第35回小学生将棋名人戦
解説 渡辺明  聞き手 上田初美

勝ち抜いてきた4人の子による、小学生名人を決める決戦だ

まず、渡辺が小4で優勝したときの映像が流れた
アナウンサー「当時はちょっとふっくらしてましたね」
渡辺「そうですね(^^; ちょっと太っていたというか・・・(笑)」

東日本予選で、「鈴木シャウト」という名前の子が出ていた
お父さんがロックが好きだからこの名前にしたそうだ ・・・もう完全に私の常識の範囲外(^^;

さて、TVに出場した4人の中で、私がちょっと知っている子がいる
関西会館の解説会によく来ている、堀田久里生(ほりた くりお)という子だ
この子はどんな将棋を指すのだろうか 注目だ

まず、アナウンサーが出場者の一人一人にインタビューをした
女の子ながらベスト4に残った、中七海(なか ななみ)さん、6年にしては小さい子だ
アナ「今、緊張しているかな?」
中「・・・・・・」
アナ「自信はありますか?」
中「・・・・・・」
中さん、全くしゃべらず無言だった(笑) 中さんの母によると、「内気な子」だそうだ

本川君、6年だ
アナ「音楽が好きだそうですね」
本川「いろんな音を楽しんでいる」
アナ「どんな将棋を指したいですか?」
本川「反則だけはしたくないです」

山川君、6年だ
アナ「去年は準優勝でしたね」
山川「去年はとてもくやしい一年だった 今年こそは優勝したい」

そして、堀田君、5年だ
アナ「漢字辞典を読むのが趣味だそうですね」
堀田「高校生用くらいのやつは、内容がビッシリとしていて、読んでいて気持ちいい
 緊張とかちょっとはあるかもしれないんですが、招待選手としてふさわしい将棋を指したい」

対戦相手を決めるクジで、4本の扇子を引くことになった
アナ「私が、せーの、と言ったら取ってください せーの」
いっせいにノータイムで扇子を取る子供たち、超速い(笑)
これには、アナも渡辺も上田も、扇子のボックスをもってきたお姉さんも笑っていた
(ただ、中さんだけは最後に残った一本を取っていた)

<準決勝 第1局>
ルールは持ち時間10分、切れたら30秒
まずは中さんと、山川君の対戦
選手の紹介があり、「中さんは史上3人目の女子ベスト4 終盤のねじりあいを得意とする」
「山川君は去年の準優勝者 矢倉を得意とする本格派」

先手中さんで、▲四間vs△居飛車、お互いに銀冠に組んだ
ちょっと中さんの作戦勝ちか、と思っていると、山川君、△4八歩の垂らしの勝負手!
次の△4九歩成りが受からない・・・ さすがだ
先手の飛車成りと、後手のと金の攻め、どちらが速いかだ
終盤になっても形勢不明で、渡辺「どっちが勝つかわからない、難しい」

ギリギリの寄せ合いになり、中さんがちょっとだけリードしていたようだが、
先手は手が広く、選択に迷うことになった
山川君のほうは△3九銀から迫っていけばいいので、手がわかりやすい
そして中さん、金を逃げただけの手を指してしまった
渡辺「これは中さん、一手パスしちゃった」 

山川君、ノータイムで一気に15手詰みの即詰みに討ち取った
一局を通して、疑問手は中さんの金を逃げた一手だけ、好局だった
中さん、ちょっと有利だったはずだが、手が広く、難しかったね 早指しでは展開的につらかったか
惜しかったね

局後、アナ「中さん、今の気持ちはどうかな」
中「・・・・・・」
アナ「ちょっとくやしいかな」
中「・・・・・・」
アナ「このくやしさをバネにがんばってね」
中「・・・・・・」
中さん、またも無言(^^; 結局中さんは一言もしゃべることはなかった

<準決勝 第2局>
本川君と堀田君の対戦 いよいよ堀田君の登場だ
選手の紹介があり、「本川君は詰将棋と棋譜並べで腕を磨いてきた
 卓球が得意 切れ味の良さが持ち味」

「堀田君は33の大会で優勝、道場ではアマ六段で指している
 愛読書は漢字辞典、知性が光ります」
・・・私からの補足です 堀田君は友達から「クリオ」と呼ばれていますね
この子、解説会で、解説者が今から説明しようとしているときに、やたらと何回も次の手をビシビシ指摘、
その指摘する手がまた的確なんで、始末に負えません
解説者の井上先生が「こいつは・・・ホンマ・・・(解説するのはオレの仕事やろ)」と
あきれていたこともありました
解説会では次の一手クイズというのがあります 当てると賞品がもらえます
この堀田君、毎回クイズに絶対に正解したいようで、
直前までBSの放送を見ていて、次の一手を事前に知ろうとするんですよ
私が「それは反則やで」と言うと、「反則ちゃうで」と言い返してきました
「知性が光る」という紹介はどうなんでしょうね・・・(笑)
でも、私を見かけて、「おーっす」と挨拶してくれたかわいい子です(フォローしとかないとね(^^;)

先手本田君で、▲中飛車vs△居飛車、角交換から互いに美濃囲いの将棋だ
渡辺「堀田君、すごい気合いの手つきですね」と笑っていた
そこで出た、序盤の勝負手、△9四角!
これもものすごい手つきだった 渡辺が思わず「うお」と声を上げた

ここから、盤面の左側で、虚々実々の応酬が繰り広げられる 
両者、飛車を取らせるのかと思いきや、じっと引いて我慢したり、
本田君も端角で対抗したり、すごく見ごたえある うおー、2人とも強い 高度な指し手が続いてる 
渡辺「レベル、高いですねー ここまでの応酬は」

両者、やや疑問手もあるようだが、ねじりあいという言葉がふさわしい熱戦が続く
上田「2人とも強いですね」
渡辺「これくらいは2人にとっては当たり前の手ですね もう驚かなくなりました」

堀田君が△5八金と貼りついた手に対し、本田君の▲4九金と引いた手が、指しにくい手だったが、
指されて見るとこれが実戦的な好手だったようだ
堀田君、攻めが切れ模様に・・・ そして、堀田君、詰まされて投了!

あ~、堀田君、負けたか でも、実力的には全くひけを取っていなかったね 
渡辺「いろいろあった、いい将棋だった」
上田「濃厚でしたね」

局後、堀田君「うーん・・・ いや・・・ まさか・・・ こういう舞台で・・・
 負けるとは思ってなくて・・・ うーん・・・」 眉毛が下がり、ガックリきていた堀田君が映っていた 
チャンスが何回かあった将棋だっただけに、くやしかっただろう
でもまあ、力を出した場面も多かったし、仕方ないね

<決勝>
堀田君に勝った本川君と、中さんに勝った山川君の一戦になった
先手本川君の▲中飛車vs山川君の△居飛車だ これも角交換の将棋

本川君が▲5五銀と出た瞬間、飛車先に叩く△5八歩の軽手が来た!
うおー、これは技ありだ いきなり先手ピンチ! ・・・が、後手もその後チャンスを逃してしまった
2人とも決勝というのに、指し手が速い速い これは決勝ならではの緊張のせいだろうか?

後手の山川君が有利に進めていたのだが、なんだか手が乱れて、形勢がもつれていくことになる
自ら中段玉で裸玉の形にした山川君、これは怖い・・・
渡辺「あぶないですねー」

持ち駒をいっぱいもって、吊るし桂の筋で先手の美濃を攻略しようとする後手の山川君だが、
本川君、▲4七銀、▲4七金の連続の投入で、後手の攻めを見事に切らせてしまった
上田「受けがうまいですね~」

そして、飛車切りから見事な寄せ手順を見せた本川君、
後手玉にほぼ必至がかかり、もう山川君は投了するかと思われた
山川君はまだ指したが、△1二飛しかないのではつらすぎる、もう後は一手一手、
「勝負あったな」と思っていたときだった、
なんとここから本川君が寄せ損ない、まさかまさかの千日手に!!
ええ~、これが千日手になるの??? 信じられない・・・ 
渡辺も思わず、「千日手はちょっともったいなかったですね~!」
こんなことがあるのか・・・

<決勝 指し直し局>
先後が入れ替わり、先手山川君、後手本川君
やはり▲居飛車vs△中飛車の角交換の将棋になった
山川君は工夫の駒組みで、▲8六銀、▲8七金の形
上田「金冠ですね」
局後、山川君「得意の作戦」 へえ~、こういう指し方があるんだね

山川君、9筋から攻めていき、▲9四歩と押さえ、
なんとついでに8筋に▲8四歩と拠点を作れる望外の展開になった
こ、これは後手の本川君つらい・・

この8筋の拠点はあまりに大きすぎた 戦いになったものの、後手陣が弱すぎた
山川君は的確に攻め、結果、山川君の圧勝
渡辺「最後は差がつきましたね」

優勝インタビューでは、山川君「目標が達成できて感無量」
去年、準優勝だったので、今年、見事に雪辱を果たしたね
前局のあきらめない△1二飛のがんばりが呼び込んだ優勝だったね

小学生らしからぬ高度な応酬あり、小学生らしい疑問手ありだった
今年も小学生名人戦、楽しく見れた とても濃い2時間だった