PM6時、長沼七段登場、拍手が起きる
お客は最初は20人くらいで、どうなることかと思ったが、最終的には40人くらいまで増えた

長沼「ひさしぶりに解説させてもらいます 山崎さん、2連敗ですけど、一回勝つと大分違いますんで逆転も充分あると思います」

そう言って、さっそく駒を動かし始めた長沼さん
長沼「20年くらい前だったら、矢倉か振り飛車だけだったんですけどね 今は4手目に後手の選択肢がすごくたくさんある、△3二金、△3三角、△5四歩、△9四歩、△4四歩、△8四歩、△4二飛、戦型が多すぎて大変です 羽生さんは何でもやりますからね 僕なんか4手目は2種類ですけど(^^;」

先手山崎で、中座飛車になった
長沼「この中座飛車というのは、内藤流の△3三角と、中原囲いと、△8五飛という3つを組み合わせた戦法なんですね 
その先手の対策として、山崎さんが指した新山崎流がすごく優秀で、後手でやる人が減ったんですよ 
でも今また後手の対策が進んで、やる人が増えてきています」

序盤の定跡を色々と説明する長沼さん 
長沼「色々変化があって、こういう変化を全部知っていないと、先手、後手、どちらも持っても指せません
今日、大盤解説のために調べたんですが、一手進むごとに10局くらい参考棋譜が出てきて、大変でした」

解説を聞いていて、長沼先生、正直、あまりこの戦型に詳しくないですね(^^;
まあ、あまり詳細に説明されても、どうせ自分にはわからないんで、こっちも困りますが(笑)

さて、序盤から羽生が飛車を展開し3五の歩を取り、さらに山崎が飛車をぶつけて飛車交換するという、激しい戦いになった

山崎の▲2三歩の叩きに、羽生が先手の桂の利きに銀を逃げた△3三銀というのもすごい手だ
長沼「△3三銀は私は全く知りませんでした 中座さんは研究会で出た手で、知っていたということですね」
私「羽生さんはどうして知っているんでしょう?」
長沼「羽生さんも研究会をやっているんですね 忙しい人ですけどね」

先手は桂で銀を取れるのだが、桂を渡すと居玉の先手陣は危ないのだった

ここで山崎に△3三銀以上の驚愕の手が出た
なんと、角取りに歩を突いた▲1六歩!
もう放っておいても、羽生のほうから角を切るところだ 
これには長沼さん、何回もびっくりしていた

長沼「これは・・・すごいですね すごすぎますね 後手は金がボロッと取れるけど、先手は玉が左に逃げて、後手の打った銀が遊ぶから、これでやれる、という横歩取り独特の感覚ですね 相当横歩取りを指しなれていないと指せない、▲1六歩が勝着になるか敗着になるか、ですね」

さて、局面だいぶ進み、▲2二歩成△同竜、となったところでは、後手の竜を引かせたので、自分の感覚では山崎がやれるんじゃないかと思ってみていた
山崎は▲8五桂と考えにくい桂を打ち、重たく攻めたのも、よく考えると好手っぽい・・・
羽生は7筋をどう受けるんだろう?

長沼さんも「後手は△7一香で受けるのが本命」とさかんに言っていた
このあたり、棋譜が少しずつしか入ってこないので、一手一手、長沼さん、予想しながらの解説だ

が!羽生に桂打ちを無視されて△2九竜と突っ込まれてみると、山崎の打った桂が成れない!
桂を渡すと、先手陣はたちまち寄ってしまうのだ うわー、羽生、うまいわ ホントにここは感心した
逆に山崎の指す手がすごく難しくなった

自分が思うに、ここで、どうも山崎は思考のペースが乱れたんじゃないかな~
せっかくの2枚の桂が動けないのだ 駒割も、角と金銀香の3枚替えの駒損・・・ 

長沼「▲7七玉の早逃げですか、これでは先手、景気が良くないですね」
さらに、そこからありえないような展開が!
長沼「△8四歩に▲同竜と引かされた?それで羽生に△7四金を打たれた? 単に△7四金もいい手かと思っていたら、ゼロ手で△7四金を打たれてしまいましたね これは痛いですね~ これは山崎さんつらいです」

これには自分もびっくりだ この終盤の忙しいときに、ありえないような一手パス!
正直、こんなのはプロの将棋ではほとんど見たことがない 長沼さんも相当びっくりで、
長沼「棋譜が間違えてるんじゃないかと(^^;」
でも、検討してみると、桂取りの△8四歩に対して、山崎は桂を突っ込むわけにもいかないのだった

そこからは羽生に先手先手で攻め込まれ、
長沼「羽生さんばっかりたくさん指してますね」
うへー、もう一気に山崎、敗勢だ
場の空気が静まり返ったので、自分は発言してみた
私「ここから山崎さんが勝つ順をお願いします」
長沼先生とお客さん「(笑)」
この発言はけっこう受けた って、もうギャグを言うしかないような急転直下の展開・・・

私「長沼先生は、何か羽生さんに勝つコツを、知っているんですよね?」
長沼「いや、あれはドッキリカメラでしたから」
これにはお客は爆笑していた(笑) 
以前、長沼さんはNHK杯で羽生に勝ったのだが、あれはドッキリカメラの収録だったんですね(笑)

もう後は羽生の寄せを見るばかりとなってしまった
最終手の△8七角をお客が指摘し、その手が見えてなかった長沼さんは感心していた
というか、山崎が▲9一竜と香を取って、▲9三玉と入玉する順を解説していたけど、
これはご愛嬌だね(^^;

長沼「山崎さん、残念でしたね やる手やる手が全部裏目に出た感じでした」
あ~、山崎、本当に残念だった この一局は羽生のいいところばかりが出たと思う
△2九竜、△8四歩は絶好手だったと思う
羽生、無敵の18連覇!!もう勘弁してください

<こぼれ話>
時間が早く終わったため、長沼さん、また初手から棋譜を並べ、
投了から30分以上も延長してくれました

長沼「これで福崎さんは前王座18連覇を守りましたね」とギャグも言ってました(笑)

お客の中に一人、すごくしゃべるおじいちゃんがいて、
そのおじいちゃん、べらべらと10分くらいしゃべってて、長沼さん、その話をずっと聞いてあげてました
長沼先生、いい人ですね(^^;

今回の解説会は色んな人が質問してましたが、そのほぼ全てに長沼さん、丁寧に答えてました

私は帰り際、「銀河戦の田村戦、すごく面白かったです 今年もがんばってください」と
声を掛けて帰りました 
(このブログに載せていた、自戦記・研究等のカテゴリにあるこの▲田村vs△長沼の棋譜、
間違って、対局者名を先手と後手を入れ違えて書いてました
訂正しました すいませんでした)

自分はとなりに座った常連の兄ちゃんと喋りながら見ていました
最後に「これで矢内が遠のいてしまったなあ」と言うと、
その兄ちゃんは「YouTubeのやつですね(笑)」と、通じてました(^^;

あ~、山崎、全敗か・・・
「降る雪や 明治は遠く なりにけり」 という俳句がありますが、
「3連敗 矢内は遠く なりにけり」 そんな今回の王座戦でした (終わり)