10月から第24期銀河戦が、新たに始まっている
増田四段というのは、まだ高校生で、注目の若手ということだ
それに対するのは香川女流、これはけっこう興味あるぞ、と思い、観ることにした

そしたら、増田が強い! 香川の振り飛車に、玉頭からおそいかかり、一気に攻めつぶしてしまった
その攻めっぷりが、何物をも圧倒する勢いのあるものだった 
いやー、さすがに注目されてるだけある!
香川女流も、自陣角+自陣飛車の2枚を打ち、かなりがんばったのだが、増田の攻めの切れ味たるや、すごいものがあった

増田康宏四段、これから必ず上がってくるだろう

増田の攻めがあまりに鋭くて、解説の所司七段の、「手の見えないっぷり」も面白かった(^^;
次にどう指すのか「私では分からない」を連発・・・ 
所司さんといえば、定跡伝道師なのだが、定跡を知っているとはいったい何なのか、を考えさせられる一局だった
摩訶不思議な棋士の脳
先崎学著 日本将棋連盟発行 1540円+税 2015年10月初版
評価 B  コンセプト<週刊文春に書いたエッセーから70編を抽出>

先ちゃんのエッセーだ
本の帯に、「プロ棋士・先崎九段が描く痛快将棋エッセイ 面白すぎる70編を収録」と書いてある ・・・が、しかし、これが問題だった
「面白すぎる」なんて書いてはいけなかった 
読む前から、読者にそんなにハードルを上げてどうするのだ
「このご飯、美味しすぎるから、食べてみ」とか、「この映画、面白すぎるから観てみ」
と言われて、たいてい、ろくなことはないのだ 
実際、この本、そこまで面白くはないし(^^;
昔のエッセーのほうが面白かった、というのが私の間違いのない本音だ

先ちゃんの場合、本職の将棋では羽生世代と比べられ、著書は昔の頃の先ちゃんの本と比べられ、大変であろう・・・
「一葉の写真」とか、「世界は右に回る」とか、あの頃の先ちゃんの文章には、ほとばしる熱いパトス(情念)があったもんねえ
今は、まあ丸くなったよ、しょうがないね

48ページに、先ちゃんの本音が書かれているので、抜粋したい
「自分もこれから大変だな、と思う。先輩はしぶといのばかり、後輩はいきのいいのばかり、同世代はいうまでもなく強いのばかり。」
うん、そのとおりだね(^^; よくB1に昇級できたものだと思う この本では、どうにかB2で降級点を逃れるべく戦う先ちゃんが書かれてあるので、昇級での私の驚きもひとしおだ

私は毎年、NHK杯か銀河戦で先ちゃんが出場するのを待っているのだが、最近、いっこうに予選を勝ち抜いてこないので、TVの前で応援したくても、やりようがなかった (来年は先ちゃんがNHKで観れるね)

さて、もう一つ、この本には問題がある 
2007年~2012年の期間に連載されたとのことだが、各文章が具体的にいつ書かれたものなのか、明らかにしてくれていないのだ 週刊文春の何年の何月号に載りました、と書いてくれていない
これがかなり痛い! 誰と誰がタイトル戦で戦っていて~とか、B2順位戦で戦っていると~とか、囲碁の井山さんと室田女流が結婚して~とか出てくるのだが、これは、結局いつの話?となってしまうのだ
時事ネタが非常に多いのに、何年の話なのか、わからなくしてあるのは、まったくバカバカしいと言わざるを得ない

中には「今年に入ってまだ一度も外で酒を飲んでいない。」とあるが、いったい何月に書いたものか、全然わからず、意味がなくなっている箇所まである 
雑誌から抜き出してあるわけで、編集者は調べればわかるだろうから、なんで年月をしっかり書いてくれなかったのか、全く謎である まさに「魔訶不思議な編集者の脳」というところだ

色々書いたが、それなりに面白かったことは間違いない 
注釈で、今の先ちゃんの視点が書かれてあるのはGood
3話に1話ぐらいは楽しく読めた

先ちゃん、けっこう飲んでるな~、と思った タイトル戦の仕事で旅館で飲んだり、なんたらを祝う会で飲んだり、イベントの打ち上げで飲んだり、誰それの結婚式で飲んだり・・・もちろん対局に負けた後にも飲んでる(^^; 

電王戦についても、「あから2010」と「ボンクラーズ」のことがちょこっと書いてあるだけだった
電王戦で何を考えたのか、もっと知りたいが、2012年で連載が終わってるからしょうがないなあ

私が大笑いした所を書き出してみようかと思って、紙に書いたら、大笑いしたのは前半の2か所だけだったという(笑)
毎日、色んな人と出会って酒を飲んでそして将棋を指して、と、プロ棋界は平和でいいね、というエッセー本になっている
まあ、この週刊文春の連載は、わざと「平和な日常」をメインテーマにしてあったのかもしれない

そして先ちゃんは、この本のラストでこう書いている
「どうも最近、将棋界の語り部的存在になりつつある気がする。」
うん、先ちゃんはもうそれでいいよ、将棋も文章も、もう若い頃のようなあふれる才気を期待してはいけないのだろう
ほどほどに将棋が強く、ほどほどに文章が面白い存在、それが先ちゃんだ
河口老師が亡き今、あとを継いで、ファンのためにプロ棋界の語り部としての役割を全うしてほしい
この本のタイトルは「摩訶不思議な棋士の脳」だけど、本を読み終えると先ちゃんは全くの常識人に思えてくるよ いいことだ、うんうん

私は週刊文春を読んでいなかったので、こういう本はありがたい
なぜ連載終了から3年も経って? もっと早くできなかったのか、とも思う 
今は週刊現代で書いているとのことだけど、なるべく早くに単行本化して出してほしいと思う  
熊倉紫野女流初段 vs 北村桂香女流初段
対局日:2015年7月14日
解説:佐藤紳哉六段
聞き手:真田彩子女流二段

女流王将戦も、準決勝まできた まあ、収録日は3か月以上前なのだが・・・(^^; 
熊倉と北村、どっちもあんまり活躍がまだないので、勝ちたいところだろう
ここまでの生涯の通算成績は、熊倉49勝49敗 北村18勝15敗とのこと

解説の佐藤紳哉「熊倉は居飛車党でじっくりとした将棋を好む、中終盤のねじり合いに強い
北村は振り飛車党で攻めっ気が強い、石田流や中飛車などの攻撃的な振り飛車を指す」

記録の伊藤明日香が「それではよろしくお願いします」とハッキリ言ったのだが、対局者の2人は消え入りそうな声で「×××××」と小さな声で挨拶し、元気がなかった(笑)

先手熊倉で、▲居飛車vs△ゴキゲンの、相穴熊となった
お互いに金銀4枚を守備におく陣形で、めちゃんこ堅い 
これが崩れるまで終局しないのかと思うと、頭がクラクラする・・・

中盤戦、双方、飛車と角を中段で使う展開となった 紳哉がしきりに「難しいです」と言っている
長い折衝があったが、熊倉が何回か最善を逃しているとの解説だ
紳哉「北村良し」 頭を抱えて、うーん、という顔をした熊倉の姿が映し出されている

紳哉「熊倉がガチャガチャ攻めていけば、北村のほうも怖いですよ」と言った場面があったのだが、熊倉は自重して攻め駒を引き上げてしまった 
これで熊倉には攻める機会が潰えてしまった まあ攻撃しても攻め駒が足りなかったと思う・・・

▲熊倉の馬2枚vs△北村の竜2枚で、双方金銀4枚でガチガチに囲われているという状態
しかしこういう場合、長引けば、竜のほうが強いのは自明だ 敵陣の桂香を拾い、戦力を蓄える北村
そして北村の寄せで、ハッとする妙手が飛び出した 攻撃に桂の犠打を一発!
紳哉「ん なるほど 見事ですね いいところに手が行きましたね」
これが桂1枚を犠牲に一手を稼ぐ、絶好打だった

北村は最後にも、相手の受けなしを見切り、実に華麗な必至をかける手を指し、快勝となった
120手で北村の勝ち

紳哉「北村が非常に丁寧に指した、じわじわと勝ちに結び付けた、最後も鮮やかに決めましたね」

これは北村さんの力勝ちだったね 特に大きなミスもなく、満足のいく内容だったと思う
寄せのところの桂捨て、あれは相当強くないと指せないし、最後の投了図もきれいだった
金銀4枚の居飛穴を見ても、嫌にならずに攻略するという根気が求められるので、振り飛車は大変だ
まあ北村さんも穴熊だったのだが・・・(^^;
本局は双方ガチガチの穴熊で、観ていて眠くなったところもあった(笑)  でも北村さんの桂捨ての妙手が観れたのは良かった
阿部健治郎 五段 vs 渡辺明 棋王 NHK杯 2回戦
解説 藤井猛 九段

アベケンと渡辺、若手が大物に挑む構図だ  解説には人気者の藤井 藤井のしゃべくりは楽しみだ

アベケンは2009年四段、竜王戦3組、C1 1回戦でタニーに勝ち 3回目の本戦出場
渡辺は2000年四段、糸谷竜王に挑戦中 A級 1回戦はシード 14回目の本戦出場

解説の藤井「アベケンは私の同門です(西村門下) 弟弟子で、普段からいろいろ付き合いがあるが、今日はやっぱり張り切っているでしょう、気合を感じますよ
渡辺はNHK杯で優勝経験もありますし、棋王ですけどタイトル1つじゃちょっと物足りないという実力者ですよね 竜王に挑戦中で、動き出したという感じ」

事前のインタビュー
アベケン「渡辺棋王は読みが速くて正確で、同じ人間とは思えないような強さです
スタミナをつける意味で、ビーフステーキを食べてきました、熱戦をお見せできるようにがんばります」

はは、アベケン面白いわ アベケンもプロなのに「同じ人間とは思えない」ってか
このくらいみんなが言ってくれたら、このブログでいちいち書き出してる意味があるのだが・・・(^^;

渡辺「阿部五段は序盤巧者の若手なのでそこには気を付けて指したいと思います
今講師をやらせてもらっているのですけども、指すほうもがんばって、この棋戦、最近何年か成績が良くないので今日はがんばりたいと思います」

藤井「戦型予想は、角換わりの相腰掛け銀」

先手アベケンで、角換わりになった
この進行は、やはり角換わりの相腰掛け銀か・・・と見ていたら、渡辺が棒銀に変化!
私は両手を叩いて大喜びだ 
だって、もう最近のプロの将棋は相腰掛け銀ばっかりだもん たまには棒銀があっていいよね
藤井「これは意表を突かれましたよ、私もアベケンも」

渡辺の棒銀を見て、長考に沈んだアベケン
藤井「渡辺は決断が早いから、アベケンも見習ってバーンと指したほうがいいですよ」

ここまでの2人の対戦成績は、アベケン0勝、渡辺2勝とのこと
藤井「渡辺は戦法を流行らすことをよくやる、みんな渡辺のマネをするんです
渡辺の読みの効率の良さは天才的、それがマネできない渡辺の強さ」

さて、渡辺は棒銀に出たはいいが、一歩交換して銀を立て直している間に、アベケンに2つほど位を取られてしまった
藤井「▲アベケンの厚みvs△渡辺の持ち歩2歩」
そして、アベケンにナチュラルに馬を作られるという、こんなんでいいの?という渡辺らしからぬ展開になってしまっているではないか

藤井「普通に考えたらアベケンがいいですねえ 私の解説、訂正します アベケンの序盤に長考してたのが実りました(笑) 」
はは、こういうところで笑いを取れるのが藤井のしゃべりだね 聞いていて楽しい、うまいわー
考慮時間の残りも、アベケン▲6回vs渡辺△2回と、アベケンがリードしている

じゃあ、ここからアベケンが順当に押し切るのかな?と思っていると、この後、盤上、波乱万丈という展開になったのだから恐ろしい
藤井「アベケンの手に乗って渡辺の駒が働いてきた、やっぱりこうなったか、素直に馬だけ作っておけば」
な、なに? と思って見ていると、しばらくすると
藤井「もうアベケンは入玉を狙ったほうがいいですよ」
なに~、入玉将棋か~
そして藤井の言うとおり、玉を上げて上部脱出にかかるアベケン うわー、泥仕合だー(笑)
一方の渡辺の手つきもバシッ!としなり、渡辺のほうも自信ありげだ もう形勢、わけわかんなくなってきた

ここで、藤井と清水が、頼りないことを発言した
藤井「どうなるんでしょう、これは決着が見えないですね」
清水「持将棋は経験がないものですから」
藤井「私は申し訳ないんですけど、持将棋、一局もないんで・・・ 解説でもしたことない」
こんなことがあるのだろうか(^^; 藤井は対抗形ばかり指していたから持将棋がないのか? 清水はなんでないのか? 

藤井「後手の渡辺は大駒4枚持ってますけど、入玉してからでないと点数に数えませんから」
そうだよなー、渡辺の玉はいずれ攻められる運命、一方のアベケンの玉はもうほぼ入玉が確定してるようなもんだ
藤井「気が付いたらアベケンが優勢になってるじゃないですか」
どういう展開に持っていくかの権利が、完全にアベケンにある

アベケン、どうする? すると、アベケンは敵玉を寄せて勝つ順に持っていた
藤井「攻め合いで決着をつけようっていうんですね」
ほお~、自信ありか まあ、アベケンは自玉を見なくてよさそうだし・・・

ところが! 渡辺の攻めの手に何手か手抜いたとき、アベケン玉は、なんと、ヤバそうとの藤井の発言!
藤井「あれ? 渡辺玉は今絶対に詰まないってやつですか? あれ? 渡辺が全部大駒を切ってこられたときに危ないじゃないですか、これ」

そして始まった渡辺の王手ラッシュ! まさかまさかの逆転~?
藤井「あらあ、一瞬の切れ味ですねえ、まさかこんな筋があるとは・・・ 一見、全然安全だからねえ、うっかりしましたよ」

で、渡辺が寄せきるか、と思われたのだが、それがそうではなかった! 
渡辺、なんと寄せきれず! 藤井の指摘と違う手を指し、痛恨の寄せ逃し! な、なんてこったーー
棒銀側が勝つのを期待したのに~(笑)
藤井「先ほどは寄っちゃったように見えたんですけど、寄ってなかったかもしれないですね」

アベケン玉は結局上部に逃げ込んでしまい、捕まらなくなった 
渡辺玉は一手一手に追い込まれ、渡辺投了! 111手でアベケン、薄氷の勝利となった 

藤井「終盤、2転3転あったかもしれないですけども、アベケンが見事に勝利しましたね」

ど、どうだったんだ、最後のところ・・・ 
渡辺は間違えたのか? 寄せはあったのか、なかったのか?

感想戦、3分ほどしかなかったが、問題の場面に藤井が誘導してくれたのがナイスリードだった
藤井に寄せ筋を指摘された渡辺「いやー、見えないなー、手が」
さらに、渡辺「ホント、素人みたいな手を指してるな、それじゃ寄らないよなー」

結論として、藤井の指摘した手を指していれば渡辺に勝ちがあった、ということだった
誰だ、藤井を終盤のファンタジスタと呼んだのは! この局面では渡辺とアベケンよりも藤井のほうが手が見えていたではないか! 藤井先生に謝れ~(笑)

いや、でも、本局は私にはとても面白かったよ 人間くささが存分に出ていた序盤と終盤だった
渡辺の意表を突いた棒銀、やっぱり棒銀作戦はいいねえ 
単純な作戦が成功するか失敗するか、どっちに転んでも観ていて楽しいものだ 
本局の序盤ではアベケンの、お手本になる棒銀のとがめ方が観れたと思う 
これが相腰掛け銀だと、もう序盤が定形で「定跡そのまんまのなぞり将棋」、それも研究合戦で意味不明、観ている私にとっては「序盤がない」に等しいものになってしまうことが多いのだよね

終盤で入玉模様になったときのアベケンの「寄せて勝つか、入玉を確定させるか」の心理のブレ、これも楽しかったわ
自玉を安全と思い込み、放置しすぎたために、超危険になったという・・・
渡辺の見事な追い込み、そして寄せ間違い、渡辺もミスする人間なんだなー、ということがわかったしね

どっちが勝つか最後までハラハラドキドキ、それが将棋の一番の醍醐味だ
今回の結論「人間はミスする可能性があるから、将棋は最後まで面白い」

ただ、超一流の渡辺が間違えたから、「めずらしいものが観れた」となるのだろう
三流プロが間違えたら「やっぱ、三流はダメだな」で終わるだろう(^^; 日頃の行いも大事だなあ
週刊将棋が来春3月で終わるそうですね

私は定期購読していた時期もあったのですけど、最近は全然買っていなかったので、もうしょうがないですね
週刊将棋が発行する単行本もなくなってしまうのか、と思い、Amazonで「週刊将棋」と入力してみたんですけど、最近はそれほど数を出版していなかったという・・・ これでは、いたしかたなしか
マンガの「笑え、ゼッフィーロ」は今年6月に完結していたとのことですので、単行本にしてほしいです

30年間以上、今までご苦労さまでした
10月1日に、私が書いた記事↓
熱い、ツッコませ将棋マンガ 「ものの歩」 (第3話まで)
http://mune1232007.blog121.fc2.com/blog-entry-2616.html

今、第6話まで進んでいる
「ものの歩」が、面白くなりつつあるのだ! 詳しい描写はネタバレになるので避けるが、今回、1番の進展があった
それは、私が以前にツッコんだ最大の要因、「主人公の天才ぶりと学習能率の悪さのギャップ」について、ライバルキャラが作中でツッコんでくれたシーンがあったのだ
ライバルキャラ「あんなに要領が悪く努力してるようじゃ、プロにはなれない」(要約)
ということを言ってくれたのだ
しかし、それに対する主人公を見守る奨励会員は、私は納得はできなかったが、それなりの答えを返してくれた

ライバルキャラがツッコんでくれたおかげで、この作者は読者にツッコまれてることが分かってるんだろうな、ということが私には分かり、この作品が見捨てておけないものになった 
これは大きい進展だ
ちょっとだけネタバレだが、主人公は序盤の定跡という樹海にモロに迷い込み、正面から格闘しはじめた、それはそれでかなり面白い展開ではないか


さて、もう一つ、大きな進展があった
それは登場人物の一人、奨励会員の香月の性別判断という、大問題だ
この香月が男か女かという問題は、「将棋ワンストップ」の管理人様がすごく気にしておられ、もう何週にもわたって取り上げられている
私は、始めは「そんなん、どっちだってええやん、脇役やで」と思っていたが、これが最近になって妙に気になってきたのだ
「将棋ワンストップ」の管理人様があまりにしつこく「主要テーマ」として取り上げるので、だんだんこっちまで興味が沸いてきてしまったのだ

以下は私の主観だ
香月という名前は女だろう 年齢は高校生ぐらい、顔はどう見ても女、体は不明、胸は出てないがこういう女の人もいる
他に1名、絶対女だと確定しているキャラが出てくるが、話的にもう一人くらい女がいたほうがバランスもいい・・・
だから私は9割がた、香月は女だと思った 対局で自分に負けた男を足蹴にするような、ドSな少女、最高だ(笑)
香月、女だろう? 女だよなあ? 見た目と名前で決まりじゃん?

その香月、「女々しい(めめしい)わね」と仲間から言われて、えっ、男なのか?と思いきや、仲間(男)に指導対局を懇願するシーンでは、やはり女か?と思わせ、男か、女か、どっちやねーん、と私はまたツッコんでしまうのであった
・・・香月よ、女であってくれ! もう、願いのような、強い祈りのような感情だ
賭けだとしたら、女の可能性に、オール・イン!

そんな香月が、今週号(第6話)で、自分のことを「僕」と発言したのだ!
「なめんな、僕がやる(対局する)」と言ったのだ
これは大事件である 今時、自分のことを「僕」と言う女性はめずらしいだろう・・・
一気に男性のほうにメーターの針は大きく傾いてしまった
だが! まだ可能性はなくなったわけじゃない! 希望の光は消えていない!
そのシーンは、ケンカのようなシーンであるのだ 「俺」と言わなかっただけ、マシではないか? 
自分のことを「僕」と言う女性も居るだろう 例えば「僕たちの失敗」という名曲を書いて歌ったのは、森田童子という女性だし・・・

まだ引っ張る、香月の性別問題、なんだか探偵になったみたいで楽しいのだ(笑)

色々と見どころがある「ものの歩」、今後どこまで突っ走ってくれるだろうか? 要注目、発売日の月曜が楽しみだ!
斎田晴子女流五段 vs 里見香奈女流名人女流王位
対局日:2015年7月18日
解説:藤森哲也四段
聞き手:伊奈川愛菓女流初段

対局日が7月18日・・・ もう3か月も前だ・・・(^^;  注目の里見の登場だ

解説の藤森「斎田はミス四間飛車と言われています、最近は中飛車もよく指しますし色んな振り飛車を指しこなす、きれいな振り飛車党
里見も振り飛車党だが、居飛車も指しこなすオールラウンダー 特に終盤での切れ味ある手が印象的」

2人は過去8戦していて、斎田2勝、里見6勝とのこと

先手斎田で、▲角交換四間飛車+美濃囲いvs△居飛車+舟囲いというシンプルな戦いになった

斎田が攻めの左銀を積極的に出していき、早々に戦いになった
里見の馬を作る手に、藤森「急に攻めるのではなくじっくり良くしたいという、里見の好みの一手という感じ」

中盤は互角と思える丁々発止のやり合いとなった
藤森「ここらへんがプロっぽい感じがしますね」
藤森「なんかすごい含みがたくさんあって、面白い展開ですね」
うむうむ、斎田も里見もいいよー、さすがベスト8の戦いだ 

斎田もよく健闘しているなー、と思われたが、それはつかの間だった 
里見はうまい手を連発し、見事な構想で自陣の飛車を世に出す手、これで斎田はしびれた
藤森「いやー、これ里見のいい手ですね、斎田は困りましたね」

聞き手の伊奈川女流「困ったときというのは、どう手を探せばいいんですか?」
藤森「それがないから困っているんでしょうね(笑) 」
このやりとりは笑えた(笑)

斎田が勝負手を放つと、里見は最強の応手で答えてきた
そして、里見は自玉が危なくなったのに、一気に斎田玉を寄せに行った~! うわー、そうか もう寄るのか!
読めていなかった藤森は驚嘆、「うわーすごい これはカッコいい手が出ましたね」

あっという間に斎田玉は即詰み! 84手で里見の快勝となった

藤森「よくありそうな最新形だったんですけど、途中は斎田がいけそうな局面もたくさんあって、これはいいねじり合いになったんじゃないかと見ていて思ったんですけど、里見はもっと確実にいく手もたくさんあった中でものすごい切れ味を見せましたね、里見の終盤力が際立った一局だった」

里見の最後の寄せの力は藤森を超えていたな~ 
まあでも、藤森がもし対局者だったらきっと読めていたとは思うけどね 一本道の寄せだからね
プロとして最短の勝ちを目指す意識があるかどうかだが、里見はそれがあり、魅せる将棋を指してくれるなあ
中盤までは競っていたけど、特に里見が不利になった場面はなかったと思う
全体を通して考えれば、里見が斎田を問題にしなかった一局と言えるだろう

感想戦で、斎田が「(終盤に)面白くなったかなと思ったんですけど、あっという間に寄せられてしまいました」と言ったのが印象的だった 
終盤は全ては里見の手の内の中で詰みまで進んだねえ(^^; 力の差は歴然だ

里見の寄せももちろん良かったのだが、中盤での細かい手でしっかりリードを広げていったのが実に強かったという印象だ
里見が地力の差を見せつけ、ベスト4進出だ

藤森の解説だが、声が聞きやすいし丁寧なんで、実にいいね まあ女流の将棋だから解説しやすいのだろうが・・・
藤森はアマや女流の対局のときに出てくれば名解説者だね 
NHK杯で男子プロの将棋を解説をさせたらどうなるかはわからない(^^;  
聞き手の伊奈川さんは、声が棒読みで初々しくて、聞いていて楽しい(笑)  
今週も女流王将戦、やはり面白かったよ
畠山鎮 七段 vs 広瀬章人 八段 NHK杯 2回戦
解説 豊川孝弘 七段

ハタチンと広瀬、戦型は広瀬次第だな

ハタチンは1989年四段、竜王戦2組、B1 1回戦で杉本に勝ち 18回目の本戦出場
広瀬は2005年四段、竜王戦2組、A級 8回目の本戦出場

解説の豊川「ハタチンは一本気な男で、居飛車の正攻法 非常に攻めっけが強い
広瀬は以前は振り穴王子なんて呼ばれてましたけども、最近は何でも指しこなしてますよね 静かに攻めていくイメージ」

事前のインタビュー
ハタチン「広瀬八段は20代でこれからの将棋界を支えて立つ人っていうのは有名なんですけど、対戦は過去長い持ち時間でたしか2局指したと思うんですけど、短い持ち時間では初めてです
若手のトップ棋士なんですけど、しっかりついていっていい将棋を指して、意地が見せれればと思っています」

広瀬「畠山七段は関西を代表する正統派居飛車党というイメージですね 
東西分かれているのでちょっと接点がないんですけど、私の印象としては後輩の面倒見のいい方(かた)かなあと思っています 
私自身の初戦、一局でも多く指せるようにがんばりたいと思います」

先手ハタチンで、ガッチリとした相矢倉となった
豊川「広瀬がハタチンの得意戦法を受けて立ちましたね、ハタチンは加藤流▲3七銀」
2人の対戦成績が出て、1勝1敗だそうだ

清水「広瀬は『昔は攻め8分だったんですが、攻めだけでとても勝てる世界じゃないと自分の甘さを思い知り、今は攻め6分になってます』、とおっしゃってました」

細かい駒組みのところで、豊川の形勢判断が微妙に揺れ動いた
後手持ち→先手持ち→後手持ちといった具合だ
広瀬は守りの左銀を5段目まで進出させて、この銀がどうなるかがこの将棋の鍵となった

豊川「ハタチンとしては1歩欲しい」と言っていたところ、広瀬のほうから、広瀬の玉側の端歩を突いて打開してきた!!
すかさず豊川「いい手です、広瀬がポイントを稼いだ」 

結果、2歩損だけ残って、局面が収まってしまったかに見えたハタチン側だったが、どうにか勝負手を出して攻めていく
しかし広瀬、渾身の桂のカラ成り捨て! これは魅せたな~ この桂の成り捨てが、結局、後から効いてきたのだ

ハタチン、まだあきらめずに、がんばって攻めていく
豊川「部分的にはハタチンの攻めが決まった感じですけど、広瀬玉は上部が厚いですから」
ハタチンの攻め駒は足りるかどうか、ギリギリだな・・・ 私はハタチンの攻めばっかり考えていると、広瀬のほうも攻めてきた
それが7筋の歩の突き出しで、めっちゃ厳しい~! 相手せざるを得ない手で、これで事実上、勝負あった

ハタチンは最後まで勝負手を出したのだが、ことごとく広瀬に確実にかわされた
122手、広瀬の競り合い勝ちとなった

豊川「相矢倉ですごい将棋でしたね、お互い持ち味を発揮して、指運っていうかね、最後はどちらが勝ってもおかしくないっていう、それぐらい激しい将棋でしたね」
と豊川は総評をまとめたが、感想戦ではこう言っていた
豊川「畠山さんが全然ダメかと思ったら、すごい追い込みで」
どっちやねん~ ダメそうなところを、かなりがんばってみたものの、やはり広瀬の的確な応手のせいで及ばなかった、という一局だったのだろう

私は広瀬が勝つべくして勝ったと思った やはり広瀬の玉頭が開拓されていて、広かったもんなあ
ハタチンの勝負手の連発は、見ごたえがあった、意地は見せたと思う
だけど広瀬は強かったね 指運じゃなくて広瀬の実力勝ちだと思った内容だった

まあ~、それにしても相矢倉の指し手の細かい分岐の多さには、もう私は完全降伏だわ なんと中盤の難しいことか・・・
豊川をもってしてもあまり手が当たっていなかった 分岐の多さに魅力を感じる人が選ぶ戦型なんだろうね 
熊倉紫野女流初段 vs 中村真梨花女流三段
対局日:2015年7月14日
解説:佐藤紳哉六段
聞き手:真田彩子女流二段

毎週土曜に、囲碁将棋チャンネルで放送されている女流王将戦 ベスト8の戦いも残すところあと2局

解説の紳哉「熊倉は居飛車党で中終盤のねじり合いに強い
マリカは振り飛車党で攻める元気のいい将棋」

先手熊倉で、熊倉の▲ガッチリ組んだ居飛穴vsマリカのノーマル四間飛車△4四銀型という対抗形になった

紳哉「マリカは四間飛車以外はほとんど見たことがない、この対抗形の経験値はマリカのほうが10倍くらいあると思う」

熊倉がやや強引と思える打開をし、紳哉「熊倉がちょっと、じれたか」
紳哉「熊倉は攻め合いに持ち込めるかどうか」だったのだが、熊倉は右桂を攻めにモロに参加させることに成功した

さらに熊倉は、駒得に目がくらまず、スピードアップで相手玉に迫る手を何回も指し、紳哉を驚かせた
だが形勢は、難しいようで、紳哉「マリカが少し指せそうな気がしますね」
紳哉「熊倉は穴熊でこれだけ相手陣に食いつければ、よくやっている」
と、どっちが有利とも取れる発言をした(^^;

しかし実戦、熊倉にうまい歩の活用という小技が出て、紳哉「熊倉が一手勝ちできそう」
マリカは盤にかぶさるようにして頭を接近させて、盤を頭で隠した人を久しぶりに見た(笑)

攻め合いとなったが、熊倉は穴熊のおかげで駒をかせいで手駒を増やし、最後の詰ませ方も鮮やかで、熊倉の快勝となった
87手で熊倉の勝ち

紳哉「熊倉が穴熊の強みを活かした、難しかったと思うんですけどね
解説だとマリカがやれてるんじゃないかという感じもあったんですけど、マリカは特に目立った悪手もないまま負かされてしまった
熊倉の終盤の切れ味が良かったんじゃないですかね」

感想戦、ちょっとしたダジャレが聞けた
紳哉「先手の穴熊を見ますと」 マリカ「クラクラしますね」
それ、略すと、「穴熊でクラクラ」、つまり「熊倉」やん(笑)

感想戦の最後で、紳哉がマリカの攻め手順を修正し、熊倉に駒を渡さずに攻めるやり方を指摘していた
対局者2人も納得し、おお、それなら全然難しかったんじゃないか、と思える手順で、さすが男子プロの手の見え方、と思わせた
紳哉の「マリカがやれてるんじゃないか」というのも、あながち間違いではなかったんだな

ただ、本譜、全体を見れば熊倉さんの駒が躍動した、快勝譜であった
駒得に目がくらまず、一直線に相手玉に迫っていった熊倉さん、なかなかやるね!

この一局、なんとなく、大学選手権の上位あたりがこういう将棋を指しているのでは、と思わせた内容だった
う回する手順があまりなく、両者がやりたいことをやっているから、理解できるんだよね
この2人あたりの指し回しなら、まだ私も「なるほど」と思える範囲なのだが、もっともっと強い人がたくさん居るからなあ・・・
男子プロのNHK杯のほうは、見るほうも理解するのが大変だわ(^^; 
藤井猛 九段 vs 屋敷伸之 九段  NHK杯 2回戦
解説 佐藤康光 九段

人気者の藤井と、最近は変則戦法を採用する屋敷との対戦 楽しみだ

藤井は1991年四段、竜王戦1組、B2 1回戦で高橋に勝ち 21回目の本戦出場
屋敷は1988年四段、竜王戦1組、A級 1回戦はシード 19回目の本戦出場

解説の康光「藤井は序盤から独創性あふれる棋風、創造力あふれ、序盤から将棋を創っていく
屋敷は中終盤型、序盤はおおらかなところがあるかなという印象だったが、ここ1年ぐらいは積極的に銀を前線に出す将棋が目立つ」

事前のインタビュー
藤井「屋敷九段とはだいぶもう対局をたくさんしているんですけど、毎回ちょっと意表を突かれるというか、つかみどころのない将棋を指されるので、毎回戸惑うんですけど、非常に手ごわい相手だなといつもそういう印象を持っています
屋敷流にまた惑わされないように、自分のスタイルを守ってですね、一生懸命がんばりたいと思います」

屋敷「藤井九段は振り飛車党で角交換振り飛車や藤井システムなどのノーマルな振り飛車もやってきますね
おそらく対抗形になって、序盤かしっかり指さないとリードされてしまうと思いますので、序盤もしっかり指して終盤もいい戦いにしていきたいと思っています
今年もしっかりといい将棋を指して、いい結果を出していきたいと思っております」

先手藤井で、ノーマル四間飛車の藤井システム模様
対して屋敷は、1筋の端を受け、急戦をかけるべく進めた  昭和の形か?と思わせ、楽しみな展開となった

康光「屋敷は対振り飛車でも矢倉でも、何でも銀を4段目に繰り出してきて先攻して行くという将棋を好んでいる」

2人の対戦成績が出て、藤井7勝、屋敷12勝とのこと 直近の5戦は屋敷が全勝している
清水「屋敷は、より積極的に攻めていきたいと思う気持ちが最近の棒銀につながっているそうです」

屋敷は1枚目の銀を4段目に出しただけでは物足りないとばかりに、2枚目の銀も4段目に繰り出した
康光「これはニュータイプですね、見たことないですね 屋敷は2枚銀が得意なんですけど、対振り飛車で2枚銀というのは見たことないです」
そうだな~、意味があるのか? 将棋は一手ずつしか動かせないゲームだから、2枚も銀を攻め駒に使うということができるのか? 注目だ

屋敷は2枚の金が初期配置のまま攻めてきている、藤井もそれに応え、開戦となった
康光「大決戦ですね」
屋敷の綱渡りの攻め、決まるのか~、とドキドキだったが、あろうことか屋敷は銀を撤退させた、ええー・・・?
康光「これは屋敷はうまくいってない、攻めが失敗したと思います」

しかし、まだ難しいようだ 藤井は「いやー」とボヤいている 考慮時間も、藤井は残り1回だ
康光「ちょっと藤井もとまどって、悪いはずがないと思っているでしょうが、具体的な手が見えないとあせる」 

屋敷の第2波の攻めがあり、駒交換が行われた
康光「一般的には藤井がいいはずなんですけどねえ」
だが、屋敷がすぐ駒損を取り返す順を指し、康光「パッと見、形勢わからない」

ところが、ここの藤井の応手が、本局最大の勝負どころだったと言えるだろう
藤井はスーッと飛車を中飛車に持ってきて、地味に返し技を決めていたのだった
康光「この手順はなかなかすごい手順でしたね」

そして、屋敷の露骨な角切りを、藤井はわざと許した 
康光「藤井は勝ちに行きました」
結果的に、この藤井の判断が正確で、美濃囲いの堅さを知っているという手順だった

康光「王手がかかりやすい屋敷玉、かかりにくい藤井玉
これは藤井が良くなりました、玉形の差が出ました」
藤井は王手ラッシュで相手玉に迫りつつ、自陣への脅威を消していった
康光「藤井陣が安全になりましたね、見事な指し回しですね」

屋敷にしてみれば、もうどうしようもない負けのレールに乗せられてしまった印象だ
屋敷は形作りもあまりうまくできず、97手で藤井の快勝となった

康光「屋敷が趣向をこらして、見たこともない面白い将棋になったんですけど、中盤以降、藤井の手慣れたさばき、見事なさばき方でしたね
あとは終盤の見切り、振り飛車のお手本となるような見事な一局で、屋敷の力を封じ込んだ内容だった」

これは藤井の快勝譜だったなあ
特に、美濃囲いが壊されても、4九の金が残っているから大丈夫、と見切ったところ、そしてその後の寄せ方、文句のつけようのない指しっぷりで、いつもこうなら誰も「終盤のファンタジスタ」などと呼ばないよなあ、と思わせた一局だった

屋敷としては、2枚銀の作戦がうまくいかなかったね 銀は一枚取り残されて、狙われる駒になってしまった
そして玉が薄かったから、モロに敗因になっていた
うーん、ノーマル四間に対しての2枚銀、あんまり誰もマネしないんじゃないかな(^^;

藤井の振り飛車党の職人芸が随所に見れた一局だった、振り飛車党の視聴者はきっと満足の内容だったと思う
私は居飛車党で、屋敷の2枚銀のロマンある指し方が破られたんで、ちょっと寂しかった(笑)
私はコンピュータと将棋のことについて、考えることが多い日々が続いています

去年の11月にあった「将棋電王戦FINAL記者発表会」で、森下九段が、ご自身考案の「森下ルール」で大晦日にリベンジマッチをすることが発表されました
その席で、川上会長は「まだ公平なルールではないと思う、このルールでも甘い、新森下ルールを提案していただければ」と言っておられました
実際の大晦日の対局では森下九段が優勢ながら決着がつかず、後日に森下九段の判定勝ちの裁定があったのは、みなさんご存知のとおりです

そこで、私は森下ルールの行きつく先はどんなルールだろう?と思い、「究極の森下ルール」を考えてみました

出た結論がこうです
「人間側は以下の3ルール 継盤あり、持ち時間無制限、待った無制限」

持ち時間無制限については、あまり述べることもないです 
人間にとっては時間は長ければ長いほどいいでしょうから、無制限という結論がすぐ出ます
一日かけて一手だけでもいいし、一週間で一手、一か月で一手でもいいんです 
休みも取り放題ですし、じっくりと納得がいくまで考えることができます

待った無制限については、これもこの結論が出ると思います
「ヒューマンエラーさえなければ」と森下九段は何回も言っておられました
間違いの手を指した、と思えば、それはヒューマンエラーなわけですから、巻き戻せばいいんですよ
つまり、待った、すればいいんです それも、何度も、何度でも、待ったすれば、ヒューマンエラーがなくなり、納得の指し手が選べるでしょう
人間側がトン死して詰みになっても「待った」、玉を素抜かれても、もちろんそれはヒューマンエラーだから「待った」すればいいんです
終盤から巻き戻して初期局面から対局も、もちろん何度でも可能です

そしてさらに、「人間側がちょっとでも有利になったら、判定勝負に持ち込める」 これも付け加えてはいかがかと思います
実際、「途中でやめて後日に人間側の判定勝ち」という前例がもうあるのです
このルールも考慮に入れればいいでしょう

究極の森下ルール、これなら川上会長も納得ではないでしょうか?
貞升 南女流初段 vs 加藤桃子女王女流王座
対局日:2015年6月30日
解説:中村太地六段
聞き手:鈴木環那女流二段

うわ、聞き手がまたカンナちゃんだ(^^; 髪の毛がツヤツヤだね
貞升と加藤、2人とも、この棋戦の1回戦では実に安定した勝ち方を見せていた

解説の太地「貞升は居飛車党で本格派、対振り飛車の急戦が得意
加藤も居飛車党、終盤の切れ味は目を見張るものがある」
カンナ「個人的には矢倉を見てみたいなと思います」

先手貞升で、相矢倉になった 
カンナ「見たかった矢倉になりました、思わずガッツポーズをしてしまいました」
はは、カンナちゃん、かわいいね~

駒組み段階、非常~に難しいところ、もうここらへんから素人の手には負えないところだ
太地「盤上では細かい戦いが始まっている」

貞升に小ミスがあり、貞升の守りの金と、加藤の攻めの銀の交換になってしまった 
当然、加藤有利だろう?と思っていると・・・
カンナ「加藤が一本取った?」
太地「まだ互角だと思います、簡単ではないですね」 

貞升は持ち駒になった銀を、自陣に投入して銀矢倉を構築してがんばった
太地「長くなりそうですね」

そして、駒組みがどんどん進むと、
太地「かなり貞升が盛り返したように見える」
うーん、太地先生の解説、ここまでは抜群にわかりやすいなあ、疑問点が全然ないわ

と、そのときだった、加藤が突如として開戦! 単騎の桂跳ねだ
太地「加藤の大胆な桂跳ねですね」 
そして、そこから、加藤がラッシュに行った~ 
ええー、そんな攻めをよく考えつくなー、という組み立てだ 
ガチガチの貞升の銀矢倉に対して、攻めている駒が少なく見えるが・・・
攻めが止まったらもう負けになる順なのだ 実に勇気ある!

加藤の攻めがつながるかというところ
太地「加藤はどうするんですかね? 秒読みで、これは腕の見せ所ですね」
すると加藤は飛車をぶった切って行った~ おおーー それが攻めをつなぐ手か
ホント、よく考えつく、成功するかはまだわからないけど・・・ 小駒だけの攻めとなった加藤、貞升はしのげるか?

局面少し進むと、太地「もう局面として、加藤の攻めが決まっている感じ、鋭い」
加藤の矢倉は鉄壁として健在、貞升は遊び駒だらけ
一気にこうなってしまった うわー、これは・・・ 大勢決したな・・・

だが、まだ貞升はあきらめてなかった 実に気付きにくい手を指し、なんと入玉狙い!
太地「これは勝負手ですね」
壊滅した自陣を放棄して上部脱出か それならまだわからんか、おおお 魅せるねー!
カンナちゃんも、この貞升の発想をほめた 「秒読みの中でこの構想を思いつくってすごいですね」

しかし、その貞升の入玉の希望を打ち砕く、加藤の絶妙手が出た~ う、うまい!!
太地も気づかなかった手だ、これが女流の手なのか? これ、光速の寄せやん~!!  
太地「鋭いですね、加藤は読み切っている」

すぐには決まらず、まだ続きがあったのだが、加藤の一手一手の寄せの正確さが際立ち、着実に貞升玉を寄せ切った
102手で加藤の快勝となった

太地「矢倉戦で、(加藤の仕掛けで)急に戦いが始まって、貞升の玉が寄るかどうかの攻防が本当に見ごたえがありました
最後は加藤が鋭い攻めを決めて勝利をつかみましたね」

いやー、加藤さんの攻めの組み立てが見事としか言いようがない 
さすが、奨励会の初段は伊達じゃない! 強い、強いよ 
最後の寄せのところ、秒を「1、2、3・・・」と読まれることなく、それ以前に指し続けてたもんね
よほど読みに自信がある証拠だ 40秒も要らないんだねえ グッジョブ、加藤さん!

貞升さんも、負けはしたけど、希望を捨てずに入玉狙いのところは、多くの視聴者を満足させただろう
感想戦も充実しており、私が気になっていた変化をやってくれた
太地先生もカンナちゃんも良かったよ

加藤さんの、「奨励会初段」の実力っていうのが、どれくらいか分かるのは貴重だね
なかなか「奨励会初段」の対局っていうのは観る機会がないからなあ やはり強いね いいねいいね

正直、NHK杯より、面白いことが多いなあ、この女流王将戦・・・
女流はとにかくわかりやすいのだ 手の意味が理解ができる 解説者の解説も的確だ
これは前々から感じているのだが、コンピュータが男子プロを上回ったとき、女流の存在は、かえって光ってくるのではないだろうか?
女流は最強集団という看板なんて、もともとなかったのだ 
女流はそこらのアマよりは強く、楽しい将棋を指して見せてくれればそれでいいのだ  ビバ、女流!
久保利明 九段 vs 藤森哲也 四段 NHK杯 2回戦
解説 鈴木大介 八段

順位戦のB1以上で唯一の純粋振り飛車党、久保の登場

久保は1993年四段、竜王戦1組、A級 20回目の本戦出場
藤森は2001年四段、竜王戦5組、C2 1回戦で甲斐女流に勝ち 初出場

解説の鈴木大介「久保は振り飛車党の第一人者として、ずっとトップを走ってますし、最近では関西のほうで菅井と研究パートナーを組んでから、けっこう独創的な指し回しをすることが多いですね 連勝連敗のイメージがある
藤森はすごい攻め将棋、1回攻めだしたら止まらないです 穴熊が得意なんです 1回戦の甲斐を相手にも穴熊で戦っていました」

事前のインタビュー
久保「今期の初戦なんですけど、ここ2年ほど初戦を勝てていないので、張り切ってがんばっていきたいと思います」

藤森「久保先生はとてもさばきがうまい先生だと思います 
今回トップの方と戦えるということでとてもうれしいですし、今の自分の実力がどれくらい通用するかがとても楽しみですね 
自分らしい勢いのある将棋を見せて、いいところを見せたいですね」

先手久保で、やはり対抗形になった ▲ノーマル四間飛車+美濃vs△居飛車の天守閣美濃
1筋の位を藤森が取ったのを見て、鈴木「後手の藤森の駒組みが間に合うかどうか」と言っていたら、久保が積極的に仕掛けを敢行した

雑談で、鈴木「NHK杯は、出場して負けると、『先生、このあいだ負けてましたね』と3年ぐらい前でも言われますからね(笑) 」
注目度が高いっていうのはNHK杯の一番の長所だからね

さて、藤森の天守閣美濃の3段目の玉に対して、久保が猛攻を仕掛けるという展開になった
藤森が△2五玉と5段目まで玉を出てきたのには私はびっくり仰天だ
鈴木「これは強気ですね、大丈夫でしょうか」
私は、こんなに玉1枚だけ上に来たら、ロクなことはないで・・・・と思っていたのだが、ここから藤森が予想外の粘りを見せた

局面進み、まだ久保が決定的な有利になる順を発見できないでいるようだ
鈴木「先ほどは6対4ぐらいで久保側持ちだったのですけど、今は五分に戻ってますね、藤森が差を詰めてひっくり返ってるかもしれない」
ええー、そうなんかー ひっくり返ってるかもってか うーん、難しくてよくわかんないな
何しろ、藤森の玉は中段で常に不安定で、その玉自身が後手の攻め駒の拠点になっているという・・・

藤森はその後も勝負手と言われる手を放ってがんばっている やはり一筋縄ではいかない実力を持っているな
鈴木に「これはうまく藤森が踏みとどまったんじゃないですかね」と言わせている

藤森が香を久保陣に直接打ち込んだ手に、鈴木「これは圧倒的に後手が勝ちやすくないですか」
しかし、その直後だった その香打ち込みに対する久保の受けに、大介「これはいい手ですね」とほめた
もうどうなってんのか、わからないわ(笑)  視聴者も混乱だろう

さらにそこで藤森に筋違い角を中段に打つという、混迷を深める手が出て、
鈴木「これはすごい手ですね、泥まみれ、泥んこの一手ですね」
しかし久保は冷静に対応、鈴木「藤森がいいと思ったのは一秒でしたかね、久保の切り返しがうまくて形勢が入れ替わった」
もう、どうなってんねーん(笑)  秒読みでの玉頭戦、形勢が揺れ動き、ついていけないで(笑)

久保の対応がうまくて、久保が優勢になったようだ 
ただし藤森もまだ踏ん張り、手つきがしなる指し方でバチッ!と自信ありげに指して来るので、怖いな
鈴木「これはやっぱり、お互いに精神力を試されているというか」

久保も玉が裸になり、怖いところだったのだが、A級を張っている精神力の強さを見せつけ、久保は受けきった
99手で久保の勝ち

鈴木「序盤の作戦は、さすが久保で経験を活かしてうまく指していたと思うんですけど、藤森の『守勢にたってから強気を貫き通す』というのが出て、終盤が大熱戦でした
どちらが勝つか本当にわからなかったんですけど、久保の玉さばきがうまくて勝ち切った
でも両者とも受けが力強かった」

感想戦で、藤森「こっちがどれくらい危ないかわかんないですよね、王様で攻めたことないから」
対局者ですら、こういう発言をするのだから、視聴者が形勢がわからなくてもしょうがないなあ
鈴木「序盤で玉をこんなに出てくる人は見たことないんで(笑) 」

まあ~、今回はとにかく難しかったな、形勢判断をどうするのか、難解だった・・・
対抗形なのに、玉側での縦の玉頭戦で、大局観が問われたなあ、こういう将棋もあるんだねえ
天守閣美濃という囲い自体が減っているから、めずらしい攻防だった
一句詠んでみた 「玉頭戦 指すたび形勢 揺れ動き」

来週は屋敷vs藤井、また藤井の振り飛車が見れそうだが、1回戦で高橋に勝ったときのようなわかりやすい内容を期待している(^^; 
先日から、週刊少年ジャンプに、将棋をテーマにしたマンガが連載開始となっているのだ
これが、なかなかイケてるのだ! タイトルは「ものの歩」
武士(ぶし)の読み方の一つ、「もののふ」から取っているのだろう
監修に橋本八段を起用! 現在、第3話まで進んでいる
今なら第1話と第2話がタダで読める↓(セリフが見づらいけど・・・)
https://www.shonenjump.com/j/rensai/mononofu.html

(以下、ネタバレなので注意)
さて、内容だが、これがなかなかいい具合にぶっ飛んでくれてる
連載第1回、主人公は高校1年生で、ルールも全く知らないド素人
しかし、ルールを覚えたとたんに15手詰みの大道詰将棋を解きやがった! ぶっははは(笑)
銀の中合いが見えたのだ どうなってんねーん

いきなりのド天才ぶりを主人公が発揮!
天才中の天才やん 人類史上初ぐらいの才能やで(笑)
野球で言えば、ボールを握ったこともなかったけど、数回投げたら時速150キロ出ました、ぐらいだろう
その直後に、登場人物の一人が「報われない努力などない」と言ったので、努力じゃねーだろ、才能だろ、というツッコんだ人が何割いたことか(笑)  
いったい、才能と努力、どっちが作品のテーマやねん(^^;
私が奨励会員でこんな人間がいるのを目の前で見たら、やる気なくすレベルの話やで・・・

そして主人公が一言「プロを目指します」
おおーーい、将棋の対局を1局もしたことがないのにプロを目指すんかいーーー(笑)  どうなってんねーん

連載第2回では主人公のさらに素質がもっと明らかになる
終盤になったとたんに「剛腕の寄せ」 「王殺しの資質」という強力ウェポンが主人公にはあった!
おおー、ええぞええぞ、やったれやったれ、それくらいなきゃ、話がこれからポンポン進んでいかないもんな
目指すはプロ、タイトル、七冠やでーー!

そんな中、名言もあったのだ 親から将棋を反対された主人公に対し、周りの奨励会員の人が一言
「夢なんて全世界から否定されてあたりまえ! お前がやりたいかどうかだろ!」
そ、そのとおり、すげーアドバイス!! これは感動した!

連載第3回では、主人公が学校の将棋部に入ろうとするという、おいおいー(笑)
プロを目指すのに、まずは学校の将棋部って・・・ まわりに親切な奨励会員いっぱいいる環境で(^^;
いやいや、そういうのもありか、と思いきや、この将棋部が同級生一人だけの部だったという・・・(笑)  しかしその一人というのが、なんと元名人の孫? すげー身近に大物がおる、でもよく考えたら「ヒカルの碁」も名人の息子と偶然最初に対局したっけ(笑)  ジャンプイズム最高~

そこかしこにツッコミどころが満載で、さすがハッシー監修と言わざるをえない、私は全面降伏といったところだ
これからも細かいツッコミどころが随所に出てくるだろう

10枚落ちで奨励会員に勝った主人公に、奨励会員の仲間が「定跡覚えたら伸びるかもね」とアドバイスするが、そんなことをまだロクに対局したことのないやつに言ったらアカンと思う
定跡を全く気にしないでまずは50局ぐらいは指して見るべきだろう 
なにしろ、とほうもない才能の持ち主なのだから、定跡や常識で制約するのは才能をつぶす危険があるで!
一番怖いのは定跡という樹海に遭難することやで・・・

そして高校の元名人の孫、初手を見ただけで初心者と決めつけたけど、今は色んな手がある時代だ
初手▲7八金のponanza流、▲6八銀の嬉野流、後手の初手△6二玉の米長流・・・

でも、とにかく面白いね、これからもツッコませてもらいたいものだ 
コンビニで立ち読みして、単行本が出たらとりあえず買う予定だ 
ジャンプを何年ぶりに読んだことか・・・

さて、一番気になるのは、コンピュータのことだ このマンガでは、いったいコンピュータはどういう扱われ方をするのだろうか?
電王戦というのはもう有名で、一般人も名前ぐらい知っただろう
このマンガではまだコンピュータは出てこないが、どうするのだろうか
奨励会員の話でもあるわけだが、奨励会員はコンピュータをどう思って生活しているのか? 
元名人の孫が自分で必死に次の一手を何日も考えているのを、私なら「そんなのパソコンで調べればいいじゃん」とすぐ思ってしまった

それとも「そんな強いコンピュータはこのマンガの世界には存在しません!」とするのだろうか
そうであったら、それはそれで仕方ないと思うが・・・
奨励会員がパソコンで最強ソフトと対局して、あっさり楽勝でコンピュータに勝っている姿が描かれたりして・・・
そうすればまたツッコめるわけだ(笑)

これからきっと、ジャンプらしく主人公が指数関数的成長をする姿を描いた将棋マンガになるのでは?
これは熱い、楽しいぜ~! ツッコませマンガか、それともこれから本格マンガと化けるか? 今後に注目している!