霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
2回戦 第1局 西山朋佳女王 vs 石本さくら女流初段
対局日:2019年3月20日
解説:宮本広志五段
聞き手:村田智穂女流二段

本局から2回戦(ベスト8)の戦いに入る。対局日が3月ってマジ?TVの画面にも3月20日と出てた。もう4か月前・・・orz

注目の西山奨励会三段が登場。1回戦の竹部戦では圧勝していた。今回はどうか。
解説の宮本「西山はすごく明るい。小さいころから終盤がすごかった。石本は20歳にしては落ち着いている、しっかり者。立命館大学の3回生」

事前のインタビュー
西山「石本は高校の後輩。ずっと前から公式戦で指してみたかった。石本はいろんな戦型を指されて、充実している」
石本「西山は豪快は振り飛車党。あこがれの人。対局できるだけでもうれしい。悔いのない将棋を指したい」

先手西山で、相振り。それも相三間飛車となった。しばしば相振りが見れるのは女流の醍醐味だね。
互いに角道を止めない強気な作戦。囲いは▲2枚金ならぬ1枚金vs△矢倉を作る途中、といった図。
西山は左金を7八に上がり、スキをなくす工夫を見せた。この構想には宮本が何度か感心していた。

西山の左銀が5段目まで出ていくことに成功、中段を制圧していった。
宮本「西山のほうが主導権を握っている」

そろそろ駒組みが飽和な場面、西山が相手の手に乗って、なんなく馬を作ることに成功した。
馬は盤上中央に引き成って、すごーく手厚い。
局後に振り返って、ここがもう最大のポイントだったようだ。
石本は感想戦で、馬を作られたところを振り返り「(手づまりになり)手がわからなかったので、消去法で馬を作らせる順を指した」ということだった。

優位をもらった西山の手が伸びまくる。ガンガン差を広げる西山。もはや石本に勝負どころがない展開となってしまった。
西山はすごい早指しで、急所を押さえて、引き離していった。
109手で西山の圧勝に終わった。西山は持ち時間を2分、残していた。(持ち時間25分、切れ40秒)

宮本「西山の序盤の構想がうまくヒットした。そこからリードを奪ってどんどん差を広げた。タイトルホルダーの力を見せつけた」

感想戦で石本「本譜、馬が手厚かったですね」
西山は感想戦でも、いろいろな手を指摘して、手の見え方を披露していた。

局後のインタビュー
西山「今日の作戦は積極策。やってみたかったことがうまくいって、内容は快勝になった。良かった」

西山、なんという強さだ。勝負になっていたのは序盤の駒組みまでで、中盤以降はもう圧倒的。
正直、並の女流とは手合いが違う。
西山は差を広げるために、落ち着いて受けるべきところは受け、ときには手を渡して、決して攻め急がなかった。それが投了図の圧倒的差を生んでいた。
そして早指しっぷりも圧巻だ。石本が早々に25分を使い切ったのに対し、西山は終局時にまだ2分も余して勝っているのだから。

いやはや、里見香奈さんもすごいが、西山朋佳さんも歴史上に名を残す女性プレイヤーだね。パチパチパチ。
来週はベスト8の第2局、甲斐智美女流五段 vs 加藤桃子女流三段。これはハイレベルの拮抗した戦いが見れるんじゃないだろうか。
激指15を、他のソフトと対戦させてみた。
私が仲介して指す役を務めた。 私のPCは、CPUはcore i7 8700 メモリは16GB。
双方一手10秒の早指し。もっと長い持ち時間のデータが取れたらいいのだが、自分でやるのはめんどうだから、やらない。

やねうらおさんのブログで対戦のやり方が書いてあったので、それに従った。
まず激指15の「ファイル」→「各種設定」で「人間の手番の時間を利用する」のチェックをはずした。
そして、私のCPUは6コア12スレッドなので、探索並列度を6にしておいた。
激指14との対戦では定跡使用の打ち切り手数を0にしておいた。

全て先手は激指15。全戦型で棋力は設定は一番上のPro+2。
勝敗の〇と●は激指15からみたもの。将棋神やねうら王シリーズの棋力設定は一番上の将棋神。

第1戦 ● フリーソフトのGikou2。64手でGikou2の勝ち。
第2戦 ● フリーソフトのApery_WCSC28。100手でApery_WCSCの勝ち。
第3戦 〇 フリーソフトのGPS研究用。153手で激指15の勝ち。
第4戦 〇 激指14。125手で激指15の勝ち。
第5戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、やねうら王。100手でやねうら王の勝ち。
第6戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、tanuki-SDT5。120手でtanuki-SDT5の勝ち。
第7戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、tanuki-2018。158手でtanuki-2018の勝ち。
第8戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、Qhapaq2018。170手でQhapaq2018の勝ち。
第9戦 ● 将棋神やねうら王の中のひとつ、読み太2018。146手で読み太2018の勝ち。
第10戦 ● フリーソフトのGikou2との再戦を試みた。110手でGikou2の勝ち。

おおーい、勝ったのは対GPSと対激指14の2戦だけ! 
内容も、中盤で悪くなってそのまま圧倒されて負けというのがパターンだった。
激指15はすべて居飛車で相掛かり系が多かった。
Gikou2は2017年5月に出たフリーソフトだぞ。それより弱いんだなあ。まあ10秒将棋だけど。
ただ、私が激指15に求めるのは検討モードの正確さだから、まだ激指15は使うけども。

棋譜を一つだけ張っておく。2戦目のApery_WCSC28。  
先手の激指15から一手損角換わりにして、中盤、引き返せない一直線の攻め合いで悪くなり、Apreyに完全に上を行かれた・・・orz

先手: 激指15
後手:Apery_WCSC28

▲7六歩 △3四歩 ▲1六歩 △3二金 ▲2六歩 △8四歩
▲2二角成 △同 銀 ▲8八銀 △7四歩 ▲7七銀 △7二銀
▲7八金 △8五歩 ▲3八銀 △7三銀 ▲3六歩 △6四銀
▲3七銀 △3三銀 ▲4六銀 △4四歩 ▲2五歩 △5四角
▲3五歩 △4五歩 ▲3四歩 △4六歩 ▲3三歩成 △4七歩成
▲3二と △4八歩 ▲同 金 △3二飛 ▲3三歩 △4二飛
▲4七金 △同飛成 ▲3七金 △4二龍 ▲3二歩成 △同 龍
▲3六歩 △4五銀 ▲2四歩 △3六銀 ▲2三歩成 △3七銀不成
▲3二と △2八銀不成▲4二飛 △3九飛 ▲4九歩 △3二飛成
▲同飛成 △同 角 ▲6九玉 △4二歩 ▲3六角 △3九飛
▲6三角成 △4九飛成 ▲5九銀 △5八金 ▲7九玉 △5九龍
▲8八玉 △6八金打 ▲同 銀 △同 金 ▲7七金打 △7九銀
▲9八玉 △7八金 ▲3一飛 △4一金 ▲同 馬 △同 角
▲7八金 △5八龍 ▲8八金打 △同銀成 ▲同 金 △8六歩
▲7八金打 △8七歩成 ▲同金右 △8六歩 ▲同 金 △7九銀
▲7七銀 △8八銀成 ▲同 銀 △7八金 ▲4一飛成 △同 玉
▲2二角 △4八飛 ▲7九銀打 △同 金
まで100手で後手の勝ち
銀河戦 本戦Eブロック 最終戦
豊島将之名人 vs 藤井聡太七段
対局日:2019年5月23日
解説:飯塚祐紀七段
聞き手:鈴木環那女流二段

銀河戦でゴールデンカードの実現。今日は竜王戦の決勝トーナメントでもこの2人が戦っている。   
解説の飯塚「豊島は素晴らしい活躍ぶりで勢いに乗っている最強者。藤井は説明が要らないくらいの知名度。天才少年というのが失礼なくらい。あらゆる指標がトップレベルに届いている。令和の棋界はこの2人を中心に回ると思う」 

先手豊島で、相掛かりの相中住まいになった。
飯塚「こう着状態です、千日手も考えられます」ということだったが、藤井が果敢に筋違い角を打って打開していった。

藤井が攻めて、難解な中盤に突入。 
飯塚「藤井に選択肢が5つほどある」という展開に。そして局面は猛烈に激しくなっていった。
3つ駒が当たっているのに、藤井は当たりをもう一つ増やす手を指す。ぐえー。
飯塚「形勢は難解、激戦」

飛角桂歩、そして、と金が交錯する嵐のような局面に。
感想戦によると、藤井が1歩を余計に渡したのがまずかったとのこと。しかしそんなことは観ている私にはわからない。
飯塚すらよくわかっていなかったのだから、しょうがない。

藤井が若干の駒損で、局面も一時を思えばずいぶん収まっていった。
飯塚「なんとなく豊島のほうを持ってみたい」

藤井が桂を打って攻めたのだが、豊島のうまい攻めで、その桂が手順に取られてしまうことが確定。
飯塚「豊島がよくなりましたね、さすが名人の技でしたね」   
藤井はすぐに投了した。あああー。105手で豊島の勝ち。

飯塚「藤井が色々な技を仕掛けてきたが、豊島が押し返した。さすが名人、王者の風格」

局後のインタビューで豊島「攻められたが、なんとか凌(しの)いで勝つことができた」

んー、藤井の積極策だったのだが実らなかったか。駒が4つ当たっている局面があったから、難解すぎてよくわからなかったよ。
飯塚はがんばって解説してくれていたのだが、短時間では解説もあれくらいが限度だっただろう。
豊島が右辺から王手で角を打った手があったが、あれが効いたんだろうなあ。その角は藤井に取られたが、その間に豊島は手を稼ぐことができていた。豊島の大局観のすごさが出ていた。
・・・始まる前から危惧していたのだが、やはり難しい一局となってしまったか。私は半分くらいしか理解できなかった(^^;

しかし藤井は負けたが、6人抜きで決勝トーナメント進出が決まっている。まだそこで藤井の将棋を観れるのだ。
豊島はこの難解な将棋を耐えて切り抜けた。やはり強い。次は豊島から攻めていく内容を見てみたい。
第69回 NHK杯 1回戦 
髙﨑一生 六段 vs 里見香奈 女流五冠 
解説 羽生NHK杯選手権者
聞き手 中村桃子

注目の女流棋士、里見の登場! 今回は私は感想を書く。どれほどの内容を見せてくれるのか、ワクワクだ。
対するは高崎。実力者ではあるものの、1回戦のメンバー的には里見としては勝ち目はありそうな相手。楽しみな一戦。

高崎は竜王戦4組、順位戦C1。里見は女流王座・女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花。
里見が持っていないのは女王(西山)と清麗(第1期開催中)。
.
解説の羽生「高崎は純粋な振り飛車党。着実にポイントをかせぐ。里見も振り飛車党。女流棋界の第一人者として10年以上活躍している。実力は折り紙付き」

事前のインタビュー
高崎「里見は鋭い攻め将棋で男性棋士とそん色ない実力者。いい将棋を指して結果が出せたらなと思います」
里見「自分の持ち味を出せるようにがんばりたい。一つ勝てることを目標にがんばります」

聞いていた羽生「里見の持ち味は中終盤に大胆な手を指せるところ」

先手高崎で、相振りとなった。里見の振り方が工夫されている。相振りは男子プロ同士ではめったに観ないので開始早々から私には面白い。相向かい飛車に進む。高崎は普通の金無双なのに対し、里見が変わった趣向を見せた。
金の位置が一路ずれた△4二金+△5二金型の「ズレ金無双」だ。
6二に空間があるのが特徴で、角交換バージョンの囲い方となっている。そして下段飛車で△2一飛型。角の打ち込みのスキのない陣形に組み上げてきた。
感想戦で中村桃子が里見に「この囲いはけっこう指されているんですか」と訊いていた。里見は「ああ、そうですね。ちょっと似た形はやったことがあるんですけど」と答えていた。

里見の工夫の「ズレ金無双」がどうなるのか、実に楽しみ。局面、飽和でこう着状態かと思われた。が、高崎が果敢に攻めかかっていった。
羽生「高崎が踏み込んで攻めたのがどう出るか。かなり受けづらいです」
早くも里見、ピンチか? この戦型の特徴なのだが、攻めが続いてしまったらもう一方的になって、まったく取り返しがつかないということだ。相振りという戦型はそうなってしまうようにできてる。

里見、なんとかしろー、と強く念じる私(笑) したらば、里見がすごい受けを出してきた。先手の銀の利きに角を打つ受け!
羽生「すごいところに打ちますね。一目、里見がつらいかな。でも高崎は意表を突かれたんじゃないですかね」
中村桃子「銀で取られるところに」
ここのところ、まだ里見は1回も考慮時間を使っていない。どういうことだ。時間の使い方を知らないのか?
それにしても、すぐ角銀交換の駒損になる手をよく思いつくものだ。

高崎がじっと歩を伸ばした手に、羽生が太鼓判を押す。
羽生「これは本筋、さすがの一手」
そして里見は受けているが、羽生の評判がよろしくない。
里見、つぶされそうか? ピンチが続く。里見~、がんばれ~。耐えろ~。

しかし里見が受け続けるにつれ、羽生の評価が変わっていった。
羽生「意外と攻めがうまくいっていない可能性がありますね。後手の下段飛車がよく利いている。高崎のギリギリの攻めが、つながるかどうか」
中村桃子「難しい局面ですね」
羽生「里見の大胆な受けが続いていますけど、受けがうまくいっている気がします。高崎は攻める手に困る」

だが、高崎の猛攻はまだまだ留まることがなかった。ガリガリ攻めて来る。
▲高崎の強攻vs△里見の凌ぎ(しのぎ)という図式が延々続く。
里見~、受け切れ~ ・・・里見は考慮時間をあまり使わず、バシバシとリズムよく指している。
この早指しには私はビックリだ。もっと考えたらいいのに・・・。

羽生は思ったことを正直に言ってくれるので参考になる解説だ。
高崎の香を打って力を溜めた手見て、羽生「なるほど!これは高崎が踏みとどまったと思う」
と言ったかと思えば、里見の次の手を見て、羽生「これは里見の会心の指し回しじゃないですか」
里見が受け切るまであとちょっと! このままミスなく行け~。

今回の里見、ミスしない。そして早指しを続ける。羽生も「早いですね~」を連発していた。
そしてついに高崎を切れ模様に追い込んだ。飛車をいじめられた高崎、指す手なく投了。
100手で里見の勝ち! やったーーー。こりゃ、つえええーー。里見は4回考慮時間を余していた。

羽生「今日の一局は里見がうまく指したっていうことに尽きる。高崎も細かく手をつないでいって良さそうだったが、里見が大胆不敵な受けを連発した。少しづつ攻めが細くなって、気が付いたら差がついていた。里見が素晴らしかった。里見が持っている良さが全部出たような一局」
羽生、べた褒め!! 里見、会心の一局だった。すげーーーー。

里見のあの早指し、極度の集中状態で、いわゆる「ゾーン」に入った状態だったのではないか。
そのくらい里見の指し回しが良かった。 やったね、これが女流ナンバー1の実力だ! パチパチパチ!
いやー、いい内容の将棋を見ると元気が出るね。やっほう。
序盤の構想の「ズレ金無双」も、見事に成功、その性能の良さを見せつけていた。これも高ポイント。
マジで、後手が里見でなく他のプロでも、その受けのレベルの高さに私は感心したと思う。

里見は2回戦では稲葉と当たる。次も実に楽しみだ!
霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
1回戦 第8局 伊藤沙恵女流三段 vs 上田初美女流四段
対局日:2019年5月23日
解説:飯塚祐紀七段
聞き手:鈴木環那女流二段

本戦トーナメント1回戦(ベスト16)の最後の一局。実力者どうしの対戦。
伊藤は通算100勝43敗。解説の飯塚「伊藤はよく勝っていて大活躍中。棋風は居飛車党の受け身」
上田は通算265勝153敗。飯塚「切れがあり評価が高い。居、振り両方指す」

事前のインタビュー(要約)
伊藤「上田は常に高い勝率を上げている。育児と両立している、優しい先輩」
上田「伊藤は手厚い将棋で充実している。前に出る将棋を指せたらいいと思う」

先手伊藤で、変則的な出だしとなった。伊藤は居飛車なのだが、上田がなんと「無敵囲い」に囲うという趣向を見せた。
これには飯塚もびっくり。無敵囲いとは、居玉のまま中飛車にして両側の銀を飛車の横に上げる囲い。
上田さん、何かのギャグだったのか・・・(^^;

さて、局面進んで、▲居飛車vs△中飛車の対抗形に落ち着いた。玉形は似ていてお互いに軽い囲い。
伊藤のほうから早繰り銀で積極的に攻め、その銀をあっさり捨てて、代償に相手の桂を取りながら飛車を成り込んだ。
これは伊藤が指しやすいのかなと思ったが、飯塚「形勢は互角」

まだ中盤が続く。上田が角を切って中央から殺到する筋を狙っていたのだが、その狙いを阻止する手が伊藤に出た。
手駒を使い手堅く受ける手だった。飯塚「あ、それはいい手ですね。伊藤の受けが光っている。上田は困ったかも」

ここではっきり差がついた。伊藤の抑え込みが大成功。飯塚「困ったんじゃないですか、上田さん」
上田は歩切れで、いつの間に歩も損してしまったのだろう。
カンナ「上田は逆転の名手で、投了するまで油断できない怖い相手」
うーむ、そうは言うが、雰囲気的に、もう差が開いていくだけのような・・・。上田は駒損も広がっていく。

飯塚「伊藤が着実に押し込んでますね。伊藤の完璧な指し回しです」
伊藤は実に安定していて、心配することなく見ていることができた。
97手で伊藤の快勝に終わった。

飯塚「伊藤が速攻で銀を出て、成った飛車を引いて、手厚く指した。上田としては技を封じられて残念だった。伊藤は強かった。ノーミスだったと思う」

感想戦で上田「角筋を止められてダメになったと思った」
上田は早い段階で持ち駒の銀を陣形整備に投入して、銀多伝の形を作って手厚く指すべきだったということだった。
本譜は中盤で上田の駒がバラバラになってしまった印象だった。

局後のインタビュー 
伊藤「中盤くらいからだんだんと形勢を良くできて押し切れた」

伊藤が力の差を見せつけて快勝。伊藤の受けの棋風がよく出ていた内容で、伊藤の充実ぶりが発揮された一局だった。
来週からベスト8に入る。
激指15を買った。私は激指は14から4年ぶり。期待が高かったのだが。
私のPC環境は Intel core i7-8700 メモリ16GB。約13万5千円のパソコン。

ユーザーインターフェースは激指14と全く同じといってもいい。どこも変えてないんじゃないか。
検討モードの思考時間を表示するようにしてほしかった。

私はパッケージ版で買ったため、駒落ち対局で落ちるというバグがあったのだが、以下からパッチを当てることにより解決した。
https://book.mynavi.jp/shogi/products/detail/id=104376

駒落ち対局はある程度人間に有利になると、ソフト側は投了してしまうように設定されているようだ。
点数にして5000点くらいか。ソフトが最後まで指す設定が欲しかった。水平線効果を防止するための処置だろう。もう仕方ないのか?
2枚落ちでソフト側上手が、穴熊に組むという最悪な序盤をしてくることがあることが判明。だめだー。

検討モード。まず初期局面を激指15に30分間読ませてみた。(定跡なし、候補手4手)
▲2六歩(19) ▲7八金(19) ▲3八銀(15)と出た。読みの深さはpro+11。
候補手が4手なのに3手しか表示されない。激指シリーズはときどきこうなる。
▲7六歩が候補にあがらない。

下図は升田幸三賞を取った藤井聡太の△7七同飛成の一手前の局面。激指15の検討モードで30分間考えさせた。(候補手4手)
しかし△7七同飛成が候補にあがることはなかった。読みの深さはpro+3までしか深くならなかった。
この局面から読ませたら△7七同飛成は将棋神やねうら王の5つのソフトはすべてすぐ候補にあげてくる。
フリーソフトのGikou2とApery̠wcsc28でもすぐ△7七同飛成を第一候補にあげる。なんで激指15は読めないんだ。
そして30分もかけて読みの深さがpro+3までという・・・。正直がっかりした。

私は激指は検討モードしかほぼ使わないので、その進化に期待したのだが、どう14から進化したのがまだよくわからない。
正直、15は私の期待には答えてくれてない。まあこれからも使うけどね。将棋神やねうら王も併用しなくてはいけないようだ。

https://www.nhk.or.jp/audio/html_fm/fm2019022.html

先崎さんの名著「うつ病九段」がラジオドラマになっています。
来週の月曜正午までネット配信されています。丁寧に作られたいい出来で私は面白かったです。ぜひ聞きましょう。
霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
1回戦 第7局 藤井奈々女流1級 vs 渡部 愛女流王位
対局日:2019/4/16
解説:三枚堂達也六段
聞き手:谷口由紀女流二段

対局日が3か月前・・・(^^; 放送日とかけ離れてしまっている。もうしょうがないのか。

藤井奈々は通算11勝15敗。渡部愛(わたなべまな)は88勝54敗。
解説の三枚堂「藤井は中終盤に力を発揮する振り飛車党。渡部は作戦を練るのがうまい本格居飛車党」

事前のインタビュー(要約)
藤井「早指しの中でどのように指すか。予選を抜けられたのがうれしい。攻めを意識してがんばる」
渡部「藤井は鋭い攻め将棋。みなさまに注目していただけるような将棋を指したい」

先手藤井で、▲5筋位取り中飛車vs△居飛車の早繰り銀で対抗形となった。
聞き手の谷口「渡部が居ると場が明るくなる。藤井は京都弁ではんなりしている」

序盤、藤井は渡部の居飛車穴熊を警戒して、居玉のまま右側の戦闘態勢を整えた。
渡部は居飛穴をあきらめ、急戦の早繰り銀へ。藤井玉も美濃に収まり、急戦調の力戦に進んだ。

藤井が渡部の早繰り銀を押し返そうと6筋の歩を突いていく。渡部は△7三桂と活用し、いったん6五の地点を受けた。
すると何を思ったか、藤井はそれでも▲6五歩!
三枚堂「うわー、こんな手があるんですか」

6筋で決戦となった。藤井は9筋に角を飛び出す「幽霊角」に期待をかけたようだ。
そこで渡部が△8六歩と突いたので、8筋の突破を狙った手かと思われたが、違った。
次の渡部の一手は△8五飛! 8五の歩が邪魔だったから△8六歩と突いたのだった。
これが実にうまい手だった。よくこんな組み合わせが見えたものだ。飛車の飛び出しが実に気持ちいい。
三枚堂「藤井の機敏な仕掛けでしたけど、渡部が鋭く対応して、少し上回った」

中盤から終盤になっていったが、渡部がリードしている。
三枚堂「形勢は少し渡部がいい、しかしまだまだ先は長い」
とは言ってみたものの、藤井は銀損で駒損。そして▲角2枚vs△飛車2枚の戦いになっている。
三枚堂「藤井はうまく粘りたいですけど、2枚竜は強力ですねー」

どうにもこうにも手がない藤井。と金を作って手数をかけて相手陣に迫ってみたが、ただ駒損が少し回復しただけ。
自陣の美濃は崩壊してしまった。あとは渡部の的確な寄せの前に屈した。64手の短手数で渡部の圧勝。
ええー 64手かー。

三枚堂「藤井が積極的に攻めて、機敏な仕掛けにも見えたが渡部の対応が非常にうまかった。渡部の会心譜」

感想戦で藤井「中飛車版の藤井システムをやりたかったができなかった。△8五飛とされては仕掛けは失敗だなと思ってました」

あの△8六歩~△8五飛で技が決まり、もう取り返しがつかなかったね。
そもそも藤井が▲6五歩と攻めていったのが敗着となってしまった格好だ。もっとじっくり駒組みを進めていれば・・・。

渡部にしてみればこれくらいの出来は普通かもしれない。
最後の寄せも鮮やかだった。本局では渡部が格下を寄せ付けず圧倒という表現が合っていると思う。

局後のインタビュー
渡部「序盤から早い動きを見せられて、妥協した順だった。2回戦の山口女流は攻め将棋。内容のいい将棋を指したい」

来週は上田初美女流四段 vs 伊藤沙恵女流三段。1回戦最後の対局となる。
霧島酒造杯 女流王将戦 本戦トーナメント
1回戦 第6局 山口恵梨子女流二段 vs 北尾まどか女流二段
対局日:2019年4月9日
解説:北島忠雄七段
聞き手:山田久美女流四段

山口えりりんと北尾まどかの対決。どちらも有名だが、将棋を指しているのを見るのは私は初めてかもしれない。
この女流棋士たちの実力はどんなものなのか。楽しみな一戦。

山口は通算97勝95敗。解説の北島「山口は明るくて聡明。周囲を笑顔にする」
北尾は通算97勝134敗。北島「会社の経営者としての顔も持っている。エネルギーがすごい」

事前のインタビュー
山口「女流王将戦は持ち時間が短いので、その時の自分の調子がわかる。北尾さんとは最近当たってないので未知の領域」
北尾「本戦入りは今回初めてで楽しみ。山口さんは普段はとてもかわいいが将棋はパワフル」

先手山口で、ゴキゲン中飛車。北尾が居飛車で、相穴熊となった。双方4枚で囲い、ガチガチだ。
駒組みを40分もやっていた・・・orz 相穴熊の序盤を40分観るのはキツイ。

歩がぶつかり中盤へ。北島「ここは振り飛車の腕の見せ所」
北尾、うまくさばけるか? 双方、順当な手が続く。北島「形勢は互角、2人ともうまく指している。いい勝負です」

山口が攻めていく展開で、鋭い銀の踏み込みを見せた。これには北島も称賛。北島「あ、そういう攻め方ですか~ なるほど、山口流でしたね!」
うむ、なかなか魅せる。しかし疑問手も指す山口。
北島「今の山口の手は、うっかりすると一手パスになる手。手の流れがどうだったか。強気で攻めていたのに受けに回ってしまった」
北尾が調子に乗って攻めてくる。北尾が快調。山口、攻めが切れそう。穴熊の姿焼きになりそう。
山口の飛車も角も遊んでいるからだ。
北尾が着実にポイントを稼いで、これは北尾の勝ちムードが盤上に漂った。
しかし! 山口が遊んでいた角を活用(8八の角を▲9七角)。もうそれしかないという勝負手だった。山口が強引に攻めたところ、北尾が受けでミスをしてしまう。北尾はわざわざ守りの金が玉から離れていく順を選んでしまった。なぜだー。受けきりまであとちょっとだったのに。

山口がついに後手陣を突破。北島「でも簡単に決まるということでもないですね」
ここからまだ長いか? 難しい終盤だ。ところが、北尾、またも受け間違い! この2回目のミスは痛恨だった。はっきり悪手。
山口に次の一手のような両取りをかけられてしまった。
北島「これはきれいな技ですねー。飛車と馬の両取りですもんね。実戦でこんな攻めが決まるとは」
ぐああー、北尾、モロに金一枚、丸損。そしてそうなってしまうと負の連鎖が止まらない。
あっというまにどんどん駒損が拡大。

山口の穴熊まだまだ鉄壁。王手が全くかからない。北尾の穴熊はもう跡形もなく崩壊した。
詰まされるまで指して北尾は投了した。127手で山口の勝利。最後は大差がついたが、内容的には辛勝だった。

北島「北尾の受け間違いが悔やまれる。山口はいい辛抱を重ねた。中盤では北尾が良くなっていたと思うが山口が崩れずにがんばった」

局後のインタビュー
山口「序盤でちょっと攻め方を失敗したが、▲9七角と使えてからはうまくさばけた。しかし課題が残った一局」

これは好勝負だった。山口としてはかなり気持ちいい勝ち方。一時は抑え込まれ模様で完封負けもあると思われたが、遊んでいた飛車と角が結果的に大活躍したのだから、うれしい勝利だろう。たしかに課題は残ったが。
北尾は残念だが、力は発揮したのでもうしょうがない。
もっとレベルが低いのかと心配していたが、どうしてどうして、なかなかの内容で私としては充分面白かった。
北島さんの解説は今回はとても的確と思えたし、山田さんの聞き手も安定感抜群で、楽しめた。

両者の実力が知れたので収穫だった。あの電王戦で現役プロ(佐藤慎一)が初めて負けたとき泣いていたえりりん。
将棋もけっこう強い。これからも聞き手としてどんどん出てほしい。
北尾さんも私はとても尊敬している。北尾さんなくして、どうぶつしょうぎとカロリーナ女流は誕生しなかった。

来週は渡部 愛女流王位 vs 藤井奈々女流1級。渡部は注目だし藤井奈々というのも、もうここでしか見れないというぐらいの人なんで楽しみだ。
将棋「観る将になれるかな」会議
著者 高野秀行(プロ六段) 岡部敬史(ライター) さくらはな。(漫画家)
扶桑社新書 2019年7月1日 初版第1刷発行 920円+税
評価 A  コンセプト<観る将のススメ>

前作、将棋「初段になれるかな」会議の続編。
飲み会でのトークが出発点のこのシリーズ、やはり第2作はこうなったかという感じ。
もう、上達は他の本にまかせればいいよね(笑) 上達するより観る将となり、雑学を学ぼうというコンセプト。

本から出ている雰囲気がいい。著者の3名が楽しんでいる様子が伝わってきて、こっちまで楽しくなる。
わいわいと本を作る、こういう形式の将棋本があってもいいよね。評価は甘めだがAとした。

誤字が二か所。
P73 4四に打った角で  ・・・盤上の角を動かしたので、「打つ」は間違い。
P106 電脳戦  ・・・ 「電王戦」が正しい。