第19期 銀河戦
決勝トーナメント 1回戦 第2局
渡辺 明竜王 vs 野田敬三六段
対局日: 2011年6月1日
解説:森 ケイ二九段
聞き手:早水千紗女流二段
記録:渡辺弥生女流1級

渡辺vs野田かあ 個人的にけっこう楽しみなカードだ
渡辺は竜王7連覇中でA級、野田は竜王戦6組でフリークラスだから、これ以上ない階級差だ
渡辺が勝つのだろうが、どのように勝つのか? その内容が注目だ まさか負けないだろう・・・(^^;

渡辺は島に勝ち、野田は田丸、藤原、佐藤和俊に勝ち決勝トーナメント進出
23年度の成績は、渡辺2勝0敗 野田0勝1敗 2人の対戦成績は、渡辺の1-0

解説の森けい二「渡辺は居飛車党で矢倉が得意、横歩取り、角換わりも得意 相手に合わせるタイプ
 野田は何の作戦でもやる たぶん振るんじゃないか」

先手渡辺で▲居飛車+左美濃vs△向かい飛車急戦狙い、になった △4三銀~△3二金型だ
アマにもわかりやすい戦型で、森も解説しやすいようで、スラスラと流れるように話してくれる いいね

野田、美濃囲いにするかな、と思いきや、△6二銀で囲いを済ませてしまった
この△6二銀+△6一金+△7二玉の形、個人的には「プレハブ囲い」と呼んでいるが、
正式名称は何だろう(^^;

さて、渡辺が銀冠に組み替えようとしたときに、野田が戦いを起こした
森「そうでしょう、戦うなら今でしょう!」
渡辺の桂頭を攻める野田、渡辺は受けるのに、軽く飛車を浮いて、飛車を細かく動かして受けて見せた
森が気がつかなかった軽い受けで、さっそく森の解説を上回ってる さすがだなー

渡辺、2筋に歩を垂らし、手を渡す 野田、この垂れ歩が取れず、攻めて行きたいがどうにも動けない
渡辺はここから、攻めを見せて後手をけん制しつつ、着実に自玉を固める、という作戦

渡辺は的確に後手をけん制をしているので、野田からは動けないし、
だんだん玉形は先手だけ固くなる、という展開 見ていて、これが実に丁寧な指し回し!
もう、一手一手が、「次の一手」の問題集になりそうな感じ 本当にホレボレする
ここまで細かく戦うか~、という手の連続だ
渡辺の戦いの最中に自玉を固める手に、森「こういう手が憎いですね~」

野田、40手目で戦いを起こして以降、ずーっと決め手は与えず粘っていたのだが、
71手目、1筋を攻められて、ついに堤防が決壊した 攻めるにしても、こんな端から破っていくのか
渡辺、本当に丁寧! 一気に中央突破とかは考えないのね こんな遠い1筋を破るのかあ
森「全くダメになりましたね これは」
聞き手の早水「少しずつ、少しずつの差だったんですけどねえ」

結果、駒割りが後手の金の丸損になり、111手で渡辺が快勝した 
いや~、渡辺、お見事だったわあ 一手一手に細心の注意を払って、万全だったね
獅子(しし)は兎(うさぎ)を狩るにも全力を尽くす、というけど、
その通りの将棋だった! これは一手違いの接戦とは違った意味で、実に見ごたえがあった

投了図だけ見れば大差なんだけど、そこに至るまで、実に細かい手の連続で、
小さい差を積み重ねて広げていく これぞ真の実力者の将棋だよね

森「戦いが起こった後の、渡辺が3手、玉を固めた手、印象に残りましたね 終始落ち着いていましたね」
局後のインタビューで、渡辺「指しなれない展開で、先に攻められてイヤだったんですけど(^^;
 優勝目指してがんばります」

感想戦を見ていると、野田の敗因は、結局、作戦として金銀が左右に分裂していたのがどうだったのか、
というところまでさかのぼりそうだった
この戦型で後手を持って渡辺と互角に戦えるのは、羽生か森内か康光ぐらいと思う
渡辺、万全の王者の指しまわしで、まずはベスト8進出!