第20期 銀河戦
本戦Gブロック 2回戦
伊奈祐介六段 vs 佐々木勇気四段
対局日: 2011年9月15日
解説:石田和雄九段
聞き手:久津知子女流初段
記録:伊藤明日香女流初段

伊奈は予選でコーヤン(中田功)に勝ち 佐々木勇気は予選で高野、前局で山口アマに勝ち
23年度の成績は、伊奈5勝5敗 佐々木12勝6敗

解説の石田「両者居飛車党、伊奈はのらりくらりとかわす将棋、佐々木は攻め将棋」

伊奈は35才、妹が渡辺竜王の嫁だそうだ そうだったのかあ 妹さんのブログ、かなり面白いよね
妹さんは女流将棋棋士を目指していたそうだ あー、そうだったのか だから詰パラとか解けるんだね
対して、佐々木勇気は石田の弟子 まだ17才だそうで、若い 

先手伊奈で、相掛かりになった ▲引き飛車+棒銀vs△8五飛という、後手はめずらしい構えだ
感想戦で、石田「この△8五飛って、流行ってるの?」
伊奈「流行ってるんですよ」とのこと 後手から9筋を攻める権利があり、有力な戦法だそうだ

相掛かりと言えば、作戦をどうするかの権利が先手にばっかりあった印象だけど、
後手から攻める有力な作戦が出てきたのか 実にいいね!
相掛かりの攻め合いは見ていて楽しいので、プロで増えて欲しい

この将棋、石田の事前の予想がピッタリ当てはまった
石田「▲伊奈ののらりくらりとした受けvs△佐々木の攻め、になるんじゃないか」
この予想どおり、佐々木がいきなり9筋から攻めかかる展開 

佐々木の攻めがあんまり急なもんだから、
石田「へーへーへー こんなに早くいっちゃっていいんですか」

対して伊奈は▲6六歩と角道を止め、受けに回った
石田「これは棋風です」

戦闘開始早々、もうすでに、後手、切れ模様なのでは? 後手は香車が△9五香と走ったけど、
その香が角で狙われていて、マイナスでしかない
いったいどうするんだ、と思われたところが下図 ↓

後手の持駒:歩 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v玉 ・v金v角 ・|二
| ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
|v歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 角 ・ 歩 歩 歩 銀 歩|七
| 歩 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:歩 

▲6八銀
*今、△7四歩に▲6八銀と受けたところ △7五歩は▲6七銀で受かっている
*後手の佐々木、9五の香が負担に思える 手がないのでは?と思われたが?
△5五角
*なんと、ここから佐々木、△5五角!
*石田「面白い将棋ですねえ 私は△3三角~△5一角~△7三角を考えたんですが、△5五角~△7三角とする構想ですね △7三角とできれば、香にヒモがつきますのでね」
▲6五歩
*で、伊奈の▲6五歩で、△同角成しかない、と思われたのだが・・・
△3三角
*ここで△3三角と引きあげるのか!
*石田「虚実の応酬ですね ▲同角成△同桂となれば、▲6六角の両取りの筋を防いでいるので、
* ▲7七桂に△8四飛と引くことができますね」
*
*この後、佐々木は6五の伸びた歩を△7三桂から狙って、攻めていった
*△5五角~△3三角って、すごい構想力!! 17才の指し手とは思えない・・・



ここから、佐々木の勇気100パーセントの攻めを、伊奈がいなしているか、というダジャレ模様の展開
石田九段の名調子の解説が聞けた
石田「どちらが読み勝っているのか! ここ数手が見所であります」
石田「香車でブスブスブスってなってしまう」
石田「なるほど なるほど なるほど なるほど 自分に言ってちゃいけない」
石田「馬の威力でもって、なんとかならないか、ということですな?」
石田「んー 伊奈もなかなか持ち味が出てます」
石田「いやー 一手一手が厳しい将棋でございますなあー」
石田「佐々木は攻めだね 緩まないねえ 2人の持ち味が出てるねえ」
(久津さんが好手を指摘)石田「は~ なるほどね そうやってくる可能性大だね」
石田「果たして、果たして、果たして、だな~」
石田「(佐々木の指し手が)早いんだよ 手が~」
石田「若さの勢いですよ 若さの勢いですよ 激流、岩をも砕くというね」
石田「金をタダで取られちゃったよ ダメだ」
 
佐々木勇気の攻撃、休まることなく怒涛(どとう)のように続き、伊奈を攻め倒してしまった
84手で佐々木の勝ち ぐお~、すごい攻めっぷりだった 
これは、す・ご・い!! 若い、若いなあ!!
考慮時間も5回余しての勝ちだ 駒から勢いがほとばしっていたよ
石田「佐々木のあまりの攻めに、伊奈は面食らっちゃったね 佐々木が圧倒的に押しまくってしまった」 
 
佐々木のすごいところは、上図での△5五角~△3三角の手と、
終盤でも8四の飛を△8六飛とふわっと浮く妙手があったことだ そんな手が見えるのか~!
佐々木の攻めと、伊奈の受け、2人の棋風がよく出ていて、石田九段の名解説ありで、
実に面白い一局だった

伊奈は「いなしの伊奈」でキャッチフレーズ決定だね
プロ14年目くらいでキャッチフレーズというのも遅いけど(^^;
佐々木勇気は「勇気100パーセントの攻め」というキャッチフレーズがいいだろう
♪そうさー 100パーセント勇気ー もうがんばるしかないさー
これをテーマソングにしたらいいね 

佐々木勇気、コイツはホントに成長が楽しみな17才だなあ 
若手有望株は色々いるけど、私の中では豊島に匹敵する新人、それくらいの逸材だ