第20期 銀河戦
本戦Fブロック 10回戦
木村一基八段 vs 中村 修九段
対局日: 2012年5月16日
解説:阿部 隆八段
聞き手:村田智穂女流二段
記録:伊藤明日香女流初段

土曜に放送された銀河戦
平成23年度の成績は、中村修15勝18敗 木村16勝14敗 2人の対戦成績は、木村の4-2
中村修は前局で飯島に勝ち、木村は予選シード

解説の阿部隆「中村は若くして王将のタイトルを取り、今はベテランの域だが、
 現在の地位を保っている(竜王戦4組、B2)  受け将棋で、昔は受ける青春の異名を持つ頃もあった
 今は棋士会で、副会長をやっている 人望がある
 
 木村はA級在住が長く、将棋界の実力者 受け将棋で、千駄ヶ谷の受け師と呼ばれる
 木村は四段になったのが24くらいで、遅かった
 早くに四段にならないと、A級棋士にはなれない、という風潮を、自らの努力で打破したのがすごい」

先手中村修で、木村は4手目角交換だ 後手一手損角換わりになった
そこから中村修が趣向に出た 銀を2七まで移動させてから、向かい飛車に振って、
向かい飛車+銀冠に組んだ ▲向かい飛車+銀冠vs△居飛車だ
阿部隆「これは康光が指していた ほとんどマネする人はいない」

中村修は、さらに玉を固めようと、銀冠穴熊に組んだ これがこの一局、完全に裏目に出た
阿部隆「正直申し上げて、もう先手からの打開は難しい」
阿部にこう言われてしまった(^^;
阿部隆「もう後手からは動きませんからね 千日手がありうる」
あーあ、千日手模様の手探り将棋か、まだ駒組みが続くのかな・・・

ところが、なんと、仕掛けたのは木村のほうだった! 9筋と角の打ち込みで、手になるか?
危険なことするなー これは、バクチだ
阿部隆「思い切った手ですよ 失敗したらひどい 
 そんなに急いで打開しないといけない局面ではなかったが、どうなるか」

木村、すごい早指しで飛ばしている いや、中村修が時間を使いすぎなのか?
考慮時間の差がどんどん開いているが、大丈夫か

木村、自玉の桂をビシッ!と跳ね出し、勝負、勝負とくる うおー、すごい勢いだ 
阿部隆「一か八かですね(笑)」
聞き手の村田「すごい攻め将棋ですね(笑)」
阿部隆「木村さん、人が変わったようです」

その迫力に押されたのか、中村修、また考慮時間を投入するハメに、
なんと▲0回vs△9回 ここまで開いてしまった 修ちゃん、大丈夫??

・・・したらば、修ちゃん、大丈夫じゃなかった! 木村の跳ねだした桂をタダで取ろうと、
自陣に角を投入したのだが、これが最悪の手だったようだ(感想戦による)
桂がタダで取れるどころか、その桂が大活躍するハメに!

阿部隆「これは、木村の攻めが手になりました、はっきり手になりました
 中村さんでも、しのぎきれないんじゃないか この穴熊は、すごくもろいですよ」

そのあと、木村にビシビシ攻められ、修ちゃん、何もできず、ド完敗!!
手数をかけて桂を取りに行って、取れなかったのだから、プロ的には相当まずい指し方だった

74手で木村の圧勝 番組開始から1時間かからずだ 木村は考慮時間を7回も残していた
うーーわ、これはひどいわ 木村陣、まっっっったく手つかずだ ひどい投了図・・・

阿部隆「木村の剛腕、猛攻だった」

感想戦が20分だったのが、まだ救いかなあ 銀河戦は、感想戦が最長で20分だからね 
NHK杯なら、30分、感想戦をやらないといけないところだ

中村修「穴熊にしておけば、100手以内で負けることはないだろうと思っていたのに、おかしいな」
この自虐のギャグが、さみしく聞こえた まさに、ボロボロの負け(^^;

終局の手数が74手、序盤で穴熊に囲った手が長かったんで、戦ったのは実質30手くらいか
修ちゃんにとっては、これがNHK杯じゃなくてよかった、ということしか、もうかける言葉がないね
クマって負けると、ひどい投了図になることがある、その典型だった
アナグマ、組むほうも、組まれるほうも、気をつけよう、ということだね・・・

一方、木村のほうは、勢いを感じさせた いいね
後手から打開し、勝負、勝負と迫る、早指しで気迫があり、この一局の勝因になったね

ところで、名前のことだけど、中村修は、同姓に中村太地と中村亮介が居るので、
いちいち中村修と書くのがめんどうだ ついつい、修ちゃん、と書いてしまった
阿部隆も、同姓に阿部健治郎と、阿部光瑠がいるので、フルネームで書かないといけない
どうにかならないか どうにもならないね