第18期 銀河戦
本戦Cブロック 1回戦
有森浩三七段 vs 熊坂 学四段
対局日: 2009年9月18日
解説:植山悦行七段
聞き手:中村真梨花女流二段
記録:野田澤彩乃女流1級

20年度の成績は、有森9勝10敗 クマー7勝9敗 2人は初手合い

解説の植山「有森は豪放に見えるが繊細な一面をもつ、力将棋だけど筋がいい、定跡にこだわらない
 クマーは何事にも実直で真面目な人柄 力戦が得意どうしの対戦」

有森はマスクをして、酸素ボンベ(消火器くらいの大きさ)をドンと横に置いての対局だ
月下の棋士の大原名人みたいだ
クマーは前頭部が薄くなっているが、よく見ると後頭部も薄くなっている
髪の毛に関しては、クマーはもうあきらめるしかないだろう

先手有森で、出だしは相矢倉模様だったが、
植山「クマーが普通に追随するとは思えない」 その言葉どおり、クマーは向かい飛車に振った
▲矢倉vs△向かい飛車という戦型になった

有森が穴熊に組替えようと香を上がった瞬間、クマーは△8五桂と跳ね、角筋を通した
クマーの角が有森の玉を直射している 陽動振り飛車でよくある、典型的な展開だ
これを有森はどう受け止めるのか、とても興味があったのだが、
結果から言って本局は有森は失敗してしまった

有森は3筋から角頭を攻めたが、危険すぎたとのことだった
後手の角筋は、5筋で止めなければいけないようだ
▲8五銀と桂をはずしたが、この桂と銀の交換をするようではダメ、との感想戦だった
有森がクマーの角を取っている間に、クマーは6筋に位を取った これがめちゃ大きかった

竜を作ったクマーに対し、有森も穴熊に潜って、まだまだ長いのかと思われたが、
この日のクマーは冴えていた 2手かけてじっと馬を作り、さらに自陣に引き上げ、有森に手を渡した
勝負手を放った有森だったが、クマーに的確に対応され、困った
有森は飛車と角が全く働いておらず、指す手がなくなり、投了に追い込まれた

いやいや、クマー、実に落ち着いていたね 手つきからそれが伝わってきた
感想戦でクマーは「最善の攻めは逃した」と言っていたが、
戦いが始まってからは陽動振り飛車の勝ち方のお手本とも言えるような棋譜だったと思う

この矢倉に対し、角筋が直射した形、受けにくいなあと思わされた一局だった
感想戦では色々受け方をやっていたけど、攻める側が簡単で、受ける側は難しいね

有森は8五の桂を銀で取ってしまった手を「こんな手指していたら、『田舎に帰れ』って言われるね、
実際に帰ってるんだけど(笑)」と言って笑わせていた 有森は岡山から出てきているそうだ
有森は外出時には酸素ボンベを持ち歩いているそうだ がんばってほしいと思った

この一局、クマーは落ち着いていて、冷静だった
「ヒカルの碁」の一皮むけた後の伊角さんみたいな指し回しだったと思う
こんな内容で勝ち上がってほしいものだ