第18期 銀河戦
本戦Gブロック 8回戦
南 芳一九段 vs 糸谷哲郎五段
対局日: 2010年2月18日
解説:森 ケイ二九段
聞き手:高群佐知子女流三段
記録:伊藤明日香女流初段

21年度の成績は、糸谷32勝14敗 南10勝12敗 2人の対戦成績は糸谷の2-1

解説の森「糸谷は居飛車党で、早見え早指し 急戦が得意の力戦タイプ、攻め将棋
 南は居飛車党だが、後手では振ることもある 受けが強い
 対照的な2人の対戦、やんちゃな糸谷、じっとしている地蔵流の南
 糸谷の急戦を南が受け止める展開になりそう」

先手糸谷で居飛車、後手南が藤井システム調の出だしから、やや変則的な居飛車だ
南が雁木から銀矢倉に囲おうとするのに対し、糸谷が速攻でナナメ棒銀で攻める、という将棋

ナナメ棒銀で押さえ込まれそうになった南が、驚くべき構想を見せる
一歩損をして、わざわざ銀を呼び込み、銀交換のあと、△2八銀~△1九銀で香を取ったではないか
一昔前の駒得重視のコンピュータがよくやっていたような手だ
こんな手があるのかな~と思ってみていた(^^;

糸谷は例によって、ノータイムでビシビシ指していく
糸谷が▲2三歩と垂らした手に南が△3三金寄りと受けたのが見えにくい手、
森「△3三金寄りは好手に見える」と言ったのに、糸谷はまるでその手はわかっていた、といわんばかりに
30秒も考えずに▲2二銀と打ち込んでいった
なんでこんな銀を打ち込む手がすぐ指せるのか 相手に銀を渡すんで、けっこう怖い手なのに・・・

その後も、もうビシビシバシバシ指していく糸谷、間髪入れずという表現がぴったりだ
南ばっかり考えてるよ・・・

そして、いつの間にか大差がついた
結果、糸谷が南を圧倒しての勝ち・・・! 糸谷は考慮時間を9回余しての勝ちだった
99手、終局は番組開始からわずか58分だった 

南にしてはショックな負け方かもしれない こんなふうにノータイム指しをやられて完敗すると、
自分自身の存在価値が問われる、そんな負け方だと思う

この一局、NHK杯での、渡辺vs糸谷戦を思い起こさせた 
渡辺が短手数、短時間でボロ負けした一局だ
対局中の場の空気が、あの時ととてもよく似ていた

感想戦で検討してみると、糸谷がミスしていたところもあった、ということだ
でも、そういう問題ではないんだよね
対局中は、糸谷がもうとにかくノータイムでバシバシ指してくるもんだから、
相手は考える時間が全く無く、どんどん流れが糸谷ペースになっていく、
そんな空気が場を支配しているのだ
あとから検討して考えると糸谷もミスしていた、と言っても、もう意味がないんだよね

いや、糸谷、恐るべし・・・ 今回は考慮時間を9回余しての勝ち、
糸谷にとっては、この銀河戦やNHK杯ルールでも、持ち時間が長すぎるのでは、とさえ思えた一局だった

糸谷と言えば「怪物」の呼び名があるが、「暴風」というのもピッタリと思う
相手を暴風に巻き込んじゃう、という意味でね  
これでGブロック4連勝、決勝トーナメント進出決定だ