2017.04.30 今週のNHK杯
宮本広志五段vs藤井猛九段、解説は畠山鎮

相振りの相三間。藤井が作戦負けからの完敗だった。

10数分の感想戦が貴重で、藤井が何が悪かったか、自分で解説してくれた。
ハタチンの解説では全然不十分だったことが判明。
相振りが得意なプロが解説しないとだめだなー。

藤井をしてこの戦型での経験不足が敗因ということで、将棋は難しい。
藤井の緻密な序盤を期待していたのだが、今回は不出来だった・・・。
藤井は残念だったが、宮本が的確だったのが救い。宮本を初めて観たが、強かった。

追記・「将棋フォーカス」の詰将棋解答選手権の特集、藤井聡太くんがどんな問題を解いたかわかって、すごく面白かった。
藤井聡太四段があまりに強くて、ベテランの棋士たちを圧倒している。
その姿は頼もしくもあるのだが、一方で、私のような30年来のファンは複雑な思いだ。
だって、今までずっと応援してきた棋士たちが、いいようにもてあそばれているのだから。

今まで私が観てきた棋士たちは、レベルが低かったということか?
14歳の中学生にボコボコにされちゃうなんて、さみしいなあ。
コンピュータに負けるのもショックだが、14歳に負けるというのも、またショックだ(^^;

約30年前の昔、羽生が出てきたとき、私は気楽に羽生を応援していた。
羽生がベテランの棋士たちに勝ちまくっていくのは痛快だった。
しかし今、もう私は「ベテランのファン」に達し、それぞれの棋士に「思い入れ」がある。
だから藤井四段が勝つことを素直に喜べない。
14歳にボロ負けした棋士は心中、どんな気持ちなのだろうか。

佐藤康光九段の口癖で、「将棋はそれほど簡単ではありませんから」というのがある。
しかし、藤井聡太四段の指しっぷりを観ていると、「将棋はそれほど難しくありませんから」と彼は言っているように思える。
14歳でこの完成度、恐るべしとしかいいようがない。
三浦 ~森山直太朗「さくら」の替え歌~

元の歌 https://www.youtube.com/watch?v=p_2F2lKV9uA

僕らはきっと待ってる 君とまた会える日々を
戦い続く千駄ヶ谷に 手を振り叫ぶよ

どんなに苦しい時も 君は真面目でいるから
疑いそうになりかけても 信じれる気がしたよ

かすみゆくタニーと共に あの日の理事が辞めてく

三浦 三浦 今 咲き誇る
ソフトに抜かれる 運命(さだめ)と知って
さらばナベよ 反省の刻 変わらないその疑念を 今

今なら言えるだろうか 偽りのない言葉
「1兆パーセント、無実」と正す 本当の言葉

移りゆく日々はまるで 疑惑を晴らすように

三浦 三浦 ただ舞い落ちる
いつか生まれ変わる 連盟 信じ
泣くなファンよ 今 改革の時 康光会長で さあ

三浦 三浦 いざ舞い上がれ
永遠(とわ)にさんざめく 光を浴びて
さらばナベよ また文春で会おう 三浦舞い散る将棋界で
NHK杯は面白かった。ナルゴン、パスに等しい手を積み重ね、短多数でボロ負け。
増田四段というのも強いのだな。指導将棋のようだった。

さて、遅まきながら初めて、ちゃんと藤井四段の将棋を観た。
なんと康光を序盤から圧倒。康光に何もさせないままの完封勝ち。
難しいところで、ことごとく正確に指してるようだ。しかも迷いがあまりない。

先日あった「第零期 獅子王戦」の先崎戦でも、先崎を圧倒。先ちゃんボッコボコだった。

ぐああーー、大人のプロ棋士たちが弱く見えるーーー。
ショックだ。たすけてーー(笑)
私は約10年、NHK杯を記事にして感想を書いてきました。
今回は過去を振り返る、後ろ向きな記事になってしまいますが、まとめておきたいと思いました。
ここ10年間、NHK杯は面白かっただろうか?

もちろん人それぞれですけど、私の中で答えは、「YES」です。
「合格」のでっかい判子を押してあげたい。100点満点で言えば、90点はあげたい。

その理由は何か。聞き手?解説者?羽生が4連覇して活躍したからか?

と、ここから以下、訂正版です。
30年前は相矢倉がいかに多かったか、ということを書いたのですが、それが具体的な数字を棋譜DB2で調べてみると、それほど相矢倉の採用率が高くなかったことが判明しました。みなさま、すいませんでした。

棋譜DB2で調べてみると、30年前ごろのデータは以下のようでした。
調べ方の例 「NHK杯 1984 矢倉」と入力すると出てきます。
注・年の話であり、年度ではないです。

1984年 22局中、9局が矢倉
1985年 24局中、6局が矢倉
1986年 26局中、8局が矢倉
1987年 28局中、9局が矢倉 

急戦矢倉かどうかは調べていませんが、急戦矢倉も矢倉のカテゴリに入っています。
たしかに多いと言えば多いですが、相矢倉ばっかりというほどでもないですね。
私の「NHK杯がいつも相矢倉ばっかりでつまらなかった理論」が破たんしました(^^;
誤解を招く書き方をして、どうもすみませんでした。以後、こういう記事は棋譜DB2で裏付けを取ってから、書きたいと思います。気を付けます。
FAQ
私のこのブログの現状で、NHK杯の記事(銀河戦を含む)について、お知らせしておきます。

約9年間にわたり、私は毎週日曜のNHK杯の記事をメインコンテンツとして、力を入れて書いてきました。
多くの方に読んでもらっていたようで、一日に千人も来たこともあります。
とてもうれしく思っておりました。本当にありがとうございました。

現状では、もう以前のようなNHK杯の記事(銀河戦を含む)を書く予定はないです。
理由として、大きく3つ挙げられます。
①将棋ソフトが素晴らしすぎる。
②冤罪事件がひどすぎる。
③私の体調不良が続いている。


①はもう言うまでもないですが、私はプロ棋士がコンピュータより劣る存在になってしまう事が、うまく受け入れられません(笑)
②は、渡辺竜王や谷川会長が、私のプロ棋士への信頼感をズタボロにしてくれました。チーン。
③最近、いっつも体がつらいのです。病院にも行ってます。

あと、私のブログ、2007年に始める時に「10年間、がんばって続けよう」と思って、やり始めたのです。
そろそろ10年が経ちます。テンションが落ちるのも仕方ないかと。ブログの更新が減るのも、予定どうりかなと。

ただし、将棋熱が冷めたのかというとそうでもなくて、最近24の高段の将棋をよく観戦しています。
将棋を観たいという気はあるんです。
今、観たいのは、「世界コンピュータ将棋選手権」、「女流どうしのTV棋戦」、「小学生名人戦」、「藤井聡太」こういうメンツだったら観たいです。
逆に、渡辺竜王の将棋、今、もう観たくないと思っています。残念です。

現状、私はNHK杯を観たり観なかったり、感想戦はもう観なかったりです。
今後は簡単な感想を書く、ぐらいになると思います。

将棋について、私が書きたいことが少なくなってきています。批判的なことを書きたくないのですが、どうしても書いてしまうことも増えました。
まだブログはちょこちょこと、当面は更新するつもりですが、これからは記事の数も減少していくでしょう。

みなさん、今まで長らくこのブログのNHK杯の記事を読んでくれて、本当にありがとうね!!
「極力、符号なしで、スポーツ新聞の野球の記事のように、対局の面白さを文章のみで伝えられるのか?」と思って私は書いてきました。果たして私は、「将棋を観る面白さ」を伝えられたのか?
その答えは、読んでくれたみなさんの中にあります。
みなさんの答えが「Yes」だったら、いいな! ではでは!
NHK杯、中村修のインタビューが面白く、実際に快勝してしまい、私は痛快だった。
おっさんパワーをなめんじゃねえ!という修の指し回し、堪能した。
米長玉で意表を突き、飛車を見捨てる発想の柔軟さでも魅せ場を作った。
佐々木勇気の自陣飛車、感想戦のとおりに打ってたらなあ。これは悔しい。無念さが伝わってきたのが良かった。
AIにできない事って、悔しがることだね。ロボットは悔しい表情は作るだろうが、本当に悔しがることはできない。

そして藤井聡太君が大変なことになってるらしい。
深浦戦、私は終盤だけ観た。実に強い勝ち方。私は投了図以下がわからなかった。
Yahooトピックスの一番目立つところでもニュースになっている。
正直、渡辺明以来、ビッグスターが生まれていなかったので、藤井君のような人材をみんな望んでいたところだろう。
すでに「楽しみだ」という域を超えている。

ただ、しかし・・・ もう羽生との対局が決まっているというのはどうなのか。
もし羽生に勝っちゃったらどうすんの。逆に、ファンも藤井君も、夢がなくなってしまうんじゃないか。
そして、今もうここで七番も有力棋士と戦ってしまうというのは、対決に至る過程を味わう楽しみがなくなっている。
「藤井聡太が、ついに羽生と対決するところまで上がって来た!」という面白さを、なくしている。
まあ仕方ないが。
ともあれ再来週の羽生戦はNHK杯を無視してでも七番勝負のほうを優先させないと、いけない。  
棋書レビューのカテゴリに入れましたが、映画です。

4月1日からレンタル解禁ということで、TUTAYAでレンタルしてきて、観ました。
面白かったです。高評価です。
冒頭で関西将棋会館が映りますが、自分の知っているところが映画で出てくるって、とてもうれしいものですね(^^;

ただ、私のように小説版を読んでいたり、将棋界を知っていたりするために起こる違和感もあります。
例えば実在の棋士がちょい役で出演してますが、「これは実在の棋士が違う人物役で出てるんだな」と、頭の中で整理しないといけません。「この名前は実在の人物をどう文字ってるのか」とか、「今戦ってるこれはタイトル戦?棋戦はいったい何?」とか。

でも観ていて2時間がすぐ過ぎました。優れた映画の証です。
原作者の大崎さんをあらためて尊敬しますね。

村山聖が羽生と話すシーンがありました。「なぜ将棋をするのか」という問いです。
私は、そりゃ、村山や羽生が将棋を選んだというより、将棋が村山や羽生を選んでくれたのだと思います。
世界にたった10人しかいないA級棋士と、たった1人の七冠王。その才能があれば、将棋をやるしかないでしょう。

「今更、昔の話を観てもどうかな~」との思いがありましたが、いやいやどうして、面白かったです。おススメです。
天彦名人の攻め筋が、△9八角~△8八歩~△8九角成~△9八馬・・・。
4手かけて、特に目立った成果なし。
9九の香車を取るのに、5手かかった計算になっている。(実際は香は取らず)
隅の香車を取るのに5手かけたプロって、なかなか観たことなかったわ・・・。

正直、棋譜だけ見たら、これじゃ「後手は実は、24の10級が30秒将棋で指したんです」と言っても、「あー、そうだろうね」となりそうだ。
名人が5時間かけて考えてこの棋譜だから、つらいorz

次回はもうちょっとなんとかしてください(^^; もうPONANZAに勝てないのはよくわかりました。見所はあとは名人がどれだけやれるかっていうところだけですから。また今回のようなボロ負けだと、私のようなファンも、悲しいんです。
電王戦の最後になりそうなんで、そこでどうプロの意地を印象付けられるか、大事ですね。
http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/9103f9cccaa076fd366ea4fadac5d8ce

http://blog.goo.ne.jp/kishi-akira/e/e9a9f8b575c5d1f32c1c6ae173eed6c5

渡辺竜王が、ご自身のブログで、先日の電王戦を振り返っている。
そこでは「悪手率」という言葉がでてくる。「PONANZAは悪手率が10%程度しかないから、強いのだ」という理論だ。
それはそれで面白い概念ではある。なるほどな、とも思う。

しかしPONANZAには、たった3局の母体数しかない。これで悪手率とやらを論じるのはさすがに早計だろう。

そして、渡辺竜王は今の自分の立場というものを分かっているのだろうか?
ついこの前、こういう確率論で「不毛な一致率」(俗に言う千田率)を導き出し、大失態をやらかしたのを、もう忘れたのだろうか?
それを覚えていれば、こんな確率論の記事は、怖くて書けないはずだ。
それとも三浦九段に対する冤罪事件なんて、なんとも思っていないのか?

渡辺竜王がいかにして「確率の迷路」に迷い込んでいったか、渡辺竜王の今回のブログは、それがわかる貴重な資料となっている。私にはとても興味深かった。
とにかく渡辺竜王は、私なんかとは神経の図太さが違う。それは確かだ。
完敗 ~長渕剛「乾杯」の替え歌~

元の歌 https://www.youtube.com/watch?v=dD5HehQi-wc

電王戦に 想いをよせて
語り尽くせぬ 闘いの日々
時には傷つき 時には苦しみ
肩を落とし合った あの日

あれから どれくらいたったのだろう
負けた将棋を いくつ数えたろう
米長邦雄は いまでも棋士の
心の中に いますか

完敗 今 棋士は名人が
大きな 大きな 舞台に立ち
遥か安いパソコンに 敗れ始めた
棋士に 幸せあれ

ニコ生の 佐藤天彦を
今こうして 目を凝らしてる
大きな悲しみと 少しのさみしさを
涙の言葉で 歌いたい

ハンデルールで 批判をあびて
振り返らずに そのまま指せばよい
ハメ手を探しても バグを見つけても
信じた将棋に 背を向けるな

完敗 今 棋士は人生の
大きな 大きな 分岐に立ち
遥か強いAIを マネし始めた
棋士に 幸せあれ

完敗 今 棋士は名人が
大きな 大きな 舞台に立ち
スマホの無料アプリに 敗れ始めた
棋士に 幸せあれ
棋士に 幸せあれ
天彦名人、完敗。だめだこりゃー。
これじゃあ、角落ちでやってもPonanzaが勝つと思う。それほどの内容だった。
時間もPonanzaは3時間以上余してたし。
しかも、ディープラーニングを使用した新しいバージョンがすごいらしい。
私は感想も何も抱かなくなってきた。

私は激指14で検討モードを起動させながら観てたんだけど、名人でも激指14にすら勝てないと思う。残念だけど。