第18期 銀河戦
決勝トーナメント 1回戦 第8局
深浦康市王位 vs 中村太地四段
対局日: 2010年7月16日
解説:塚田泰明九段
聞き手:竹部さゆり女流三段
記録:渡辺弥生女流2級

聞き手に私の好きな女流、竹部さんがキター 
ずっと以前、竹部さんは、インタビューで「自分の将来像」という絵を描いたときに、
「夫とは離婚して、慰謝料を請求されて借金があり、ボロボロの服を着て、ダンボールを持って、
 将棋会館のまわりをウロウロしている」という回答をした竹部さん
・・・一時は休場していた竹部さん、ちゃんと司会をしているね
今はまだ大丈夫なようだ、よかったよかった(^^;

22年度の成績は、深浦6勝8敗 中村太地(たいち)5勝4敗 2人は初手合い

解説の塚田「深浦はトップ棋士の一人、攻め将棋の居飛車党、たまに振る
 太地は期待の新人、居飛車党で長考派
 初手合いで、お互いに手の内がわからないので、序盤の探りあいが楽しみ」

雑談で、塚田「太地は早稲田大の4年、良くも悪くもまじめな性格、
 昨年、新人王戦の決勝で広瀬と戦って負けた(0-2)」

先手深浦で、角換わりに進む 深浦が▲1六歩としたところで、なぜか太地はさっそく大長考した
結局、太地は深浦に1筋の位を取らせた この理由はこの後わかることになる 
太地の作戦は、△3二銀+△3一玉型の左美濃、そして速攻だったのだ

「あまり見ない序盤になった」と塚田が言っている間に、△7五歩から仕掛けた太地!
塚田「あ、行った!」 おお、もう戦いか これが成立しているのか? 面白い

桂を跳ねて、猛然と攻め込んだ太地
塚田「この攻めはちょっと無理っぽいけど、大丈夫ですかね
 後手は左美濃なんで、飛車の打ちこみに強いということでしょうね」
 
塚田「いっぱいいっぱいの攻め、太地は飛車を捨てる覚悟でしょう」
竹部「この攻めは塚田先生ならどうですか?」
塚田「面白そうですね、やってみたくなりますね」
うんうん、塚田が昔やっていた、攻めっ気100パーセントみたいな攻め方だ

太地、飛車を捨てて、一気に深浦陣に攻めかかる! が、深浦も、と金を作った
このワカレは・・・太地が良しか?
竹部「どちらの攻めが速そうですか?」
塚田「わかりません(笑)」
うーん、塚田、いまいち、切れ味に欠ける解説だが仕方ないのか
こういう指し方は、塚田の十八番ではなかったか
「塚田スペシャル」などで勝ちまくっていた頃の強い塚田はどこへ行ってしまったんだろう(^^;
これは棋界の七不思議の一つだ

自分の目には、盤面、太地が良いように見えるが、どうか?
ともかく、太地が主張を通し、押している空気が感じられる
塚田「まだまだ先は長い」 

と金を作り、どんどん攻める太地、いけるか? 自分はもう、太地の大応援だ
工夫した作戦を出してくる方をやはり応援したくなるし、そしていつもの判官びいき、
だからもうこの将棋は太地の大応援(^^;

太地、馬の気づきにくい使い方を指し、そして同じく、気づきにくい、と金寄りが出た!
この一手、塚田を「おおっ!」と驚かせた 
ここは自分も見ていて、「ええ!!」と声を上げた 
竹部「『おお』と声が上がりましたね」 
このと金寄りで、一手分得した感じだ いいよいいよ~ 
太地、絶妙の指し回しだ

塚田「▲8五角には、△9六馬の返し技があるんですね! 先手は狙いの▲8五角が打てないですね!」
竹部「かなりびっくりですね」
うおー、絵に描いたような返し技だ いいぞいいぞ太地、このまま寄せきれ!

竹部「息継ぎなしで、あっという間に終盤に来てしまいましたね」
塚田「なんだか太地が勝ちそうな気がしてきた」
・・・自分はもう、すんごい前から太地がいいと思って見てたけど、やっと塚田さんもそう思ったか(^^;

塚田「太地の強気が功を奏したよう」
深浦はまだ玉の早逃げして粘ったが、太地、緩むことなく攻め続け、鮮やかに寄せきった!
82手で太地の勝ち! やったあ、太地、金星だ! 短手数だけど、内容が濃かった

いや~、太地の「左美濃にして、速攻をかける」作戦、ズバリ大成功!!
馬の使い方、と金の使い方、最後の寄せ方、どれも見事! 太地の会心譜と思う

塚田「深浦に油断があって、修正が効かなかった感じ 
 まさかこんなに攻められる展開になるとは思っていなかったはず」

感想戦では、先手に受け間違いがあったことを、深浦自身がすぐ発見していた
これは深浦はさすがだ
だけど、実戦の最中は、空気の流れが太地に傾いていたと、ハッキリそう思う
この一局は、太地が魅せたね 
タイトルホルダー相手に、臆することなく流れをつかんでいた、太地の見事な一局だった 
これは拍手だね パチパチパチ

局後のインタビュー
太地「ずっと苦しい将棋だったので、勝ってよかった
 攻めは無理気味だったんですけど、自分らしい将棋が指せて、結果もともなったんでうれしい
 2回戦も見ている方に面白いと思ってくれる将棋が指せれば」