第19期 銀河戦
決勝トーナメント 2回戦 第3局
羽生善治二冠 vs 森下 卓九段
対局日: 2011年7月15日
解説:佐藤康光銀河
聞き手:村田智穂女流二段
記録:井道千尋女流初段

大盤が映し出されたが、なんか局面がすごい進んでる これは、相入玉・・・?
聞き手の村田「相入玉が成立して、指し直しになりました」
康光「後手羽生のゴキゲンに、森下が中央から手厚く指した将棋 両者24点以上あるので引き分け」
盤面を見る限り、不動駒が2枚くらいしかなく、手数もかなり長い将棋だったようだ

指し直し局は、先後を逆にして、持ち時間なしで初手から30秒、考慮時間5回ずつとのこと

羽生はアベケンに勝ち、森下は戸辺に勝って、決勝トーナメントのベスト8進出
23年度の成績は、羽生13勝8敗 森下4勝3敗 2人の対戦成績は羽生の37-14

康光「羽生はオールラウンダー、最近は振り飛車系も多い 
 中終盤、他の多くのプロが気がつかない妙手を指す
 森下は手厚い、駒を前進させ着実につみかさねる棋風、受けにも力を発揮する、
 近年は最新形の激しい将棋も取り入れている」 

指し直しかあ 早い段階で千日手で指し直しになったのならともかく、相当に長い激戦の末の指し直しだ
どう影響するか 
初手から記録の井道さんが「10秒・・・」と秒を読む 
康光「プロは、初手から秒を読まれるのは実は慣れていないんですよ」とのこと
へー、そうか 私なんかは、24の「早指し2」でしか指していないから、
初手から秒を読まれないと調子がでない(^^;

康光「羽生は今期に入って、過密スケジュール 名人戦、棋聖戦、王位戦、王座戦」
今日も王位戦の第7局をやってるね

先手羽生の居飛車に対し、森下はなかなか態度を決めないが、右玉に落ち着いた
羽生は矢倉に囲う途中のような、居飛車にありがちな陣形 引き角から右方面を狙う作戦 
先手は▲2四歩から角交換する権利があるが、羽生は無視、3筋から攻めた
右玉に対して角交換しても、損なことが多いよね 右玉側はスキがない陣形だからね

中盤、森下は飛車を4筋に、羽生は3筋に回しての戦い
康光「少し先手のペースか」

羽生、後手の6五の桂を▲6五銀と食いちぎって、一気に勝負をかけた
康光「これを△同歩では桂を打たれて後手陣は崩壊する、
 森下は持ち駒の銀を自陣に投入して受けるだろう」
が!? 森下、平然と△同歩! え~ 大丈夫??

康光「これはもう完全に決着がつく」
え~? 羽生の攻めが受かるのか? 単純な飛車打ちの王手が受けにくそうだが・・・ 森下の意図は?
で、結局、飛車打ちの王手から羽生の攻めが続き、後手陣、なすすべなく崩壊!
森下、完敗 わずか87手、時間は開始から52分の短時間決着

ええーー もう終わり? すぐ終わっちゃった ええー 52分って・・・ あー不完全燃焼!
何しろ、こっちは持将棋になった将棋は全然見てないんだもん この将棋だけだとあっけない あー
康光「終始一貫して羽生の落ち着いた指しまわしだった」

感想戦で、森下「飛車打ちの王手が、まるで見えてなかった」
なんでやねーん なんで見えへんねん アマ初段もあれば楽に見える変化やで 
超平凡な飛車の横利きの王手やで もう~ 思わず素の大阪弁になるで
直前に羽生と相入玉の激戦をやったはずなのに、こんな手を見落としている森下、落差がひどい(^^;

この将棋、実戦よりも感想戦のほうが盛り上がった
右玉のような玉形の薄い将棋は、康光の得意としているところ
その康光が、形のこだわらない無理ぎみの手をたびたび指摘、そのつど
森下「はあ~! 佐藤君の将棋ですね~!」
森下「はあ~! 佐藤流ですね~ 気がつきませんでした なるほど!」
そこへ羽生も入ってきて、羽生「なるほど はい、ええ、ええ」と言いながら検証してくれた
 
奇抜で強引な発想の康光、常識人で手厚い棋風の森下、天下の羽生、この3人の取り合わせが絶妙、
これ以上はないね まさにマニアにはたまらない感想戦だった
この取り合わせは、おいしいで! とまた大阪弁になってしまうのだった

局後のインタビュー
羽生「そうですね 持将棋にもなりましたし、長い一局でした 
 (次の糸谷戦は)若手で早見え早指しに定評があるんで、私も思い切って指したい」