(囲碁将棋チャンネルで昨日あった特別番組)

コンピュータからの挑戦
清水市代女流王将 vs あから2010
対局日: 2010年10月11日
解説:勝又清和六段
聞き手:井道千尋女流初段

勝又「あからとは、阿伽羅と書いて、10の224乗の意味
 パソコン約200台をつなげていて、激指、GPS将棋、ボナンザ、YSSの4つのソフトの合議制」

開始日時:2010/10/11
棋戦:特別対局
持ち時間:3時間
場所:東京大学 本郷キャンパス
先手:清水市代女流王将 
後手:あから2010

▲2六歩
*持ち時間は各3時間 切れたら一手1分
*振り駒で、歩が3枚出て、清水が先手となった
*
*清水は白の和服で登場
*勝又「清水さんは姿勢がとてもいいですね」
*以下、コメントは勝又六段のものです
△3四歩
*お互いに事前に棋譜を交換して、互いを研究していた
▲7六歩 △3三角
*いやーびっくりしましたね この手を選んでくるとは思わなかったですね 
*清水は角交換将棋が苦手では、とあから側は分析していたそうです
▲同角成 △同 桂 ▲7八金
*この手に代えて▲6八玉だと、△8四歩と居飛車にしてくる可能性がある
△4二飛
*戦型が角交換四間飛車と決まりました
▲4八銀 △6二玉 ▲6八玉 △7二玉 ▲2五歩 △8二玉
*次に▲2四歩からの攻めには、△2二飛とぶつけて後手大丈夫です(ギズモ注:以下、▲2三歩△2一飛▲2二角と打ち込んでみましたが、激指定跡道場2は△4四角で-400点くらいで後手有利、と判断しました)
▲7七玉
*これも定跡みたいなものです この▲7八金型だと、先手は穴熊がいいです 平成21年の王将戦▲羽生vs△深浦が参考棋譜としてあります 清水自身も、石橋とのタイトル戦で経験があります
△2二飛
*相手がコンピュータだから、緊張しちゃったか、という手がこの後清水に出ます
▲8八玉 △7二銀 ▲5六歩 △4二銀 ▲3六歩 △5四歩
*この手に代えて△2五桂は、飛車が2二なので、先手から角打ちで狙われるのでまだ無理なんです
▲3七桂
*△2五桂を警戒しましたが、受けすぎました
*早く▲1八香としたかったです
△5三銀 ▲9八香 △4四角
*あからは持ち駒の角より、ここに打ったほうが価値が高いと判断した ここから清水さん、動揺した指し方になってきましたかね 
▲7七角 △同角成
*▲同桂~▲6八銀~▲6七銀が藤井九段の指摘でした
*それも有力でした
▲同 金 △6四銀 ▲5九金 △4四角
*チームリーダーの激指の鶴岡さんは、この手を見て、もう後手優勢と思ったそうです
▲4六歩 △6五銀 ▲4五歩
*ここであからの意見が割れました △5三角が激指、△7七角成がボナンザ、△同桂がGPSとYSSです
△同 桂 ▲同 桂
*会場のプロ達は、これなら先手いける、と言っていたんですね しかし、この局面が意外と難しかった
△5六銀
*ここで清水は大長考して、後で時間がなくなって困る原因になりました
▲5三桂打 △5一金左
*厳密に見て、この局面、形勢は非常に難しいです
*▲3三角には△5二金右と上がる手がある、それは僕も後でコンピュータに訊いたんですけどね(笑)
▲6一桂成 △同 金
*この瞬間、先手の金得ですが、難しい将棋が続いています
▲6六金打
*この手は清水が底力を示した手、この場面では正着の気がします
△4五銀 ▲2四歩 △同 歩 ▲3一角 △2三飛 ▲4二角成
*まだずっと難しいです しかし、この将棋、あから側が評価がマイナスになったことは一度もありませんでした
△7四桂
▲5七銀 △8五桂 ▲6八金
*形勢は難しいです
*しかし、この時点でもう清水は残り10分くらいです
△7七桂成 ▲同 金 △6六桂 ▲同 銀
*この局面、公平に見れば後手が指せそうな局面です
△5二金打
*友達をなくす、辛い手です とにかく負けない態勢を作りました 清水は読みになかったでしょう
▲3二馬 △2二飛
*次の一手が、清水にとって、形勢の分かれ道でした
*清水は持ち時間を使い切って、1分の秒読みに入ってしまいました
▲同 馬
*とにかく▲3一馬と逃げて、のんびりと指せばまだ難しかったです 本譜は取っちゃって、敗着になりました
△同 角 ▲8六桂 △6九金
*この手には会場が騒然としたそうです
▲7八金 △5七角
*ここに角を打ち込んだんです 突然こんな手を指されたらびびっちゃいますよね
*次の手の正着は▲7七桂でした しかし、後で鶴岡さんに訊いたら、▲7七桂以下、△4六角成▲4八飛△7一玉で後手良し、とコンピュータはちゃんと読める、ということです
▲7七銀
*これが正真正銘、敗着になりました 角取りではなくなって、中央の制空権がなくなりました
△5六銀 ▲5八飛 △5五角
*この手がうまい手でしたね 角が8二まで利いて、▲7四桂打ちが怖くなくなりました(ナナメに利く駒を渡しても△7一玉と逃げることができる)
*勝ちを決めた一手です
▲4九飛
*自陣飛車で粘ったんですが・・・
△7九金 ▲同 金 △6七銀成
*厳しいですね
▲5七飛 △同成銀 ▲6六角
*5五の角を消して、▲7四桂打ちとしたい、という手です
△5八飛 ▲9九玉 △8五銀
*あからは4つのプログラムの意見が一致して、この手はすぐに指しました
▲5九金 △3八飛成 ▲5七角 △8六銀 ▲6六銀打 △9五桂
*まず4手目の△3三角に驚かされた、コンピュータが△2五桂と駒損する戦法を選んだことにも驚かされた
*ただ、▲6六金打ちで清水も均衡を保った 
*しかし、実戦的に時間を使いすぎた、というのが敗因になった ▲3一馬なら大変な勝負だった
まで86手で後手の勝ち


局後の感想
清水「▲4五同桂のあたりが勝負所と思って大長考したんですけど、時間を使いすぎました」
佐藤康光「解説陣は(あからの桂損の手に)びっくりしていたんですけどね」
清水「読み筋でした」
康光「あ! そうですか!? ははあ~」
清水「どれだけ対コンピュータを研究したと思ってるんですか 今日のために(笑)」
お客「(笑)」
康光「▲6六金打ちには、清水さんの気迫が感じられて感動しました」
清水「公式戦ではないとはいえ、やっぱり悔しいです」

勝又「コンピュータに勝つには、前例のない将棋、入玉形などに持ち込むのがいいと思う
 ヒューマンエラーがあるという前提で、コンピュータの弱点を突いていかないと、
 勝つのは厳しいかもしれない 
 (今後のコンピュータの棋力の可能性について)コンピュータの発展性は、まだあると思います」