行方尚史 八段vs久保利明 九段 NHK杯 2回戦
解説 浦野真彦 七段

今回の矢内もすごくいい 髪の毛が特にきれいだなあ
今日は実力者同士の一戦だ 行方と久保 サウスポー同士の対戦

行方は1993年四段、竜王戦2組、順位戦B1 1回戦で南に勝ち NHK杯本戦は16回目の出場
久保は1993年四段、竜王戦1組、順位戦B1 1回戦はシード NHK杯本戦は17回目の出場

解説の浦野「行方は、何かいつも思いつめている、将棋ってどんなゲームなんだろう、とね
 最善手を納得するまで考えるタイプ 長考するイメージ でも早指しも強い
 詰将棋が好きなようで、選手権にも出てくれている そのときは、すごい形相で考えている(笑)
 
 久保は振り飛車党のエース 軽くさばく将棋で、プロがあこがれる
 『こんなカッコよくうまいこといくか』と思わせる 私も久保ファンの一人です
 2人ともプライベートでは仲がいいようだ」

事前のインタビュー
行方「久保とは、奨励会が同期 関東関西とはなれていましたけどね 
 四段昇段も半年しか違わないし、今まで一番多く指してきた一人なので、気合いが入りますね
 久保のさばきを真っ向から受け止めて、最後は切れ味するどく決めたい」

久保「行方とは局数もかなりこなしているし、NHK杯でもよく当たっている
 (今回が4回目の対戦とのこと) 棋風は熟知しているつもり
 終盤の切れ味が鋭いので、負けずに戦っていきたい 振り飛車で自分なりの精一杯の力を出したい」

2人の対戦成績は、行方10勝、久保8勝とのこと 行方が勝ち越しているんだね

先手行方で、角交換の▲居飛車+矢倉風の囲いvs△四間飛車+高美濃になった
浦野「最近、プロでは角交換する将棋がとても多いですね
 10時から対局が始まって、10時10分くらいになったら、もうあちこちの駒台に角が乗っている」

浦野「どこから戦いが始まるかわからない」と言っていたが、行方から仕掛けた・・・
って、単なる4筋の一歩交換かと思いきや、桂が跳ねていっちゃったのか!
浦野「あれ? 桂? これまたすごい手ですね」 
これ、浦野が言っていたが、行方の狙いは▲3三角の無理やり打ち込む手だったのだろうか

本譜は久保は、それを警戒したのか、桂先の銀の形で受けた
とにもかくにも、これで戦端が開かれた
浦野「先手は駒がバラバラなので、勇気がある仕掛けですね」

ここからの、久保の受けが絶妙だった 次々襲い掛かる行方の攻めを、形にとらわれずに受けていく
高美濃の金2枚が、ぐいぐいナナメ上に上がってくる受け! 金2枚が玉からどんどん離れていく
浦野「私は囲いが崩れるので、こういう手は考えません はるかに理解を越えてますね」
しかし、たしかに、これで行方の攻めを受け止めているようではないか  久保、さすが元二冠!

行方、攻めあぐんで困っているようだ 考慮時間の残りも、▲0回vs△5回だ
浦野「これは行方、ピンチかな 久保はいつも落ち着いてますね 行方はせつなそうな感じで」
手で顔を覆って、下を向いて考え込んでいる行方、お茶を飲んでる久保、これは勝負あったか

しかし、行方、▲6七角という実に考えにくい自陣角を用意していた これは見えにくい手だ
浦野「なるほど、これがやりたかったのか ここから先は、色んなことがあるかもしれませんよ」

行方も粘り、局面を複雑に複雑に、と勝負をかける 
うわー、いっぱい駒が当たってるなー なんと、駒が5箇所も当たっている、という局面に!
ど、どれを取ればいいんだ 飛車?金?銀?桂?歩? うわー全然わからーん(^^;
私は自分の頭で考えることを放棄(笑) どうする久保? 
久保は、指されてみると、それが正解だ、という順を指した 
玉も3段目に上がって、受けに参加だ  うまい、うまいぞ久保!   

そして、行方の飛車を封じる△5五歩、という手も出た これは好手だろう 
いいぞ久保、これは久保の会心譜ができるだろう  ・・・と思った直後、
行方の▲9七桂という勝負手が来た! おおー こんな手があったか
まあ、しかしびっくりさせるだけの手だ これは成銀を取っておけば、玉が広くて捕まらないね
が? 久保の指し手は△7六桂? な、なんだそれは、疑問手ではないか?
いや、それどころか、大悪手では・・・! 

久保玉は6筋から5筋方面に逃げ出すべきだったのに、一気に8筋へ追いやられてしまったではないか
これは大変調 わあー もう取り返しがつかないぞ 
ああー、久保、ここまで会心の指しまわしだったのに・・・orz

浦野「面白い終盤ですね ドキドキします」
しかし、もうあとは一本道、オートマチックで進んでいくしかない手順だ
形勢、完全に逆転したなあ そして、金銀を山ほど持った行方が競り勝った 
結果、131手で行方の勝ち 

感想戦がなかったのが残念だった 一局の総評として、
浦野「終盤、面白かったですね 行方の意表の仕掛けだったが、あまりでかしてなかった
 久保がリードしたと思うが、△5五歩がどうだったか 行方の▲9七桂が効いた」

これ、浦野さんの意見では△5五歩は疑問、とのことだったが、
私見では△5五歩はいい手だと思った 
▲9七桂に△7六桂と王手したのが、一手バッタリの大悪手だったと思う  
実際はどうなのか? 感想戦がなかったので、ここはひとつ、激指先生に訊いてみよう
実は、激指定跡道場3、購入していたんだよね 今までほとんど使ってなかったけどね

後手の持駒:角 金 桂 歩六 
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v玉v銀 ・ ・v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 全 ・ ・ ・ ・|四
| ・v銀v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ ・ ・v角 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:金二 桂 歩 
後手番

上図、▲5四成銀までの局面 手番は後手番
さあ、局面を入力して、△5五歩▲9七桂△7六桂のあたりを調べてみるぞ どうか!
検討モードの六段+の意見は、上図では形勢は-132で互角 最善手は△5五歩と出た

△5五歩はやはり好手だよね しかし形勢は互角だったのかあ 久保がだいぶいいかと思ってたよ
△5五歩には、▲8六金というのが一番手に来た 4番手に本譜の▲9七桂だ
そして、▲9七桂に、次の△7六桂を入力したら、形勢は・・・
+735で、一気に形勢は先手良しになってしまった あー、やっぱそうだったか

やっぱり、私の判断のほうが浦野さんより正しかった ちょっと浦野さんに勝った気分(^^;
まあ、激指を信用するとしたらば、だけどね 
(ちなみに、▲9七桂には、後手は△9三桂と指して、形勢は-80で互角と出ている)

久保さん、一手バッタリをやってしまって、もったいなかったなあ 
△7六桂を打つまでは互角だったようなので、まだまだねじり合いを見たかった 残念だ
これからも激指を使うかどうか? 味気ないので、あんまり使いたくないけどね(^^; 
個人的には、久保さんの中盤での形にとらわれない受けが、印象に残った一局だった