中学生棋士 (角川新書)
谷川浩司著 800円+税 2017年9月8日発売
評価 C コンセプト<ソフト指し冤罪事件をなかったことにして藤井四段を語る本>

この本、タニーが書きたいことを書いています。中身があり、薄っぺらい便乗本ではありません。
なので、買ってもいいと思います。

でも・・・ 三浦九段への冤罪事件については、まっっったく、カケラも、これっぽっちも触れられていません。
まるで「そんな事件は無かった」といわんばかり。
連盟の当時の会長として、知り得た情報、出した決断、色々あったはずなのに・・・。
タニーが藤井四段や羽生二冠について軽快に語るのはいいのですが、冤罪事件について一言もないのは、いくらなんでも、不自然すぎるんですよね。本当に、タニーは事件についてどう思っているのでしょう?
冤罪事件では、タニーをはじめとする連盟は様々な教訓を得たはずなので、それを後世に伝えて欲しいとマジに願います。

先月から藤井四段関係の本は5冊ほど出てますが、ソフト指し冤罪事件の本は今年に入ってもずーっと1冊も出ないまま。
「失敗の後、きちんと謝罪と説明と反省をしない」それこそが「本当の、しくじり」なのではないでしょうか。
もしタニーが「しくじり先生」に出たら
※これはあくまで私の妄想にすぎません。以下はフィクションです。実在の人物・団体・番組とは関係ありません。

若林「今回のしくじり先生は、この方です!」
ガラッ(谷川九段、登場)
タニー「私がしくじり先生の、谷川です」
吉村「誰? 誰、この人?」
あき「知らなーい」 
伊集院「顔はどこかで見たことあるけどな」

タニー「まずは私のプロフィールをご覧ください」
ナレーション「日本伝統のボードゲーム、将棋。その将棋にはプロの世界があります。
現在約160名のプロ棋士がしのぎをけずっています。今、注目されている中学生プロ棋士・藤井聡太四段もその一人です。
歴代にわずか五人しかいない中学生プロ、そのうちの一人が谷川浩司九段です。
21歳の最年小名人は今でも破られない記録です。その後も永世名人の資格を得るなど、タイトル27期・A級通算32年と、さん然と名を遺したのが谷川浩司九段なのです。5年前から将棋連盟の会長を務めました。電王戦でコンピュータとプロ棋士の対局が話題になる中、将棋連盟の指揮をとりました」

タニー「じゃあ教科書の4ページを開いてください。ある数字が出てます」
「5722万円と15万円」
タニー「5722万円というのは、昨年度の佐藤天彦名人の対局料です。
そして15万円というのは、今年の電王戦に使われたパソコンの値段です。
今年の電王戦で、両者が戦いました。名人とコンピュータ、どっちが勝ったか。それは次のページ」

タニー「2戦してコンピュータの2勝0敗。
もう15万円のパソコンに名人が負けちゃう時代なんですね。2戦とも、内容的にも名人の完敗でした」

若林「ええー、15万円に負けちゃったのか」
吉村「プロは、つらいものがあるなー」
あき「人間とコンピュータが戦うっていうのが、はじめから無理があるのよ」
伊集院「名人って1年で5000万円も稼ぐのか」

タニー「これだけコンピュータが強くなってくると、色々と問題も起こってくるわけです。
はい、ええ、プロ棋士の存在意義も問われています。当面で、一番の問題になっているのが、『ソフト指し』という行為です。これはソフト、すなわちスマホなどでコンピュータ将棋ソフトを、対局中に使って、次の手を調べてカンニングしちゃうということですね。これはアマチュアでも大会などでは禁止されている行為です。もちろんプロ棋士では、やってはいけません」

若林「え、スマホでカンニングできちゃうんですか?」
吉村「スマホの強さってどれくらい?」
タニー「あとで出てきますから」

タニー「5年続けた電王戦でバタバタとプロ棋士がコンピュータに負けました。
そして、2016年10月、事件は起こってしまいました。
三浦弘行九段が竜王戦を勝ち上がり、挑戦者になったんです。しかし、その三浦九段に対し、防衛する側の渡辺明竜王が、『三浦九段はソフト指ししている』と週刊文春にリークしてしまったんです。この文春砲で将棋界は大騒ぎになりました。当時会長だった私は、こんな決断をしました。次のページ」

タニー「三浦九段に約三か月の出場停止処分を科す」
タニー「これで三浦九段は竜王戦にも出れなくなり、処分中はいっさい対局ができません。何より、三浦九段はソフト指しの犯人というイメージを世間に植え付けてしまいました」

若林「何か、ソフト指しと判断する根拠はあったんですか」
あき「そこ、それよね!」

タニー「根拠は、持っていたつもりなんですが、非常にあいまいなものだったのです。
のちに分かった結論として、三浦九段は無実でした。私の拙速な判断の結果、私は何か月間も三浦九段をソフト指しの犯人に仕立てあげてしまいました」

タニー「私が何をしくじったのか。今日のテーマはこうです」
タニー「『よく調べもせずに冤罪事件を起こしちゃった先生』です」

吉村「マジでしくじったな」
若林「ちょっとドン引きだな・・・」
あき「三浦さんがかわいそうすぎるわあ」
伊集院「これ、ずいぶんニュースになったよね」

タニー「当時の週刊文春を、ちょっと見てみましょう」

文春「将棋『スマホ不正』全真相」
「渡辺明竜王独占告白」「放置すれば竜王戦がなくなる」
「羽生三冠『限りなく黒に近い灰色』」
「私は三浦九段にスマホ遠隔操作を教えた 核心証言」
「九九.九%やってますね」

吉村「なんかもう、三浦さんは犯人だと言わんばかりだ」
若林「羽生さんがこんなことを言ってたんですか」

タニー「いや、羽生さんは、文春が発売されると同時に、ご自分の奥さんのツイッター上で、『疑わしきは罰せずが大原則です』とコメントを出しました」

伊集院「羽生さんはそういうバランス感覚がある人だよね」

タニー「ここでまとめの一句です」
「連盟の 眠りを覚ます 文春砲 たった4ページで夜も眠れず」

タニー「こういう文春の報道があったんですが、連盟は結局、ソフト指しの確たる証拠をつかんではいなかったんですね。ソフト指しの根拠は、すべて渡辺竜王ら、一部のプロ棋士の憶測によるものでした。
プロ棋士の中には、『奴は1億パーセント黒』だとツイートする人まで現れました。このころ、2ちゃんねるでは、三浦派と渡辺派に真っ二つに分かれ、例によって大ゲンカが始まりました。将棋ファンたちに、無用な争いをさせてしまったわけです」

吉村「2ちゃんねるは荒れただろうなー」
若林「ただでさえ、あそこはいつもケンカしてるのに、すごい燃料投下だよな(笑) 」

タニー「そしてこの一件は、私を含め連盟では手に負えないということになり、連盟は第三者調査委員会というところに調査を依頼しました。複数の弁護士などで構成された委員会です。
第三者委員会が調査している間も、三浦九段への出場停止処分は続きました。
調査が終わっていないのに処分を出しているという時点で、もう矛盾してるんですけどね」

タニー「そして、年末、調査の結果が出ました。
その結論は、①ソフト指しの証拠は全く何もない ②連盟の出場停止処分の判断は妥当だったとの2点でした」

あき「②はおかしいでしょ。連盟の判断は間違ってたんだから」

タニー「第三者委員会がこの②の判断をしてくれたおかげで、私は多少、批判されることから逃れました」

若林「三浦さんはこれを聞いて、どう言ってたんですか」
タニー「そのVTRがあるので、見てみましょう」

三浦九段「私よりも、家族が精神的にまいってしまって・・・ ホントに、なんでこんな仕打ちを受けないといけないのか・・・ 竜王戦7番勝負をやりなおしてほしい」

あき「三浦さん、憔悴してるわ。かわいそうー」
若林「これはシャレになってないな」

タニー「ここでまとめの一句です」
「証拠なく 下した処分は 重かっタニー」

タニー「一方の渡辺竜王は、騒動の最中にも、趣味のフットサルに興じて、元気な姿を見せてました」
吉村「あいたー」

タニー「連盟としては、『出場停止処分』ではなく、『出場停止措置』と言うべきだった、とのコメントを出しました」
若林「そんなの、言葉遣いだけの話じゃないですか。連盟は三浦九段とファンをナメてるんですか」
タニー「・・・」

伊集院「それで、三浦九段への補償はどうなったんですか」
タニー「私は体調不良に陥り、緊急入院し、会長を辞することにしました。しかしその理由は、あくまで体調不良です。間違った判断をしたから、という表現は使っていません。私は心からの反省はしていなかったので」
伊集院「・・・」

タニー「会長職は、次の人に任せることにして、私はまた元気に対局に復帰しています。
三浦九段との補償問題は、次の会長に任せました」
若林「何それ・・・」

タニー「今回のことは、将棋界の教訓としなければなりません。今やスマホ単体がもうプロ棋士を凌駕していると言われています。電王戦は終了になりました。連盟は怖くてプロ棋士とスマホとは対戦させられません」

吉村「もうスマホに負けちゃうんだ」
若林「将来的には、たまごっちに負けるんじゃないか」
伊集院「10年後には100円ショップで売られるゲームウォッチに負けそうだね」
あき「だから、人間とコンピュータが戦うのが無理があるのよ」

タニー「コンピュータはもう10年ほど前からプロの力に迫ってきていたのに、何も連盟として制度を作りませんでした。そして問題が起こったときに、なぜ、勤続24年にもなる三浦九段を信じてあげられなかったのか、それは私の不徳のいたすところです。三浦九段、本当に申し訳ありませんでした。そしてこの件で心を痛めたファンの方、申し訳ありませんでした」

若林「うんうん」

タニー「ここでまとめの一句です」
「冤罪は この先も起こる 大問題」

タニー「で、今度、私の著書が出ます。9月8日発売で、タイトルは『中学生棋士』です。
藤井聡太四段について書いてます。よろしくお買い求めください」

生徒全員「まずは冤罪事件について書くのが先でしょーが。全然反省してない。だめだこりゃー」 

🎵デレレレレン! 🎵シャララ~シャララ~ ランランララララ~

まとめ
・会長として、よく調べもせずに、結論を出してしまい、一人の人間の人生を破滅に追いやりかけた
・事件が起こる前に、コンピュータとの付き合い方を何も考えず、冤罪を防ぐ制度を作るのが遅れた
・谷川前会長や渡辺竜王は、三浦九段にいまだにきちんとした謝罪をせず、今もしくじり続けている
 (終わり) ※これはフィクションです。
森内俊之 九段 vs 藤井聡太 四段 NHK杯 2回戦
解説 佐藤康光NHK杯 中村太地六段

藤井聡太くんの登場で、異例の生放送になったNHK杯。
こりゃ、聡太くんにはプレッシャーもかかるなあー、と思っていた。

先手森内で、矢倉。後手の聡太は急戦矢倉で、右四間。
後手の囲いはアマチュアがよくやる、低い囲いだ。(△3一玉△3二金△4二銀△5一金型)

聡太が速攻で襲い掛かり、ペースをつかむ。しかしまだまだ難しいぞと思っていたところを、聡太は実にうまくまとめあげた。
聡太に△8八歩という手が2回出てきた。2度目の△8八歩は、こりゃ甘いんじゃないか、という話を康光がしていた。
私も聡太が負けたら敗着だろうと思って観ていた。そしたら最後の詰ます段階になって、△8八歩が見事に効いてきた。
強い人が指すとこううまく行くものか。94手で聡太の快勝。危なげなかった。

終局後のまとめ
康光「見事な一局でしたね。改めて強いなと感心しました」
太地「堂々たる指し回しでしたね」

聡太「積極的に攻めていくという方針で行ったのが良かったかなと思います」
森内「やっぱりちょっと玉形の悪さが最後までたたってしまった感じで、うまく手を渡されて困りました」

この一局、聡太の安定した強さが出た。
そしてもう一つ、「矢倉っていったい何がやりたいの?」という疑問を、私はまた感じた。
森内はせっかく8手もかけて矢倉城を築いておきながら、結局、居玉で戦うことになり、潰されてしまったのだから。
矢倉って、相手に主導権を与えるばかりではないか。そんな風に思えてしまった。
増田の「矢倉は終わった」宣言が、聞こえてくる内容だった。
森内さえ指しこなせないのが矢倉。だってこの一局はそうだったんだから(^^;

感想戦も観たが、聡太は全体的に手が見えていて、ちゃんと把握しているという印象で、やはり強い。
個人的には、中盤で取られる歩を伸ばした△3六歩が印象に残った。そして成り捨てる△3七歩成。こういうのがアマではまず指せないんだよね。
次は聡太は稲葉と当たるそうだ。これも楽しみだ。