2010.05.23
山崎隆之七段 vs 広瀬章人五段
第18期 銀河戦
本戦Dブロック 9回戦
山崎隆之七段 vs 広瀬章人五段
対局日: 2010年4月23日
解説:北浜健介七段
聞き手:山口恵梨子女流初段
記録:伊藤明日香女流初段
屈指の好カード、楽しみな一戦だ
21年度の成績は、広瀬35勝12敗 山崎35勝19敗 2人は初手合い
解説の北浜「広瀬と言えば振り飛車穴熊だが、最近は色々な戦型を指す 終盤の切れ味が抜群
山崎も終盤型、形にとらわれない棋風、独特のしのぎ、みんなが読んでいないような手を指す
この一戦は非常に好カード」
聞き手の山口「広瀬の終盤は悪魔のような終盤力と評判ですね」
北浜「あ、そうなんですか(^^;」
先手広瀬で振り飛車模様、対して山崎は早々に1筋の位を取り、態度をなかなか決めない
北浜「ひょっとしたら右玉のようなことを考えているのでは」
山口「見てて面白いですね」
山崎は居玉のまま、銀2枚を4段目に繰り出し、5筋の位も取り、大模様を張ってきた
いやいや、山崎らしいね~ いいねいいね
こんな序盤でその後を指しこなせるのは、プロでは山崎か佐藤康光くらいだろう
対局者名を隠して棋譜だけ見せたら、後手はド素人が指しているのかと思うね(^^;
例によって、ほっぺたをふくらませて考え込む山崎
北浜「山崎は周りに気配りをよくして、若手から慕われていて、若手のリーダー格」
山口「女性からも慕われていますよね」
北浜「関西では一番ですかね」
広瀬がこの前の詰将棋選手権で優勝していたことに触れ、
北浜「広瀬の終盤力は若手ナンバー1でしょうね」
山口「やっぱり詰将棋が関係しているんでしょうかね」
北浜「私はあんまり、詰将棋をやっていて終盤に良かったな、となったことはないですけど(笑)」
いや、それは北浜さんの謙遜でしょう(^^;
さて、山崎の意欲的な序盤に対し、広瀬も強気で応対、角道を開けて早くも開戦!
さすが広瀬、若さの勢いだね
一応▲四間vs△右四間だが、これは分類上は「その他の戦型」だろう
そして、山崎も負けじと5筋を突いて応えた! 気合のぶつかり合いだ
北浜「山崎、思い切っていきましたね! いや~怖いところですけどね」
が、直後に山崎が大長考に沈んだ どう考えても、△5二金右と締まる一手に見えるのだが・・・
なんと、山崎の指した手は△5二歩! うわー、開戦早々、もう歩を謝ってしまうのか
「序盤は作戦が失敗でした」と認めるような手だ ははは、これは山崎以外には指せないね(笑)
北浜「いや~、△5二歩には驚きました」
さらに、広瀬の攻撃に対し、山崎の銀をスッと引く受けが出た
北浜「山崎らしい形にとらわれない受けですね」
山口「山崎らしさが全面に出てますね」
ところが、あろうことか、ここから千日手模様に! どうやらお互いに避けられない様子
北浜「千日手になるとは予想外」
あ~、同一局面が続いている、せっかく面白い将棋だったのに、1時間戦って結局千日手か・・・
と思われたときだった、山崎が千日手を打開! おおー、山崎、やってくれた!
ここから山崎がうまい手順で、優勢を築いた やったねえ、千日手を打開した甲斐があったねえ
広瀬もがんばり、銀を自玉と反対側に逃げたのは考えにくい好手だった
山崎の次の一手は、銀がタダで取れるから、取って補充するのかな、と思いきや、
山崎が指した手は、角を2二から飛び出す△6六角!
まさに「才能の比べ合いなら、オレのほうが上だ!」と言わんばかりの一手!
おお、これは絶好手!
北浜「確かに、これは味のいい一手ですね!」 北浜も賞賛だ
これで山崎がはっきり勝ちになった、と思った
広瀬が飛車を一段目に下ろして攻めてきたが、山崎は合わせ飛車の手筋で受けた!
いや、これも才能を見せ付けた手!
この自陣に打つ合わせの飛車、自分なんかはほとんど打った記憶がないけど、
山崎の将棋ではよく出る気がするな~ この辺が才能の違いだねえ
北浜も「はあ~」 山口も「すごい手ですね」 2人とも、感心しきりだ
だがだが、本局の最大のハイライトはこの直後に待ち受けていた
完全に切れ模様になったと思われた広瀬、なんと、馬をタダの地点に引く鬼手!
な、なんだこれは!? なにこれ? 「次の一手」問題じゃないんだぞ、実戦なんだぞ
こんなタダ捨ての馬引きの手が、実戦で実現するか?
広瀬の「才能では負けない!!」という声が聞こえてきそうな手だった
北浜「すごい手が飛び出しました」
おいおい、どんだけすごい手が連続で飛び出すねん
う、わ、あ、山崎、これで一気にピンチに!!
頭を抱える山崎の姿が映し出された もう形勢はどっちがいいのかわからない・・・
北浜「予想外の展開です」 そのセリフ、もう3回目くらいだよね(^^;
これが山崎、そして広瀬、2人の実力者の才能か・・・!
混戦模様か、と思われたが、最後にも山崎の好手、見えにくい攻防の角打ちが出て、
山崎が広瀬玉を即詰みに切って落とした 結果、山崎の勝ち!
いや~、見ていて楽しかった! まさに2人の才能が全面に出た勝負だった
北浜「広瀬の馬を引いた手からの追い込みがすごかった お互いの特徴がよく出た大熱戦だった」
ヒカルの碁の17巻、桑原本因坊のセリフでこういうのがある
桑原「2人 要るんじゃよ 1人の天才だけでは 名局は生まれんのじゃ
等しく 才たけた者が 2人要るんじゃよ
2人揃ってはじめて 神の一手に── 一歩近づく」
互いにちょっとずつミスもあった将棋と思う
でも、才能の見せ付けあい、という意味で、抜群に面白かった
TVの前で叫んだ回数が、間違いなく今期銀河戦で一番多かった一局だった
本戦Dブロック 9回戦
山崎隆之七段 vs 広瀬章人五段
対局日: 2010年4月23日
解説:北浜健介七段
聞き手:山口恵梨子女流初段
記録:伊藤明日香女流初段
屈指の好カード、楽しみな一戦だ
21年度の成績は、広瀬35勝12敗 山崎35勝19敗 2人は初手合い
解説の北浜「広瀬と言えば振り飛車穴熊だが、最近は色々な戦型を指す 終盤の切れ味が抜群
山崎も終盤型、形にとらわれない棋風、独特のしのぎ、みんなが読んでいないような手を指す
この一戦は非常に好カード」
聞き手の山口「広瀬の終盤は悪魔のような終盤力と評判ですね」
北浜「あ、そうなんですか(^^;」
先手広瀬で振り飛車模様、対して山崎は早々に1筋の位を取り、態度をなかなか決めない
北浜「ひょっとしたら右玉のようなことを考えているのでは」
山口「見てて面白いですね」
山崎は居玉のまま、銀2枚を4段目に繰り出し、5筋の位も取り、大模様を張ってきた
いやいや、山崎らしいね~ いいねいいね
こんな序盤でその後を指しこなせるのは、プロでは山崎か佐藤康光くらいだろう
対局者名を隠して棋譜だけ見せたら、後手はド素人が指しているのかと思うね(^^;
例によって、ほっぺたをふくらませて考え込む山崎
北浜「山崎は周りに気配りをよくして、若手から慕われていて、若手のリーダー格」
山口「女性からも慕われていますよね」
北浜「関西では一番ですかね」
広瀬がこの前の詰将棋選手権で優勝していたことに触れ、
北浜「広瀬の終盤力は若手ナンバー1でしょうね」
山口「やっぱり詰将棋が関係しているんでしょうかね」
北浜「私はあんまり、詰将棋をやっていて終盤に良かったな、となったことはないですけど(笑)」
いや、それは北浜さんの謙遜でしょう(^^;
さて、山崎の意欲的な序盤に対し、広瀬も強気で応対、角道を開けて早くも開戦!
さすが広瀬、若さの勢いだね
一応▲四間vs△右四間だが、これは分類上は「その他の戦型」だろう
そして、山崎も負けじと5筋を突いて応えた! 気合のぶつかり合いだ
北浜「山崎、思い切っていきましたね! いや~怖いところですけどね」
が、直後に山崎が大長考に沈んだ どう考えても、△5二金右と締まる一手に見えるのだが・・・
なんと、山崎の指した手は△5二歩! うわー、開戦早々、もう歩を謝ってしまうのか
「序盤は作戦が失敗でした」と認めるような手だ ははは、これは山崎以外には指せないね(笑)
北浜「いや~、△5二歩には驚きました」
さらに、広瀬の攻撃に対し、山崎の銀をスッと引く受けが出た
北浜「山崎らしい形にとらわれない受けですね」
山口「山崎らしさが全面に出てますね」
ところが、あろうことか、ここから千日手模様に! どうやらお互いに避けられない様子
北浜「千日手になるとは予想外」
あ~、同一局面が続いている、せっかく面白い将棋だったのに、1時間戦って結局千日手か・・・
と思われたときだった、山崎が千日手を打開! おおー、山崎、やってくれた!
ここから山崎がうまい手順で、優勢を築いた やったねえ、千日手を打開した甲斐があったねえ
広瀬もがんばり、銀を自玉と反対側に逃げたのは考えにくい好手だった
山崎の次の一手は、銀がタダで取れるから、取って補充するのかな、と思いきや、
山崎が指した手は、角を2二から飛び出す△6六角!
まさに「才能の比べ合いなら、オレのほうが上だ!」と言わんばかりの一手!
おお、これは絶好手!
北浜「確かに、これは味のいい一手ですね!」 北浜も賞賛だ
これで山崎がはっきり勝ちになった、と思った
広瀬が飛車を一段目に下ろして攻めてきたが、山崎は合わせ飛車の手筋で受けた!
いや、これも才能を見せ付けた手!
この自陣に打つ合わせの飛車、自分なんかはほとんど打った記憶がないけど、
山崎の将棋ではよく出る気がするな~ この辺が才能の違いだねえ
北浜も「はあ~」 山口も「すごい手ですね」 2人とも、感心しきりだ
だがだが、本局の最大のハイライトはこの直後に待ち受けていた
完全に切れ模様になったと思われた広瀬、なんと、馬をタダの地点に引く鬼手!
な、なんだこれは!? なにこれ? 「次の一手」問題じゃないんだぞ、実戦なんだぞ
こんなタダ捨ての馬引きの手が、実戦で実現するか?
広瀬の「才能では負けない!!」という声が聞こえてきそうな手だった
北浜「すごい手が飛び出しました」
おいおい、どんだけすごい手が連続で飛び出すねん
う、わ、あ、山崎、これで一気にピンチに!!
頭を抱える山崎の姿が映し出された もう形勢はどっちがいいのかわからない・・・
北浜「予想外の展開です」 そのセリフ、もう3回目くらいだよね(^^;
これが山崎、そして広瀬、2人の実力者の才能か・・・!
混戦模様か、と思われたが、最後にも山崎の好手、見えにくい攻防の角打ちが出て、
山崎が広瀬玉を即詰みに切って落とした 結果、山崎の勝ち!
いや~、見ていて楽しかった! まさに2人の才能が全面に出た勝負だった
北浜「広瀬の馬を引いた手からの追い込みがすごかった お互いの特徴がよく出た大熱戦だった」
ヒカルの碁の17巻、桑原本因坊のセリフでこういうのがある
桑原「2人 要るんじゃよ 1人の天才だけでは 名局は生まれんのじゃ
等しく 才たけた者が 2人要るんじゃよ
2人揃ってはじめて 神の一手に── 一歩近づく」
互いにちょっとずつミスもあった将棋と思う
でも、才能の見せ付けあい、という意味で、抜群に面白かった
TVの前で叫んだ回数が、間違いなく今期銀河戦で一番多かった一局だった
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