第21回 世界コンピュータ将棋選手権
対局日: 2011年5月3日~5日
解説:勝又清和六段
聞き手:中村真梨花女流二段

世界コンピュータ将棋選手権のサイト→ http://www.computer-shogi.org/

・ponanzaの製作者、山本一成さん、2次予選を7勝2敗で通過してのコメント
 「3年前は31位でしたので、それと比べれば、だいぶ進歩しました」
 山本さんは東京大学の大学院でコンピュータ関連の仕事をしているとのこと
 まだ25才だそうで、若いです
 決勝リーグを7チーム中、5位で終えてのコメント
 「感想は・・・負けて優勝を逃して、非常に不愉快です(笑) ぜひ勝ちたかったです」

・Bonanzaの製作者、保木邦仁さん
 「去年はコンピュータ6台の合議制で参加しました、今年は17台をかきあつめて、
 合議制とかクラスタ並列化とか詰将棋専用マシンを準備しました」
 「決勝リーグの2位は、運が良かった部類に入ると思います」

・ボンクラーズの製作者、伊藤英紀さん
 「予想外の相手に勝ったり予想外の相手に負けたり、ジェットコースターのような1日でした  
  最後の最後、Bonanzaが負けて、ボンクラーズが勝って優勝だったので、びっくりしています」

・決勝リーグの様子はニコニコ動画で配信されたが、10万人が見ていたとのこと

・勝又「コンピュータの指し手が早く、解説が追いつかなくて大変だった」

・中村真梨花「コンピュータに期待することは?」
 勝又「もうコンピュータに期待したいことは、ないですね(^^;」


勝又六段が何局か取り上げてましたが、私が見て、特に印象深かった2局を載せます
2次予選の▲ponanzavs△ボンクラーズの解説 79手目までの局面
コメントは勝又六段のものです 私の補足は(カッコ)の中に書いてます

後手:ボンクラーズ
後手の持駒:金 銀三 歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
| ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・ ・ ・v桂v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ 銀 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ 歩v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 金 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:角二 歩二 
後手番
先手:ponanza

*(局面は79手目▲7七同金右まで)
*ponanzaの山本さんは、激指の鶴岡さんの後輩で、今はGPSの田中先生のところで教わっている
*山本さん自身も東大将棋部にいて、将棋が強いんです
*
*ボンクラーズの伊藤さんは、メーカーの研究者
*ボンクラーズの名前の由来は「Bonanzaの並列クラスタ」を縮めた意味です
△6八銀
*人間だと△6九銀と打つんですけどねえ
▲6三銀成
*これを△同玉は▲5四角の王手飛車があります
△8二玉 ▲3八角
*これ以上攻めがないので、受けました
*これは受け一方の手ではなかったんです
△7七銀成
*▲同桂なら△6九銀の予定だったとのこと
▲同 玉 △5七銀 ▲5四角 △2二飛 ▲7二銀
*玉の腹から銀、▲4六歩と角道を空けて、8三の地点を狙う筋もあります
△4四金
*いやー これは強いですね これは指せないです
*(わずか9秒での着手!)
*次に▲4六歩には△3八竜の読みです
▲8六玉 △5四金 ▲同 歩 △8四銀
*ここは銀より金のほうが、8三の地点をカバーして指しやすいですよね
▲9七玉
*ここからの後手の寄せは、人間ではまず思いつかないです
△6八金
*このベタ金は思いつかないです 質駒が確定ですもんね
*(これも9秒での着手!)
▲7七金
*本譜はこう逃げました
△7九角
*これに▲8八金合は△3八飛成で後手勝ちです
▲9八玉
*次ですね 次が一番びっくりしました
△3八飛成
*飛車を渡す攻めです これは後手は怖いんです
*(これも9秒での着手)
▲同 金 △8八角打
*(ここも9秒で着手)
*後手は持ち駒がなくて、次に絶対先手玉を詰ませられない形、もし自玉に詰めろが続けば負けです
*人間には指せない感覚です
*次に、▲7一飛の詰めろだと、そこで△7二飛の読みなんです 以下、▲同飛成△9三玉で、先手の持ち駒に角銀がないので後手玉は詰まないんです
*それを見越しての、この寄せだったんです 
*これで勝負が決まりました
▲7六飛 △7二飛
*以下は後手勝ちです
▲同成銀 △9三玉 ▲7八金打 △9七銀 ▲同 桂 △同角成
▲8九玉 △7八金 ▲同 金 △8八金 ▲同 金 △同 馬
*まで、116手で後手ボンクラーズの勝ち
*(総考慮時間は、先手17分15秒、後手は11分11秒
*25分切れ負けルールなんですけど、後手が80手目からかけた時間は、たった1分55秒!!)


決勝リーグの▲Bonanzavs△ボンクラーズの解説
ただし、この解説、必ずしも当てになるか、というと「?」です
私が独自に激指定跡道場2で調べたところ、なんだかとっても難しいようです
今回の番組では取り上げた局数が多く、急ぎ足になってしまってました そこは残念でした
それとあと、この番組をもう1ヶ月くらい早く放送してくれないかな~(^^;

後手:ボンクラーズ
後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v金 ・v歩v歩|三
| ・ ・v銀v角v歩v歩v歩v銀 ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 銀 歩 歩 歩|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
後手番
先手:Bonanza

△1四歩
*(図は48手目△1四歩とした局面)
*ここでは△4五歩としたほうが良かったですね
*後手の銀は△5三銀型ではなく、△7四銀型なのでね
▲5五歩
*ここからの仕掛けはプロ並みです
△同 歩 ▲1五歩 △同 歩 ▲3五歩 △同 歩 ▲同 銀
△同 銀 ▲同 飛 △3四歩 ▲3八飛 △5六銀 ▲1三歩
*この手が指せるようになったのがコンピュータの進歩です 端攻めは見返りが後からくる、先に駒損するので、昔は端攻めはできなかったんです
△同 桂 ▲同桂成 △同 香 ▲2五桂 △3五桂 ▲3六銀
△6七銀成 ▲同 金 △2四歩 ▲1三桂成 △同 玉 ▲3五銀
△同 歩 ▲同 飛
*これが金取りで、▲1五飛と回って端が破れるのが決定、Bonanzaの攻めが決まったんです
*だけど、ここからがクライマックスでした
△8六桂
*突然打ちましたね
▲同 歩 △同 歩 ▲同 銀
*これで受かっているのを、Bonanzaは読み切っているんです 以下、△同角▲同角△同飛▲8七歩△同飛成▲同玉△6九角には、▲7八桂と合駒して先手玉は詰まないんです
△2二玉
*ボンクラーズもそれを読み切って、玉を逃げました
▲8三歩 △同 飛
*この場面で、先手は▲8七歩としておけば手堅かった
▲4一銀
*しかし、恐れを知らないので攻め合ったんです
△4二金寄
*達人どうしの攻防です
▲1五飛 △8七歩 ▲同 玉 △8五歩
*ここで、先手は▲7七銀とすれば良かった
▲1一飛成
*この王手を決めちゃったんです それでドラマが起きました
△2三玉
*ここで、Bonanzaの予定は▲4六桂だったんですが・・・
▲7七銀
*読み切れず、銀を逃げてしまった
*ここからボンクラーズに絶妙の手順が出ました
△8六歩
*何だ、これは?と思うでしょ
▲同 銀 △7九銀
*これが驚きの一手! これで逆転しました 先手が飛車成を決めなければ、銀を持てば後手玉に詰む変化があり、この手はなかったんです
▲同 角 △8六角
*堂々と取って、後手玉には詰みなしと見切ったんです
▲8四歩 △同 飛 ▲8五歩 △5九角成 ▲1三龍 △3四玉
▲2四龍 △4五玉 ▲3五龍
*以下、追いかけましたけど、後手玉は詰まなかったです
△5四玉
*(以下、手はまだ続き、141手で後手のボンクラーズが勝ちました 後手の総考慮時間は、わずか11分13秒!
*すごい難解で私には難しすぎます(^^; 雰囲気を味わってもらえればと思い、取り上げました)


米長会長のHPによれば、今年の12月にコンピュータと会長が指す計画があるそうで、
実現すれば、俄然、楽しみです!!