畠山鎮七段vs三浦弘行八段 NHK杯 3回戦
解説 山崎隆之

ハタチン(畠山鎮)は竜王戦2組、順位戦B1 1回戦で森けいニ、2回戦でタニーに勝ち
 NHK杯は14回目の出場
三浦は竜王戦1組、順位戦A級 2回戦で村中に勝ち NHK杯は16回目の出場

解説の山崎「ハタチンは熱い棋士 ストレートな言動と行動、先輩後輩問わず、とても信頼されている
 攻め90パーセント 普通の人が無理と思うようなところで踏み込むタイプ
 三浦は探究心がすごく、興味を持つとそれに入り込む 攻め60パーセント
 自分の将棋に対して熱いものを持っている2人」

事前のインタビュー
ハタチン「三浦はトップ棋士の中でも、独自の研究手順を持っている人
 挑戦してみたい手がいっぱいあるので、それをA級の三浦にぶつけてみたい」

三浦「ハタチンは居飛車の正統派 男らしい指し方をする 今日は私の作戦に注目してもらいたい」

先手ハタチンで、横歩取りになった ▲3四飛と横歩を取ったとき、三浦の研究手が出た △4一玉だ
山崎「これは、かなりめずらしい指し方 後手は△3三角と△2二銀を省略して、早く囲う狙い」
序盤早々、解説頼みの展開になったが、山崎の解説は実にわかりやすい 抜群にいい 特筆物だ

ハタチン、普通に対応しているように見えた 
したらば、三浦がいきなり△7五歩から仕掛けてきた! 
山崎「おー おー びっくり いや」
こんな急戦狙いの手があるのか 仕掛けは成立しているのか?
山崎「先攻できるのを活かした指し方ですね」

ハタチンが無難に局面を治めたかに見えたが、三浦、ドカンと角交換! そして飛車交換を強要!
双方、飛車角を持ち合う乱戦になった アマ強豪どうしの棋譜みたい、面白い展開だ 

山崎「引くに引けない、激しい、すごい・・・ すでにどちらかが優勢な可能性がある
 長時間の対局だと、詰みまで読まないと指せないくらいの局面かも」

実戦では、ハタチンは厳しい表情 三浦はうんうん、まずまずうまくいってる、という顔だ
ハタチン、竜切りを余儀なくされ、自陣に飛車を下ろされ、やや苦しめか

が、三浦が△6五桂という、どういう狙いかわからない手が出た直後だった
ハタチン、気合いの入った手つきで、バシッッッと歩頭に桂捨て、▲4四桂!! 
おー、これは、指されてみれば、盤面この一手、と思える桂打ち!
山崎「これは狙って指したという手ですね」

三浦はこの▲4四桂が見えていなかったのだろうか 
直前の△6五桂がまるっきりマイナスの駒になってしまった
もう、ここで三浦の緊張の糸が切れていたのかもしれない
以下、後手は最善の受けをすればまだ長引く、と思えたのだが、三浦は大トン死順を選んでしまい、
一気に詰んでしまった 67手で投了 ハタチンの勝ち

最後の三浦のトン死、何だったんだ? うっかり? 
かなり単純な5手詰みだけど、いったいどうしたのか 見落としとしたら、縁台将棋レベルだった
人間だから当然見落としもあるが、竜王戦1組でA級の棋士には、
ああいうトン死はしてほしくなかった まだ考慮時間が6回も残っていたのだからね

感想戦が30分もあったが、本譜の最後があっけなさすぎたので、見る気にはなれずだった

ただ、横歩取りで△3三角のところを△4一玉する今回の三浦の作戦、
力戦に持ち込むにはうってつけの作戦のようだ 
後手番の作戦が増えるかもしれない、ということで、それはとてもいいことと思う
△8五飛はもう定跡が多く、かつ深すぎ、私のレベルでは見てても意味不明のことが多い
その点、△4一玉として、もうそこからは力戦、としてやってくれたほうが、見ていて面白い

さて、この一局、ボンクラーズvs米長の対局の後だったわけだが、
やはり私にはそれを見た影響がかなりあった

中盤から終盤、山崎が色々変化順を示してくれ、一直線の寄せ合いの変化を示したとき、
山崎「この順は怖いですね 早指しでこの変化を選ぶ人はめったにいないでしょう」
・・・こういうキワドイ順、コンピュータなら全然怖がることはないよな、と思えてしまった
ボンクラーズなら、こういう終盤になったら、もう全部読みきって、極めて正確に指すんじゃないだろうか
どうしても、そう思いながら見てしまう 

最後の両者の寄せ方、受け方、もしボンクラーズならどう指すだろう、と考えながら
見てしまうことになった
もう、プロよりコンピュータのほうが強い、そういう時がやって来たのだから、
これはある程度仕方ないと思う

私は今までは、プロvsプロの将棋を見て楽しんできた そしてこのブログを続けてきた
これからは、プロvsコンピュータのほうに興味がシフトしていっても、不自然ではないだろう
少なくとも、私はそうなりかけている 
プロvsプロの一戦が、好局でなく、期待はずれの内容だったときに、残念に感じる度合いが、
これまでより大きいのだ 

いったい、これから「プロ棋士の価値」はどうなっていくのか 私の価値観が大きな転換点を迎えている
私は今までのように、プロvsプロの将棋観戦を楽しんで、
このブログを続けていくことができるのだろうか?
次週は王者登場、羽生vs阿久津、これはハラハラドキドキの熱戦を期待したい