2012.01.16
畠山鎮七段vs三浦弘行八段 NHK杯 3回戦
畠山鎮七段vs三浦弘行八段 NHK杯 3回戦
解説 山崎隆之
ハタチン(畠山鎮)は竜王戦2組、順位戦B1 1回戦で森けいニ、2回戦でタニーに勝ち
NHK杯は14回目の出場
三浦は竜王戦1組、順位戦A級 2回戦で村中に勝ち NHK杯は16回目の出場
解説の山崎「ハタチンは熱い棋士 ストレートな言動と行動、先輩後輩問わず、とても信頼されている
攻め90パーセント 普通の人が無理と思うようなところで踏み込むタイプ
三浦は探究心がすごく、興味を持つとそれに入り込む 攻め60パーセント
自分の将棋に対して熱いものを持っている2人」
事前のインタビュー
ハタチン「三浦はトップ棋士の中でも、独自の研究手順を持っている人
挑戦してみたい手がいっぱいあるので、それをA級の三浦にぶつけてみたい」
三浦「ハタチンは居飛車の正統派 男らしい指し方をする 今日は私の作戦に注目してもらいたい」
先手ハタチンで、横歩取りになった ▲3四飛と横歩を取ったとき、三浦の研究手が出た △4一玉だ
山崎「これは、かなりめずらしい指し方 後手は△3三角と△2二銀を省略して、早く囲う狙い」
序盤早々、解説頼みの展開になったが、山崎の解説は実にわかりやすい 抜群にいい 特筆物だ
ハタチン、普通に対応しているように見えた
したらば、三浦がいきなり△7五歩から仕掛けてきた!
山崎「おー おー びっくり いや」
こんな急戦狙いの手があるのか 仕掛けは成立しているのか?
山崎「先攻できるのを活かした指し方ですね」
ハタチンが無難に局面を治めたかに見えたが、三浦、ドカンと角交換! そして飛車交換を強要!
双方、飛車角を持ち合う乱戦になった アマ強豪どうしの棋譜みたい、面白い展開だ
山崎「引くに引けない、激しい、すごい・・・ すでにどちらかが優勢な可能性がある
長時間の対局だと、詰みまで読まないと指せないくらいの局面かも」
実戦では、ハタチンは厳しい表情 三浦はうんうん、まずまずうまくいってる、という顔だ
ハタチン、竜切りを余儀なくされ、自陣に飛車を下ろされ、やや苦しめか
が、三浦が△6五桂という、どういう狙いかわからない手が出た直後だった
ハタチン、気合いの入った手つきで、バシッッッと歩頭に桂捨て、▲4四桂!!
おー、これは、指されてみれば、盤面この一手、と思える桂打ち!
山崎「これは狙って指したという手ですね」
三浦はこの▲4四桂が見えていなかったのだろうか
直前の△6五桂がまるっきりマイナスの駒になってしまった
もう、ここで三浦の緊張の糸が切れていたのかもしれない
以下、後手は最善の受けをすればまだ長引く、と思えたのだが、三浦は大トン死順を選んでしまい、
一気に詰んでしまった 67手で投了 ハタチンの勝ち
最後の三浦のトン死、何だったんだ? うっかり?
かなり単純な5手詰みだけど、いったいどうしたのか 見落としとしたら、縁台将棋レベルだった
人間だから当然見落としもあるが、竜王戦1組でA級の棋士には、
ああいうトン死はしてほしくなかった まだ考慮時間が6回も残っていたのだからね
感想戦が30分もあったが、本譜の最後があっけなさすぎたので、見る気にはなれずだった
ただ、横歩取りで△3三角のところを△4一玉する今回の三浦の作戦、
力戦に持ち込むにはうってつけの作戦のようだ
後手番の作戦が増えるかもしれない、ということで、それはとてもいいことと思う
△8五飛はもう定跡が多く、かつ深すぎ、私のレベルでは見てても意味不明のことが多い
その点、△4一玉として、もうそこからは力戦、としてやってくれたほうが、見ていて面白い
さて、この一局、ボンクラーズvs米長の対局の後だったわけだが、
やはり私にはそれを見た影響がかなりあった
中盤から終盤、山崎が色々変化順を示してくれ、一直線の寄せ合いの変化を示したとき、
山崎「この順は怖いですね 早指しでこの変化を選ぶ人はめったにいないでしょう」
・・・こういうキワドイ順、コンピュータなら全然怖がることはないよな、と思えてしまった
ボンクラーズなら、こういう終盤になったら、もう全部読みきって、極めて正確に指すんじゃないだろうか
どうしても、そう思いながら見てしまう
最後の両者の寄せ方、受け方、もしボンクラーズならどう指すだろう、と考えながら
見てしまうことになった
もう、プロよりコンピュータのほうが強い、そういう時がやって来たのだから、
これはある程度仕方ないと思う
私は今までは、プロvsプロの将棋を見て楽しんできた そしてこのブログを続けてきた
これからは、プロvsコンピュータのほうに興味がシフトしていっても、不自然ではないだろう
少なくとも、私はそうなりかけている
プロvsプロの一戦が、好局でなく、期待はずれの内容だったときに、残念に感じる度合いが、
これまでより大きいのだ
いったい、これから「プロ棋士の価値」はどうなっていくのか 私の価値観が大きな転換点を迎えている
私は今までのように、プロvsプロの将棋観戦を楽しんで、
このブログを続けていくことができるのだろうか?
次週は王者登場、羽生vs阿久津、これはハラハラドキドキの熱戦を期待したい
解説 山崎隆之
ハタチン(畠山鎮)は竜王戦2組、順位戦B1 1回戦で森けいニ、2回戦でタニーに勝ち
NHK杯は14回目の出場
三浦は竜王戦1組、順位戦A級 2回戦で村中に勝ち NHK杯は16回目の出場
解説の山崎「ハタチンは熱い棋士 ストレートな言動と行動、先輩後輩問わず、とても信頼されている
攻め90パーセント 普通の人が無理と思うようなところで踏み込むタイプ
三浦は探究心がすごく、興味を持つとそれに入り込む 攻め60パーセント
自分の将棋に対して熱いものを持っている2人」
事前のインタビュー
ハタチン「三浦はトップ棋士の中でも、独自の研究手順を持っている人
挑戦してみたい手がいっぱいあるので、それをA級の三浦にぶつけてみたい」
三浦「ハタチンは居飛車の正統派 男らしい指し方をする 今日は私の作戦に注目してもらいたい」
先手ハタチンで、横歩取りになった ▲3四飛と横歩を取ったとき、三浦の研究手が出た △4一玉だ
山崎「これは、かなりめずらしい指し方 後手は△3三角と△2二銀を省略して、早く囲う狙い」
序盤早々、解説頼みの展開になったが、山崎の解説は実にわかりやすい 抜群にいい 特筆物だ
ハタチン、普通に対応しているように見えた
したらば、三浦がいきなり△7五歩から仕掛けてきた!
山崎「おー おー びっくり いや」
こんな急戦狙いの手があるのか 仕掛けは成立しているのか?
山崎「先攻できるのを活かした指し方ですね」
ハタチンが無難に局面を治めたかに見えたが、三浦、ドカンと角交換! そして飛車交換を強要!
双方、飛車角を持ち合う乱戦になった アマ強豪どうしの棋譜みたい、面白い展開だ
山崎「引くに引けない、激しい、すごい・・・ すでにどちらかが優勢な可能性がある
長時間の対局だと、詰みまで読まないと指せないくらいの局面かも」
実戦では、ハタチンは厳しい表情 三浦はうんうん、まずまずうまくいってる、という顔だ
ハタチン、竜切りを余儀なくされ、自陣に飛車を下ろされ、やや苦しめか
が、三浦が△6五桂という、どういう狙いかわからない手が出た直後だった
ハタチン、気合いの入った手つきで、バシッッッと歩頭に桂捨て、▲4四桂!!
おー、これは、指されてみれば、盤面この一手、と思える桂打ち!
山崎「これは狙って指したという手ですね」
三浦はこの▲4四桂が見えていなかったのだろうか
直前の△6五桂がまるっきりマイナスの駒になってしまった
もう、ここで三浦の緊張の糸が切れていたのかもしれない
以下、後手は最善の受けをすればまだ長引く、と思えたのだが、三浦は大トン死順を選んでしまい、
一気に詰んでしまった 67手で投了 ハタチンの勝ち
最後の三浦のトン死、何だったんだ? うっかり?
かなり単純な5手詰みだけど、いったいどうしたのか 見落としとしたら、縁台将棋レベルだった
人間だから当然見落としもあるが、竜王戦1組でA級の棋士には、
ああいうトン死はしてほしくなかった まだ考慮時間が6回も残っていたのだからね
感想戦が30分もあったが、本譜の最後があっけなさすぎたので、見る気にはなれずだった
ただ、横歩取りで△3三角のところを△4一玉する今回の三浦の作戦、
力戦に持ち込むにはうってつけの作戦のようだ
後手番の作戦が増えるかもしれない、ということで、それはとてもいいことと思う
△8五飛はもう定跡が多く、かつ深すぎ、私のレベルでは見てても意味不明のことが多い
その点、△4一玉として、もうそこからは力戦、としてやってくれたほうが、見ていて面白い
さて、この一局、ボンクラーズvs米長の対局の後だったわけだが、
やはり私にはそれを見た影響がかなりあった
中盤から終盤、山崎が色々変化順を示してくれ、一直線の寄せ合いの変化を示したとき、
山崎「この順は怖いですね 早指しでこの変化を選ぶ人はめったにいないでしょう」
・・・こういうキワドイ順、コンピュータなら全然怖がることはないよな、と思えてしまった
ボンクラーズなら、こういう終盤になったら、もう全部読みきって、極めて正確に指すんじゃないだろうか
どうしても、そう思いながら見てしまう
最後の両者の寄せ方、受け方、もしボンクラーズならどう指すだろう、と考えながら
見てしまうことになった
もう、プロよりコンピュータのほうが強い、そういう時がやって来たのだから、
これはある程度仕方ないと思う
私は今までは、プロvsプロの将棋を見て楽しんできた そしてこのブログを続けてきた
これからは、プロvsコンピュータのほうに興味がシフトしていっても、不自然ではないだろう
少なくとも、私はそうなりかけている
プロvsプロの一戦が、好局でなく、期待はずれの内容だったときに、残念に感じる度合いが、
これまでより大きいのだ
いったい、これから「プロ棋士の価値」はどうなっていくのか 私の価値観が大きな転換点を迎えている
私は今までのように、プロvsプロの将棋観戦を楽しんで、
このブログを続けていくことができるのだろうか?
次週は王者登場、羽生vs阿久津、これはハラハラドキドキの熱戦を期待したい
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