畠山 鎮七段vs羽生善治二冠   NHK杯 準決勝
解説 中村修

NHK杯もいよいよ大詰め、決勝の渡辺の相手はどちらになるのか?
畠山鎮(はたけやま まもる 以下ハタチン)、
この大舞台で、絶対王者の羽生を相手に、いいところを見せられるか

ハタチンは竜王戦2組、順位戦B1 ちなみにB1では5勝6敗で次が最終戦だ
 森けい二、タニー、三浦、木村に勝って準決勝進出 NHK杯は14回目の本戦出場
羽生は現在、王位、棋聖の二冠 竜王戦1組、順位戦はA級を9戦全勝で名人戦出場を決めた
 戸辺、阿久津、郷田に勝ち準決勝進出 NHK杯は26回目の本戦出場

解説の中村修「ハタチンは関西の実力者だが、これまでNHK杯でまとめて勝つ、
 ということはなかった 絶好のチャンスと思う 居飛車党の鋭い攻め将棋
 羽生に関しては言う事もないが、安定した第一人者 
 早指しのNHK杯でこんなに勝ち続けているのはちょっと信じられないくらい
 優勝を視野に入れていると思う」

事前のインタビュー
ハタチン「自分の限界値を超えられるような将棋が指せたら、と思う」

羽生「ハタチンは居飛車の本格派で、非常にアグレッシブな将棋を指すので、
 私もそれに負けないような勢いのある将棋を指せるよう、がんばりたい」

さあ、どんな将棋になるか 先手ハタチンで、相矢倉に進んだ 
がっぷり4つに組み合った相矢倉だ ハタチンの攻めを、羽生が金銀4枚で受ける、定跡形だ
中村修「常に研究課題になっている局面の一つ」

これまでの2人の対戦成績が出た ハタチン1勝、羽生5勝ということだ
へー、ハタチン、1回は勝ってるのか
雑談で、羽生の強さ、という話題になり、
中村修「1年に1回、羽生と対局するのが目標だ、という棋士もいるくらいです
 羽生には『勝ちパターン』がない、何でも勝ってしまう(笑)」

今ちょっと調べたけど、羽生はタイトル獲得の通算が80期、タニーが通算27期、
佐藤康光が通算13期、森内は通算9期、渡辺も通算9期、いかに羽生が突出しているかだね

さて、局面、飽和状態だ ハタチンが長考に沈んでいる
中村修「どの歩から突いて攻めていくか、順番が難しい」
なんと、ハタチン、7回目の考慮時間に突入 えー、まだ駒がぶつかる前だぞ 
矢内「ずいぶん時間を使ってますね」
するとなんと、ハタチン、まだ考え続け、9回も考慮時間を使ったではないか
矢内「まだ戦いが始まっていないのに残り1分」
えー、これでは、この先が厳しいのでは・・・

ハタチンが仕掛け、羽生が丁寧に受ける、という展開
羽生も小考の連続で応じた 
中村修「全部、攻めをめんどう見ますよ、という手順 
 間違えたら、羽生と言えども、一気につぶされてしまいますから」
羽生のつぶやきがマイクに入った「いやいやいや」
ここが勝負どころ、と思っているのだろう

桂交換になった後、羽生、気がつきにくい受けで応じた
タダで取れる3四の歩に、△3三歩と合わせた手だ
ほお~、そうやるのか うん、指されてみればなるほどだ さすがだ!

ハタチンも▲3五銀と出て、まずまず攻めの形ができた どうなる?
しかし、もう考慮時間を使い切ったのが気になるが・・・
中村修「先手はこの後どうやって攻めをつなげるか 
 後手の受け方、次の手はフワっとした手を指すかもしれません」
矢内「フワッと△5六歩?」
羽生の指し手、△5六歩、矢内、大当たり~!
中村修「すばらしい!」
矢内の指摘した手が当たると、なぜか見ているこっちがうれしくなる(^^; いいねえ

中盤の難しいところだ 羽生の△3四歩に、ハタチン、3五の銀をどうするかだ
中村修は、「ここは銀を引くわけにはいきません ▲1七桂で攻めを続けてどうか」
さすが、矢倉を得意としている中村修だ 端に桂打ち、気がつきにくい手を指摘してくれるね
しかし、ハタチンの手は、▲4六銀のバックだった
中村修「▲1七桂と違う? 違うのか」
ここが大きな分岐点だった、との終局後の感想戦だった

本譜の進行、ハタチンは▲4六銀とじっと引いてから、▲6四歩と突き捨てた
もし△同角なら▲5五銀の活用を見せたハタチン これもなかなかの構想だったらしい
羽生は▲6四歩に△同歩と応じ、ガマンした

手を渡され、もう考慮時間がないハタチン、
何気なく、飛車を▲2八飛に戻して後手の2五の銀を狙った手、これが敗着となってしまった
羽生に△8四角と出られ、次の△3九角成が受けにくいではないか
そして、羽生の△6五歩と味良く突き出した手、これが次の△6四桂を控えの桂打ちを狙っている!
中村修「これは厳しいですね~」

ハタチン、アヤを求めて攻めてはみるものの、手順に羽生にガチガチの銀冠に組みなおされる、
という有様 中村修「喜んで銀冠にされてしまいますね」
羽生玉、全く痛んでいない ハタチン、攻めたのだか、なんなのかorz

馬を作られ、銀がタダで取られ、ハタチン、一流どうしの対戦としてはボコボコだ
大勢が決した ああー・・・
中村修「ハタチンも、こんなはずではなかったと思ってるでしょう」

ここから、羽生が中村修に「完璧」と言わせる勝ち方を見せてくれた
中村修「こういうところで、羽生は『なるほど』という手が出るんです」
その手は? 注目の羽生の手は、じっと馬を一つ寄る、△4九馬、だった
これ、指された瞬間は『ん?』という感じだったのだけど、これが決め手になったのだから、
やはり羽生は強い!

中村修「羽生は緩急自在ですね」
ハタチンのほうは駒がバラバラ、羽生玉はほとんど手つかず、あらー・・・
中村修「残念でしたね ハタチン気合いが入っていたと思うんですけどね
 力が出ない展開になってしまいましたね」

ハタチンの飛車が、△4九馬のラインで完全に封じ込められ、攻防ともに見込みなくなり、
ハタチンは投げた 108手、羽生の完勝だった 羽生の中押し勝ち、やっぱり、羽生は、つえーー
格の違いを見せ付けた、と言える内容だった

中村修「投了図は大差になってしまった、先手がいい形で攻めたと思うが、
 ▲4六銀と引いたのが結果的に思わしくなかったか 
 △8四角から角をさばかれて、△6五歩で△6四桂を見せられて困ってしまった
 羽生は、ちょっと有利になってから、全く危なげなかった」

ああー、今日は羽生の完勝だったか 羽生、磐石の勝ちで、決勝進出!
羽生のほうも、終わってみれば考慮時間を使いきっていて、楽して勝っているわけじゃない
でも、投了図を見れば圧倒的に大差 やっぱり、羽生は強い! 
役者が違う、と思わせるんだよね はあー、ハタチン、残念だったけど、もう仕方ないか
ちょっと緊張もあったのかもね 「限界値を越える」というのは無理があるようだ
こういう大舞台では、「いつもどおりに指す」ことが肝心なのかもしれない

感想戦をやると、こうやってれば難しかった、という順は発見されるんだけど、
そうなったらなったで、またそこで羽生はうまい手を見せるんだろうからね

決勝は、私の読みどおり、渡辺vs羽生になった 
まあ、ド本命どうしなんで、この予想はしやすかったけどね(^^;
渡辺の初優勝か? 羽生の4連覇か? 4連覇っていうのもなあ、
また来期のNHK杯も、羽生の指す姿でのオープニングということになるね
そろそろ変わってもいいころだ
決勝戦では、一手違いの、ギリギリの熱戦を見たい! 両者の力比べに、期待、大!

そして、矢内の聞き手役も来週で最後となるんだね 
最後の聞き手でも、いい手を指摘して当てて、いつもの笑顔で楽しませてほしい(^^)