松尾歩 七段vs中尾敏之 五段 NHK杯 1回戦
解説 青野照市

今日は松尾と中尾かあ って、中尾って誰? 観戦マニアの私ですら、知らないんだけど(^^;

松尾は1999年四段、竜王戦2組、順位戦B1 予選はシードでNHK杯本戦は9回目の出場
中尾は1998年四段、竜王戦4組、順位戦はフリークラス フリークラスの人だったのか
予選で、ヒフミン、村山、豊川に勝ち、本戦初出場 へ~、なかなかのメンバーに勝ったね

解説の青野「松尾は居飛車党で本格的な将棋、戦型のバリエーションが広く、
 横歩取り、矢倉、腰掛け銀と、何でも指す NHK杯で優勝も狙える実力者
 中尾は居飛車党で、矢倉を中心としたじっくりとした将棋が好き
 まず相手の攻めを受け止めてから、反撃に移る」

事前のインタビュー
松尾「中尾は流行に流されず、じっくりした将棋を好んでいる
 今日は臨機応変に、自分らしく指したい 先のことはわからないが、優勝目指してがんばりたい」

中尾「松尾は正統派の将棋で、常に本筋の手を指す
 (初出場で)多くの方に見ていただけると思うので、いい将棋を指したい」

先手松尾で、後手中尾は一手損角換わりを選んだ
▲棒銀vs△腰掛け銀、松尾は銀をすぐ立て直して▲3七銀の形
中尾は専守防衛で、金銀4枚でがっちり守っている

青野「この後手の金銀4枚のスクラムを崩すのは、大変に見える 
 しかし、この全体の勝率では先手がいい」 
4月にあった、岡崎将棋祭りの▲谷川vs△森内もこの戦型だった 
その将棋は、森内が見事に受け切って勝っていたね

雑談で、青野「中尾は弟弟子、彼が奨励会6級の頃は振り飛車党だった、しかし将棋がじっくり型で、
 さばく将棋とは違っていたので、私が『居飛車党に変えたほうがいいんじゃないの』と
 言ったら、素直に変えた それから勝ちだした
 やはり、自分の棋風に合わない戦法をやっていたら、勝率が上がらないですからね
 私も100局に1局くらいは振り飛車を指すが、まあー、さばけない(笑)」

うーむ、私も実は、24で、居飛車オンリーのハンドルネームでは二段あるけど、
振り飛車主体のハンドルネームでは初段から陥落しそうなのだ 
居飛車と振り飛車、押さえ込みとさばき、やることが正反対の戦法だからね

青野「私がNHK杯に初出場したときは、緊張した お尻が浮き上がったみたいな感じで、
 何をやったかわかんないうちに、負けちゃった」
この日の中尾、それほど緊張していたようには見えず、力を発揮していたように思う
ただ、駒を盤に置くときに手が震えていたシーンはあったね

青野「松尾は所司門下、三羽ガラス(渡辺、松尾、宮田敦史)、
 序盤、中盤、終盤、苦手なところがない」
松尾は居飛車本格派で、何でも指し、序盤から終盤、苦手なところがない・・・
この棋風が「どこが松尾の特徴か」と訊かれて返事に困る、目立たない要因になってるような(^^;
居飛車本格派なら、もっと上位に、郷田とか深浦とかがいるわけだしね

さらに雑談で、青野「今の若手は、若いのに将棋が完成されている感じ
 攻守にバランスが取れていて、全然あせらずじっくりと指し、かわいげのない勝ち方をする」
青野先生も、同じことを思ってるんだなあ 将棋が完成されている、という表現が、
まさにピッタリなのだ 先週のアベケンなんか、その代表例だ

さて、局面、中盤を迎えている
青野「後手は、今は怖いけど、やりたい手がいっぱいありますからね」と言った直後、
松尾に▲6四歩という、軽い突き出しが出た
青野「これはいい手ですね~! 逆に後手をあせらそうという手ですね」
矢内「なるほど」
ほおー、松尾らしい、本筋の手というわけか

▲6三歩成で、と金ができて、松尾有利?
青野「この、と金は大きいですね~! 早指しだと、悪くなってからだと、ペースが戻らない」
ほおー、もうこの将棋、松尾の勝ちムード? やはり、格の差か

が?中尾、△3三玉!と力強く指し、玉をいっぺんに安泰にしたではないか
青野「中尾、落ち着いてますね~!」
ええ、また難しくなったのか どっちやねん(^^;
この△3三玉ってのは気がつきにくいなあ 一手損角換わりという戦法、
自玉の、うまいさばき方が求められるようだね

青野「力の入った将棋ですよ 中尾に攻めのターンがまわって、面白くなったんじゃないか
 △3三玉の形が妙に安定している」
もう手数もだいぶ進んだのに、駒の損得なしだ さすが、プロ同士だ ハイレベルだ

青野「先手の7二の銀は受けに働いている」
そうだよな~、この先手玉の入玉模様、どうやって防ぐんだよ 私ならもう入玉が阻止できなくて
負けちゃう、というパターンだなあ

したらば! 中尾に渾身一滴の手が出た! △7三香・・・って、なにコレ? 
意味がまったくわからん 自分の頭で考慮することしばし、やはり全くわからん(^^;
矢内「なんですか これは」
青野「なんでしょう(^^;」
あー、解説者も意味がわかんないのか え、あ、馬を1マス、どかせただけか
それのために香をタダ捨てってのは、もったいなかったんじゃ・・・

それまで、かなり善戦していた中尾、この香を捨てた手がアダとなり、攻めが切れてしまった
松尾に香、香、飛という、縦3マスにコロニーレーザーみたいな大砲を設置されてしまった
コロニーレーザー、次に発射というところで投了となった 129手で松尾の勝ち

青野「終盤、中尾が有利だったと思うが、香を捨ててしまったのが敗着と思う」
あー、中尾、惜しかったなあ 初出場ながら、力は出していたんだけど、秒読みに追われた感があった
△7三香のところで、銀3枚と香1枚と歩がいっぱい、で、どういう迫り方があったのか、
感想戦が見たかった

うーん、内容としてはまずまずなんだけど、無口なこの対局者2人、
やはりエンターテイメント性に欠けると感じてしまった 
先日の佐藤紳哉くんみたいに、何か面白い発言とか、してほしかった
例えば、中尾が「松尾ぉ? 強いよね 序、中、終盤とスキがないと思うよ
 だけど、俺は負けないよ! 駒たちが躍動する将棋をみなさんに見せたいね!」
とか言えば、もっと興味が湧いたのかもしれないが(^^;

もうコンピュータがプロ並みに強くなっている昨今、「レベルの高い正統派の将棋」という
キャッチコピーで売り物になるというのは、ほんの数名のトッププロか、
もしくは将来に期待がもてる若手に限られてくると思う 
プロの方々には、どうにかして「独自の個性」を確立してほしいと思う