第20期 銀河戦
決勝トーナメント 1回戦 第3局
羽生善治二冠 vs 大石直嗣四段
対局日: 2012年6月15日
解説:野月浩貴七段
聞き手:北尾まどか女流初段
記録:伊藤明日香女流初段

大石は、甲斐女流、佐藤和俊、稲葉、日浦に勝ち、羽生は阿久津に勝ち決勝トーナメント進出
平成23年度の成績は、大石32勝15敗 羽生44勝19敗
大石直嗣(おおいし ただし)は、現在23才
竜王戦の6組で優勝し、本戦トーナメントで永瀬に勝ったが、次の稲葉戦で負けている 
なかなか有望な若手のようだ 羽生を相手に、どこまでやれるか

解説の野月「大石は本格的できびきびした手を指す、見ていて気持ちがいい将棋
 羽生は早指しも非常に強い、見ていて楽しい」

先手大石で、相掛かりになった
野月「大好きな戦法なので、解説しやすいです (野月は相掛かりの本を出している) 
 居飛車党のみなさんには、相掛かりを指していただきたい
 激しさの中に、色々なすごい手筋が埋まっているので、
 今まで経験することのないような手筋を見たり覚えたりできるんでね
 大技と小技の組み合わせを考えるのは楽しいです」

先手の大石が、引き飛車から▲3六銀の形を作ろうとしたところで、
羽生が△8五飛型から9筋を果敢に攻めていった 序盤早々の開戦だ
いつもながら、羽生の将棋は積極的だ 見ていてワクワクする
羽生はNHK杯の対局前のコメントでも、いつも「元気のある将棋を指したい」と言っているものね

野月「相掛かりの△8五飛は、ここ数年で出てきた指し方 お互いに相当研究しているだろう」
野月はさすがにこの戦型のスペシャリスト、解説がとても詳しい
研究手を指したのは大石だったとのことだが、羽生はあまり時間を使わず手を返していく
相掛かりを受けて立った羽生の知識量も、ハンパではないのだろう

聞き手の北尾「スピード感のある戦いですね 手番を取りたいけど、取ったときに悩む将棋ですね」
先手は細かく角を、後手は細かく飛車を動かす展開 
「大駒は大きく使え」という格言は全く当てはまらない(^^;

難しい中盤が続くが、大石、非常に落ち着いているように思える 手つきもしっかりしているし、
表情も全く変わらない 何より「形勢で遅れを取っていない」との野月の解説だ

激しい攻め合いに、野月「楽しいですね 一手一手の価値がすごく高い ハラハラします」
野月は棋界でも屈指の攻め将棋だからね うんうん、私も見ていて楽しい(^^)

そろそろ互いに寄せに入るか、という頃、考慮時間、羽生が先に使い切った
残りは、大石▲4回vs羽生△0回だ  
野月「大石は相掛かりを指しなれている、自分らしさを表現できている」
北尾「大石は落ち着いていますね」
野月「形勢、羽生がつらいのではないか 大石は持ち駒がいっぱいあるから」
おおお、これは、まさかの金星か!?
この細かい中盤での応酬を乗り切って、有利に持ち込んだ大石、これはすごい

野月が「先手、普通に受けてどうか」と言っていたところ、大石、豊富な駒を投入して寄せに行った
ここで攻めるのかあ おお、その銀打ち、もしかして決め手!?
・・・が? 羽生に普通に対応されてみると、案外たいした成果をあげられなかった
逆に、羽生が持ち駒をいっぱい持つ展開になってしまった

そして、羽生の2枚飛車の攻めがすごぶる厳しいハメになった あああー・・・
「2枚飛車に追われる夢を見る」という格言があるが、そのとおりになってしまった
羽生が有利になってから、手数はかかったけど、万一にも逆転はないと思えて、
見ていて全くハラハラしなかった さすが羽生、安定感抜群だ 

結果、132手で羽生の勝ち 大石、途中まで追いつめるところまでは行ったんだけど、残念だった
野月「序盤から中盤、虚虚実実の応酬で、一手一手濃密な戦いだった
 大石が良かったと思うが、寄せ方に問題があったとおもう」

大石、負けたが、大器の予感を感じさせた一局ではあった
もっともっと羽生を追いつめてくれれば盛り上がったのだが、まあ仕方がない
羽生が9筋から早々に仕掛け、攻め合いになった将棋で、中盤は見ごたえがあった一局だった

羽生はやはり強い 最近、私はマンガの「ブラックジャック」を読んでいたのだけど、
まさにそれと同じだ思った 「ブラックジャックに手術をまかせたら、もう安心」、
「羽生に優勢な将棋をまかせたら、もう安心」 そんな感じが共通していると思う