横山泰明 六段vs菅井竜也 六段 NHK杯 1回戦
解説 村山慈明 七段

横山と菅井か 横山って、なんか目立たないんだよね おとなしい性格のせいがあるだろう 前期順位戦C2で10連勝で昇級している 
一方の菅井は振り飛車党として有名だったし、電王戦でもすっかりおなじみになった 前期順位戦C1で9勝1敗で昇級している

横山は2002年四段 竜王戦3組 C1 予選で長岡、飯島、真田に勝ち 2回目の本戦出場
菅井は2010年四段 竜王戦4組 B2 総合成績優秀により本戦にシード 4回目の本戦出場

解説の村山「横山は居飛車の本格派 攻守のバランスが取れている 最近勝率が高い
菅井はいつも勝っている印象 昨年度は勝率(0.796)と勝ち数(43勝)で一位 もともと振り飛車党だったんですけど、最近はオールラウンダー 研究熱心な新手メーカー」

事前のインタビュー
横山「久しぶりの本戦出場なので、とてもうれしく思いました 持ち時間が少ないので、決断よく指していきたいと思います」

菅井「一局でも多くいい将棋を指して、自分らしい将棋を指していけたらいいなと思います あんまり作戦とかも特に考えていないので、その場その場で考えて指していきたいと思います」

先手横山で、戦型が注目された 角換わりの出だしだったのだが、菅井が変則的な指し方を見せた というか、なんかテキトーな感じ(笑)  アマ5級くらいが後手の序盤の出だしを指しました、という雰囲気がある うわ、菅井、楽しいな

村山「菅井が注文をつけて、斬新な将棋になりました 力戦です 最近は飛車先の一歩交換を軽視する傾向にありますね」
これはモロにコンピュータ将棋の影響だね 菅井は相手に飛車先を切らせてしまっても平気のようだ

さて、ここで今回、番組上の作りの話で、かなりな問題が発生した 
大盤が映っていて解説者が話している間に、TVの画面の左下に別の小窓が映り、そこで対局者が指す実際の盤が映っている、という構成が出現したのだ
これ、やめて欲しい はっきり言って、失敗だ 
なんと言っても、小窓に映った盤の駒が、もうとにかく小さすぎて見えづらいったら、ありゃしない こんなの、見える人がいるのか? 視力5.0くらいあるアフリカ人なら見えるか? 私は37型のでかいTV画面だが、それでも駒の種類が判別できない もっと小さいTVで見ている人はどうなる?
それでなくても、ただでさえ解説を聞いて、それに頭が追いつくので精一杯なのだ もう一つ盤を見ている余裕なんてない 小窓に映る盤の動きに気を取られていたら、たちまち解説が何を言っているのかわからなくなる
次から本当にやめて欲しい、と思った

村山「菅井は今までの将棋観をくつがえすような新手メーカー 菅井流と呼ばれる手もいくつあるかわからない」
清水「この春の将棋大賞でも、升田幸三賞を受賞していますね」
村山「特定の戦法ではなく、色々な新手を総合して升田賞を取っています」
へー、そうだったのか バラバラの手を合わせて受賞か そういうのもありなのかな

村山「私も序盤派ではあるんですけど、菅井とは全く逆 私は最新形の定跡の中で工夫していく 菅井は根本的に常識をくつがえすことが多い それは僕は真似できないですね」
村山は修正派で、菅井は創造派ということだろう

清水「横山も春の将棋大賞で、連勝賞(13連勝)を取っていますね」
うーむ、その割には目立たない横山(^^;

さて、戦いが起こってしばらくすると、村山が「みなさんの大好きな手がある」と言っている 
見ると、横山の飛車が、王手飛車がかかってしまうではないか なにこれ、横山、こんなのでいいの? 
当然のごとく菅井は王手飛車をかけ、飛車を入手 そしてその飛車を打ち、相手の角を取りながら飛車を自陣近くに成り帰り、すんごい手厚い竜ができた なにこれ・・・ ここの攻防は、しろうとみたいな展開・・・
なにしろ、局面は金と竜の交換で、後手の菅井が大きく駒得だ

横山も踏ん張り、馬を自陣に引き付け、長期戦の模様
村山「横山が少し苦しいかと思ったんですけど、うまくバランスを取ってますね」
うーん、もう少し菅井が良くできそうだったが・・・ しかしまだ菅井がいいようだ

一進一退の高度なやりとりが続く
村山「菅井のあの竜、後手陣の全てのスペースを受けちゃってますからね」
やはり竜の存在が大きすぎるなあ 横山、王手飛車をかけさせたのは何だったんだ

横山が相手の嫌味な攻め駒を払い、自陣をうまくまとめたか、と思われた、そのときだった
村山「勝率が高くてよく勝っている人っていうのは、こういう難しい局面を打開していくのが本当にうまい、思いもよらない手で・・・」
と村山が言った、まさにその瞬間、菅井が飛車を叩き切った!
村山「お~ 行きましたか~! すごい手ですね」

この手がまさに、この一局の白眉(はくび)だった 菅井、妙手を出すのが解説とマッチングしていてドンピシャのタイミング(笑)  この飛車切り以外では、逆転していただろうという、盤上この一手の好手だった その後、横山はまだ粘ったが、届かず、134手で菅井の勝ち

村山「菅井の注文で、面白い力戦になった 菅井のペースで進んでいたと思うんですが、横山の離されない粘りがすごかったですね 終盤、逆転した局面もあったかもしれないんですけど、最後は菅井がうまく寄せきった一局だった」

横山は、なんで王手飛車を打たせてしまったのか、感想戦もなかったし、最後まで謎だった
菅井の入手した飛車は竜になり、自陣を絶大な威力で守り続け、最後は寄せの要(かなめ)の駒として、終始、大活躍だった 横山、いかんでしょ、これでは(^^; 
菅井の飛車を切った手、あれは見事だった さすがは昨年度の勝率1位だ
 
さて、大盤で解説しているときに、左下で小窓で盤を移す構成、やめて欲しい 駒がバカ小さくて見づらいったらないし、両方の盤を頭で追えるものではない どうせ小窓の表示をしてない場面も多かったしね 大盤で解説しているときに、対局者が手を進めたら、後で追いつけばいいのだ NHKのスタッフさん、元にもどしてください よろしくお願いします
奨励会ダイジェストという番組が囲碁将棋チャンネルでやっています
2年前に放送された再放送で、そこで、奨励会4級の人が、筋違い角+阪田流向かい飛車という奇襲戦法を採用し、見事な指し方を見せて快勝していました
そのときの解説の真田七段のコメントが秀逸でしたので、ぜひ書いておきたいです

真田「もう、奨励会で筋違い角自体が、そうとうないですから、誰がやられてもビックリすると思うんですよね ですから、定跡形でなくても良くすることができるっていうね こういう個性的な将棋をやるタイプは貴重ですよね いろいろ今後も新しい指し方を見せて欲しいですね 本局はその場の思いつきじゃなくて、事前の練習があるんじゃないかと思うんですね 地方に住んでいるということで、逆に言うと情報のないところなんで、こういう自分で戦法を編み出してくるっていうところがあるので、今の何でも情報、情報っていう流れから言うと、面白い存在ですよね これで4級から3級に昇級ということで、楽しみですね あんまり情報の将棋に移行してほしくないタイプですよ 他の人がやらないことをやってほしいと思います」

真田さん、いいねいいね 奇襲を認める発言、とてもいいですね というのも、30年ぐらい前までは、奇襲をやるとダメ、という風潮があったのですよ マンガの「5五の龍」(1978~1980)にはプロのそういう発言が何度も出てきます 奨励会員が奇襲を指すと、プロが「ムッ これは定跡にない手! 本筋ではない邪道、けしからん!」というシーンが頻発するのです 今となっては、あほらしい考え方です (作者の、つのだじろう氏は奇襲を否定してません) 升田式石田流しかり、居玉で戦う藤井システムしかり、一手損角換わりしかり、全部奇襲と言える作戦を、先駆者がみがきあげて誰でも指すようになったという歴史があるのですよ 今までにない作戦を使って勝とうと創意工夫する、なんという素晴らしい開拓精神ではないですか 第一、プロがみんな同じ戦法を指すようになったら、ファンは観ていて面白くないですからね

次に、奨励会に受かるための将棋の上達方法について、こういう発言がありました
真田「将棋は王道がないのでね 将棋を好きになって、将棋に取り組む時間を長くする 一生懸命やる 熱意、情熱、そして努力 やっぱり当たり前のことしかないんでね 将棋が好きなことが一番ですね」
うーん、真田さん、いいわー これをやれば、っていう絶対の方法が確立されてない、そこが面白いですよね

真田さんは今でも奨励会の幹事をやっているんでしょうか この奇襲に関する考え方と、上達方法に関する考え方、これはこれからも、つながっていって欲しいですね
佐々木勇気 五段vs藤原直哉 七段 NHK杯 1回戦
解説 福崎文吾 九段

昨日、私は子供将棋名人戦を見逃してしまい、ガックリしてますorz
今日は佐々木勇気と藤原かあ 藤原ってすごいマイナー、ドマイナーな棋士じゃないのか 私の記憶では、かすかに居飛車党だったような気がする、というだけだ それだけを知ってるだけでも知識があるほうでは(^^;

佐々木勇気は20歳 藤原は49歳、3日後が50歳の誕生日とのこと 30歳差の年の差対決だ
ちなみに福崎は55歳  佐々木勇気、今回は佐々木と表記させてもらう

佐々木は2010年四段、竜王戦4組、C1 総合成績優秀により本戦にシード 3回目の本戦出場
藤原は1989年四段、竜王戦6組、C2 予選で増田裕司、西川慶二、阿部隆に勝ち 4回目の本戦出場

清水「福崎九段、最近の調子はいかがですか」
福崎「はい、けっこう調子いいですよ」
清水「どんなところが?」
福崎「体調がね とりあえず  清水さんはいかがですか」
清水「ぼちぼちですね アクセント合ってるでしょうか」
福崎「ピッタリです~」

いきなり漫才のような掛け合いがあった でも清水さん、「ぼちぼち」のアクセント、合ってないから(^^; 
福崎さんの横では誰でも漫才師になる、の法則だなあ

福崎「藤原さんは、今やベテラン 若松先生の秘密兵器 佐々木さんは関東 非常に若くしてプロになり、スイスの生まれというだけで脅威がありますね 好対照なお二方 興味深々ですね」
藤原は、若松政和門下ということだ 若松門下にはタニーと井上が居るとのこと ちなみに福崎は田中魁秀門下で、そこは関係ない 単に、関西のベテランとして解説に呼ばれたようだ

事前のインタビュー
佐々木「目標はベスト4です ただ初戦から厳しい戦いになるのではないかと思います 自分の持ち味は攻めと終盤だと思うので、そこを注目して観て欲しいです」

藤原「予選を勝てると思ってませんでした 初めて本戦で勝ちたいなという気持ちを強く持ちました 相手は強いですけど、精一杯、正々堂々とやりたいと思います」

先手佐々木で、ノーマル角換わり、そして相腰掛け銀に進む 
よりによって、今一番プロ間で流行していると思われる角換わり腰掛け銀・・・ 佐々木はスイスイ指すが、藤原は時間的に遅れ気味 これ、バリバリの若手相手に、最新流行形の後手番を持って、C2のベテランがどれだけ戦えるというのか? ボコボコにされるのでは、という空気が私の中にすごい流れる 
福崎「藤原さんはケレンミがなくて、奇襲的なことはあまりしない」

清水「藤原七段は今年の3月まで奨励会の幹事をしていらっしゃいました」
福崎「4年間していましたね あまり何も言わない幹事で~」
藤原さん、どこの学校にも居る、影が薄い教頭先生のような存在の幹事だったんでは?(^^;

双方に細かい手損の手待ちが続く 
福崎「非常にこれは・・・ 緻密な感じがしますね ちょっと意味とか全然わからないんですけど(笑) 」
福崎「私の感覚では謎の一手です」
福崎「この辺はどう指しても一局のような」
こういう解説が続く もう今回は、ビシッとした解説を聞こうとするのは、あきらめるべきだな・・・(^^;

福崎さんは、解説でどうしても不備があるので、雑談でカバーしようと努力している
福崎「藤原さんは妙手が出やすい体質なんです 煮詰まった局面でね」

福崎さん、さらにギャグで解説を盛り上げようと努力しているのも、いつもの姿だ
福崎「(4二と4三の間の線上に後手の金を置き) 中間で止まっておいて、どっちでも使えるようにとかね」

もう、これ関西会館の解説会でも、しょっちゅうやってた 2手指しありで勝手に王手して、王を取っちゃっていきなりゲームセットになる解説とか(^^;

清水「今、角換わりは多いですね」
福崎「羽生、渡辺、郷田、糸谷が角換わりをやっているから、どうしても影響を受けるのでしょうね」
そうか、4人のタイトルホルダー全員が角換わりを得意としてるか んー、でも、焼き直しのような戦型になっちゃうのはなあ、個性が出ないじゃん? 強いならともかく、タイトルホルダーより劣るわけでね それをみんなに観てもらいたいっていうのはどうなんだろう 

あー、考慮時間の残り、佐々木▲9回vs藤原△4回になっちゃったよ まだ仕掛けてもないのになあ
こりゃ、きっと藤原、いいところなく負けるぞ
佐々木から仕掛け、戦いが始まった 佐々木はどうやって手を作っていくのかな、と思って観ていると、激しい駒の交換になった 角銀を打ち合い、それを取り合っての交換だ
福崎「アクロバティックな取り合いになりましたね どちらがハメたんでしょうか」

そんなとき、藤原に好手が出た 福崎いわく「泣きが入った一手」、盤面を制圧する角打ちだ う、こ、これは? 絶好の位置か? 佐々木、地味~にピンチか これ、切れ模様にさせられてるんじゃあ?
福崎「藤原には、上部に楽園を作る楽しみがある」
そして、藤原は実際にどんどん楽園を開拓していくではないか
福崎「藤原の渾身の厚み、3重坊主かな 花札で言うとね 佐々木さんが追い込まれてる」

考慮時間の残りも逆転! 佐々木▲0回vs藤原△3回だ おおお、こりゃ、藤原の勝ちか 攻められたのに、全然損をしているところがない 後手が駒得だけしている、他に代償がないぞ 
福崎「藤原さん、うまくしのいだですねー」
桂香に、と金が得 おまけに相手の飛車を詰めてしまった こ、これは必勝体勢?
福崎「局面は藤原さんは押してると思うんですけど、勝負はこっからですから」

もう藤原玉が、どんどん脱出して捕まらない 楽園にトライだ 私には福崎さんの言葉が信じられず、もう佐々木投了かと思われたのだが、ここからなんと、佐々木が相入玉目ざして、粘って指してきたではないか
福崎「これはもう、入玉行進曲ですね」
佐々木玉の入玉も、妙に防ぎにくい? うわー、佐々木、なんという粘りだ

点数計算と佐々木玉の寄る寄らないを一手ごと切り替えないといけないという、なんとも珍しい終盤に! これはコンピュータが苦手としてそうな局面だ(笑)  しかもしかも、お互いが勝ちを狙ってる! 藤原は取れる馬(5点)を取らなかったと思えば、佐々木は自玉が危険になるのを承知で、相手の飛車(5点)を取る強手! うわ、すげええー これ、点数勝ちと寄せて勝つのが行ったり来たり、大熱戦! なんと、珍無類な!

この戦い、これ、終るの? 相入玉で引き分けか? しかし再試合の放送時間がない、と邪(よこし)まな考えが頭をよぎった、そのときだった 藤原、渾身の竜タダ捨て!! おおーー! 盲点の好手、一発!
福崎「あっ すごい手が出ましたね これは妙手」
その一発で勝負がついた 136手で藤原の勝ち 

福崎「僕も長年プロをやってますけど、こんな見事な『次の一手』は久しぶりに見ましたね 最後に絶妙手が出ましたねー びっくりしました」

なんと、藤原が、魅せて勝った! 相入玉模様で一手ごとに形勢が揺れ動くって、すごいよ こんなの、なっかなかない 最後の最後まで、どっちも積極的に勝ちを狙ってたんだからなあ 藤原は取れる大駒を放置、佐々木は大駒を強く取って勝ちに行っていた 素晴らしいね 面白かった~ 藤原、最後の手も良かったけど、秒読みの中、ずっと乱れなかったのはすごい、さすが予選を勝ち抜いてきただけある パチパチパチパチ
佐々木も、中盤はダメだったけど、よく敗勢から粘って、相入玉模様にしたものだ 私だったらもう途中で心が折れてた(^^;

福崎さん、最後が劇的で良かったね 序盤の解説不能だったところなんて、もう誰も覚えてないだろうという終盤で(笑)
いや、これは藤原が良かったね 本当に良かった、私の下位ベテランへの見方すら変えるくらいのインパクトがあった 藤原七段、グッジョブ!!
6月3日、ドワンゴと連盟が、電王戦を今後どうするのか記者会見をするそうです
どんな企画をやってくれるんでしょうね というか、まだやるんですか?という気持ちが私には半分あるんですけどね

今年の冬にリベンジマッチがある? 秋の電王トーナメント、第3回はある?
「タイトルは連盟のものとは考えていない」というのが谷川会長の意見でしたから、タイトルホルダーは出ないんでしょう だとしたら、何をやるんでしょうか また森下ルールのような特殊なルールで戦うんでしょうか
一発だけの単発企画? ずっと継続していけるような棋戦の企画があるんでしょうか? そんな名案が? 注目しています
囲碁将棋チャンネルの中で、面白い講座を見つけました
その名も「島 朗の将棋講座 らくらく序盤でリード ~序盤よければすべてよし~」
いやー、タイトルからして、私好みです 普通、「終わりよければ~」なんじゃないの、と思ってしまいますよ これをテーマに全26回の講座をやってしまう、かなりウケました(笑)  

私も今観てる最中なんですが、今までで一番ツボにはまったのがこれ 
第19回の「初手▲2六歩・掟破りの△3三金」という講座
なんと、後手を持って、先手の初手▲2六歩をとがめようというんです そんなのができれば、将棋の序盤の革命になります それを「らくらく」やってしまおうという島さん、発想が楽しすぎます(^^;

22手までの短い手数です
結果的に、うまくいくのか、いかないのか? 激指定跡道場3で検討した結果も最後に載せてます

私はこういう奇襲っぽい作戦が超大好きなのですよ、観てる分には(笑)
こういう講師ばっかりの将棋教室だったら、将棋が広まるのもいいかな、と思いますね 自由な発想で楽しくやればいいじゃないですか

では、以下をコピペして、kifu for windowsに貼り付けて見てください

先手:初手▲2六歩
後手:掟破りの△3三金

▲2六歩
*島「この初手▲2六歩を、とがめるべく後手番を研究しました」
*以下、セリフはすべて島九段のものです
△3二金
*▲2五歩を誘っています
▲2五歩 △3四歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △3三金
*部分的には大変な悪形です
▲2八飛 △2四歩
*これを、「高く受ける」と言います △2三歩なら「低く受ける」です 低く受けると△3三金を上がった意味がないです
▲7六歩
*先手側は、おそらく突いてくるでしょう
*これに対し、△3二銀と上がってしまうのは▲2四飛!と走られて、後手いけません
△4四歩
*いったんは相手の角筋を止めるのが重要です
*ここから後手は持久戦用の銀冠作戦と、急戦用の作戦に分かれます 次に先手が▲3六歩として、3筋の位取りを拒否してきたら、持久戦の銀冠作戦で行きます 
▲4八銀
*本譜は急戦用を進めてみます
△3五歩
*後手は突っ張って行きます
▲4六歩 △3四金
*この手には狙いがあります
▲4七銀 △3三角
*次に△2二飛~△2五歩~の逆襲を狙っています そうなれば、初手▲2六歩をとがめたことになります
*以下は、ここからの先手の強気の決戦は大丈夫か、調べてみます
▲3六歩 △同 歩 ▲3八飛 △4五歩
*これがあるので大丈夫です 後手も戦えます
*場合によっては乱戦になりますけど、△2二飛~△2五歩が実現すれば、初手▲2六歩をとがめたことになると思います 
*(これで島九段の講座終わり) 
*激指定跡道場3の判定はどうか? 結論で言えば、アウト! この後手の作戦は使えない 理由は、19手目▲3六歩の前に、▲6八玉と一回、早逃げしておけ、とのこと ▲6八玉△2二飛となった後に▲3六歩と行けば+320点ほど先手有利で乱戦を戦えるとの結論 激指、つよーい(^^; でも実に面白い作戦でした(^^)
丸山忠久 九段vs宮田敦史 六段 NHK杯 1回戦
解説 渡辺明 棋王

今日は丸山と宮田か 実力者丸山に宮田が太刀打ちできるか 解説が渡辺、これはラッキーだ

丸山は1990年四段、竜王戦1組、B1 本戦にシード 25回目の本戦出場
宮田は2004年四段、竜王戦5組、C1 予選で増田康宏、中村太地、西尾に勝ち 5回目の本戦出場

渡辺「丸山は序盤巧者で特に角換わりが得意 先手でも後手でも角換わりに誘導しようとしている
宮田は詰将棋を解くのが得意なので有名 実戦も終盤が鋭い」

事前のインタビュー 丸山は髪の毛が静電気を当てたみたいに逆立っている(^^;
丸山「一局一局がんばって、できるだけたくさんの将棋を指せればいいと思います 相手の宮田六段は非常にしっかりしていて終盤の強い将棋ですので、それに負けないようにがんばりたいと思います」

宮田「本戦入りは前回が3年前なので、すごく久しぶりだなという印象です 一局でも多く指せるようにがんばりたいです」

先手丸山で対局開始 丸山の「お願いします」の挨拶、声が大きい いいねえ

着々と角換わりの相腰掛け銀に進む 例によってアマお断りの、手損合戦の中盤のやつか、と思ったが、今回は違った 丸山が早くに4筋の位を取り、力戦模様だ
渡辺「宮田が角換わりを受けて立った 相当めずらしい形になっている 角換わりの相腰掛け銀になったとして、20局に1回くらいの戦型」

2人の対戦成績が出て、丸山の2勝0敗とのこと

丸山が▲4六角と何度も打ち、宮田が自陣角で受ける
早くも、双方、引き返せなくなったと渡辺の解説だ 
渡辺「もうどっちかが勝つまで行く 中盤をすっ飛ばして、一気に終盤」

丸山は角を叩き切り、その後の細い攻めが続くかどうかという展開 丸山はB面攻撃に賭けている
渡辺「宮田はどうやって受けるんだろう、パッと見は後手の宮田がピンチ」
考慮時間の残りも、丸山▲7回vs宮田△0回になった これは宮田のいつもの時間の使い方、との解説だ

時間がないんじゃ、宮田がつらそう、攻められてて間違える確率も高そうだから、と思ってみていると、宮田、4二に居た玉を△3三玉! おおー、早逃げか、2二に角が居るから、△3三玉は指しにくい手だったが・・・ もう入玉をにらんでいる? すると、この手を境に、流れが明らかに変わった
渡辺「後手はちょっと入玉含みになってきましたね」

そこからさらに手が進むと、渡辺「形勢は後手がいいんですかね 現局面は後手が有望 どういう形勢の推移だったんでしょうかね 難しかったですね 時間がない中で宮田がうまく指しました」
宮田、さっきから好手連発という感じで、どんどん模様を良くしていくではないか 宮田玉、中段で安定している 入玉のやり方で、「追われたら手順に入る」というのがあるが、宮田はその格言を守っている 玉自体は追われていないので、中段でずーっと、「入るぞ、入るぞ」と待ち構えている 渡辺の思考を上回っている手を指している そしてあの強い丸山が、大苦戦! いやー、これはいいなー!

感心したのは、宮田に△3一金と3二に居た金を引く手が出たことだ 入玉となると、もう全ての駒を上げて行きたくなるけど、この△3一金もいい手っぽいなー!
そして、宮田は何が何でも入玉でなく、最後はケリを着けに、寄せに行った
渡辺「宮田が決着をつけにいった」
宮田に厳しい追撃を食らった丸山、なすすべなく寄せられて投了! 114手で宮田の勝ちとなった

渡辺「序盤からすく戦いになりましたけど、丸山のほうが攻めていたんですけど、宮田が受けに回る時間が長かったんですが、入玉を目ざそうとしたあたりで、もう30秒将棋でしたから、うまくしのぎきったという感じですね」

いやー、これは面白かった 普通の将棋とは感覚が違う、宮田の「入玉での勝ち方」のショーだったね 宮田にはこれといった疑問手がなかったのではないだろうか? 素晴らしい! あの激辛流の丸山をもってしても、どうしようもなし 渡辺ですら、形勢判断の感覚がつかめない中、宮田だけが最善を尽くしていたのではないだろうか 
宮田、カッコ良かったよー △3三玉のタイミング、△3一金と引いた手、どれもこれも、お見事だ
完勝と言っていい内容、パチパチパチパチ 個人的に満足のいく番組内容だった 良かった!
村田顕弘 五段 vs北浜健介 八段 NHK杯 1回戦
解説 畠山鎮 七段

今日は村田と北浜か 華に欠けるが、どうなるかな サウスポーどうしの対戦

村田は2007年四段、竜王戦5組、C1 成績優秀により本戦にシード 3回目の本戦出場
北浜は1994年四段、竜王戦2組、B2 予選で西川、牧野に勝ち 15回目の本戦出場

解説のハタチン「両対局者ともに、詰将棋を作るのが得意で、解くのも早い 終盤が詰む詰まないの勝負になると思う
村田はいつもニコニコしているんですけど、将棋になるとすごい切り込んでいく 長い読みで一本の道をたぐるようにしていく
北浜も普段から穏やかだが、将棋はすごい攻め将棋 去年から関西所属に変わりました」

事前のインタビュー
村田「NHK杯本戦は6年ぶりになりますので、1回戦を今まで勝ったことがないので1回戦突破を目標にがんばりたいと思います」
北浜「ここのところずっと初戦で負けていますので、今年はなんとしても初戦突破ができるようにがんばります 去年の秋くらいから先手も後手も振り飛車を指すようになりまして、今日も振り飛車で戦ってみようと思ってます」

先手村田で居飛車、後手北浜はダイレクト向かい飛車という対抗形になった
ハタチン「振り飛車党から居飛車党に転向する若手は多いけど、北浜のような逆の場合はめずらしいですね」
ほんとうにそうだな 北浜、そこの意味で貴重な存在だ

ハタチン「詰将棋を作る棋士は、勝負に淡白と言われている 村田もその気がある」
村田顕弘といえば、糸谷、豊島、稲葉とともに関西若手四天王と呼ばれたが、村田だけ実績で遅れていた 昨年度のC2でようやく昇級し、名前が出てきたね

さて、ダイレクト向かい飛車でよくある駒組みに進み、村田が相手の桂頭の歩を狙う筋違い角を打って、打開した
細かい折衝が続くが、村田が右銀を5段目に活用した手が好手だったとのハタチンのコメント
ハタチン「村田の右銀が、いばっている」

村田が馬を自陣に引き付けたところ、ハタチンが面白いことを言った
ハタチン「馬の守りは金銀3枚とか言いますけど、現実には2枚分くらいですかね」
そう、私もそれは思っていた 3枚分もあるわけないと思っていた 「馬の守りは金銀2枚分」と直すべきと思う(^^;

村田がリードしていたはずなのだが、攻撃面で、駒が渋滞する指し方をしてしまったのではないか、とハタチン
駒割りも互角になっている 北浜が眠っていた飛車をうまいタイミングで活用に成功、北浜ペースになった

飛車を叩き切って、桂で両取りをかけたときの北浜、初めて「ピシッ!」と駒音高く打ち込んでいた
その後はミスなく、北浜がずっと押しまくって、勝ちを決めた
166手で北浜の勝ち 

ハタチン「村田が優勢に進めていたと思うんですけど、北浜の勝負手がすごかったですね 終盤、村田に勝ちがあったと思うんですけど、北浜の勝負手が炸裂しましたね 最後は飛車2枚できれいな詰みになりました」

村田ペースから、北浜が逆転か んー、でも今回、ハタチンが大盤を使うところがほとんど見られなかった 口頭の符号だけでどんどん解説していくもんだから、ついていけない場面が多かった・・・ 私はもう途中から解説を理解するのをあきらめていた(^^; 30秒将棋の長い戦いが続いて、大盤を使うヒマがなく仕方なかったか・・・

レベルは高かったと思う、けど、何か物足りなさが残った 最後も駒余りまくりの詰みだったしね
第23期 銀河戦 本戦Fブロック 8回戦
高橋道雄九段 vs 安用寺孝功六段
対局日:2015年2月13日
解説:増田裕司六段
聞き手:真田彩子女流二段

スカパーの囲碁将棋チャンネルに加入しなおし、また銀河戦を観ている
しばらく観てなかったので、新鮮だ 昨日、放送があった分 もう収録が3ヶ月前だが(^^;

さて、▲タカミチvs△安用寺、相穴熊からタカミチがうまく指し、優勢に進めて、終盤で、あとはどう寄せて勝つか、ただしすでに30秒の秒読み、というところで事件は起きた
タカミチの手番で解説の増田「これ気をつけないとダメなのは、▲3五歩と角取りに打つの二歩で」
しばらく前に3九に打った▲3九歩という底歩があるので、そうだね

真田「あー そうですね 一番いい位置にある(後手の)角をどかしたいのですが」
増田「▲3五歩が、普通は(いい手になるんですが)」
真田「▲3五歩が決め手みたいに見えますが」
そして、タカミチの着手は、▲3五歩!
増田「うあっ! 打った 二歩だ」

小窓に映った対局者2人、ノーリアクションで無表情  静寂に包まれる対局室・・・
記録係「まで95手で安用寺六段の勝ちとなりました」

増田「・・・二歩っていうのは、だいたいめちゃめちゃいい手なんですけどね 違う攻め方なら先手必勝だったと思いますけどね 高橋九段は残念すぎるというか」

NHK杯のときの、ハッシーと行方の2人が頭を抱えたのとは大違い、今回の対局者2人は、その瞬間も何もアクションがなかった まさか安用寺さん、気づいてないのか? このまま対局続行かと一瞬、思ってしまったほどだ
タカミチも二歩の後も何事もなかったかのように静かに、全く無言でたたずんでいた

異変はその後だった 対局が早く終わり、感想戦の時間が20分以上もあったのにも関わらず、感想戦が全くなし・・・
なんでだ? 何かあったのか?と、詮索してしまう番組の終り方だった
感想戦、観たかったが(^^;

アマチュアが二歩を打つのは、恥ずかしいことじゃない、プロもけっこう打つぞ、ということを言いたくて、取り上げた次第
ハッシーだけが糾弾されるのは、おかしいと思ってね

タカミチ九段のブログで、取り上げられてますね! しかも、詳しく! 安用寺六段、やっぱり気づいてなかったのか その後も対局が続けられて、職員が止めに入ったとのこと 
でもこれっておかしくないですかね 職員の乱入により勝負が決まる、なんてね 対局って、対局者2人のものなんじゃないですかね 第3者が止めに入るなんて、私はおかしいと思います 二歩に気づけなければ、対局続行、投了優先が本来の将棋のあり方なのでは?

しかし、二歩をしたのもめずらしいが、相手もそれに気づかずに対局がその後も続いた、という、プロでは超めずらしい一局だったんだな(笑)
ponanzaが2次予選8勝1敗、1敗は通信問題 決勝リーグ7戦全勝で文句なく優勝ですか
強いですねー 開発者の山本さんは、まだまだ強くしたいとのことで、その情熱はどこから来るのか(^^;

電王戦FINALでも、村山七段の数ヶ月の研究をあっさり撃破っていうのも、すごすぎると思います
ここまで強いと、羽生四冠と対戦したら・・・、と、思ってしまいますね

一方、激指 私も普段から検討モードをよく使っているソフトなんですが、激指は1勝6敗で7位・・・
う~ん、今年は激指の発売はどうなるやら
そういえば、秋の電王トーナメントって今年はあるんでしょうか
千田翔太 五段vs中村亮介 五段 NHK杯 1回戦
解説 大石直嗣 六段

今日は千田と中村亮介か 地味なメンツに映るが、千田の将棋を観るのは初めてだし、亮介は振り飛車党だから、案外楽しめるかもしれない

千田は2013年四段、竜王戦6組、C1 総合成績優秀により、本戦にシード 本戦初出場
亮介は2004年四段、竜王戦5組、C2 予選で石井、先崎、中尾に勝ち 3回目の本戦出場

大石「亮介は、この前までの順位戦で、最終戦に負けて(8勝2敗で)惜しくも昇級はならなかったが、毎年安定した成績を残している実力者
千田はこの前までの順位戦で(9勝1敗で)昇級し、将棋大賞では新人賞も受賞していた、バリバリの若手」

事前のインタビュー
千田「一局でも多く対局できるようにがんばります 三日ほど前に練習対局を8時間で行いまして、長時間での対局の感覚が短時間でも活かされると考えております」

亮介「前回一回戦負けしてしまったので、今日は一回戦負けしないようにがんばって戦いたいと思います 千田君とは初めての対戦なのでとても楽しみです 先輩の貫禄を示して倒したいと思います」

先手千田で、居飛車 後手亮介は、角道を止めた向かい飛車の対抗形になった
まだまだこれから、駒組みがずっと続くであろうと思われたところから、千田がなんと、突如仕掛けていったー! ビシッとした手つきで▲3五歩!
大石「おおー いきなりですか いやいきなり、びっくりしますね」
どういう意図だ、と思ったら、9筋の端歩で一歩を無理やり手に入れて、後手の角を殺してしまおうということか ぐあー、こういうの、人間は気づいていても、「まあまあ、やると乱戦になっちゃうから穏便に」と、見送ってしまいそうなところだ 千田、いいね、いいねー!

大石「序盤から目が離せない展開ですね」
うんうん、これは面白い 定跡形のお行儀が良い将棋ばっかりじゃ、つまらないもんね
亮介も9筋を取り込ませるという発想を見せて、がんばって受けている

雑談があった
大石「千田は自分の意見を素直に話せるんですよ 例えば形勢が難しい局面だとしても、先手持ちの方が少なくても、『私は後手持ちです』、とはっきり言える 見解を示して周りを納得させる」
うむ、千田いいねー まだ今年でプロ3年目なのにね 
河島英五の歌で、野風増(のふうぞ)というのがある そこの歌詞で、♪いいか、男は生意気ぐらいが丁度いい~ というのがあったのを思い出した(^^;

意表の▲3五歩の攻めで、千田が心理的にはリードしたのかもしれないが、局面、まだまだ全然大変だ
大石「千田としては金銀が前に出ていないので、ゆっくりできない うまく手をつながなければ」

ここから難しい戦いが続くことになった 千田の攻めが続くのか? 亮介が受け切ってしまうのか?
じりじりと両者の持ち時間が減っていく 
意表をついた受けが亮介に飛び出した 持ち駒の角を3三に利かせる意味だけの自陣角! うわー、これは見えない手だ
そして、銀をスッと引いて、飛車の横利きを効かせた一手! このあたりは最善かどうかわからないけど、相手の読みの裏をつく、実戦的な手だなー これには大石も賞賛していた
大石「このあたりは亮介の受けが素晴らしい」

もう考慮時間も0回になり、ピンチかと思われた千田だったが、起死回生の一段金打ちが出た
それが▲4一金! 後手の5一の角取りの意味だけの金打ち、これも相当な実力がないと打てない金だぞ!
打たれてみれば、角が絶対取れる駒になっている なるほどな~

局面進むと、大石も、この手を賞賛することになった
大石「▲4一金が好手でしたね また体勢が変わった気がします」
しかしまだ勝負はわからんか、と思ったところ、またまた千田に好手が出た うまい桂使い! 千田、終盤に来て好手連発!
大石「この桂打ちも気づかない手ですね」

そのまま千田が亮介を圧倒し、97手で千田の勝ち 快勝だった
最後、亮介がもうちょっと続けるかと思ったから、私は投了に「えっ?」となったが(^^;

大石「序盤から目が離せない展開でした 途中は亮介がうまく指して受けが光っていたと思うんですけど、そこから千田の▲4一金から攻めをつなげた手が印象的でした」

いや、これは面白かった 見たことない展開だったからね 一手一手が発想が求められる手将棋で、目が離せなかったよ 「なぞり将棋」などとは無縁の将棋、いいねいいね! それもこれも▲3五歩からの超急戦を千田が選んでくれたからだ プロにはこういう仕掛けをするように、踏み込んでもらいたいものだ 千田、ナイス!! 亮介も途中までがんばっていたし、千田の▲4一金、そして最後の桂使い、よく指せるものだ さすが若手バリバリのプロ!

感想戦の▲3五歩からの変化手順で、亮介も「見たことない将棋」と言っていたね それこそ面白いではないか
亮介「急転直下でしたね、自爆というか」
千田「▲3五歩は指したことがあったかもしれないですけど、ちょっと覚えてないですね」
事前にあんまり期待してなかったせいもあり、お得感があった一局となった いや、これは個人的に満足だ 良かった!