いたのが、稲葉がじっくりと駒組みに付き合ったことだ 稲葉の△7六銀まで進出した右銀、なんと3回も引いて、自陣に引き返していってしまったではないか 
私がもし後手側だったら、相当ありえない考え方だ 7六というのは敵陣まであと一マス、
絶好の位置だと思うのだ それを3回も引くなんて・・・ 攻撃の銀は前に居てナンボ、でしょ? 

大石が、盤面右側で勢力を握り、位を張ってきた 稲葉は玉を固めて対抗
糸谷「『位取りには堅い玉』 今、作った格言なんですけど(笑)」
こういうの、面白いね 将棋の考え方も変わって来ているんで、どんどん新しい格言がでてきたらいいね

この将棋、中盤が異様に長い将棋になっていった というのも、どちらからも仕掛けないのだ
お互いがひたすら自陣の整備に手を費やして、攻めは、行くぞ、と見せかけるだけ、という展開だ
稲葉が7筋で歩の成り捨てから攻めようとしたのだが、大石は右金をなんと7七まで移動させて耐える、という構想を繰り出した これには糸谷もびっくりだ
糸谷「おおー! わざわざ玉のそばの金を遠ざけてでも受ける すごい辛抱ですね」

そして、また手の渡し合いに・・・ いったい、本格的な戦いはいつ始まるねん!
糸谷「(攻めると見せかけて、実際は行かない) 相手に混乱を起こさせる、早指しでのテクニックです」
双方、こんな手の応酬 何なんだ、この将棋は(^^; 右玉ということもあって、正直、わけがわからん
大石は自陣左側の金2枚を3手かけて立て直そうと狙う構想を見せ、糸谷をも驚愕させた
糸谷「はあ~! これはすごい手ですね~ これは稲葉の読み筋にない手です」

手の渡し合いが行われているうち、形勢が変わってきた、と糸谷
糸谷「大石がペースを握り返している 稲葉は何か攻めがないとおかしい」
稲葉は「いやぁー」とため息をついて、戦いを起こした やっと角と歩以外が駒台に乗った 
番組開始からほぼ1時間! 長げえーーー(笑)

ようやく戦いになり、手が進んでいくが、指すほどに稲葉のため息が聞こえてくる
攻めがつながる様子が全然ないのだ 大石に丁寧に受けられて、稲葉は駒損が拡大していく一方だ 
稲葉「いやあー」 この後も3回くらい言っていた(^^;
糸谷「稲葉の攻めが足らない 苦しい」
清水「大石の陣形は、銀多伝でしょうか」
おおー、そういえばそうだな 平手で銀多伝、実にめずらしいな

大石は稲葉の攻めを全部めんどうを見て、ハッキリ切れ筋に持っていった
稲葉「いやあー」 大声でこう言い、もう、明らかに困ってる稲葉 声を殺そうともしなくなった
糸谷「大石は、と金を間に合わせるだけで勝ってしまおうということですね もうだいぶ差がついた ホントに、全駒みたいになってしまって 大石の駒が稲葉の駒全部を吸収する勢い」 

「全駒」という言葉まで飛び出し、大勢は決した 稲葉は指し続けるが、大石の逃げ道封鎖の桂捨てという鮮やかな決め手が出た 稲葉はほぼ最後まで指し、ようやく投了を告げた 151手で大石の勝ち 

清水「息づまるというか、渋い応酬が続いたのですが」
糸谷「稲葉がうまい序盤作戦でちょっとリードしたように見えたんですけど、そこから大石の金2枚を寄せての受けが見事でしたね 結果的にはちゃんと全部受け切って勝った 大石の力が発揮された一局」

な、長かった~ 観ているこっちが疲れたよ・・・
鮮やかな手っていうのが、ホント、大石の最後の桂捨て、その一手だけだったと思う(^^; 
あとは中盤、延々様子見、手の渡し合い 何なんだ、この一局は こんな内容はめずらしいな
それにしても稲葉、攻めが完全に、完璧に切れ筋に陥ってしまったなあ 
男子プロがあそこまで見事に受けきられるっていうのは、私はあまり記憶にないわ
稲葉自身も、途中からは、あまりに手がなくなったので、「いやあー」を連発だった 

私としては、序盤に稲葉の手で、無難に△7二角でなく、△6五角で一気に勝負に行って欲しかった
△7六銀まで出れたのだから、8七を狙って欲しかった 
せっかく出た銀を3手もかけて自陣まで引いてっていう発想、私にはないわ
稲葉の右銀は、6三から出て7六で歩を取り、また6三に戻った
つまり、1歩を取るためだけに6手もかけた計算になっていた 私には考えられないなあ

「右玉に不思議の勝ちあり」というのは、私が思っている格言だ 
序盤、大石は早々に7六の歩をタダ取りされ、糸谷は「これでは大石、面白くない」と言っていたのだが、激指の検討モードは±0だった いったいどう観れば良かったのか 右玉は不思議だ
その後は、金銀4枚を全体的に配置して受けきるという大石の構想がハマッた一局だった
それにしても、長ーい中盤、どちらからも仕掛けない、延々続いた手の渡し合い、
これが24歳と26歳の将棋なのか 若いってことは、将棋が渋い、地味ってことなのか(笑)?
今日の昼、ニコニコ動画にて、次回の電王戦についての発表がありましたね!

概要は、
・5対5の形式の電王戦は次回(来年の春)で最終回とする 名称は「電王戦FINAL」
・出場棋士は10月12日に発表
・勝率6割4分以上の、30代前半までの有望な若手を中心に、コンピュータとの対決に意欲を持っていて積極的な棋士を出場者として揃える
・持ち時間は5時間 切れたら1分 途中、昼食休憩1時間、夕食休憩30分 (おそらく第3回と同じ)
・ハードはドワンゴ側が用意した一台に制限 ソフトの事前の貸与あり 
・タイトルホルダーの出場は、次回はないが、またプロ側が負け越す結果が出たなら、今後に対戦が実現がありうるのではないか その場合、一人で出場して戦う形式になるのではないか 一局勝負か番勝負かはまだわからない

こんなところでした
私の父の予想、ほぼズバリ的中~ 5対5の戦いは、これで最後とのこと タイトルホルダーは出ないが、その代わり、「これでダメならもう他にいない」と思われるような精鋭メンバー5人を送り込む、とのこと ・・・いいんじゃないでしょうか! 連盟、谷川会長は、妥当な決断を下してくれたと思います!

さて、ここからは、出場棋士5人は誰になるのか?を考えていきたいと思います 34歳以下で、通算勝率6割4分以上の棋士を列挙してみました この中から誰が出ますかね!?

2013年度終了時点での通算成績です 6割4分に近い棋士も書いています なお、年齢は調べるのがめんどくさかったので、今年の将棋世界5月号に載っている年齢に準拠しています (来年の3~4月頃には、この年齢に1を足した年齢になっている、というわけです) 参考までに、羽生、森内、渡辺の通算勝率も載せておきます

<タイトルホルダー (参考まで)>
羽生名人・王位・王座・棋聖 43歳 0.722  森内竜王 43歳 0.641 渡辺棋王・王将 29歳 0.676

<A級> 広瀬八段 27歳 0.664  阿久津八段 31歳 0.645
<B1> 豊島七段 23歳 0.723  松尾七段 34歳 0.636  山崎八段 33歳 0.661 橋本八段 30歳 0.621  佐藤天彦七段 26歳 0.698  村山七段 29歳 0.663
<B2> 飯島七段 34歳 0.630  戸辺六段 27歳 0.637 稲葉七段 25歳 0.693  糸谷六段 25歳 0.691
<C1> 中村太地六段 25歳 0.640  菅井五段 21歳 0.731 船江五段 25歳 0.650  斉藤五段 20歳 0.676  阿部健治郎五段 25歳 0.648  澤田五段 22歳 0.672  佐々木勇気五段 19歳 0.667 
<C2> 永瀬六段 21歳 0.717  阿部光瑠四段 19歳 0.646 千田四段 19歳 0.735  石井四段 22歳 0.750

以上の23名が候補であることが分かりました (年齢はあくまで将棋世界5月号に準拠、通算勝率は昨年度終了時点であることを念を押しておきます) 私の希望としては、とにかく、自分で立候補した棋士、もうこれが鉄則だと思います いくら勝率が高かったり、クラスが上だったりしても、本人のやる気がないと、事前の練習をしないことになるので、それだとまず勝てないと思うからです

具体的には、もうすでに出た棋士、これはもういいでしょう 阿部光瑠、船江、菅井、豊島ははずしましょう 阿部光瑠と豊島は勝ったので、また出て欲しいと思う人もいるかもしれませんが、せっかく勝ったのですから、もう「貴重な勝った棋士」として、出さないでおきましょう(笑)

立候補したことが前提として、広瀬、佐藤天彦、中村太地、、永瀬、阿部健治郎 このあたりが私が選ぶベストメンバーですね 最初の3人は実力から、後の2人は研究熱心なので、事前の対策をしっかりやってくれそうだからです 

山崎と糸谷は、形勢が悪くなってからの、相手をごまかす術の天才だと思うのですが、それはコンピュータには通用しないのではと感じますね

10月12日、発表される5人は誰なのか? ワクワクしますね なお、電王戦タッグマッチは、私は興味がないです・・・(^^;
うわ、また千葉涼子と広瀬だー(^^; 永瀬と郷田か 若手vs羽生世代という構図だな

永瀬はCブロックで中田功、塚田、中村修に勝ち3人抜きで最多連勝者で決勝トーナメント進出
今年度の成績は、2勝5敗 調べたら、まだ21歳か 若いなあ

郷田はDブロックで丸山に勝ち、最終勝ち残り者で決勝トーナメント進出
今年度の成績は5勝2敗 郷田と言えば、前期NHK杯の優勝者だね

解説の広瀬「永瀬は今売り出し中の若手 棋士の中でも、一、二を争うほど勉強熱心 ホントに真面目な青年 ずっと振り飛車党だったが、最近は色んな将棋にチャレンジしている 千日手王の異名があったが、最近は千日手を見なくなったですね
郷田は長い間、トップとして活躍している 居飛車の正統派でファンも多い 棋士の中にも、郷田にあこがれる人がいる どんな戦型でも乱れない、ちょっと苦しくなっても崩れない」

先手永瀬で、相掛かりになった 郷田はいつもどおり2手目△8四歩で、相手の注文を受けてたった
永瀬は例によって、引き飛車+▲3六銀戦法だ 郷田は自然に対応している
囲いは、永瀬の▲矢倉を組む途中vs△郷田の銀冠に組む途中、という構図で、ずっと中盤の小競り合いが続くことになった

あまりポイントがはっきりしなかったのだが、細かいやりとりの中、郷田の模様が良くなった
永瀬の陣形、どうにも金銀がバラバラすぎるのだ 対して郷田の陣形は全く乱れていない
何が原因でこうなった? これ、もう勝敗に直結するかもしれんな

千葉涼子「郷田としては良くできそうな感触はあるでしょうか?」
広瀬「郷田はそう思っているでしょうね」
何かある、と思われた局面で、郷田がさすがの攻めを見せた こ、これは厳しい! 
そうか~、これでもう一丁あがりか! 永瀬は、うーん、という感じで頭を抱えた 
広瀬「ひと目、痛そう」
千葉涼子「アゴにパンチが入っちゃってますかねー」

永瀬、駒損が拡大し、左下の小画面から顔が消えるくらいにガクッとうなだれた(笑)
あーあ、飛車まで詰まされちゃったよ もう大勢決したな
広瀬「郷田陣に突破口が見当たらないのが、永瀬のつらいところですね」
ホント、そのとおりで、郷田陣は全く何も手付かず、永瀬はもう指す手がないぞ

永瀬は入玉含みでなんとか粘ろうと、もがいた
永瀬、何かいいところを見せろ、このままでは何もできずに負けたことになるぞ、がんばれ!
しかし、郷田は一流棋士、もう逆転できるほど甘くはなかった それほど中盤でついた差が大きすぎた
郷田は慌てずに確実に指し、的確に寄せ切って勝利を手にした 134手、郷田の完勝だった

広瀬「気がついたら郷田がペースを握っていた そのあたりの自然な指し回しの強さが目立った 郷田の貫禄が出た 永瀬も苦しいながらも最後、追い込んだ気がしたが、届かなかった」
私見では、永瀬は手数は伸ばしたが、追い込んではいないと思う(^^; 郷田玉、全く安泰だったもん
永瀬はその本領を見せることなく、散った 郷田の完全に力勝ち、格の違いを見せ付けた内容だった

永瀬は昨年度、38勝13敗、勝率0.745という素晴らしい成績を上げている 
昨年度までの生涯成績も、勝率0.717だ それが今年は、これで2勝6敗か 一時的なものかな?  
優勝候補の一角の郷田が、若手の永瀬を寄せ付けず危なげなく完勝、という一局だった  
1996年版(平成8年版)の将棋年鑑を、ヤフーオークションで入手しました 目的は、巻末にあるアンケートです そこには、「コンピュータがプロ棋士を負かす日は? 来るとしたらいつ」という質問があるのです この質問に、当時の全棋士がどう答えたかが、ずっと気になっていたんですよ 今から18年前、ちょうど羽生が七冠王だった頃のことです

当時のプロ達はどう予測していたのか? 回答を忠実に全て書き出しました 棋士の順番は、将棋年鑑に掲載されている順番、そのままです なお、1996年当時のコンピュータ将棋の棋力は、アマ初段に達した程度だったそうです (ウィキペディア「コンピュータ将棋より) では、どうぞ、当時の現役男性棋士と女流棋士、約190人+αの回答、ご覧ください! 量が多いので覚悟してね

質問 「コンピュータがプロ棋士を負かす日は? 来るとしたらいつ」

<タイトルホルダー 竜王・名人・棋聖・王座・王位・棋王・王将>
羽生善治 2015年

<九段>
中原誠 だいぶ先とは思いますが来るはずです 
米長邦雄 永遠になし
谷川浩司 私が引退してからの話でしょう
加藤一二三 来ないでしょう
森けい二 思う。20年後
高橋道雄 ?
有吉道夫 無回答
青野照市 プロの仲間入りはできても、トップは負かせない
田中寅彦 思います。私が生きているうち
南芳一 40年ぐらい先
桐山清澄 20年後
内藤國雄 10年以内に来るような気がする
石田和雄 30~50年後
大内延介 当分こない
淡路仁茂 私が生きている間はない
勝浦修 分からない
関根茂 無回答
佐藤大五郎 来ません
丸田祐三 無回答

<八段>
森内俊之 2010年
森下卓 いつかは来ると思う
島朗 無回答
村山聖 来ない
佐藤康光 分からない
福崎文吾 無回答
小林健二 私には分からない
塚田泰明 希望としては、自分が現役の内に
田丸昇 無回答
中村修 トップは負けないと思う
真部一男 プロにも色々あるが、トップを負かすとなると百年くらい先か
田中魁秀 10年くらい先
西村一義 2020年
宮坂幸雄 無回答
佐伯昌優 無回答
高島弘光 映画、猿の惑星を思い出しますね
剣持松二 プロ棋士がプログラムを組めるようになった時

<七段>
井上慶太 10年ではこないと思う。
浦野真彦 思いません
富岡英作 分からん
脇謙二 50年以上先
小野修一 無回答
児玉孝一 わからない
東和男 来る。七冠王がプログラミングをする日
鈴木輝彦 無回答
前田祐司 思う。20年以内
滝誠一郎 無回答
屋敷伸之 来る。ただトップには勝てない
桜井昇 無回答
伊藤果 ぼくが生きている間はないでしょう
宮田利男 無回答
坪内利幸 ない
佐藤義則 生きている間は来ない
安恵照剛 2050年くらいか?
山口千嶺 ない
山口英夫 私が生きてる間はない
野本虎次 地球を逃げ出すノアの箱舟の舟内対局ではコンピュータの勝ち

<六段>
土佐浩司 10年くらいでくるのでは(しっかりしたのは別)
藤井猛 無回答
丸山忠久 無回答
泉正樹 計測不能
神谷広志 わざとならよく負けてるよ
西川慶二 無回答
郷田真隆 いつかは来ると思う。但し、人間を超えることはできないと思う
畠山成幸 2042年
有森浩三 無回答
中川大輔 32年後
堀口弘治 人間の脳の資質を代替するコンピュータが出て来たときに可能と思う
阿部隆 こない日を祈っている
神埼健二 思う。30年後
日浦市郎 来る。平成35年の4月頃
小林宏 平成37年6月24日
室岡克彦 無回答
所司和晴 30年ぐらい
先崎学 10年後
中田宏樹 何百年か後に
河口俊彦 無回答
大島映二 20年後ぐらいには
飯野健二 無回答
松浦隆一 思います。50年後
小阪昇 全くわかりません
植山悦行 こないと思う
大野八一雄 30年ぐらい先だと思う。見てみたい
菊池常夫 来ない
武者野勝巳 来る。2030年から2040年の間
神吉宏光 思う。5年後ぐらいか(私が最初に負けてやる)
森信雄 あまり興味がない
桐谷広人 来る。10年後
沼春雄 近く来る。すでに詰将棋では負けている
木下晃 わからない
田辺一郎 私が生きているうちは勝てません
若松政和 ない
池田修一 このまま人類の社会が平和で進んで行くと、いつの日か来ると思う
森安正幸 来ない
酒井順吉 分からない
中田章道 ある。21世紀前半

<五段>
三浦弘行 分からない
真田圭一 百年は負けない
久保利明 来る。来世紀
中田功 いつかは来ると思うが、名人は負かせない。将棋は人間にしかできない
石川陽生 思う。いつかはわからない
北浜健介 当分こないと思う
平藤真吾 ゲームセンターで2回負けた
行方尚史 たぶんこないと思うけど、みなさん頑張って下さい
深浦康市 来ない
畠山鎮 こない
達正光 こない
高田尚平 30年後
佐藤秀司 そういうことになったらプロは要らなくなるので来ないように祈るしかない
木下浩一 そのうち
杉本昌隆 こない日を祈る
豊川孝弘 分からない
長沼洋 10年後にもう一度質問して下さい
藤原直哉 10年以内
武市三郎 来たら困る。から、来ない。
安西勝一 いずれそうなると思うが、時間はわからない
小倉久史 無回答
加瀬純一 思わない
関浩 機械音痴なのでわからない
伊藤博文 2010年
椎橋金司 無回答
青木清 無回答
瀬戸博晴 無回答
依田有司 無回答
飯田弘之 15年くらい
本間博 無回答
櫛田陽一 無回答

<四段>
窪田義行 我散るとも四間飛車に敗北なし!(笑)
岡崎洋 こない
飯塚裕紀 興味あり
矢倉規広 20年後
北島忠雄 50年後
野田敬三 数回はコンピュータが勝つことがあると思う。
川上猛 僕の生きているうちには来ないと思う
鈴木大介 わからない
勝又清和 否定
伊藤能 僕くらいのレベルなら近いのではないか
松本佳介 考えたことない
田村康介 自分は負けない(他人は?)
堀口一史座 わからない
中座真 来る。わからない

<女流タイトルホルダー 女流名人・女流王将・女流王位・倉敷藤花>
清水市代 ???

<女流五段>
中井広恵 こない
蛸島彰子 こないと思います
山下カズ子 無回答
林葉直子 無回答

<女流四段>
関根紀代子 50年後(まだ私は生きてますよ??)

<女流三段>
多田佳子 無回答
谷川治恵 思う。10年後
森安多恵子 無回答
長沢千和子 ないと思います
斎田晴子 10年後

<女流二段>
藤森奈津子 無回答
山田久美 たぶん来ると思う。が、すごく遠い未来?
高群佐知子 60年後
植村真理 無回答

<女流初段>
宇治正子 無回答
神田真由美 無回答
横山澄恵 来ない
鹿野圭生 来ないでしょう
船戸陽子 無回答
高橋和 来ると思います。しかし私の生きているうちは来ないのでは
矢内理絵子 来ないと思う
石橋幸緒 来ない

<女流1級>
古河彩子 無回答
林まゆみ 来ると思う。100年後くらいでしょうか
本田小百合 わからない
久津知子 分からない
大庭美樹 わかりません
碓井涼子 来る。50年後
木村さゆり 来ない(でも一番勝負ならわからない)
中倉宏美 来ないことを願います

<女流2級>
中倉彰子 いつでしょー?
伊藤明日香 ありえないと思う
島井咲緒里 思いません

<退役棋士の中で、回答があったもの>
寺下紀子 女流四段 思う。10年以内
杉崎里子 女流三段 22世紀はどうでしょう
加藤治郎 名誉九段 思わない。ただし、極端な短時間ならありうる
高柳敏夫 名誉九段 情報の収拾と処理は羽生さんが名人。その羽生七冠王を超えるのには、よりいっそうのコンピュータを活用したもの。もちろん技・心・体が必須条件
廣津久雄 九段 いつかは来るだろうと思うけど、それはずっと先のことだろう
原田泰夫 九段 羽生七冠王をはじめ20代の第一勢力の秀才たちが「コンちゃん」にまけないことを祈る
加藤博二 九段 制限時間にもよるが、当分は無理
五十嵐豊一 九段 プロ棋士が負けるとは思われない
二上達也 九段 超早指し戦だったら今でもプロが負ける場合がある。要は条件次第
北村昌男 九段 わからない(コンピュータに弱いため)
長谷部久雄 八段 来ると思う。2050年頃
大村和久 八段 互角に戦える日は十年後 
神田鎮雄 七段 思わない
橋本三治 七段 思わない
関屋喜代作 七段 思わない
伊達康夫 七段 思わない
西本馨 六段 来ると思うが、いつかはわからない
賀集正三 六段 わからない

<指導棋士の中で、回答のあったもの>
大麻重明 六段 来ない
藤代三郎 六段 来ない
土井春左右 六段 来ないことを祈ります
工藤浩平 六段 2076年頃だと思います
山本統一 六段 来ない 
中嶋克安 六段 50年後
黒崎昌一 五段 分かりません
山崎茂樹 五段 たとえ出来たとしても現状に変わりはないと思う
三谷正範 五段 5年以内に負けると思う
中山則男 四段 来る。私の目の黒いうち
佐藤大 四段 来ない
谷川勝敏 四段 意外に早く来るのでは・・・
福原政則 四段 こない
荒井辰仁 四段 絶対に来ない。所詮人間(棋士)の気まぐれには勝てない
亀谷源吾 四段 思いません
田畑良太 四段 21世紀
小河直純 四段 機械に負けるな
野間俊克 四段 ありえない
愛達治 四段 来ないような気がする
渡辺恭位 四段 まずムリ
脇田栄一 三段 来るかもしれない。ただし2020年以降
米谷和典 三段 思わない
小田切秀人 二段 来ないと思います
岩月順二 二段 来ない
中澤伸行 二段 50年後  


どうだったでしょうか? 書き出すのに疲れました(^^; (ひらがなのところは忠実にそのまま写してあります) 書き写していて、思ったのは、プロ棋士は下の名前に「浩」と「司」の字が多いなあ、ということです それと、下の名前は書き写すのが大変! 変換で一発で出るものではないからです マジ、疲れた(笑)

さて、正解者は誰か?という話になると思うのですが、正式に現役男性プロが負けたのは、2013年の第2回電王戦での佐藤慎一四段、船江恒平五段、三浦弘行八段の3敗でした そういう意味で、羽生の「2015年」や森内の「2010年」が、よくメディアでは取り上げられています しかし、厳密に考えるとどうでしょうか 三浦八段はもうトッププロです ここでの質問は、「コンピュータがプロ棋士を負かす日は?」です 底辺プロだって、プロはプロです そこで思い出すのが、連盟が、コンピュータと公の場で勝手に対局するのを禁じたのが2005年です ちょっと長いですけど、大事なところなのでウィキペディアから引用します

2005年9月18日、プロ棋士で北陸先端科学技術大学院大学教授を務める飯田弘之のチームが開発したコンピュータ将棋ソフト「TACOS」が同じくプロ棋士の橋本崇載とイベントで平手の対局。結果は橋本の勝ちとなったが、TACOS は橋本を敗北寸前まで追いつめた。この事態を重く見た日本将棋連盟は、2005年10月15日、全棋士と女流棋士に通達を出し、連盟に無断で公の場でコンピュータ将棋と対局しないこととした。(ウィキペディア「コンピュータ将棋」より)

連盟が公式にコンピュータの実力を認めたのが2005年だったわけです この時、連盟の考えたことは「プロ棋士がコンピュータに負ける可能性が充分あるから、対局を禁じた」ということに他ならないでしょう そういう意味で、アンケートの質問の正解は、2005年くらい、が正解だったんではないでしょうか アンケートの「プロ棋士」の定義は、やはり「男性プロ棋士」だと私は解釈します この時、連盟は、女流棋士が、ではなく、男性棋士が負けてもおかしくない、と公式に認めたと私は考えます

と、いうことは、アンケートを取ったのが1996年、連盟が対局を禁じたのが2005年ですから、正解は「約10年後」と答えた人が、ズバリ正解でしょう 私はそう考えます 男女合わせて現役プロ約190人の回答の中で、ズバリ賞は、内藤國雄「10年以内に来るような気がする」 田中魁秀 「10年くらい先」 土佐浩司「10年くらいでくるのでは(しっかりしたのは別)」 先崎学「10年後」 桐谷広人「来る。10年後」 藤原直哉「10年以内」 谷川治恵「思う。10年後」 斎田晴子「10年後」  なんと、8人もいました! 

神吉宏光の回答は、一人だけ異彩を放っており、「思う。5年後ぐらいか(私が最初に負けてやる)」 現役プロの回答の中で、最短の答えでした さすがに早すぎたように思います(^^; でも、女流を含めて負ける可能性は、となると、きっと神吉さんが正解でしょうね 女流は、いつコンピュータに抜かれたか、もうわからないままです・・・

約15~20年後、と答えたニアピン賞は、羽生善治「2015年」 森けい二「思う。20年後」 桐山清澄「20年後」 森内俊之「2010年」 前田祐司「思う。20年以内」 大島映二「20年後ぐらいには」 沼春雄「近く来る。すでに詰将棋では負けている」 これは微妙なのですが、いちおうここに入れました 伊藤博文「2010年」 飯田弘之「15年くらい」 伊藤能「僕くらいのレベルなら近いのではないか」 矢倉規広「20年後」 これらの回答は、ニアピン賞といったところでしょう

30年後ぐらい、と答えた人もけっこういました 「来世紀」と答えていた人もいて、これも正解と言えばそうなんですけど、幅が100年もあって、漠然としてますから(^^; 究極の答えは、中座真「来る。わからない」 意味がわかりません 中座さんは、この年、直近の三段リーグで年齢制限ギリギリの劇的な四段昇段を果たしていて、頭が混乱していた時期なのかな(笑)?

私が思ったのが、案外、女流棋士に「来ない」と断言している人が多いことですね 女流は自分たちは男性より先にコンピュータに追いつかれると考えそうなものですけど、その点について述べている女流の人は一人もいませんでした なぜでしょうね

とにかく、「来る」「来ない」で意見が真っ二つで、今から思えば、こりゃー、絶好のいい時期にアンケートを取ってくれたものだ、と思いますね 統計も取りたいのですが、谷川浩司「私が引退してからの話でしょう」 こういう意見は肯定か否定か、どっちに分類したらいいのか、わからないので統計はあきらめました いや、やはり否定派か? とりあえず今は疲れた(^^; まあ、何かしらの参考になればと思います
村中と康光か 康光はともかく、村中の今期銀河戦の将棋は全然観なかったな(^^;

村中はDブロックで、有森、神埼、土佐に勝ち、3人抜きで最多勝ち抜き者で決勝トーナメント進出
あー、そういえば、村中の4局目の福崎との一戦だけは観たわ それは大激戦の末、福崎が競り勝ち、妖刀健在を示した福崎の名局だった  村中の今期の成績は、0勝3敗

康光はHブロックで村田顕弘に勝ち、最終勝ち残り者で決勝トーナメント進出
村田との一局は、中押しで圧勝だった 康光の今期の成績は5勝2敗  

解説の広瀬「村中は正統派の居飛車党 受けに回るのを苦にしない 全体の大局観で戦う棋風
康光は将棋ファンであれば誰もが知る有名な人 最近は色んな作戦で色んな指し回しを披露している ホントに引き出しの多い棋士 平成の升田幸三の異名を持つ 銀河戦は3回優勝している
2人とも、中盤以降、指したい手を指す印象がある」

雑談で、広瀬「最近は、居飛車、振り飛車、どっちも指せる器用さがないと、勝ち残っていけないような、そういう時代になってきているかなと思います (最近広瀬は振り飛車から居飛車にシフトしているが) 私の場合で言うと、奨励会に入る前は、純粋な居飛車党だったんですよ 奨励会では香落ちというハンデがあって、振り飛車を指さざるを得なくなって、それなら振り飛車も覚えたほうがいいかなと思って始めたのが、振り飛車穴熊だったんですよ」

先手村中で、相矢倉になった 
康光が序盤で駒組みを手順前後させる工夫をし、双方、総矢倉 そこからの攻め合いとなった
両者、矢倉らしく、縦からの攻め合いだ 横歩取りとは全く別の世界だな(^^;

中盤、村中が、と金を2手かけて作りに行ったスキを逃さず、康光が攻め立てる
突き捨ての歩、継ぎ歩、垂れ歩のジェットストリームアタックで攻める康光
ちなみに、ジェットストリームアタックとは、モビルスーツ3体で攻めかかる戦法で、ガンダム用語だ(笑)

攻め続ける康光、懸命にしのぐ村中、という構図がずっと続くことになった
広瀬「形勢は村中が苦しそう だが、簡単には決まらないかっこう」
どうにか耐えている村中、なかなか決め手を与えない
広瀬「うまく村中ががんばってる気がします」
聞き手の千葉涼子「激戦ですねー」
千葉涼子さん、ひさしぶりに観たなあ たまにでいいよー NHK杯で毎週のときはつらかった・・・(^^;

難解な戦いが続いている どうするか、の決定権は常に康光にあるのだが、活かせるか?
広瀬「康光は攻めるか受けるか、一手一手難しくなってきましたね」
村中は勝負手で、康光の飛車を詰ましにいった どうする、康光! 並みの棋士なら慌てるところだが?
康光は飛車を叩き切って対応、慌てていないようだ
広瀬に「冷静な手ですね これは」と言わせる手を指し続け、主導権を渡さない

しかし、受け一方だった村中に、チャンスらしき場面がめぐってきた 
攻防の絶好の位置に角を打ち込んだ村中、これは? 逆転の一打となるのか?
広瀬「非常に面白い将棋になりましたね」
おおー どっちが勝つかわからんか 康光は大量の持ち駒をどう使う?
ホントに大量で、角金金銀桂香香歩歩歩という、駒台からあふれそうだ

広瀬「康光が詰ましにいった あとは読み切っているかどうかですね 詰まないように見えますが」
んー? 詰まないの? 康光、どういう意図だ?
進むと、たしかに詰みはないようだ が! そこで康光、質駒になっていた村中の攻め駒をはずしてしまい、
自玉を安全にしてしまった おおー、さすが康光! ここで攻め駒を補充か 盤全体が見えてるわー

この康光の判断が的確で、もう康光の玉は寄りがなくなった 村中、ついにあきらめ、投了
150手の長手数で康光が勝ちきった 

広瀬「康光が中盤でペースを握ったと思うが、村中の指しなれた矢倉がギリギリまで康光を追い詰めた しかし最後は康光が貫禄を示した」
千葉「康光の最後のところ、勝ちを読み切ってそうな、落ち着いた手つきでしたね」
広瀬「常に冷静であることの重要さがわかりましたね」   
 
うむ、まあ順当だな! 康光の終盤力の確かさが出ていた一局だった 
おおーという手はそんなになかったけど、ずっと手が広かった終盤で、康光は間違えなかったと思う
ちなみに、康光は「もう一回、棋風を変えたい」と、雑誌のインタビューで答えていたそうだ
今の独創的な、変態流でいいと思うが・・・(^^; 

本局の見所は、実は序盤だったのではないだろうか 「矢倉24手組み」というのがあるのだが、
それとは違った趣向を康光が試して、うまくいった一局だと思う 
本局では後手の康光は居玉のままで角を早く引いて、△6四角の形をすぐ作っていた
これが先手側の攻めの形を限定させた、というわけだ 
うまくいかなければ、全く見向きもされないだろうが、今回は互角以上になった
まだまだ相矢倉の序盤にも、鉱脈が残っていそうだ!  
女流王将戦のことを書く前に、土曜に放送があった、「女流棋士発足40周年記念特番」の
模様を少しだけお伝えしたい 今年の6月29日、渋谷のセルリアンタワー東急ホテルというところで
盛大に行われていた 女流棋士約50人が登場し、羽生などの色々な関係者が祝辞を述べていた

そこで公開お好み対局として行われたのが、▲つるの剛士+藤井猛vs△香川女流+甲斐女流のペア将棋
これは卓球のダブルスのように、ひとり一手ずつ交互に交代で指すというもの
一手20秒でつるのさんだけ5分の持ち時間がある、そしてつるのチームにだけ、3分間の作戦タイムが1回取れる、というもの 私は、こんなん、女流チームがボロ勝ちするに決まってるやん、つるのさんが大悪手を指して、ボキッとなって終わりやで、と思っていた

ところが! ▲角交換四間飛車+美濃vs△居飛車+銀矢倉の戦いで、つるのさんにミスがなく終盤に突入
いい勝負になっていったではないか 作戦タイムも、絶妙のタイミングで取り、いい雰囲気!
が、作戦タイムで練った手と全然違う手を藤井がなぜか指し、難しくなった局面でつるのさんがついに間違え、一手負け、という惜しい敗戦となった いやー、でも、これ、つるのさん、よくやった!
藤井さんは局後に謝っていた(^^; 
藤井「僕がねえ、作戦タイムのときに言った手と違う手を指しちゃったからホントに申し訳ないです 僕がちゃんと作戦のとおり指していたら勝てましたね」 

観ていた渡辺「アマチュアの方が棋士3人の中に混じってやるっていうのはプレッシャーがかかって大変と思うんですよ 一手とんでもないミスが出たらそれで将棋が終わっちゃいますからね そういう手もなかったですし、ここまでの一手違いの将棋を作り上げたつるのさんは素晴らしかったと思いますね」
うんうん、全く、中盤では自陣の形を整えたり、相手に手を渡す、という手も指せていたつるのさん、すごく良かったよ~ パチパチパチ 先日の将棋ウォーズでのあの慌てぶりは何だったんだ(^^; 

それから、青野さんの祝辞が面白かったので書いておきます
青野「私も今年で棋士生活40周年なんですけど、女流はホントに強くなりましたね 自分でもNHK杯で負けましたしね いや、NHKで負けると、みなさんね、覚えているんですよねえ 私ね 新橋の駅でですね 終電で酔っ払って帰ろうと思ったら、前から人がやってきて、私の顔を見て、 『お!』って言うわけです 『将棋の人だね』って言うわけです ところがその人は名前を思い出せない、だけどNHKを観てるからですね、顔は分かってる、将棋の人だとね 『んー』と言って、最後に言った言葉がですね、『あ そうだ 女に負けた人だね』って言うわけです(笑) それだけ覚えてるんですよ NHKで負けるとホントにね、印象がすごいんですよ 私、その翌々年はNHK杯で佐藤康光に勝ったんですけど、それは誰も覚えてないんです(笑)」

この話は面白かったです ちなみに青野さんが中井さんに負けたのは2003年、当時青野さんはA級棋士だったので、大ニュースになりましたもんね 翌2004年には、同じくNHK杯で2回戦に進んだ中井さんが佐藤康光棋聖に終盤まで優勢であとちょっとのところまで追い込んだものの、逆転負けしました
あのとき佐藤康光棋聖が負けてれば、青野さんの負けは緩和できていたのかもしれませんね・・・(笑)


さて、毎週火曜は、先週の土曜に放送があった、女流王将戦の模様をお伝えしている
今回は伊奈川さんと山田久美さんか どんな将棋を指すのか、さっぱり知らないな(^^;
たしか山田さんは居飛車党だった気がする 私が持ってる知識はそれだけだ 
解説には村山慈明七段、聞き手は本田小百合女流三段だ

ちなみに、伊奈川さんは、愛菓と書いて、まなか、と読む
伊奈川女流初段は、昨年度の成績は11勝4敗の好成績 通算では33勝35敗 0.485 23歳
前期ベスト4により、予選はシード

山田久美さんは、同姓で山田朱未(あけみ)女流二段という人がいて、ややこしい(^^;
山田久美女流三段は、昨年度の成績は3勝6敗 通算では339勝314敗 0.519 47歳
予選で山口恵梨子女流初段、熊倉紫野女流初段に勝ち本戦進出

解説の村山「伊奈川さんは居飛車党 鋭い攻め将棋で早見え 山田さんも居飛車党 攻守のバランスが取れた棋風で大崩れしないタイプ 過去の2人の対戦では、いずれも横歩取りになり伊奈川さんが2回とも勝っている」

先手伊奈川で、やはり横歩取りになった 両者、意地なのだろう
村山「今一番大流行している形ですね」
伊奈川の▲居玉vs山田の△8四飛+△5二玉型の中原囲いだ 
おおー、こんな最新形、女流に指しこなせるのか? 注目だな

村山「△8五飛型より、△8四飛型のほうが、戦い方に幅があるんです」とのこと
まあ、私は一生この形を指すことはないだろうが・・・

本田女流「事前のアンケートで、伊奈川さんは『普段どおり指したい 短い持ち時間は苦手』とのこと 山田さんは『自分の棋風は自己主張がなく、相手の手に乗って反撃するタイプ』とのこと」
これを聞いた村山「伊奈川さんは早指しが強いですけどねー(^^; 山田さん、横歩取りの後手番は自己主張する戦型ですけど(^^;」 こう言って笑っていた 

本田「伊奈川さんは、医者を目指していて、今、医学部の学生」 
な、何~ そういえば、そういう人がいるって、なんか聞いたことがあった 女流棋士と医者が両立できるか?
大変そうだな 患者を殺さないように頼むよ~(^^; ちなみに、昭和大学医学部というところだそうだ

さて、女流に横歩取りの最新形が指しこなせるのか、と思っていたが、両者なかなかうまく指しているではないか んー、やるなぁー ▲伊奈川の受けvs△山田の攻めという展開だ

しかし、局面が進むにつれ、山田は攻めの手をつながないといけなかったのだが、なんだか、うまい手が見当たらないとの村山の解説
村山「ちょっと攻めが難しいかもしれないですね」
追い詰められた山田、とりあえず相手からの攻めを消す手を出した
村山「気づきにくい手ですね 一石二鳥の手 この金立ちは受けの妙手って感じですね 山田が力を見せた」
おおー、山田、やるぅー、まだ粘れるか?

と思ったのだが、伊奈川は冷静だった 伊奈川もうまい受けを見せ、
村山「渋い手です 伊奈川はうまく受けた」
これで山田の攻めが完全に切れ、伊奈川の有利が決定的になった ジリ貧を避けた山田が飛車を切り特攻したが、駒割がほぼ飛車の丸損に・・・ あらー 玉の堅さでは山田に分があるが、飛車損はでかいなー

さすがに飛車損では、もうこりゃダメか、と思ったが、指しているのは男子プロではない、女流だ
双方40秒将棋に突入し、
村山「ここからは早指しで、瞬発力の勝負ですから、何が起きるかわからないです」 
うむ、前局ではあの中井さんが、飛車をモロにタダで取られる大ポカをやってるからな(^^;

だがしかし、本局の伊奈川、いたって沈着冷静、秒読みでも全く手がブレなかった 
ほぼ村山の指摘どおりに指してく おおー、見事、見事! 山田の複雑にしようとする勝負手にも全く動じず、正解手を指し続けた 観ていて安心感があった 強いわ 
結果、大差がつき、97手で伊奈川の勝ち 完勝と言ってもいい内容だった

村山「山田が積極的に動いたが、伊奈川が反撃でちょっとずつポイントを上げて、その後も落ち着いて対応して、快勝譜だった ヒヤッとした局面はなかった」

おお、さすが伊奈川さん、医者になろうとするだけあって、全体的な落ち着きっぷりはすごい!
医者が、血が出てる患者を目の前にして、アタフタするのはダメだからね(笑)
伊奈川さんは、序盤から終盤まで、特に悪い手がなかったんじゃないのかな お見事だった
一局を通じて、伊奈川さんのいいところが出たね
山田さんは、もう少し攻め方に工夫が必要だったなあ
感想戦で村山に攻め方の修正案を出されて、山田「なるほど 見えませんでした」と納得していた

女流が横歩取りの最新形を指しこなせているか、は、伊奈川さんは○、山田さんは×、という感じだった
何しろ、角の打ち場所が同じラインでも2マス違うだけで、疑問手か好手か分かれた、というから、
やっぱり横歩取りの最新形は難しいわ 一手の微妙な間違いも許されないね
でも、個人的に山田久美さんの声が好きなので、感想戦で声が聞けてうれしかったわ 

あのー、ところで、開幕戦の後に1回だけあった、勝利者インタビューはどこに行ってしまったのですかね
私は楽しみにしているのですが、早く終わった本局でもインタビューがなかった なぜだ(^^;
屋敷伸之 九段vs山崎隆之 八段 NHK杯 2回戦
解説 北浜健介 八段

清水「日曜のひととき、研ぎ澄まされた読みと技の数々をお楽しみください」
今日は屋敷と山崎か 屋敷は安定しているんで、山崎がどれだけ力を出すかだな

屋敷は1988年四段、竜王戦1組、B1 1回戦はシード 18回目の本戦出場
山崎は1998年四段、竜王戦1組、B1 1回戦で有森に勝ち 14回目の本戦出場

解説の北浜「屋敷九段は振り飛車も指すが、最近は居飛車が多くて、矢倉とか相掛かりを得意としている 駒がぶつかってから力を発揮するタイプ 
山崎さんは相掛かりを得意とする居飛車党 独特の感覚、感性の将棋 序、中盤のバランス感覚が誰にもマネできない いつも感心します 終盤のねじり合いがキーポイントになると思います」

事前のインタビューで画面に映った屋敷、いつものことだが、顔がテッカテカ!
どうやったらこんなに顔が光るのだ? ワックスでも塗っているとしか思えない
屋敷「山崎八段は自分の指し手を強烈に主張して、どんどん強い指し手を繰り出してくるタイプの棋士 いい将棋をしっかり指して、いい終盤を迎えたいと思っています」

山崎「屋敷さんは若い頃は、競艇でよく遊んでいた印象 ただ最近、お酒を断たれたりとか将棋に集中してすぐトップ棋士になられたんで、潜在能力はすさまじいものがある棋士という印象です そして読みの力がすごいという印象 絶対に簡単には勝てない相手なので、こちらがどれだけ力を出し切れるか、それができれば面白い将棋になる、自分で充実感を得たいですね」

2人の対戦成績は、屋敷3勝、山崎4勝とのこと ほぼ互角だ

先手屋敷で、横歩取りになった いつものように△3三角戦法だ あー、またこれか 
例によって後手の山崎は中原囲いか、と思っていると、なんと△6二玉!
こ、これは! 先の電王戦の▲豊島vs△YSSでYSSが指した手ではないか!
あのときは豊島がボロ勝ちしたんで、この△6二玉がもう敗着だったんじゃないかと騒がれたっけ
北浜「△6二玉は、▲豊島vs△YSSと同一局面」
今こうして山崎が採用したということは、△6二玉は「ある手」だったんだな

屋敷の対応が注目されたが、穏やかに中住まいに囲う順を選んだ 一直線の大決戦は避けたかー
お互いに、飛車を中段で、ひねる順を狙っているようだ
清水が「もう完全に力戦・・・」と言いかけたときだった、山崎、1筋からもう仕掛けた!
北浜「あ! もうちょっと駒組みが続くと思ったんですけど」
元気のいい仕掛けだな 短い持ち時間だし、積極策、いいんじゃないの? 

北浜「△5四角の攻めは、何か受かりそうな気がして、不安」
しかし山崎の手は△5四角!
北浜「用意してきた手ですね」
ここまで研究してるのか やるなー、山崎 いけいけどんどんだ

北浜「屋敷はどうするんですかね ▲2三角と打ち込むのは全然ダメに見えますね」
しかし、屋敷の手は▲2三角! 北浜、ハズレまくり~(笑)
北浜「あれ? 全然ハズレました ダメじゃないんですね いやー 全く予想外の展開になりました」
いやでも、ハズレたら悪いってことはない 解説者の言っていることが正しい場合だってあるわけだし、解説なんだから予想手とか、どんどん言ってくれていいよー

清水「横歩取りは、一気に激しくなることがありますね」
北浜「中盤を通り越して一気に終盤になりました」 
飛車交換で、ホントにもう終盤になった 中盤ってどこだったんだ(^^;
山崎、じっと1九の香を取りにいく歩を打ち、この手が間に合うはずだ、と自信を見せた
北浜「これは私のほうがいいです、と山崎が宣言した手」
これ、確かに山崎のほうが良くみえるな 1九に、と金を作る手、間に合いそうだ

屋敷も粘る 見えにくい手順で攻め、北浜に「これは気づきませんでした さすがの構想」と言わせた
山崎も、ならば、と角を叩き切って受けた なかなかの熱戦になってきた

山崎は、屋敷の守りの金銀をボロボロッと取ることに成功した これは勝てるんじゃ?
でも、私は横歩取りは全く大局観が働かないからなー 山崎がどのくらいいいのか全然わかんない
山崎、得した銀を守りに打ちつけ、「負けません」宣言のようだ
が、屋敷も粘る なるほど、という手の連続だ 特に、玉の早逃げで、手を渡したところはさすがの勝負術だ
北浜も「お! なるほどー」と感心している

30秒将棋に入っている 屋敷が馬を逃げながら自陣の金にヒモをつけたところ、
山崎が「そっか」と言って頭を抱えた ん? まさか見落とし?
見落としではなかったようなのだが、ここから屋敷の怒涛の反撃が開始されたではないか
あれよ、あれよで山崎玉が追い詰められていく なんか、山崎の攻めは攻めになっていなかったようだ
2手くらいパスした感じ  一方、屋敷の攻めが急所にビシビシ入ってくる
北浜「あ そうか こういう手があるんですね ひやー」
北浜も感心している というか、北浜、最終盤に来て、感心しているだけであんまり解説が・・・(^^;

屋敷の一気の怒涛の寄せが決まり、山崎が投げた
山崎「負けました」 95手で屋敷の勝ち 投了図は一手違いにもならず
うーん、山崎、攻め方に誤算があったか あー、山崎、残念だな

終局直後、山崎「弱すぎますね これ負ける人、いないんじゃないかな 弱いなホントに」

北浜「横歩取りらしい激しい戦いで、非常に面白い将棋だったと思うんですけど、山崎がうまく指して有利な終盤になったと思うんですけど、そこから屋敷の腰を割らない、粘り強い指し回しが逆転を呼んだ 大きなミスはない、僅差の終盤だったと思います」

感想戦で、山崎「どれだけ難しくなっても、負けるとは1秒も思ってなかった これを負ける人は出場者の中で僕くらい わかってるのにやらないって、病気ですかね」
山崎のボヤキが聞けたのは面白かった(^^;

この一局、北浜の解説だけではわからなかったので、激指定跡道場3の棋譜解析にかけてみた
そうすると、山崎のリードは最大値のところで-2346点あったというではないか 後手勝勢だそうだ
そこは84手目のところで、後手は単純に竜で金を取っておけば良かった、との激指先生の指摘だ
本譜は馬で金にヒモがついてしまったため、取れなくなったのだ 
山崎の、対局中の「そっか」と頭を抱えた、まさにあの場面だ あそこ、やはり問題だったのだ!

ん、でも、一手前に屋敷に香を合駒させたので、後手玉に詰みがなくなって金を取る余裕が発生していた、
という高度な読みが必要だった (香が先手の持ち駒にある段階では後手玉は21手詰みの詰めろだった) 
さすがにこれを読みきれっていうのは酷だったか・・・

北浜さんの終盤の解説がもっと詳しくあって欲しかった 私としては山崎のいいところが観れなくて残念orz
序盤の研究はモロにハマッたんだけどなあ 2346点差をひっくり返されたか あちゃー、という一局だった
山崎は先日の銀河戦でも、優勢から渡辺にひっくり返されていた 往復ビンタだな(^^;
来週29日の金曜、いよいよ電王戦の記者発表会がありますね! 今からドキドキしています 第4回電王戦が開かれるのか? だとしたら、メンバーは? それとも撤退発表か? どちらにしろ、大注目です

そこで、もし私が今連盟の会長なら、電王戦をどうするか? これを書きたいと思います まあ、私ごときが今さら何を言ったところで、すでに連盟はどうするかは決めているんでしょうけど(^^;

問題は、2種類のファンがいるということです
・このままずっと電王戦を続けて欲しい 
・もう電王戦はやめて欲しい これ以上、プロが負けるところは観たくない
この相反する意見、どうすればいいのか? そこで、出した結論がこれです!

第4回電王戦は開催し、それをもって電王戦は終了とする

これです! これなら、双方がある程度、納得するんではないでしょうか ずっと電王戦を開催し続けて欲しい、という人もいるでしょう でも、考えてみてください プロ側から見て、第1回は米長会長の負け、第2回は1勝3敗1分け、第3回は1勝4敗

見逃してはならないのは、第3回は、コンピュータ側にとってはハンデ戦だった、ということです 事前にソフトの貸与ありで、ハードは約30万円のPC1台に制限、すごいハンデです これでもプロは1勝4敗だったのです 来年の第4回は、もっとプロが苦戦すると考えるのが妥当でしょう

電王戦は、元の性質からして、いつまでも続く棋戦ではないのです コンピュータがプロを追い抜いて、棋力差は離れていく、この構図はもうどうにもできません いつかは、試合が成立しなくなるのです そして、もうその時が来ていると私は思います

プロvsコンピュータをもっと観たいと言うなら、2007年に渡辺竜王がBonanzaと戦って追い詰められた一局、あの内容を見て、もっと早い時期から電王戦を開催しなければなりませんでした 私も、プロがコンピュータをバッタバッタとなぎ倒すところが観たかったですよ でも、現実はもう真逆なんですよね・・・ 

来年の第4回電王戦をもって、電王戦は終了、それが一番いいと思います いつかは終了する棋戦なのです そして終了の時期を先延ばしするのが得策とは思えません 羽生、森内、渡辺が出ざるを得なくなり3連敗、とか私は観たくないです 第4回の電王戦以降に、コンピュータと戦いたい棋士がいたら、その人が1人でエキジビジョンマッチをすればいいと思いますね

第4回電王戦を開くとして、ルールですが、第3回と同じでいいと思いますが、1点、持ち時間は考え直したほうがいいと思います もっと短くするべきと思います その理由として、事前にソフトが貸与されるので、プロは練習をすることになりますが、4時間や5時間だと長すぎて、練習するのが大変だ、ということです もっと短い持ち時間なら、本番と同じ持ち時間での練習が何回もできるでしょう 

実際、勝った2人は、阿部光瑠プロは消費時間3時間1分(各4時間)、豊島プロは消費時間2時間8分(各5時間)、かなり時間を余らせてます 事前の対策をしっかりやって、本番では早指し、それがコンピュータに勝つコツだと思うのです 練習しやすいように、もっと持ち時間を減らすべきだと思いますね

コンピュータのハードですが、例の30万円のやつ、あれでいいでしょう ノートPCなんかにしちゃったら、確実にシラケると思います

プロ側の人選ですが、これは、立候補したプロの中から、最も勝算がある、と見られる棋士5人でいいでしょう 立候補した人、というのが非常に大事だと私は考えます 「やりたくなかったのに、仕方なく出た」という事態は避けるべきですね そのプロが負けたとき、それではかわいそうですからね 

さあ、どんなものでしょうか? 実はこの、開催と同時に撤退を表明する、という案、私の父が考えた案なんです(^^; これだ!と思ったので、採用させてもらいました もう、全員が納得できる案なんて、ないんですよね だったら、どこかで折り合いをつけねばなりません それがこの案です 第4回電王戦をやって、プロ側が勝ち越せばそれで良し、それで有終の美、また負け越したらもう次は無理 どの道、いつかは撤退せねばなりません もう撤退を決める時期でしょう

電王戦とは、ドワンゴの川上会長自身が言うように、「人類最後の反乱」、元からそういう戦いなのですから (「ドキュメント電王戦」 P241~242の川上会長の発言より) 29日、谷川会長の決断や、いかに!?  
うわー、解説、また、ひふみんだー(笑) 2本撮りがバレバレ(^^;
今日は高見と広瀬か 高見・・・ 印象がない・・・(^^;
銀河戦、今期、後半から観始めたのでね 

高見は、Eブロックで、今泉アマ、佐藤慎一、西川和宏に勝ち3人抜きで、最多連勝者として 決勝トーナメント進出
今期の成績は3勝2敗 そうか、今泉アマとの相穴熊の一局は観たわ その一局は大激戦で非常に面白い将棋だった

広瀬はAブロックで、田中悠一、行方、稲葉に勝ち最終勝ち残り者として決勝トーナメント進出
今期の成績は9勝4敗 広瀬は銀河戦は安定した戦いぶりだったように記憶している
ちなみに、田中悠一戦は相振り、行方戦は広瀬のノーマル四間での相穴熊、稲葉戦は角換わりの相腰掛け銀だ まさにオールラウンダーという戦いぶりとなっている

ひふみん「高見は新鋭でよく勝っている 昨年度の成績が27勝15敗 絶好調で、実力のほどを物語っている
広瀬は振り飛車党で穴熊の達人、過去に王位のタイトルも取っている 最近は居飛車をよく指すようになった どうして振り飛車に変えて居飛車に指すようになったか、訊いてみたい」

先手高見で、相矢倉となった
ひふみん「広瀬は彼の本に書いてますけど、振り飛車穴熊で、居飛車の棒銀に対して、大変自信があるということです 私は居飛車の棒銀で、振り飛車穴熊に対して自信があるんですよ」
・・・振り穴に対して棒銀で自信があるプロはもう、ひふみん先生だけだと思う(^^;

ひふみん「でも本局は矢倉ですね 矢倉は、公式戦の経験から言ったら、私と対局者の2人では、全然比較になりません ふっふっふふ(笑)」
いつもの名調子での解説だ 面白いのかなんなのか、もうよくわからないが、全く憎めない人だ(笑)

完全な持久戦から、高見が端をスズメ刺しで狙う展開となった
そして、なんと30年前の▲高橋王位vs△ひふみんの、タイトル戦と同じ展開になっている、というではないか
ひふみん「私が44歳のときに、高橋王位と指した第25期王位戦7番勝負と同じ局面かもしれません」
よく覚えてるなー(^^; 第25期、というところまで覚えてるか

今、棋譜データベースで調べたら、その▲高橋vs△ひふみんは、本局とちょっと違うことがわかった
後手のひふみんは、棒銀に出たのに対し、本局では広瀬は右銀を受けに使っている
さらに本局は、高見が玉を9九に潜り、現代調に進んだ 

さて、高見が端から仕掛け、攻めが続くかどうか、この1点勝負という展開になった
広瀬は馬を作って、高見の攻め駒を攻めて、あせらせている
私はいっつも思うのだけど、矢倉の先手番で、先に駒を損して攻める攻め方、全然真似できない
受け切られたら、いったい何やってんの、ということになるからなあ

本局、高見は馬を作られて、攻めあぐんでいるように見える
高見の飛車が、広瀬の馬の圧力で遠くへ隠居させれてしまった
ひふみんはがんばって、高見の攻めをつなげるべく考えているが、名案が浮かばない
んー、高見、これは想定内とは思えない 大丈夫か?

高見は矢倉囲いを自ら崩して、金を攻めの応援に繰り出した
ひふみん「あー なるほど これはなるほど 気づきにくい一着です そうか」
と言っていたが、非常手段だな、これは・・・

高見はひふみんの予想をはずす手を連発し、
ひふみん「あららら おおー ひやー 驚きましたね いやー」
だが、形勢、広瀬にどうにも分があるようだ 高見の攻めが切れているとしか思えない
考慮時間の残りも、高見▲0回vs広瀬△5回に、形勢の差が残り時間に表れているようだ

高見はついに、飛車をブチ切ってしまった ドカーンと切って勝負!
ひふみん「ああ うわー そっちか いやー 驚きましたね さすがに気前が良すぎるんじゃないでしょうか」
広瀬は落ち着いて、冷静に受けている 高見の攻めの一手に対し、広瀬もその手の狙いに対して
一手受ければいい、という展開で、気持ちが楽だろう 

ひふみん「もう攻めがないです 高見の攻めは足りませんね」
ついに、こう言われてしまった そこから高見は相手玉に詰めろをかけるところまでは行き、
ひふみん「おー、これは詰めろなので、ひやあーと言いたいところですね ひやあー!」
が、ひふみんが騒いだだけで、広瀬は何事もなかったかのように落ち着いて受け切った(笑)
132手で広瀬の勝ちとなった ずっと有利で、危ないところはなかったと思う

ひふみん「広瀬の強気の受け方が功を奏した 高見は最後までがんばったですけど、少し足りなかった」

5分ほどあった感想戦では、もう仕掛けた直後の早々の段階で、
広瀬「この受けは勝負手です」という手を放っていたのだった 部分図として、研究してあったのかもしれない
高見は、飛車が攻めに参加できなくなったので、そこからはつらい、ということを言っていた

高見が仕掛けたのが49手目、広瀬が受けの勝負手を出したのが56手目、それがうまくいき終局が132手、
ずーっと広瀬が有利でそのまま終わった、という一局だったので、私としては盛り上がらなかった
仕掛けたからには、何かしらの成算があって欲しいものだ 
本局、高見は攻めたものの、馬を作られて、その後の手がなかった

相矢倉は攻めが続かないと、「切れてる、駒損、ジリ貧」という三重苦に陥るので、プロの人にはなんとかうまく攻めをつなげて欲しいと思う(^^;

広瀬、一局を通して沈着冷静な対応ぶりが光り、高見にチャンスを与えなかった 
相矢倉でも研究が行き届いていることを見せ付ける内容で、オールラウンダーぶりを発揮した
広瀬は完勝と言える内容で、危なげなく1回戦を突破 次のベスト8、相手は羽生だ
天彦26歳と森下48歳か 若手vsベテランという構図だな おっ、解説に、ひふみんだ
74歳のひふみん、解説は大丈夫か(^^;

天彦はEブロックで4人抜きして最終勝ち残り者で決勝トーナメント進出
勝った相手が、中村太地、藤井、ハッシー、森内という豪華メンバーだ 今期の成績は8勝3敗

森下はBブロックで3人抜きして最多連勝者として決勝トーナメント進出
勝った相手は、坂口、ハタチン、タカミチだ 今期の成績は7勝4敗

解説のひふみん「天彦は色んな戦型を指す クラシック音楽に造詣が深く、私と話していてかなり盛り上がった経験があります
森下は元A級棋士 矢倉がとても強いです 私と森下さんのとの将棋は全部、相矢倉でした」
過去の対戦成績は、天彦3勝、森下0勝とのこと

先手天彦で、角換わりの出だしだったのだが、森下が角道を止めて、持久戦模様になった
森下が銀冠を目指し、まだまだ駒組みか、と思われたのだが、そうならなかった

天彦が角の実にうまい使い方を見せ、森下陣に早くも襲い掛かったのだ
んー、この角の使い方は研究か、その場の思いつきか、どちらにしろ、相当な好着想だ!

銀冠に組んだ森下に対し、なんと天彦は▲4四歩という拠点の歩を打つことに成功したではないか
狙われた4三の金をよろけて、逃げるしかない森下
ひふみん「いやー? いやー? 森下の手は、なかなか指しにくい手ですねー いやー? これは天彦はありがたいと思っているはずです ▲4四歩は、普通は打たしてくれない歩 私だったら、▲4四歩は決して打たせない」

おいおい、これ、ホントにそうだ (本局は銀冠だが)矢倉を指す人だったら分かると思うが、▲4四歩が早々に打てて拠点ができ、相手が金を逃げるしかないなんて、そんな展開、めったにないぞ
気が早い人だったら、「この将棋はもうもらった」と思ってもおかしくない 
これは、打たしてはいけない歩の代表例なのでは? 森下、大丈夫なのか?

完全に天彦は主導権を握った どう攻めるかの決定権は天彦にある、森下は受けつつ勝負手を探す、という展開がずっと続く 天彦に、うまい歩の成り捨てが出て、やはり森下、苦しいようだ

そろそろ終盤、ひふみん「ここで森下が踏ん張れば、まだわかりません」
しかし、もう考慮時間も、天彦▲6回vs森下△0回と、大ピンチ・・・ 踏ん張れるか森下!
森下、最強と思われる手で攻め合い、これで勝負になっているか?
ひふみん「どちらが勝ちか、わかりません 極めて大接戦です」
そこで出た、天彦、玉を3段目に上がる力強い一手! これが受けの妙手だった 
昨年度の勝率部門で2位になり、今期順位戦でもA級へ連続昇級を目指す若手の真骨頂、という手だった

寄せも手が広いところだったが、天彦は全く間違える気配がなかった
ひふみん「天彦の寄せは正確、的確でしたね」と言わせた 
投了図はかなり差がつき、103手で天彦の完勝だった 競ったかと思われた終盤、実は差があったんだね  

ひふみん「天彦が急戦を狙っていったのが、功を奏した 森下の銀冠が手数をかけすぎだったので、手が遅れて、天彦の攻めが間に合ったという一局 すばやく動いた天彦の作戦勝ち」

感想戦で、森下「銀冠にしたのが、ちょっとよくばりすぎでしたかねー 本譜みたいに急戦で来られると思ってなかったので」
問題の、▲4四歩を打たれたところ、他の対応はなかったのか、とひふみんに訊かれた森下
森下「なるほど、そっか! なるほど~」と、ひふみんの示した手に何度もうなずいていた
ひふみん「▲4四歩を打たれたら、(いくらなんでも)どうも(悪いでしょう)」
おおーい、森下先生、矢倉の大家じゃないんですか(^^; 
中盤早々に、▲4四歩の拠点は絶対に許せないでしょう 常識として、ありえませんよ・・・ 
ひふみん、ここのところを詳しく訊いてくれて、ナイスだったわ

ひふみんの解説、本局は相居飛車の力戦だったんで、なかなかいい解説だった
でも、研究勝負の最新形とか、相振りとかになったらどうなっちゃうんだろう、と不安がある(^^;

「持ち歩5枚で1森下」という単位があるが、森下は本局もノルマを達成していた
森下は投了図で歩を7枚駒台に乗せていた(笑) 

天彦の序盤の構想、そして攻めは見事だった 実力の差を見せつけ、危なげなく勝った、という印象だ
天彦、強い! なんというか、キレがあるね 手がビシビシと急所に行き、キレてるわ
若手天彦の勢いが炸裂、ベテラン森下を粉々に粉砕という一局だった 天彦の会心譜と言えると思う
毎週火曜は、囲碁将棋チャンネルで放送中の、女流王将戦の模様をお伝えしている
お、解説が豊川七段だ 楽しい解説が聞けるかな 聞き手は真田彩子女流二段
室田さんと中井さんか 室田さんと言えば、なんといっても、囲碁の井山裕太六冠と結婚したことで有名だ
中井さんは純粋居飛車党の強豪だけど、室田さんはどんな将棋を指すのかな 

室田伊緒女流初段は、予選で高浜愛子女流3級、鹿野圭生( かの たまお )女流二段に勝ち
昨年度の成績は、8勝8敗 この対局日までの通算成績は、78勝85敗 0.479 25歳

中井広恵女流六段は、予選で中倉彰子女流初段、相川春香(はるか)女流2級に勝ち
昨年度の成績は、12勝5敗 この対局日までの通算成績は、595勝284敗 0.677 45歳
中井は今年の1月にLPSAをやめ、今はフリー棋士になっている

解説の豊川「室田は見た目は穏やかで、僕はけっこう小さいときから知っているんですけど、将棋は振り飛車党でシャープな攻め将棋 中井は居飛車党で矢倉のイメージが強い 僕も1回、公式戦で矢倉でやられてますからね 手厚く、攻守のバランスが取れている 見所は、室田の元気のいい振り飛車を、中井が封じ込めるかどうか」

2人の対戦成績は、室田1勝、中井8勝とのこと かなり差がついている
事前のアンケートで、中井は自分の棋風を「あまり特徴のない棋風」とのこと
どこを観て欲しいか、は「若手に負けず元気の良い将棋を指したい」とのこと
室田は自分の棋風を「攻め将棋」、「ポーカーフェイスの表情を見てください」とのこと

先手室田で、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩と進んだ 早石田模様! 中井の4手目が注目!というのも、中井は去年のこの棋戦で、香川愛生さんに早石田をやられて、一方的に攻め倒されてボロ負けしているのだ
中井の4手目は・・・ △6二銀だった 自重したか~ それが賢明だよ 
3手目▲7五歩に対し、4手目△8四歩~△8五歩は居飛車側が危険と私は前から常々思っているからね

室田の▲角道を止めた石田流+本美濃vs中井の△居飛車+舟囲いを発展させたような2枚銀の囲い、という対抗形になった 

例によって、豊川のオヤジギャグが冴えた
豊川「ここは、ほっとく、ホットケーキというわけにはいかないですから」
豊川「棋士にとって、ポーカーフェイスは大事です 顔に出ちゃうと損です 孫悟空」
豊川「一手溜めるのも、あったですね あっためご飯もありましたねー」
・・・豊川さん、どんなにウケなくても、貴重なキャラなんで、いつまでも、その調子でお願いします
ちなみに私は豊川さんのオヤジギャグが大好きです(^^;

さて、両者、変な手を指さず、難しい中盤に進んでいる 
真田「手を渡されると、何を指したらいいのかわからない、難しい戦いですね」
ホント、そのとおりだ 端で香車を交換した手なんて、高度なやりとりだなー 
室田は、石田流をけっこう指しなれているんじゃないの、いいよいいよー

互角の中盤戦、真田「▲8三香はありますか?」
豊川「あ!? あるんじゃないですか? あります あります 僕には見えなかった」
んー、見えにくいし、指しづらい手なんでは? しかし、室田の手は▲8三香! やったー 室田、強い! 
豊川「あ! いやいやいやいや! これ中井さん、慌てますよ」
おおー、ここまでほぼ豊川の予想手のとおり進んでいたが、ついに豊川の見えなかった手まで飛び出した
実に力の入った、いい中盤だ 盛り上がってまいりました!

▲8三香で室田がちょっとリードした、とのことだったのだが、直後に室田に緩手(かんしゅ)が出て、また互角に戻った、とのこと もうお互いに秒読み、40秒将棋でそろそろ終盤に差し掛かるところだ
豊川「混戦、いい勝負」
さあ、見所はここからだ・・・!

と、そのときだった 中井が、金をスッと動かして、玉を固めた
って、あれ? 何それ?? 飛車についていたヒモが外れたけど?? 飛車、タダじゃない?
ええ?? 何が起こった?? あれ?? 見間違い、じゃないよな?? 飛車、タダだけど?
豊川「え!? え!?」
真田「これ、飛車が・・・」
豊川「あ これは見落とし・・・ めずらしい・・・ 将棋は怖い、こういうことがあるんですね 秒読みはね・・・」
なんと、中井、飛車のタダ取られ~!! 完全な大ポカ!! とんでもない大悪手!!
豊川「僕も秒読みで、二歩打ったりとかありましたけど、飛車をタダで一枚取られたのは、初めて見ましたね」
中井、こう言われてしまった ああーorz

とんでもない一手バッタリで、勝負は決まった 豊川は、「まだわかりませんよ」と言っていたけど、さすがに、いくら女流とはいえ、飛車を丸ごと無条件でタダであげてしまっては、もうどうしようもないわ
男子プロなら、即投了しただろうが、中井は詰みまで指し続けた
飛車をタダで取られたのが77手目、投了は101手目だった 無難に攻めて寄せきって、室田の勝ち

終局直後、中井「いやー ひどかったですね」 ・・・うん、ひどかったね(^^;

豊川「中盤は混戦、それが急転直下 あの飛車取られたポカ、痛かったですね」
真田「早指し戦ですと、こういうこともたまにはあるんですね」
豊川「こういうのは、たまにじゃないと体に悪いですよ 僕も初めて見ました 中井はその後も指し続けたけど、飛車一枚取られた損は取り戻せなかったですね」
・・・もし、飛車がタダになったあの局面から、室田が勝ちきれずに逆転を許していたら、私はもう女流王将戦を観るのをやめると思う そんなんだったら、24の低級にも及ばないもん(^^;

んーー、せっかく高度な中盤で、互角の面白い将棋だったのに、とんでもない一手バッタリ
んーー、プロっていうのはそういうミスをしないからプロなんでは・・・ 
中井さんは「女流六段」なわけだしね・・・

一方の室田さんは、強かった! これと言った悪い手はなく、軽い疑問手くらいしかなかった
室田さん、良かったよー 終始ポーカーフェイスだったしね
もっと弱いかと思って、ヒヤヒヤしながら観ていたんだけど、なかなか強いじゃないですか やりますねー!
ちょっと雰囲気で押してたっぽいんで、中井さんの一手バッタリで勝つんじゃなく、ちゃんとした内容で勝ちたかっただろう、と思った なお、今回も勝利者インタビューは、なぜかなかった

飛車をタダで取られるまでの中盤は、かなり見ごたえがあったのだけどね
今回の中井さんの大ポカを「女流クオリティ」と言うのは、さすがに失礼だろうなあ
こんな大ポカは女流と言えど、100局に1局も無いよね?
やはり、一定以上の力があってこそ、プロと呼ばれるべきだからね
女流棋士のみなさん、大ポカしないようにがんばってくださいね 
やっぱり、一定以上のレベルを期待して観てますんで・・・ 
金井恒太 五段vs久保利明 九段 NHK杯 2回戦
解説 鈴木大介 八段

まず、昨日の夜のBSフジテレビの将棋ウォーズの特番の感想を少し
つるのさん、もー、全っ然ダメダメ! 何あれ、角を丸々タダであげてしまう手を2手も連続して指すって
どういうわけ? いつも将棋ウォーズで遊んでいるって言ってたのに、何だあれは・・・
三段免状を返上しないといけないくらいの、ありえない手2連発 マウスミスじゃないし、考えられないミス
つるのさん自身、対局後かなり落ち込んでいたね(^^; つるのさんには強くあって欲しいのだが、残念だった 

さて、今日は久保の登場か 現在、振り飛車党では最強の存在、華麗なさばきを見せて欲しい
対するは若手の金井、活きのいいところを見せるか

金井はオーストリアのウィーンの生まれ 2007年四段、竜王戦5組、C1 28歳 1回戦で阿部光瑠に勝ち
4回目の本戦出場 阿部光瑠戦では、223手の長手数を冷静に乗り切って相入玉で点数勝ちしている
久保は1993年四段、竜王戦2組、A級 38歳 1回戦はシード 19回目の本戦出場

解説の大介「金井は礼儀正しい好青年 関東の若手の代表格  研究熱心で、序盤が行き届いている印象があります 
久保はさばきのアーティスト 優勢なときはさばきでどんどん行くんですけど、苦しくなったときの粘りが、プロから恐れられている それが久保の真の姿」
久保の粘りを象徴する一局として、前期順位戦の最終戦、三浦との戦いは271手で深夜2時まで続いた大激戦(三浦勝ち)は有名だね この一局は昨年度の名局賞特別賞を受賞している 

事前のインタビュー
金井「久保さんは華のある将棋で、振り飛車党として最先端を走り続けているという印象 (去年のNHK杯2回戦で久保と戦った)1年前よりも厳しい戦いになると思っていますけども、強い気持ちで勇気を持って指したいと思っています」

久保「金井さんとは去年も自身の初戦で当たったんですけども、終盤の切れ味が鋭いなというイメージがありましたので、その辺りを意識して指し進めていきたいと思います 振り飛車で行くことになると思うんですけど、さばきと言いますか、その辺りを見ていただけたらうれしいかなと思います」

ちなみに、去年のNHK杯での対戦は、金井の居飛車に久保の4・3戦法(一手損の石田流)だった 
じっくりした序盤から、最後は詰むや詰まざるやで、華麗な詰みを決めた金井が117手で快勝している

先手金井で、居飛車超速▲3七銀vs△ゴキゲン中飛車になった 両者、サウスポーなんだね
大介「ここ1年くらいですかね、ゴキゲン中飛車の勝率が著しく落ちているんですよね たぶん4割ないんじゃないかなと体感的には思いますね 一時期は後手番で5割以上勝っていたんですけどね この超速▲3七銀と、▲5八金右超急戦、どちらも有力 角交換振り飛車も流行しだしたので、ゴキゲン中飛車は減ってきている」

金井は舟囲い、久保は美濃囲いという軽い囲いで、さっそく戦いが始まった
そして、すぐ金井に驚きの一手が飛び出した 
自分の飛車が2四に居るのに、▲2五歩と打って、飛車にヒモをつけたのだ
大介「はあ~ これは新手ですね 金井は速かったですね」
対して、久保もすぐ対応した 久保もその手は研究済み、研究範囲ということが明白だ

さて、形勢はどうか? 手が進むと、金井は自らの角道を止める手を余儀なくされた
大介「金井の▲2五歩の新手を、久保の研究が上回った感じがする これは振り飛車がさばけてますね」
たしかに、こうなってみると、金井の▲2五歩は意味のない駒になっていて、空振りしている
大介は、銀をぶつけていけば、さばけて久保が有利になると解説
こりゃー、久保は逃さないだろう なんたって、さばきのアーティストだもんね

と、ところが! ここから久保の指した手は信じられないものだった なんと、△2八歩と打って、先手の2九の桂や1九の香を狙いにいったのだ んんーー? こ、これは?
大介「なんで銀をぶつけないんでしょう 不思議ですねー!?」
2九の桂には逃げられ、久保は1九の香を3手もかけて取りにいく展開になった
1九の香、3手もかけて取る駒か??? いったいどうなってる??

符号が続いて申し訳ないが、久保が隅っこの香を取りに行っている間に、金井が▲9六歩、と突いた一手が大介も指摘していた手で、この一局のド急所の一手だった  これで8八の壁角が使えるようになった
大介「今度は金井が良くなったと思います いやー、久保はなんで銀をぶつけなかったのか」

その後も、何度も「久保、銀をぶつけたかった」と連呼する大介
本譜の展開を観ていると、たしかに、そのほうが良かったとしか思えない 
久保は両取りの「ふんどしの桂」を放つが、金井に無視されて、どっちでも好きなほうをどうぞ、とされてみると、大した威力がなかった
大介「久保、大苦戦ですね 駒割は金井の銀損だけど、駒の働きが違う  金井は去年久保に勝っているんで、自信を持って指している感じ 久保は雰囲気が押されています」

久保、このまま負けるのか?と思ったところ、味のいい歩の突き出しを見せた
大介「素晴らしい手です これはぜひ覚えて欲しい、高段者クラスの次の一手ですね」
おおー、ようやく久保らしい手が出たか、と思ったのだが、この手に対する金井の反応がまた良かった
大介「金井、実戦的な、冷静ないい手です 相手が苦しがっているのがわかってるんで、急がなかった うまく指してますね」
ここの金井の対応は、地味ながら見事だった 局面が今どうなってるのか、きちんと把握できている証拠だ

金井のじっくりした、と金での攻めが間に合ってきて、
大介「自分なら、やれやれ終わった終わった、という手」
ここ、ちょっと笑えた 私も楽観派なので、こう思うときがよくある 
けど、将棋では形勢が良くなったからといって、こういう思考をするとロクなことがないが(笑)
それにしても、この中盤、ずーっと久保の飛車が全く働きがない、寂しいことこの上ない駒になってるなあ ・・・さばきのアーティスト、どうした?

大介の解説によると、金井が一気の寄せを逃した、とのことで、どうなるかと思ったのだが、久保が秒を読まれて指した手、それは自爆と思える一手だった!
指した瞬間、私は、な、何~ そこの歩を突いたら、桂打ちの空間が出来ちゃうじゃん!と心の中で叫んだ
そしたら、金井も見逃さず、桂を打って両取り な、何だ、今の久保の手は??

久保は飛車でこの桂を食いちぎったが、飛車を取られてしまった 
大介「緊急事態発生ですね つらいでしょうね 久保がね」  
どう考えても、おかしすぎる今日の久保 な、何でだ・・・

かなりの差がつき、後は金井の寄せを見るばかりとなった もうプロなら逆転はない形勢 
金井は危なげなく寄せきり、勝利を手にした 95手で金井の勝ち 内容的に大差があった印象だった

大介「ゴキゲン中飛車の最新形で、私も知らないような新手がお互い飛び出したんですけど、わずかに金井のほうが駒が中央に出て行って優勢になって、▲9六歩から角を活用した辺りですかね  あの辺から一気に優勢を拡大して、その後、優勢を維持して勝ちきったという一局、金井の完勝だったと思います」

感想戦で、久保は▲2五歩は知っていた、ということだった
中盤、久保「相手から手がないと思って、ゆっくりやっていたら、▲9六歩が厳しかったですねー 何やっていいかわかんなくなりましたね」 とのこと

金井の完勝・・・ いや、金井がどうこうより、この一局、久保の指しまわしが、謎すぎる!
中盤で大介のお勧めの、銀をぶつける筋を逃したのも、さばきのアーティストらしからぬ失態だし、何より、△2八歩はないやろ~ 1九の香を3手もかけて取りに行くなんて、イモ筋すぎるで! マジで、たかだが24の二段の私ですら、△2八歩は「そもそも考えない手」だもん・・・

久保は飛車も、作った馬も、全く活躍の場がなし 終盤では久保は相手に桂打ちのスペースをわざわざ作ってあげる、という「自爆」も出て、ホントに全くいいところなく負け ううううーーーーんんんん こ、これは残念 残念すぎるorz
「さばきのアーティスト」が、「自爆のアーティスト」になってしまった ガクッ

ああー、久保の華麗なさばきはどこへやら・・・ 居飛車党の私ですらこれだけ残念なのだから、振り飛車党のファンはもっとガックリきたと思う ここのところ、いい内容の将棋がNHK杯で続いていただけに、一休み、という一局だった  来週以降に期待したい!
あら、また久津さんとハッシーやん 2本撮りがバレバレ(^^;
おお、今日は羽生と阿部光瑠(こうる)か 個人的に、1回戦で一番注目しているカードだ
光瑠と言えば、去年の第2回電王戦で、習甦を相手に、完璧な指しまわしで完勝して、
一躍ヒーローになった棋士だ 王者羽生を相手にどう戦うか

羽生は、今年度の成績が9勝0敗 Bブロックで森下に勝ち最終勝ち残り者となった
光瑠は、今年度の成績が4勝3敗 Gブロックで4人抜きして最多勝ち抜き者となった

ハッシー「羽生は言わずと知れたスーパースターですね タイトル獲得が87期、棋戦優勝が42回 銀河戦の優勝は7回 いやーまあすごいですね  今回は先手番ということで、さらに磐石の強さを見せるんじゃないか
光瑠は平成6年(1994年)生まれの19歳 これは羽生が初めて名人になった年 とにかく若くて才能にあふれていて、早見え早指し 何でも指しこなすし、ハッとするような手を指す 荒削りな感じも良くて、これからバランスが良くなってきたら、ものすごく完成された棋士になると思います 今日は思い切ってぶつかっていって欲しい」

雑談で、久津「光瑠は研究熱心で、1日8時間~10時間くらい勉強しているというのを本で読みました」
ハッシー「私も10代の頃はそれくらいやっていたんですけどね 年々減っていって(^^; 光瑠君は、羽生のような強い棋士と当たって、経験を積むべきですね 僕は羽生さんとは当たりたくないんですけど(笑)」

羽生の話題になり、ハッシー「データベースがあるんですけど、羽生は先手番が特に強くて、勝率が8割以上になると思います 羽生は読みのスピードが速いから、相手が本線の手を読み終わる頃には、もう次の第2、第3の手まで検討している だから手の見え方が違う 視野も広いので、他人の気づかない手が指せる そこが羽生の強さの一番のポイント」

さて、先手羽生で、相居飛車になった 
羽生が飛車先を決めた後、早々に角道を止めるという、変わった作戦を採用し、持久戦になった
羽生は穴熊に潜る趣向だ 羽生の▲穴熊vs光瑠の△矢倉だ

羽生のほう、駒組みが飽和状態になり、攻めていったのだが、ハッシーには不評だ
それもかなり不評 
ハッシー「羽生の攻めは軽すぎるんじゃないか 光瑠が形勢を良くできそう 羽生のほうは、角が全く使えていないのがまずい 駒組みの作りは光瑠のほうがいい これで羽生が攻めをつなげたら、恐ろしい」

光瑠は堂々と本筋の手で受け、ハッシー「光瑠はびびってない これはハッキリ光瑠が優勢になった 羽生は攻めが切れてしまった」
あわわ、こ、これは何ということだ 羽生、穴熊に囲ったため、他の駒の応援が利かない
なんと言っても、角が全く攻めに参加できていない いくら羽生でも、挽回不能では!?

ところが、手が進んでいくと、ハッシー「簡単には決まらなかったですね」
小駒だけで攻めをつなげようとする羽生 受ける光瑠
そして、さらに手が進むと、ハッシー「んー ちょっと逆転模様に思いますね しがみつかれた感じがある」
おいおい、ハッキリ光瑠が優勢で、羽生の攻めが切れたんじゃなかったのか
羽生は穴熊なので、攻めさえつながってしまえば、勝ちになるぞ

ハッシー「光瑠は何かちょっと、あっさり指しすぎたんじゃないかなー」
寄せ合いになったが、もう形勢は逆転しているとハッシーの解説
ハッシー「ひと目は羽生勝ち」 
こうなったらもう羽生は間違えない、最後は長い即詰みをピッタリと決めた
並べ詰みとはいえ、歩しか余らない19手詰みの長手数だ 103手で羽生の勝ち

ハッシー「光瑠のほうが作戦勝ちから、羽生の攻めが切れていたように見えましたけどね 光瑠がうまくやれば、切らせていたんじゃないかな 羽生は勝ちになってからは速いですね 光瑠には惜しい一局でした」

ええー、この一局、どうだったの? 羽生の攻めは、切れていたよね?
幸い、感想戦がたっぷりあった そこで判明した事実は、やはりそうだった、とのこと!
光瑠が最大の勝負所で正しく指していればどうだったか、という変化で、
羽生は「明快にダメでした」と発言し、劣勢を認めていた
それも、本当にハッキリ羽生が全然ダメになる変化だった ハッシーの大局観は正しかったのだ 

その問題の場面で光瑠が指したところを巻き戻して観てみると、光瑠はなんと9回も考慮時間を残しており、そこで使ったのはたった1回! ああああーー、光瑠、何でもっと時間を使って考えなかったんだ
選択肢は単純な手の2択で、大きな分岐点で、まだ時間を9回も余していたのに・・・! 光瑠、なんですぐ指しちゃったんだよ~

結局、感想戦では、少なくとも2度、光瑠に受けきるチャンスがあったということだった
あああー、光瑠、もったいなさすぎる! 羽生に勝てる大チャンスだったのに~

この一局、なぜ羽生がピンチになったかというと、変則的な序盤を羽生が試したからに他ならない
羽生はたま~に、こういう実験的なことをやるからなあ(^^; 
あの5連覇がかかったNHK杯の決勝の渡辺戦で、無理やり矢倉を採用して、惨敗した一局を知っている人も多いだろう  本局も、危うくそうなるところだった マジで、危なかった

羽生が本局のような、「相居飛車で一直線に穴熊を目指す」という序盤作戦を採用することは、たぶんもう二度とないだろう それくらいまずい序盤だった
光瑠の序盤の対応は完璧で、なぜ相居飛車で一直線に穴熊に囲うのがダメなのか、というお手本を示してくれた その意味では価値がある棋譜だ だけど、本当に惜しかったな~ 
あとちょっと慎重に時間を使って考えていたら、羽生に勝てるところだったのになあ
まあ、私としては羽生が勝ったんで、また2回戦で羽生が観れるのはうれしいが(笑)

羽生が危険な序盤作戦を採用し、不利になったが、なんとか逆転勝利、という一局だった
2014.08.14 最近のこと
まず、最初にTV番組のお知らせ
>8月16日(土)20:00からBSフジにて放送される「将棋ウォーズカップ~芸能界最強決定戦~2」に、
>つるの剛士、伊藤かりん(乃木坂46)、根岸愛(PASSPO☆)が出演する。
http://natalie.mu/music/news/123524

土曜に、こんな番組があるそうです 私は第1回を見てないし、面白いかどうかは知りません(^^;
私は阪田大吉さんの「将棋のブログ」の「将棋ニュース」の欄で情報を知りました 
連盟のページの「メディア情報」の欄は、下のほうにあるため発見しづらく、放送の直前になって
ようやくUPしていたりして、頼りになりませんねえ なんとかしてほしいものです


それから、なんといっても! 「今月末に電王戦に関する発表がある」、との衝撃のメールが、
ニコニコ動画から送られてきました
>将棋電王戦に関する記者発表会2014、8月29日(金)開催!
>谷川九段、片山六段が登壇! 観覧者も募集中!!

いったい、どういう発表なのでしょうか? わざわざ人を集めて発表する、というのだから、
第4回電王戦を開催する、と受け取っていいのでしょうかね? それとも、逆にまさかの撤退会見?
「冷やし中華 始めました」と知らせる看板はあっても、「冷やし中華 終わりました」という看板は
見たことがありません わざわざ、やめることを宣伝するってのは、変ですもんね(^^;
電王戦から撤退するなら、連盟のHPに静かに幕引きの言葉が書かれて終わり、というはず
観覧者を募集するくらいだから、やっぱり、何かイベントをやる、ということなのでしょうね?
出場棋士のメンバーは? ルールは? 今から本当にドキドキしてます いったいどうなる!


さて、このブログの話ですが、先週は忙しかった~! NHK杯、女流王将戦、銀河戦が2局
それと、将棋年鑑のレビューが2本 もう全力で更新しました
例の、香川女流vsクマーの一局なのですが、来場者数が、なんと例年の決勝戦並みの数字に達しました
(マウスのカーソルを左下にあるカウンタのところに合わせれば、一週間分の来場者数が見れます)
私は異様に盛り上がって観戦したのだけど、みなさんはどうだったのかな?、と思ったんですが、
来場者数を見て仰天、みなさんも注目して観たんですね(笑) 
「取れるか、取れるか、熊坂ぁー!」  ・・・面白かったですね(^^;
私は普段は来場者の数は気にしないのですが、この対局だけは気になりましたね

銀河戦の優勝者が決まる9月の終わりまでは、週4本のペースで、忙しく更新することになりそうです
なんとかがんばるつもりですが、今後どうなることかはわかりません(^^;
NHK杯に関しては、とにかくこれが中心なんで、これだけは手を抜かず書いていきたいですね

なお、NHK杯は観た人がもう一度振り返れるような感じに書いています
(観てない人にも内容の雰囲気が伝わるようには努力はしてますが)、
女流王将戦と銀河戦に関しては、完全に、観ていない人向けに記事を書いています 
普通の人は囲碁将棋チャンネルに加入してないでしょうからね  これからもボチボチがんばります~
さあ、いよいよ今期の銀河戦も決勝トーナメントに入った 残った16人の中で優勝するのは誰か? 
(囲碁将棋チャンネルのHPに行けば、トーナメント表と、動く盤で棋譜が見れます)
顔ぶれを見ると、やはり、渡辺、康光、郷田、羽生といったところが優勝候補だろう
若手では、豊島、永瀬、阿部光瑠が個人的に注目だ

今回は、田中悠一と豊島だ さっそく豊島のお出ましか! 私は豊島に大きな期待をしている
王座戦のタイトル挑戦を決めた豊島の戦いぶり、しっかり見届けよう 

解説は、ハッシーだ また金髪にしてパーマかけたのか 顔がでっかいな(^^;
聞き手の久津女流「橋本さん、トーナメント表を見て、いかがでしょうか」
ハッシー「私の名前がありませんね」  これには笑った

田中悠一は、今年度の成績が1勝4敗 Aブロックで6人抜きして最多連勝者で決勝トーナメント進出
豊島は、今年度の成績が6勝3敗 Cブロックで4人抜きして最終勝ち残り者で決勝トーナメント進出

ハッシー「田中は人柄はひょうひょうとしている 将棋は今風の振り飛車党 どちらかというと受け将棋 豊島を負かすと、みんなから強いと思われる 今日はそのチャンス
豊島は今日はマスクをしてますね 勉強のしすぎかな? ちょっと心配ですけど、将棋はメチャクチャ強いですよ 何でも指しこなす 攻め将棋 ポイントを稼いだら、あとはソツなくっていう感じ 序盤、中盤、終盤、なんとやらです 豊島はプロになって7年目、今24歳、そろそろタイトルも取りたいし、初の棋戦優勝もしたいところでしょう」  

先手田中で、▲中飛車vs△居飛車になった 例によって、中飛車でも角道オープン型だ
田中が早くも何だか長考している こんな序盤で何を?と思ったら、いきなり仕掛けていった!
何だ、これは? ものすごい大胆な早々の仕掛け こんな手があるのか?
ハッシー「ちょっと派手な手が出ましたね ずいぶん思い切りましたね」
ど、どうなるの? もういきなりの大決戦ではないか 興味津々だ

豊島は無難に対応 田中、困っているように見える あれ~、これやっぱり、無理な仕掛けだったんじゃ?
田中はまた長考している ええー、研究範囲とかではなかったのか 田中、どうなってるんだ

結局、豊島のほうに一方的に竜ができ、豊島は自陣に竜を引き上げた
ハッシー「田中がちょっと失敗しました 竜が大きい 豊島としては、後は普通に駒組みをしていけば優勢になるはず 田中のほうは何が予定で何が誤算かよくわかりません(笑)」
全くハッシーの言うとおり、田中の仕掛けは一体なんだったんだ(^^;

豊島が竜を作ってリードしたんだから、もう安心だ 豊島ならこのリードを広げて勝ち切るはずだ・・・
しかし、豊島は竜を自陣に引き上げたため、すごい長期戦の様相を呈してきた
ハッシー「田中は竜を作られた局面は、正直どうするんだろうと思ったけど、ここまで来ると田中は見違えるほど陣形をまとめましたね 長い将棋になりましたね 終わるまではまだまだかかる 大変になってきました 豊島のほうは、舟囲いで、いい囲いじゃない」

お互いに長い陣形の整備がようやく終わり、ついに盤の中央で決戦のときを迎えた
5五の地点に、田中は3つ、豊島は4つ、駒の利きを集中させている
ハッシー「すさまじい勢力争いですね」
ゴチャゴチャした戦い、ここを制したほうがこの勝負を制する 大丈夫、豊島ならやってくれるはず!

形勢は、やはり竜の分だけ豊島がいい、ということをハッシーは言っている
しかし、ここから信じられないような展開になった 金銀が交錯する戦いが続くうち、
ハッシー「大変な形勢になった」
ど、どうした、豊島ーー! 強いほうが勝つ、典型的なねじり合いだ 豊島のほうが強いだろ!?

だが、さらに手が進むにつれ、ハッシー「逆転した」
ええーー! な、なんでだ 金銀の接近戦で、見落としとか一手バッタリが出る戦いではない 
それなのに、豊島が悪くなっちゃった!?

そして、決定的な一手が出た ハッシー「この田中の手は、好手!」
気がつけば、田中に一方的に攻めまくられ、豊島陣はボロボロに崩壊した 
舟囲いの弱さがモロに出たかっこうだ 逆に、田中の玉は全く安泰そのものだ

相当な大差、圧倒的な差がついてしまい、豊島、投了! 109手で田中の勝ち
うわー、これ、全然ダメダメな投了図じゃん な、なんでだー と、豊島、どうしちゃったの??

ハッシー「田中が早々に竜を作られて、普通は良くないと思うんですけどねー 気がついたら難しくなっていたという感じで、不思議な将棋でしたね 田中はねばり強い勝ち方でしたね 豊島を負かしたというのは、大変なことだと思います」 

この一局、戦いが起こってからのねじり合いで、モロに豊島が押し切られてしまった
金銀を使った押し合いで、突拍子もない手は出ず、実力があるほうが順当に勝つ、という展開だったのだが、そこで田中に完全に力負けてしまった豊島 いったい、どうしたの~ 私には、にわかには信じられない内容と結末・・・

豊島がマスクをしていた、というのがひっかかる たぶん、この日は体調が良くなかったんだろう
そうでもなければ、豊島をして、この内容はありえないわ うん、きっと体調のせいだ
正直、この一局だけ見れば、豊島は強くないぞ・・・ 羽生とのタイトル戦にかなり不安を残したな

調べたら、田中悠一は、今期銀河戦では6人抜きしたとはいえ、29歳、プロ6年目でまだ四段、
竜王戦6組、C2で16位の棋士だ  豊島は竜王戦1組で、B1でも3位だ
いつもは強い豊島が、内容的に拙戦で、格下の田中に完敗、という一局だった ああー残念だorz
さて、毎週火曜は女流王将戦の模様をお伝えする
さすがに更新が連続して、しんどいので、気楽に書いていきたい(^^; まだ1回戦だしね

聞き手の安食総子女流初段「本日の解説者は、小林健二九段です」
うわー、前回とおんなじ、安食さんとコバケンさんじゃん 2本撮りということがバレバレ(笑)
上田さんと渡部さんか 渡部さんって、全然知らないなあ
渡部 愛と書いて、わたなべ まな と読むとのこと これは読めないなー
普通、わたべ あい と読んじゃうよね(^^; 

上田初美女流三段は、昨年度14勝13敗 通算成績179勝114敗 0.611 25歳
(なお、通算成績は、この対局日までの成績) 予選はシード

渡部 愛(わたなべ まな)女流初段は、昨年度9勝4敗 通算成績15勝6敗 0.714 21歳
予選で、藤田綾女流初段、斎田晴子女流五段に勝ち LPSA所属

コバケン「上田は非常に実力者で、今回の優勝候補の一人 渡部は新人ですが、斎田を破っての出場ですから、大変実力があると思いますね 上田は居、振り、両方指す 渡部は居飛車党」

安食「事前のアンケートでは、上田は中盤のねじり合いを見て欲しい、 渡部は元気よく動いていくところを見て欲しい、ということでした 自分の棋風は、という質問には、上田は、少しずつ前に押し出していく棋風 渡部は、攻め将棋、とのこと」

上田はタイトル通算2期(女王2期)とのこと あ、もっと取ってる感じだったけど2期か
前期のこの棋戦で、挑戦者決定戦まで勝ち進んだとのこと
安食「渡部さんは、見た目がOLさんみたいな雰囲気ですね」
そうだなー、黒いスーツで会社員みたいだ 一方の上田さんは白い服が似合っているね

さて、先手上田でノーマル四間飛車 渡部は居飛車で、お互いに穴熊に潜る相穴熊になった
堅く組み合い、お互いに大駒が敵陣に成り込みあう展開に一気に進んだ
ものすごくあっさりした中盤だったな(^^;

渡部は飛車を成りこんで竜を作ったのだが、どうにも次の攻め方が見えない
あれれ、これ、二の矢が全然ない? あら、これ、誤算か 敵陣に飛車を成りこんだら、良しと
思ってしまうのだが、相穴熊ではそういう常識は通用しなかったか? 
一方の上田のほうは、と金を作って迫る手がある 渡部には、そういう手が全くない
コバケン「上田のほうが少しいい」

なんとか手を作ろうとがんばる渡部だが、上田の穴熊、めっちゃ堅い
金銀4枚に、飛車と馬と底歩つき! うわーー こりゃ、気が遠くなるな(笑)

渡部は攻めたが、駒損が拡大、ついに角の丸損になってしまった しかも代償が見当たらない
いったい、なんでこんなに差がついたんだ 渡部、何が悪かったんだ コバケンのお勧めの最善手は逃しても、次善手くらいは指していたんだけど、それでは甘かったか・・・ 相穴熊は怖いなー こりゃ、もう勝ち目ないぞ

と、思って見ていたのだが、渡部、相当見えづらい桂打ちで、無理やり、と金を作りに行った
コバケンにも全く見えてなかった手だ おおー、こ、これは? 相当な勝負手か 
一気に勝負形かも、渡部さん、やるなぁ! 
コバケン「渡部も粘り強いですね」 思わず感心するコバケン

しかし! 上田も底力を見せた 角を叩き切り、相手の攻め駒をはずす強手!
コバケン「あ! これは、いい勝ち方でしょうね 上田が押し切りそうな一手になりました」
ここの両者の応酬は魅せたな~

コバケン「上田の一手勝ちの形勢 こうなっちゃうと、相穴熊は速度計算がすごくしやすい」
あー、ここまでか 渡部もけっこう強かったけどなー 後は、上田が普通に指せるかどうかだけだ
順調に迫っていく上田  ただ、渡部玉も穴熊のため、手数がかかる 
まあ、でもこれはさすがに上田勝ちで決まりだわ かなり差がついてるもん

・・・と、思っていたら! 上田に若干ぬるい手が続いた! ん!? これは??
コバケン「上田、ちょっと変調ですね? ちょっと妖しいですね 渡部、チャンスが来たかもしれないですね 攻守逆転ですね 逆転の可能性まで出てきました」
ええーー まさか、この将棋が逆転するのかー もう後は手続きだけと思っていたのに、ウソやろー(^^;

渡部の玉はこの瞬間、ゼットのため、詰めろ詰めろで迫れば勝ちになる!
コバケン「さあ、いよいよ大詰めですよ 渡部が正しく指せば、事件ですよ」
渡部、コバケンが指摘した手を指せるか、指せるか、指せるか 指せるかー 
しかし、指せないーー!! 無常にも、渡部はその手を逃してしまった!
ああああーー、絶好のチャンスをーーー そんなに難しい手ではなかったのに・・・

大ピンチを逃れた上田、再び形勢は上田に戻った 今度はさすがに決まったわ
コバケン「しかし渡部は強いですね 上田にここまで迫るんですからね」
上田の駒台に大量の駒があふれ、渡部の攻めが切れたところで、渡部投了となった 151手で上田の勝ち 

コバケン「途中は大熱戦で、上田がずっと押していたんですけど、最後、渡部に一瞬だけチャンスがあったんじゃないかと思いますけどね 秒読みですからね ホントにスリリングな将棋だったですね」
いやー、上田さん、ホント、危なかった! 
渡部さんが大チャンスを逃してくれたおかげで、薄氷の勝利という感じだった

この将棋、相穴熊の怖さが存分に出ていた一局だった 
まず中盤、飛車を成りこんだのに、その後に続く手が全然ないって、普通の戦型ではまずない
そして、角の丸損が、と金を作れただけで挽回できた
最後の最後は、相手が緩んだ瞬間、自玉が一瞬のゼットなのを利用して、一気に大逆転の可能性があった、という内容  

上田さんは勝ったが、タイトルホルダーになるためには、今回の内容では厳しいと思った もっときっちり勝たないとね もしこれを負けていたら相当ショックだっただろう
渡部さんはずっと苦しかったが、あきらめずに離されずに、かなりいい手を指し続けていた 筋がいいことが随所に伝わってきた 最後は惜しかったなー チャンスをものに出来なかったのは、残念! 

女流らしい、どちらが勝つか、終わってみるまで全くわからない、という典型的な一局だった  
時間が押したせいか、今回は勝利者インタビューがなかった 上田さんの感想、聞きたかった(^^;    
渡辺明 二冠vs佐々木勇気 五段 NHK杯 2回戦
解説 屋敷伸之 九段

清水「日曜のひととき、究極の読みと技の数々をお楽しみ下さい」
さあ、今回から2回戦だ シード棋士が登場してくる 今日は渡辺二冠(30歳)のお出ましか! 
対するは、若手有望株の一人、佐々木勇気(20歳) 佐々木は昨年度の加古川青流戦で優勝している
1回戦の阿部隆との一局では、終盤の長い難戦を勝ちきったものの、途中、疑問手もあり、
私は「この内容では次の渡辺戦は厳しいのではないか」と感想を書いている さて、どうなるか

渡辺は棋王、王将を保持 永世竜王資格保持者 2000年四段 竜王戦1組、A級 1回戦はシード
13回目の本戦出場  渡辺は竜王戦は今期、2連敗してしまったので、来期からは2組だね

佐々木はスイスのジュネーブ生まれ 2010年四段、竜王戦5組、C1 1回戦で阿部隆に勝ち
2回目の本戦出場 なんか、すごい所で生まれてるな 国際協定でも結ばれてそう(^^;

解説の屋敷「渡辺は居飛車中心の本格派 佐々木も居飛車でよく攻める本格的な将棋 2人とも終盤力が強い」

事前のインタビュー
渡辺「NHK杯は多くの人が観ている棋戦なので、毎年がんばりたいとは思っているんですけど、去年は自分にとっての初戦で負けてしまって、オープニングの画面からも姿を消してしまったので(笑) 今年はオープニングの画面に残れるようにがんばりたいと思います 佐々木君とは初手合いなんですけども、年齢は10くらい離れていて、彼が四段になった年齢とかが自分のときとほとんど同じなので、10年くらい前の自分を見ている感じがします」

佐々木「渡辺二冠は、常に第一線で活躍なさっている先生だと思います きれいな攻めが決まっている印象があります 自分らしい将棋が指せたなら、最高です」

佐々木のインタビューを聞いていた屋敷「なんとなく、ういういしいというか、緊張している感じがうががえました 相手が渡辺二冠ということで、秘める思いが強いかなという感じがしましたね」
うん、佐々木勇気、緊張してけっこうカタくなっている感じ 渡辺相手に、どう戦うかな

先手渡辺で、屋敷の予想どおり横歩取りになった ▲中住まいvs△8四飛+中原囲い△5二玉型だ
清水「この2人は、小学4年で小学生名人になっている 佐々木は16歳でプロデビュー」
へー、佐々木って、そんなすごいエリートだったのか ちなみに、渡辺は15歳でプロデビューだ
屋敷「渡辺は勝ち方がうまい 優勢になってからのまとめかたがうまい 受けがしっかりしている もちろん、攻めも鋭いんですけどね 一手違いで競り合うよりも、大差で勝つ印象」
   
さて、早々に佐々木が左桂を5段目に跳ね出し、屋敷が「もうかなり勝負所と言った感じがします」
と言ったのだが、進んでみると、局面は案外落ち着いた 横歩取りらしく、四段目~六段目での空中戦という感じになっている 中盤の力勝負だ どちらが制するか・・・ 

考慮時間の残りが、渡辺▲7回vs佐々木△1回まで差が開いた んー、大丈夫かな 
佐々木の手番、屋敷が「ここは何かありそうなので考えたい」と言っていたところ、
佐々木は桂2枚のつなぎ打ちで勝負を賭けた! おー、相手に竜を作らせてもいいということか
屋敷「かなりの迫力の手で、どちらが早いかという攻め合いになりましたね」
おー、一気に終盤になったな 形勢はどっちがいいのだろう?

バシッと金を取った佐々木、清水「渡辺は今少し首をかしげていましたが」
屋敷「渡辺は何かひねり出さないといけない このままだと、金の丸損になる」
おー、渡辺、ピンチか 佐々木が追い詰めているのか いいぞいいぞ こりゃ、面白くなってきた
そのときだった、渡辺が、取られそうな桂をジャンプ!
屋敷「桂を逃げながら攻めた手 なるほど、ひねり出してきましたね なるほど」 
佐々木も負けじと、屋敷に賞賛される歩の突き出しを指す 渡辺も勝負手を次々繰り出してくる
佐々木~ がんばれ~ 形勢はちょっと押してるっぽいぞ 若手が二冠王を超える所を見せてくれ~

そしてここから、力と力のねじり合い、と呼ぶにふさわしい終盤が延々続くことになった
清水「すごいですね 渡辺二冠をあせらせる佐々木五段」
屋敷「そんな人は、なかなか見たことないです(笑) 渡辺はいつ見ても冷静な感じで変わらない 闘志を全面に出しているのを見たことがない 冷静に考えて冷静に指し手をつないでいく でもさすがにこの局面は苦しいと見ているんじゃないか」  

考慮時間の残り、差があったのに、渡辺▲1回vs佐々木△1回に!
屋敷「やっぱりちょっと渡辺は苦しそうな顔をしてますね あまり見たことがない表情になってきました」
おおー、佐々木、二冠王を、相当追い詰めてるぞ このまま行け~!

だが、まだお互いにそんな早い寄せはないようだ 長い終盤になったなー
屋敷「まだかなりどちらも難しい感じがしますね まだまだ長くなりそう」
長期戦かぁー しっかし、次の手の予想が全然できない将棋だな ただもう観ているだけだ(^^; 

そして、佐々木が飛車を取られるのを放置して攻め合いを決断、いよいよ寄せ合いか!?
渡辺も、それなら取る、と自陣の危険を放置して飛車を取った うわー
一応、私は考えながら観るんだけど、この一局は全然手が見えないわ ダメだ(^^;
屋敷「簡単に佐々木が勝ちそうという感じもしない すごい際どい終盤になりましたね 渡辺が寄せきれるかどうか 大熱戦ですね」

これは相当な熱戦! 屋敷「渡辺の王手が相当続く」
佐々木は詰めろ逃れの角を放つ そしてその角が香車で狙われた瞬間、なんと中合いの銀捨て!
銀の中合い出た~ こんな手はめったに実戦で見れないぞ
清水「好手、妙手の連続ですね」 屋敷「ですね」

屋敷「かなり際どいです 私には判断できません 渡辺も読み切れてる顔じゃない」
渡辺は竜を捨てて迫る、渡辺も必死だ
ここからは精神力の勝負にもなってくる 心、技、体、総合力の勝負だ
頭に手をやった佐々木 どうする~ と思ったら、佐々木、なんとまた桂の中合い!
中合いが2回も! すげー こ、これで助かった!?  と、ところが! 佐々木が玉を逃がすうちに、
なんと、佐々木の急所の攻め駒が、角での両取りで抜かれる王手が発生してしまったではないか!
うおー、角で両取りのラインが出来たのか・・・ これが渡辺の真の狙いだったのか あ、あらああー
なんという渡辺の終盤力 これが二冠王の底力か こりゃ、ダメだぁー 

バシッ!と駒音高く両取りをかけた渡辺
清水「今、手つきがどっしり、落ち着いて」 屋敷「確信を持った感じでしたね」
あああー、これで渡辺玉のほうは、全く手がかりが消え、安全になってしまった
やっぱり、二冠王の壁は厚かったか 佐々木、これまでだな まー、よくやったよ

と、思われたその直後だった 何気なく佐々木が香車を取ったと思われたのだが、その香車を使い、なんと王手竜取りの田楽刺しという、初級者どうしで見られるような手筋が炸裂! 
屋敷「田楽刺しですね よく見たら・・・ なるほど!? あれ、けっこう大変そうですね もうすぐにでも渡辺の勝ちかなと思ったんですけど、かなり大変そうですね あれ、また一波乱という感じ」
おいおいおい、どうなってる?? 

画面に、明らかに様子がおかしい渡辺が映し出された
清水「渡辺、天を仰いでますが」 
屋敷「渡辺は、あれっていう感じでしょうね 佐々木は狙ってましたね」
うおおおー、あの渡辺をして、こんな、あからさまな田楽刺しを食らうとは! 初級者レベルのうっかり!!

渡辺はまだ踏ん張ろうとするが、一気にムードが逆転模様、
勢いづいた佐々木、歩で渡辺の玉頭を叩いたその手つき、力強かった
清水「佐々木の愛読書は詰め将棋本ということです」
屋敷「渡辺は勝ちを確信したと思うんですけど、竜を消されちゃいましたからね 将棋はホントに勝つまでは油断できない とんでもないところに落とし穴があった」

佐々木、飛車で王手馬取りをかけた 長かった戦いも、ここまでか? 渡辺、投了か?
が、まだ手があった! なんと今度は渡辺が桂で中合い! うお、一局の中で中合いが3回も! すげえー
屋敷「すごい勝負手ですね なるほど これは迷うんですよね」
佐々木、どうする? 馬を取って、長くなるが安全に行くのか? と思って見ていると、佐々木は桂のほうを取って、詰ましに行った~!! おおーー つ、詰むのか!?

手に汗握ったのだが、ここから佐々木は実に早かった! 全く、何の迷いもなく、ビシビシ指して、ピッタリ渡辺玉を詰まし上げてしまったではないか! おおー、今取った桂も必要になる詰み筋で、そんなすごく簡単な詰みというわけじゃないぞ す、すげええー 佐々木勇気、つえええー 
渡辺が「負けました」と言ったとたん、私は思わず、「おおーー!」と叫んでしまった 
156手で、佐々木の勝ち 長い長い戦いにようやく終止符が打たれた
か、勝った 20歳の新鋭が、二冠王相手に、超がつくぐらいの、このねじり合いを制した・・・

清水「ものすごい将棋になりましたけど」
屋敷「大激戦でした 何が何だか、という感じで(^^; すさまじい終盤だったですね 最後はやはり渡辺二冠の貫禄でうまくまとめたかな、と思ったんですけど、そこからまたドラマがあった」

こ、こりゃー、ホントに大激戦中の大激戦だったな 屋敷の「何が何だか」という表現がピッタリだった
私はこの一局を通して、次の手が全然見えなかったわ(笑)
特筆すべきは、佐々木勇気の精神力の強さ! これだけの長い戦いで、最初から最後まで、全く表情を変えないとは! むしろ、「冷静」と解説があった渡辺のほうが表情を変えていた   
王手竜取りを狙った執念もそうだが、最後の渡辺の桂での中合いに対しても、迷うことなく、ノータイム指しで一気に詰まし上げてしまうとは、佐々木勇気、恐るべし!
脳が疲れるということがないのか? これぞプロフェッショナルというべき、終盤の耐久力!

佐々木勇気20歳、会心の一局で、見事に二冠王を撃退した これはすごい!! パチパチパチ
中合いが何回も出てきたり、あの渡辺がモロに王手竜取りの田楽刺しを食らったり、と、見所満載、実に面白い一局だった 長くて、観ていて疲れたけど(^^; 観た甲斐が存分にあった一局だった
佐々木勇気五段が総合力で、あの強い渡辺二冠王を上回ったのだ、素晴らしかったよ!
平成26年版 将棋年鑑2014 棋譜以外の記事レビュー 後編
日本将棋連盟 発行 マイナビ 販売 4600円+税 2014年8月1日初版
棋譜以外の記事の評価 B

さて、将棋年鑑のレビューの後編です
<特集4> 詰将棋の世界 ~看寿と現在~ (分量4ページ) 
これは、すごく良かったです!
「詰将棋は指し将棋から派生したものだが独自の進化を遂げ、そのパズル性、芸術性を高めていった。 現在では指し将棋とは独立した一つの分野となっている。」 
この説明から始まるとおり、私のように、指し将棋とプロの将棋観戦が専門で、芸術的な詰将棋の分野には全く無知な人向けに紹介された特集となっています 取り上げた作品のテーマとして、「裸玉」、「煙詰」、 「長手数」をチョイスしたところが素晴らしいです これなら、一般の人も食いつきます 私はモロに食いつきました(^^; 
「裸玉」では2004年に岡村孝雄氏が発表した「驚愕の曠野」 (こうや) 「煙詰」では1992年に添川公司氏が発表した「大航海」が紹介されています すさまじい出来栄えの作品で、詰将棋が芸術であることが存分に伝わりました 感動しました!

<特集5> 上野裕和の最新将棋事情 ~平成25年度を振り返る~ (分量14ページ)
これまた、素晴らしい特集となっております! 
上野五段と言えば、その著書「将棋・序盤完全ガイド」振り飛車編と相居飛車編が、あまりにわかりやすく読みやすいということで、一躍有名になった棋士です その上野先生がたっぷり14ページ使って最新の流行を解説してくれています 図面は序盤の駒組み段階が中心、進んでいても駒がぶつかった程度のものがほとんどですので、読み手のアマチュアを意識してくれています 相居飛車のほうは符号で進む手数が多めですが、これは仕方ないですね 今は、作戦の数がすごく増えている時代だと思うのですが、上野先生は一つの戦型に深入りすることなく、広く浅く、全体をバランスよく、紹介してくれていると思います 
それでももちろん、プロの最新形なので、読むほうもそれなりの努力は要りますよ(^^; ただ、もうこれ以上わかりやすく説明するのは無理、というくらい、きれいに整理してくれて、がんばって説明してくれているので、そこに読み手は感動するのですよね 上野先生、ありがとう!

さて、次は、巻末の棋士名鑑についてくるアンケートです 
質問の数を、例年の倍の20問に増やしたということですが、どうでしょうか? 質問を全部書き出そうかと思ったのですが、20問もあり相当長くなるのでヤメ(^^; ざっと、印象に残った答えだけ、書き出してみようと思います

森内竜王 Q、好きな駒と理由 「飛車 強い受け駒だから」
佐藤康光九段 Q、棋風を漢字一文字で 「謎」
塚田九段 Q、大笑い、涙したこと 「電王戦」
森下九段は、「特にありません」を5連発して、とにかく全ての質問に答えていました
深浦九段 Q、自分の将棋のどこを見てほしい 「根性」
神谷七段 Q、座右の銘 「老いても子には従わぬ」
長沼七段 Q、口癖 「取っておきますか」
中座七段 Q、大笑い、涙したこと 「民放で豊川さんのダジャレ解説をした番組を観て大笑い」
佐藤天彦七段 Q、この一年で心に残った書籍 「カラー版世界服飾史 勉強になりました」
木下六段 Q、自分の将棋のどこを見てほしい 「見ないで下さい」
窪田六段 Q、影響を受けた棋士 「武者野勝巳七段」
糸谷六段 Q、棋風を漢字一文字で 「変」
伊藤能六段 Q、口癖 「もう死にたい」
清水女流六段 Q、自分の将棋のどこを見てほしい 「初手」
竹部女流三段 Q、大笑い、涙したこと 「『女流棋界の汚れポジション、実はおいしいと思ってるでしょ?』と言われたこと」

んーーー、これくらいなんですよね 上記だけ見れば面白いと思えるかもしれませんが、約200人に20問ずつアンケートして、印象深かったのが、これくらい・・・ 正直、不作でした! 質問の数が多すぎましたかねえ もう、例年の10問でいいと思いますね 「棋風を漢字一文字で」、期待したのですが、難しすぎたのか、「わからない」、答えていない人が多数 そして不作な理由として、棋士のみなさんが質問に必ずしも全部答えてない、ということ むしろ、全部に答えてる人は、ごくまれです そして、受け狙いで全力で答えてくれている人がほとんど見当たらないことですね

さらに、なんと言っても、全く1問も答えてない棋士が大勢いる、ということ 藤井九段、先崎九段、橋本八段、野月七段、豊川七段などの、サービス精神旺盛と思える棋士たちが、アンケートを完全に無視 なんでかな?? この5人なんかは、TVやニコニコ動画の解説ではすごく楽しくしゃべってくれるのに・・・ 棋界のエンターテイナー、佐藤紳哉六段も「身長180cm、70㎏、O型 嫌いな食べ物 マヨネーズ」 答えてくれたのは、たったこれだけ マヨネーズの情報しかないじゃん 

さて、次は棋譜が載っているページの、空いたスペースを埋めている小さいコラムを紹介
「実戦終局次の一手」 実戦図から、詰ます問題が13問ありますが、これは私には全く不要でした こういうのは他の本にまかせて、年鑑は、棋譜並べをする人のために、途中図を増やしてあげるべきでは?

「棋士名鑑アンケートクイズ」 アンケートを元に取り上げたクイズが10問あります 例えば1問目はこんな感じ 羽生、渡辺、森内、康光の身長を、当てろというもの 4つ候補の数字が並んであり、それを4人と正しく結び付けよ、という形式 別のページに答えがある 正解は、羽生が171cm、森内が176cm、渡辺が165cm、康光が168cm・・・ こんなん、すぐ答えを教えてくださいよ 新四段の4人の苗字と下の名前を結び付けろ、というムチャなクイズもあるし・・・ 得られる情報が少なくなるクイズ形式にせず、質問のテーマ別に、ずらっと棋士の答えを並べてくれたら、とても読みがいがあったと思うんですけどね

「トップ棋士指し手分析」 これは、前の2つと違って、素晴らしい試みでした!
羽生、森内、渡辺、康光、郷田、深浦、久保、広瀬の8人、近年タイトル戦に出たトップ棋士を選び、今年指した全ての手のうちで、駒の種類別に、動かした割合を調べた、というものです 
例えば、「歩を動かした割合を示したデータ」 7人は30%付近でほぼ横並びなんですが、1人だけ24.5%と、ダントツで少ない棋士がいます それは誰か? 歩を動かさない棋士です ちょっと考えてみてください だいたい、予想がつくはずです ・・・そう、正解は久保です! 久保は歩を動かさず、他の駒を動かして、さばきにいっている、これがデータで示されているわけです これは画期的ですね 面白い!
他にも、と金を動かした割合が一番高いのは誰か、飛車より角を動かした割合が高い棋士が1人だけいるが誰か、という興味深い結果が出ています また、盤上のどこで戦っているかを調べるために、段、筋でも駒が動いた割合を調べています いや~、こんなデータが取れるんですね パソコンで棋譜管理している恩恵ですね ナイスな企画でした!

「プロ棋士なんでもランキング」 これは、アンケート結果を集計したものです
こういうのがあると助かりますね 自分で集計する必要がないですからね 載っているのも、棋士名鑑の空いたスペースなので、他の記事のジャマになっていません ランキングの中で、好きな食べ物を紹介しておきます 1位 寿司 (30人) 2位 焼肉 (13人) 3位 そば (11人) 4位 パスタ (9人) 5位 ラーメン (8人) そばとパスタとラーメンは麺類なので、寿司と麺類が多数を占めましたね その他のランキングとして、「血液型」 「好きな動物」 「よく観るテレビのジャンル」 「口癖」
「好きな駒」 「この一年で心に残った書籍」 「この一年で心に残った映画(ドラマ)」 「影響を受けた棋士」 「将棋上達法」 が集計されています アンケートで、20問は多すぎたのでは、とさっき私は書きましたが、一人ひとりは平凡な答えでも、集計してみると傾向がわかるので、20問も質問した意味があったかな、という感じですね 

さあ、最後は、今回の将棋年鑑への私の不満です 
これ、私、マジで怒ってます そして、あきれてます というのは、平成25年度の先手番の勝率がどこにも書いてない!!ということです 最初、私は何かの間違いだろうと思ったんです まさか、昨年度の先手の勝率がどれくらいだったか、書いてないなんてことはありえない、656ページもある本だから、見落としたんだろう、そう思って探しました でも、探せど探せど、見つかりません 結局、どこにも書いてないんです!! こんなの、ありえますか?? 昨年度のデータをまとめた本、それが将棋年鑑じゃないんですか? たかが、先手後手の勝率ですよ? 基本中の基本の情報じゃないですか! 
連盟、マイナビは何やってるんですか? もう何十年にもわたって作られている本で、ノウハウとかテンプレートとか、揃っているはずじゃないですか 本当に、信じられないですよ・・・

ちなみに、おととしの将棋年鑑には、巻頭特集の記事で、村山慈明六段の「プロ将棋最先端」の中で、「平成23年度の先手番勝率は5割4分1厘。22年度の5割4分とほぼ変わらず、前年に引き続いて後手番受難の年だったと言える。」とあります この記事で先手の勝率がわかりました しかし、おととしの将棋年鑑でも、データだけを別扱いとしてきちんと取り上げたページはなく、もし村山が文章に書いて触れてくれなかったら、わからないところでした 

ちゃんと、過去10年分くらいの先手後手の勝率差について、取り上げるページがないといけないでしょう こんなの、今はパソコンで管理しているので、一発で出てきます 実際、棋士別にどの駒をどれくらい動かしたかの割合すら、調べられて、現に載っているのですからね 先手番の勝率が載ってないって、ありえないですよ・・・

巻末には「対局日誌」があり、総対局数2813局(不戦・反則・千日手含む)とあり、男女全部の対局結果が載っています どっちが先手だったかもわかります 先手の勝率が知りたければ、これを全部手作業で集計しろってことですか? 冗談はよし子さんですよ

ちなみに、おととしの将棋年鑑のNHK杯の記事ところで、こんな文章を見つけました 「今期の先手勝率は57.1%と高率を示した。平均手数は111手。振り飛車戦が全対局の半数を超えた。」 こんな興味深い結果が出ているんじゃないですか 持ち時間の短いNHK杯で、先手勝率57パーセント・・・ もう3年前の2011年度のNHK杯の話ですけどね

とにかく、個人のデータを扱ったページしかなく、棋界全体の総合のデータを扱ったページが存在しない、というのが大問題です 読者が知りたい情報はいっぱいあるはずです

全体の先手後手の勝率はもちろん、平均手数、そして、どの戦型がどれくらいの割合で指されたのか 男子と女子では先後の勝率はどれくらい差があるのか タイトル戦での先手番の勝率はどれくらいか、先手後手があらかじめ決まっている順位戦ではどうだったか、持ち時間の短く、注目度の高いNHK杯では先手何勝、後手何勝だったか、さらに戦型別の勝率、例えば相居飛車なら先後でどれだけ勝率差があったか、対抗形の勝率は、そして戦法別の勝率、横歩取りの先手の勝率は、後手一手損角換わりの勝率は、などです

個人の成績でも、トップ棋士10人くらいは、先手後手の勝率差が知りたいです 私が以前持っていた、平成20年度版では、羽生の勝率が先手番は25勝5敗、勝率0.833  後手番は19勝13敗、勝率0.594 こんな衝撃的な数字が出ているじゃないですか
 
トップ棋士20人くらいについては、各人の飛車を振った割合もぜひ知りたいところです さらに、今年度の名人とA級棋士に関しては、お互いの対戦成績も載せて欲しいです A級は総当りなんで、絶対に対戦があるわけですからね 1ページ割く意味はありますよ こんなところです 本当に、総合的なデータ、統計を扱ったページが存在しないのは大問題です

マイナビの今年の将棋年鑑の宣伝文は、以下のようです↓
「1年間の将棋界の動きが丸ごと分かる、昭和43年から続く日本将棋連盟の定期刊行物です。対局についても、プロ棋士についても、これ以上ない情報量でお送りします。」

先手番の勝率も載せてなくて、「これ以上ない情報量」って・・・ マイナビさん、HPを見たら、何人もの編集者がさかんにブログを更新していらっしゃいますが、もっとちゃんと年鑑に基本情報を載せてから、ブログで遊んでくださいよ 頼みますよ ホントに!! プロ棋士の棋譜のデータベースは、一般のファンには公開されておらず、使えるのは関係者だけなのですからね

今年は、巻頭特集は良かったです 康光さんの電王戦、詰将棋、上野さんの最新形のまとめ、この3つは執筆者の気合いが伝わってきました 大満足の企画でした 私は来年も将棋年鑑を買おうと思ってます 来年は上記で要望したようなデータをちゃんと載せてください マジでお願いします、頼みますよ! 
さあ、銀河戦の本戦も最終戦だ この対局が終われば、決勝トーナメントの16名の顔ぶれが決まる
佐藤康光と村田顕弘、好カードだ 村田は何しろここまで6人抜きしてきているのだ

昨年度の成績は、康光19勝18敗 0.514 村田27勝11敗 0.711
解説の深浦「康光は銀河戦3回の優勝があり、早指しも強い 優勝を狙っているでしょう
 村田はここまでそうそうたるメンバーに勝ってきていて、顔つきも、りりしいですね
 両者ともパンチ力がある」
村田の表情、たしかに、いい顔つきだ キリッと引き締まった武士のような顔だ 期待できそうだ
あら、深浦さん、紹介文、それだけか 両者の棋風とかも言って欲しい・・・

私がもし康光の棋風を紹介するとしたら、「康光は棋界のピカソと呼ばれています
 居飛車、振り飛車という枠に捕らわれず、他の人が真似できない斬新な序盤戦術を次々
 編み出しています 康光の序盤からは目が離せません 中盤も、一見無理筋と思える手を指し、
 ムチャミツと言われるんですが、よくよく考えると成立している、そこが緻密流と呼ばれるゆえんです 
 終盤も強いですが、特に自玉が堅いときはメチャクチャ強いです」  こんな感じかな(^^; 

先手康光で、横歩取りの出だしになった あー、またか と思いきや、康光は横歩を取らず、▲5八玉だ
おおー、これは! 将棋年鑑の「上野裕和の最新将棋事情」に、モロに載ってある手ではないか!
それによると、「最近有力視されているのは、▲3四飛と横歩を取る局面で▲5八玉と立つ手である。
 佐藤康光九段が多用しているので康光流とも呼ばれている。」
おおー、年鑑がもう役にたったぞ いやあ、本に書いてあるとおり進むと、なぜかうれしいなー(笑)

深浦「▲5八玉は康光流」 そして、その狙いを簡単に説明してくれた
深浦さんの解説は、毎度のことながら本当にわかりやすい 解説者としてもA級だなあ
ここから駒組みが続く、持久戦になった
雑談で、深浦「村田とは、大阪で研究会で教わることがある 大阪の研究と東京の研究は全然違う」
聞き手の藤田綾女流「どう違いますか?」
深浦「東京はきっちりとした最新形を、深く研究する 大阪の人は、発想が柔軟 面白いアイデアを
 たくさん持っていますね」

藤田の情報によると、村田は本も出しているそうだ どういう本か、今から調べてみる
もちろん、棋書ミシュランで調べるのだ  Rocky-and-Hopperさん、いつも見てますよー(^^)
「最新戦法 マル秘定跡ファイル」(2012年) 「アマの知らない マル秘定跡」(2013年)
ミシュランでの評価はそれぞれBとAか 難しそうな本だなー(^^; 

さて、駒組みが進む 後手の村田はひねり飛車模様なのだが、なかなか飛車をひねらない
深浦「村田は駒がバラバラで、まとめるのが大変そう」
藤田「ひねり飛車は、こういう形になりやすいんでしょうか?」
深浦「後手の村田の形は、今後二度と見ないと思いますね(笑)」
あらー、こう言われてしまった ホント、村田はこの駒組みで大丈夫なのか?
玉が全然囲われていない 何がやりたいのか、初心者が指したみたいな駒の配置になってる

深浦「康光の駒運びは、無駄がない 村田は離れ駒が多い」
んー、村田、全く大丈夫じゃなさそう 駒がぶつからないうちに、かなり差がついたな

が、ここから村田が力を見せた 働きのなかった角を転回、これで勝負になるか?
深浦「村田、どうまとめるんだろうと思ってましたけど、康光のほうにも嫌なところは残ってますね」
その間、康光はじっくりと、と金を作って動かして、やって来い、という態度だ
駒の損得はないが、康光だけ、と金を作っている 

そして、村田がいよいよ大勝負をかけてきた さあ、ここが剣が峰だ んー、複雑だな 何かあるか?
深浦「色々手がありそうで、目がチカチカしますね」
と深浦が言った刹那(せつな)だった、康光、と金をタダ捨て! おおー、そのと金は、4手もかけて
ようやくそこまで相手玉に近づけた駒なのに、捨てちゃうのか すごい発想、そんな手がある!?
村田も思わず考慮時間を使った さっそく深浦が検討するが、どうも、相当いい手だったようだ
深浦「んー うまい手の気がしますね 名手ですね」
はい、名手、来ました! 好手とか妙手はよく聞くけど、名手ってのはなかなか言われないぞ

この一局、この康光の、と金捨ての「名手」で、事実上、決まってしまった 
局面、まだ駒がたくさん当たっていて、終盤はまだまだこれから、と思われ、
深浦も「激しくなりましたねー」と解説していたのだが、なんと、あろうことか、村田、突然の投了!
これには私はびっくり 「え!!」と大声を出してしまった
75手の短手数で康光の勝ち

藤田「ちょっと急な・・・」 深浦「唐突(とうとつ)でしたね」
2人も思わずびっくり、だった 早いよね~ ここで投了はね
深浦「非常に意欲的な村田の指し方でしたけど、ちょっとやっぱり、まとまるまで時間がかかったと
 いうのと、康光の指し方が完璧でした と金の使い方が見習うべきいい手でした
 康光の完璧な試合運びでした」

んー、村田、さすがに投了が早すぎるよ TV棋戦なんだから、視聴者のためにあと少なくとも
 4手くらいは指さないと・・・ 駒がまだ当たっているわけだからね
たとえ大差がついていても、終盤、プロがどう寄せるかっていうのも視聴者の楽しみなのだ
TV棋戦でこんな早投げはしないで欲しい 本局のように、構想の段階で差がつき、勝負どころが
あまりなかった将棋こそ、最後のほうまで指すというファンサービスをしてくれてもいいだろう 
村田はもうすでに決勝トーナメント入りが決まっていたのはわかるけどさ・・・

感想戦で、▲5八玉について、康光「何局かやっているんですけど」
 村田「序盤の構想の早い段階で、初めて指す局面になったので、よくわからなかったです
 王を囲わないとダメでした」

序盤の相当早い段階で、温厚な深浦に「後手の村田の形は、今後二度と見ないと思いますね(笑)」
こう言われる駒組みをしちゃった時点で勝負あった、という感じの一局だった(^^;

会心の内容で完勝した康光は「うまくいきすぎちゃったな (▲5八玉を)真似されちゃいそう(笑)」
と、かなり上機嫌だった まあー、今回は何もかもうまくいったね
康光の強さばかりが目についた一局だった 村田は序盤がひどすぎ、力を発揮できず あーあ(^^;
私は康光が好きなんで、勝ってうれしかったけど、終盤の寄せるところも観たかった

Hブロックからは、村田顕弘が、中座、富岡、真田、安用寺、阿久津、久保に勝って6人抜きで 
最多勝ち抜き者、佐藤康光が村田顕弘に勝って最終勝ち残り者となった

さて、今回もう一つ、私が気付いたところがあった それは、聞き手の藤田綾女流のことだ
この人、めっちゃいいなー! 聞き手としてほぼパーフェクトと思える 相づち、質問、フォロー 
どれもうまい! そして声も良いし、かわいいし! 観ていて気持ちが落ち着く 
ニコニコ動画の電王戦で藤田さんを観ていた時には、なぜかそれほど気付かなかった 
さすが矢内さんが、「女流棋士の中でお嫁さんにするなら」で選んだだけある
藤田さんを、次のNHK杯の聞き手に頼む! マジで頼む~! 
平成26年版 将棋年鑑2014 レビュー前編
日本将棋連盟 発行 マイナビ 販売 4600円+税 2014年8月1日初版
棋譜以外の記事の評価 B

将棋年鑑を買ったので、レビューしてみたいと思います と言っても、棋譜以外のところです ネットのどこを探しても、案外、将棋年鑑のレビューというのがないので、やってみようというわけです

私は将棋年鑑は毎年買っているわけではなく、気が向いたら買っているという状態です 何しろ、私は棋譜を全く並べないので、データと読み物の所のためだけに5000円近くの本を買うのは気が引けるわけです で、おととしは買ったものの、読み物であまり良い記事がなかったです それで、去年は買いませんでした でも、今年は巻頭特集が良さそうだったのと、棋士へのアンケートの質問を、これまでの倍の20問に増やした、ということで、何かブログを書くときの参考になれば、ということで買いました マイナビのHPから、コンビニ払いで買いました 8月1日に家に届きました

棋譜以外の読み物の記事を、レビューしてみたいと思います 量が多いので、前編と後編に分けます

まず、プロ棋戦の結果の記事から
これは、昨年度の棋戦を振り返るのに、ちょうどいいですね 私はNHK杯と銀河戦と順位戦以外のことは、あんまりチェックしてないんですよ あれ、タニー、竜王戦の2組で優勝してたのか、とかね 各棋戦ごとの簡単な解説を読み、トーナメント表、リーグ表の結果を確認するのは楽しいです  

主要アマ棋戦についても結果が載っていますが、私はさすがにアマ棋戦までは関心はないです TVで放送とかがあれば観るんですけどね

さて、目玉の巻頭特集のレビュー
<特集1> 河口・先崎対談 2人の語り部が1年を振り返る (分量8ページ)
これは面白かったです 2人が話し言葉で7大タイトル戦を振り返ってくれ、読んでいて楽しいです 例えば、王座戦の羽生vs中村太地について、河口「これは今期一番いいシリーズだったね」 先崎「番勝負全部がいい将棋でしたね」
王位戦の羽生vs行方は、河口「今回羽生さんとやって、正直いいところなかったよね」 先崎「ちょっと行方さんに肩に力が入っているかな、という感じでしたね」 こんな風で、率直に言ってくれていて良かったです

しかし、里見香奈さんの話題になったときに、河口さんに次のような発言がありました 
河口「ものすごく頑張っていたから、三段に上がったときはすぐにでも四段になれるんじゃないかと思ったけど」
この発言は私は信じられませんでした すぐにでも四段??? 何を根拠に??? 奨励会は、三段になってやっと半分きた、という世界ですよ??? 一番最近の三段リーグで上がった2人は、星野三段が在籍14期(7年)、宮本三段が18期(9年)ですよ 河口さん、大丈夫ですか?  しっかりしてくださいよ・・・

それから、電王戦について、先崎さんが「今人間とコンピュータの棋力はいい勝負、棋力は同じだけど、神経をすり減らしながらやる人間は、そうでないコンピュータには勝てないんです」という趣旨の発言がありました  しかしこれは残念ながら私には全くむなしい、現役プロが言ってはいけない言い訳にしか聞こえませんでした 負ける、ということは相手より弱いということと同義、と現役プロなら自覚を持ってしかるべきでしょう 今後、コンピュータがもっと強くなっていっても、この言い訳を使い続けて、
「いやあ、勝てないけどプロは棋力では互角です」と言い続けるつもりなんですかね?

文句が多くなりましたが、対談自体は、とても面白かったんですよ(^^; 良かったです 対談形式でタイトル戦を振り返ってくれる特集、毎年あったらいいですね 

<特集2> 女流棋士40年の歩みと若手女流特集 (分量6ページ)
女流の歩みのページ、たった1ページか(^^; 簡単な年表と短い解説があるだけ その「女流棋界の変遷」と書かれた年表では、例によって女流棋士の独立問題、LPSAについては全く触れられていません 連盟にとって、もうその問題は、なかったこと、にしたいのでしょう 問題が起こったから、なかったことにして無視する、という態度、これはダメですねえ

そして、残り5ページは、若手女流5人に、1人1ページ使って「81の質問」をしています
長谷川優貴女流二段(18歳)、北村桂香女流1級(18歳)、山根ことみ女流1級(16歳)、竹俣紅女流2級(16歳)、和田あき女流3級(16歳)というメンバーです こりゃまた、若いを通り越して、幼いのいっぱい集めたなーー(笑)
 
プロとしての実績、あるのか? 昨年度までの通算成績は、長谷川さんは22勝17敗、北村さんは7勝6敗、山根さんは2勝1敗、竹俣さんは4勝8敗、和田あきさんは3級なので実績なし まともに実績と呼べる数字があるのは長谷川さんだけじゃん(^^;

81の質問の中で、印象深かったものは、Q最高で何手詰の詰将棋を解いた?というものです
長谷川 昔師匠に教えてもらいながら解いた45手詰  北村 たぶん25手くらい、かなり時間がかかりました(笑)  山根 忘れました(笑)  竹俣 37手詰  和田 45手詰

竹俣さんと和田さん、すげーな! ところが、和田さんは、Q対局前に必ず持っていくものは?という質問に、「3手詰ハンドブック」と答えていらっしゃる 45手詰を解いたことがある人が、3手詰ハンドブック持っていくんかい! これには笑いました 

あともう一つだけ、竹俣紅さんの答えで、Q今思いつく限り一番長いスペルの英単語は? という質問に、竹俣「Supercalifragiisticexpialidocious」 なんと、33文字! 調べたら、実際に確かに存在する単語 けど意味はわかりませんでした 竹俣さん、すげえー 他は特に面白い答えって、なかった感じです  とにかく、あまりにマニア向けな人選すぎたな・・・ 

< 特集3> 佐藤康光が語る第3回電王戦 (分量16ページ)
これは良かったです! トッププロの康光が、図面を使って5局について詳しく感想を述べてくれています
第1局 ▲菅井vs△習甦 
「戦前の予想を覆すコンピュータの完勝。習甦のMVPも十分うなずける。」
第2局 △佐藤紳哉vs▲やねうら王 
「前回も今回もコンピュータは穴熊に囲った将棋はなく、好感がもてる。 また、結果的に穴熊に組ませて勝った本局は、現代将棋に対する一つの問題提起といってもいいだろう。」
第3局 ▲豊島vs△YSS
「(事前の対策について)バグを見つけるためだけの作業は、時間の浪費と言わざるを得ない。」 「角交換して▲2一角と打った。この局面、プロ同士の対局なら、ほとんどの人はこうは指さないだろう。この順は無理というのがプロの第一感である。」 「彼の真摯な事前準備が勝利に結びついたことは間違いない。」
第4局 △森下vs▲ツツカナ
「ツツカナがどんな意図で指したのか分からないが、古い形に新しい風を吹き込んだもので、序盤戦術としては今回の5局の中で一番感心させられた。」 「危険そうでも一つ勝ちがはっきり見えていれば良いというのがコンピュータ的な勝ち方だったのかと思う。」 「序盤からの工夫もあり、非常に面白い内容の一局だったと思う。」 
第5局 ▲屋敷vs△Ponanza
「Ponanzaの指した手は△1六香。思いもよらぬ1筋に香が放たれた。ここで感じるのはコンピュータの多重性だ。人間でいえば性格に当たるものが、コンピュータの場合一つのソフトの中に多重的に存在しているように思う。後に見せる終盤の鋭い手に比べて、この香打ちは正反対。鋭い人は指さないタイプの手であるといってもいい。しかし、コンピュータの場合、このような2種類の手を同じソフトが指してくる。人間にとっては両方学ぶことは難しい。むしろ学ぼうとすると、両方とも取り入れられなくなってしまう危険性がある。」 
総括として、「コンピュータのレベルがかなりのところまで達していることはもはや疑いようがないだろう。」

この康光さんの文章を読んでの私の感想は、なんといっても第5局で取り上げた箇所です コンピュータが多重的な性格(棋風)を持つのに対し、人間は性格は一つしか持てない、こう言っている点です プロ棋士の中でも、飛びぬけて自由な発想を持つ康光さんがこう言及しているのは、非常に重いですね やはり、今後、人間がコンピュータに追いつこう、勝とうとするのはもう無理があるのではないでしょうかね

とりあえず、ここまででいったんUPしておきます
あとの 特集4、詰将棋の世界 ~看寿と現在~  特集5、上野裕和の最新将棋事情 棋士へのアンケート、その他のコラム等、それから、今回の年鑑の私の不満と今後への希望は、後編(あさっての土曜)まわしとします
山崎と渡辺か、こりゃ好カードだ ライバル同士の一戦だ

昨年度の成績は、山崎17勝15敗 0.531 渡辺28勝25敗 0.528
気になったので、通算成績(昨年度終了時点まで)も調べてみた 山崎 0.661 渡辺 0.676
んー、昨年度は2人とも勝率は伸びなかったんだな

解説の鈴木大介「山崎は独特の山崎ワールドがある 力強い受けを得意とし、玉さばきがうまい
 渡辺は現代将棋の申し子 穴熊などの玉を固める技術が素晴らしい また、攻め味が鋭い
 東西の天才同士の対決 特に山崎は渡辺を意識しているはず」
2人の対戦成績は、山崎3勝、渡辺8勝とのこと

先手山崎で、横歩取りになった いつもの△3三角型で△8四飛形だ 大介「最新形、流行の形ですね」
あー、渡辺、飛車を振らなかったか 渡辺のゴキゲンもあるかなーとちょっと期待していたのだが(^^; 

大介「山崎は、どうしてこれで勝てるんだろう、とプロが思う勝ち方をする 対人間の強さが際立っている
 全てを正確に指すのではないが、相手をよく見て相手に合わせて勝つ」

序盤早々、山崎がまた趣向を見せた いきなり飛車交換を挑み、独特だ
渡辺は冷静に交換を拒否し、無理なく自然に応じているようだ もう早くも渡辺ペースか?
また山崎が序盤で作戦負けかと思われたところ、山崎はフワッと飛車を中段に浮く奇手一発!
大介「あー、山崎流が出ましたね 受けの飛車浮き、山崎流です」
ホント、この一手は、山崎隆之と名前が書いてあるような手だな(笑)  

ここから、非常~に高度で難解な中盤が続くことになった 細かい小競り合いが続く
まだまだ戦いはこれからな局面で、両者ともに考慮時間を使いきり、30秒将棋に突入
大介「それだけ局面が難しい」

渡辺が角を放って、いよいよ局面が大きく動いた
しかし、大介には渡辺の攻め方が不評だ 大介「渡辺の手が空回っている感じ」
たしかに、山崎が有利になったようだ どうするかの決定権が山崎にある
じりじり行けば、山崎が圧倒できそうだ、と見ていると、山崎は飛車を切って、一気に決めに出た!
これには大介も超びっくり、大介「これは気前がいいですねー 大盤振る舞いですね」

が、まだ山崎がリードを保っているようだ ところが、大事件発生
山崎、なんと渡辺に角で王手竜取りをかけられる筋をうっかり! これ、たぶん本当にうっかりだろう
わざわざ竜を、そのラインに動かしてしまったもんなあ
王手竜取りが避けられなくなった瞬間、山崎は大きなリアクションで、首かしげて頭を抱えた
しかし、なんとか致命傷は逃れていた これは運が良かったな!

そして、もうどっちが勝つかわからない、難解な終盤が延々続くことになった
聞き手の竹部「鈴木先生なら、どっちを持ちたいですか」
大介「どっちを持っても、私は負ける自信がありますね」
これには笑った ただ、どうも山崎が良さそうだ ちゃんとやれば山崎が勝ちそうだ 
渡辺はこれしかなく仕方ない、という手が続くのに対し、山崎は手を選べる、という場面が続く

渡辺が猛追してくる が、大介「渡辺が山崎玉を逃がしてしまった、もう山崎玉は広くて捕まらない」
長かったが、ようやく山崎の勝利が確定したか、と思われた、後はこの渡辺の王手の連続が終われば、
と思ったそのときだった 山崎、なんと突然の投了! あろうことか、捕まってしまったのだ! 
ええ~、たった3手前まで、山崎勝勢という雰囲気の大介の解説だったのに~ なんということだ・・・
154手で渡辺の勝ち ええ~ マジでか 劇的な幕切れ 

大介「すごかったですね 最後どっちが勝つかわからなかった
 山崎の自由奔放な指しまわしで、渡辺をそうとう苦しめたんですけど、王手竜取りのあたりから、
 渡辺がきっちり逆転したという印象ですね」

観ていた視聴者のほとんどは、山崎が投了した瞬間、「え!? ウソ、なんで!?」となっただろう(^^;
感想戦もなく、何が最後の敗着かわからないまま
この一局、横歩取りだったので、難解な理解不能な将棋にならなければいいが、と心配していたら、
その心配がモロに的中することになってしまったorz ムチャクチャ難しかったわ・・・

鈴木大介はがんばって解説してくれていたが、いかんせん、レベルが高度で複雑で常に手が広く、
おまけに1時間近くず~っと30秒の秒読み、解説者泣かせの将棋だった 

渡辺は本調子ではなかったようだ 渡辺は終局直後、「たとえ勝ちでも、この勝ち方ではダメだ・・・」
という表情を見せた 一方の山崎はずっと決定権を握っていた将棋を勝てなかった
勝ちきらないといけない内容だったと思う これを逆転負けは相当痛いな~
投了を告げた後、山崎は頭を垂れて大~きくうなだれていた 観ていた私もガクッとなったよ ああーー

Gブロックからは、阿部光瑠が、門倉、横山、糸谷、阿部健治郎に勝ち4人抜きで最多勝ち抜き者、
渡辺が山崎に勝ち最終勝ち残り者で、決勝トーナメント進出を決めた
さて、先日、告知でお伝えしたように、今回から、第36期女流王将戦の模様をお伝えしていきたい
毎週1回、火曜に更新していきます 女流同士の戦いぶりやいかに?

女流王将戦について、まず説明をします めんどくさいと思いますが、一応読んでおいてください(^^;
・囲碁将棋チャンネルで毎週1回、土曜の夕方6時~7時36分に放送がある
・16名によるトーナメント 予選はLPSAを含む全女流棋士が参加 4名は予選免除のシード 女子の奨励会員は出れない 
・トーナメント優勝者は、香川女流王将との3番勝負(タイトル戦)を行う
・トーナメント表と放送の終わった棋譜は、囲碁将棋チャンネルのHPで鑑賞できる
・持ち時間が特殊で、各25分、使い切ったら1手40秒 (予選、3番勝負のタイトル戦も同じ持ち時間)
・霧島酒造株式会社が協賛ということで、番組の冒頭と終わりに、お酒のCMが流れる(笑)
・放送期間は8月の初め~11月の終わりまで、約4ヶ月間
・放送日の約2ヶ月前に対局があり、トーナメントが後半になると、知りたくなくても事前にどっちが勝ったか、連盟のHPなどで、どうしても伝わってきてしまう(笑)

こんなところです これだけ抑えておけば、もう大丈夫です
今年のシード4人は、伊奈川女流初段、清水女流六段、甲斐女流二冠、上田女流三段
私が注目しているのは、やはり矢内女流五段ですね あとは、あんまりわかんない(^^;
女流の棋士って、ものすごく少数しかタイトル戦に出てこないので、棋風とか知らない人ばっかりなんですよね  今期は竹部女流三段がいないのが寂しいな

今回解説の小林健二九段は、注目している人として、蛸島女流五段を挙げていた
コバケン「蛸島さんには大暴れしてほしい」 
見ると、蛸島さんの1回戦の相手は矢内ではないか 大暴れされちゃ困るな(笑) この矢内vs蛸島は面白そうだ

今回は1回戦の最初の対局 中澤沙耶アマ vs 井道千尋女流初段
中澤アマは、高校3年生 前期のこの棋戦でベスト8の成績を残している
予選で山根女流3級、長谷川女流二段、山田朱未女流二段に勝ち
アマ女王、女流アマ名人などを獲った経歴がある

いきなりアマの人が出てきたか しかし聞き手の安食さんによれば、中澤アマは、純粋アマではなく、研修会に所属しているとのこと 今、B2だそうだ これって強いの? 研修会のことまで知らないわ(^^; 女流棋士をめざすかどうかは、まだ決めていない、とのこと
さらに、普段はネット対局で腕を磨いているという情報があった ・・・24か? 何点なのか知りたいな

井道さんは、昨年度9勝6敗 ここまでの通算成績60勝68敗 26歳
予選で野田澤女流1級、真田女流二段に勝ち
安食さん情報によれば、井道さんは「明るくて、わりとのんびりした感じ すごく努力家」だそうだ
コバケン「中澤さんは居飛車党、井道さんは振り飛車党」

ついでだから書くと、読み上げが伊藤沙恵女流1級、記録が甲斐日向三段だ 
振り駒で先後が決定される 先手中澤アマで、対局開始 ・・・ふー、ここまで書くのにけっこう疲れた(^^;

中澤の▲居飛車vs井道の△ノーマル三間+美濃という、クラシックな戦型になった
まだ内容には行かず、対局中のコバケンが色々雑談してくれたので、まとめて書いておきたい
NHK杯と違って、持ち時間が各25分あるため、途中、どうしても局面が進まずにヒマなときがあり、解説者に雑談力が求められる番組なのだ(^^;
 
コバケン「将棋の一番古い棋譜は、居飛車vs振り飛車だったんですよ 大橋宗桂と、囲碁の本因坊算砂の対局(1607年) 居飛車側の玉形は、▲8六歩▲8七玉▲7八金という構え 振り飛車のほうは△6二銀△7二玉の構え 当時はそれが当たり前だったんです 美濃囲いって、1800年代まで出てこなかったんですよ」
へー、知らなかった 美濃囲いって、そんなに長い間、指されてなかったんだ!? もちろん、記録に残ってないだけで、どこかの誰かは指していたかもしれないけどね

コバケン「昔、私が20代の頃かなあ、大山15世名人が、『私も角一枚弱い日がありますよ』 と独り言のように言ってました 私はその言葉を聞いて、安心しました 調子の悪いときは、その言葉を思い出してください」 
これは貴重な証言だなあ あの無敵を誇った大山名人も人間なんだね 

さて、井道のノーマル三間に対し、中澤はどうするかだ
中澤が香車を上げたので、ここから当然、玉を潜って穴熊に囲うのか、と思いきや、いきなり銀を中央に繰り出して、激しくぶつけていったではないか! おお~ なんかすごいことするなあ 決断がいいというか、あまり時間を使わなかったけど、大丈夫か? 銀交換で収まる? とにかく、開始早々、見たこともない戦術だが・・・

そしたら、井道さん、ぶつけられた銀を取らず、スッとかわして、玉頭銀に出た!
コバケン「これがあるんですよね これは激しくなりましたね」
おおー、面白い、序盤早々、動きがある将棋になった 楽しいわ

この井道さんの玉頭銀、好手だった そしてそこから、振り飛車のさばきの見本、というような、流れるような順で、一気に形勢有利に持っていった~ おおー、井道さん、実にうまい!!

コバケン「中澤さんは、急戦と穴熊、両方をやろうとしてしまったため、作戦がうまくいかなかった」
やっぱりそうかぁ~、香車上がったのに、玉をクマらないで、突然銀をぶつけていったんだからなあ 無謀だったか(^^; というか、こういう作戦が成立しないのは、年季を積んでいれば、わかるんだけどね
それに、ほとんど時間を使わずに、決断の一手を指してしまい、もう引き返せない一本道に入ってしまってから長考する、という悪い時間の使い方だ まだ高校3年、甘さが出たか・・・

局面、駒の損得はないが、玉の堅さが大差だ もうこりゃ、決まったか?
しかし、コバケンが「中澤さんがこの手を指せば、まだ勝負になる」という手を指摘
中澤さん、その手を指せるか? そしたら、指した! やった、さすが前期ベスト8、すぐには負けないな

そして、ここで井道さんが25分を使いきり、40秒の秒読みになった 
ここまで井道さん、ほぼパーフェクトに指してきた 局面は有利、ここから終盤、勝ちきれるか?
見ていると、井道さん、うまく受けている やるな~ これは井道さん、勝ちそうだ

中澤さん、なんとか形にしようと粘っているが、これは苦しいなあ 相手の美濃囲いを一気に潰す、角のライン+吊るし桂の王手狙いで一発逆転に賭けるが、井道さんに丁寧にめんどうを見られた
もはやここまでか・・・ だが! そのとき、中澤さんが放った下段の香、これがコバケンにも見えていなかった、絶妙の勝負手だった! 井道さん、痛恨の対応間違え!
コバケン「井道さん、竜の逃げ場、一マス間違えたね ちゃんとやれば決まっていたと思います」
うわ~、ここさえ乗り切ればっていうところで、井道さん、秒に追われたか~

中澤さんの駒の働きが一気に良くなった あれ~、なんか、これ、もう全然難しくなってないか?
たった一マス、竜の逃げ場を間違えたために、あらー なんて残酷な・・・
さらに、ここから井道さんに疑問手が続く うわ、井道さん、明らかに乱れてきてる
コバケン「逆転したかもわかんないですね」  

そして、大混戦になった うわ~、こりゃもう、どっちが勝つかわからんな これぞ女流将棋(^^;
長い終盤戦、こういうときこそ、地力が発揮されるが、どっちが抜け出る? 中澤か? 井道か?

すると、攻めに回った中澤さんの手が異様に伸びてきたではないか ビシビシ指している
急所を突く手を連発、 おおー、ここに来て、この手の伸び方はすごい
金銀4枚で固めてあった井道さんの美濃囲いが、見る間にボロボロになっていく
うわー、この攻めっぷりは見事! さすが、自分で攻めが好きというだけあるわー

中澤さんの怒涛の寄せがモロに決まり、井道さんを圧倒した 105手で中澤さんの勝ち
え、105手か 130手くらいに感じた 序盤がほとんどなく、ずーっと終盤やってたからなあ

コバケン「中盤は井道がプロの強さを見せて、優勢に進めてたんですけど、ちょっとミスが出たのが痛かったですね それにしても中澤さんは粘り強かったですね」

中澤さんの会心の逆転勝利という一局だった あの下段の香、素晴らしい勝負手だった あのタイミングでしか、成功しなかった一手だっただろう あきらめない心が生んだ勝利だったね 最後の寄せっぷりも素晴らしかった ただ、序盤はダメだった 中澤さんは24だと何点くらいだろう 終盤は2400点くらいありそうだが、序盤は1400点くらいか(^^;

井道さんとしては、悔しい負け方だなあ あとたった一手、きちんと対応していれば、完封できそうだった 惜しい! 中盤のさばきは、完璧だった 美しかった 終盤の秒読みを鍛えないといけないね

終局後に、勝利者インタビューがあった 
中澤「少し序盤でうっかりしてしまって、敗勢になったかと思ったんですけど、最後は粘り強くなんとか逆転できて良かったと思います 3度目のTV棋戦だったので、一応緊張せず、今までどおり指せました  まさかまたベスト8まで残れると思ってなかったので、すごくうれしいです 去年行けなかったベスト4に、なんとか行けるようにがんばりたい」

事前のインタビューがなくて、局後に勝った人だけしゃべれるシステムなのね せっかくなので事前のインタビューもやってほしい! 井道さんの声が聞けなかったのは残念だった

だいたいこんな調子で、女流王将戦の記事を書いていこうと思います 次からはもうちょっと書くのが楽になるだろうか 今回はすごく時間がかかってしまった(^^; 
香川愛生 女流王将vs熊坂学 五段 NHK杯 1回戦
解説 中村修 九段

清水「日曜のひととき、究極の好手、妙手の数々をお楽しみください」
さあ~、やってまいりました、年に一度のお楽しみ、1回戦最後の対局は、恒例の女流棋士の登場だ

今年の女流は、去年の女流王将戦で里見さんから初タイトルを獲った香川愛生(まなお)さん!
立命館大学で、アマ強豪の中川慧梧さんといっしょに勉強していたシーンがTVで放送されていた

そして対するは、四段になってC2に参加したとたん、3年連続降級点を取り、最速でフリークラスに落ちる、という、前代未聞のことをやってしまった伝説の棋士、クマーこと熊坂!
クマーは今年でフリークラスに落ちて10年目、このままでは来年には引退に追い込まれるのだ
このNHK杯が全国のファンに見せる最後の勇姿の可能性が高い

ある意味、最強の女流vs最弱の男子プロという見方が出来るんではないか
今年のNHK杯の開幕戦のとき、解説者の前期優勝者の郷田が、トーナメント表を見て、「注目カードは香川vs熊坂」と言っていたのだ いったいどんな将棋になるのか? 
ムチャクチャレベルが低いのか?  それとも、クマーと言えども男子プロ、それなりに強いのか?
女流は2004年に中井広恵女流が佐藤秀司に勝って以来の、10年ぶりの1回戦突破の大チャンス!  
大注目の一戦だ どっちを応援するか迷うが、やはり私としては女流に勝ってもらいたい

TVに映った2人、香川さんは黒の服だが、ミニスカート! 視聴者サービスか? いいねいいね(^^;
クマーは頭が見事にハゲ上がっている 37歳、もうこんなにハゲてるのか ちょっとかわいそう・・・

香川は中村修門下、2008年15歳でプロデビュー 現在21歳 関西所属、立命館大学在学中 
女流棋士出場者決定戦で、甲斐女流二冠に勝ち、本戦初出場
ちなみに、昨年度の成績は、24勝10敗 0.706 通算成績(昨年度まで)は、47勝23敗 0.671

熊坂は2002年四段、竜王戦5組、フリークラス 予選で北島、窪田、村山に勝ち、本戦初出場
ちなみに、昨年度の成績は、4勝9敗 0.309 通算成績(昨年度まで)は、108勝143敗 0.430
クマーは竜王戦は6組じゃなくて、5組なのか そして予選で、なんとあの村山慈明に勝ったのか!
村山と言えば、昨年度の勝率1位賞を取った棋士、そんな人に勝てるのか
だがしかし、昨年度は4勝しかしていない(^^;  NHK杯の予選の3局は昨年度中に行われている
ということは、他棋戦ではたった1回しか勝たなかったということだ やはり香川さん、チャーンス!

清水「中村九段、いよいよ今日は、愛弟子の解説となりましたが」
中村修「2人とも初出場なんで、思い切っていい将棋を指してもらいたい、それだけなんですけどね 香川さんは初めは振り飛車党だったんですけど、最近居飛車もやるようになって、何でも指す感じ 攻めっけが強い
熊坂さんは、振り飛車中心なんですけど、相手に合わせて色んな将棋を指すタイプ 相振りも得意 粘り強さが持ち味」

事前のインタビュー 
香川「子供の頃からずっとあこがれていた棋戦だったので、自分が出れるなんでちょっと夢みたいな気持ちです 熊坂さんには私が小学生のときに、子供スクールで指導していただいたことがあるので、すごく優しい先生という印象があるんですけど、今日は厳しく教えていただけるんだろうなと思っています 解説も師匠なので、恥ずかしくない将棋が指せたらと思います」
 
聞いていた中村修「さっきあの、対局前になんか一言、アドバイスしてくださいって言うから、『甘えないように』と答えました(笑)」
うわ~、厳しい(笑) 面白いね

熊坂「良い緊張感を持って、持ち味を出したいと思います 香川さんは女流棋士の中で、非常に勢いのある方です 勢いに負けずにがんばりたいと思います 一局一局、丁寧に指したいと思っています」
私はこのインタビューを見ていて、クマー、いい表情でハキハキと答えているな、と思った
でも、対局中に、清水さんは「熊坂さん、対局前、緊張してましたね」と言っていたが・・・

聞いていた中村修「熊坂は非常にまじめでね、僕は彼が小学生のときに幹事だったもんで、小さいときから知っているんですけど、棋士になってからなかなかチャンスが捕らえられなかった NHK杯は大きなきっかけなんで、これからがんばって欲しいと思う」

しつこいようだが、クマーが3期連続降級点で、フリークラスに落ちたときの成績をもう一度振りかえっておこう
C2で、初参加の2002年度は2勝8敗で一つ目の降級点、
2003年度は3勝7敗で2つ目の降級点、2004年度は2勝8敗で3つ目の降級点だ
うーむ、やはりこれはこれからも記録として残るな・・・(^^;
中村修はこれからがんばって、と言ってるが、とにかくもう時間が残り少ない! このNHK杯、とにかくまず1勝だな

さて、いよいよ対局開始 先手香川で、早々に三間飛車を宣言 
早石田の乱戦もあるのか、と思ったが、クマーは居飛車の持久戦で無難に受けて立った 
中村修「香川が相振りを誘ったが、熊坂が居飛車にした 熊坂の囲い、天守閣美濃はめずらしい」
香川の▲石田流の浮き飛車+本美濃vsクマーの△居飛車+天守閣美濃、とう対抗形だ

序盤の駒組みの間、ちょっと雑談になった
中村修「香川は大学生とぶつかり稽古その他でがんばっているが、それが早指しでいい成績を上げていることにつながっている気がする 早指しだと香川も甲斐さんに勝てることがある 女流王将も早指し棋戦、早指しは安定感がある 普通にやったら熊坂に勝てない気がするが、今回は早指しなんでね
熊坂は成績が上がらなかったので、このNHK杯に賭ける思いがある、背負っているものが違う ただ、それだけにプレッシャーがある 予選で村山に勝った将棋はすごくいい将棋だった TVで流れないのはもったいないんですけどね」

このクマーが村山に勝った将棋っていうの、見たかった 
NHKの予選の模様を、結果だけでもいいので、トーナメント表を出して、誰が勝ちあがったか、特集してほしい 将棋フォーカスでぜひ放送してもらいたいね

さらにちょっと雑談で、清水情報によると、香川はフランス語が趣味なこと、クマーはスポーツがうまいこと、住んでいる仙台で、「杜(もり)の熊さん将棋教室」というのを開いているとのことだ

さて、まだもうちょっと駒組みなのかな、と思ったところ、香川さん、いきなり歩を突き捨てて仕掛けて行ったあ! おおーー もう行くのか 決断いいなあ そして、ドーンと銀もぶっつけたあ 元気がいいね
中村修「あー、どう対応するか迷うなあーこれ こういうところが香川は早指し慣れしている」
香川さん、あんまり緊張してない証拠かもしれない、いいぞいいぞ  

中村修「香川の仕掛けは無理気味に見えたけど、ここまで進んでみると、うるさい感じ」
良し良し、と思って観ていたら、クマーが力を見せた 発想を変えての、先に歩の叩きの利かし一発!
中村修「ここで打たれると迷いますね」
あら、クマーも緊張してないっぽい そして進んでみると、中村修「これなら熊坂としても充分の分かれ」
んー、歩の叩き一発でムードが変わっちゃったか

しかし、香川も果敢に攻める 中村修が解説で指摘したとおりの手を指してる いいんじゃないの!
中村修「形勢はわかりませんが、香川のペースかなという感じ この将棋、どっちも負けて欲しくないっていうのが、本音」
うん、でも、私は香川さんを応援してる やっぱり、女流が男子に勝てるチャンスってめったにないからね

香川ペースと中村修は言ったが、クマーも飛車をいい位置に振ってきて、うまく対応したようだ
形勢は、難解か・・・! がんばれ、香川さん!
そしたら、この難しいところで、香川が力を見せた 5段目を銀打ちで補強! ここが急所の地点か? 
中村修「そちら!! これはいい手だね いい手かな? これ時間ないとわかんないですね」

中村修がこの銀打ちがいかにいい手だったかを解説している おお、これは行けるのか?
と思ったら、クマーがバシッ!という手つきで指してきた 
中村修いわく、「これしかない」という対応だそうだ うわー、なんかいい勝負になってきたな
この手を見た香川「いやー そうか」とつぶやいた

ここから香川も、中村修のおススメどおりに指して、間違わない
女流にありがちな、解説者が「あっ それは!」という手をやってしまわない
考慮時間の残りは、もうお互い数回だ しかし、これ、均衡が取れた好局になってるぞ どうなる!?

香川のさっき打った銀が、クマーの天守閣美濃の玉を上から攻撃、こりゃ、香川、行けるか~!
清水「息詰まる攻防が」 うん、形勢、どっちがいいんだ? やっぱり香川が押してるか?
飛車を打ち下ろし、攻めの態勢を整えた香川 このまま寄せれるのか・・・

そのときだった クマーが受けの勝負手を放った!! △1二角!! 自玉の腹から受けの端角打ち!
おおー! こ、これは!?  
中村修「あれ! すごい手が出たねー! いやすごい手が出ました 出ましたよ 出ました 清水さんが番組の冒頭に言ってるじゃないですか それくらいすごい手が出ましたね」
清水「絶妙手が出ましたか」
中村修「出ましたよこれ 銀2枚を狙ってますからね」 
魅せたなーー、クマー!! やったなーー クマーの絶妙手が観れて、私もうれしい!
しかし、香川さん、踏ん張れ~ もともと難しかったところに妙手が出て、さらにヒートアップする盤上!

残り考慮時間、お互いに1回ずつ、もう最終盤だが、まだ形勢判断がつかない中村修
中村修「熊坂陣は、バランスが悪くてどこを守っていいか、よくわからないですね」
と、言うが、香川の手番が来ると、中村修「んー どうやるか難しいですね」 
どっちやねーん(笑) クマーの絶妙手を乗り越えて、勝て、香川~! 

クマーも飛車を打ち下ろし、美濃崩しの急所の歩の攻めも入り、香川玉も火が付いた
そして残りの考慮時間が両者なくなり、30秒将棋に、形勢はまだわからない 
こ、これはいい勝負だーー ど、どっちが勝つねーん!? 秒読みでの力、そして寄せの力の勝負!

そして、クマーがまたすごい手を放った 美濃囲いに対して、一段金を打つ重い攻め!! 
中村修「いやぁ~!通常、こういう手は敗因であることが多いんですよ 絶対詰まない形になりますから」
こ、これは~ 将棋のセオリーとして、こういう攻めをやったら、相手玉が一瞬ゼットになるから、
やったらダメと言われてる攻めではないか~
でも、金を打ったときのクマーの手つきは力強かった どこまで読み切っているのか・・・

中村修「通常、感覚的には香川勝ち あ、でも合駒請求があるから、香川の持ち駒が一枚足りないか? しかし熊坂は、いい度胸ですね △1二角が妙に利いてますね」
ど、どっちが勝ってるんだ 香川は最善と思える手で迫る 今の香川の手は、詰めろになってるか?
清水「いい将棋ですね すごいですね」
中村修「微妙ですねー」

そして、クマーが、自玉に詰みがあるかどうか、見切れるかどうかという究極の選択の場面を迎えた!
クマーが自玉に詰みなしと読み切れば、香川の美濃囲いの金を取って勝ちだ 秒が読まれる・・・!
中村修「(熊坂が金を)さあ取れるか! 取れるか! 取れるか! 熊坂ぁー!! 金取れー!! 良し、取った!! 良しってことはないけど(^^;」
このときの中村修、大声で叫んでいた
おおーーい、なんで中村修は、ここにきてクマーの応援をしているの~ 爆笑した
あんたの弟子は、香川さんのほうやで~(笑) 思わず本音が出たのか~(笑) 

クマーが自玉に詰みなしと読み切った! あとは本当に詰みがないかどうかだ 香川~ 詰ませ~
中村修「トン死してもおかしくないけど、残ってますかー?」 
清水「すごい将棋になりましたね 中村九段まで判断がつきかねてます」
中村修「△1二角が奇跡的に利いてますね」

追う香川、逃げるクマー もうここ以外は詰む、という逃げ道だが・・・ そこに玉が次々逃げていくと、
詰みは・・・・・・ ギリギリ、なかった!! ああーー、つ、詰まなかったか うううーー、お、惜しいーー
もう運の領域と言ってもいいくらいの、逃れっぷりだった ああー香川さん、負けたーー  
96手でクマーの勝ち カンナちゃんの96手という声を聞いて、ええっ、もっと長手数やっていたんでは
ないの、と思ったのは私だけではないだろう 実に濃い一局だった! すごい好局だった!

清水「ものすごい終盤戦になりましたが」
中村修「非常に面白い将棋でしたね 香川さんが仕掛けから押していた感じがしたんですけど、△1二角あたりから熊坂さんが持ち味を出してきた 最後、ホントどちらが勝ちか難しかったですね」

ここまで、番組として最高だった しかし、感想戦が10分ほどあったのだが、中村修が「仕掛けのところから」と言ってしまったため、肝心の終盤が、時間が足りなくて放送枠に入らず!
おい~、10分ということは分かってるんだから、終盤をやってくれなきゃ、ダメだろう
清水さんも、フォローしてよ 「10分しかないんで、終盤を」と清水さんが言えば、そうなるだろう
終局直後、クマーは「(終盤の)金打ったとき、危なかったかな」と言っていたのに・・・

ともあれ、まさか、このカードが1回戦で一番の好局となろうとは・・・(^^;
仕掛けたところから、ずーっと競っていて全く目が離せなかった
好局を通り越して、お互いに力を存分に発揮した名局だね、これはね 
香川さん、女流の連敗は止められなかったが、間違いなくここ10年の女流の中で一番いい内容だった
クマーも△1二角や、最後の見切りで、力を見せた さすが予選を勝ち抜いてきただけあった

両者初出場のプレッシャーなんか微塵も感じさせない、実に見事な戦いぶりたった 
2人に拍手を送りたい! よくやった、素晴らしかったよ パチパチパチ
4月にこの両者のカードが発表されてから、私は今日までずっと期待していた 
その期待を裏切らない、いやそれどころか、大きく上回る面白さだった 良かったよ!

あの終盤の中村修の叫び、「さあ取れるか 取れるか 熊坂ぁー」は、今後活躍できる場がある
香川さんと、もう引退のクマー、思わずクマーの心情を察してクマーのほうを応援してしまったと
いうことだろうと私は理解している ホント、面白いシーンだった(^^; 
NHK杯史上にまた名場面が誕生したね(笑)

これで1回戦が全て終了した 来週からは2回戦で、シード棋士が出てくる  
甲子園の影響で、10時20分開始だそうだ 2回戦も、楽しみだ
実は2日ほど前から、このブログはリニューアルされています
どこが変わったか気付いた人は、すごいです それは・・・ このブログの左下のほうに設置してある、カウンターのケタ数です 数えれるケタが、一ケタ増えたんです

どこがリニューアルなんだよ、変わらないじゃねえか、と思うでしょうが、これは書いている私にとって重要な変化なんですよ このブログ、最初は設置してあるケタ数が今より3つくらい少なかったんですよ で、来場者が増えてくるにつれ、数えられるケタを増やしていったんです それで、何年か前に今のケタ数に増やしたときに、もしカウンターが99万9999ヒットに達したら、もうカウンターストップだ、パチンコで言えば打ち止め、思い残すことはない、よくやった、ということで、このブログはもうやめようと思っていたんですよ 心の中の合言葉「カンストした時点で、やめだろ!」 あんまり長く続けると、本人の気付かぬうちに、内容が堕落するということが頭の中にありました 昔の「少年ジャンプ」の連載みたいなもんです 

去年の6月の記事で、50万ヒット御礼、と書いたのがある、それで今70万くらい・・・ ということは、変身前のフリーザに勝てるな・・・ でなくて、あと1年くらいで、99万ヒット行ってもおかしくないぞ あれ、あと1年でこのブログは終わるのか? もう終わり?

いや、それはないだろ、続けるべきだろ もっと続けたい! 今は、そう思ってるんです だから、数えれるケタをもう一ケタ増やしたのは、私のそういう心境、決意の変化の表れなんです ですので、重要なことなんですよね

999万9999まで数えれるように今回増やしたことで、たぶん一生、カウンターストップはなく、大丈夫だと思います 999万9999ヒット行ったら、さすがにもうやめようと思います あと50年くらい続ければ達成・・・ つーか、その前に寿命で死んでるか、頭がボケてるわ(笑)

さて、告知があります なんと、あの名作マンガ「寄生獣」が10月からアニメ化、そして冬には実写化もされます! わーい、パチパチパチ~ すごく楽しみだーー ・・・ではなくて、このブログの内容の告知(^^;

これから、「第36期女流王将戦」の感想を書いていこうと思います! 期間は8月~11月です 今日から囲碁将棋チャンネルで放送が始まり、11月の終わりまで続きます

どんな様子だったのか、またいつものギズモ調で、極力、符号を使わずに言葉だけで感想を書いていきたいと思っています 女流の将棋、どんな風にお伝えできるのか? 私も楽しみにしています

女流王将戦は、基本的にはもう放送前に結果がわかってしまっているTV棋戦なのですが、それでもどんな内容だったかを、書いていきたいと思います 1回戦とかは、こっちから調べないかぎり、勝敗は伝わってきませんし(笑)

女流王将戦が囲碁将棋チャンネルで放送されるようになって今年で5年目です 私はおととしまで、もう結果がわかってる棋戦ということで観てなかったんです でも去年初めて観て、香川さんがタイトルを獲るということはわかっていながら観たんですけど、それが面白かったんですよ だから感想を書けると思います 今の銀河戦くらいの質と量の感想になりそうですけどね

女流王将戦は、毎週土曜の夕方6時~7時38分に放送があるのですが、土曜のうちに観て書くというのは、いかにも日曜のNHK杯に近すぎますので、バランスが悪いです 火曜に感想を書くのを予定しています 

よって、今後しばらくのこのブログの週刊予定は、4本立てで行く予定です
日曜の午後はNHK杯UP 火曜は女流王将戦UP 水曜と金曜は銀河戦UP
しばらくこれで行きます わーい、連載4本も持ってるぜ~(笑) 
昨年度の成績は、松尾22勝16敗 0.579 屋敷18勝15敗 0.545

解説の阿久津「松尾は居飛車党の本格派で、鋭い攻め将棋 研究もよくしていて勝率が高い
 屋敷はフワッとした中にもじわじわと進んでくる こちらも本格派」
2人の対戦成績は、屋敷4勝、松尾2勝とのこと

先手松尾で対局開始 ノーマル角換わりの相腰掛け銀になった
阿久津「角換わり相腰掛け銀は、ちょっとしたところで差がつくので、
 繊細な性格の人が向いていると思いますね」
聞き手の室田女流「じゃあ阿久津先生は向いていますか」
阿久津「向いていると思いますね」
室田「あ、そうなんですか」
阿久津「今、笑うところだから(笑)」 ここのやりとりは面白かった

阿久津の予想手がよく当たり、だいたいそのように進んで行く お互いに縦からの攻め合いだ
松尾が玉の早逃げを余儀なくされ、阿久津「屋敷がちょっと良くなったと思う」
しかし、松尾も勝負手を放って迫った 屋敷も、次に厳しい、という角打ちを放ち、両者持ち味を出した
阿久津「こういうフワっとした角打ち、屋敷の特徴」 
さあさあ、盛り上がってまいりました!

ところが、この後の屋敷の指し方が全く謎だった
考慮時間がまだ4回余っていたのに、難しい終盤を時間を使う様子がなくどんどん指し進めていく
受けるか攻めるか、非常に大きい分岐点と思われたところも、屋敷はわずか10秒で着手
そして、自玉が危ないのに、時間を使うことなく攻めに出てしまった これには阿久津も驚いて、
阿久津「屋敷さん、手が早いんですけど、読み切っているんですかね? 淡々と進んでますね!?」 
ど、どうなってるの 屋敷のことだから、もう詰みまで読み切っているのか?

そしたら、屋敷はカナ駒が一枚足らず、松尾玉を詰ますことができなかった 
103手で松尾の一手勝ち ・・・って、おーーい、屋敷さん、何で時間を使って勝負所で考えないの~
読み切っていないのに、なんでノータイムでポンポン指しちゃうの~ 

阿久津「角換わり相腰掛け銀の前例のあまりない形で、お互いに一手先に、という攻め合いに
 なりましたね 松尾が先にガマンする展開だったですけど、後で溜めていた力を爆発させた」

本局の屋敷はホントに謎だった 将棋は基本的に終盤の読みで勝負が決まることが多い
それなのに、終盤の勝負所で、余っている時間を使わずに、淡々と指して、そのまま負けちゃうって、
なんでなの~ こんな負け方をした人は珍しいなあ うーーーーん、全くわからない(^^;

感想戦では、明快な結論が出なかった
阿久津はよく手を当ててくれていたが、結局どこが勝負を分けたのかという肝心のことが、
わからなかった 感想戦で、「どの手が直接の敗着でしたかね?」ということを聞いて欲しかった 

Fブロックからは、畠山成幸が、田村、飯塚に勝って2人抜きながら最多勝ち抜き者、
松尾が成幸、屋敷に勝って最終勝ち残り者で、決勝トーナメント進出を決めた