(前の記事からの続き)

いったん閑話休題、ということで、「将棋事件簿」という企画
山崎隆之「プロのめずらしい将棋を集めてきました」
1局目 平成12年の、▲増田vs△小阪
増田の初手▲8六歩!という一局
ナレーションでは、「増田は若き暴れん坊として、その名は歴史に刻まれた」と言っていたが、
歴史に刻まれたのは、こんな手を指されたのに、飛車を振って負けてしまった小阪のほうだろう

2局目 平成19年の、▲安用寺vs△伊藤博文
投了図が、後手の歩が初期配置(3段目に並んでいる)、という一局
うん、これはなかなか良かった たしかにめずらしいね 

3局目、昭和61年の▲谷川vs△ヒフミン
終局まで1度も歩がぶつからなかった、という一局
これは、中盤から終局まで棋譜を並べてくれたが、言われなければ気づかない、というくらいか

次は、純粋な大逆転将棋 投了図から指す、というおなじみの企画
スポーツジャーナリストの二宮清純さんと広瀬の対局
二宮さんが「穴熊返し」を考えてきた、と言っていたのだが、それはどうなってしまったのか・・・
出題された局面は、第81期棋聖戦第3局、▲羽生vs△深浦の投了図からだ
この対局は、羽生のタイトル戦出場100回目で、通算タイトル獲得期を77期にした一局とのこと
ひえー、羽生の勝率はすごいね タイトル戦で7割7分なのか

この一局、自分でも二宮さんの側を持ったと仮定して、考えてみた
が、これが実に難しい! たぶん、広瀬の次の一手は2二のと金をはずす△2二馬だろう
▲5一歩成と王手するとして、次の攻めが見つからない・・・
ビデオを停止させて、延々考えること5~6分、ようやく▲3六飛、という手を見つけた
これで銀の両取りがかかるので、飛車で銀を取って、
駒得してのんびり寄せに行くのが最善、という結論に達した
でも、▲3六飛を二宮さんが見つけられるのか?と思って見ていた

二宮「マイケルジョーダンとキャッチボールしたとき、すごく緊張してボールが届かなかった
 そのときと同じくらいものすごい緊張している」
これは大丈夫じゃなさそう・・・ なんとかがんばってほしい
で、対局が始まってみると、自分が予想したとおり、広瀬の初手は△2二馬だった
事前の三浦のアドバイス、大はずれ! むしろ、よけいな知識を与えられた感がある
これはもう勝つのは無理だよ・・・ 誰やねん、こんな難しい局面を用意したのは!と思った
案の定、結果は広瀬の完勝 二宮さん、▲2六桂などの好手も指したのだが、
全体では実力を出せずじまい 真の力はわからないままだった
二宮さん、局面を正確に把握するために、初手に持ち時間の10分のすべてを使うべきだっただろう
そのくらい、難解な局面を出題されてしまった 
対局前は、神吉は「これで負けるはずがない、というのを選びました」と言っていたが、全然真逆だ
局後、二宮「勉強になりました」 二宮さん、落ち込んでいた

最後は、気象予報士の森田正光さんが登場 相手は羽生だ
第34期棋王戦の第1局、▲康光vs△久保の投了図からだ
局面を眺めてみて、これはいけそう!と思った 
局面がごちゃごちゃしておらず、割合、シンプルな図なのだ
森田さんは相当な将棋好きで、「昔、ボーナスで数十万円の将棋盤を衝動買いして、すごく怒られた」
森田は「待っててよー 羽生さん!」と言いつつ、「絶対負ける 負ける」とつぶやき対局場へ向かった
がんばれー、森田さん! 

対局が始まり、森田は正解手を連発し、羽生玉を追いつめていく
が! 手が続くにつれ、玉を3筋に逃がしてしまう、という事態に・・・
神吉「天気が怪しくなってしまいましたかあ?」 またしてもダメか、という空気が流れる
ところが! 森田さんは▲6七角、という、もうこれしかない、と絶妙の一手を着手し、
その後もノータイムで会心の手順! 見事見事、羽生玉を詰みに討ち取った!
おおー、これは強かった! 良かった良かった、パチパチパチ
▲6七角からは、本当に実力がなければ指せない手順の連発だったね
スタジオのプロ、ゲスト陣、そして羽生も賞賛だった
久保「僕のアドバイスが良かったですね」 これには笑った
森田「もうー すっごいうれしい」 
森田さん、本当に、心の底からうれしそうだった
スタジオがいいムードでエンディングとなった
あー、今回の大逆転将棋、最後の最後で、森田さんの強さに救われたね

しかし、今回の大逆転将棋、ひどいところがたくさんあった
大逆転将棋は今年で15年目、去年までの結果はプロの34勝7敗だそうだ
いくらなんでも、プロが勝ちすぎだ もう、プロが大逆転するところは正直、見飽きた
去年、神吉は「来年はプロが全敗するくらいの企画を」と言っていたのだが、そうはならなかった
なんで、毎回、こんな難しい局面を用意するのだろう?
アマチュアに実力を出してもらって、アマチュアを楽しませてこそ、プロなのではないのか?
アマチュア側が負けても、実力を出せていたならいい、でも、変則ルールの連発で、全然違うではないか
これで、負けたアマが、納得できるか? 将棋が好きになるか? 
プロがよく口にする、「将棋の普及」とか「将棋を広めたい」という、
その真逆のことをやってしまっている番組ではないのか・・・

鳥羽一郎さんくらいの実力でも面白くなるルールにしてほしかったし、
バニラさんは変則ルールで突然の反則勝ち、香田晋さんは難しい局面で、
さらに後手を持って図面を見せられる、という、明らかに変な仕組みのせいでボロボロ負け、
二宮さんにも難しすぎる局面を出題、まともな勝負だったのは森田さんの一局のみ
もう、この番組自体、終わったほうがいいのでは? 

そして、「有名人将棋大会」をクラス別で開催するとか、
プロとの純粋な「駒落ち戦」という番組を新しく創設すべきと思った
今回は感想が辛口になってしまったけど、そんな感想しかもてなかったのが実情でした 
今後のためを思って、本当の気持ちを書かせてもらいました 来年はどうなるだろうか?(終わり)