第18期 銀河戦
決勝トーナメント 1回戦 第6局
丸山忠久九段 vs 神吉宏充七段
対局日:2010年7月2日
解説:先崎 学八段
聞き手:里見香奈女流名人・倉敷藤花
記録:伊藤明日香女流初段

いよいよ神吉の登場 神吉は、C2で降級点を3つ取ってしまい、今年が10年目だ
すなわち、今年で引退しないといけないのだ
だが、この銀河戦で優勝すればC2に復帰ができるのだ
まさかの、万が一の優勝はあるのか? 注目だ

対するは、丸山だ
連盟のページで見ると、丸山は名人2期、棋王1期、棋戦優勝12回、A級13期の実績を誇る
今期は竜王戦1組で優勝 うわあ、相手にとって不足なし(^^;
神吉はこれといった実績は何もなしorz 竜王戦も6組だ

22年度の成績は、丸山6勝3敗 神吉2勝2敗 2人の対戦成績は丸山の1-0

解説の先崎「丸山はシャープな攻め将棋、安定感がある、不利になった時のがんばりはすばらしい
 神吉は早指しが昔からすごく得意、体型は見てのとおりだが、軽いさばきの将棋
 中盤で差がつかなければ神吉にもチャンスあり」

神吉は全身ムラサキ色のスーツ、眼鏡もムラサキだ
神吉の巨体の前では、丸山が小さく見える
先崎「神吉は将棋界の人気者、イベントで神吉がいると和む」

先手丸山で、▲居飛車穴熊vs△三間飛車石田流+美濃、というお決まりの戦型になった
さあ、神吉、C2復帰へ向け、優勝なるのか? 
今期の銀河戦、4連勝の原動力となったこの戦型で負けたら、もう仕方ないだろう

序盤から中盤、互角の戦いが繰り広げられる 
まず見せたのは、神吉が角を△6二角としたところだ △5四銀△5三歩型なのに、
△6二角とするのは、考えにくいところだ 先崎いわく「指しなれているんでしょうね」
事実、この角はちゃんと働くことになる

盤面の右側~中央をどちらが制するか、という中盤が延々続く
難しい局面で、手を渡した丸山に対し、神吉もなるほどという手を指し、手を渡し返す!
先崎「お互いにプロっぽい手、見ごたえある応酬ですね~」
聞き手の里見「全部の駒を使ってますね」

常に高度な指し手が求められるが、神吉は一歩もひけをとっていない
本当に神吉は強い、と思わせる手が続く
先崎「これは神吉がうまくやったかも」

そして、穴熊のそばにバシッと歩を垂らした神吉、自信ありげな手つき!
おお、神吉、優勢を意識か、いいぞ! と思ったが?
先崎「これは神吉、今のところでしくじりましたね 神吉の飛車がお荷物になってしまった
 丸山が飛車を取ってくれたらいいけど、取ってくれるはずがない
 丸山がはっきり優勢 大差になってしまいました」
ああー 神吉さん、飛車の使い方を間違えたのか 「大差」の言葉が出た もうこれまでか

しかし、神吉、お荷物の飛車をズバッと切って桂を取り、控え桂を打つという勝負手を放つ!
先崎「もう一波乱あるかも これは神吉が底力を見せましたね」
そうだそうだ、がんばれ神吉!

神吉、粘って、この一局に勝ちたいという思いが伝わってくる 
しかし相手は丸山、丸山が大きなミスをするとは考えにくい
どうにもこうにも、一手負けから逃れる術が見つからない・・・
神吉は粘って受けるが、丸山は一手一手確実に迫ってくる 穴熊は遠い
そして・・・ 149手目、神吉「負けました」 だあ~、神吉、投了!

先崎「最後は神吉のなかなかの粘りだったけど、丸山が手堅く指した
 中盤では神吉に大いにチャンスがあった」

感想戦で神吉「飛車を金で取りに来られるのをうっかり」
中盤の変化では、はっきり神吉が良くなる順が見つかり、
神吉「ええがな ワシのほうが!」
丸山「そうですね こっちが悪いですね」
神吉「悪いと思ったら、投了せんかいや~!」

あー、神吉さん、力は見せたんだけど、及ばずか  
難解な長い中盤を乗り越えて、勝ち筋に入るまで、あと一息、というところで間違えた一局だった

神吉さん、まだ51歳、引退しても、どうにかしてまだプロ将棋界に残ってください!
高度な指し手を指せる棋士はたくさんいても、
神吉さんの代わりが出来ると思える棋士はいませんので・・・

局後のインタビュー
丸山「大変難しい展開がずっと続いていたんで、今はほっとしている
 苦しくなったが、最後に結果が出せたのは運が良かった
 2回戦も強敵なのでベストを尽くしたい」