また将棋を観るのが、つらくなってしまった・・・orz
なんか、やる気がある時期と、ないのと、交互に繰り返すようになってしまった。
11月7日に折田アマが銀河戦に出て来る。それまで将棋を休みます。
なんかネタがあればブログに書くんだけど、たぶんないと思う・・・。

先月から、スカパーで音楽専門チャンネルに加入してた。楽しかった。気に入った曲は録音した。
でももう解約する。同じ曲ばっかり流してるんだもん。
米津玄師のLemon、どんだけ流れるんだよ(笑)  ♪あの日の悲しみさえ~
10月22日に書いた、ムリヤリ早石田の▲7七飛戦法。
それを封じる方法を、見つけました。将棋神やねうら王のtanuki-2018が見つけた、そのままです。
私はただ検討モードに表示された候補手をまとめただけ(笑)
居飛車側の対策は理にかなっており、これでもう▲7七飛型は奇襲扱いという結論を私は得ました。

先手:ムリヤリ早石田
後手:居飛車

▲7六歩 △8四歩 ▲7八飛 △8五歩 ▲7七飛
*この手が▲7七飛戦法の骨子。しかしtanuki-はここですでに-450ほどの評価で後手有利と判断している。この後、どうやって後手が有利を保つのか見てみよう。
△8六歩
*これで、一歩交換しておくのがいいとtanuki-の判断。
▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8二飛
*飛車は深く引いておく。
▲7八金 △4二玉
*落ち着いて玉の整備。
▲7五歩
*先手はこう来るはず。
△3二玉
*これで後手玉は安泰だ。
▲7六飛 △4二銀
*後手の狙いや如何に。
▲3八銀
*先手の陣形の整備。
△5四歩
*後手の作戦が見えてきた。
▲9六歩
*▲9七角の準備。
△5三銀 ▲4八玉 △3一角
*後手の狙いは、引き角だった。これで7五の歩を狙うのだ。
▲6六歩
*▲7七桂~▲6五歩で、後手の銀を追い返そうという意味。
△7二銀
*後手には色々候補手があるが、この棒銀がわかりやすい。
▲7七桂 △8三銀 ▲9七角 △8四銀
*この銀がすごいプレッシャー。△8四銀、△6四銀、△3一角で▲7五歩を狙うのだ。ここではすでに-500点ほど差がついており、後手が有利だ。
▲6五歩 △9四歩
*端から攻める権利も後手が持っている。
▲3九玉
*以下は一例として見て欲しい。
△5二金右 ▲2八玉 △1四歩 ▲1六歩
*評価値は-560ほど後手が有利。
△9五歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲7四歩 △同 歩
*ここで▲5三角成△同角▲9五香△同香▲7四飛は、7一に後手の角が利いていて飛車が成れない。▲7四飛以下△7六歩▲同飛△7五香で後手が良い。
▲同 飛 △7三歩 ▲7六飛 △8六歩
*評価値は-700まで行っている。後手有利は明らか。後手は機を見て△4四銀(△6二銀)で角を使おう。
*この引き角+棒銀さえ知っていれば、もう▲7七飛戦法は怖くない!
▲同 歩 △9六銀 ▲8八角 △8七歩
*後手優勢。
まで48手で中断
レートを勝ちとろう ~プロゴルファー猿「夢を勝ちとろう」の替え歌~

元の歌 https://www.youtube.com/watch?v=HP36KI86SAU

わいは二段や!24の二段や!

みなが集まる ネット将棋で
狙うは三段の レーティング
本で覚えた 定跡と
場数で鍛えた 大局観
命をかけた この一手
握るマウスよ 火と燃えよ

指せ! 早く 駒音高く
指せ! 早く 駒音高く
攻め倒し 嵐を呼んで
レート レート レート
レートを勝ちとろう

稲妻 光る この盤上で
狙うは あの玉 あの囲い
延々続く ねじりあい
形勢不明の 終盤に
勝負をかけた この一手
輝く駒よ 星となれ

指せ! 早く 強く 巧く(うまく)
指せ! 早く 強く 巧く
飛車を切り 詰みに討ち取り
夢を 夢を 夢を
夢を勝ちとろう

指せ! 早く 駒音高く
指せ! 早く 駒音高く
凌ぎ切り 嵐を呼んで
レート レート レート
レートを勝ちとろう
攻めて楽しい 痛快!先手中飛車 (2018年2月号将棋世界付録)
西田拓也四段著 Kindle版 110円
評価 A 難度 ★★~ (わかりやすい解説なので低級者でもチャレンジしよう)

次の一手39問。
先手中飛車に対して、居飛車側に持久戦で来られたときの指し方を書いている。
居飛穴or左美濃or角道突かずで対抗されたときに、どう指すか。
居飛車側が急戦で攻めて来た場合は何も触れられてないので注意。

他の中飛車本で定跡を学んで、この本で理解しているかどうかチェックするといい。
この本のとおりに攻めが決まれば痛快だ。

難度を低めに評価したが、一手の形の違いを見抜くことが要求される。
私は半分くらいしか正解できなかった。でも解説を読んで納得。安いので中飛車党は読み得。
あぴまる流将棋奇襲シリーズ①~今日から使える台パン戦法~①アヒル戦法②▲7七飛戦法
アヒル戦法の章 いはてん著  ▲7七飛戦法の章 しめりけ著 Kindle版 500円  
2018年11月出版 全171ページ 評価 A 
難度 アヒル戦法の章 ★☆~(とてもわかりやすい)  ▲7七飛戦法の章 ★★★★~(そうとう深くまで研究が及んでいる)

アマチュア2人が書いた電子書籍。
台パンとは、台をパンチするの略。ゲームをやっていて、相手のクソなやり方に負けて、ブチ切れ、思わず台をぶっ叩いてしまう、というときに使う(笑) 将棋で言えば、盤をひっくり返す、というところ。

次の一手形式で進んでいく。
アヒル戦法の章は、実にわかりやすく解説されている。初級者でも使えると思う。
アヒルをまじめに解説した本なんて、この本以外、見たことがない。よくぞ取り上げてくれたものだ。
この戦法でしか味わえない独特の世界観に、私は読んでいて、実に楽しかった。ワクワクした。
将棋ウォーズの短い時間の切れ負けに向いているだろう。

さて、問題は▲7七飛戦法の章。5手目に▲7七飛として、ムリヤリ早石田に組もうとしてくる。これがどうも成立しているようなのだ。
本書は深くまで手を進めて解説している。難度もそうとうなもので、私は次の一手に正解するどころか、ついていくのがやっとだった。
深くまで詳しく解説しすぎてるような・・・。

居飛車党の私の個人的な感想だが、早石田は居飛車の天敵だ。▲7六飛型に組まれたら、もう居飛車は苦戦必至。先手は一手損しているが、早石田で手損はほとんど響かないと思う。▲8六飛とぶつけてくる筋がある。△8五歩は▲8五桂ポンで狙われる。そして乱戦になると居飛車側の△8四歩~△8五歩の2手が無意味に終わることが多い。

以下は▲7七飛戦法vs▲7六飛型にさせまいとがんばる△居飛車、の図式の手順だ。
本書を参考に、私が激指15で研究した結果をまとめたので、参考にしてほしい。
Kifu for Windowsに張り付けてどうぞ。

先手:ムリヤリ早石田
後手:居飛車

▲7六歩
*初手は▲7六歩と▲7八飛の2通りある。▲7八飛は、▲7六歩を突く前に▲6八銀とする可能性を含みにしている。
△8四歩
*後手は飛車先を突いてくる。それが石田流封じになっている、というのが後手の主張。
▲7八飛
*しかし先手は石田流を目指すのだ。
△8五歩
*こう突かれたら、▲7七角しかないというのが従来の考えだった。
▲7七飛
*しかし、こんな手がある!? 最初に指した人、すげええー!
*後手はここで△8六歩も考えられるが、うまくいかない。一歩交換しても大したことがない。一手損するのが大きい。△8六歩はおススメできない。
△3四歩
*後手としては、こちらのほうがおススメ。
▲7八金
*先に▲7五歩も考えられる。しかし金上がりが手堅い。
*ここで後手がすぐに△7七角成は▲同桂と取られる。次になんでも▲6五桂があり、後手が早くも困る。
*▲7八金△7七角成▲同桂△2二銀▲6五桂で5三の地点と2二の銀は同時には受からない。
△4二玉
*いったん待って玉上がりが本手。
▲7五歩
*これで、次に▲7六飛と安定されると、実戦的にはすでに先手が作戦勝ちと思う。それは私の感覚的なもので、ソフトにはわからないだろう。▲7六飛型を作られては、居飛車が苦戦必至なのだ。
△7七角成
*▲7六飛型を防ぐには、もうこのタイミングしかない。△8六歩からの歩交換は効果なしと覚えておこう。あとから▲7六飛~▲8六飛のぶつけを狙われるだけだ。
▲同 桂
*これを▲同角と取ってくれたら△3三桂で受かる。難敵は▲同桂のほう。次に何でも▲6五桂と跳ねてくるのだ。△4四歩と軽く受けようとすると、▲8五桂△同飛▲7六角であっという間に先手有利。恐ろしい。
△3三桂
*ここでは後手に候補手が多い。以下は一例。先手はガンガン攻めてくる。なんてやっかいなんだ!!
▲7四歩
*こんな攻めをしてくる。以下△6二銀▲7三歩成△同銀▲6五桂△6四銀▲5三桂成△同銀▲5五角打の猛攻がある。
△同 歩
*もう少しだけ進めてみる。
▲6五桂
*次に▲5三桂成で、後手の3三の桂を狙っている。激指15は-131(Pro+7の深さ)とほんのわずか後手に振れてるが、実戦的に完全に互角。居飛車側はどうすりゃいいんだ・・・。
△3二銀
*普通の受け。
▲4六角
*狙い筋の角打ち。
△7二金
*普通の受け。まだ手数は18手なのに、盤上は大変なことになってる。すごい濃密な18手。
▲5五角左
*ここでは-194(Pro+7)でまだ互角だが、こんな先手の攻め、後手の居飛車側を持って、受けきる自信があるだろうか。たしかに▲7六飛型は防いだ。しかしこの展開では後手まったく自信がない・・・。すくなくとも、後手は激指15の検討モードのおススメどおりに指してきたのに、この結果。▲7七飛戦法、なんて恐ろしいんだ!
まで19手で中断
将棋戦法事典100+
マイナビムック 将棋世界Special 1600円+税 2019年10月1日初版第1刷発行
将棋世界編集部編 全223ページ
評価 A 難度 ★★~ (符号で指し手がどんどん進み、理解が難しいときもある) 
コンセプト<戦法を、その戦法の狙いとともに100個以上紹介>

本書の正式名称は、「将棋戦法事典100+(プラス) 王道 流行 珍戦法 完全網羅!」となっている。
大きさは将棋世界と同じ。将棋世界と比べて30ページ分くらい少ないが、ムック形式ということで厚さも同じくらい。

中身はしっかりした作りの本で、さすが専門誌の将棋世界の編集部が書いただけある。
変な紹介のされかたではないので、安心して読める。
決してその戦法のいいところだけをピックアップした本ではない。
なぜなら、例えば「居飛車穴熊」と「藤井システム」の両方の成功例を紹介しているので、両方の立場の観点で戦法を知ることができる。

私が一番驚いたのは、75位の「ムリヤリ早石田」。初手から▲7六歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7七飛!
これを考えた人、すげーー(^^;
金沢五段が何度か使ったという、初手から▲7六歩△3四歩▲6六角! これも、ド素人のような手。

紹介のされかたでは、トマホークのところで紹介されていた、▲1七桂を「裏跳ね」という表現。これは定着させたらいいんじゃないか。
▲9七桂も含めて、端桂を「裏跳ね」と呼ぶことにするのはどうか。

出版されて間もない、今が旬の本。何年か経ったら、新しい指し方が生まれているだろう。
そうなるとこの本も時代遅れになる可能性が高い。鮮度がある本。
でもよくまとめてくれて、こういう本があると、私にとっては知識が増えてブログが書きやすいので助かる。
私は先手中飛車とゴキゲン中飛車の区別がいまいちついてなかった。
本書を出してくれてありがたかった。税込みで1760円するのが難点だけど、内容はしっかりしている。
巻末に索引があって戦法を調べやすいのは、好ポイント。

「結局のところ、将棋の戦法ってどれだけあるのよ?」という人は、本書で解決だ。
そういう意味では本書はS評価。
さすがに、私には知ってることが多かったのでAに留めた。
将棋を覚えて間もない人がこの本を読むとどうなのか、感想を聞きたい。きっと戦法の多様性に驚くと思う。
それだけ将棋は広く深い。それを再認識できる本。

誤字など
P75 第14図 歩の位置が2五歩じゃなくて2六歩の形のはず。
P188下段 後手が飛車香を持っているが、正しくは持ち駒なし。飛車香落ちの図である。
P193 ×B図は~ A図は~の間違いと思われる。
今すぐ指そう ダイレクト向かい飛車 (将棋世界2015年02月号付録)
大石直嗣六段著 Kindle版 110円
難度 ★★★~ (中級以上向け) 評価 A

角交換四間飛車と比べて、一手得をするために知っておくべきこと、を解説した本。
ダイレクト向かい飛車は、居飛車側から▲6五角(△4五角)で乱戦になる可能性があるのだ。
本書は全39問だが、そのうち30問はその乱戦でどう戦うかを解説している。

なので、ベースは角交換四間飛車なのだ。一手違うだけ。そもそも角交換四間飛車を指す気がないのならば、本書は不要。
まずは角交換四間飛車を指してみて、自分に合うとわかったら、次は本書で一手得する手順を知っておこう。
▲6五角(△4五角)の乱戦を嫌うなら、無難に四間に振ってから、向かい飛車にすればいい。
居飛車側も、別に▲6五角(△4五角)を打たずにスルーしても問題はない。乱戦か収めるか、好みの問題だ。

本書ではダイレクトに向かい飛車に振るわけだが、向かい飛車ばかりがいいとも限らない。
四間に飛車を置いたまま、攻める形もあるのだから。
個人的には、わざわざダイレクト向かい飛車にして、乱戦になるのを好まなくてもいいと思う。
乱戦になるのを繰り返しているより、無難に角交換四間飛車を何回も指したほうが、経験値が溜まりやすいのではないか。

ともあれ、▲6五角(△4五角)問題を詳しく解説した書として、貴重な本となっている。とにかく110円は安い。
こういう、「話が限定的で専門的なんだけど、知っておきたい」という変化を解説するには、この付録形式がピッタリマッチしている。マニアとしてはとてもうれしい。ニッチ(隙間)な需要に応えてくれる、ありがたい本だ。
すぐに指せる!角交換四間飛車 (将棋世界2017年12月号付録)
杉本和陽四段著 Kindle版 110円
難度 ★☆~(初級者の得意戦法としても使える) 評価 S

毎度おなじみ、付録シリーズ(^^; 次の一手が39問。
この本は、振り飛車で、何か手っ取り早く得意戦法を身につけたい人にピッタリ。
居飛車党の有段者で、後手番に悩まされている人にも、思い切ってこの戦法を採用するといいかも。
何しろ、藤井猛九段をはじめとするプロも採用しているのだから。

この戦法の特徴として、自分から攻めて行ける可能性が高い。
そして、何より、居飛穴が怖くない。これはものすごく大きい。
藤井システムを身につけるのは大変な労力がかかる。
その点、この角交換四間飛車なら、あっと言う間に居飛穴封じができちゃう。
角を交換して、ハイ、居飛穴封じ。こりゃー、アホみたいに簡単だ。
この発想を、まさにコロンブスの卵というのだろう。

逆棒銀などがこの戦法の主な狙いだが、それもわかりやすい。囲いはとにかく美濃。
一番簡単な振り飛車は何?と訊かれたら、この角交換四間飛車、と私は答えるだろう。
角道を止めるノーマル振り飛車は、定跡を覚えるのが大変だ。
ノーマル振り飛車は、中盤の戦い方で、知識(定跡)がすごい問われる。そして居飛穴対策と右四間対策が必要。
この角交換四間飛車は、いいことずくめ。特に欠点も見当たらない。
狙いが単純すぎる、と言われるかもしれないが、アマにはこれくらい単純なほうがいい。
対局で間違えて負けても、ソフトで調べて「ここが悪かったのか」という反省がやりやすそう。

欠点を上げるならば、千日手模様になってしまう可能性が高いこと。
しかし後手番で採用すれば、千日手はむしろ歓迎ではないか。

この戦法を激指15で検討させてみた。
(ちなみに初期配置では定跡なしでPro+7の深さで+37)
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩△4二飛の局面。
検討モードで+78という数値だった。(考慮の深さはPro+7)
そこから進めて、▲6八玉△8八角成▲同銀の局面は、+77.(深さはPro+7)
居飛車側に100も振れてない。ソフトの判断としても、充分、行ける!

居飛車党としても、相手の狙いを知って、何か対策を考えておくべき。
個人的には、居飛車側はボナンザ囲いにすれば、だいぶ隙がないように思うが・・・。

とにかく、千日手さえOKと思えば、この戦法は最高の友となるだろう。
もちろん、指す人と戦法の相性もあるのだけど。
この付録本の評価はSとしたが、戦法の評価はS以上である。
まずはこの付録本を読んで、自分に合いそうかどうか、面白いと思うかどうか、試してみよう。
110円は安い!
第28期 銀河戦 本戦Dブロック 1回戦
里見香奈女流五冠 vs 大平武洋六段
2019年9月3日
解説:近藤誠也六段
聞き手:谷口由紀女流二段

前期銀河戦では、1回戦でベテランの脇にねじ伏せられた里見。今期はどうか。

里見、先手をゲットしている。大平はでかい。山のフドウだ。
里見は27歳。2019年度男性棋戦成績8勝6敗。
大平は42歳。2019年度6勝6敗。
解説の近藤「里見は振り飛車党で勢いのある攻め将棋。大平は居飛車党でじっくりとした展開を好む、受け将棋」

大平は前期銀河戦本戦で4人抜きしたということだ。里見にとっては勝ちやすい相手かと最初、私は思っていたが、難敵なのだな。

先手里見で、中飛車に振り、対抗形。里見から角交換して、力戦になった。
大平の作戦は飛車先保留で、5筋の位を取り返すというもの。かなり有力と思える。
里見は美濃、大平は舟囲いで戦機をうかがう。

さあ駒がぶつかってきて中盤、大平が驚きの構想を見せた。打った角をすぐ叩き切り、強引に5筋突破。
大平にとっては角桂交換の駒損。
近藤「大胆な一手が出ましたね。不安な攻め方ではある。里見、ちょっと自信がありそうな手つきでしたね」

これは面白くなった。里見、いけ~。角桂交換は大きいだろう!
ところが、大平の1筋の端攻めが勝負手で、絶好のタイミング。
近藤「どっちが勝ってるか、さっぱりわかりません」
▲横から舟囲いに迫る里見vs△端から美濃囲いに迫る大平。

ここから、延々と終盤のねじりあいが続くことになった。どっちの力が優るか。
大平が、手順に里見の「と金」を抜いて、これは里見にとっては痛い、大平が良くなったかと思われた。
しかし里見、持ち駒の角2枚のうち、1枚を敵陣に打ち、馬にして2手かけて自陣に利かせた。
この構想が良かった。もう角を打った時点で、その後に自陣に利かせることを予定していたんだろう。里見、強い。

まだ大平陣は金銀に囲まれて安泰、と見えたのに、里見は舟囲い崩しの手筋、▲3三香と打ち込む、お手本のような一着を放ち、一気に崩しに成功した。
近藤「里見の切れ味が出ましたね」
あっという間に舟囲いが大破。一方の里見の美濃は、まだ余裕がある。
109手、里見が難しい将棋を勝ち切った。 難局をなんとか制したという印象だった。ふうーー。

近藤「途中、お互い攻める場所が違って、大平の角切りが無理攻めに見えたが、端攻めで面白い攻防が見れた。最終盤は里見のかっこいい寄せが見れた」

里見、底力を発揮しての、堂々の指し回しだった。感想戦によれば、お互いに反省点もあったとのこと。
しかし難しいところで間違えない、里見の本領が出ていた好局だった。
前期4人抜きの大平を相手に、ねじりあいの中終盤を制し、力勝ち。見事。

聞き手の谷口が「里見さんが男性に勝っても驚かなくなりました」と最初のほうに言っていた。
ライバルの西山の通算の対男子戦が2勝7敗ということを考えれば、やはり里見だけが特別に強い存在だ。
里見には決勝トーナメント入りを期待。本局もギリギリの勝利で、ここから厳しいとは思うけど。

また2回戦も楽しみにしよう。2回戦は星野良生四段が相手となっている。
第28期 銀河戦 本戦Cブロック 1回戦
出口若武四段 vs 西山朋佳女王
対局日:2019/9/1
解説:三枚堂達也六段
聞き手:井道千尋女流二段

今期銀河戦、注目の、男子vs女子の対決!
私は一年前から、このときを楽しみにしてた(^^;

ここで銀河戦のルールをおさらい。NHK杯とほぼ同じだが、持ち時間が各15分。これが違う。NHK杯は各10分だから。
そして番組の長さが、1時間38分とちょっと長い。火曜と木曜、週2回放送されている。

パラマス式という独特のトーナメント。順位の下位者が、何連勝もしやすい。一番下から出て来るアマには、勝ち星を稼ぐチャンスの棋戦。瀬川、今泉、折田はいずれもアマとして銀河戦で星を稼いだ。今期は出場枠は、アマ5人、女子2人となっている。
棋譜は囲碁将棋チャンネルのHPに出てる。(終局後、けっこうすぐ更新されていてありがたい)

さて、出口というのは、井上門下の若手とのこと。
出口は24歳、今期8勝7敗。
解説の三枚堂「出口は多彩な戦型を指す。激しい展開が得意。他人が考えないような手を指す。
西山は24歳。現役奨励会三段。対男子プロは2勝6敗。
三枚堂「西山は振り飛車党で、さまざまな形を指して、工夫が見られる。力強いさばきを得意としている」

いよいよ対局開始。先手出口で、居飛車。後手西山のゴキゲン中飛車。
出口は超速▲3七銀だったが、西山が変化。6筋の位を取ったのが目新しい。
西山は5筋と6筋の位を両方取ってるが、どうも位が安定しない。歩をかすめ取られそう。
三枚堂「西山はもうなんか攻めて行くんでしょうけど・・・?これをさばくのが振り飛車党のすごいところ」

うーん、三枚堂は、早くも西山はいったいどうすんだ、という雰囲気。
したらば、西山は角をポーンと中央に出て勝負に行った~!
三枚堂「西山、さすがの才能。尋常な手ではさばけなかったですから。出口は頭を抱えてますね~」
おおお、西山、行けるか! やっちまえ~!

しかし、出口はなんと、あっさり西山の手に乗った。さばき合いに応じた出口。
うわ、これ、どっちがだましたんだ・・・。
三枚堂「少し出口がいいかな」
しかし西山も食い下がる。一手指したほうがよく見えるという、ハイレベルな攻防!
きたきたー、こういうのを観たいのよ。西山、踏ん張れ~。

局面、飛車が2枚ある出口のほうが指しやすそう。西山は勝負手を連発しないと・・・。
三枚堂「出口がうまく指し回して、はっきり優勢になった。ただ勝つまでは長くかかる」
出口、香を攻防に自陣に打った手が、この一局で一番私の印象に残った。(▲2七香)
あー、実戦的ないい手だなー。三枚堂も「香は6筋に使いたかったので、考えつきにくい手」と称賛。

出口は考慮時間の使い方が独特で、考慮時間に入ったとたんに指す、というのを2回もやってた。
残り、▲1回vs△6回まで減った。西山の有利なのは残り時間だけ。
出口、手堅く指し回し、実に実戦的。逆転を許さない見本のようだ。
西山もなんとかがんばっているのだが、いかんせん、出口が強い。

聞き手の井道「もっと早い段階で差を広げられてもおかしくなかったのに、西山はさすが」
だが、現実は非情。出口の実に手厚いとしかいいようがない指し方に、観ていた私のほうが心が折れた(笑)
ぐあーー、こりゃ、完封負けだーー。
西山はがんばって迫る。まだやるかーー。いい根性してるわー。
出口の金2枚の壁、かてぇ。三枚堂「西山の美濃より固いかも」

井道「もっと早い終局になってしまうのかな、と思っていたんですが」
うんうん、西山はよく形を作った。負けだけど。
109手、出口の実戦的な手厚い指し回しの前に、西山は屈した。
出口の快勝だった。

三枚堂「西山が思い切りのいい仕掛けを見せた。それに対し、出口の対応が素晴らしかった。西山が次々と技を繰り出したが、それに対する出口の対応が素晴らしかった」
西山、実力は出してた。それだけに、出口との地力の差がモロに出てた。
やっぱ男子の若手は強い! 女子と対戦することで男子のレベルの高さがわかる、これも一つの醍醐味だ。

▲2七香の自陣香について、出口「かなり不安だった」とのこと。
西山「ここで何か(自分から攻めが)ないとダメだった」

序盤の作戦について、出口「6筋の位を取られたのは初めてだった」とのこと。
それにしてはうまく対応したなー。実に強い。定跡から離れただけに、地力が問われたが、出口は見事に指し回していた。

西山は女流を相手に圧倒的な勝ち方をしている女子なのだが、男子プロにかかっては、やはり通用しなかったか。
厳密には、もう序盤の作戦のところまで戻ってやり直さないと、勝ち目がなさそう。
初手からやり直し!と言われてるみたいで、悲しい(^^;

一局を通して、西山に勝ち味はなかったとは言える。しかし双方が持ち味を発揮し、かなり見ごたえはあった一局で、充分楽しめた。
女子にとって、男子プロの壁は高い。でもなんとか挑み続けてほしいものだ。
次回は木曜で、里見が登場! 里見vs大平。ワクワクだ。里見が勝たないかなあー。
二枚落ち新定跡 居玉突貫棒銀 (将棋世界2017年4月号の付録)
泉正樹八段著 Kindle版 108円
難度 ★★★~ 評価 A

二枚落ちで、素人が考えた「居玉棒銀で上手に立ち向かったら、どうなるのか」をプロがシミュレーションしたもの。
これで簡単に上手を崩せるなら、画期的な大発見、となる。

・・・しかし現実はそう甘くなかった(笑) この本を読めば、「けっこう難しい、下手に力が必要」と思えた。
次の一手形式で38問があるが、「とてもじゃないがアマ初段付近では正解は無理」なものがかなりある。求められる解答の手数が長い。この本は何周も解くという前提で書かれている。

「棒銀で攻めを見せておき、場合によってはカニカニ銀で中央突破。そして玉は囲わず、居玉」の戦法となっている。

この戦法でいいところは、上手もマンネリを打破できて、序盤から思考することを要求され、面白く戦えるということ。
上手の悩みとしても、「二枚落ちは下手の戦法が二歩突っ切りと銀多伝ばっかりでつまらない」ということがあるはず。
まだ定跡が完備されていないこの戦法なら、上手と下手、双方が楽しく戦えるだろう。

私が激指15に試してみたところ、戦法としては充分、いけてる。負けるのは私の力不足のせい、という棋譜が数局できあがった。
この戦法は、平手の攻め感覚に近い。そこはいいところ。しかし序盤から失敗が許されない気もする・・・。
下手が居玉でどこまでがんばりきれるのか、未知数。

新定跡を創ろうとする泉八段の心意気は高く評価したい。
駒落ちでの新定跡は、まだまだ眠っていると思う。ソフトを使ってでもいいので、どんどん新しいものを見つけてもらいたい。
ひらけ駒! 
南Q太著 モーニングKC
全8巻 1巻は2011年3月発行、8巻は2013年1月発行
評価 A

将棋を通して、家族愛を描こうとしているマンガ。将棋もメインなんだけど、少女漫画に近いものがある。
派手さが全くない。大冒険でもない。でも面白いのだ。
「なるべく小さな幸せと、なるべく小さな不幸せ、なるべくいっぱい集めよう」がコンセプト。

主人公の小学生、宝くんはかわいい。ママも美人。母一人子一人。ママがどんな仕事をしているのか、最後まで謎(笑)
小さなエピソードの数々が静かに読者の心に触れる、名作。

でもこのマンガ、問題がある。以下、ネタバレ。(知りたくない人は読まないで)







それは、最後が唐突に終わってしまっているのだ。
事情は知らないが、内容から見て、連載が打ち切りにされた可能性が高い。
ドラゴンボールで例えると、悟空がナメック星に旅立った、ところで終わっている。
そんなアホな~、フリーザとの戦いは? ここからどうなんの~、と誰もが思うはずだ。
途中で終わるなら、それなりに終わり方というものがあるはずなのだけど・・・。
・・・人気が出なかったのかなあ。アンケート主義の週刊少年ジャンプだったら、まずありえない類のマンガだった。
モーニングで連載はされたが、最後はジャンプなみの打ち切りか(^^;

去年に、「ひらけ駒!return」というのが新たに始まって、今月2巻目が発売されるそうだ。
しかし「return」はなんと、宝くんが将棋を始めたばかりの頃に時間は巻き戻り、という設定。
続きを描いてくれるんじゃないのか。ええええーー。
パラレルワールドを描くって、なんでそんなややこしいことをするのか、と思ってしまっていて、私はまだreturnは読んでません。
将棋ゲームブック 棒銀大作戦 
青野照市著 Kindle価格440円 創元社 1987年第1刷発行 全190ページ
難度★★★~ (歯ごたえある問題が多い)
評価 S  コンセプト<指しこなす形式で、自分がどれだけ相居飛車の棒銀を理解しているか試してみよう>

この本は掘り出し物。
「将棋ゲームブック」とあるが、要するに「指しこなす本」の原型。
原始棒銀、角換わり棒銀、早繰り銀、この3つは30年前の形でも、ほぼ古くなってない。
30年前の知識が今でもそのまま通用すると思う。これは個人的にはうれしいことだ。
だって、今から30年後もまだこの本の内容が通用する可能性が高いよ。

1問につき、最善手が10点、次善手が8点。
たまにボーナス問題として20点くれる。原始棒銀29問、角換わり棒銀、28問、早繰り銀28問。
900点満点で、私は677点だった。
評価は「1~2級クラス。初段までもう一歩のところ。将棋の考え方をよく学ぼう」という結果が得られた。あー、初段に届かなかったか。

この本、レイアウトもいいし、構成がとてもうまい。指しこなす形式で、前問から続いている局面の出題なので、局面が把握しやすい。問題を出す箇所がGood。ヒントの具合も絶妙。
そして、そこ、もしこう指されたらどうするの?という私の疑問に、ほぼ完全に答えてくれていた。
原始棒銀の受け方が学べるのも、とてもいい。
正直、ここまでの質の解説を創元社の本で実現しているのはめずらしいのではないか。
青野先生は偉大である。

これが440円、安い! 3局、プロに指導を受けて、指した気分になる。
プロの指導対局が、3局で、たった440円! お財布に優しい!  

私は紙の中古本を買った。その時は送料込みで750円くらいだった。
しかし今、Amazonで紙の中古本は7000円くらいもしている。
ぜひKindle版をおすすめする。

「この本と同じ局面にはならないよ」と言う人もいるかもしれない。
でもこの本は骨格として役立ってくれるだろう。
その戦法の骨格(基礎の知識)を持ってる人というのは、悪い手を指しにくいものなのだ。

中・終盤で妥協を許さぬ問題が次々に出題される。プロと同じ手じゃないと正解がもらえない。
「将棋ゲームブック・棒銀大作戦」というタイトルからは想像がつかないような本格的な内容。
24の低級者にはちょっと厳しいかな?

でも、普通の定跡本を読んでも、定跡ってなかなか身に付きづらいので、もうこの本にいきなりチャレンジするのもいい。
まさに私が求めていた本。この本にもっと早く出会いたかった。

紙版 第1刷 誤字など
× P75 飛車が2八
× P96 参考図 後手の飛車が3二にいるはず
× P108 先手陣に攻めがなくなる 〇 後手陣に攻めがなくなる
× P118 △6八成桂 〇 △6八成銀
将棋・序盤完全ガイド 相振り飛車編  マイナビ将棋BOOKS 
上野裕和著 2017年6月30日初版第1刷発行 1540円+税
評価 S 難度 ★☆~ コンセプト<相振りの序盤をざっくりと理解しよう>

「振り飛車編」、そして「相居飛車編」に続く3巻目。
今回もまた、期待に違わぬ分かりやすさ。上野先生の文章力には、本当に感心しきりです。
私はガチガチの居飛車党で、相振りド素人だったのですが、とても楽しく読めました。

将棋の本=難しい、という既成概念を、見事に崩しています。
解説文と図が同じページにある。重要な駒の利きに矢印が書いてある。
そういうレイアウトも万全です。

このシリーズ本はガイドブックで、具体的に勝つための定跡本や手筋本とは、おもむきが違いますね。
普通の定跡本を町内の地図だとすると、本書は日本地図や世界地図みたいなものです。

6つあった、コラムも面白かった。特に最後の6つめ、「自分は収まるところに収まった」という話。

2年以上前に発売された本書、もっと早く読んでおけばよかった。私は今頃読んでいる。反省です。
相振りが何パーセント指されているかものグラフも貴重な資料ですね。
男子プロ間ではあまり指されない相振り編を出してくれたのは、上野先生のファンサービスと言ってもいいでしょう。(参考文献はなんと37冊) 感謝、感謝です。

振り飛車党どうしでは、初手から▲7六歩△3四歩に、▲9六歩が有力とは・・・。
人間どうしの駆け引き、まさに奥が深い。面白い。

上野先生、また何かの形の著作を期待してます。ガイドシリーズ全3巻、最高の仕事をしてくれてありがとうございました!
第28期 銀河戦 本戦Bブロック 1回戦
折田翔吾アマ vs 村田智弘六段
対局日:2019/8/30
解説:阿部光瑠六段
聞き手:真田彩子女流二段

今月から、新たな銀河戦が開幕した。私の注目は、折田アマ、西山奨励会三段、里見女流、藤井聡太七段、先崎九段というところ。

折田アマは、前期決勝トーナメント進出で今期は予選から特別出場。予選で脇と福崎に勝ったということだ。
本局に勝てば、プロ編入試験を受けることができる。
折田アマの対プロ公式戦の成績は、ここまで9-3。

さて本局、先手は折田で、相掛かり。
村田が銀を素早く前線に送り、攻め込もうとした。そこを、折田が中段飛車でうまい切り返しをみせて受け、折田が優位にたった。

終盤、双方に手が広くて、紛れそうになったのだが、折田は一手違いを読み切り、勝ち切った。
71手。折田の快勝といえる内容だった。

解説の阿部光瑠「序盤から折田がのびのび指した。村田も終盤で本領を発揮した。しかしリードしていた折田がギリギリ勝ち切った」

局後のインタビュー
折田「本局は気負わず臨みたかった。弱気な手は指さずに前に出た。中終盤でミスをしたので、まだ力が足りない。試験では注目していただけるので、良い戦いをしたい」

序盤の村田の作戦、△8四飛+△8三銀の形、飛車の後ろから銀が出ていく形、これは名前は何ていうのだろうか。
鎖鎌銀(くさりがまぎん)の一種なのだが。この作戦を折田さんが見事にとがめて見せた。

本局は、各種報道で、事前に結果はバレバレだったね(笑)
もう、ふつーに強かった折田さん。
でも試験の相手は若手5人ということで、気が抜けない。
ぜひ試験に受かって、プロとして楽しいYou Tube動画を放送してほしい。
どんどん力がつく こども将棋 強くなる指し方入門 
1995年発行 池田書店  監修 中原誠 当時の定価は930円+税
評価 S 難度 ★~ コンセプト<駒の動かし方を覚えた次に読む本>

ある将棋ブログでおススメされていた本。Amazonでの評価も、すごくよかった。
私は初心者に対しての教え方というのにも興味あるので、買ってみた。
この本を新品で入手することは難しい。Amazonのマーケットプレスで、中古を買うといいだろう。幸い、安く出回っている。

将棋の駒の動かし方を書いた本は多数あり、どの本を読んでもそれほど差はないだろう。
しかし、その次に読むべき本というのが、なかなかなかった。
本書はその役目を見事に果たしている。
次の一手形式で、読者に考えさせる手法がピッタリとハマっている。これなら、初心者が強くなれるだろう。

序、中、終盤に分け、取り上げられている問題のバランスがとてもいい。
長い詰み手順も紹介されているのだが、それもまた将棋というゲームの一面なので、それでいい。

子どもに将棋を教えたい親は、姉妹本である「どんどん強くなる やさしいこども将棋入門」、そしてこの本を買ってあげるといい。
本書は24年も前の本だが、内容は古くなってない。フリガナも振ってあるので安心だ。
加えて、初心者向けの詰将棋本をセットで買って学ぶといいだろう。
今回は、私は将棋の指導者に対して、一つ言わせてほしい。
それは、「矢倉囲いを初心者に勧めるのはやめてくれ」ということです。
矢倉はあまりにも手数がかかりすぎる。調べたらわかりますが、居飛穴や振り穴よりも手数がかかる。
数え方にもよりますが、ざっと手数は、矢倉は13手。居飛穴は12手。振り穴は12手。
13手もかけて囲っている間に、相手は好きなように駒組みしてくるわけです。
矢倉は上部からの攻めに強いと言われますが、左美濃急戦で攻められたら、つぶされる。
その攻め方だけでなく、色々な急戦策が相手にはあるわけで、矢倉側はそれにすべて対応しなければなりません。正直、矢倉戦法というのはドMが採用する作戦だと感じています。

初形から考えて、▲8八玉の位置が悪いということもあります。8八は後手の飛車の利きと角の利きに入ってくるわけですから。
また、角を引いて使うことになりますが、それもまた矢倉戦法を高度にしている原因です。角は居角でそのまま使うほうが簡単に活用できます。
以上のように、将棋を始めたばかりの初心者に、矢倉を勧めるべきではないのです。
カニ囲いを教えて、その発展の一例として矢倉囲いというのもあるよ、という、それくらいの触れ具合でいいのです。

さらに言うと、「矢倉」と「棒銀」を同時に初心者に教えるのは本当にやめていただきたい。
矢倉は持久戦を目指す戦法で、棒銀は急戦の戦法です。作戦として方針が違うんです。
上級者は矢倉で棒銀も指しますが、それは全体のバランスを取りつつ指すからできる高度な芸当なんです。
「囲いは矢倉」で「攻めは棒銀」 ・・・持久戦なのか急戦なのか、矛盾した作戦で、初心者には最悪の組み合わせだと思います。
「カニ囲い」+「棒銀」、または「舟囲い」+「棒銀」、こっちのほうを教えるべきです。
初心者が矢倉に組んでつぶされるなら、居玉のまま棒銀で攻めたほうがマシだ私は思います。

初心者に矢倉を勧めている例として、囲碁将棋チャンネルでやっていた、遠山プロの講座。藤田女流の講座。
マンガでは「ひらけ駒!」で、駒の動かし方もあやうい初心者であるママが、矢倉囲いを覚えようとしていた。
ジャンプの「ものの歩」の主人公も「矢倉」を中心に戦う戦術を取った。終盤が得意なら、もっとすぐ激しくなる作戦を選べばいいのに。序盤が長い矢倉を採用したら作戦負けになるのに。

矢倉囲いが有名だから、という理由だけで、指導者は初心者に矢倉を教えている。安直なんですよね。
この風潮は変えていかねばならないと思います。 以上、私からの提言でした。
対矢倉 左美濃新型急戦(将棋世界2016年11月号付録)
斎藤慎太郎著 Amazonの電子書籍 Kindle版 将棋世界の付録 122円
評価 A 難度★★★★(けっこう難しい)

次の一手が39問。この本、けっこう難しいです。私はほとんど正解できませんでした。
2周以上、解く必要がありますね。ギリギリの攻め筋を見極める知識と発想が必要となります。
でもチャレンジする価値は十二分にあります。何しろ、うまく攻めれば、一方的に矢倉囲いをボロボロにつぶせるわけですから。そして、ほぼ攻めをつなぐことだけを考えればいい。

評価をAとしていますが、それはこの付録本に対しての評価であり、戦法に対してはSを2つつけたいくらいの評価です。
増田康宏プロをして「矢倉は終わった」といわしめたこの左美濃急戦。まさに革命でした。
元はソフトが指していたものだそうです。残念ながら人間はこの戦法を考え出さなかった。
今もこの戦法のせいで、プロ間で本格的な矢倉は激減しています。

矢倉側としては、何が悪いのか。これは私の見解ですが、それは▲7七銀と▲6六歩、この組み合わせが悪いのでしょう。
▲7七銀は後手の桂が跳ねて当たってくるし、▲6六歩は後手が6筋から攻めやすくなる。だからこの2つの条件が重なると、一気に攻めつぶされる。そういうことだと私は理解しています。
▲7七銀と▲6六歩、このどちらか片方だけなら、矢倉側も受けることができる。プロ間では今でも5手目に▲7七銀型は指される。でも▲7七銀と▲6六歩が2つ合わせて指されることはもうなくなったわけです。(ただし、後手の角道が完全に止まったときは、もう急戦がないので▲7七銀と▲6六歩が合わせて指されることもあるでしょう)

矢倉囲いに組む際は、一方的に攻められるリスクを覚悟し、そして細心の注意が必要になった。そういう時代になりましたね。
やぶれうた ~中島みゆき「わかれうた」の替え歌~

途(みち)に倒れて一二三の名を 呼び続けたことがありますか
一言で言うほど 棒銀は 易しい戦法じゃありません

さばきの気分に味を占めて あなたは飛車を振り美濃にした
私はどうしても 攻めたくて 居飛車の棒銀で舟囲い

さばきは いつも突いてくる
抑え込みの隙を突いてくる
それが私のクセなのか いつも 気が付けば酷い

あなたは定跡 身につけて 藤井猛の 書を 師と仰ぐ 
学ばない私は つれづれに やぶれうた 今夜も口ずさむ 


誰が名付けたか 私には やぶれうた唄いの 影がある
好きでさばかせてる はずもない 他に知らないから 銀を出す

対抗形は いつもいつも 振り飛車のさばきが 美しい
残されて戸惑う 棒銀は 取られるだけの駒 遊び駒

さばきは いつも突いてくる
抑え込みの隙を突いてくる
それが私のクセなのか いつも 空中分解 

あなたは詰将棋を解いて 地道に終盤力を上げる
解く気ない私は つれづれに やぶれうた 今夜も口ずさむ
今、囲碁将棋チャンネルで、女流王将戦をやっています。
しかし私は観ることをあきらめました。
タイトル戦、持ち時間が各3時間って・・・ 長すぎる・・・ 本戦トーナメントでは各25分、切れ40秒だったのに・・・
私の観戦スタイルと全然合わない・・・。

終局しましたが、私は感想なしで(^^; もう第2局、第3局も観ないでしょう。

今月は銀河戦で、折田アマ(10日)、西山さん(15日)、里見さん(17日)が出るので、それの感想を書く予定です。
あと、久しぶりに替え歌を1つ作りましたので、近々、出します。