第19期 銀河戦
本戦Cブロック 10回戦
藤井 猛九段 vs 畠山 鎮七段
対局日: 2011年3月17日
解説:富岡英作八段
聞き手:久津知子女流初段
記録:井道千尋女流初段

土曜に放送された銀河戦 あの~、対局日が3月17日ってもう3ヶ月も前なんですけど・・・(^^;

人気者の藤井が登場 藤井は予選シード 対するはハタチン NHK杯に続き、またハタチンだ
前局の先崎戦では、終盤でわずかな隙を見逃さず、見事な逆転勝ちだった 

22年度の成績は、藤井19勝19敗 ハタチン14勝17敗 2人の対戦成績は藤井の6-1
解説の富岡「藤井は振り党の代表格、ただ最近は矢倉も指す
 ハタチンは居党の攻め将棋、危ないところにも踏み込んでいく
 この2人は案外タイプ的に似ている」

先手藤井で、相矢倉模様だ ハタチンは△5三銀右として、藤井の早囲いをけん制した
したらば、藤井、▲7七銀と上がるのを保留して、先に▲7九角と引いた
富岡「▲7七銀を先に上がらないといけない、と法律で決まっているわけではないですから(笑)
 でもどう考えても、これから▲7七銀と上がるでしょう」

しかし、藤井には秘策があったのだった! なんと▲7七銀じゃなくて▲5七銀! 左の銀で▲5七銀だ
こんな指し方があるのか! まるで、vs四間飛車の▲5七銀左急戦のようだ あるいは鳥刺しか
富岡「あ~! 出ましたね 藤井はやっぱり普通の居飛車党じゃないですね」

藤井の独創が飛び出し、▲ナナメ棒銀で攻めvs△矢倉で受け、という図式になった
これは面白い どうなる? ハタチンはどう受ける?
ハタチンはじっと、普通に矢倉に組んでいる ノーマルな駒組みだ これで受かるのか?
藤井は攻めていく 先手側は、中途半端に矢倉囲いを知った素人みたいな作戦だ(^^;

富岡「ハタチンの『角、銀の総交換に来て見ろ』という意図に、藤井は『おー 行くぜ』ということですね」
で、総交換になり、富岡「藤井の作戦がここまではうまく行っていると思う、
 序盤の△5三銀右を逆手に取った藤井流の発想は新しい」
お~、このまま行けば藤井の勝ちらしい、今回は藤井の新しい戦術の目撃者となれる!?

しかし、聞き手の久津さんが「具体的にはどうするのか・・・」と言っている
全く同感だ 棒銀で角、銀の総交換になっただけでは、勝ちではない 将棋は玉を詰まして勝ちだよね
なんか、棒銀って銀の交換に成功しただけでもう勝ちみたいに言われるけど(^^;

で、ハタチンの逆襲がキター △4九角の打ち込みから、急所の5筋攻め 
うわ~ これめっちゃキツイわ 先手玉は6九で、後手玉は3一 この一路の違いで安定感が大違いだ

藤井、もう考慮時間全部なくなって、秒を9まで読まれてる 雰囲気が明らかに追い込まれてる
あれ~? 藤井が良かったはずじゃないの?
富岡「先手がうまく行ったと思ったが、こうなってみると後手持ち」
お~い、富岡さん!(^^; 藤井がなんらかのミスをしたとも思えないのだが・・・ 

ハタチンの筋に入った攻めの前に、先手陣は崩壊した 
藤井、いったん不利になったら、なすすべなし! 
最後は大差がつき、80手でハタチンの勝ち あ~藤井、負けたか 作戦はとても面白かったのだけどね

富岡「藤井流のナナメ棒銀は効果はあったと思うが、△4九角の反撃でハタチンがペースをつかんだ」

この一局、棒銀という作戦がなぜあまりプロで指されないか、よく現していると思う
苦労して角銀の総交換になっても、まだ形勢が難しいのだ 
これではプロが棒銀をやることが少ないのも、うなずける  
本局では△4九角の一発で、すでに後手が有望とのことだった

それにしても、ハタチンは疑問手らしい手を一手も指していない 
感想戦をやっていたが、後手の手を修正するところは無いようだった 
初めて見るはずの藤井のナナメ棒銀作戦に対し、正面から受けてたって、終盤の切り合いでの勝ち
これはとても強い勝ち方だ 序盤、じっと△4二角~△3一玉と「どうぞナナメ棒銀をやってきてください」
として、それが終盤でモロに活きて、予定通りに勝ったわけだ ハタチン、地味に強い!

感想戦で、藤井「▲6九玉がもう敗因かも 居玉のままが良かったか」
新戦法を生み出すには、それなりの苦労がある、と思わされた 
藤井の新発想は見れたんだけど、それを藤井が指しこなせるまでにはいかなかったか 
中盤の手が広いところ、羽生ならどうしただろうと思わずにはいられなかった 
ハタチンが、藤井の新戦術を相手に、ほぼ完璧に指しまわし、完勝という一局だった