平藤眞吾 七段vs阿久津主税 七段 NHK杯 1回戦
解説 畠山鎮

矢内、今日は髪の毛を下ろしているではないか! すごくイイ! 髪型、しばらくこれにして欲しい

平藤(ひらふじ)と、阿久津か 平藤のことはよく知らないが、どうなるかな
そういえば平藤は、前期の順位戦C1最終戦で、9連勝の佐藤天彦に勝ち、天彦の全勝を阻止している
解説はハタチンだ 平藤との関西所属つながりだね

平藤は1991年四段、竜王戦4組、順位戦C1 予選で有森、内藤、福崎に勝ち 4回目の本戦出場
阿久津は1999年年四段、竜王戦2組、順位戦B1 予選はシード 7回目の本戦出場

解説のハタチン「平藤は決断力がよく、きびきびとした早指し、攻め将棋
 居飛車党だがオールラウンダー
 阿久津は平藤と棋風が似ている、非常に鋭い攻め将棋、筋に明るく、形がきれい
 後手番の阿久津の作戦に注目、間違いなく切り合いになるだろう」

事前のインタビュー
平藤「阿久津は雰囲気どおりの、イケメンな将棋だと思います アグレッシブで踏み込みがすごい将棋
 強敵だが、おくさず強気で勝負したい」
阿久津「平藤は実戦的で鋭い攻め将棋 過去にもそれであっという間にもっていかれたことがあるので、
 今日は気をつけたい 自分らしい将棋が指せたらいいと思う」

 
先手平藤で、相掛かりかと思いきや、ひねり飛車の作戦だった
ハタチン「ひねり飛車はとてもめずらしい作戦、阿久津は公式戦で一局戦ったことがあるかないかだろう
 ひねり飛車の少ない理由の一つに、居飛車党が振り飛車のような戦型を指しこなすのは難しい 
 しかし平藤の棋風として、軽くさばく将棋も得意としている 阿久津にもそういうところがある」

雑談で、ハタチン「私と平藤とで、以前、研修会の幹事をやっていた 
 ひるんだり、様子見のような手をしている子がいたら、平藤は『もっと踏み込みなさい』と
 注意していた」

さて、平藤がひねり飛車の常套(じょうとう)手段で、飛車をぶつけた
ハタチン「飛車交換はできません」と言った直後、阿久津は交換した!
ハタチン「あ お恥ずかしいですね(^^;」
あっという間に、飛角総交換になってしまった お互いにバシバシと音を立てて、気合い充分だ
ハタチン「両者、最強の手順ですね どちらが読み勝っているんでしょうか」

ハタチン「△2八角と打ち込むと、止まらない流れになる」
阿久津はそのとおり△2八角と打ち込んだ もう終盤だ 中盤というものがなかったな(笑)
これは局面のバランスがすぐ崩れそう、手数が短く終わりそうだ

形勢、阿久津がやや良しなようだ 先手の攻めは、遅そうだもんね
ハタチン「平藤はちょっと失敗したと思ってるかも 普通の手順だと、後手が一手早そう」
が、ここで平藤にひねった手がでた 桂を取って、それを▲7七桂と合駒! お、そんな手があったか
これで流れが変わったと思う

手が進むが、形勢判断がつかない ハタチンも、どっちがいいか、わからないようだ
ハタチン「これだけ激しく戦って、駒の損得なしですね 奨励会の十代どうしの対局みたい(笑)」
確かに、これだけの斬り合いはめずらしい しかも、手が難しいのに、形勢によく差がつかないものだ

先手玉をどう寄せるか、というところ、阿久津に8筋から桂を打つ、という手が出た
あー、桂をそっちから打つ手があったか 私には逆方面からの攻めしか見えてなかったよ
そして、先手玉の真横にタダの腹銀を打った! おおーっ そんな手が、これは決まったか!
が、まだ粘る平藤 あー、まだまだ難しいのか 平藤、腰も重い なかなか強い
あの阿久津と互角に渡り合ってるぞ それも、手の見え方が勝負の将棋でねえ

ハタチン「阿久津は歩をいっぱい持ってるが、使うところがない 
 居玉になった先手玉の安定度が、両者わかっていないと思う」
すごい熱戦になってる、飛角総交換から、これだけ強く戦っていて、まだ形勢が難しいとはね
ハタチン「第一感が悪手になりそうな局面が続いている」

ハタチン「正確に指せば、平藤のほうが阿久津の攻めを凌ぎきれそう」
しかし、感想戦でこれが敗着では、という手が出た 平藤、飛車を打って王手して、金を補充した手が
一手緩んだ、ということだった 飛車を打つ手と金を取る手はワンセット、ここで2手費やしたのが
問題だったそうだ なるほどなあ

阿久津、自陣に金を投入して鉄壁にしたあと、攻めを続けていく
私にはどっちが勝っているのか、全然わからない 
ハタチンの形勢判断が聞きたいが、もう秒読みで、言うヒマがないようだ

どっちが勝ってるねん? ・・・と思ってたら、終局は突然訪れた
平藤、いきなり投了! 112手で阿久津の勝ち って、えええーー なんで投了??
最後までやってよーー ええーっと、なんで投了だろう、ちょっと一時停止して考えて見たけど、
私にはわからん(^^; なにか阿久津の攻めがあるんだろうけど・・・

ハタチン「△3五桂の攻めがあって、阿久津の攻めが続く それに対して、後手陣は鉄壁」
そうだったか、△3五桂があったか 私にはわからなかったorz
せめてあと2手、△3五桂までは指して欲しかった 
まあ、阿久津がこの手を逃したとは思えないけどね
24のリレー将棋なら、絶対まだ投了してないぞ 
「あきらめたらそこで試合終了です」と久米さんに怒られそうだもん

 
ハタチン「すごい激しくてびっくりした、延々と熱戦だった」
感想戦で、平藤「最後、パンチを一発も打てなくて残念です」
平藤さん、敵陣が固いままで、攻めの手が回ってこなかったから、残念だったようだ(^^;

かなり濃い一局で、形勢は2転3転していただろう 感想戦が5分しかなかったのは残念だった
平藤さん、あまり目立たないけど、本局では阿久津相手にひけを取ってなかった、強かった
もしこれが24のリレー将棋で、こんな内容なら、とても盛り上がっただろう 
両者引かず気合いよく、形勢が何度か入れ替わった将棋、人間味があって面白かった