第20期 銀河戦
本戦Dブロック 1回戦
前田祐司八段 vs 野田敬三六段
対局日: 2011年9月14日
解説:室岡克彦七段
聞き手:安食総子女流初段
記録:井道千尋女流初段

土曜に放送された銀河戦  前田に野田に、解説が室岡 うわー、超マニア好み(笑)
前田さん、かなりひさしぶりに見る この人、NHK杯で優勝したことがあるんだよね 楽しみだ

前田は予選で船江四段に勝ち、野田は前期決勝トーナメント進出により予選シード
前田、さすが、新進気鋭の船江に勝つとはね (船江は現在C2で4連勝中)
23年度の成績は、前田1勝5敗 野田1勝5敗 

解説の室岡「前田はオールラウンダーで早指しがもっぱら強い 先を見通した深い手を指す
 野田は力戦が得意」

前田さん、いきなり足を崩して、あぐらからのスタート 
太ってるので、もう正座ができないみたい(^^; 
さらに、くわえタバコだ タバコに火はつけていないので、喫煙にはならないと思う 
そういえば、対局中にタバコを吸う棋士というのを(TV将棋では)近頃めったに見なくなった

先手前田で、▲四間飛車+美濃vs△右四間+穴熊というアマチュアになじみがある戦型になった
ノーマルな四間飛車ということで、四間飛車使いの解説の室岡さん、終始楽しそうにしゃべってくれた

聞き手の安食「室岡先生もよく四間飛車を指しておられて」
室岡「なかなかうまく指しこなせないんですよ まだね」
このシーン、なんだか笑ってしまった 52才でベテランの室岡、
「まだ」という表現を使うか これからもっと上達する意気込み、いいねえ!

室岡、野田がもし急戦で攻めてきたらどうなるか、というのを検討してくれて、なかなかいい解説だ
野田、攻めていってくれたら面白いのだが、自重し、▲8六歩~▲8五歩~▲8八飛に△8二飛と受けた
げえっ 妥協か~ 超持久戦だ もう開始から40分近く経つが、駒がぶつからない

と思っていたら、△6三金~△7四金と力強く出ていって、戦いが起こった
やっと面白くなった! この一局、ここから前田のセンスあふれる手の連発になった
室岡、何回も賞賛だ 前田、室岡の言っていたとおり、先を見通した手を指すね
相手の金が出てきたところに、かるーくさばく▲6五歩は筋中の筋、
攻めて来なさい、と▲8四歩の手渡し、こんな手、自信がないと指せない!
そして、持ち駒の金を自陣に投入して、なんと受けに回った!
穴熊を相手に全駒狙いか うわー、個性的な指しまわし! 

前田は序盤は時間を使っていたが、中盤に入ってから、難しい局面をハイスピードでポンポン指していく
ノータイムで、よく読みが入った手を指せるものだ
野田も粘り、なんとか攻めをつなげるべく、がんばる なかなかの熱戦、好局だ

さて、局面は終盤の大詰めだ 銀捨てで強引に挟撃体制を作った野田、攻めをつなげられるか!?
前田が受けきりそうだが、実戦ではどうか  

後手:野田
後手の持駒:角 金 銀 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v銀v香|二
| ・v歩 ・ 角v歩 ・v金v歩v歩|三
|v歩 歩 ・ と ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|五
| 歩 飛 ・ ・ 銀 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ ・ ・ ・ 歩 歩 玉 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:銀 桂 歩 
先手:前田

▲3五歩 △3六銀 ▲同 玉 △2八角 ▲2六銀 △6四角成

△3六銀捨てから△2八角で挟撃、解説の室岡は「▲3七桂でどうか」と言っている
そこへ、前田、なんと▲2六銀!? ん? なにコレ? 大丈夫? 
室岡「△4六金で詰んでますよね ・・・見落としですね」
ああー! 一手バッタリ、大トン死、やっちゃったー!

野田、残っていた考慮時間1回を慎重に使い、指した手は・・・ △6四角成!!
なんでやねーん ドタッ ここ、見ていた視聴者全員が、コケたんじゃないだろうか(^^;
超単純な5手詰、なんで両者が見落とすの~ あー、せっかくここまで好局だったのに(笑)
前田は▲2六銀としてから見落としに気づき、もう投了する予定だったのだろう、
△6四角成でも投げちゃった △6四角成まで90手で野田の勝ち

あー、中盤はすごく面白くて、前田が才気あふれる指しまわしを見せていたのに、最後は残念!
・・・しかし、野田、考慮時間を使って△4六金を見逃すか(^^;
室岡さんの解説、手が見えていてなかなか良かった さすが四間飛車党だね
室岡「前田が早指しとは思えない、参考になる手を随所に見せ、うまく指していたが、
 最後は劇的な終わり方になっちゃった」 

でも、面白かったよ 個人的には、前田の将棋をもっと見たかったので、負けて残念だった
ただ、この2人には、対コンピュータ戦は任せられない、と思った一局だった