阿久津主税七段vs村山慈明五段 NHK杯 2回戦
解説 野月浩貴

矢内、胸のでっかいネクタイ、色が白と黒と紫でオシャレだね いいね
今日は阿久津と村山か 若手の強豪どうし、きびきびした攻め合いが見たいが、どうなるか

阿久津は1回戦で窪田に勝ち 竜王戦2組、順位戦B1 NHK杯は7回目の出場
村山は1回戦で船江に勝ち 竜王戦3組、順位戦C1 NHK杯は4回目の出場

解説の野月「2人とも似た棋風 最近、終盤にしぶとさが出てきて、バランスがとれてきた
 阿久津は持ち時間の短い将棋が得意、村山は持ち時間の長い将棋が得意」

事前のインタビュー
阿久津「村山は、小学生のときから知っているが、見た目も将棋もそんなに変わっていない印象
 TV対局というのを意識しすぎないようにして、自分らしい将棋を指せたらいい」

村山「阿久津は、非常に切れ味のある攻め将棋
 いい将棋を指せるようにがんばりたい」

雑談で、野月「阿久津は明るくて寂しがりや 家が私と近く、よく電話がかかってくる
 西尾、広瀬とも家が近所、この4人では将棋は指さないが、将棋論をよく話す
 誘うのはいつも阿久津からで、『野月先生、おなかが空きました』と電話がかかってくる
 冬中、私の車の中には彼のスノーボードの用具が入っている いつでもスノボに行けるようになってる
 
 村山は序盤は何でも知ってる 質問をすると、訊いていないことまでしゃべってくれる
 他人に教えても、自分はそれ以上に研究するから大丈夫、という自信の表れ」

対戦成績は、阿久津0勝、村山の2勝か 前の対局が3年前、3年に1回ずつ当たってるね 

先手阿久津で、3手目にノータイムで▲6六歩、なんと三間飛車に振った
野月「阿久津が村山の得意をはずした、阿久津は相手の得意をはずす戦い方をよくやっている
 しかし阿久津の三間飛車というのはほとんど見たことがない、めずらしい」
私は、相居飛車での、薄い玉での切り合いを予想していたので、肩透かしを食らった感じだ

▲三間+美濃vs△居飛車+穴熊だ このまま、まだ駒組が続くんだろう、と思っていたら、
野月が「阿久津は勝負どころと思っているんでしょう」と言っている
先手は今がベスト、手が進めば後手だけ固くなるばかり、か
すると、阿久津が▲6五歩と仕掛けた! こうやるものか 一気に開戦だ
  
この仕掛け、そうとう機敏だったようだ
野月「形勢は微妙だが、阿久津の攻め駒が全部働いている 先手がペースを握った」
ここ、私が疑問に思った変化で、大事な変化があった 下の図で解説します

後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v玉|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・v香|二
|v歩 ・v歩v銀v歩v歩v角v歩v歩|三
| ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 飛 ・ 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし

▲6五歩
*ここから戦いが始まった 機敏な仕掛けだった
△8八角成 ▲同 飛 △2二角
*野月は「▲7七角だろう」と言っていたが・・・
▲6八飛
*意表のこの手! 次の手、村山は△6四歩だったが、
*私の疑問は、△9九角成はないのか?ということだ
△9九角成 ▲6四歩
*私の読みは、ここで△6六香が厳しいのでは?と思っていたが、それには▲5五角の返し技があって、先手が優勢だ 
△5四銀 ▲6三歩成
*この局面、ちょっと先手がいいようだ
*以下、一例を進めてみる
△6六香 ▲7八飛
*△6六香には、この飛車寄りが軽い好手
△8九馬
*桂が取れるが、馬のラインがずれてしまう
▲7六飛 △6三銀
*ここで▲6六飛もあるし、▲7四歩~▲5五角の狙いもある 先手がやれる局面だ




局面進み、阿久津は▲7三銀成と襲い掛かり、有利を拡大した 
今、後手が△9五角と打った局面 もう1回、図を使って書きます 

後手の持駒:銀 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・v飛v歩v銀 ・v金v銀v香|二
|v歩 ・v桂 ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
|v角v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 飛 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 玉 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩二 

*今、後手が△9五角と打った局面 ここで、私の疑問、当然▲7八飛では?
*本譜は▲6九飛と逃げたけど、どうだったのか?
*
*ここは私の意見と激指定跡道場2の意見が一致、最善は▲7八飛で先手有利と出た(+600くらい)
▲6九飛
*本譜はこの手だった
△8六歩
*これがかなり疑問だったようだ
▲同 歩
*普通に取られて困った
*△同角は▲7三歩成があるので全然ダメだ
△8五桂
*なんか、無理やりっぽい手
▲7九飛 △7七銀
*えーー プロがこんな手指すのか・・・
*序盤は棋界屈指と言われる村山が、序盤の構想でここまでひどくなるのは悲しい
▲9六歩 △8六角 ▲7三歩成  △7一飛
*先手、大優勢 と思いきや、本局、ここから一手違いになるとは!? どうなってるんだ(^^; 激指のおススメは、以下▲6九飛と手を渡す すると後手には有効な手がなく△4四歩くらいしかない そこで▲6五飛で先手の優勢が拡大するとのこと すごい読みだ


△7七銀に、野月は「めちゃめちゃ困った指し手 思わぬ展開になってしまった」
そうだよね こんな手はプロではめったに見たことがない

△7一飛のところでは、激指は+1100くらいで先手優勢と出てる
ところがなんと、これがここから、一手違いになっちゃうとは? 

終盤、野月「先手玉が詰むか詰まないか、そういう将棋ではなかったはず」
阿久津はなんとか勝ちきったけど、もっとキレイに勝ちきってほしかった
終局直後、阿久津「怪しかったか」 村山「怪しくなったとかと」

うーーーん、阿久津も村山もどうしたのか
若手トップ級の2人、それなりの高いレベルの将棋を期待していたのだけど、
本局はどうにもこうにも、2人とも本調子ではなかったと思う
阿久津の仕掛けは見事だったのだけど・・・
野月、雑談は面白かったけど、中盤では、もっと解説してほしかった
んー、私にとっては残念な一局となってしまった