第19期 銀河戦
本戦Eブロック 1回戦
阿部健治郎四段 vs 里見香奈女流名人・倉敷藤花
対局日: 2010年8月16日
解説:杉本昌隆七段
聞き手:藤田 綾女流初段
記録:渡辺弥生女流2級

里見女流二冠登場、相手は新人王を取ろうかというアベケン(このニックネームでいいのかな?)
1回戦で、一番の目玉の好カードだ 新進気鋭の男子プロ相手に、どこまで里見が食いつけるのか?

22年度の成績は、里見4勝0敗 アベケン14勝3敗 2人は初手合い
アベケンは予選で鈴木大介に勝ち本戦進出
里見18歳、アベケン21歳のフレッシュ対決

解説の杉本「里見は中飛車を得意とする、イナズマ流と呼ばれる鋭い寄せに定評がある、
 男性プロが見ても、なるほどという手をよく指す
 アベケンはプロになって間もないがすごい勝率、戦型は何でも指す、竜王戦でも5組に昇級した」

里見について、杉本は「里見は、練習将棋を含めると女流より男性プロと指すほうが多いかもしれない、
 男性側も教えるというより、自分が勉強になるから指している」

先手里見で、3手目▲7五歩に、アベケンはノータイムで△3五歩、相三間飛車に進んだ
ここから、アベケンが面白い構想を見せる 自ら角交換し、向かい飛車に振りなおした
これで戦型は、角交換の▲三間+高美濃vs△向かい飛車+金無双になった

局面、駒組みが一段落してみると、里見の8八の銀が、どうにもこうにも動けない、
中途半端な駒になってしまっている・・・! これがアベケンの狙いだったのか
杉本「アベケンの構想はなかなかのものでしたね~」
ここまで予期して、後手から角交換したのか 
うーむ 里見、何も悪い手をやっていないのに、作戦負けっぽい 杉本もびっくりだ

杉本「里見はパスしたいくらいの局面、損のない手で待ちたいが、それが見つからない」
考慮時間をどんどん使わされていく里見 まだ戦いが起こってないのに、地味にピンチだ
里見は筋違い角を放って打開を計ったが、うまくかわされてしまった

しかし、里見も粘る
杉本「苦しいながらも一番の勝負手でがんばっている このあたりが里見の強さ」
うんうん、がんばれ、里見! が、アベケンは里見の勝負手を、スイスイとかわしていく・・・

アベケンは、金無双の弱点である壁銀を解消、自陣を万全にしてから、急所に角の打ち込み!
攻めに回ったアベケン、ここから独壇場だった 
飛車取り放置の桂跳ね!! そして、タダ取りの場所に飛車の打ちこみ!! ぐ、ぐあああ
この飛車の打ちこみには、TVを見ながら思いっきり「うおーお」と叫んでしまった

ボクシングでいうと、華麗なフットワークでジワジワと相手を追い詰め、
ジャブ、フック、ストレート、トドメのアッパーのコンビネーションが
モロに決まったという形容が当てはまる 里見、マットにドーンと沈められ、80手で投了!
アベケンの玉は無傷! つ、強いいいい! マジで強い! 伊達に高勝率になっているわけじゃない
序盤、中盤、終盤と、まったくスキなし! これは本物の強さ!
いつも取っているメモに、思わず「反則級の強さ」と書いてしまったくらいだ

アベケンは女流と指すには強すぎるだろう 
里見としては、特に何か悪手を指したというわけでもないのに、ボコ負けしてしまった一局だった
里見、相手が悪すぎた これはちょっとかわいそうなくらいだった

杉本「アベケンの斬新な序盤の構想が光った一局でした」
序盤も強いけど、中盤、終盤も本当に完璧と思えた
アベケン・・・ 豊島に匹敵する若手かもしれない アベケンのこれからが楽しみだ
銀河戦では何連勝するだろうか 本当に注目だ