中田宏樹 八段vs瀬川晶司 四段
解説 豊川孝弘

今日は瀬川さんの登場か、久しぶりに見る 相手はデビル中田、安定感のある実力者だ
中田さんのことを、いつもはデビル、と書いていたけど、今回は中田と書くことにする(^^;
瀬川さん、グレーのスーツがよく似合ってると思った 
中田さんはデビルなので、やはり黒が似合っている

中田宏樹は1985年四段、竜王戦4組、順位戦B1 NHK杯は12回目の本戦出場 予選はシード
瀬川は2005年、編入試験により四段 竜王戦6組、順位戦C2 NHK杯は3回目の本戦出場
予選では、なんと広瀬、高野、先崎というメンバーに勝った、とのこと 広瀬に勝ったのか!

解説の豊川「中田は居飛車の正攻法、攻めの棋風で、相手の得意を受ける、王道を行く居飛車党
 無口な人が多いプロ棋士の中でも、群を抜いて寡黙(かもく)
 いるんだかいないんだかわからない、っていうのは冗談ですけどね
 
 瀬川は寡黙ではあるが、ギャグを飛ばすこともある、意外とひょうきんな人
 瀬川は居飛車党だが、軽いさばき、振り飛車に近い感じ、大局観と感覚で指す棋風
 中田の一本筋の通った縦の読みに対して、瀬川の軽い感じの横の読みの勝負」

事前のインタビュー
中田「瀬川は人あたりのやわらかい、いやし系の存在、踏み込みのいい棋風
 中終盤でいい将棋を指して、できれば勝ちたい 一回戦を突破したい」

瀬川「中田は普段はやさしい先輩、将棋は厳しく、居飛車本格派で、一本筋の通った将棋
 とにかく思い切ってぶつかりたい NHK杯本戦は3回目の出場だが、過去2回は一回戦負けなので、
 なんとか一回戦を突破するのが目標、がんばります」
これを聞いていた豊川「NHK杯で3回負けると、ツライものがありますからね
 今回は勝利を狙っているでしょう NHK杯は、影響のカタマリですので(笑)」
・・・豊川さんはNHK杯で二歩を打ってしまい、ニフティ豊川、とあだ名がついたことがあったからね

豊川の事前予想「矢倉が得意な中田、横歩取りが得意な瀬川
 短期決戦になったら瀬川、長期になったら中田に分がある」

先手中田で、横歩取りなった △8五飛の最新バージョン、瀬川の得意を中田が受けてたった格好だ
豊川「後手が攻めていく、現代将棋の最新型 瀬川はすごく研究している
 中田も、手が早いから研究してますね 中田は将棋は地味だが、色々な新手を出している」

今回は豊川の雑談が多く、それが面白かった
豊川「瀬川は編入試験を受けたとき、アマからもプロからも応援されたが、それは彼の人柄によるもの
 私と瀬川は奨励会時代、家が近かったので、1000局どころじゃない、もっと指した
 その頃から、彼は横歩取り△3三角を得意としている
 
 僕が奨励会の二段くらいのとき、三段の中田に『こんど将棋を教えてください』と言ったら、
 『豊川君、君は楽して強くなろうと思ってるでしょ』と言われた 
 中田さんはすごい努力していたんでしょうね 僕は自分が恥ずかしくなった
 こう言われたことは、僕は一生忘れないですよ
   
 僕達プロは、局面を見れば、第一感がパッとひらめく あとは読みの裏づけで指している
 将棋を見れば、その人が将棋にどれだけ打ち込んでいるか、だいたいわかる
 いいかげんなことをしていれば、すぐ見破られる

 中田は普段からポーカーフェイス ご飯を食べるときもこの顔 味もそっけもない
 『中田食べ』というモノマネが一時、流行したくらい
 中田は『クール中田』、『デビル中田』というニックネームがある
 ニックネームをつくといのは、実力を評価されているということ
 僕には何にもつけてもらえない」
雑談を笑いながら聞いていた矢内「ファイター豊川、っていう感じです」 
豊川「まいったー豊川、という感じですけど」
矢内「ふはははは」 矢内、ここはかなり爆笑していた(^^;

最初のキーポイントになったところ、△6五桂の跳ね出しは、私は予想的中だった
読みの裏づけは何にもないのに、桂の単騎跳ねを当てられる、というのは、
普段の将棋観戦のたまものだろう むふふ(笑)
しかし、それに対する中田の▲6八銀というのも、実に指しにくい手だなあ

ここで、のんびりと、先ほど書いた雑談をし始めた豊川 
豊川さん、飛車で金がタダ取りになる手を、完全に見落としたまま雑談してますけど・・・(^^;
長い雑談が一段落したあと、矢内がついに、それを指摘した
豊川「あ、アイタ!! すいません、今マイクが壊れちゃったかもしれません 
 ひどい解説でしたね~ 矢内さん(もっと早く)言ってくださいよ~!  
 二度とこのスタジオにこれなくなっちゃう」
ここは面白かったなあ 矢内さん、指摘のタイミング、絶妙だったよ(笑)

さて、盤上、一手一手、すごく神経を使う将棋だ こ、これは見ているだけでもしんどい 
これが横歩取りのハイレベル同士の戦いなんだね さすがプロ同士!
矢内「難解な中盤ですね」
豊川「(間違えたら)一手で終わっちゃいますね」

局面、瀬川が優勢、との解説 中田が考え込んでいる 瀬川は前のめりの姿勢
豊川「瀬川は『(この将棋は)逃さん』という姿勢、優勢なしるしと思う」
瀬川の的確な手の連発に、豊川「瀬川は横歩取りを指しなれてますね~
 本人に聞いたら『才能です』と答えるでしょうけど、これは日頃の研鑽のたまものですよ」

そして、この一局のハイライトという場面がきた 
豊川「中田が苦しそうだが、こういうところから勝負手繰り出してくる 腕の見せ所」
そしたら、直後に中田に▲6四歩という、わけのわからない手が出た なんだ、これは?
大した手でもないだろう アヤを求めただけだろう? ▲6四歩、特になんでもないだろう 

そんなことより、後手は先手の飛車をどう押さえ込むかだ
私は、ここはベタ桂、ベタっと△2七桂打ちでどうだ!と強く思った
ここはわざと筋悪く、△2七桂が最善だ! 瀬川、桂を打て!
瀬川の着手は、△2七桂! やったあー これには矢内も豊川もびっくりだ
矢内「わあー」 豊川「いや~! これは筋が悪いですよ~」
ふふふ、そう見えるけど、この桂が勝因になるんだよ 矢内と豊川、見てなさい!

したらば、手が進むうち、後手玉に火がついて、なんだか、完全に△2七桂が取り残された展開?
もうゆっくり飛車を取ってる将棋じゃなくなってる・・・! ええー△2七桂、好手じゃなかった?
豊川「差が縮まった △2七桂、どうでしたかね~ 事件ですね」

その後の中田の攻めは、正確無比と思えるほど的確だった 攻めがツボに入った、という感じだ
瀬川もがんばって受けていたのだが、中田の流れるような寄せの前に、ついに屈した 
103手で中田の勝ち え、103手? 130手くらいに思えたよ
すごい神経戦だった ううー、見ていて、疲れたけど、いい将棋だった 瀬川、惜しかったなー

しかし、私が自信を持って予想した△2七桂が、まさか敗着になろうとはorz
豊川「瀬川の必勝に近かったが、中田の▲6四歩の勝負手が効した」
矢内「▲6四歩は、完全に急所を突いてましたね」

デビル中田、強い! 伊達にB1を張ってないなあ でも瀬川もそれに負けてなかった
難しい将棋だったけど、対局者2人の力がよく出ていたと思うし、豊川の解説も楽しかった 良かった
豊川さん、見落としする姿も楽しいんで、また解説にきてください!