郷田真隆九段vs糸谷哲郎五段   NHK杯  準々決勝
解説 井上慶太

今週も矢内登場、ってあら、雰囲気が変わってる 白黒のコートに赤のタートルネック、
なんだこの昭和レトロのようなデカいコートは? デカ過ぎだ(^^;

さて、前期NHK杯準優勝で、C1に昇級も決めた注目の糸谷登場だ
解説の井上「郷田は切れ味鋭い攻め将棋 糸谷は力強い受け将棋」

事前のインタビュー
郷田「豊島との一戦は全体的にうまく指せた
 糸谷も私も激しい将棋が好きなので、そういったせめぎ合いを見ていだだければ」

糸谷「シーザーとの一戦は満足な将棋だった 今回も相居飛車になると思う
 お互いの力のぶつかりあいに注目してほしい」

先手郷田で、後手糸谷の一手損角換わりに進んだ 相早繰り銀だ
井上「相早繰り銀はめずらしい 平成20年のNHK杯では、この2人はやはり一手損角換わりになって、
 相腰掛け銀で糸谷の完勝だった」

井上「一手損角換わりの後手番は、先攻されやすいので受けが強くないと指せない
 糸谷の受けは、将棋界でも5本の指に入ると思う 5本じゃ本人は納得いかないかもしれないが(笑)」

郷田が早々に趣向を凝らしてきた ▲3八金だ これで、もう見たことがない形だ
井上「はあ~ ほお~ 金ですか~」
糸谷も△4二飛と振って、攻めをけん制
井上「この辺は構想力の勝負」 と言っていたら、なんと糸谷、△7二飛とまた振りなおしたではないか!
うお、これは気がつかない さっき4筋に振ったばかりだぞ 

そして、さっそく△7五歩と動いた糸谷
井上「激しくなりそう」 矢内「もう玉を囲う将棋ではなさそうですね」

ここで雑談で、矢内「郷田は一手損角換わりは、棋理に反するので自分では指さないと言ってましたね」
この△7五歩のところで、もう郷田は糸谷流の自在の指しまわしに、翻弄(ほんろう)される気配が
あったのかもしれない 何しろ、一手損してさらに、△4二飛~△7二飛~△7五歩だもんね

これ、後手大丈夫か? 角を持ち合っているので、先手からの攻め筋がいっぱいあるではないか 
井上「一発KOがありうる」
しかし、郷田の指し手は自重の▲7四歩だった 
井上「変化球ですね」 が、郷田はこの手を感想戦で悔いていた
角を打って華々しく勝負すべきだったとのこと

糸谷は7筋から銀を引いて陣形を立て直した そして、▲2四歩が来た瞬間、△7四飛!! うわあ
井上「あ! ほお~ このタイミングで!」
郷田、思わず「いやあ~」とつぶやいていた 
局後、郷田に「どうも読み筋が合わんね」と言わしめた一手だった これは誰も読めないだろう(^^;

形勢は、郷田が有利に見える どうも、後手の袖飛車が中途半端なのだ
郷田が飛車で横歩をパクパクと食べ、歩得していく 
井上「郷田は落ち着いてますね 糸谷は歩切れですからね」

しかし、郷田はもう持ち時間がなくなっている 糸谷は例によってノータイム指しがベースで、
たまに時間を使う手がランダムで合間に入り、なんだか見ているほうの思考を混乱させる
これぞ糸谷流の時間攻めだ そして、△4九角と敵陣深くに打ち込む勝負手! これも見えなかったな~

郷田、秒に読まれながらあわてて打った▲2五角がかなりの好手の返し技、
A級棋士の地力を見せた手で、糸谷は困ったかと思われたのだが、
糸谷は△4三金というじっと受ける気づきづらい手を指した
この金上がりは自分じゃ絶対指せないな~ 忙しいと思われる終盤で、自陣の形を直すだけの手だ

そして糸谷は歩切れも解消、局面がもうどっちがいいかわからなくなってしまった
受けの糸谷、本領発揮だ 粘り強い! 
井上「なかなか難しいですね」 形勢不明だ いつの間に、という感じだ
序盤から郷田の思考を乱してきた効果が、ここに来て出始めたね

さらに、糸谷は△4四飛と打つ、自陣飛車!
井上「これは糸谷が良くなったと思う △4三金の辛抱が良かった」

郷田もまだ攻勢を見せたのだが、糸谷は遊んでいた銀を着実に攻めに活用、
郷田玉を一気に寄りにもっていった 100手で糸谷の勝ち
井上「あれやこれやとやってるうちに、寄ってしまいましたね」

井上「郷田がうまく指し回して、優勢なところがあったと思うが、郷田の攻めが切れた後の
 糸谷の寄せが素早かった」
矢内「糸谷は辛抱強かったですね~」

糸谷、歩切れで不利と思ったのに、そこから逆転勝ちか 最後は差がついていた
糸谷、なんかこういう勝ち方、多いね(^^;
どうも、糸谷と指すと、対戦相手の思考が乱れるように思えてならない 今回もその典型だった

感想戦で、郷田が良くなる順がはっきり言われていた
だけど、糸谷の独特の時間攻めと、相手が見えていない受けの勝負手のせいで、
実戦ではペースが糸谷のほうに傾いていくんだよね
郷田「どうも読みが合わんね」とぼやいていたのが印象的だった
解説の井上さんも「よくわからない将棋だった」とのこと(^^;

でもこれが糸谷流なんだよね 棋譜を見ただけでは、糸谷の強さはわからないね
碁会所のアマチュアのおっさんみたいな時間の使い方と指しまわしが、A級棋士に炸裂だった
糸谷、昔なら、プロよりも真剣師になっていたかもしれない
個人的には△4三金がとても印象に残った 糸谷、あれやあれやで、今回もベスト4進出だ