第18期 銀河戦
本戦Fブロック 9回戦
屋敷伸之九段 vs 長沼 洋七段
対局日: 2010年4月14日
解説:深浦康市王位
聞き手:鈴木環那女流初段
記録:伊藤明日香女流初段

先週の土曜に放送された一戦
21年度の成績は、長沼16勝11敗 屋敷23勝12敗 2人の対戦成績は長沼の1-0

解説の深浦「長沼は居飛車党だが、ときおり見せる力戦振り飛車が巧妙
 屋敷は昔、棋聖戦のタイトル戦に出ていたときは居飛車党の軽快な棋風だった、
 今は先手番なら矢倉、後手ならゴキゲンかまたは横歩取り」

聞き手のカンナちゃん、女っぷりが上がって前よりキレイになってる・・・
雑談で、深浦「長沼は数年前のNHK杯で羽生に勝った、とても話題になった
 私も失礼ながらびっくりした(笑)」

関西会館で以前、長沼さんの大盤解説会(羽生が出ていたタイトル戦)があったとき、
自分は「長沼先生は、羽生さんに勝つコツを知っているんですよね?」と質問した
長沼さんは即座に「あれはドッキリカメラでしたから(^^;」と答え、
お客がみんな爆笑したことがあった(笑)

さて、先手長沼で、戦型は▲ゴキゲン+美濃vs△居飛車7三銀型+船囲い
長沼は1筋の端を1五まで伸ばしている

屋敷が積極的に銀を出て行き、早々の開戦となった
先手は1筋に2手かけていたのが響いたらしく、手が後れていたようだ
長沼はさばきに出たが、軽すぎた模様 
双方馬を作ったが、屋敷だけが香得するというワカレになってしまった

長沼、何か手が作れなければもう負けだ・・・ と思っていたところ、
▲5四歩の合わせから▲8四桂とそっぽに桂を打つという、見えづらい好手が出た!
カンナ「手はたくさんあるんですね~」
深浦「いや、驚きました 将棋は何十年勉強しても、『え~』っていう手が出てきますんでね
 これは気がつかない手ですね」
おお、これは手が作れそう、長沼やったか!

ところが、ここから屋敷がうまく切り返す 持ち駒3枚を自陣に投入するという徹底的な受け!
屋敷が銀を打ちつけたところでは、
カンナ「あ~」 深浦「いやいやいや」
カンナ「2人同時に声が出ましたね(笑)」
深浦「勝負に辛い手ですね 長沼、困りましたね 突破口が見つかりません
 攻めが完全にストップしました」

屋敷は馬も自陣に利かせ、もう完全に受け切り体勢を築いた これはもう屋敷の完勝ムードだ
長沼はどうするのか、と思っていると、なんと後手の馬の利きを自らの飛車で遮断したではないか!
△同馬、とモロに取られるが、もうそんなことは言ってられないということか
これには見ていて、「お~!」と声を上げてしまった 

が、屋敷は△同馬などとは取ってくれない 局面、屋敷の桂、香の丸得だ
成桂、成香をじわじわと寄せて迫る屋敷
カンナ「と金の遅早というのがありますが、成桂成香の遅早ですね(笑)」

ところが、ここから屋敷が突然変調する
△5五桂と打ったのがどうだったのか、ここはカンナちゃんの指摘にもあったように、
△5七桂と打つべきではなかったか
この5五の桂が取られてしまうハメに! 
手数をかけて寄った成桂と成香も、あまり攻めの成果が上がらなかった

深浦「1筋の位が光っている、ずっと屋敷有利と言っていたんですけど、
 いやいや、これ、大変ですよ いや~、これ、ひっくり返ったんじゃないですかね
 いつのまに、ですね 屋敷の完勝譜かと思いましたが、まさかこういう展開になるとは」 

全くその通りと思った い、いつのまに? 今、譜面を見て振り返ると、駒の効率が違うのか・・・
長沼の駒は全て働いているのに対し、屋敷は遊び駒がある 
それになんといっても、先手は端に玉がいっていて、捕まりづらい 
後手に角がないと先手玉は捕まらない

長沼、有利になって逆に怖いところがあったと思うが、
最後は連続の駒捨てで一気に即詰みに切って落とした これはさすがだった 結果、長沼の逆転勝ち
深浦「一番びっくりしているのは長沼と思うんですよ 長沼の見事な逆転勝ちだった」

終局直後の長沼が映し出されたが、長沼は苦虫を噛み潰したような顔をして、首をかしげていた
これ、2人のレベルからすると、両者ともに納得がいかない内容だったんじゃないだろうか
長沼は序盤のさばきが軽すぎて失敗だった
屋敷は駒得して万全の体勢を築いたはずが、逆転負け
時間が押して感想戦がなかったが、両者の感想を聞きたいところだった

辛勝した長沼、これで3連勝、次に勝てば決勝トーナメント進出決定だ