第20期 銀河戦
本戦Dブロック 9回戦
阿久津主税七段 vs 杉本昌隆七段
対局日: 2012年3月22日
解説:畠山成幸七段
聞き手:貞升 南女流1級
記録:伊藤明日香女流初段

土曜に放送された銀河戦 
杉本は前局で佐藤秀司に勝ち 阿久津は予選で村中に勝ち
平成23年度の成績は、杉本17勝13敗 阿久津24勝13敗 2人はなんと初手合い、とのこと

解説のナルゴン「杉本の研究家の振り飛車党 手厚く粘り強い 攻めより受けを重視する
 阿久津はオールラウンダー 嗅覚がきく、スキあらば突く、鋭い棋風 寄せもダーッという感じ」
 正反対の2人の対局」

ところで、畠山の双子の兄弟、成幸(なるゆき)と、鎮(まもる)
兄はナルゴン、弟はハタチンというニックネームで呼ばれているが、
最近、私にもようやく外見だけで、パッと見分けられるようになった
ハタチンのほうが、普通に髪の毛が生えてる、そしてハンサム
ナルゴンは、髪の毛が薄い、そして、どことなく怪獣に似ている
要するに、ナルゴンという名前どおり、怪獣っぽいのがナルゴンだ 
今回は怪獣ナルゴンの解説だ

雑談で、ナルゴン「将棋界の不思議なことに、特定の人と会いだすと、不思議と対局でも当たる、
 ということがある 連盟やイベントなどで会うと、その人と対局でも当たるようになる
 会わないと、1年くらい、ずーっと会わない そんな法則がある」
へー、そんなことがあるのか まあ、好調な人は対局数が多いので、連盟にもよく来るだろうし、
イベントでも呼ばれやすいから、あまり不思議ではないと思う(^^;

先手杉本で、▲石田流+美濃vs△居飛車+船囲い
そこから、杉本がなんと、棒金の作戦に出た 7八に飛車、7六に金という格好だ
攻め合いになった中盤、杉本の陣形は金銀がバラバラ、これだけバラバラなのはめずらしい
金を前線に出す作戦は、こういうことが多い だからあまり採用されないのだろう

しかし、形勢はまだまだ難しい 
阿久津は自玉の玉頭の歩を伸ばしていき、ナルゴンは「自玉の玉頭の歩を突く攻めは『地獄突き』と
呼ばれる」と解説していた へー、そんな名前があったのか

もう中盤もたけなわ、というところで、杉本に好手と思える、垂らしの歩が出た
▲7二歩、という、後手の飛車の真横に歩を垂らす手だ
取ると、先手の飛車に大活躍されてしまう かといって、放置だと、▲7一歩成~▲8一と、で駒損だ
この手は、振り飛車vs居飛車の対抗形で、振り飛車側の方に、かなりよく出る手筋だ
よく出現する手筋の歩なので、何か名前が欲しいと思った
少し考えて「脇歩」(わきふ)というネーミングを思いついた
居飛車側の飛車の脇に打つ歩だから、脇歩 うん、いいんじゃないかな このネーミングはぜひ広めたい

杉本に脇歩を打たれた阿久津、このまま何もしないと、
▲7一歩成~▲8一と、で脇歩が大成功してしまう しかし脇歩を取るわけにもいかないぞ
どうするんだ、と思ったら、阿久津は攻め合いに出た 
そうかあ さっきの「地獄突き」が、ここで効いて来るのだね

阿久津の踏み込んだ攻めの結果、なんとお互いの玉頭に歩が2枚ずつ垂れている、
という状態になったではないか これは非常にめずらしい 面白い
感想戦で阿久津いわく、「常識じゃありえない形(笑)」

阿久津の攻めは、脇歩を打たれたから攻めを急がされているように見え、
無理攻めじゃないかと私には思えたのだが、それは外れた 
阿久津の鋭さがモロに発揮され、角切りの強手から、最後までダーッと一気に寄せ切ってしまった
92手で阿久津の勝ち

さすが、阿久津、寄せが速い! 杉本に粘る順を与えなかった
ナルゴンの言っていた「鋭い攻めでダーッと寄せる」という言葉がドンピシャリと当たったね
中盤も、ナルゴンの「阿久津は嗅覚が鋭い」との言葉どおりに、
ここの歩を突いて攻めがあるのか!、とハッとさせられた場面が3回もあった   

今回は、自玉の頭の歩を突いていく「地獄突き」、を知ったこと
そして振り飛車側の手筋、▲7二歩の垂らし「脇歩」、この2つが収穫だった 
「脇歩」、我ながらいいネーミングと思います 
関係者の方、このブログを見ておられら、ぜひ使ってください