阿部健治郎 五段vs藤井猛 九段 NHK杯 2回戦
解説 西村一義 九段

矢内、下ろした髪に、フワフワのピンクの服 胸元のペンダントがオシャレだ
今日はアベケンと藤井の対局 楽しみだ 2人は西村九段の門下で同門ということだ

放送時間が午後3時半からだったということで、見逃した人がいるかもしれない
そういうわけで、今回は、棋譜と西村九段の解説をまとめて貼り付ける、という形式にしました
私の補足は(カッコ)の中に書いてます

アベケンは2009年四段、竜王戦4組、順位戦C1 1回戦で中村修に勝ち NHK杯は2回目の本戦出場
藤井は1991年四段、竜王戦2組、順位戦B2 2回戦から登場 NHK杯は19回目の本戦出場

解説の西村「藤井はアベケンのだいぶ先輩 アベケンは研究会で兄弟子の胸を借りている 
 2人とも15才くらいで奨励会に入って他人より遅かったが、才能がある
 藤井は最近、王位に挑戦してまた調子を上げてきた 藤井システムの出番が最近は減っているが、
 それ以外の色々な戦法をずいぶん勉強している 
 アベケンは新人王を獲り、順位戦でもC2で全勝している、色んな戦型ができて、終盤が強いので、
 これからが非常に楽しみ(アベケンは現在23才)」

事前のインタビュー
アベケン「藤井はタイトルをたくさん獲っていて、同じ一門でもありますし、尊敬する先輩
 なかなか対戦する機会がないので、悔いのないように一生懸命指したい
 記念になるような内容にしたい」

藤井「アベケンは同門なので、練習でよく指している 非常に研究熱心で伸び盛りの若手
 早指しですし、勢いのある将棋を指したい」

開始日時:2012/08/12
先手:阿部健治郎 五段
後手:藤井猛 九段

▲2六歩
*アベケンの先手 解説が始まったのは、21手目から
△3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀
△4二飛 ▲6八玉 △9四歩 ▲7八玉 △7二銀 ▲5六歩
△5二金左 ▲5八金右 △6四歩 ▲5七銀 △3二銀 ▲3六歩
△6二玉 ▲3五歩
*以下、コメントは西村九段のもの
*「ここまではスラスラ進みましたが、かなり駆け引きがありました 居飛穴を警戒して藤井システムで行こうとしたところを、アベケンは居飛穴を捨てて急戦に出ました」
△同 歩 ▲4六銀
*序盤、アベケンは最初に▲2五歩を決めるなど、作戦をたててきています
△3六歩
*藤井はかなり実戦で経験がある形と思います
▲2六飛
*後手の△6四歩は、居飛穴を意識した手
*反面、急戦に対して遅れる意味がある それでアベケンが急戦に踏み込みました
△4五歩
*先に角交換をするか、単に▲5五銀と出るか
▲5五銀
*後手の角を目標にしようという意味ですね
△5四歩
*一手一手が怖い 
*研究していてもまだ答えが出ていない局面です
*どちらかがはっきり有利という結論があるなら、こういう局面になりませんのでね
*
*これを▲同銀なら△5三歩で銀が死にます
▲2四歩
*これは利かしです 将来、飛車が走れます
*このタイミングだと△同歩でしょう
△同 歩 ▲6四銀
*アベケンは自信がありそうですね
△7一玉
*この辺が渋いというか、プロらしいですね ▲8二角の打ち込みも消してます
▲3三角成 △同 銀 ▲3四歩
*このまま決戦に入ると、6四の銀が大きいので、後手としてはゆっくりとした流れにしたいです
△2二銀
*我慢の一手ですね
▲2四飛
*(雑談)現代の振り飛車は、研究に裏打ちされた理論的な緻密な振り飛車です 以前は、経験で指す、実戦的な振り飛車でした
△6三歩
*おとなしく銀は引かないと思いますね
*▲2三歩か、▲5三角か・・・
*(ここでアベケンは大長考、一気に7回も考慮時間を投入した)
*▲5三角は△同金▲同銀成に△3五角の切り返しがありますね 藤井は相手に攻めさせての切り返しが見事ですからね
▲2二飛成
*なるほどなるほど、こういう手段もあるんですね
△同 飛 ▲4四角
*これでバランスが取れてますね
*飛車を持ち合って、アベケンが先手を握るから、いい勝負でしょう 当然藤井は読み筋でしょう
△6二金寄
*ここで▲7三銀成という手があるが、一手の価値があるかどうかが問題です
▲2二角成
*後手は銀を取らないで、△2八飛として、先手が馬を逃がしたら△2九飛成という手もあります
△6四歩
*普通に桂が香を取りますかね?
▲4四馬
*なるほどね こういうところがなかなかアレですねえ
*先手が勝てば、この馬引きが勝因でしょうね
△2八飛
*(藤井、駒音高く打ち込んだ)藤井の手つきが自信に満ちてましたね
▲3一飛 △5七銀
*なかなか激しい攻め合いですね
▲6八金寄
*平凡ですけど、受けの手筋ですね
*(感想戦では、ここで▲5一銀なら先手有望とのことだった)
*後手は△2二角という手もありますね
△同銀成
*これはどっちで取り方が難しいです
▲同 金
*▲同銀が形ですけど、それだと△2二角~△4四角が詰めろになりましたからね
*(ここで、残り時間はアベケン2回、藤井3回)
△5三角
*△2二角も相当な手でしたが、危険でしたかね
▲同 馬 △同 金
*後手は一手使いましたが、馬を消したのがポイントですね 馬が攻めと守りに制空権を握ってましたからね
▲3五角 △5二金打
*5二に打つか、6二に打つかは、感覚ですね
▲3三歩成
*このと金は、気持ち悪いですね
△同 桂 ▲同飛成
*(感想戦で、この手に代えて▲3四歩だったとのことだった)
△6二角
*守りを固めて、ゆっくり指して、桂香を取ろうという狙いですね
*ベテランの味というか、若手としては意表を突かれますね 大山先生を思い出します
▲3四桂 △6三金寄
*渋いですねえ この辺はねえ
▲6二角成
*(アベケン、秒を読まれて、あわてて指した
*感想戦では、この角交換は先手損、▲4四銀だったとのこと)
△同金寄
*先手は桂を持っていれば▲7五桂なんですけどね
*もう桂は使ってますからね
*(ここから双方30秒将棋)
▲3一龍
*矢内「後手玉に対して、どこから手をつけたらいいか、わからないですね」
△2九飛成
*やっと桂を取りました 今まで我慢してました
▲4二桂成 △2二角
*放置すると▲5二銀とからまれましたからね
▲2一龍 △7七角成 ▲同 桂 △2一龍
*まだどちらがいいかわからない、駒の損得もない
▲4四角 △2八龍
*次に▲2二歩で竜が封じられる手がありましたから、竜を突っ込みました
▲5二銀 △8二玉
*この辺も渋いですねえ 藤井が受けにいい手を見せている感じです
▲5一成桂 △7一金
*いや~、渋い
▲3五角打 △2九飛
*この手は、駒をたくさんもらうと、詰ませますよ、という手ですよ
▲8五桂
*見ごたえのある攻防戦ですね
△5三金寄
*催促ですね 角が持ち駒に入ると、詰ませちゃうという手ですね
▲同角成 △同 金 ▲同角成
*さて先手玉が詰むかどうか
*詰ませなければ後手の負けです
△7九飛成 ▲同 玉
*△8八銀か、△8八角か?
△8八角 ▲6九玉
*ここで、桂が大きな駒ですねえ
△5七桂 ▲5九玉 △4八銀
*先ほどの、角をくださいと金を寄った手は、読みきりだったんですね
▲5八玉 △3七銀不成
*まで、94手で藤井九段の勝ち
*西村「鮮やかな寄せでしたね 藤井の渋い好手が4~5手あって、目立ちましたね うまく先輩の貫禄を見せました」
*私の感想:早指しの一局として、すごく面白かった
*振り飛車党の人には参考になる手が随所に出た一局と思う 最後の角を請求してからの即詰みの読みきりは、見事としかいいようがない 藤井強い、グッジョブ!!