囲碁将棋チャンネルで、順位戦A級最終戦の、羽生vs郷田戦を、
高橋道雄九段が解説していました それをまとめました
「切れ味鋭い」とは反対の「じんわりした圧迫していって結果的に圧勝」というのが
良く出ていると思いました

高橋九段いわく、「今期の羽生の順位戦の戦い方を象徴した一局」
棋譜のコメントは高橋九段のものです


開始日時:2012年3月2日
棋戦:A級最終戦
先手:羽生二冠
後手:郷田九段

▲7六歩
*羽生にとっては、全勝がかかった一戦
△8四歩
*郷田は、棋王を獲ったが、この時点ではまだ挑戦者で九段 この対局に勝って、名を上げたいところ
▲2六歩
*基本的に、角換わりを指そうという手
△3二金 ▲7八金 △3四歩 ▲2五歩 △8八角成
*この手に代えて△8五歩なら横歩取り模様
*郷田は初めて一手損角換わりの採用した
*今までは手損するので嫌っていたが、作戦の幅を広げようということだろう
▲同 銀 △2二銀
*普通の角換わりだと、一気に同形にすすんで、単調になりやすいので、変化しようという意味だろう
▲3八銀 △3三銀 ▲6八玉 △6二銀 ▲3六歩 △6四歩
▲3七銀
*早繰り銀です
△6三銀 ▲4六銀 △5四銀
*▲早繰り銀vs△腰掛け銀、よくある形です 
▲3五歩
*先手としては、△4四歩~△4五歩で銀を押し返されると面白くない
△同 歩 ▲同 銀 △8五歩 ▲2四歩
*色々あるところだが、自然な手
△同 歩 ▲同 銀 △5五角
*なつかしい手、以前には指されていた形
*ここで先手が▲4六角だと、角交換になったあとに4七の地点が空くのがイヤ
▲3七歩
*後手は角を手放したが、歩を打たせた
△2四銀 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △6五歩
*これが郷田の工夫の手 △8六歩、または△3三桂も有力だった
▲7七銀 △3六歩
*3七の地点は、実を言うと、狙っていいか、微妙なところ 先手があやまっているところなので、いじるとかえって、2九の桂が働いてくることがある でも、郷田の予定の手だろう
▲3八金 △6四角
*次に△3七歩成~△3六歩と行く意味
*ただし、いつでも▲1五角が王手であるので、後手としては攻めるのも難しい
▲7五銀
*銀を手放す、決断の手
△5五角 ▲5六歩 △3三角 ▲3六歩
*先手はこれを取りたかった
△2四角
*△4五銀で歩を取りに行くのも有力だった
▲3五角
*ここでは形勢はまだ難しい
*7五の銀が働くかどうか
△同 角 ▲同 歩
*次の郷田の手が、敗着になった
△6三銀
*これが敗着になった
*7五の銀を狙って自然に見えるが、方針を誤った 7五の銀は相手にしないほうが良かった
*△6三銀に代えて、△4五銀▲1八角△3三桂▲3七桂が一例
▲3七桂
*悠々(ゆうゆう)と桂を活用
*△7四歩は、▲5五角があるのでまだ突けない
△5四歩 ▲4六角
*この角打ちで、7五の銀が助かった
*パッと見、まだまだの局面だが、2人の間では先手がかなり優勢 
*▲3五歩~▲4五桂の狙いも残っている
△4四銀
*△5五歩~△7四歩の狙いだが・・・
▲6四銀 △同 銀 ▲同 角
*7五の銀がまた持ち駒になったのが大きい
△5五歩 ▲同 歩
*ここで後手の手、△6六歩▲同歩△6三銀▲7五角△7四歩なら角が死ぬが、▲6五歩としておいて、歩が伸びていくので先手が有望
△6三銀
*本譜は先に銀を打った
▲7五角 △7四歩 ▲4八角
*後手としては、ゆっくり指そうという意味
△5五銀 ▲7九玉
*先手は、後手が動くのを待っている イヤなんですね、そういう指し方をやられるとね ▲3四歩とじりじり行く手が残っている
△8六歩
*後手は、あせらされているんです
▲同 歩 △8七歩
*これを▲同金は△5六銀が気になる
▲2九飛
*これがまた落ち着いた手なんです 次に▲5九飛を狙っている
*後手としてはスタミナを消耗してしまう
△6六歩 ▲同 銀
*▲同歩も有力でしたが、角道を止めないほうを選択した
*これを△同銀は▲同角が絶好
△4四角 ▲5五銀 △同 角 ▲6六銀 △4四角
*次に△8六飛と△3五角の狙いがあるが
▲8七金
*こちらを受けた
*先手はいつの間にか、歩がすごいたくさん溜まっているんです
△5二飛 ▲5五歩 △3五角
*ようやく歩を一つ取り返しましたが、まだだいぶ歩損している 形勢は後手不利
▲7八玉
*銀で合い駒せずに、これで受かっている
△3六歩
*ここでは△6五歩も有力だった
*この手は郷田のあきらめたのが指し手に出ている
▲4五桂
*桂がすぐに死ぬわけではない △4四歩には▲3三歩がある
*後手としては△3七銀と打ち込んで、以下▲同金△同歩成▲同角△3八金としたいが、その瞬間▲1五角の王手がある
△1四歩
*▲1五角の筋を消した手
▲4六銀
△同 角
*(ギズモ注:角を逃げるほうが長引くが、▲5四歩~▲5五銀右~▲5九飛と5筋を攻める手がある、との激指の指摘)
▲同 歩 △3七銀 ▲同 角
*後手がもともと、角を切ってきたので、先手としては損な取引ではない
△同歩成 ▲同 金 △5八銀
*次に、△5六角の狙いがある手
*それが実現すると、大事件
▲7七金 △4四歩 ▲3三歩
*これを△同桂は、清算したあと、▲3六角で終了
*(ギズモ注:△2二金と逃げても、▲4三銀で飛車を取ったあと、▲3一飛~▲3二歩成で2一の桂を飛車で取れるので、先手大優勢との激指の指摘)
△3一金 ▲5三角
*ここで郷田が投了 3一の金を逃げると、▲4四角成で先手、磐石 かなり差がついた投了図
*
*この一局は、今期の羽生の順位戦の戦い方を象徴している 落ち着いてじりじり指して、相手はいつの間にかどうしようもなくなっている 羽生は9戦全勝となった
まで95手で先手の勝ち