第17期 銀河戦
本戦Fブロック 最終戦
渡辺 明竜王 vs 阿部 隆八段
対局日:2009年5月14日
解説:丸山忠久九段
聞き手:斎田晴子女流四段
記録:渡辺弥生女流2級

20年度の成績は、阿部21勝16敗 渡辺27勝21敗 2人の対戦成績は渡辺の3-2

解説の丸山「阿部は腰の重い本格的な将棋、渡辺は手がよく見えるきびきびとした攻め将棋」
とのこと  丸山は鮮やかな茶髪だ

先手阿部で、▲角道を開けたままの向かい飛車vs△居飛車になった
序盤、阿部が▲7八金型にして渡辺陣が整わないうちの速攻を狙ったが、
結局お互いに美濃囲いの持久戦に落ち着いた
阿部は渡辺の穴熊を阻止し、自分だけ一歩持ったので、まずまず満足の展開だ

斎田「渡辺竜王は穴熊が好きですよね」
丸山「穴熊はみんな好きですね」
ここは笑った 丸山は穴熊が特に大好きだろう(笑)

丸山「阿部のほうからどうやるか、手作りが難しい」と言っていたが、
阿部は持った一歩を垂れ歩に使い、見事に局面を打開した
そして、飛車先の8筋をモロに突破することに成功だ
ただし、阿部は金銀が左方面に遊び駒になってしまっている

丸山「阿部がうまくやっている気もするが、空を切っている気もする
 部分的に阿部がいいが、形勢はよくわからない局面が続いている
 相手に指させているけど、効いているかはわからない、渡辺の一流の芸」

ここから、驚くべき展開を見せる 
渡辺はなんと、飛車を見捨てて、タダで取らせてしまったではないか!
一時的に、飛車の丸損だ これにはさすがにびっくりした
渡辺陣は金銀4枚の高美濃囲いにはなったが、さすがに飛車のタダ取らせには驚いた

ここから阿部は受けまくって、切らしにかかることになる
渡辺は細い攻めをつなげることができるかどうかだ
阿部が受けの手、美濃の4九の金を▲5八金と上がったとき、バシッ!と駒音をさせたが、
これは気持ちがわかる(^^;  4九の金は急所の位置だもんね

金の両取りの銀を打たれ、渡辺の攻めが続いたかと一瞬思われたが、
阿部は「両取り逃げるべからず」で攻めの香を打って対抗、これが好手だったようだ
渡辺の角打ちも逆用して、竜を自陣に引き成ることに成功した!
丸山「ついに形勢に差が出たのかな これだけ後手玉が固いと、どっかで喰いつかれて
 負けちゃうパターンが多いんですが、ちょっと竜王困りましたかね」

やったあ、阿部、これで完封で全駒状態だ、と思って見ていたのだが、
渡辺は変なところに金を打ち、なぜか手が続いた
まだ続いた渡辺の攻めに、阿部は「え~?」と唸り声をあげ、
自陣を受けつつ攻めあいに持ち込んだ

丸山「形勢は阿部がいいが、間違えたら終わり」と連発していた
丸山といえば、激辛流と言われたこともある棋士だ
逆転する危険をよくわかっているのだろう
しかし本局、阿部は最後まで緩まず、勝ちきった!

局後の総括で、丸山「渡辺が細い攻めをつないだが、阿部が長い時間受け切った、すばらしいです
 阿部は充実しています」とのことだった
この一局、阿部の力勝ちで、会心譜と言えると思う
角道を開けたままの向かい飛車、この作戦の優秀性を見せてもらった
居飛車側はどう対応すべきなのか、対策がわからない 

自分はまた阿部将棋に魅力を感じることになった 
阿部の棋風と、波長が合うのだろう 
見ていて、ああ、自分もこんな風に指せれば、と思うんだよね
決勝トーナメントでも、またこんな将棋を見せてほしい(^^)