将棋「初段になれるかな」会議
著者 高野秀行(プロ六段) 岡部敬史(ライター) さくらはな。(漫画家)
扶桑社新書 920円+税 2019年1月1日第1刷発行
評価 B  推奨棋力 ★☆ (初級者向け)

この本はタイトルに「会議」とある。そして帯に「シンプルに強くなる方法、みんなで考えました」とある。
だから、私は「どういう勉強法をすれば、初段になれるのか、アマとプロが集まって侃侃諤諤(かんかんがくがく)」、議論した本なのだろう」、と思って購入。
ところが実態は違っていた。一言でいうと高野プロの意見ばかり。高野プロの手筋講座と言ってもいいような内容だった・・・orz

聞き手のアマ2人は将棋ウォーズ3級と1級程度の腕前なのだが、この人たちは高野先生の生徒と言うべき役割。
高野プロのアドバイス集とでも言うべき内容となっている。どこが「会議」なのか。「議論」になっていない。タイトルを「高野教室」にしたほうがいい。

まあでも、悪い本ではないのだ。丁寧な解説で、これからアマ初段を目指す初級者が、読むと参考になると思う。
きちんと愛情をもって書かれた本であることは確か。「詰みより詰めろを意識」とか、「差がないときは攻め急がない」とかいうアドバイスは的を得ていると思う。プロが指すような横歩取りの戦型は、高野いわく「やっちゃいけません、あんな難しいの」というのは私も同意だ。

ルールを覚えた次に読む本がなかなかないが、その隙間を埋める本として存在意義がある。
読みやすさは二重丸。きちんと作られた本なのに、タイトルのつけ方でもったいないことをした。 
以下、ネタバレしています。

何、この大差・・・。ダメだあああorz
カロリーナさんはどうやって予選を抜けたんだ? 予選勝ち抜きはたったの3名。その中にどうやって入ったんだろう。
正直、私でもカロリーナ女流には勝てるかもしれんと思ってしまった・・・。期待していただけに、つらい。

1局目の飛車成を許したのもどうかと思ったが、2局目の飛車で横歩を取った手、あんなの普通、指さないよ。
1歩もらえるけど、飛車が死ぬかもしれない手。案の定、中盤戦で飛車は死んだ。
地雷原に100円(歩)が落ちてるのを拾いに行くような発想だと思う。

伊藤さんというのは優勝候補だったんだね。まだしもそれが救いか・・・。
abemaTVの企画。フィッシャールール採用。これがなかなか面白い。
男子の企画のときは藤井聡太の回は私は観た。女流はいままで3回全部観ている。

<いいところ>
・視聴が無料である。見逃しても一定期間はタイムシフトで放送してくれているので大丈夫。
・冒頭の対局者の人物紹介が面白い。渡部女流が野月をコーチとしていることは私は初めて知った。
・女流は持ち時間7分、一手指すごとに7秒追加。この短い持ち時間のおかげで、一局約30分という短さで、スピーディな将棋を楽しむことができる。男子は持ち時間5分、一手指すごとに5秒追加だったが、7秒追加のほうがいいと思う。5秒では短いと感じる。
・一局約1時間半のNHK杯とすみ分けができている。
・男子プロの解説が的確。(男子と比べれば)棋力の落ちる女流の指し手ということもあり、とくに序、中盤は解説の精度が抜群に高い。聞いていてすごくわかりやすい。女流が主役のはずなのに男子プロってつえー、と思わせてくれる。

<問題点>
・お互いに時間が切迫して時計の叩き合いになると、どうしても手が乱れて内容的にレベルが下がる。
駒がごちゃごちゃして、逆転また逆転となるともうジャンケンのようになってしまう・・・。
・秒読みでバンバン手が進むと、解説の質も大きく下がる。いままで理路整然としていた男子解説者が「うわー」「ひえー」と言うだけという事態になり、観ていてもうわけわからん。しょうがないか。
・3番勝負なのだが、私は2局でもう疲れてしまう。3局目を見るのはしんどい。

しかし、総合的に面白い。NHK杯を観たあとでも充分に「今日はabemaTVもあるぞ!」となる。
関係者の方には御礼申し上げる。楽しい番組をタダで見せてくれてありがとう。
来週はカロリーナ女流が出る。実に楽しみだ。
ぐあー、ショック・・・。
名人がコンピュータに負けたのとはまた違ったショック感がある。

まあ私は竹俣さんが出てるTVはことごとく観てなかった。
クイズ番組は観ないし、ワイドナショーはNHK杯の裏番組なので全く観ない。
激指とやねうら王の読み上げの人という感じ。ブログはたまに見ていた。
早稲田大学を卒業したら、NHK杯や銀河戦で聞き手になってくれることを楽しみにしていたのだがorz
人気の女流棋士に離縁状をつきつけられる将棋界か。
藤井聡太で話題になっても女流棋士ってまだまだ給料が低いんだろう。

女流で美人→アイドル扱い→写真集など出版→あっけなく将棋界を去る

バンカナから高橋和、竹俣紅へと続く、「美人女流棋士定跡」だね。
さようなら竹俣さん。